(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163191
(43)【公開日】2022-10-25
(54)【発明の名称】直腸フォーム製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/606 20060101AFI20221018BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221018BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221018BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20221018BHJP
【FI】
A61K31/606
A61K9/12
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/22
A61K47/38
A61K47/36
A61P1/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129473
(22)【出願日】2022-08-16
(62)【分割の表示】P 2019531779の分割
【原出願日】2017-12-14
(31)【優先権主張番号】62/435,265
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
(71)【出願人】
【識別番号】500297535
【氏名又は名称】フェリング ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン クリル カスペル
(57)【要約】
【課題】改善された特性を示す5-ASA製剤を含む直腸フォーム製剤に対する必要性が依然として存在する。
【解決手段】本明細書に記載されるのは、例えば5-アミノサリチル酸(5-ASA)などの治療薬の直腸投与に有用な医薬直腸フォーム製剤、ならびにそのようなフォーム製剤を生成する方法、およびそれらを使用する治療方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、ワックス状/脂質成分、溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む、無水医薬直腸フォーム製剤。
【請求項2】
前記ワックス状/脂質成分が、ペトロラタム、セチルアルコール、ステアリルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸ナトリウムからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項1に記載の無水製剤。
【請求項3】
約5~15%w/wの前記ワックス状/脂質成分を含む、請求項1または2に記載の無水製剤。
【請求項4】
前記溶媒/担体成分が、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、および鉱油からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項5】
約55~65%w/wの前記溶媒/担体成分を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項6】
前記乳化剤/界面活性剤成分が、グリセリルイソステアレート、乳化ワックス、グリセリルステアレート、グリセリルトリステアレート、ソルビタンオレエート、ポリグリセリル-3ラウレート、およびポリグリセリル-3ジイソステアレートからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項7】
約5~25%w/wの前記乳化剤/界面活性剤成分を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項8】
前記ガム/樹脂成分が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ペクチン、およびデキストリンからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項9】
約0.1~2%w/wの前記ガム/樹脂成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項10】
約20%w/wの5-アミノサリチル酸(5-ASA)、約25%w/wのポリエチレングリコール400、約4%w/wのグリセリン、約29.35%w/wのプロピレングリコール、約2.9%w/wのCCT、約2.1%w/wの乳化ワックス、約0.6%w/wのグリセリルステアレート、約0.8%w/wのソルビタンオレエート、約12%w/wのペトロラタム、約0.2%w/wのキサンタンガム、および約10%w/wの噴射剤A31を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の無水製剤。
【請求項11】
アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、水を含む溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ワックス状/脂質成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む、水中油型エマルジョン医薬直腸フォーム製剤。
【請求項12】
前記溶媒/担体成分が、水と、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、およびC12-C15アルキルベンゾエートからなる群から選択される1つ以上の成分とを含む、請求項11に記載のエマルジョン製剤。
【請求項13】
約30~50%w/wの水および約4%w/wのプロピレングリコールを含む、請求項11または12に記載のエマルジョン製剤。
【請求項14】
前記乳化剤/界面活性剤成分が、ポリエチレングリコール75、ポリエチレングリコール40ステアレート、およびソルビタンオレエートからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項15】
約2~25%w/wの前記乳化剤/界面活性剤成分を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項16】
前記ワックス状/脂質成分が、ペトロラタム、セチルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項11~15のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項17】
約10~25%w/wの前記ワックス状/脂質成分を含む、請求項11~16のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項18】
前記ガム/樹脂成分が、ヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンガムからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、請求項11~17のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項19】
約0.1~0.2%w/wの前記ガム/樹脂成分を含む、請求項11~18のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項20】
約20%w/wの5-アミノサリチル酸(5-ASA)、約47.95%w/wの水、約4%w/wのプロピレングリコール、約1.5%w/wのポリエチレングリコール75、約5%w/wポリエチレングリコール40ステアレート、約0.5%w/w、約18%w/wのペトロラタム、約1.25%w/wのセチルアルコール、約0.2%w/wのキサンタンガム、約8%w/wの噴射剤A31を含む、請求項11~19のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
【請求項21】
前記アミノサリチル酸薬物が、5-ASAまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである、請求項1~20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
約5%w/w~約30%w/wの5-ASAを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
噴射剤をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
約5~15%w/wの噴射剤を含む、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
前記噴射剤が、噴射剤A-31および噴射剤A-46のうちの1つ以上である、請求項22または23に記載の製剤。
【請求項26】
浸透促進剤をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項27】
前記浸透促進剤が、ジメチルイソソルビドを含む、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
pH調整剤、酸化防止剤、および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の追加の成分をさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項29】
請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤から生成された、フォーム。
【請求項30】
前記フォームが、欧州薬局方のモノグラフ1105に従って試験した場合、5分で少なくとも15mLの膨張量を示す、請求項29に記載のフォーム。
【請求項31】
フォーム崩壊試験におけるフォーム崩壊までの時間が、少なくとも3分である、請求項29または30に記載のフォーム。
【請求項32】
フォーム反転試験におけるフォーム脱落までの時間が、少なくとも20分である、請求項29~31のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項33】
前記フォームが、5分の期間にわたって1~2gのフォーム当たり6cm/g以下のフォーム粘着を示す、請求項29~32のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項34】
前記フォームが、無水製剤から生成され、少なくとも0.10g/mLのフォーム密度を示す、請求項29~33のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項35】
前記フォームが、エマルジョン製剤から生成され、少なくとも0.05g/mLのフォーム密度を示す、請求項29~33のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項36】
(a)溶媒/担体成分、ワックス状/脂質成分、および乳化剤/界面活性剤成分の第1の混合物を調製することと、
(b)前記第1の混合物にガム/樹脂成分を添加することと、
(c)最終混合物を形成するために、前記混合物(b)に前記アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを添加することと、
(d)前記最終混合物を噴射剤と組み合わせることと、を含む、請求項1~10または21~28のいずれか一項に記載の無水製剤を生成する方法。
【請求項37】
(a)水を含む溶媒/担体成分とガム/樹脂成分との第1の混合物を調製することと、
(b)乳化剤/界面活性剤成分とワックス状/脂質成分との第2の混合物を調製することと、
