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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163272
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/10 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
G06F11/10 662
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068109
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 竜哉
(57)【要約】
【課題】センサの出力が誤った値になったおそれがあることを知らせることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置(100)は、センサ(1B)と、不揮発性メモリ(2)と、前記不揮発性メモリから読みだされるデータに基づき前記センサのキャリブレーションを行うように構成される制御部(4)と、前記データに不正があるか否かを判定するように構成される判定部(3)と、前記判定部によって前記データに不正があると判定された場合に、前記データに不正があることを外部に通知するように構成される通知部(5)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリから読みだされるデータに基づき前記センサのキャリブレーションを行うように構成される制御部と、
前記データに不正があるか否かを判定するように構成される判定部と、
前記判定部によって前記データに不正があると判定された場合に、前記データに不正があることを外部に通知するように構成される通知部と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記不揮発性メモリからの前記データの読み出しを周期的に行うように構成され、
前記通知部は、前記判定部によって前記データに不正があると判定された後に前記データに不正がないと判定された場合に、前記データに不正があることを外部に通知することを停止するように構成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
入力信号を出力信号に変換するように構成される変換部を備え、
前記通知部は、
前記出力信号と前記データに不正があることを示す通知とを択一的に選択するように構成される選択部と、
前記選択部の出力を外部に送出するように構成される出力端子と、を含む、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記通知は定電圧である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記定電圧は前記半導体装置の電源電圧である、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置には各種のセンサが設けられる。例えば、過電流保護等を目的として電流センサが設けられる。
【0003】
センサの検出精度を向上させるために、不揮発性メモリに記憶されているデータを用いてセンサのキャリブレーションが行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-63325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、不揮発性メモリに記憶されているデータを用いたセンサのキャリブレーションでは、不揮発性メモリからのデータ読み出し時に不正が発生すると、センサの出力が誤った値になるおそれがある。従来技術では、不揮発性メモリからのデータ読み出し時に不正が発生したこと、すなわち、センサの出力が誤った値になったおそれがあることを外部装置またはユーザが知る術がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている半導体装置は、センサと、不揮発性メモリと、前記不揮発性メモリから読みだされるデータに基づき前記センサのキャリブレーションを行うように構成される制御部と、前記データに不正があるか否かを判定するように構成される判定部と、前記判定部によって前記データに不正があると判定された場合に、前記データに不正があることを外部に通知するように構成される通知部と、を備える。
【0007】
本明細書中に開示されている電子機器は、上記半導体装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本明細書中に開示されている半導体装置及び電子機器によれば、センサの出力が誤った値になったおそれがあることを半導体装置の外部に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、変換部の入力信号及び出力信号の一例を示すタイムチャートである。
図3図3は、アナログ回路及び制御部の動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、フラグ及び出力端子に印加される電圧の一例を示すタイムチャートである。
図5図5は、フラグ生成回路の一構成例を示す図である。
