(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163279
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収制御装置、二酸化炭素回収装置、炭化水素製造装置、二酸化炭素回収方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20221019BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20221019BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20221019BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20221019BHJP
C07C 1/12 20060101ALI20221019BHJP
C07C 9/04 20060101ALI20221019BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20221019BHJP
【FI】
B01D53/04 230
B01D53/62 100
B01D53/82 ZAB
B01D53/96
C07C1/12
C07C9/04
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068120
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100144510
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 真由
(72)【発明者】
【氏名】國富 誠一
(72)【発明者】
【氏名】山本 征治
(72)【発明者】
【氏名】神谷 隆太
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲治
(72)【発明者】
【氏名】堀部 伸光
(72)【発明者】
【氏名】水谷 俊介
【テーマコード(参考)】
4D002
4D012
4G146
4H006
【Fターム(参考)】
4D002AA09
4D002BA04
4D002CA07
4D002DA41
4D002DA45
4D002DA46
4D002DA54
4D002EA07
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB03
4D002GB20
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CA12
4D012CB16
4D012CD10
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF01
4D012CF02
4D012CF04
4D012CG01
4D012CJ05
4G146JA02
4G146JC21
4G146JC25
4G146JC26
4G146JC27
4G146JD02
4H006AA04
4H006AC29
4H006BD10
4H006BE20
4H006BE41
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素を含有する混合ガスから、吸着塔を用いて回収された二酸化炭素を含む回収ガスにおける、二酸化炭素濃度の変動を抑制する。
【解決手段】二酸化炭素回収制御装置は、第1吸着塔に混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、第2吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第1工程と、第2吸着塔に混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、第1吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第2工程と、を繰り返し実行させる工程制御部と、吸着工程が実行されている吸着塔において、所定の予測時刻における破過時間を予測する破過時間予測部と、予測された破過時間に応じて脱離工程において流通させる水素流通量を決定する水素流通量決定部と、を備え、工程制御部は、二酸化炭素破過情報に基づいて第1工程と第2工程とを切替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1吸着塔と第2吸着塔とを含む複数の吸着塔を用いて、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収させる二酸化炭素回収制御を行う二酸化炭素回収制御装置であって、
前記第1吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第2吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第1工程と、前記第2吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第1吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第2工程と、を繰り返し実行させる工程制御部と、
前記吸着工程が実行されている前記吸着塔において、所定の予測時刻から前記吸着塔の外へ二酸化炭素が漏洩するまでの時間である破過時間を予測する破過時間予測部と、
前記破過時間予測部において予測された前記破過時間に応じて、同時に実行されている脱離工程において前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御するための水素流通量を決定する水素流通量決定部と、
を備え、
前記工程制御部は、
前記水素流通量決定部により決定された前記水素流通量になるように、前記脱離工程が実行されている前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御し、
前記吸着工程が実行されている前記吸着塔における二酸化炭素の破過に関する情報である二酸化炭素破過情報を取得し、前記二酸化炭素破過情報に基づいて、二酸化炭素の破過が生じたとき、または二酸化炭素の破過が生じる直前に前記第1工程と前記第2工程とを切替える、
二酸化炭素回収制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収制御装置であって、
前記破過時間予測部は、所定の時間ごとに前記破過時間を予測し、
前記水素流通量決定部は、予測された前記破過時間に応じて、前記所定の時間ごとに前記水素流通量を更新し、
前記所定の時間をdt、前記予測時刻をn(nは1以上の整数)、前記予測時刻nにおいて予測された前記破過時間をt(n)としたとき、
前記水素流通量決定部は、
予測時刻nにおいて予測された破過時間t(n)と、予測時刻(n-1)において予測された破過時間t(n-1)との関係が、第1関係の場合には、予測時刻nにおける前記水素流通量を、予測時刻(n-1)における前記水素流通量より減少させ、第2関係の場合には、予測時刻nにおける前記水素流通量を、予測時刻(n-1)における前記水素流通量より増加させ、第3関係の場合には、予測時刻nにおける前記水素流通量を、予測時刻(n-1)における前記水素流通量と同一にし、
前記第1関係は、t(n-1)<t(n)+dtであり、
前記第2関係は、t(n-1)>t(n)+dtであり、
前記第3関係は、t(n-1)=t(n)+dtである、
二酸化炭素回収制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素回収制御装置であって、
前記水素流通量決定部は、
前記脱離工程が開始してから前記予測時刻までに前記吸着塔に流通した水素量と、前記脱離工程の全期間の間に前記吸着塔に流通可能な水素総量と、を取得し、前記予測時刻以降に前記脱離工程中の前記吸着塔に流通させる水素流通量を、下記式(1)により決定する、
