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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163259
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/94 20060101AFI20221019BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B66C23/94 F
B66C13/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068084
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100142941
【弁理士】
【氏名又は名称】京和 尚
(72)【発明者】
【氏名】渥美 雅士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】板坂 由門
(72)【発明者】
【氏名】索米亜
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
(57)【要約】
【課題】 遠隔操作端末で作業機を遠隔操作する際、旋回方向の操作を間違えやすかった。旋回の動作選択スイッチを操作した時にブームに設置した左右のランプのうちいずれかを旋回操作方向に応じて発光させるとクレーンが実際に旋回動作を行う前に旋回操作方向を確認できるようにする際、どの操作位置からでも左右両方のランプが同時に見える位置に配置することで、ランプの球切れや配線切れなどを気付くようにし、意図しない方向に旋回操作するリスクを減少させる。
【解決手段】 旋回部2を旋回操作可能な遠隔操作端末3と、旋回方向に対応付けられる2つの発光器と、を備え、前記遠隔操作端末3の旋回操作方向信号に応じて前記発光器の一方が発光する作業機1であって、前記2つの発光器が同時に認識できる前記旋回部2の位置に配置される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回部を旋回操作可能な遠隔操作端末と、
旋回方向に対応付けられる少なくとも2つの発光器と、を備え、
前記遠隔操作端末からの旋回操作方向信号に応じて前記発光器の一方が発光する作業機であって、
前記2つの発光器が同時に視認できる前記旋回部の位置に配置される作業機。
【請求項2】
前記少なくとも2つの発光器がブーム下面より下側の左右位置に配置される、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記少なくとも2つの発光器がブーム側面より外側に配置される、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記少なくとも2つの発光器がブーム長手方向にずらして配置される、請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記少なくとも2つの発光器がブーム上面より上側かつブーム側面より外側の左右位置に配置される、請求項1に記載の作業機。
【請求項6】
前記少なくとも2つの発光器がブーム長手方向にずらして配置される、請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記少なくとも2つの発光器の発光色が異なる、請求項2又は請求項5に記載の作業機。
【請求項8】
前記少なくとも2つの発光器の形状が異なる、請求項2又は請求項5に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作端末によって遠隔操作可能な作業機に関し、特に旋回部の旋回操作の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーン、高所作業車、油圧ショベル等の旋回部を有する多くの作業機が知られている。また、遠隔操作端末で遠隔操作可能な作業機も多く開発されている。
【0003】
遠隔操作端末で作業機を遠隔操作する際、作業機から離れた位置から遠隔操作端末を操作するため、旋回部の旋回方向と遠隔操作端末での操作方向との関係が分かり難いという課題が指摘されている。そのため、旋回方向の操作を間違えやすかった。
【0004】