(b)第3の混合物を得るために、前記第1の混合物と前記第2の混合物とを組み合わることと、
(c)最終混合物を生成するために、前記アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを前記第3の混合物に添加することと、
(d)前記最終混合物を噴射剤と組み合わせることと、を含む、請求項11~28のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤を生成する方法。
【請求項38】
それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与する方法であって、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤または請求項29~35のいずれか一項に記載のフォームを直腸投与することを含む、方法。
【請求項39】
前記製剤またはフォームが、5-ASAを含み、用量当たり約1g~約5gの5-ASAを提供する製剤の量を分配するエアロゾルディスペンサーから投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療する方法であって、前記対象に請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤または請求項29~35のいずれか一項に記載のフォームを直腸投与することを含む、方法。
【請求項41】
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、請求項40に記載の方法
【請求項42】
それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与するための、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤または請求項29~35のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項43】
それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療するための、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤または請求項29~35のいずれか一項に記載のフォーム。
【請求項44】
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、請求項43に記載の製剤またはフォーム。
【請求項45】
それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与するための薬剤の調製における、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤または請求項29~35のいずれか一項に記載のフォームの使用。
【請求項46】
それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療するための薬剤の調製における、請求項1~28のいずれか一項に記載の製剤または請求項29~35のいずれか一項に記載のフォームの使用。
【請求項47】
前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、請求項46に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、2016年12月16日に出願された米国仮特許出願第62/435,265号に対する優先権を主張する。
【0002】
本明細書に記載されるのは、例えば5-アミノサリチル酸(5-ASA)などの治療薬の直腸投与に有用な医薬直腸フォーム製剤、ならびにそのようなフォーム製剤を生成する方法、およびそれらを使用する治療方法である。
【背景技術】
【0003】
5-ASA(メサラミンとしても既知)は、潰瘍性大腸炎および軽度から中等度のクローン病などの炎症性腸疾患を治療するために使用される抗炎症薬である。これらの状態に対する5-ASAの活性は、主に局所的であり、したがって5-ASAは、典型的には、例えば5-ASAを結腸に送達する剤形および投与経路によって投与される。したがって、5-ASAは、直腸坐剤および直腸フォーム製剤を含む経口および直腸剤形で入手可能である。
【0004】
5-ASA直腸フォーム製剤は、英国においてASACOL(登録商標)(Warner Chilcott UK Limited)の名称で販売されている。その製品には、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート20、乳化ワックス、コロイド状無水シリカ、メタ重亜硫酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、リン酸ナトリウム十二水和物または七水和物、リン酸ナトリウム、グリセロール、マクロゴール300、精製水、プロパン、イソブタン、およびn-ブタンが含まれ、定量当たり1gの5-ASAを提供する。
【0005】
別の直腸フォーム製剤は、UCERIS(登録商標)(Salix Pharmaceuticals,Inc.)であり、これは、活性成分ブデソニド、および不活性成分セチルアルコール、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、乳化ワックス、ポリオキシル(10)ステアリルエーテル、プロピレングリコール、および精製水、ならびに噴射剤のn-ブタン、イソブタン、およびプロパンを含有する。米国特許第5,914,122号は、UCERIS(登録商標)のオレンジブックに記載されており、ブデソニドが水、エタノール、イソプロパノール、もしくはプロピレングリコールなどのアルコール、または水/アルコール混合物であり得る溶媒に溶解されるpH6.0を超えないブデソニド溶液を開示している。溶液は、好ましくは、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、シクロデキストリン、またはそれらの混合物などの安定剤も含有し、直腸浣腸または直腸フォームにおける活性成分として有用であると言われている。
【0006】
しかしながら、既存の直腸フォーム製剤は、5-ASAなどの局所的に活性な化合物の結腸への送達に関する改善から利益を得ることができた。例えば、潰瘍性大腸炎を治療するために結腸送達用5-ASAを直腸投与する場合、理想的なフォームは、直腸投与の点から結腸の奥深くまで拡散し、徐々に膨張し、意図された治療領域にわたって内部的に均一に分布するように大きな体積に膨張し、かつ結腸内で良好な保持力を示す。
【0007】
したがって、改善された特性を示す5-ASA製剤を含む直腸フォーム製剤に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0008】
治療薬の直腸投与に有用な、無水およびエマルジョン直腸フォーム製剤を含む、医薬直腸フォーム製剤が記載されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の無水医薬直腸フォーム製剤は、アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルなどの治療薬、ワックス状/脂質成分、溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む。例示的なワックス状/脂質成分は、ペトロラタム、セチルアルコール、ステアリルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸ナトリウムからなる群から選択される1つ以上である。例示的な溶媒/担体成分は、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、および鉱油からなる群から選択される1つ以上である。例示的な乳化剤/界面活性剤成分は、グリセリルイソステアレート、乳化ワックス、グリセリルステアレート、グリセリルトリステアレート、ソルビタンオレエート、ポリグリセリル-3ラウレート、およびポリグリセリル-3ジイソステアレートからなる群から選択される1つ以上である。例示的なガム/樹脂成分は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ペクチン、およびデキストリンからなる群から選択される1つ以上である。
【0010】
いくつかの実施形態では、無水製剤は、約5~15%w/wのワックス状/脂質成分を含む。いくつかの実施形態では、無水製剤は、約55~65%w/wの溶媒/担体成分を含む。いくつかの実施形態では、無水製剤は、約5~25%w/wの乳化剤/界面活性剤成分を含む。いくつかの実施形態では、無水製剤は、約0.1~2%w/wのガム/樹脂成分を含む。
【0011】
特定の実施形態では、無水製剤は、約20%w/wの5-ASA、約25%w/wのポリエチレングリコール400、約4%w/wのグリセリン、約29.35%w/wのプロピレングリコール、約2.9%w/wのCCT、約2.1%w/wの乳化ワックス、約0.6%w/wのグリセリルステアレート、約0.8%w/wのソルビタンオレエート、約12%w/wのペトロラタム、約0.2%w/wのキサンタンガム、および約10%w/wの噴射剤A31を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の水中油型エマルジョン医薬直腸フォーム製剤は、アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルなどの治療薬、水を含む溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ワックス状/脂質成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む。例示的な溶媒/担体成分は、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、およびC12-C15アルキルベンゾエートからなる群から選択される1つ以上である。例示的な乳化剤/界面活性剤成分は、ポリエチレングリコール75、ポリエチレングリコール40ステアレート、およびソルビタンオレエートからなる群から選択される1つ以上である。例示的なワックス状/脂質成分は、ペトロラタム、セチルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸からなる群から選択される1つ以上である。例示的なガム/樹脂成分は、ヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンガムからなる群から選択される1つ以上である。
【0013】
いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、約30~50%w/wの水および約4%w/wのプロピレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、約2~25%w/wの乳化剤/界面活性剤成分を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、約10~25%w/wのワックス状/脂質成分を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、約0.1~0.2%w/wのガム/樹脂成分を含む。
【0014】
特定の実施形態では、本明細書に記載のエマルジョン製剤は、約20%w/wの5-ASA、約47.95%w/wの水、約4%w/wのプロピレングリコール、約1.5%w/wのポリエチレングリコール75、約5%w/wのポリエチレングリコール40ステアレート、約0.5%w/w、約18%w/wのペトロラタム、約1.25%w/wのセチルアルコール、約0.2%w/wのキサンタンガム、および約8%w/wの噴射剤A31を含む。
【0015】