二酸化炭素回収制御装置。
mf(n)=(ma-mp)/t(n)… (1)
但し、mf(n):予測時刻n以降に脱離工程中の吸着塔に流通させる水素流通量、mp:脱離工程が開始してから予測時刻nまでに吸着塔に流通した水素量、ma:脱離工程の全期間の間に吸着塔に流通可能な水素総量、t(n):予測時刻nにおいて予測された破過時間
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収制御装置であって、
前記破過時間予測部は、
前記吸着工程において、前記予測時刻までに前記吸着塔に流入した前記混合ガスの総量と、前記吸着工程において処理可能な混合ガス量と、前記混合ガスの供給源毎に予め定められた前記混合ガスの流量である定格混合ガス流量と、を取得し、下記式(2)により、前記破過時間を予測する、
二酸化炭素回収制御装置。
t(n)=(qc-q(n))/qf … (2)
但し、t(n):予測時刻nにおいて予測される破過時間 qc:吸着工程において処理可能な混合ガス量 q(n):予測時刻nまでに流入した混合ガスの総量 qf:定格混合ガス流量
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収制御装置であって、
前記破過時間予測部は、
前記吸着塔に流入する前記混合ガスの流量と、前記混合ガスの温度と、前記混合ガス中の二酸化炭素の濃度と、を取得し、
前記吸着工程において、前記予測時刻までに流入した二酸化炭素の総量を、前記混合ガスの流量と、前記混合ガス中の二酸化炭素の濃度と、を用いて算出し、
前記吸着工程における二酸化炭素の飽和吸着量を、前記予測時刻の前記混合ガスの温度と、前記混合ガス中の二酸化炭素の濃度と、を用いて算出し、
前記混合ガスの供給源毎に予め定められた前記二酸化炭素の流量である定格二酸化炭素流量と、を取得し、
下記式(3)により、前記破過時間を予測する、
二酸化炭素回収制御装置。
t(n)=(Ca-C(n))/Cf … (3)
但し、t(n):予測時刻nにおいて予測される破過時間 Ca:二酸化炭素の飽和吸着量 C(n):予測時刻nまでに流入した二酸化炭素の総量 Cf:定格二酸化炭素流量
【請求項6】
二酸化炭素回収装置であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収制御装置と、
二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離可能な吸着塔であって、少なくとも第1吸着塔と第2吸着塔とを含む複数の吸着塔と、
前記複数の吸着塔に前記混合ガスを供給可能な混合ガス供給部と、
前記複数の吸着塔に水素を供給可能な水素供給部と、
を備える、二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
炭化水素製造装置であって、
請求項6に記載の二酸化炭素回収装置と、
内部に炭化水素化触媒を有し、前記二酸化炭素回収装置から流出する二酸化炭素と水素とを含む回収ガスを用いて、炭化水素化合物を生成する炭化水素生成部と、を備える、
炭化水素製造装置。
【請求項8】
少なくとも第1吸着塔と第2吸着塔とを含む複数の吸着塔を用いて、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収させる二酸化炭素回収方法であって、
前記第1吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第2吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第1工程と、前記第2吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第1吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第2工程と、を繰り返し実行させ、
前記吸着工程が実行されている前記吸着塔において、所定の予測時刻から前記吸着塔の外へ二酸化炭素が漏洩するまでの時間である破過時間を予測し、
前記破過時間予測部において予測された前記破過時間に応じて、同時に実行されている脱離工程において前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御するための水素流通量を決定し、
決定された前記水素流通量になるように、前記脱離工程が実行されている前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御し、
前記吸着工程が実行されている前記吸着塔における二酸化炭素の破過に関する情報である二酸化炭素破過情報を取得し、前記二酸化炭素破過情報に基づいて、二酸化炭素の破過が生じたとき、または二酸化炭素の破過が生じる直前に前記第1工程と前記第2工程とを切替える、
二酸化炭素回収方法。
【請求項9】
少なくとも第1吸着塔と第2吸着塔とを含む複数の吸着塔を用いて、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を制御するためのプログラムであって、コンピュータに、
前記第1吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第2吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第1工程と、前記第2吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第1吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第2工程と、を繰り返し実行させる工程制御機能と、
前記吸着工程が実行されている前記吸着塔において、所定の予測時刻から前記吸着塔の外へ二酸化炭素が漏洩するまでの時間である破過時間を予測する破過時間予測機能と、
前記破過時間予測部において予測された前記破過時間に応じて、同時に実行されている脱離工程において前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御するための水素流通量を決定する水素流通量決定機能と、
を実現させ、
前記工程制御機能では、
前記水素流通量決定部により決定された前記水素流通量になるように、前記脱離工程が実行されている前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御し、
前記吸着工程が実行されている前記吸着塔における二酸化炭素の破過に関する情報である二酸化炭素破過情報を取得し、前記二酸化炭素破過情報に基づいて、二酸化炭素の破過が生じたとき、または二酸化炭素の破過が生じる直前に前記第1工程と前記第2工程とを切替える、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を含有する混合ガスから吸着塔を用いて二酸化炭素を回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸着剤が充填された吸着装置を利用して、気体または液体中に含まれている不純物を取り除く技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、吸着剤が充填された2基の塔を利用して、交互に不純物の吸着工程および脱離(再生)工程を行う吸着装置が記載されている。この吸着装置では、吸着工程において流入するガスの流量が設計値よりも低下した場合は流入ガス総流量が設計値となるまで吸着工程の時間を延長し、再生工程は設計通りの運用をする。これにより、流入するガスの流量が低下した場合でも、吸着塔の性能を最大限まで利用することができ、不純物分離のエネルギー効率が高まることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、流入するガスの流量が低下した場合に、吸着工程を延長し、脱離工程はそのままとしているため、脱離工程を行う吸着塔においては、待機する時間が生じる。特許文献1に記載された技術を用いて、例えば、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離回収する場合、脱離工程において吸着塔から二酸化炭素が出てくるため、待機している間は、二酸化炭素が出てこない。すなわち、吸着塔から出てくる二酸化炭素の濃度が変動する。