図10は、その理由を説明する図である。図10は、旋回するブームを少し離れた位置から人が見ているときの状況を上空から見た図である。図10に示すように、ブームが右旋回している場合、作業機の旋回部に設けられたブーム先端部が、旋回中心よりも遠隔操作端末に遠い側にある場合には、遠隔操作端末を操作する人からはブーム先端部は左から右に移動するように見える。一方、ブーム先端部が、旋回中心よりも近い側にある場合には、遠隔操作端末を操作する人からは右から左に移動するように見える。このように、同じ右旋回させるように旋回操作を行うにも関わらず、その時のブーム先端部の旋回中心に対する旋回位置によって、遠隔操作端末を操作する人には、ブーム先端部の移動方向が逆に見えてしまう。
【0005】
そこで、特許文献1に示される回転方向標識付き車載クレーン装置が提案されている。この装置によれば、ブームの両側部にそれぞれ異なる配色又は形状の標識が表示され、遠隔操作器の旋回スイッチ部分には、ブームの旋回方向に対応して前記配色又は形状の標識が表示され、遠隔操作器で操作した色の方向にブームが移動する構成としている。それにより、車載クレーン装置の旋回方向を誤操作することなく、所望する方向に容易かつ確実に操作することができるとしている。
【0006】
一方、特許文献2に示される進行方向を指示する指示灯を備えたフォークリフトが提案されている。このフォークリフトによれば、進行方向に応じたフォークリフトの車体の位置にその進行方向を指示する指示灯を備え、進行方向を検出してその進行方向に応じた指示灯を自動的に点灯する構成としている。これによれば、点灯している指示灯を周囲の他者が視認することにより、確実にフォークリフトの進行方向を認識できるとしている。
【0007】
ところで、車両積載型クレーンの遠隔操作端末には、動作選択スイッチとトリガーを備えたものがある。このタイプの遠隔操作端末によれば、クレーン操作時には先に動作選択スイッチを操作し、その次にトリガーを引く順序で操作する。動作選択スイッチは、動作させるアクチュエータと、そのアクチュエータを動作させる方向と、を選択する機能を有する。トリガーにはアクセルコントロールスイッチの役割と共にイネーブルスイッチとしての役割を持っている。この操作順序を生かして、旋回の動作選択スイッチを操作した時にブームに設置した左右のランプのうちいずれかを旋回操作方向に応じて発光させるようにすることが考えられる。これによりクレーンが実際に旋回動作を行う前に、旋回操作方向を確認することができるので、正しく旋回操作をするための一助となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004‐91117号公報
【特許文献2】特許第2948113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ブームの側面にランプを取り付けるなどした場合には死角となるランプができ、死角側のランプが目視できないため、可視側が断線等の故障時に故障していることに気づかず、反対側に操作したと認識してしまい誤操作する恐れがある。
【0010】
本発明は、旋回の動作選択スイッチを操作した時にブームに設置した左右のランプのうちいずれかを旋回操作方向に応じて発光させるようにすると共に、どの操作位置からでも左右両方のランプが見えるように配置することで、ランプの球切れや配線切れなどを気付くようにし、意図しない方向に旋回操作するリスクを減少させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の作業機は、旋回部を旋回操作可能な遠隔操作端末と、旋回方向に対応付けられる少なくとも2つの発光器と、を備え、前記遠隔操作端末からの旋回操作方向信号に応じて前記発光器の一方が発光する作業機であって、前記左右其々の旋回方向を指し示す2つの発光器が同時に視認できる前記旋回部の位置に配置される。
【0012】
より具体的には、旋回部としてブームが該当する。そして、前記2つの発光器が同時に視認できるブームの位置としては、ブーム下面より下側の左右位置に配置することが望ましい。その際、さらにブーム側面よりも外側、あるいは、ブーム長手方向にずらして配置してもよい。
【0013】
また、本発明の作業機は、前記二つの発光器をブーム上面より上側かつブーム側面より外側の左右位置に配置してもよい。その際、さらにブーム長手方向にずらして配置してもよい。
【0014】