特定の実施形態では、アミノサリチル酸薬物は、5-ASAまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。いくつかの実施形態では、無水またはエマルジョン製剤は、約5%w/w~約30%w/wの5-ASAを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、製剤は、噴射剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、製剤は、噴射剤A-31および噴射剤A-46のうちの1つ以上などの約5~15%w/wの噴射剤を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、製剤は、ジメチルイソソルビドなどの浸透促進剤をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、製剤は、pH調整剤、酸化防止剤、および保存料からなる群から選択される1つ以上の追加の成分をさらに含む。
【0019】
本明細書に記載の製剤から生成されたフォームも提供される。いくつかの実施形態では、フォームは、欧州薬局方のモノグラフ1105に従って試験した場合、5分で少なくとも15mLの膨張量を示し得る。いくつかの実施形態では、フォーム崩壊試験におけるフォーム崩壊までの時間は、少なくとも3分であり得る。いくつかの実施形態では、フォーム反転試験におけるフォーム脱落までの時間は、少なくとも20分であり得る。いくつかの実施形態では、フォームは、5分の期間にわたって1~2gのフォーム当たり6cm/g以下のフォーム粘着を示し得る。いくつかの実施形態では、フォームは、少なくとも0.10g/mLのフォーム密度を示し得る。
【0020】
(a)溶媒/担体成分、ワックス/脂質成分、および乳化剤/界面活性剤成分の第1の混合物を調製することと、(b)第1の混合物にガム/樹脂成分を添加することと、(c)アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルなどの治療薬を混合物(b)に添加して、最終混合物を形成することと、(d)最終混合物を噴射剤と組み合わせることとを含む、無水製剤を生成する方法も提供される。
【0021】
(a)水を含む溶媒/担体成分とガム/樹脂成分との第1の混合物を調製することと、(b)乳化剤/界面活性剤成分とワックス状/脂質成分との第2の混合物を調製することと、(b)第1の混合物と第2の混合物とを組み合わせて、第3の混合物を得ることと、(c)アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルなどの治療薬を第3の混合物に添加して、最終混合物を形成することと、(d)最終混合物を噴射剤と組み合わせることとを含む、エマルジョン製剤を生成する方法も提供される。
【0022】
それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物などの治療薬を投与する方法であって、本明細書に記載の製剤を直腸投与することを含む、方法も提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、5-ASAを含み得、用量当たり約1g~約5gの5-ASAを提供する量の製剤を分配するエアロゾルディスペンサーから投与され得る。
【0023】
それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載の製剤を直腸投与することを含む、方法も提供される。炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択され得る。
【0024】
それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与するため、またはそれを必要とする対象において潰瘍性大腸炎もしくはクローン病などの炎症性腸疾患を治療するための本明細書に記載の製剤も提供される。
【0025】
それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与するため、またはそれを必要とする対象において潰瘍性大腸炎もしくはクローン病などの炎症性腸疾患を治療するための、薬剤の調製における本明細書に記載の製剤の使用も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施例5に記載のエクスビボ試験の結果を報告する図である。左パネルは、70°の角度で配置されたブタ結腸組織についてのフォーム粘着試験の結果を示す。右パネルは、反転させたブタ結腸組織を使用したフォーム反転試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書に記載されているのは、例えば、5-アミノサリチル酸(5-ASA)などの治療薬の直腸投与に有用な医薬直腸フォーム製剤である。いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載のフォーム製剤は、徐々に膨張する、大きな総体積に膨張する、かつ/または結腸内で良好な保持を示すフォームを含む、所望の特性を有するフォームをもたらす。
【0028】
用語および定義
本明細書で使用される技術的および科学的用語は、別途定義されない限り、本発明が属する医薬製剤の当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の様々な方法を参照する。当業者に既知の任意の好適な材料および/または方法を、本発明を実施する際に利用することができる。しかしながら、特定の材料および方法が記載される。以下の説明および実施例において参照される材料、試薬などは、特記しない限り、商業的供給源から入手可能である。
【0029】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、単数形のみを示すように明示的に述べられていない限り、単数形および複数形の両方を示す。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「約」は、その数または範囲が記載された正確な数または範囲に限定されず、数または範囲が使用される文脈に応じて当業者によって理解されるように列挙された数または範囲の周りの値を包含する。当技術分野の文脈または慣例から他に明らかでない限り、「約」は、特定の用語の最大±10%を意味する。
【0031】
本明細書で使用する場合、「対象」は、ヒトを含む任意の哺乳動物を表す。例えば、対象は、本明細書に記載されるように薬物で診断、治療、または予防することができる状態に罹患し得るかもしくは発症する危険性があり得るか、または他の目的のために薬物を服用し得る。
【0032】
本明細書で使用する用語「投与する」、「投与」、または「投与すること」は、(1)例えば、医療専門家もしくは彼らの許可を受けた薬剤、または彼の指示の下のいずれかによる、提供、付与、投薬、および/または処方、ならびに(2)例えば、医療専門家、または患者もしくは自分自身により注入すること、服用すること、または消費することを指す。
【0033】
本明細書で使用する用語「治療する」、「治療すること」、または「治療」は、疾患または状態が「治る」または「治癒」したとみなされるかどうかにかかわらず、かつ全ての症状が解決されるかどうかにかかわらず、疾患もしくは状態またはそれらの1つ以上の症状を緩和すること、軽減すること、または改善することを含む。この用語はまた、疾患もしくは状態またはその1つ以上の症状の進行を軽減または防止すること、疾患もしくは状態またはその1つ以上の症状の根底にある機序を妨げるまたは防止すること、ならびに任意の治療的および/または予防的利益を達成することを含む。
【0034】
本明細書で使用する場合、句「有効量」は、そのような治療を必要とする対象において薬物が投与される特定の薬理学的効果を提供する用量を指す。そのような用量が当業者によって治療有効量であるとみなされるとしても、治療有効量は、本明細書に記載される状態の治療において常に有効であるとは限らないことが強調される。便宜上、例示的な用量および治療有効量を、ヒト成人対象に関して以下に提供する。当業者は、特定の対象および/または状態/疾患を治療するために必要とされる標準的な実践に従ってかかる量を調節することができる。
【0035】
治療薬
上記のように、本明細書に記載の医薬直腸フォーム製剤は、治療効果のために直腸投与することができる1つ以上の治療薬を含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、抗感染薬/抗生物質、抗炎症薬/消炎薬、抗痙攣薬、抗気象薬、運動促進薬、または下剤効果を有する薬剤である治療薬は、1つ以上のレベルの結腸で局所作用を示す。
【0036】
医薬直腸フォーム製剤は、5-ASAなどのアミノサリチル酸薬物などのサリチル酸の誘導体、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくはエステルを含み得る。5-ASAは、メサラジン、5-アミノサリチル酸、2-ヒドロキシ-5-アミノ安息香酸、3-カルボキシ-4-ヒドロキシアニリン、メサラミン、および5-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸としても既知であり、分子式C7H7NO3および153.14の分子量を有する。CAS登録番号89-57-6およびEinecs 201-919-1で登録されている。例示的な薬学的に許容される塩は、塩酸塩などの酸付加塩を含む。
【0037】
典型的には、直腸フォーム製剤は、診断上または治療上有効量の1つ以上の治療薬、例えば意図する効果を発揮するのに有効な量で製剤化される。治療薬の量は、調製される製剤、作動ごとに分配される製剤の量、製剤化される特定の治療薬、所望の効果、および製剤が療法を提供する期間に依存する。いくつかの実施形態では、治療薬は、全製剤に基づいて、約5%w/w~約40%w/w、約10%w/w~約30%w/w、および約15%w/w~約25%w/wを含む約1%w/w~約50%w/wの量、ならびに1%w/w、5%w/w、10%w/w、15%w/w、20%w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/w、または50%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で製剤中に使用され得る。
【0038】
直腸フォームディスペンサーの作動ごとに分配される治療薬の量は、約0.5g~約5g、約1g~約3g、および約1g~約2g、ならびにこれらの値のいずれかの間の量を含む約0.1g~約10gであり得る。
【0039】
特定の実施形態では、本明細書に記載の直腸フォーム製剤は、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/wの5-ASA、約25%w/wの5-ASA、または約30%w/wの5-ASAを含む約5%w/w~約30%w/wの5-ASA、およびにこれらの値のいずれかの間の量を含み、直腸フォームディスペンサーの作動当たりに分配される治療薬の量は、約1g~約2gを含む約0.5g~約5g、およびこれらの値のいずれかの間の量である。
【0040】
製剤
本明細書に記載の医薬直腸フォーム製剤は、以下により詳細に記載されるように、無水製剤および水中油型エマルジョン製剤を含む。1つ以上の治療薬に加えて、本明細書に記載の無水製剤は、ワックス状/脂質成分、非水性溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含み、また本明細書に記載のエマルジョン製剤は、水を含む溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ワックス状/脂質成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む。
【0041】
いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本明細書に記載の成分の組み合わせは、徐々に膨張する、大きな総体積に膨張する、かつ/または良好な保持時間を示すフォームなどの所望の特性を有するフォームをもたらし、分配してもすぐには崩壊せず、かつエマルジョンの破壊、分離、ゲル化、または貯蔵中の反転に関して安定していると考えられる。本明細書に記載のフォームの特性に関するさらなる情報は、以下および実施例により詳細に記載されている。
【0042】
無水製剤
本明細書で使用されるとき、用語「無水」製剤は、5重量%未満の水を含む製剤を示す。いくつかの実施形態では、いくらかの水が存在してもよいが、無水製剤は、水を添加せずに調製される。いくつかの実施形態では、無水製剤は、本質的に水を含まず、例えば、微量以下の水を含有する。
【0043】
上記のように、本明細書に記載の無水製剤は、活性剤、ワックス状/脂質成分、溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む。
【0044】
無水製剤のワックス状/脂質成分は、ペトロラタム、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ラノリン、含水ラノリン、ラノリンアルコール、パラフィン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸ナトリウムのうちの1つ以上を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、ワックス状/脂質成分は、全製剤に基づいて、約10%w/wを含む約1%w/w~約25%w/w、約2%w/w~約20%w/w、または約5%w/w~約15%w/wの量、ならびに1%w/w、2%w/w、5%w/w、10%w/w、15%w/w、20%w/w、および25%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で無水製剤中に存在し得る。特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約5%w/w~約15%w/wのワックス状/脂質成分、例えば5%w/w、10%w/w、または15%w/wのワックス状/脂質成分を含み得る。
【0046】
無水製剤の溶媒/担体成分は、ポリエチレングリコール(PEG 400など)、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、酢酸エチル、グリセリン、グリコフロール、フタル酸ジエチル、エタノール、C12-C15、アルキルベンゾエート、ジメチルエーテル、トリアセチン、トリカプリリン、クエン酸トリエチル、アーモンド油、落花生油、ベニバナ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ヒマシ油、鉱油、および軽鉱油のうちの1つ以上を含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、溶媒/担体成分は、全製剤に基づいて、約40%w/w~約65%w/w、約45%w/w~約65%w/w、または約50%w/w~約65%w/wを含む約30%w/w~約65%w/wの量、ならびに30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/w、50%w/w、55%w/w、60%w/w、および65%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で無水製剤中に存在し得る。特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約55%w/w~約65%w/wの溶媒/担体成分を含み得る。
【0048】
無水製剤の乳化剤/界面活性剤成分は、グリセリルイソステアレート、アニオン性および非イオン性乳化ワックス、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルパルミトステアレート、ソルビタンオレエート、ポリグリセリン-3ラウレート、ポリグリセリン-3ジイソステアレート、ポリエチレングリコール75、ポリエチレングリコール40ステアレート、ミリスチルアルコール、鉱油アルコール、ラノリンアルコール、レシチン、リノール酸、ポロキサマー(ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロックコポリマー、例えばポロキサマー181、182、および/または331)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、Polyoxyl 35ヒマシ油および/またはPolyoxyl 40硬化ヒマシ油)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシグリセリド、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、プロピレングリコールアルギネート、ならびにサポナイトのうちの1つ以上を含み得る、特定の実施形態では、無水製剤の乳化剤/界面活性剤成分は、グリセリルイソステアレート(グリセリルイソステアレートとカプリル酸/カプリン酸グリセリドとのブレンドであるGlobal 4075を含む)、乳化ワックス(例えば、Polawax NF)、グリセリルステアレート、グリセリルトリステアレート、ソルビタンオレエート(例えば、Span 80)、ポリグリセリル-3ラウレート、およびポリグリセリン-3ジイソステアレートからなる群から選択される1つ以上の成分を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、乳化剤/界面活性剤成分は、全製剤に基づいて、約5%w/w~約45%w/w、または約5%w/w~約35%w/w、または約5%w/w~約20%w/w、または約5%w/w~約15%w/wを含む約1%w/w~約45%w/wの量、ならびに約5%w/w、10%w/w、15%w/w、および20%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で無水製剤中に存在し得る。特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約5%w/w~約10%w/w含む、約5%w/w~約25%w/wの乳化剤/界面活性剤成分を含み得る。
【0050】
無水製剤のガム/樹脂成分は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒプロメロース、キサンタンガム、グアーガム、カオリン、アカシア、寒天、アルギン酸アタパルジャイト、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、ポリカルボフィル、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択される1つ以上の成分を含み得る。特定の実施形態では、無水製剤のガム/樹脂成分は、ヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンガムのうちの1つ以上を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、ガム/樹脂成分は、全製剤に基づいて、約0.1%w/w~約5%w/w、約0.1%w/w~約2%w/w、または約2%w/wを含む約0.01%w/w~約5%w/wの量、ならびに0.1%w/w、0.5%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、および5%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で無水製剤中に存在し得る。特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約0.1%w/w~約2%w/wのガム/樹脂成分、または約0.2%w/wを含み得る。
【0052】
エマルジョン製剤
上記のように、本明細書に記載のエマルジョン製剤は、活性剤、ワックス状/脂質成分、水を含む溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む。
【0053】
エマルジョン製剤のワックス状/脂質成分は、ペトロラタム、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ラノリン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、含水ラノリン、ラノリンアルコール、パラフィン、およびステアリン酸ナトリウムのうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、ワックス状/脂質成分として、ペトロラタム、セチルアルコール、およびステアリン酸のうちの1つ以上を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、ワックス状/脂質成分は、全製剤に基づいて、約10%w/w~約15%w/wおよび約20%w/wを含む約5%w/w~約30%w/w、または約10%w/w~約25%w/wの量、ならびに10%w/w、15%w/w、20%w/w、および25%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量でエマルジョン製剤中に存在し得る。特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約20%w/wのワックス状/脂質成分などの約10%w/w~約25%w/wのワックス状/脂質成分を含み得る。
【0055】
エマルジョン製剤の溶媒/担体成分は、水と、任意に、ポリエチレングリコール(PEG 400など)、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、酢酸エチル、グリセリン、グリコフロール、フタル酸ジエチル、エタノール、ジメチルエーテル、トリアセチン、トリカプリリン、クエン酸トリエチル、C12-C15アルキルベンゾエート、アーモンド油、落花生油、ベニバナ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ヒマシ油、鉱油、および軽鉱油を含む、別の溶媒/担体成分、例えば1つ以上の水混和性溶媒/担体成分、例えば無水製剤に関して上に列挙した任意の水混和性溶媒/担体成分とを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、全製剤に基づいて、約30%w/w~約50%w/wを含む約20%w/w~約60%w/wの量、ならびに20%w/w、25%w/w、30%w/w、35%w/w、40%w/w、45%w/w、50%w/w、55%w/w、または60%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で水を含む。特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、40%w/w、45%w/w、または50%w/wの水などの約40%w/w~約50%w/wの水を含む。
【0057】
上記のように、いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、水に加えて、ポリエチレングリコール(PEG400など)、グリセリン、およびプロピレングリコールのうちの1つ以上、または上記の他の溶媒/担体成分の任意の1つ以上のものなどの追加の溶媒/担体成分を含む。そのような実施形態によれば、追加の溶媒/担体成分は、全製剤に基づいて、約0.1%w/w~約10%w/wを含み、約1.0%w/w~約5%w/wを含み、1.0%w/w~5%w/wを含む任意の量、ならびに1.0%w/w、2.0%w/w、3.0%w/w、4.0%w/w、または5.0%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で存在し得る。特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約30%w/w~約50%w/wの水、および約1.0%w/w~約5%w/wのプロピレングリコール、例えば約4%w/wのプロピレングリコールを含む。