【0005】
吸着塔によって回収された二酸化炭素を炭化水素化させる炭化水素合成装置が、吸着塔の下流に接続される場合がある。このような構成において、二酸化炭素の濃度が変動すると、炭化水素合成装置に供給される二酸化炭素が過多の場合には、炭化水素触媒の失活が生じる虞があり、一方、炭化水素合成装置に供給される水素が過多の場合には、炭化水素合成装置から得られる炭化水素の純度が低下する虞がある。
【0006】
そこで、二酸化炭素を含有する混合ガスから吸着塔を用いて二酸化炭素を分離回収する二酸化炭素分離回収装置において、回収する二酸化炭素の濃度変動を抑制する技術が望まれている。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素を含有する混合ガスから、吸着塔を用いて回収された二酸化炭素を含む回収ガスにおける、二酸化炭素濃度の変動を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本発明の一形態によれば、少なくとも第1吸着塔と第2吸着塔とを含む複数の吸着塔を用いて、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収させる二酸化炭素回収制御を行う二酸化炭素回収制御装置が提供される。この二酸化炭素回収制御装置は、前記第1吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第2吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第1工程と、前記第2吸着塔に前記混合ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、前記第1吸着塔に水素を供給させる脱離工程を実行させる第2工程と、を繰り返し実行させる工程制御部と、前記吸着工程が実行されている前記吸着塔において、所定の予測時刻から前記吸着塔の外へ二酸化炭素が漏洩するまでの時間である破過時間を予測する破過時間予測部と、前記破過時間予測部において予測された前記破過時間に応じて、同時に実行されている脱離工程において前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御するための水素流通量を決定する水素流通量決定部と、を備え、前記工程制御部は、前記水素流通量決定部により決定された前記水素流通量になるように、前記脱離工程が実行されている前記吸着塔に流通させる水素の流通量を制御し、前記吸着工程が実行されている前記吸着塔における二酸化炭素の破過に関する情報である二酸化炭素破過情報を取得し、前記二酸化炭素破過情報に基づいて、二酸化炭素の破過が生じたとき、または二酸化炭素の破過が生じる直前に前記第1工程と前記第2工程とを切替える。
【0010】
この構成によれば、第1工程および第2工程は、それぞれ、吸着工程において二酸化炭素が破過するか破過する直前まで行われる。そのため、第1工程および第2工程の期間は、吸着塔に供給される混合ガスの流量や、混合ガス中の二酸化炭素濃度に応じて変わる。吸着工程では、二酸化炭素が破過するか破過する直前まで、混合ガスが供給されるため、二酸化炭素の吸着量は、略満量(最大吸着量)である。これに対し、仮に、脱離工程において、水素流通量を一定にすると、脱離工程の全期間に吸着塔に供給される水素の総量が変動し、水素の過不足が生じる。しかしながら、この構成によれば、吸着工程と同時に行われている(期間が等しい)脱離工程において供給される水素流通量が、破過時間に応じて決定されるため、脱離工程の長さの変動に応じて、脱離工程の全期間に吸着塔に供給される水素の量を、適切に制御することができる。その結果、二酸化炭素を含有する混合ガスから、吸着塔を用いて回収された二酸化炭素を含む回収ガスにおける、二酸化炭素濃度の変動を抑制することができる。
【0011】
(2)上記形態の二酸化炭素回収制御装置であって、前記破過時間予測部は、所定の時間ごとに前記破過時間を予測し、前記水素流通量決定部は、予測された前記破過時間に応じて、前記所定の時間ごとに前記水素流通量を更新し、前記所定の時間をdt、前記予測時刻をn(nは1以上の整数)、前記予測時刻nにおいて予測された前記破過時間をt(n)としたとき、前記水素流通量決定部は、予測時刻nにおいて予測された破過時間t(n)と、予測時刻(n-1)において予測された破過時間t(n-1)との関係が、第1関係の場合には、予測時刻nにおける前記水素流通量を、予測時刻(n-1)における前記水素流通量より減少させ、第2関係の場合には、予測時刻nにおける前記水素流通量を、予測時刻(n-1)における前記水素流通量より増加させ、第3関係の場合には、予測時刻nにおける前記水素流通量を、予測時刻(n-1)における前記水素流通量と同一にし、前記第1関係は、t(n-1)<t(n)+dtであり、前記第2関係は、t(n-1)>t(n)+dtであり、前記第3関係は、t(n-1)=t(n)+dtであってもよい。
【0012】
この構成によれば、1つの吸着工程の中で、時々刻々と破過時間が予測され、破過時間に応じて、時々刻々と水素流通量が更新される。そのため、より精度よく水素流通量を変更することができる。また、現予測時刻と1時刻前の予測時刻においてそれぞれ予測された破過時間の関係が第1関係の場合は、1時刻前の予測時刻において予測された吸着工程の長さより現時刻において予測された吸着工程の長さが長い場合であるため、水素流通量を低下させることにより、脱離工程において供給される水素の総量を適切にすることができる。現予測時刻と1時刻前の予測時刻においてそれぞれ予測された破過時間の関係が第2関係の場合は、1時刻前の予測時刻において予測された吸着工程の長さより現時刻において予測された吸着工程の長さが短い場合であるため、水素流通量を増加させることにより、脱離工程において供給される水素の総量を適切にすることができる。現予測時刻と1時刻前の予測時刻においてそれぞれ予測された破過時間の関係が第3関係の場合は、1時刻前の予測時刻において予測された吸着工程の長さと現時刻において予測された吸着工程の長さが等しい(変わらない)場合であるため、水素流通量を維持することにより、脱離工程において供給される水素の総量を適切にすることができる。すなわち、このように水素流通量を更新することにより、水素の供給量をより精度よく適切にすることができ、回収ガスにおける二酸化炭素濃度の変動をより抑制することができる。
【0013】
(3)上記形態の二酸化炭素回収制御装置であって、前記水素流通量決定部は、前記脱離工程が開始してから前記予測時刻までに前記吸着塔に流通した水素量と、前記脱離工程の全期間の間に前記吸着塔に流通可能な水素総量と、を取得し、前記予測時刻以降に前記脱離工程中の前記吸着塔に流通させる水素流通量を、下記式(1)により決定してもよい。
mf(n)=(ma-mp)/t(n)… (1)
但し、mf(n):予測時刻n以降に脱離工程中の吸着塔に流通させる水素流通量、mp:脱離工程が開始してから予測時刻nまでに吸着塔に流通した水素量、ma:脱離工程の全期間の間に吸着塔に流通可能な水素総量、t(n):予測時刻nにおいて予測された破過時間
【0014】
この構成によれば、脱離工程中の吸着塔に、現に供給された水素量を用いて、残余の脱離工程における水素流通量を決定するため、適切な水素流通量の算出精度を向上させることができる。
【0015】
(4)上記形態の二酸化炭素回収制御装置であって、前記破過時間予測部は、前記吸着工程において、前記予測時刻までに前記吸着塔に流入した前記混合ガスの総量と、前記吸着工程において処理可能な混合ガス量と、前記混合ガスの供給源毎に予め定められた前記混合ガスの流量である定格混合ガス流量と、を取得し、下記式(2)により、前記破過時間を予測してもよい。
