IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 原 創平の特許一覧

<>
  • 特開-オルガン 図1
  • 特開-オルガン 図2
  • 特開-オルガン 図3
  • 特開-オルガン 図4
  • 特開-オルガン 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163258
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】オルガン
(51)【国際特許分類】
   G10B 3/18 20060101AFI20221019BHJP
   G10B 1/02 20060101ALI20221019BHJP
   G10B 3/08 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G10B3/18
G10B1/02
G10B3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068083
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】521160627
【氏名又は名称】原 創平
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】原 創平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生楽器のオルガンにビブラートを実現する。
【解決手段】発音部である複数のリードパイプ2と、ポンプ部としての2つの足踏みポンプ3と、足踏みポンプ3からリードパイプ2へ空気を送るパイプ部4と、前記パイプ部の中間に設けられた第一の空気袋としての第一風船5、第二の空気袋としての第二風船6並びに第三の空気袋としての第三風船7と、を有するオルガン1であって、音が出ている状態で、第二風船6を掴むか又は踏んで押圧すると、その瞬間にパイプ部4内の気圧が上がり、押圧をやめると、パイプ部4内の気圧はもとに戻る。このようにして第二風船6を間欠的に揉むように押圧するすることで、音の強弱をつけ、すなわちいわゆるビブラート効果をもたらすことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発音部と、ポンプ部と、前記ポンプ部から前記発音部へ空気を送るパイプ部と、前記パイプ部の中間に設けられた第一の空気袋及び第二の空気袋と、を有する、オルガン。
【請求項2】
前記第一の空気袋は前記第二の空気袋よりも膨らみやすい特性を有する、請求項1に記載のオルガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を送り込んで鳴らす楽器であるオルガンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オルガンはペダルなどでポンプを動かし、空気を送り込むことでリードを振動させ、音を出す。
【0003】
他の楽器では音楽表現として、音を震わす「ビブラート」という手法があるが、オルガンにおいては、空気を一定に供給するのが通常であり、ビブラートをかける手段が開発されていなかった。例えば、特許文献1には、ビブラートをかけることのできる電子オルガンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭48-003728公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子オルガンのビブラートを生楽器のオルガンに適用することはできない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、生楽器のオルガンにビブラートを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のオルガンは、発音部と、ポンプ部と、前記ポンプ部から前記発音部へ空気を送るパイプ部と、前記パイプ部の中間に設けられた第一の空気袋及び第二の空気袋と、を有する、オルガンである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態のオルガンを示す斜視図である。
図2図1における一部拡大した斜視図である。
図3図1におけるリード部材を示す斜視図である。
図4図3におけるAA断面図である。
図5図1におけるオルガンに可変パイプを装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のオルガンの実施形態について説明する。図1は、実施形態のオルガンを示す斜視図である。
【0010】
図1に示すように、実施形態のオルガン1は、発音部である複数のリードパイプ2と、ポンプ部としての2つの足踏みポンプ3と、足踏みポンプ3からリードパイプ2へ空気を送るパイプ部4と、前記パイプ部の中間に設けられた第一の空気袋としての第一風船5、第二の空気袋としての第二風船6並びに第三の空気袋としての第三風船7と、を有する。
【0011】
リードパイプ2は、図3及び図4に示すように、T字型の外パイプ21と、この外パイプ21の長辺内に挿入された直管形の内パイプ22と、外パイプ21及び内パイプ22の一端において端が揃った端部に押し付けられて張られるシート部材23と、このシート部材23をある程度の張力を保って前記端部に押し付けた状態で外バイプ21に巻回されてシート部材23を固定する輪ゴム24と、外パイプ21の他端において内パイプ22との間の隙間を埋めるパッキン25とを備える。外パイプ21の短辺の端部から空気が供給されると、パッキン25により空気はシート部材23側に送られ、シート部材23を押して、内パイプ22内に供給される。この際、シート部材23が輪ゴム24により張力を与えられているために振動し、内パイプ22との間で音を発する。内パイプ22は外パイプ21の他端から突き出ているが、この内パイプ22の長さにより音階が変わる。このようにして、簡易な材料で、音階調整可能な発音部としてのリードパイプ2を作成することができる。