【0058】
エマルジョン製剤の乳化剤/界面活性剤成分は、プロピレングリコールジラウレート、ソルビタントリオレエート、およびポリグリセリル-3ポリリシノレエート、ポリソルベート20、グリセリルイソステアレート、アニオン性および非イオン性乳化ワックス、グリセリルモノステアレート、グリセリルトリステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルパルミトステアレート、ソルビタンオレエート、ポリグリセリン-3ラウレート、ポリグリセリン-3ジイソステアレート、ポリエチレングリコール75,ポリエチレングリコール40ステアレート、ミリスチルアルコール、鉱油アルコール、ラノリンアルコール、レシチン、リノール酸、ポロキサマーポロキサマー(ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンブロックコポリマー、例えば、Poloxamer181、182、および/または331)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、Polyoxyl35ヒマシ油および/またはPolyoxyl40硬化ヒマシ油)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシグリセリド、ビタミンEポリエチレングリコールサクシネート、プロピレングリコールアルギネート、ならびにサポナイトのうちの1つ以上を含み得る。特定の実施形態では、エマルジョン製剤の乳化剤/界面活性剤成分は、グリセリルイソステアレート(例えば、Global 4075)、乳化ワックス(例えば、Polawax NF)、グリセリルステアレート、グリセリルトリステアレート、ソルビタンオレエート(例えば、Span 80)、ポリグリセリル-3ラウレート、およびポリグリセリン-3ジイソステアレートからなる群から選択される1つ以上の成分を含み得る。エマルジョン製剤の特定の実施形態では、乳化剤/界面活性剤成分は、ポリエチレングリコール75、ポリエチレングリコール40ステアレート、およびソルビタンオレエートのうちの1つ以上を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、全製剤に基づいて、約2%w/w~約20%w/wを含む約1%w/w~約25%w/wの量、ならびに2%w/w、2.5%w/w、3%w/w、5%w/w、10%w/w、15%w/w、および20%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で乳化剤/界面活性剤成分を含む。特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約2%w/w~約15%w/wの乳化剤/界面活性剤成分を含む。
【0060】
エマルジョン製剤のガム/樹脂成分は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒプロメロース、キサンタンガム、グアーガム、カオリン、アカシア、寒天、アルギン酸アタパルジャイト、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ゼラチン、ペクチン、ポリカルボフィル、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、ポビドン、およびデキストリンからなる群から選択される1つ以上の成分を含み得る。特定の実施形態では、無水製剤のガム/樹脂成分は、ヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンガムのうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、エマルジョン製剤のガム/樹脂成分は、ヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンガムのうちの1つ以上を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、ガム/樹脂成分は、全製剤に基づいて、約0.1%w/w~約5%w/w、約0.1%w/w~約2%w/w、または約2%w/wを含む約0.01%w/w~約5%w/wの量、ならびに0.1%w/w、0.5%w/w、1%w/w、2%w/w、3%w/w、4%w/w、および5%w/wを含むこれらの値のいずれかの間の量で無水製剤中に存在し得る。特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約0.1%w/w~約2%w/wのガム/樹脂成分、または約0.2%w/wを含み得る。
【0062】
他の成分
上記に加えて、本明細書に記載の製剤は、1つ以上の浸透促進剤、1つ以上のpH調整剤、1つ以上の酸化防止剤、1つ以上の防腐剤、および/または医薬直腸フォーム製剤に使用するのに好適な1つ以上の他の成分などの1つ以上の他の任意成分を含み得る。特定の実施形態では、使用される任意の任意成分は、製剤の治療効果に実質的に影響を与えない。追加的または代替的に、特定の実施形態では、使用される任意の任意成分は、製剤のフォーム特性に実質的に影響を与えない。存在する場合、任意成分は、それらの起泡および薬物送達特性などの組成物の所望の特性を実質的に妨げることなく、成分の意図される効果を有するのに十分な任意の好適な量で製剤に組み込むことができる。例示的な成分およびその量は、本明細書の以下に提供される。
【0063】
本明細書に記載の任意の実施形態に従って、浸透促進剤を使用し得る。5-ASA製剤の特定の実施形態では、浸透促進剤は、ジメチルイソソルビド、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ジエチルセバケート、グリコフロール、オレイルアルコール、プロピレングリコールモノラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ラウリル硫酸ナトリウム、エタノール、ペンチレングリコール、プロピレングリコール、およびブチレングリコールであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態では、浸透促進剤は、無水またはエマルジョン製剤中に約0.5%w/w~約5%w/wの量で使用され得る。特定の実施形態では、浸透促進剤は、無水またはエマルジョン製剤中に約1%w/w~約2.5%w/wの量で使用され得る。さらなる特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約1%w/wのジメチルイソソルビドを含み得る。さらなる特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約2.5%w/wのジメチルイソソルビドを含み得る。
【0064】
本明細書に記載の任意の実施形態に従って、pH調整剤を使用し得る。特定の実施形態では、pH調整剤は、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウム、または炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウム、クエン酸カリウムもしくはクエン酸ナトリウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、またはトロメタミンであり得る。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、無水製剤またはエマルジョン製剤中に約0.1%w/w~約2%w/wの量で使用され得る。さらなる特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、pH調整剤を含まない。さらなる特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、pH調整剤として約0.75%w/wのトリエタノールアミンを含み得る。本明細書に記載の任意の実施形態に従って、酸化防止剤を使用し得る。特定の実施形態では、酸化防止剤は、アルファトコフェロール、酢酸トコフェリル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビルパルミテート、クエン酸水和物、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、またはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のうちの1つ以上から選択され得る。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、無水製剤またはエマルジョン製剤中に約0.01%w/w~約1%w/wの量で使用され得る。さらなる特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約0.3%w/w~約0.7%w/wの酸化防止剤を含み得る。さらなる特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約0.05%w/w~約0.2%w/wの酸化防止剤を含み得る。
【0065】
本明細書に記載の任意の実施形態に従って、保存料を使用し得る。特定の実施形態では、保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、四ナトリウムEDTA、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、イミドレア、モノチオグリセロール、ホウ酸ナトリウム、チメロサール、エチルパラベン、ブチルパラベン、ソルビン酸、安息香酸、ウンデカン酸、およびグルタルアルデヒドのうちの1つ以上から選択され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、防腐剤は、約0.1%w/w~約1.0%w/wの量で無水またはエマルジョン製剤中に使用され得る。さらなる特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約0.15%w/wの保存料を含む、約0.1%w/w~約0.2%w/wの保存料を含み得る。さらなる特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約0.2%w/w~約0.4%w/wの保存料を含み得る。
【0067】
噴射剤
製剤は、さらに噴射剤を含む。いくつかの実施形態では、噴射剤は、炭化水素噴射剤(例えば、プロパン、ペンタン、ブテン、ブタン、イソブタン)、ヒドロフルオロカーボン噴射剤(HFC-134aなど)、またはそれらの組み合わせなどの医薬製剤に使用される従来のエアロゾル噴射剤である。いずれの種類の製剤にも好適な噴射剤の具体例としては、噴射剤A-31(イソブテン)、噴射剤A-46(プロパン/イソブタン)、および噴射剤HFC-134a(テトラフルオロエタン)、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(例えば、Honeywellからの1234ze)、ジメチルエーテル(DME)、またはそれらの2つ以上の組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。特定の実施形態では、噴射剤は、噴射剤A-31および噴射剤A-46のうちの1つ以上を含む。複数の噴射剤が使用されるとき、それらは、1:1を含む任意の比率で使用され得る。特定の実施形態では、無水5-ASA製剤は、約10%w/w~約20%w/wの噴射剤を含む、約10%w/w~約25%w/wの噴射剤を含み得る。さらなる特定の実施形態では、5-ASAエマルジョン製剤は、約14%w/w、15%w/w、および16%w/wの噴射剤を含む、約10%w/w~約20%w/wの噴射剤を含み得る。