t(n)=(qc-q(n))/qf … (2)
但し、t(n):予測時刻nにおいて予測される破過時間 qc:吸着工程において処理可能な混合ガス量 q(n):予測時刻nまでに流入した混合ガスの総量 qf:定格混合ガス流量
この構成によれば、破過時間を容易に予測することができる。
【0016】
(5)上記形態の二酸化炭素回収制御装置であって、前記破過時間予測部は、前記吸着塔に流入する前記混合ガスの流量と、前記混合ガスの温度と、前記混合ガス中の二酸化炭素の濃度と、を取得し、前記吸着工程において、前記予測時刻までに流入した二酸化炭素の総量を、前記混合ガスの流量と、前記混合ガス中の二酸化炭素の濃度と、を用いて算出し、前記吸着工程における二酸化炭素の飽和吸着量を、前記予測時刻の前記混合ガスの温度と、前記混合ガス中の二酸化炭素の濃度と、を用いて算出し、前記混合ガスの供給源毎に予め定められた前記二酸化炭素の流量である定格二酸化炭素流量と、を取得し、下記式(3)により、前記破過時間を予測してもよい。
t(n)=(Ca-C(n))/Cf … (3)
但し、t(n):予測時刻nにおいて予測される破過時間 Ca:二酸化炭素の飽和吸着量 C(n):予測時刻nまでに流入した二酸化炭素の総量 Cf:定格二酸化炭素流量
【0017】
この構成によれば、混合ガスの温度や混合ガス中の二酸化炭素濃度に応じて変動する二酸化炭素の飽和吸着量を用いて破過時間を予測することができるため、破過時間の予測精度を向上させることができる。
【0018】
(6)本発明の他の形態によれば、二酸化炭素回収装置が提供される。この二酸化炭素回収装置は、上記形態の二酸化炭素回収制御装置と、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離可能な吸着塔であって、少なくとも第1吸着塔と第2吸着塔とを含む複数の吸着塔と、前記複数の吸着塔に前記混合ガスを供給可能な混合ガス供給部と、前記複数の吸着塔に水素を供給可能な水素供給部と、を備える。
この構成によれば、二酸化炭素を含有する混合ガスから、吸着塔を用いて回収された二酸化炭素を含む回収ガスにおける、二酸化炭素濃度の変動を抑制することができる。
【0019】
(7)本発明の他の形態によれば、炭化水素製造装置が提供される。この炭化水素製造装置は、上記形態の二酸化炭素回収装置と、内部に炭化水素化触媒を有し、前記二酸化炭素回収装置から流出する二酸化炭素と水素とを含む回収ガスを用いて、炭化水素化合物を生成する炭化水素生成部と、を備える。
この構成によれば、二酸化炭素を含有する混合ガスから、吸着塔を用いて回収された二酸化炭素を含む回収ガスにおける、二酸化炭素濃度の変動を抑制することができるため、炭化水素生成部の炭化水素化触媒の失活を抑制することができる。また、炭化水素生成部によって生成されるガスのメタン純度を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、二酸化炭素回収方法、二酸化炭素回収装置を制御するためのプログラム、二酸化炭素回収システム、炭化水素製造システム、メタン製造システム、これら装置やシステムを制御する方法、これら装置やシステムを制御するためのプログラム、これらプログラムを配布するためのサーバ装置、プログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態の炭化水素製造装置の概略構成を示す説明図である。
【
図2】二酸化炭素回収装置における吸着塔の切替タイミングの説明図である。
【
図3】二酸化炭素回収制御の第1工程の説明図である。
【
図4】二酸化炭素回収制御の第2工程の説明図である。
【
図5】二酸化炭素回収制御のフローチャートである。
【
図6】破過時間予測処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】破過時間予測処理を説明するための説明図である。
【
図8】水素流通量決定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】破過時間(n)と、水素流通量(n)との関係の一例を示す説明図である。
【
図10】第2実施形態の炭化水素製造装置の概略構成を示す説明図である。
【
図11】第2実施形態における破過時間予測処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の炭化水素製造装置100の概略構成を示す説明図である。炭化水素製造装置100は、二酸化炭素(CO
2)と水素(H
2)との混合ガスを用いて、炭化水素化合物を製造する装置であり、二酸化炭素回収装置200と炭化水素生成部60と、を備える。詳しくは、炭化水素製造装置100は、二酸化炭素回収装置200において、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を回収し、回収された二酸化炭素を用いて、炭化水素を生成する。本実施形態では、炭化水素としてメタン(CH
4)を生成する例を示すが、メタン(CH
4)以外の炭化水素化合物、例えば、エタンやプロパンなどの炭素と水素とから構成される化合物やメタノールなどの主に炭素と水素とから構成される化合物を生成してもよい。
【0023】
炭化水素生成部60は、内部に炭化水素化触媒を有し、二酸化炭素回収装置200から供給される回収ガス(二酸化炭素と水素を含む)と、外部の水素供給源から供給される水素と、を用いて、メタンを生成し、メタンを主成分とするガス(以下、「製品ガス」とも呼ぶ)を外部に供給可能に構成されている。炭化水素生成部60は、回収ガス流路72を介して二酸化炭素回収装置200と接続されると共に、水素流路62を介して外部の水素供給源と接続されている。水素流路62には、水素流路62を流れる水素の流量を調整する流量制御器62aが設けられている。流量制御器62aにおける水素流量は、予め設定されている。また、炭化水素生成部60は、製品ガス流路63と接続されている。例えば、製品ガス流路63の他端に貯留タンクを接続することにより、製品ガスを、貯留タンクに貯留することができる。本実施形態では、後述するように、二酸化炭素回収装置200において、回収ガスの流量および濃度の変動を抑制することができるため、炭化水素生成部60は高いメタン純度の製品ガスを外部に供給することができる。
【0024】
二酸化炭素回収装置200は、二酸化炭素を含む混合ガスから吸着塔を用いて二酸化炭素を回収する。本実施形態では、二酸化炭素を含む混合ガスとして、燃焼炉や内燃機関などから排出される排ガスを例示する。二酸化炭素回収装置200は、複数の吸着塔(第1吸着塔11および第2吸着塔12)と、排ガス流路20と、オフガス流路25と、水素流路30と、回収ガス流路40と、回収ガスタンク70と、二酸化炭素回収制御装置50と、を備える。以下の説明において、第1吸着塔11と第2吸着塔12とを区別しない場合は、単に、吸着塔10とも呼ぶ。二酸化炭素回収装置200では、吸着塔10に吸着された二酸化炭素を、パージガスとしての水素を用いて脱離させる。
【0025】
第1吸着塔11、第2吸着塔12は、それぞれ、筒状に形成され、それぞれの内部に吸着材11a、12aが収容されている。吸着材11a、12aは、二酸化炭素吸蔵性能を有する材料、例えば、ゼオライト、活性炭、シリカゲルなどである。第1吸着塔11、第2吸着塔12のそれぞれには、排ガス流路20と、水素流路30と、回収ガス流路40が接続されている。
【0026】
排ガス流路20は、燃焼炉や内燃機関などの、二酸化炭素を含む排ガスを排出する外部の排ガス供給装置に接続されており、排ガス供給装置が排出する排ガスが流れる。排ガス流路20を流れる排ガスは、排ガス分流路21、22を介して、第1吸着塔11、第2吸着塔12に供給される。排ガス分流路21、22には、排ガス入口弁21a、22aがそれぞれ設けられている。排ガス入口弁21a、22aのそれぞれは、後述する二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、第1吸着塔11、第2吸着塔12の内部への排ガスの供給を制御する。本実施形態において、二酸化炭素を含む混合ガスとして、排ガスを例示しているが、二酸化炭素を含む混合ガスは、排ガスでなくてもよい。本実施形態における排ガス流路20、排ガス分流路21、22、排ガス入口弁21a、22aを併せて、「混合ガス供給部」とも呼ぶ。