前記左右其々の旋回方向を指し示す2つの発光器は、発光色を異なるようにしてもよい。あるいは、前記左右其々の旋回方向を指し示す2つの発光器は、形状が異なるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の作業機は、遠隔操作端末による操作位置から左右其々の旋回方向を指し示す両方のランプが同時に見える旋回部の位置に配置されるので、ランプの球切れや配線切れなどを気付くための機会となり、意図しない方向に旋回操作するリスクを減少できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る作業機として車両積載型クレーンのブームを遠隔操作端末で旋回操作しているときの状態図である。
図2】ラジコン送信機の操作パネルを正面から見た図である。
図3】ラジコン送信機を側面からから見た図である。
図4】実施の形態に係る遠隔操作装置のブロック図である。
図5】第1の実施の形態に係るブームへの2つのランプの配置を示す図である。
図6】第2の実施の形態に係るブームへの2つのランプの配置を示す図である。
図7】第3の実施の形態に係るブームへの2つのランプの配置を示す図である。
図8】第4の実施の形態に係るブームへの2つのランプの配置を示す図である。
図9】第5の実施の形態に係るブームへの2つのランプの配置を示す図である。
図10】遠隔操作端末で遠隔操作する際、旋回方向の操作を間違えやすいことを説明する図である。
図11】操作レバーのタイプが異なるラジコン送信機である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両積載型クレーン1のブーム2を、作業員4が遠隔操作端末(以下、「ラジコン送信機3」という。)で旋回操作しているときの状態図である。なお、第1の実施の形態では車両積載型クレーン1を例に説明するが、車両積載型クレーンに限らず、旋回部を備えるものであればどのような作業機であっても本発明を実施することが可能である。
【0018】
車両積載型クレーン1は、トラック5のシャシフレーム6上に取り付けられたサブフレーム9上であって、キャブ7と荷台あおり8との間に基台10が架装される。基台10と旋回ポスト11との間には旋回ベアリングが介装される。旋回ポスト11にはブーム2が枢着され、ブーム2は起伏油圧シリンダ12により起伏駆動される。ブーム2は、多段伸縮ブームであって、内装される伸縮油圧シリンダにより伸縮駆動される。ブーム2は、旋回ベアリングを回転させるための旋回用油圧モータによって旋回駆動される。
【0019】
図1に示した車両積載型クレーン1は、トラック5のエンジンにPTOを介して油圧ポンプが接続できるようになっている。油圧ポンプで発生する圧油が各アクチュエータに対応する図示しない油圧バルブに送られる。油圧バルブを経由した圧油は上述した伸縮油圧シリンダ、起伏油圧シリンダ等の油圧シリンダ、旋回用油圧モータ等の油圧モータ、などの油圧アクチュエータに供給される。油圧バルブには、ソレノイドバルブが使用され、作業員4がラジコン送信機3によって切換え操作できるようになっている。このように、車両積載型クレーン1は、離れた位置から作業員4がラジコン送信機3を用いて遠隔操作することができる。
【0020】
図7は、図1に示すブーム2のA部詳細図であって、ブーム2に取り付けられた2つの発光器(以下、「ランプ20」という。)を示している。ランプ20は、右旋回報知ランプ20aと左旋回報知ランプ20bとからなっている。ランプ20は、サポート21、25を介してブーム2に取り付けられている。ランプ20には、白熱電球、LEDランプなどを使用することができる。
【0021】
図5は、図7のB矢視図であって、ブーム2の断面方向からランプ20を見た図である。2つのランプ20は、ブーム下面22よりも下側の領域23(ハッチングで示す。)でブーム断面中心線24に対し左右に配置されている。第1の実施の形態では、右旋回報知ランプ20aと左旋回報知ランプ20bはブーム断面中心線24を中心とする左右対称位置に配置されている。なお、左右対称位置であることは必須の要件ではなく、ブーム下面22よりも下側であって左右位置に離れて配置されることが必要とされる。このように、左右位置に離れて配置することで、右旋回報知ランプ20aは右旋回を報知するものであり、左旋回報知ランプ20bは左旋回を報知するものあることが認識できる。
【0022】
さらに、2つのランプ20の発光色を異なるようにしてもよい。例えば、右旋回報知ランプ20aは赤色の発光色とし、左旋回報知ランプ20bは黄色の発光色とすることができる。そうすることで、ラジコン送信機3を操作する作業員4以外の作業指示者が旋回方向を指示し易くなる。