図6図6は、電子機器の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、一実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す図である。図1に示す半導体装置100は、アナログ回路1と、不揮発性メモリ2と、判定部3と、制御部4と、出力端子T1と、を備える。
【0011】
アナログ回路1は、アナログ信号を処理する回路である。アナログ回路1は、変換部1Aと、電流センサ1Bと、セレクタ1Cと、を備える。つまり、半導体装置100は、変換部1Aと、電流センサ1Bと、セレクタ1Cと、を備える。
【0012】
変換部1Aは、入力信号を出力信号に変換するように構成される。例えば、変換部1Aは磁気センサである。変換部1Aは磁気センサである場合、当該磁気センサによって検出された磁束密度が変換部1Aの入力信号SIN(図2参照)となり、変換部1Aにおいて当該磁束密度が電圧に変換され、当該電圧が変換部1Aの出力信号SOUT(図2参照)となる。図2の上部グラフの横軸は時間を表しており、図2の上部グラフの縦軸は磁束密度を表している。図2の下部グラフの横軸は時間を表しており、図2の下部グラフの縦軸は電圧値を表している。
【0013】
電流センサ1Bは、変換部1Aの所定位置を流れる電流を検出するように構成される。電流センサ1Bの出力は例えば半導体装置100の過電流保護に用いられる。電流センサ1Bにおいて電流を検出する方式は特に限定されない。
【0014】
セレクタ1Cは、変換部1Aの出力信号と半導体装置100の電源電圧VDDとを択一的に選択する。なお、図1では図示していないが、半導体装置100は、電源電圧VDDが印加されるように構成される電源端子と、グラウンド電位に接続されるように構成されるグラウンド端子と、を備える。
【0015】
不揮発性メモリ2は、例えばOTP(One Time Programmable)メモリである。不揮発性メモリ2は、電流センサ1Bのキャリブレーション用データを記憶している。不揮発性メモリ2は、電流センサ1Bのキャリブレーション用データのみならず、ECC(Error Correction Code)も出力する。
【0016】
判定部3は、不揮発性メモリ2から読みだされる電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があるか否かを判定するように構成される。本実施形態では、判定部3は、不揮発性メモリ2から読みだされる電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があるか否かを、不揮発性メモリ2から出力されるECCに基づき判定するように構成される。また、本実施形態では、判定部3は、不揮発性メモリ2から読みだされる電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正がある場合、不揮発性メモリ2から出力されるECCに基づき誤り訂正を試みるように構成される。なお、本実施形態とは異なり、判定部3は、不揮発性メモリ2から読みだされる電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があるか否かをECC以外の手法で判定するように構成されてもよい。
【0017】
制御部4は、不揮発性メモリ2から読みだされる電流センサ1Bのキャリブレーション用データに基づき、電流センサ1Bのキャリブレーションを行うように構成される。電流センサ1Bのキャリブレーションの方式は特に限定されないが、例えば、電流センサ1Bが電流センサ1Bのキャリブレーション用データに応じてゲインを調整する方式、例えば、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに応じて電流センサ1Bの駆動電流を調整する方式などを挙げることができる。電流センサ1Bのキャリブレーションが行われることによって、電流センサ1Bの検出精度を向上させることができる。
【0018】
セレクタ1C及び出力端子T1によって通知部5が構成される。つまり、半導体装置100は、通知部5を備える。通知部5は、判定部3によって電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があると判定された場合に、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを半導体装置100の外部に通知するように構成される。
【0019】
半導体装置100が通知部5を備える構成であるため、半導体装置100は、電流センサ1Bの出力が誤った値になったおそれがあることを半導体装置100の外部に知らせることができる。したがって、電流センサ1Bの出力が誤った値になったおそれがあることを外部装置またはユーザが把握することができ、外部装置またはユーザが適切な対応を実行することができる。
【0020】
また、通知部5がセレクタ1C及び出力端子T1を備える構成であるため、変換部1Aの出力信号を出力する出力端子T1を、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知を出力する端子としても利用できる。つまり、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知を出力する専用端子を設ける必要がないため、半導体装置100の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0021】