【0027】
オフガス流路25はオフガス分流路23を介して第1吸着塔11に接続され、オフガス分流路24を介して第2吸着塔12に接続されている。排ガスに含まれる二酸化炭素が吸着材にトラップされ、吸着材にトラップされなかった窒素などを含むオフガスが、オフガス流路25を流れる。オフガスは、二酸化炭素回収装置200の外部、例えば、大気に放出される。オフガス流路25は三方弁25aを介してオフガス分流路23、24と接続されており、後述する二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、第1吸着塔11、第2吸着塔12からのオフガスの排出を制御する。
【0028】
オフガス分流路23およびオフガス分流路24には、それぞれ、温度センサ84、85が設けられている。温度センサ84、85は、それぞれ、第1吸着塔11、第2吸着塔12から排出されるオフガスの温度を検出し、検出結果を二酸化炭素回収制御装置50へ出力する。
【0029】
水素流路30は、第1吸着塔11、第2吸着塔12の内部に、パージガスとしての水素を供給する外部の水素供給源に接続している。水素流路30には、二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、水素流路30を流れる水素の流量を調整する流量制御器30aが設けられている。水素流路30を流れる水素は、水素分流路31、32を介して、第1吸着塔11、第2吸着塔12に供給される。水素分流路31、32には、水素入口弁31a、32aが、それぞれ設けられている。水素入口弁31a、32aのそれぞれは、二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、第1吸着塔11、第2吸着塔12の内部への水素の流れを制御する。本実施形態における水素流路30、流量制御器30a、水素分流路31、32、水素入口弁31a、32aを併せて、「水素供給部」とも呼ぶ。
【0030】
回収ガス流路40は、回収ガス分流路41、42を介して、第1吸着塔11、第2吸着塔12のそれぞれに接続されている。回収ガス流路40には、吸着材11a、12aから脱離した二酸化炭素と、パージガスとして第1吸着塔11、第2吸着塔12に供給された水素と、の混合ガスである回収ガスが流れる。回収ガス分流路41、42には、回収ガス出口弁41a、42aが設けられている。回収ガス出口弁41a、42aのそれぞれは、二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、第1吸着塔11、第2吸着塔12からの回収ガスの流れを制御する。
【0031】
回収ガスタンク70は、回収ガス流路40に接続されており、回収ガス流路40を流れる回収ガスを一時的に貯留する。また、回収ガスタンク70は、回収ガス流路72を介して炭化水素生成部60と接続されており、回収ガスを炭化水素生成部60に供給する。
【0032】
流量計81は、排ガス流路20において、排ガス分流路21が接続する位置より上流側の位置に設けられている。流量計81は、排ガス流路20を流れる排ガスの流量を検出する。流量計81は、検出した排ガス流量を二酸化炭素回収制御装置50に出力する。
【0033】
二酸化炭素回収制御装置50は、ROM、RAM、および、CPUを含んで構成されるコンピュータ(情報処理装置)であり、後述する工程制御部における第1吸着塔11および第2吸着塔12の切替えや、弁の開閉制御など、二酸化炭素回収装置200の全体の制御を行う。また、二酸化炭素回収制御装置50は、吸着塔10に供給する水素の流量を決定する(後述する)。
【0034】
二酸化炭素回収制御装置50は、工程制御部51と、破過時間予測部52と、水素流通量決定部53と、記憶部54と、を備える。
【0035】
二酸化炭素回収制御装置50は、第1吸着塔11に排ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、第2吸着塔12に水素を供給させる脱離工程を実行させる第1工程と、第2吸着塔12に排ガスを供給させる吸着工程を実行させると同時に、第1吸着塔11に水素を供給させる脱離工程を実行させる第2工程と、を繰り返し実行させる二酸化炭素回収制御を実行する。各吸着塔10では、吸着工程と脱離工程とが交互に繰り返し行われ、これにより、排ガスから二酸化炭素が回収される。二酸化炭素回収制御装置50は、吸着工程が行われている吸着塔10における二酸化炭素の破過と連動して工程を切替える(後に詳述する)。本実施形態において、吸着工程は、吸着塔10に対して排ガスを供給する工程であり、脱離工程は、吸着塔10に対して水素を供給する工程である。
【0036】
工程制御部51は、破過時間予測部52及び水素流通量決定部53と協働して、後述する二酸化炭素回収制御を実行する。工程制御部51は、上述した排ガス入口弁21a、22a、三方弁25a、流量制御器30a、水素入口弁31a、32a、回収ガス出口弁41a、42aを制御することにより、吸着塔10において、吸着工程と脱離工程とを繰り返し実行させる。
【0037】
破過時間予測部52は、吸着工程が実行されている吸着塔10において、所定の予測時刻から吸着塔10の外へ二酸化炭素が漏洩するまでの時間である破過時間を予測する。本実施形態において、破過時間予測部52は、排ガス流路20に設けられた流量計81により計測された排ガス流量を取得し、吸着塔が分離可能な排ガス総流量をもとに残りの吸着可能期間(破過するまでの時間)を算出する(後に詳述する)。本実施形態において、破過時間予測部52は、吸着工程が実行されている間に、複数回、破過時間を予測する。すなわち、破過時間を予測する時刻である予測時刻は、所定の間隔で設定されている。
【0038】
水素流通量決定部53は、破過時間予測部52において予測された破過時間に応じて、破過時間が予測された吸着工程と同時に実行されている脱離工程において吸着塔10に流通させる水素の流通量を制御するための水素流通量を決定する(後に詳述する)。
【0039】
記憶部54には、定格排ガス流量55と、処理可能排ガス量56と、が記憶されている。定格排ガス流量55は、排ガスの供給源毎に予め定められた排ガスの流量であり、炭化水素製造装置100に接続される排ガス供給装置固有の値が、予め、使用者等により入力されている。処理可能排ガス量56は、吸着塔10が処理可能な排ガスの総量であって、例えば、吸着塔10の容量、吸着材の種類、吸着材の充填率等に応じて、吸着塔10毎に予め定められている。処理可能排ガス量56は、定格排ガス流量55と同様に、使用者により入力されてもよいし、炭化水素製造装置100の製造時に、予め、記憶されていてもよい。
【0040】
図2は、本実施形態の二酸化炭素回収装置200における吸着塔10の切替タイミングの説明図である。本実施形態の二酸化炭素回収制御では、図示するように、第1工程および第2工程を1サイクルとして、このサイクルが、複数回繰り返される。各工程では、吸着工程および脱離工程(水素供給)のそれぞれが、2つの吸着塔(第1吸着塔11および第2吸着塔12)のいずれかにおいて実行される。具体的には、第1工程では、第1吸着塔11において吸着工程が実行され、第2吸着塔12において脱離工程が実行される。第2工程では、第1吸着塔11において脱離工程が実行され、第2吸着塔12において吸着工程が実行される。本実施形態の二酸化炭素回収装置200では、このようにして、一方の吸着塔10において排ガス中の二酸化炭素を吸着すると同時に、他方の吸着塔10において、吸着された二酸化炭素を脱離する。これにより、定常的に、二酸化炭素含有ガス(排ガス)を供給することが可能である。
【0041】
1つの吸着塔10に注目すると、吸着工程と脱離工程が繰り返し行われる。