【0012】
図2に示すように、リードパイプ2には、それぞれに対し、パイプ部4との接続部に、開閉弁8が備えられている。この開閉弁8を押すことで、弁が開き、パイプ部4からの空気をリードパイプ2に供給することができる。開閉弁8は開く側に付勢されているので、開閉弁8を離すと弁が閉じ、リードパイプ2への空気の供給は止まる。また、開閉弁8を押した状態で前にスライドすることで、弁を開きっぱなしにすることができる。開閉弁8を後方にスライドすると開きっぱなしは解除される。このようにして、開閉弁8により各音階の音を選んで鳴らし、オルガンとして曲を演奏できる。開閉弁8を開きっぱなしにすることにより、いわゆるドローン奏法の演奏を行うことができる。
【0013】
パイプ部4は、リードパイプ2に接続するための枝状部41を備える。枝状部41は先端部において上述の開閉弁8に接続され、元側は上下二段に設けられた幹パイプ42に接続されている。これらの幹パイプ42は、部材の配置の関係で、一段にすると、リードパイプ2同士の間隔が広くならざるを得ないため、二段に設計されている。
【0014】
上段の幹パイプ42aは、図2に示すように、図の左端においてT字型パイプ43に接続され、それぞれ開閉弁44,45を介して第一の空気袋としての第一風船5,第二の空気袋としての第二風船6に接続されている。また、図1に示すように、右端においては開閉弁46を介して第三風船7に接続されている。第三風船7は延長パイプ47により中継され、床に位置している。
【0015】
下団の幹パイプ42bは、図1に示すように、左右の端において蛇腹パイプ48,49を経由して第一のポンプ部31,第二のポンプ部32に接続されている。
【0016】
オルガン1は全体としてこのように構成されているが、第一風船5は、第二風船6及び第三風船7に比べて柔らかく、膨らみやすいものが採用されていることが重要である。これは、同じ風船でも個体差があるので最も膨らみやすいものを第一風船5とすればよいが、予め膨らみやすく設計されたものであってもよい。
【0017】
このようなオルガン1を演奏するには、まず、第一のポンプ部31及び/または第二のポンプ部32を足踏みすることによりパイプ部4内に空気を送る。この際、第一風船5,第二風船6,第三風船7の開閉弁44,45,46を開いておくことで、各風船内の気圧が高まる。ここで、上述の通り、第一風船5が比較的膨らみやすいものであるから、内部の気圧が高まるにつれて膨らみ始める。一方、第二風船6,第三風船7は一定以上に膨らまない。ポンプ部3には逆止弁が設けられており、足踏みをやめても空気が抜けてしまうことはない。
【0018】
図1のように第一風船5が膨らんだ状態で、リードパイプ2の開閉弁8を押すと、当該リードパイプ2に空気が流れ込み、リードとしてのシート部材23が振動して音が出る。上述のように内パイプ22の長さにより音階を調整してあるから、適宜の開閉弁8を押すことでオルガンとして演奏できる。
【0019】
ここで、第一風船5がしぼみながら送出する空気の圧力は最初から最後までほぼ一定である。そのため、通常の演奏において、ほぼ音に強弱が出ることがなく、一定の強さで演奏をすることができる。一方、音が出ている状態で、第二風船6または第三風船7を掴んで、または踏んで、押圧すると、その瞬間にパイプ部4内の気圧が上がる。押圧をやめると、パイプ部4内の気圧はもとに戻る。このようにして第二風船6または第三風船7を間欠的に揉むように押圧するすることで、音の強弱をつけ、すなわちいわゆるビブラート効果をもたらすことができる。
【0020】
図5は、上述のオルガン1をさらに発展させ、ダイナミクスすなわち音量のビブラートのみならず、ピッチすなわち音程のビブラートを実現するために、リードパイプ2の内パイプ22の先端に可変パイプ27を装着した状態を示す。可変パイプ27は、その内径が内パイプ22の外径とほぼ同じでわずかに大きく、内パイプ22の先端に装着された状態で手で上下に簡単に動かすことができ、手を離せば摩擦により内パイプ22の任意の位置に留まる。また、可変パイプ27の長さは、それが装着されている内パイプ22より短い。
【0021】
このような可変パイプ27を内パイプ22に沿って上下させると、内パイプ22から上方へ延びた分だけ当該リードパイプ2の音程が低くなる。このため、可変パイプ27の内パイプ22先端からの出没量を調整することで、音程を調整でき、発音中に音程を流動的に変化させることもできるし、発音させながら可変パイプ27を細かく上下させた場合にはピッチのビブラート効果をもたらすことができる。
【0022】
このようにして、本発明によれば、オルガンにおいて音の強弱や音程を連続的に揺らすビブラート演奏をすることができる。なお、ポンプ部や空気袋には従来のオルガンに使用されているものを使用することもでき、発音部にはリードのみならずホイッスル状のものを使用しても良い。本実施形態のオルガン1においても、リードパイプ2を取り外し、ホイッスル状の発音部を装着すれば、簡単に音を変えた演奏を行うことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 オルガン
2 リードパイプ
3 足踏みポンプ
4 パイプ部
5 第一風船
6 第二風船
7 第三風船
図1
図2
図3
図4
図5