なお、本実施形態とは異なり、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知を出力する専用端子を半導体装置100に設けてもよい。
【0022】
本実施形態では、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知は、定電圧である。ここで、定電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知が定電圧である場合、半導体装置100は、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知を容易に生成することができる。
【0023】
より詳細には、本実施形態では、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知は、半導体装置100の電源電圧VDDである。半導体装置100は、電源電圧VDDとグラウンド電位との間の電圧によって駆動する。電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知が半導体装置100の電源電圧VDDである場合、変換部1Aの出力信号と電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを示す通知との判別が容易になる。
【0024】
図3は、アナログ回路1及び制御部4の動作例を示すフローチャートである。半導体装置100に電源電圧VDDが供給されて半導体装置100が起動すると、図3に示すフローチャートの動作が開始する。
【0025】
アナログ回路1では、まず始めに変換部1Aが入力信号を取り込む(ステップS10)。次に、変換部1Aが入力信号を出力信号に変換する(ステップS20)。次に、セレクタ1Cが変換部1Aの出力信号と半導体装置100の電源電圧VDDとを択一的に選択する(ステップS30)。
【0026】
制御部4からアナログ回路1に出力されるフラグが「エラー有り」を示す場合、セレクタ1Cは半導体装置100の電源電圧VDDを選択する。一方、制御部4からアナログ回路1から出力されるフラグが「エラー無し」を示す場合、セレクタ1Cは変換部1Aの出力信号を選択する。ここで、「エラー有り」とは、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを意味しており、「エラー無し」とは、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正がないことを意味している。
【0027】
次に、変換部1Aの出力信号又は半導体装置100の電源電圧VDDが出力端子T1から半導体装置100の外部に送出される(ステップS40)。ステップS40の処理が終わると、ステップS10に戻る。
【0028】
制御部4では、まず始めに不揮発性メモリ2から電流センサ1Bのキャリブレーション用データを読み出す(ステップS110)。そして、判定部3において、不揮発性メモリ2から読みだされた電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があるか否かが判定される。
【0029】
次に、制御部4は、不揮発性メモリ2から読みだされる電流センサ1Bのキャリブレーション用データに基づき、電流センサ1Bのキャリブレーションを行うとともに、アナログ回路1に出力するフラグの内容を判定部3の判定結果に応じて「エラー有り」又は「エラー有り」のいずれに設定する(ステップS120)。
【0030】
次に、制御部4は、ステップS110でのデータ読み出しから一定時間PT1が経過しているか否かを判定する(ステップS130)。ステップS110でのデータ読み出しから一定時間PT1が経過していれば、制御部4は、再度ステップS110の処理を実行する。つまり、制御部4は、不揮発性メモリ2から電流センサ1Bのキャリブレーション用データを周期的に読み出す。
【0031】
上述した通り、制御部4からアナログ回路1に出力されるフラグが「エラー有り」を示す場合、セレクタ1Cは半導体装置100の電源電圧VDDを選択する。一方、制御部4からアナログ回路1から出力されるフラグが「エラー無し」を示す場合、セレクタ1Cは変換部1Aの出力信号を選択する。つまり、通知部5は、判定部3によって電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があると判定された後に電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正がないと判定された場合に、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があることを外部に通知することを停止するように構成される。
【0032】
したがって、制御部4からアナログ回路1に出力されるフラグ及び出力端子T1に印加される電圧の電圧値は、例えば図4に示すようになる。つまり、半導体装置100は、不揮発性メモリ2から読みだされた電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正がなくなると、自動的に通常動作(出力端子T1から変換部1Aの出力信号を出力する動作)に復帰することができる。図4の上部グラフの横軸は時間を表しており、図4の上部グラフの縦軸はフラグの設定内容を表している。図4の下部グラフの横軸は時間を表しており、図4の下部グラフの縦軸は電圧値を表している。
【0033】