図2では、繰り返し行われる工程の通し番号Nを、0から順に記載している。以下に、第1吸着塔11を例に、説明する。吸着工程では、第1吸着塔11に排ガスが供給される(第1工程)。第1吸着塔11において二酸化炭素が破過する直前に、脱離工程(第2工程)に移行する。脱離工程では、第1吸着塔11にパージガスとしての水素が供給される。第1吸着塔11にパージガスとしての水素が供給されると、第1吸着塔11の内部の二酸化炭素の分圧が低下するため、吸着材11aに吸着されている二酸化炭素が吸着材11aから脱離する。第2工程において第2吸着塔12で二酸化炭素が破過する直前に、第1吸着塔11は吸着工程(第1工程)に移行する。
【0042】
このように、本実施形態の二酸化炭素回収装置200では、吸着工程が行われている吸着塔10において二酸化炭素が破過する直前に、第1工程と第2工程との切替が行われる。そのため、図示するように、複数の第1工程と複数の第2工程の長さは、互いに異なる場合がある。但し、第1工程における吸着工程と脱離工程の長さは同一であり、第2工程における吸着工程と脱離工程の長さは同一である。第1工程と第2工程との切替については、後に詳述する。
【0043】
図3は、二酸化炭素回収装置200における二酸化炭素回収制御の第1工程の説明図である。
図4は、二酸化炭素回収装置200における二酸化炭素回収制御の第2工程の説明図である。上述の通り、二酸化炭素回収装置200では、2つの吸着塔10(第1吸着塔11と第2吸着塔12)のそれぞれに、順番に排ガスを供給することで、排ガスから二酸化炭素を回収する。第1吸着塔11および第2吸着塔12のそれぞれが、吸着材に二酸化炭素が吸着される吸着塔、吸着材に吸着された二酸化炭素が脱離される脱離塔として機能する。
【0044】
第1吸着塔11は、
図3に示す第1工程において吸着塔として機能し、
図4に示す第2工程において脱離塔として機能している。
図3、
図4において、排ガス、水素、および回収ガスの流れを太い実線で示している。
図3に示すように、吸着塔として機能する第1吸着塔11には、排ガスが供給される。脱離塔として機能する第2吸着塔12には、水素が供給され、吸着材から脱離した二酸化炭素が、水素と共に回収ガスとして排出される。
【0045】
図3に示す第1工程では、第1吸着塔11に、排ガス流路20を用いて、排ガスを供給させる(吸着工程)。具体的には、二酸化炭素回収制御装置50は、排ガス入口弁21aを開くとともに、三方弁25aを介してオフガス分流路23とオフガス流路25とが接続されるように、それぞれの弁を制御する。これにより、排ガス流路20を流れる排ガスは、排ガス分流路21を介して、第1吸着塔11に供給される。第1吸着塔11では、排ガスに含まれる二酸化炭素が吸着材11aにトラップされ、吸着材11aにトラップされなかった窒素や水分などは、オフガスとしてオフガス分流路23およびオフガス流路25を介して二酸化炭素回収装置200の外部、例えば、大気に放出される。
【0046】
第1工程は、上記吸着工程と同時に、第2吸着塔12において脱離工程が実行される。脱離工程では、第2吸着塔12に、水素流路30を用いて、水素を供給させる。具体的には、二酸化炭素回収制御装置50は、水素入口弁32aを開くとともに、水素入口弁31aを閉じる。そして、回収ガス出口弁42aを開くとともに、回収ガス出口弁41aを閉じる。流量制御器30aは、二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、水素流通量決定部53によって決定された水素流通量になるように水素の流量を制御する。後に詳述するように、二酸化炭素回収制御装置50において、水素流通量決定部53により決定される水素流通量が時々刻々と変化するため、第2吸着塔12に供給される水素流量も時々刻々と変化する。第2吸着塔12に水素が供給されると、第2吸着塔12内部の二酸化炭素の分圧が低下するため、吸着材12aに吸着されている二酸化炭素が吸着材12aから脱離される。脱離された二酸化炭素は、水素と共に回収ガス分流路42に流入し、回収ガス流路40を流れて、回収ガスタンク70に流入する。脱離工程において、第2吸着塔12に水素が供給されることにより、吸着材12aが冷却され、二酸化炭素を吸着可能な状態となる。
【0047】
図4に示すように、第2工程では、第1工程とは逆に、第2吸着塔12において吸着工程が行われ、第1吸着塔11において脱離工程が行われる。具体的には、二酸化炭素回収制御装置50は、排ガス入口弁22aを開くとともに、三方弁25aを介してオフガス分流路24とオフガス排出流路25とが接続されるように、それぞれの弁を制御する。これにより、排ガス流路20を流れる排ガスは、排ガス分流路22を介して、第2吸着塔12に供給される。第2吸着塔12では、排ガスに含まれる二酸化炭素が吸着材12aにトラップされ、吸着材12aにトラップされなかった窒素や水分などは、オフガスとしてオフガス分流路24およびオフガス流路25を介して二酸化炭素回収装置200の外部に放出される。
【0048】
第2工程は、上記吸着工程と同時に、第1吸着塔11において脱離工程が実行される。脱離工程では、第1吸着塔11に、水素流路30を用いて、水素を供給させる。具体的には、二酸化炭素回収制御装置50は、水素入口弁31aを開くとともに、水素入口弁32aを閉じる。そして、回収ガス出口弁41aを開くとともに、回収ガス出口弁42aを閉じる。流量制御器30aは、二酸化炭素回収制御装置50の指令に応じて、水素流通量決定部53によって決定された水素流通量になるように水素の流量を制御する。第1吸着塔11に水素が供給されると、吸着材11aに吸着されている二酸化炭素が吸着材11aから脱離し、水素と共に回収ガス分流路41に流入し、回収ガス流路40を流れて、回収ガスタンク70に流入する。
【0049】
図5は、二酸化炭素回収装置200における二酸化炭素回収制御のフローチャートである。二酸化炭素回収制御は、炭化水素製造装置100が起動され、二酸化炭素回収開始の指示が入力されると開始され、終了指示が入力されるまで繰り返し実行される。二酸化炭素回収制御は、工程制御部51、破過時間予測部52、および水素流通量決定部53が協働して実行する。
【0050】
工程制御部51は、ステップS10において、工程の通し番号N(
図2)を、N=0に設定し、ステップS11において、各吸着工程における予測時刻nを、n=0に設定する。
【0051】
ステップS20において、工程制御部51は、一方の吸着塔10に吸着工程を実行させる。ここでは、排ガス供給装置から排出される排ガスが、流量が調整されずそのまま吸着塔10に供給される。すなわち、排ガス供給装置から排出される排ガスの流量が変動する場合、吸着塔10に流入する排ガスの流量も変動する。N=2m(mは0以上の整数)のとき、ステップS20では、第1吸着塔11において吸着工程が実行され、N=2m+1(mは0以上の整数)のとき、ステップS20では、第2吸着塔12において吸着工程が実行される。すなわち、N=0のとき、ステップS20では、第1吸着塔11において吸着工程が実行される。
【0052】
ステップS12において工程制御部51は、他方の吸着塔10に脱離工程を実行させる。N=2m(mは0以上の整数)のとき、ステップS12では、第2吸着塔12において脱離工程が実行され、N=2m+1(mは0以上の整数)のとき、ステップS12では、第1吸着塔11において脱離工程が実行される。このとき、工程制御部51は、流量制御器30aを制御して、水素流通量mf(n)の水素を供給させる。このように、N=2m(mは0以上の整数)のとき、第1工程が実行され(
図2、
図3)、N=2m+1(mは0以上の整数)のとき、第2工程が実行される(
図2、
図4)。N=0のとき、ステップS12では、第2吸着塔12において脱離工程が実行される。予測時刻n=0のとき、水素流通量mf(n)は、水素流通量の初期値(水素流通量mf(0))として、予め設定されており、工程制御部51は、予め設定された水素流通量mf(0)になるように水素を供給させる。水素流通量mf(0)としては、例えば、排ガス供給装置から所定の流量で排ガスが供給され、吸着塔10内に最大吸着量まで二酸化炭素が吸着された場合に、最大吸着量の二酸化炭素を吸着するのに要した時間で、全ての二酸化炭素を脱離させる水素の流通量が設定されている。