【0068】
例示的な製剤
以下に記載されるのは、様々な例示的な無水5-ASA製剤である。以下の実施例に例示される特定の実施形態によれば、無水5-ASA製剤は、約20%w/wの5-ASA、約25%w/wのポリエチレングリコール400、約4%w/wのグリセリン、約29.35%w/wのプロピレングリコール、約2.9%w/wのCCT、約2.1%w/wの乳化ワックス、約0.6%w/wのグリセリルステアレート、約0.8%w/wのソルビタンオレエート、約12%w/wのペトロラタム、約0.2%w/wのキサンタンガム、および約10%w/wの噴射剤A31を含む。
【0069】
以下に記載されるのは、様々な例示的な5-ASAエマルジョン製剤である。以下の実施例に例示される特定の実施形態によれば、5-ASAエマルジョン製剤は、約20%w/wの5-ASA、約47.95%w/wの水、約4%w/wのプロピレングリコール、約1.5%w/wのポリエチレングリコール75、約5%w/wのポリエチレングリコール40ステアレート、約0.5%w/w、約18%w/wのペトロラタム、約1.25%w/wのセチルアルコール、約0.2%w/wのキサンタンガム、および約8%w/wの噴射剤A31を含む。
【0070】
フォーム製剤の調製
本明細書に記載のフォーム製剤は、当技術分野において既知の方法によって調製され得る。例えば、噴射剤を除く成分の全てを組み合わせて、好適なディスペンサーに充填し、その後噴射剤を添加し得る。典型的には、製剤(噴射剤を除く)をディスペンサーに添加し、次いで噴射剤を添加しディスペンサーを加圧し密封する。成分(噴射剤を除く)は、任意の好適な順序で組み合わせて混合され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、無水製剤は、(a)溶媒/担体成分、ワックス/脂質成分、および乳化剤/界面活性剤成分の第1の混合物を調製することと、(b)第1の混合物にガム/樹脂成分を添加することと、(c)治療薬を混合物(b)に添加して最終混合物を形成することと、(d)最終混合物を噴射剤と組み合わせることとを含むプロセスによって生成される。いくつかの実施形態では、プロセスは、噴射剤と組み合わせる前に、適切な段階で他の任意成分を添加することをさらに含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、エマルジョン製剤は、(a)水を含む溶媒/担体成分とガム/樹脂成分との第1の混合物を調製することと、(b)乳化剤/界面活性剤成分とワックス状/脂質成分との第2の混合物を調製することと、(c)第1の混合物と第2の混合物とを組み合わせて、第3の混合物を得ることと、(d)治療薬を第3の混合物に添加して、最終混合物を形成することと、(d)最終混合物を噴射剤と組み合わせることとを含むプロセスによって生成される。いくつかの実施形態では、プロセスは、噴射剤と組み合わせる前に、適切な段階で他の任意成分を添加することをさらに含む。
【0073】
フォーム製剤用ディスペンサー
本明細書に記載のフォーム製剤は、医薬フォーム製剤用の任意の好適なディスペンサー中に提供され得る。典型的には、ディスペンサーは、例えば直腸などの投与経路に適合される。いくつかの実施形態では、ディスペンサーは、1度に1用量の製剤を分配する定量分配バルブを有するディスペンサーなどの定量ディスペンサーである。いくつかの実施形態では、ディスペンサーは、エアロゾルディスペンサーである。
【0074】
単位用量は、投与されている治療薬、製剤中のその濃度、および治療されている状態に依存し、対象の年齢、体重、または状態などの他の要因と共に変化し得る。5-ASA製剤に関する特定の実施形態では、単位用量は、約0.5g~約5g、約1g~約3g、および約1g~約2gを含む約0.1g~約10gの5-ASA(または等量の別のアミノサリチル酸薬物、または5-ASAの薬学的に許容される塩もしくはエステル、または他のアミノサリチル酸薬物)、ならびに0.5g、1g、1.5g、2g、3g、4g、もしくは5gの5-ASA(または等量の別のアミノサリチル酸薬、または5-ASAの薬学的に許容される塩もしくはエステル、または他のアミノサリチル酸薬)を含むこれらの値のいずれかの間の量を提供し得る。いくつかの実施形態では、定量は、1gの5-ASA、2gの5-ASA、もしくは4gの5-ASA(または等量の別のアミノサリチル酸薬、または5-ASAの薬学的に許容される塩もしくはエステル、または他のアミノサリチル酸薬)を含有する。
【0075】
フォーム製剤の特性
本明細書に記載されるフォーム製剤の様々な特性は、欧州薬局方のモノグラフ1105に記載されているものなどの当技術分野で既知の方法によって評価することができる。例えば、フォーム膨張、フォーム粘着、フォーム反転、フォーム密度、およびフォーム崩壊のうちの1つ以上、および当技術分野で既知の方法によって評価することができる。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の5-ASAフォーム製剤は、ASACOL(登録商標)フォーム製剤と比較して改善された1つ以上の特性を示す。
【0077】
フォーム膨張
上記のように、例えば潰瘍性大腸炎を治療するために結腸送達用5-ASAを直腸投与する場合、理想的なフォームは、徐々に膨張し、意図される治療領域にわたって内部的に均一に分布するように大きな体積に膨張する。
【0078】
膨張量は、Eur.Pharm.1105に基づいて次のように評価することができる:
1mLの目盛り付きの72.5cm×1.3cmのPyrex 50mLビュレットを測定装置として使用する。それは、7.5cm×5mmの可撓性チューブによってムースアクチュエータ(精密バルブ、Juno、1インチのムーススパウト、4mmのステム直径)に取り付けられる。試験前に試料容器を少なくとも24時間約25℃に維持する。試料を約30秒間激しく振盪し、5~10mlのフォームを可撓性チューブ/ムース注ぎ口に取り付ける前に廃棄するために分配する。アクチュエータが可撓性チューブにしっかりと取り付けられたら、容器を反転させ、アクチュエータを押し下げて40~30mLのビュレットグラデーションに達するのに十分な量のフォームを分配する。ビュレット栓は、直ちに閉じられ、膨張の計時は、較正されたストップウォッチによって開始される。フォームレベル(L)を5分間、毎分(0~5)記録する。5分が経過する前にフォームレベルが0mLのグラデーションを超えると、0mLのマークに達するのにかかる時間が記録され記述される。試験期間にわたる膨張量は、最大レベルと初期レベルとの間の差として計算される。
【0079】
貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合、ASACOL(登録商標)フォーム製剤は、5分にわたって約5mlの膨張量を示す。対照的に、(貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合)本明細書に記載のフォーム製剤は、5ml超、例えば10ml超、15ml超、20ml超、25ml超、30ml超、または35ml超の膨張量を示し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載のフォーム製剤は、5分間にわたって少なくとも15mLの膨張量を示す。特定の実施形態では、本明細書に記載のフォーム製剤は、5分間にわたって少なくとも20mLの膨張量を示す。
【0080】
フォーム粘着
上記のように、例えば潰瘍性大腸炎を治療するために結腸送達用5-ASAを直腸投与する場合、理想的なフォームは、結腸内で良好な保持力を示す。結腸内腔を必ずしも代表するものではないが、フォーム粘着は、1グラムのフォームが特定の傾斜(例えば、60°の傾斜)を一定時間(例えば、5分)にわたって下降する距離としてインビトロまたはエクスビボで測定され得る。(距離が短いほど、「粘着」プロパティが大きくなる。)改善されたフォーム粘着性は、少なくとも試験が行われる表面に関して、フォーム製剤の改善された凝集性および/または接着性を示す。
【0081】
フォーム粘着は、以下のように評価することができる:
5mm×28.5cm×28.5cmのプレキシグラスプレートに、1cm~25cmまで1cm刻みで水平に印を付ける。プレートは、プレートを受け入れて垂直から60°に保持するように予めミリングされているアルミニウムベースに配置されている。試験前に試料容器を少なくとも24時間約25℃に維持する。試料を約30秒間激しく振盪し、5~10mlのフォームを廃棄するために分配する。容器を秤量し、その重量を初期重量(W0)として記録する。試料を2cmの印のついた線上に約2秒間作動させる。較正されたストップウォッチを使用して、5分以内の期間、直ちに計時を開始する(T0=初期時間)。容器は、分配後に秤量し、その重量を最終重量(WF)として記録し、重量は、WF)からW0を減算することによって計算される。時間は、最終時間(TF)からT0を減算することによって計算される。フォーム粘着は、以下のように計算される:
フォーム粘着(cm/g)=(DF-D0)/(W0-WF)
フォーム粘着((cm/g)/分)=((DF-D0)/(W0-WF))/(TF T0)
【0082】
貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合、ASACOL(登録商標)フォーム製剤は、約7.5cm/gのフォーム粘着を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合)本明細書に記載のいずれかの種類の製剤によって製造されたフォームは、7.5cm/g未満、例えば5cm/g未満、3cm/g未満、または2cm/g未満のフォーム粘着を示す。33.特定の実施形態では、本明細書に記載のフォームは、1~2gのフォーム当たり6cm/g以下のフォーム粘着を示す。
【0083】
フォーム反転
フォーム反転は、フォーム保持特性、例えばフォーム製剤の凝集性および/または接着性の別の尺度である。
【0084】
フォーム反転は、フォームが反転ガラスから脱落して落下するのに要した時間として測定することができる。具体的なプロトコルの概要は以下のとおりである:
【0085】
試験前に試料容器を少なくとも24時間約25℃に維持する。試料を約30秒間激しく振盪し、5~10mlのフォームを廃棄するために分配する。試料容器の重量を記録し(W0)、試料を30.5cm×45.7cm(12インチ×18インチ)の強化ガラスプレート上に予め印を付けた直径12.1cm(4 3/4インチ)の円上で作動させる。フォームは、1つの円の輪郭内の領域を覆うように分配され、試料容器は、再び秤量される(WF)。(試験間で値を比較するために、表面積当たりの等しい重量を得るために、等しい面積にわたってほぼ等しい量の分配を試みる。)フォームが下を向くようにガラス板を反転し、時間をT0として記録する。較正されたストップウォッチを使用して、フォームが反転面から脱落して落下するのにかかる時間(TX)を測定する。
フォーム反転(分/g)=TX/(W0-WF)
【0086】
貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合、ASACOL(登録商標)フォーム製剤は、約20g当たり約1.6分のフォーム反転時間を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合)本明細書に記載のいずれかの種類の製剤によって製造されるフォームは、ASACOL(登録商標)フォーム製剤のフォーム反転時間よりも長い、例えば全て約20gのフォームに対して、約5超、約10分超、約15分超、または約20分超のフォーム反転時間を示す。
【0087】
フォーム密度
フォーム密度は、単位体積当たりのフォームの重量として測定される。