図5は、フラグ生成回路の一構成例を示す図である。図5に示すフラグ生成回路4Aは、制御部4の内部に設けられる。
【0034】
フラグ生成回路4Aは、電流センサ1Bのキャリブレーション用データが5つのアドレスが必要なデータである場合の回路構成例である。判定部3は、電流センサ1Bのキャリブレーション用データのアドレス毎に不正があるか否かを判定し、制御部4によって指定されたアドレスの判定結果J1をフラグ生成回路4Aに出力する。
【0035】
フラグ生成回路4Aは、セレクタ41A~41Eと、ラッチ42A~42Eと、ORゲート43と、ラッチ44と、ORゲート45と、を備える。ラッチ42A~42E及び44は、制御部4の内部で生成されるクロック信号CLOCKに基づいて動作する。
【0036】
セレクタ41Aの第1入力端子がラッチ42Aの出力端子及びORゲート43の第1入力端子に接続される。同様に、セレクタ41Bの第1入力端子がラッチ42Bの出力端子及びORゲート43の第2入力端子に接続される。同様に、セレクタ41Cの第1入力端子がラッチ42Cの出力端子及びORゲート43の第3入力端子に接続される。同様に、セレクタ41Dの第1入力端子がラッチ42Dの出力端子及びORゲート43の第4入力端子に接続される。同様に、セレクタ41Eの第1入力端子がラッチ42Eの出力端子及びORゲート43の第5入力端子に接続される。セレクタ41A~41Eの出力端子はそれぞれラッチ42A~42Eの入力端子に接続される。
【0037】
上述した判定結果J1は、セレクタ41A~41Eそれぞれの第2入力端子に供給される。セレクタ41Aは、制御部4が第1アドレスを指定しているときに上述した判定結果J1を選択して出力し、制御部4が第1アドレスを指定していないときにラッチ42Aの出力を選択して出力する。セレクタ41Bは、制御部4が第2アドレスを指定しているときに上述した判定結果J1を選択して出力し、制御部4が第2アドレスを指定していないときにラッチ42Bの出力を選択して出力する。セレクタ41Cは、制御部4が第3アドレスを指定しているときに上述した判定結果J1を選択して出力し、制御部4が第3アドレスを指定していないときにラッチ42Cの出力を選択して出力する。セレクタ41Dは、制御部4が第4アドレスを指定しているときに上述した判定結果J1を選択して出力し、制御部4が第4アドレスを指定していないときにラッチ42Dの出力を選択して出力する。セレクタ41Eは、制御部4が第5アドレスを指定しているときに上述した判定結果J1を選択して出力し、制御部4が第5アドレスを指定していないときにラッチ42Eの出力を選択して出力する。
【0038】
ORゲート43の出力端子は、ラッチ44の入力端子及びORゲート45の第1入力端子に接続される。ラッチ44の出力端子はORゲート45の第2入力端子に接続される。ORゲート45の出力端子からフラグが出力される。
【0039】
フラグ生成回路4Aは、電流センサ1Bのキャリブレーション用データのいずれかのアドレスに不正がある場合に、フラグの内容を「エラー有り」に設定することができる。
【0040】
半導体装置100は、電子機器全般に搭載することができる。図6は、電子機器の概略構成例を示す図である。図6に示す構成の電子回路の個数及びDC/DCコンバータはあくまで一例である。例えば、図6に示す構成とは異なり、電子回路107を廃止して、電子回路の個数とDC/DCコンバータとが同数である構成にしてもよい。図6に示す電子機器200は、半導体装置100と、入力端子101と、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)102と、マイクロコンピュータ103と、DC/DCコンバータ104~106と、電子回路107~110と、を備える。入力端子101には、直流電圧である入力電圧VINが供給される。入力電圧VINは、MOSFET102、MOSFET102よりも上流(入力端子101に近い)の電源ライン、及びMOSFET102よりも下流(入力端子101から遠い)の電源ラインを介して、電子回路107及びDC/DCコンバータ104~106に供給される。電子回路107は、入力電圧VINを電源電圧として用いる。DC/DCコンバータ104は、入力電圧VINを入力電圧VINとは値が異なる直流電圧V1に変換し、直流電圧V1を電子回路108に供給する。電子回路108は、直流電圧V1を電源電圧として用いる。DC/DCコンバータ105は、入力電圧VINを入力電圧VINとは値が異なる直流電圧V2に変換し、直流電圧V2を電子回路109に供給する。電子回路109は、直流電圧V2を電源電圧として用いる。DC/DCコンバータ106は、入力電圧VINを入力電圧VINとは値が異なる直流電圧V3に変換し、直流電圧V3を電子回路110に供給する。電子回路110は、直流電圧V3を電源電圧として用いる。半導体装置100は、MOSFET102よりも下流(入力端子101から遠い)の電源ラインを流れる電流を磁気センサ(図1中の変換部1A)によって検知する。マイクロコンピュータ103は、半導体装置100の出力端子T1から出力される信号に基づき、MOSFET102を制御する。具体的には、マイクロコンピュータ103は、MOSFET102よりも下流(入力端子101から遠い)の電源ラインを流れる電流が過電流である場合に、MOSFET102をオフにする。なお、図6に示す構成とは異なり、半導体装置100は、MOSFET102よりも上流(入力端子101に近い)の電源ラインを流れる電流を磁気センサ(図1中の変換部1A)によって検知してもよい。半導体装置100は、不揮発性メモリ2から読みだされた電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正がなくなると、自動的に通常動作(出力端子T1から変換部1Aの出力信号を出力する動作)に復帰することができる構成であるため、特に電源の頻繁なON/OFFの無い産業機器等の電子機器に適している。電源の頻繁なON/OFFの無い産業機器としては、例えば携帯電話網の無線基地局などを挙げることができる。図6に示す電子機器200が携帯電話網の無線基地局である場合、電子回路107~110として、アンテナ用の回路、高周波信号を中間周波信号又はベースバンド信号に変換する変換回路、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が電子機器200に搭載される。