【0053】
ステップS13において、工程制御部51は、吸着塔工程が行われている吸着塔10について、二酸化炭素が破過する直前であるか否かを判断する。本実施形態では、温度センサ84または温度センサ85により検出された吸着塔10の出口のオフガス温度に基づいて二酸化炭素の破過を判定する。二酸化炭素が吸着材に吸着される吸着反応は、発熱反応であるため、二酸化炭素の吸着量の増加に伴い、オフガスの温度が上昇する。そのため、オフガスの温度をモニタすることにより、二酸化炭素の破過を判断することができる。本実施形態では、予め、実験的に、二酸化炭素の破過と、オフガス温度との関係を調べておき、二酸化炭素が破過する直前のオフガス温度を、閾値として設定し、温度センサ84または温度センサ85により検出されたオフガス温度が閾値を超えたとき、二酸化炭素が破過する直前であると判断する。なお、「破過する直前」は、例えば、破過する時間の前、5分以内に設定する。本実施形態におけるオフガス温度を、「二酸化炭素破過情報」とも呼ぶ。
【0054】
ステップS13において、二酸化炭素が破過しないと判断された場合には(ステップS13:NO)、ステップS14に進む。具体的には、温度センサ84または温度センサ85により検出されたオフガス温度が閾値より低いとき、二酸化炭素が破過しないと判断する。
【0055】
ステップS14において、工程制御部51は、1つの工程が開始してから時間dtが経過したか否かを判断する。時間dtが経過するまでは、ステップS13とステップS14とを繰り返し、途中で、二酸化炭素の破過直前になったら、工程を切替える(ステップS16)。時間dtは、後述する破過時間を予測する間隔であり、本実施形態では、例えば、1分に設定されている。時間dtは、任意に設定することができる。
【0056】
ステップS14において、時間dtが経過したら(ステップS14:YES)、工程制御部51は、予測時刻n=n+1に設定する(ステップS15)。1回目のステップS14では、予測時刻n=1に更新される。
【0057】
ステップS30では、破過時間予測部52が、予測時刻n=n(現時刻)における二酸化炭素が破過するまでの時間である破過時間t(n)を予測する。1回目のステップS30では、予測時刻n=1における破過時間t(1)が予測される。破過時間t(n)の予測処理については、後に詳述する。
【0058】
ステップS40では、水素流通量決定部53が、破過時間t(n)に応じて、水素流通量mf(n)を決定して、ステップS12およびステップS20に戻る。1回目のステップS40では、水素流通量mf(1)が決定される。すなわち、水素流通量の初期値mf(0)からmf(1)に水素流通量が更新される。水素流通量mf(n)の決定処理については、後に詳述する。
【0059】
ステップS12では、工程制御部51は、直近に実行されたステップS40において決定された水素流通量mf(n)になるように、水素流量を調整させる。すなわち、2回目のステップS12では、工程制御部51は、水素流通量mf(1)になるように、水素流量を調整させる。ステップS20では、排ガス供給装置から排出される排ガスが、流量が調整されずそのまま吸着塔10に供給される。
【0060】
このように、二酸化炭素回収制御装置50は、第1工程が行われている間は、時間dt毎に、第1吸着塔11における二酸化炭素の破過時間t(n)を予測し、予測結果に応じて、水素流通量mf(n)を更新し、更新された水素流通量mf(n)になるように、第2吸着塔12に水素を供給させる。一方、予測された破過時間に関わらず、第1吸着塔11のオフガス出口の温度を用いて、第1吸着塔11において二酸化炭素が破過する直前に工程の切替が行われる。第2工程においても、第1工程と同様に、二酸化炭素回収制御装置50は、第2工程が行われている間は、時間dt毎に、第2吸着塔12における二酸化炭素の破過時間t(n)を予測し、予測結果に応じて、水素流通量mf(n)を更新し、更新された水素流通量mf(n)になるように、第1吸着塔11に水素を供給させる。
【0061】
ステップS13において、二酸化炭素の破過直前であると判断された場合には(ステップS13:YES)、ステップS16に進み、工程制御部51は、工程を切替え、N=N+1に設定してステップS11に戻り予測時刻n=0にリセットする(ステップS11)。すなわち、工程を切替えたら、予測時刻n=0にリセットし、実行中の工程(第1工程または第2工程)における時間の経過に伴い、水素流通量mf(n)を更新する。N=0のときは、上述の通り第1工程が実行されており、N=N+1にするとN=1となり、第2工程に切替える。第1工程を実行中の場合には、ステップ16において、第2工程に切替え、第2工程を実行中の場合には、ステップS16において第1工程に切替える。
【0062】
(破過時間予測処理)
図6は、第1実施形態における破過時間予測処理S30の流れを示すフローチャートである。
図7は、破過時間予測処理を説明するための説明図である。
【0063】
ステップS31では、破過時間予測部52は、排ガス総量q(n)[L]を取得する。排ガス総量q(n)は、吸着工程開始から予測時刻nまでに流入した排ガスの総量である。
図7(b)および
図7(c)に示すように、予測時刻nまでに流入した排ガスの総量は、予測時刻の増加に伴い変化する。破過時間予測部52は、流量計81から毎秒入力される排ガス流量の計測値[L/s]の積算値を算出することにより、排ガス総量q(n)を取得することができる。
【0064】
ステップS32では、破過時間予測部52は、処理可能排ガス量qc[L]を取得する。処理可能排ガス量qcは、吸着工程において、吸着塔10が処理可能な排ガスの総量であり、吸着塔10の容量、吸着材の種類、吸着材の充填率等に応じて、吸着塔10毎に予め定められている。
図7(a)に示すように、処理可能排ガス量qcは、吸着材に満量の二酸化炭素が吸着されるまでに、吸着塔10を流通した排ガスの総量である。本実施形態では、上述の通り、処理可能排ガス量56として、記憶部54に予め記憶されており、破過時間予測部52は、処理可能排ガス量56を記憶部54から取得する。
【0065】
ステップS33では、破過時間予測部52は、定格排ガス量qf[L/s]を取得する。定格排ガス量qfは、排ガスの供給源毎に予め定められた排ガスの流量であり、上述の通り、定格排ガス流量55として、記憶部54に予め記憶されている。破過時間予測部52は、定格排ガス流量55を記憶部54から取得する。
【0066】
ステップS34では、破過時間予測部52は、破過時間t(n)を下記式(2)により算出する。
t(n)=(qc-q(n))/qf … (2)
但し、t(n):予測時刻nにおいて予測される破過時間 qc:吸着工程において処理可能な排ガス量 q(n):予測時刻nまでに流入した排ガスの総量 qf:定格排ガス流量
【0067】
式(2)において、qc-q(n)は、予測時刻nにおいて残余の吸着工程の期間で処理可能な排ガス量(L)に相当する(
図7(b)、(c))。そのため、式(2)により、予測時刻nにおける破過時間t(n)を求めることができる。図示するように、時間の経過に伴い、予測時刻nにおいて処理可能な排ガス量が変化する(小さくなる)ため、予測される破過時間t(n)は、時間の経過に伴い短くなる。但し、排ガス流量の変動に伴い、q(n)の増加量も変動するため、予測時刻nにおいて処理可能な排ガス量(qc-q(n))の減少量も変動し、破過時間t(n)の減少量も変動する。
【0068】
(水素流通量決定処理)
図8は、第1実施形態における水素流通量決定処理S40の流れを示すフローチャートである。
【0069】
図8に示すように、ステップS41において、水素流通量決定部53は、予測時刻nにおいて予測された破過時間t(n)と、1時刻前(時間dt前)の予測時刻(n-1)において予測された破過時間t(n-1)との関係を判定する。
【0070】
破過時間t(n)と、破過時間t(n-1)との関係が、