【0023】
また、2つのランプ20の形状を異なるようにしてもよい。例えば、右旋回報知ランプ20aは球形のものとし、左旋回報知ランプ20bは角の丸い立方体状のものとすることができる。そうすることでも、ラジコン送信機3を操作する作業員4以外の作業指示者が旋回方向を指示し易くなる。
【0024】
図2は、ラジコン送信機3の操作パネル30を正面から見た図である。また、図3は、ラジコン送信機3を側面から見た図である。以降、ラジコン送信機3の構成を図2図3を用いて説明する。
【0025】
ラジコン送信機3は、動作選択スイッチ群31とトリガー32を備えたものである。図2に示すように、動作選択スイッチ群31には、旋回動作選択スイッチ33、起伏動作選択スイッチ34、ウインチ動作選択スイッチ35、伸縮動作選択スイッチ36が含まれている。これら4つの動作選択スイッチ33~36は、シーソー式のスイッチで、図2に示した上方向又は下方向に指で押している間、その方向に応じた動作方向が選択され、指を離すとバネで中立位置に戻り選択が解除されるようになっている。
【0026】
操作パネル30には、4つの動作選択スイッチ33~36の上下の操作方向に応じて、操作対象のアクチュエータとその動作方向が絵と文字で示されている。旋回動作選択スイッチ33は上に操作すれば左旋回、下に操作すれば右旋回が選択される。起伏動作選択スイッチ34は上に操作すれば起伏上げ、下に操作すれば起伏下げが選択される。ウインチ動作選択スイッチ35は、上に操作すればウインチ巻上げ、下に操作すればウインチ巻下げが選択される。伸縮動作選択スイッチ36は、上に操作すれば伸縮伸び、下に操作すれば伸縮縮みが選択される。
【0027】
図2に示すように、操作パネル30には、他にも各種機能の操作スイッチ類、液晶表示画面が設けられている。また、ラジコン送信機3には、短い丸棒形状をしたグリップ部37が設けられている。
【0028】
図3に示すように、ラジコン送信機3には、操作パネル30の裏面にトリガー32が突出した状態で設けられている。トリガー32は、「引き金」の言葉通り、指を掛け矢印38の方向に引くようになっている。トリガー32は、指を戻せば元の位置に戻るよう戻り位置にばね付勢されている。トリガー32にはアクセルコントロールスイッチの役割と共にイネーブルスイッチとしての役割を持っている。すなわち、前述した動作選択スイッチ群31によって、動作させるアクチュエータとそのアクチュエータを動作させる方向と、を選択してもそのアクチュエータは動作せず、トリガー32を操作して始めてそのアクチュエータが動作を開始する。また、トリガー32の引き加減によってアクチュエータの速度調節が行われる。
【0029】
図4は、実施の形態に係る遠隔操作装置のブロック図である。なお、ブロック図には、本実施の形態を説明するために必要な部分のみを抽出して記載しており、その他の部分は省略している。
【0030】
図4に示すように、ラジコン送信機3内では、旋回動作選択スイッチ33とトリガー32が送受信部40に接続されている。送受信部40はアンテナ41に接続されている。
【0031】
車両積載型クレーン1内では、送受信部50はアンテナ51とコントローラ52に接続されている。コントローラ52には、右旋回報知ランプ20aと左旋回報知ランプ20bが接続されている。また、コントローラ52には旋回用油圧バルブ53が接続されている。
【0032】
以上、構成を説明した本発明の第1の実施の形態に係る車両積載型クレーン1の機能は以下の通りである。
【0033】
図1に示した車両積載型クレーン1は、エンジン始動されPTOが接続されて油圧ポンプが回っている状態である。車両積載型クレーン1から少し離れた位置に立つ作業員4はラジコン送信機3のグリップ部37を右手で持ってこれから車両積載型クレーン1のブーム2を右旋回させようとしている。
【0034】
図2に示した旋回動作選択スイッチ33に右手の親指を掛け、図2に示す下方向に操作する。すると、図4に示す旋回動作選択スイッチ33から送受信部40に向け右旋回操作方向信号が送られる。さらに、右旋回操作方向信号はアンテナ41から電波信号として発信され、車両積載型クレーン1のアンテナ51で受信され、送受信部50に送られる。送受信部50から右旋回操作方向信号を受け取ったコントローラ52は、右旋回報知ランプ20aに点灯電流を送って右旋回報知ランプを点灯させる。
【0035】