【0041】
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0042】
上述した実施形態では、電流センサ1Bのキャリブレーション用データに不正があるか否かが判定されたが、電流センサ以外のセンサのキャリブレーション用データに不正があるか否かが判定されてもよい。
【0043】
また、本実施形態とは異なり、誤り訂正によって誤りが訂正された場合は、キャリブレーション用データに不正がないと判定するようにしてもよい。
【0044】
また、半導体装置100において、磁気センサのキャリブレーションも不揮発性メモリ2に記憶された磁気センサのキャリブレーション用データを用いて行ってもよく、磁気センサのキャリブレーション用データに不正がある場合も半導体装置100が外部に通知するようにしてもよい。
【0045】
以上説明した半導体装置(100)は、センサ(1B)と、不揮発性メモリ(2)と、前記不揮発性メモリから読みだされるデータに基づき前記センサのキャリブレーションを行うように構成される制御部(4)と、前記データに不正があるか否かを判定するように構成される判定部(3)と、前記判定部によって前記データに不正があると判定された場合に、前記データに不正があることを外部に通知するように構成される通知部(5)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0046】
上記第1の構成である半導体装置は、センサの出力が誤った値になったおそれがあることを半導体装置の外部に知らせることができる。したがって、センサの出力が誤った値になったおそれがあることを外部装置またはユーザが把握することができ、外部装置またはユーザが適切な対応を実行することができる。
【0047】
上記第1の構成である半導体装置において、前記制御部は、前記不揮発性メモリからの前記データの読み出しを周期的に行うように構成され、前記通知部は、前記判定部によって前記データに不正があると判定された後に前記データに不正がないと判定された場合に、前記データに不正があることを外部に通知することを停止するように構成される構成(第2の構成)であってもよい。
【0048】
上記第2の構成である半導体装置は、不揮発性メモリから読みだされるデータに不正がなくなると、自動的に通常動作に復帰することができる。つまり、通常動作に復帰するためのリセット動作が不要になる。
【0049】
上記第1又は第2の構成である半導体装置は、入力信号を出力信号に変換するように構成される変換部(1A)を備え、前記通知部は、前記出力信号と前記データに不正があることを示す通知とを択一的に選択するように構成される選択部(1C)と、前記選択部の出力を外部に送出するように構成される出力端子(T1)と、を含む構成(第3の構成)であってもよい。
【0050】
上記第3の構成である半導体装置は、不揮発性メモリから読みだされるデータに不正があることを示す通知を出力する専用端子を設ける必要がないため、小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0051】
上記第3の構成である半導体装置において、前記通知は定電圧である構成(第4の構成)であってもよい。
【0052】
上記第4の構成である半導体装置は、不揮発性メモリから読みだされるデータに不正があることを示す通知を容易に生成することができる。
【0053】
上記第4の構成である半導体装置において、前記定電圧は前記半導体装置の電源電圧である構成(第5の構成)であってもよい。
【0054】
上記第5の構成である半導体装置では、変換部の出力信号と不揮発性メモリから読みだされるデータに不正があることを示す通知との判別が容易になる。
【0055】
以上説明した電子機器(200)は、上記第1~第5いずれかの構成である半導体装置を備える構成(第6の構成)である。
【0056】
上記第6の構成である電子機器は、センサの出力が誤った値になったおそれがあることを半導体装置の外部に知らせることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 アナログ回路
1A 変換部
1B 電流センサ
1C セレクタ
2 不揮発性メモリ
3 判定部
4 制御部
4A フラグ生成回路
41A~41E セレクタ
42A~42E、44 ラッチ
43、45 ORゲート
5 通知部
T1 出力端子
100 半導体装置
101 入力端子
102 MOSFET
103 マイクロコンピュータ
104~106 DC/DCコンバータ
107~110 電子回路
200 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6