【0088】
貯蔵前に試験した場合、ASACOL(登録商標)フォーム製剤は、約0.067g/mlのフォーム密度を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前に試験した場合)本明細書に記載のエマルジョン製剤によって製造されたフォームは、ASACOL(登録商標)フォームのフォーム密度に匹敵するフォーム密度、例えば約0.05g/ml~0.07g/mlのフォーム密度を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前に試験した場合)本明細書に記載の無水製剤によって製造されたフォームは、ASACOL(登録商標)フォームのフォーム密度よりも大きいフォーム密度、例えば約0.067g/ml超、例えば少なくとも約0.08g/ml、または約0.1g/mlを含む少なくとも約0.1g/mlのフォーム密度を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前に試験した場合)本明細書に記載のエマルジョン製剤によって製造されたフォームは、約0.05g/mlを含む少なくとも0.05g/mlのフォーム密度を示す。
【0089】
フォーム崩壊
活性剤の経粘膜送達のためのフォーム製剤を投与することに関して、フォーム崩壊は、フォーム製剤の活性成分が粘膜と接触するまでの速さと長さの尺度であり、これは、フォームが破壊されると、製剤の大部分が粘膜表面と直接接触するが、粘膜と製剤との間の全体的な接触時間を制限し得るためである。フォーム崩壊は、フォームが36~37℃に設定された乾燥オーブン内に配置されてから最後に観察可能なフォーム泡が破壊されるまでに経過した時間(分単位)として測定することができる。
【0090】
貯蔵前にこのプロトコルに従って試験した場合、ASACOL(登録商標)フォーム製剤は、5分超のフォーム崩壊時間を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前に試験した場合)本明細書に記載のエマルジョン製剤によって製造されたフォームは、ASACOL(登録商標)フォームのフォーム崩壊に匹敵するフォーム崩壊、例えば5分超のフォーム崩壊時間を示す。いくつかの実施形態によれば、(貯蔵前に試験した場合)本明細書に記載の無水製剤によって製造されるフォームは、ASACOL(登録商標)フォームのフォーム崩壊時間に匹敵するフォーム崩壊時間、例えば5分超のフォーム崩壊時間、または5分未満のフォーム崩壊時間、例えば4分未満もしくは3分未満のフォーム崩壊時間を示す。
【0091】
安定性
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフォーム製剤は、貯蔵後に、良好な膨張、粘着、反転、密度、および崩壊特性などの良好なフォーム特性を示す。特定の実施形態では、膨張、反転、粘着、密度、および崩壊特性のうちの1つ以上は、加速条件下(40℃および70%相対湿度)で14日間の貯蔵前後など、貯蔵前後で実質的に同じであり、例えば、同じ特性、または(上記のように測定され得る)測定パラメータの±20%、±10%、もしくはそれ以下だけ異なる実質的に同じ特性を示す。
【0092】
治療方法
上記のように、本明細書に記載のフォーム製剤は、診断効果、予防効果、治療効果、または美容効果を含む任意の所望の効果のために任意の薬物を直腸投与するために使用することができる。そのような方法では、製剤は、典型的にはその目的のために特別に設計されたディスペンサーから直腸投与される。いくつかの実施形態では、フォーム製剤は、1日1~3回投与される。他の実施形態では、フォーム製剤は、1日1回投与される。
【0093】
特定の実施形態では、5-ASA(または別のアミノサリチル酸薬物、または5-ASAの薬学的に許容される塩もしくはエステル、または他のアミノサリチル酸薬物)と共に製剤化された本明細書に記載のフォーム製剤は、潰瘍性大腸炎またはクローン病を含む炎症性腸疾患を治療するために直腸で使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の5-ASAフォーム製剤は、4~6週間の期間にわたって1日1回または1日2回投与される。
【実施例0094】
以下の具体例は、5-ASAを代表的な治療薬として使用した、本明細書に記載の組成物の例示として含まれる。これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定するものではない。本発明の他の態様は、本発明が属する当業者には明らかであろう。
【0095】
以下の手順は、以下の実施例に記載のフォーム製剤を製造するために使用することができる。
【0096】
実施例1:無水フォーム製剤の調製
以下の成分を使用して無水フォーム製剤を調製した:
【表1】
【0097】
グリセリンを適切な大きさの側部容器に添加し、プロペラを使用して撹拌する。キサンタンガムを振りかけ、よく分散するまで混合を継続する。グリセリン/キサンタンガムプレミックスは、必要になるまで保持する。
【0098】
PEG400を主混合容器に添加し、容器に窒素を充填して空気への曝露を最小限にする。窒素流は、プロペラの撹拌と共に容器内へ低レベルで継続される。特に断りのない限り、混合は、バッチ全体を通して継続される。70~75℃に加熱しながら、Polawax(商標)NF(Croda、Incから入手可能な自己乳化ワックス)、グリセリルステアレート、Span 80(ソルビタンオレエート)、ペトロラタム、ジメチルイソソルビド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、メチルパラベン、プロピルパラベン、BHA、およびBHTを添加間で混合しながら添加する。加熱を70~75℃に継続する。
【0099】
グリセリン/キサンタンガムプレミックスを主混合容器に添加し、10分以上混合する。
【0100】
次いで、プロピレングリコールをプロペラ撹拌下で添加し、混合物を35~40℃に冷却する。バッチ温度が35℃未満であり、主容器中に適切なレベルの窒素が存在する場合、メサラミンを振りかけ、必要に応じて混合速度を上げる。最後の添加後、混合物を最低15分間または均一になるまで均質化する。
【0101】
酢酸トコフェリルを添加し、混合を最低15分間継続する。
【0102】
充填前にバッチを少なくとも12時間静置し、窒素ブランケット下で密封容器に貯蔵し、露光から保護する。
【0103】
充填のために、バッチを窒素ブランケット下で十分に混合し、医薬フォーム組成物用に分配するための35×70CCL(アルミニウム)缶などのディスペンサー中に秤量する。ディスペンサーを真空クリンプし、製剤90.0%/噴射剤10.0%)の充填比で噴射剤をガス化し、分配弁(例えばS90 630 EQL弁)を設置する。噴射剤を充填する前に、ディスペンサーを任意に窒素でパージしてもよい。
【0104】
下記の追加の無水フォーム製剤を上記の方法に従って調製した。
【表2】
【0105】
上に列挙した製剤を使用して、噴射剤としてA31およびA46をそれぞれ使用して、製剤90.0%/噴射剤10.0%の充填比で6つのフォーム製剤を調製した。
【0106】
実施例2:水中油型エマルジョンフォーム製剤の調製
以下の成分を使用して水中油型エマルジョンフォーム製剤を調製した:
【表3】
【0107】
プレミックス:プロピレングリコールを適切な大きさの側部容器に添加し、プロペラを使用して撹拌する。キサンタンガムを振りかけ、よく分散するまで混合を継続する。プレミックスは、必要になるまで保持する。
【0108】
主混合:精製水を主混合容器に添加する。容器は、空気への曝露を最小限にするために窒素ヘッドを装填する。窒素流を低レベルで容器内に継続し、プロペラ撹拌を開始する。特に断りのない限り、混合は、バッチ全体を通して継続する。プレミックスを主混合容器に添加し、10分以上混合する。
【0109】
メチルパラベン、PEG-75、ジメチルイソソルビド、および四ナトリウムEDTAを主混合容器に添加し、80~85℃に加熱する。支持混合物が添加されるまで混合を80~85℃で継続する。
【0110】
支持混合物:支持混合物成分(ペトロラタム、セチルアルコール、Span 80、ポリエチレングリコール40ステアレート、プロピルパラベン、BHT、およびBHA)を支持容器に添加し、プロペラ撹拌下で83~88℃に加熱する。支持混合物が83~88℃になったら、それを主混合容器にゆっくり添加する。
【0111】
混合を主混合容器中で80~88℃で10分間継続し、次いで混合物をプロペラ撹拌下および窒素流下で25℃に冷却する。
【0112】
バッチ温度が35℃未満であり、主容器中に適切なレベルの窒素が存在する場合、メサラミンを振りかけ、必要に応じて混合速度を上げる。バッチ温度が25℃に達したら、混合をさらに10分間継続する。
【0113】
充填前にバッチを少なくとも12時間静置し、窒素ブランケットで密封容器に貯蔵し、露光から保護する。
【0114】
充填のために、バッチを窒素ブランケット下で十分に混合し、医薬フォーム組成物用に分配するための35×70CCL(アルミニウム)缶などのディスペンサー中に秤量する。ディスペンサーを真空クリンプし、製剤92.0%/噴射剤8.0%)の充填比で噴射剤をガス化し、分配弁(例えばS90 630 EQL弁)を設置する。噴射剤を充填する前に、ディスペンサーを任意に窒素でパージしてもよい。
【0115】
下記の追加の水中油型エマルジョンフォーム製剤を上記の方法に従って調製した。
【表4】
【0116】
上記の製剤を使用して、噴射剤としてそれぞれA31およびA46を使用して、92.0%製剤/8.0%噴射剤の充填比で2つのフォーム製剤を調製した。
【0117】
実施例3:フォーム特性および安定性調査
上記のフォーム製剤およびAsacol(登録商標)フォーム製剤のフォーム特性は、上記の方法論に従って、貯蔵前(例えば製造後30日以内)(T0)または加速条件下(40℃(±2℃)および75%RH(±5%RH))で14日間貯蔵後に評価した(14日間Acc)。各製剤について2つの噴射剤を評価した。
無水:A=噴射剤は、10%w/w A-31であり、B=噴射剤は、10%w/w A-46である。
エマルジョン:A=噴射剤は、8%w/w A-31であり、B=噴射剤は、8%w/w A-46である。
【0118】
【0119】
安定性調査は、全ての実施例が好適な特性を維持し、その結果、成分の量が90~110%の範囲内に留まることを示した。
【0120】
実施例4:堅牢性調査
無水製剤
上記実施例1に記載した製剤Aを無水フォーム製剤の堅牢性調査のための参照製剤として使用した。製剤を以下の表に示すように変え、得られた製剤の特性を評価した。
【表7】
【0121】
エマルジョン製剤
上記実施例2に記載した製剤Eをエマルジョンフォーム製剤の堅牢性調査のための参照製剤として使用した。製剤を以下の表に示すように変え、得られた製剤の特性を評価した。
【表8】
【0122】
その結果に基づいて、以下の成分が以下のパラメータに影響を与えると決定した:
【表9】
【0123】
実施例5:エクスビボ調査
実施例1に記載の製剤Aおよび実施例2に記載の製剤Eを、コンパレーターとしてASACOL(登録商標)フォームを使用して、ブタ結腸粘膜を使用したエクスビボフォーム粘着およびフォーム反転調査で試験した。結果を
図1に報告する。
【0124】
フォーム粘着試験(左パネル)において、製剤E(「水中油」)は、1グラム当たりの単位時間当たりの最短距離を移動した。マン-ホイットニー検定によると、この値はASACOL(登録商標)フォーム(「コンパレーター」)よりも有意に低かった。製剤A(「無水」)については、試験した6つの複製のうち3つがコンパレーターフォームよりもフォームの動きが少なかったが、結腸組織を素早く下って移動した2つの異常値が観察された。腸結腸表面への適用および反転を伴うフォーム反転試験(右パネル)では、両方の試験製剤がコンパレーター製剤よりも良好な接着性を示した。
【0125】