図1に示すように、このとき作業員4は、車両積載型クレーン1のブーム2のA部の右旋回報知ランプ20a(図7参照)が点灯したことを視認することで、旋回動作選択スイッチ33(図2参照)の操作方向が自分の意図した旋回方向となっていることを確認することができる。
【0036】
そして、その後、トリガー32(図3参照)に引っ掛けた右手の人差し指でトリガー32を引く。すると、図4に示したトリガー32から送受信部40に向け旋回起動信号が送られる。さらに、旋回起動信号はアンテナ41から電波信号として発信され、車両積載型クレーン1のアンテナ51で受信され、送受信部50に送られる。送受信部50から旋回起動信号を受け取ったコントローラ52は、旋回用油圧バルブに切換電流を送って右旋回側に油圧バルブを切換える。これにより、ブーム2は右旋回し始める。
【0037】
このように、第1の実施の形態に係る本発明の遠隔操作装置では、旋回動作選択スイッチ33を操作した段階、すなわち実際にブームが旋回動作を始める前の段階で、右旋回報知ランプ20aが点灯するので、それを目視確認することにより、旋回動作選択スイッチ33の操作方向が正しいことを確認することができる。それにより、旋回操作方向の間違いを未然に防ぐことができる。このように、ラジコン送信機3で車両積載型クレーン1を遠隔操作する際の安全性向上に寄与すること大である。
【0038】
また、上述した状況で、仮に、図3に示した旋回動作選択スイッチ33を誤って上に押してしまった場合は、左旋回報知ランプ20bが点灯するので、作業員4は旋回動作選択スイッチ33の操作方向を誤ったことにすぐに気づくことができる。このときでも、ランプ20が点灯するだけでブーム2は旋回動作を開始しないので、非常に安全である。
【0039】
図5に示すように、第1の実施の形態に係る2つのランプ20は、ブーム下面22より下側の左右位置に配置されているので、ブーム先端が作業員4に対向する方向の略左右90度の範囲で2つのランプを同時に視認することができる。そのため、ランプの球切れや配線切れなどを気付くための機会となり、意図しない方向に旋回操作するリスクを減少できる。すなわち、第1の実施の形態に係るブーム2への2つのランプ20の配置によれば、旋回操作時に不点灯による故障を直感的に判断できる。なお、第1の実施の形態では、遠隔操作端末としてラジコン送信機3を使用する例を説明したが、有線式のリモコン送信機であってもよいことはもちろんである。
【0040】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態に係るブーム2への2つのランプの配置を示す図である。第2の実施の形態と第1の実施の形態との差異は、ランプ20の配置位置のみに関しており、ブーム下面より下側に加え、さらにブーム側面60よりも外側となる領域61に配置する点である。その他の実施の形態、すなわち車両積載型クレーン1での実施例である点、ラジコン送信機3の構成、ブロック図の構成等は共通するので、説明を省略する。
【0041】
図6に示すように、第2の実施の形態に係る2つのランプ20は、ブーム下面22より下側であって、さらにブーム側面60より外側の左右の領域61に配置されているので、作業員4がブーム後端側からランプ20を見るようになるブーム2の旋回角度であっても、左右の2つのランプ20を同時に視認することができる。そのため、より広い旋回角度範囲で、ランプ20の球切れや配線切れなどに気付くことができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態に係るブーム2への2つのランプの配置を示す図である。第3の実施の形態と第1の実施の形態との差異は、ランプ20の配置位置のみに関しており、ブーム下面より下側に加え、さらにブーム長手方向にずらして配置する点である。その他の実施の形態は共通するので、説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、第3の実施の形態に係る2つのランプ20は、ブーム下面22より下側であって、さらにブーム長手方向にずらして配置されているので、作業員4がブーム側面側からランプ20を見るようになるブーム2の旋回角度であっても、左右の2つのランプ20を同時に視認することができる。そのため、より広い旋回角度範囲で、ランプの球切れや配線切れなどを気付くことができる。
【0044】
(第4の実施の形態)