結果は、本明細書に記載の製剤が、ASACOL(登録商標)フォームと比較して、関連する生物学的表面(結腸組織)への適用後に増加した接着性を示すことを示している。
アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、ワックス状/脂質成分、溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む、無水医薬直腸フォーム製剤。
結果は、本明細書に記載の製剤が、ASACOL(登録商標)フォームと比較して、関連する生物学的表面(結腸組織)への適用後に増加した接着性を示すことを示している。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、ワックス状/脂質成分、溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む、無水医薬直腸フォーム製剤。
2. 前記ワックス状/脂質成分が、ペトロラタム、セチルアルコール、ステアリルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸ナトリウムからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記1に記載の無水製剤。
3. 約5~15%w/wの前記ワックス状/脂質成分を含む、上記1または2に記載の無水製剤。
4. 前記溶媒/担体成分が、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、および鉱油からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記1~3のいずれか一項に記載の無水製剤。
5. 約55~65%w/wの前記溶媒/担体成分を含む、上記1~4のいずれか一項に記載の無水製剤。
6. 前記乳化剤/界面活性剤成分が、グリセリルイソステアレート、乳化ワックス、グリセリルステアレート、グリセリルトリステアレート、ソルビタンオレエート、ポリグリセリル-3ラウレート、およびポリグリセリル-3ジイソステアレートからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記1~5のいずれか一項に記載の無水製剤。
7. 約5~25%w/wの前記乳化剤/界面活性剤成分を含む、上記1~6のいずれか一項に記載の無水製剤。
8. 前記ガム/樹脂成分が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、ペクチン、およびデキストリンからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記1~7のいずれか一項に記載の無水製剤。
9. 約0.1~2%w/wの前記ガム/樹脂成分を含む、上記1~8のいずれか一項に記載の無水製剤。
10. 約20%w/wの5-アミノサリチル酸(5-ASA)、約25%w/wのポリエチレングリコール400、約4%w/wのグリセリン、約29.35%w/wのプロピレングリコール、約2.9%w/wのCCT、約2.1%w/wの乳化ワックス、約0.6%w/wのグリセリルステアレート、約0.8%w/wのソルビタンオレエート、約12%w/wのペトロラタム、約0.2%w/wのキサンタンガム、および約10%w/wの噴射剤A31を含む、上記1~9のいずれか一項に記載の無水製剤。
11. アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、水を含む溶媒/担体成分、乳化剤/界面活性剤成分、ワックス状/脂質成分、ガム/樹脂成分、および噴射剤を含む、水中油型エマルジョン医薬直腸フォーム製剤。
12. 前記溶媒/担体成分が、水と、ポリエチレングリコール400、グリセリン、プロピレングリコール、およびC
12
-C
15
アルキルベンゾエートからなる群から選択される1つ以上の成分とを含む、上記11に記載のエマルジョン製剤。
13. 約30~50%w/wの水および約4%w/wのプロピレングリコールを含む、上記11または12に記載のエマルジョン製剤。
14. 前記乳化剤/界面活性剤成分が、ポリエチレングリコール75、ポリエチレングリコール40ステアレート、およびソルビタンオレエートからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記11~13のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
15. 約2~25%w/wの前記乳化剤/界面活性剤成分を含む、上記11~14のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
16. 前記ワックス状/脂質成分が、ペトロラタム、セチルアルコール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(CCT)、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、およびステアリン酸からなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記11~15のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
17. 約10~25%w/wの前記ワックス状/脂質成分を含む、上記11~16のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
18. 前記ガム/樹脂成分が、ヒドロキシエチルセルロースおよびキサンタンガムからなる群から選択される1つ以上の成分を含む、上記11~17のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
19. 約0.1~0.2%w/wの前記ガム/樹脂成分を含む、上記11~18のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
20. 約20%w/wの5-アミノサリチル酸(5-ASA)、約47.95%w/wの水、約4%w/wのプロピレングリコール、約1.5%w/wのポリエチレングリコール75、約5%w/wポリエチレングリコール40ステアレート、約0.5%w/w、約18%w/wのペトロラタム、約1.25%w/wのセチルアルコール、約0.2%w/wのキサンタンガム、約8%w/wの噴射剤A31を含む、上記11~19のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤。
21. 前記アミノサリチル酸薬物が、5-ASAまたはその薬学的に許容される塩もしくはエステルである、上記1~20のいずれか一項に記載の製剤。
22. 約5%w/w~約30%w/wの5-ASAを含む、上記1~20のいずれか一項に記載の製剤。
23. 噴射剤をさらに含む、上記1~22のいずれか一項に記載の製剤。
24. 約5~15%w/wの噴射剤を含む、上記23に記載の製剤。
25. 前記噴射剤が、噴射剤A-31および噴射剤A-46のうちの1つ以上である、上記22または23に記載の製剤。
26. 浸透促進剤をさらに含む、上記1~25のいずれか一項に記載の製剤。
27. 前記浸透促進剤が、ジメチルイソソルビドを含む、上記26に記載の製剤。
28. pH調整剤、酸化防止剤、および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の追加の成分をさらに含む、上記1~27のいずれか一項に記載の製剤。
29. 上記1~28のいずれか一項に記載の製剤から生成された、フォーム。
30. 前記フォームが、欧州薬局方のモノグラフ1105に従って試験した場合、5分で少なくとも15mLの膨張量を示す、上記29に記載のフォーム。
31. フォーム崩壊試験におけるフォーム崩壊までの時間が、少なくとも3分である、上記29または30に記載のフォーム。
32. フォーム反転試験におけるフォーム脱落までの時間が、少なくとも20分である、上記29~31のいずれか一項に記載のフォーム。
33. 前記フォームが、5分の期間にわたって1~2gのフォーム当たり6cm/g以下のフォーム粘着を示す、上記29~32のいずれか一項に記載のフォーム。
34. 前記フォームが、無水製剤から生成され、少なくとも0.10g/mLのフォーム密度を示す、上記29~33のいずれか一項に記載のフォーム。
35. 前記フォームが、エマルジョン製剤から生成され、少なくとも0.05g/mLのフォーム密度を示す、上記29~33のいずれか一項に記載のフォーム。
36. (a)溶媒/担体成分、ワックス状/脂質成分、および乳化剤/界面活性剤成分の第1の混合物を調製することと、
(b)前記第1の混合物にガム/樹脂成分を添加することと、
(c)最終混合物を形成するために、前記混合物(b)に前記アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを添加することと、
(d)前記最終混合物を噴射剤と組み合わせることと、を含む、上記1~10または21~28のいずれか一項に記載の無水製剤を生成する方法。
37. (a)水を含む溶媒/担体成分とガム/樹脂成分との第1の混合物を調製することと、
(b)乳化剤/界面活性剤成分とワックス状/脂質成分との第2の混合物を調製することと、
(b)第3の混合物を得るために、前記第1の混合物と前記第2の混合物とを組み合わることと、
(c)最終混合物を生成するために、前記アミノサリチル酸薬物またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルを前記第3の混合物に添加することと、
(d)前記最終混合物を噴射剤と組み合わせることと、を含む、上記11~28のいずれか一項に記載のエマルジョン製剤を生成する方法。
38. それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与する方法であって、上記1~28のいずれか一項に記載の製剤または上記29~35のいずれか一項に記載のフォームを直腸投与することを含む、方法。
39. 前記製剤またはフォームが、5-ASAを含み、用量当たり約1g~約5gの5-ASAを提供する製剤の量を分配するエアロゾルディスペンサーから投与される、上記38に記載の方法。
40. それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療する方法であって、前記対象に上記1~28のいずれか一項に記載の製剤または上記29~35のいずれか一項に記載のフォームを直腸投与することを含む、方法。
41. 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、上記40に記載の方法
42. それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与するための、上記1~28のいずれか一項に記載の製剤または上記29~35のいずれか一項に記載のフォーム。
43. それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療するための、上記1~28のいずれか一項に記載の製剤または上記29~35のいずれか一項に記載のフォーム。
44. 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、上記43に記載の製剤またはフォーム。
45. それを必要とする対象にアミノサリチル酸薬物を投与するための薬剤の調製における、上記1~28のいずれか一項に記載の製剤または上記29~35のいずれか一項に記載のフォームの使用。
46. それを必要とする対象において炎症性腸疾患を治療するための薬剤の調製における、上記1~28のいずれか一項に記載の製剤または上記29~35のいずれか一項に記載のフォームの使用。
47. 前記炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎およびクローン病から選択される、上記46に記載の使用。