図8は、第4の実施の形態に係るブーム2への2つのランプの配置を示す図である。第4の実施の形態と第1の実施の形態との差異は、ランプ20の配置位置のみに関しており、ブーム上面62より上側、かつブーム側面60より外側の領域63に配置する点である。右旋回報知ランプ20aは、サポート64を介してブーム2に取り付けられている。また、左旋回報知ランプ20bは、サポート65を介してブーム2に取り付けられている。その他の実施の形態は共通するので、説明を省略する。
【0045】
図8に示すように、第4の実施の形態に係る2つのランプ20は、ブーム上面62より上側、かつブーム側面60より外側に配置されているので、ブーム先端側が作業員4に対向する方向の左右90度の範囲のブーム2の旋回角度であっても、左右の2つのランプ20を同時に作業員4が視認することができる。そのため、より広い旋回角度範囲で、ランプの球切れや配線切れなどに気付くことができる。特に、図1に示す状況でブーム2の先端側が作業員4に略向かいあったときに、旋回動作選択スイッチ33(図2参照)と旋回方向が逆になり感覚が操作と合わず誤操作し易いが、この状況であっても、第4の実施の形態に係るランプ配置によれば、2つのランプ20を同時に視認することができる。
【0046】
(第5の実施の形態)
図9は、第5の実施の形態に係るブーム2への2つのランプの配置を示す図である。第5の実施の形態と第4の実施の形態との差異は、ランプ20の配置位置のみに関しており、ブーム上面より上側かつブーム側面より外側に加え、さらにブーム長手方向にずらして配置する点である。その他の実施の形態は共通するので、説明を省略する。
【0047】
図9に示すように、第5の実施の形態に係る2つのランプ20は、ブーム上面より上側かつブーム側面より外側に加え、さらにブーム長手方向にずらして配置されているので、作業員4がブーム側面60の側からランプ20を見るようになるブーム2の旋回角度であっても、左右の2つのランプ20を同時に視認することができる。そのため、より広い旋回角度範囲で、ランプの球切れや配線切れなどを気付くことができる。
【0048】
図11は、本発明を適用可能なタイプの異なるラジコン送信機70を正面から見た図である。このラジコン送信機70は、動作選択スイッチ群73として、旋回起伏動作選択スイッチ71と伸縮ウインチ動作選択スイッチ72とを備えている。既に説明した図2のラジコン送信機3が、旋回・起伏・ウインチ・伸縮の各動作に対し、4つのスイッチがそれぞれ割り当てられていたのに対し、図11のラジコン送信機は、2つのスイッチで4つの動作を操作する点が異なる。
【0049】
図11に示す旋回起伏動作選択スイッチ71と伸縮ウインチ動作選択スイッチ72は、ジョイスティックと呼ばれるタイプで、レバーを円周全ての方向に傾けることが可能となっている。旋回起伏動作選択スイッチ71は、左が右旋回、右が左旋回、上が起伏起こし、下が起伏伏せの選択できるようになっている。伸縮ウインチ動作選択スイッチ72は、左が伸縮の縮み、右が伸縮の伸び、上がウインチ巻上げ、下がウインチ巻下げの選択できるようになっている。
【0050】
本発明は、図11に示すようなジョイスティックタイプの動作選択スイッチ群73を備えたラジコン送信機70に対しても有効である。旋回操作に関して、図10に示すように、旋回中心よりも遠い領域にブーム先端があるときに右旋回させたい状況において、旋回起伏動作選択スイッチ71を左に倒すにも関わらず、ブーム先端は左⇒右に移動する。すなわち、ラジコン送信機70での操作方向とブーム2の先端の移動方向が逆になっている。
【0051】
このような状況においても本発明によれば、ブーム2が実際に旋回動作を行う前に、ブームに設置されたランプ20の点灯により旋回操作方向を確認することができるので、正しい旋回操作をすることができる。さらに、左右の2つのランプ20を同時に視認することができるので、ランプ20の球切れや配線切れなどを気付くことができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0053】
1:車両積載型クレーン(作業機)
2:ブーム(旋回部)
3:ラジコン送信機(遠隔操作端末)
4:作業員
20:ランプ(発光器)
20a:右旋回報知ランプ
20b:左旋回報知ランプ
22:ブーム下面
31:動作選択スイッチ群
32:トリガー
33:旋回動作選択スイッチ
60:ブーム側面
62:ブーム上面
70:ラジコン送信機
71:旋回起伏動作選択スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11