t(n-1)<t(n)+dt … (第1関係)
の場合には、ステップS42に進み、水素流通量mf(n)を、1時刻前に設定された水素流通量mf(n-1)より低下させる。
【0071】
例えば、予測時刻nにおいて処理可能な排ガス量(qc-q(n))を用いて、二酸化炭素が破過するまでに吸着塔10の吸着材に吸着される二酸化炭素の量を算出し、算出された二酸化炭素を脱離させるのに過不足ない水素の量を、破過時間t(n)で除することにより、水素流通量mf(n)を求めてもよい。
【0072】
予測時刻nにおける破過時間t(n)と、1時刻前の予測時刻(n-1)における破過時間t(n-1)との関係が、第1関係である場合というのは、吸着塔10に流入する排ガス流量が予測時刻(n-1)より少なくなった場合である。すなわち、工程(第1工程または第2工程)が開始してから二酸化炭素が破過するまでの時間(吸着工程の時間)が予測時刻(n-1)において予測された時間(吸着工程の時間)より長くなった場合であり、実行中の工程(第1工程または第2工程)の時間が長くなると予測される。各工程において、脱離工程は吸着工程と同時に実行され、期間が等しいため、吸着工程が長くなると脱離工程も長くなると予測される。そのため、予測時刻nにおける水素流通量mf(n)を、予測時刻(n-1)における水素流通量mf(n-1)より少なくすることにより、脱離工程において供給される水素の量が過多になることを抑制することができる。その結果、回収ガスにおける二酸化炭素濃度の変動を抑制することができる。
【0073】
破過時間t(n)と、破過時間t(n-1)との関係が、
t(n-1)>t(n)+dt … (第2関係)
の場合には、ステップS43に進み、水素流通量mf(n)を、1時刻前に設定された水素流通量mf(n-1)より増加させる。
【0074】
水素流通量mf(n)は、破過時間t(n)と破過時間t(n-1)との関係が第1関係の場合と同様に求めることができる。
【0075】
破過時間t(n)と、破過時間t(n-1)との関係が、第2関係である場合というのは、吸着塔10に流入する排ガス流量が予測時刻(n-1)より多くなった場合である。すなわち、工程(第1工程または第2工程)が開始してから二酸化炭素が破過するまでの時間(吸着工程の時間)が、予測時刻(n-1)において予測された時間(吸着工程の時間)より短くなった場合であり、実行中の工程(第1工程または第2工程)の時間が短くなると予測される。各工程において、脱離工程は吸着工程と同時に実行され、期間が等しいため、吸着工程が短くなると脱離工程も短くなると予測される。そのため、予測時刻nにおける水素流通量mf(n)を、予測時刻(n-1)における水素流通量(n-1)より多くすることにより、脱離工程において供給される水素の量が不足することを抑制することができる。そのため、脱離工程において、脱離されずに吸着塔10内に残留する二酸化炭素の量を低減することができる。その結果、回収ガスにおける二酸化炭素濃度の変動を抑制することができる。
【0076】
破過時間t(n)と、破過時間t(n-1)との関係が、
t(n-1)=t(n)+dt … (第3関係)
の場合には、ステップS44に進み、水素流通量mf(n)を、1時刻前に設定された水素流通量mf(n-1)と同一に設定する。
【0077】
破過時間t(n)と、破過時間t(n-1)との関係が、第3関係である場合というのは、吸着塔10に流入する排ガス流量が予測時刻(n-1)と同一であった(変動しなかった)場合である。すなわち、工程(第1工程または第2工程)が開始してから二酸化炭素が破過するまでの時間(吸着工程の時間)が予測時刻(n-1)において予測された時間(吸着工程の時間)と同一であった場合であり、実行中の工程(第1工程または第2工程)の時間は変化しないと予測される。各工程において、脱離工程は吸着工程と同時に実行され、期間が等しいため、脱離工程も変化しないと予測される。そのため、予測時刻nにおける水素流通量mf(n)を、予測時刻(n-1)における水素流通量mf(n-1)と同一にすることにより、回収ガスにおける二酸化炭素濃度の変動を抑制することができる。
【0078】
図9は、第1実施形態における破過時間t(n)と、水素流通量mf(n)との関係の一例を示す説明図である。この例では、破過時間t(n)の初期値を30[min]、水素流通量mf(n)の初期値をx1[L/min]、dtを1[min]に設定している。
【0079】
図9に示す各予測時刻における破過時間t(n)と破過時間t(n-1)との関係と、水素流通量mf(n)について説明する。
予測時刻n=1では、破過時間t(1)=29、破過時間t(0)=30であり、dt=1であるため、
t(1)=t(0)+dt
である。すなわち、破過時間t(n)と破過時間t(n-1)との関係は、第3関係である。そのため、
mf(1)=mf(0)
であり、
mf(1)=x1
に設定される。すなわち、予測時刻nにおけるmf(n)は、予測時刻(n-1)における水素流通量mf(n-1)を維持する。
【0080】
予測時刻n=2では、破過時間t(2)=28.5、破過時間t(1)=29であり、dt=1であるため、
t(1)<t(2)+dt
である。すなわち、破過時間t(n)と破過時間t(n-1)との関係は、第1関係である。そのため、
mf(2)=x2(x2<x1)
に設定される。すなわち、予測時刻nにおけるmf(n)を予測時刻(n-1)における水素流通量mf(n-1)より低下させる。
【0081】
予測時刻n=3では、破過時間t(3)=26、破過時間t(2)=28.5であり、dt=1であるため、
t(2)>t(3)+dt
である。すなわち、破過時間t(n)と破過時間t(n-1)との関係は、第2関係である。そのため、
mf(3)=x3(x3>x2)
に設定される。すなわち、予測時刻nにおけるmf(n)を予測時刻(n-1)における水素流通量mf(n-1)より増加させる。
【0082】
上述の二酸化炭素回収制御を実現するプログラムは、二酸化炭素回収制御装置50に、予め記憶されていてもよい。また、プログラムはプログラム提供者側から通信ネットワークを介して、提供されてもよい。また、プログラムは、市販され、流通している可搬型記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、この可搬型記憶媒体は外付け又は内蔵の読取装置にセットされて、二酸化炭素回収制御装置50によってそのプログラムが読み出されて、実行されてもよい。可搬型記憶媒体としてはCD-ROM、DVD-ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、USBメモリ装置など様々な形式の記憶媒体を使用することができる。このような記憶媒体に格納されたプログラムが読取装置によって読み取られる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の二酸化炭素回収装置200によれば、第1工程または第2工程において、吸着工程と脱離工程が同時に実行される。すなわち、各吸着塔10において、一方の吸着塔10において吸着工程が行われている間中、他方の吸着塔10では脱離工程が行われており、実行中の工程(第1工程または第2工程)において待機期間がない。また、二酸化炭素回収装置200では、吸着工程が実行されている吸着塔10において二酸化炭素が破過するまでの時間である破過時間を、時々刻々と予測して、その予測結果に応じて、脱離工程が行われている吸着塔10における水素流通量を時々刻々と更新している。破過時間t(n)は、排ガス流量に基づいて算出されるため、吸着塔として機能している吸着塔10に流入する排ガス流量の変動に応じて、脱離塔として機能している吸着塔10に流通させる水素流通量を変動させていると言える。ここで、排ガス流量が増加した場合に水素流通量を減少させ、排ガス流量が減少した場合に水素流通量を増加させているため、脱離工程における水素の過不足を抑制することができる。その結果、回収ガスにおける二酸化炭素濃度の変動、および回収ガスの流量の変動を抑制することができる。
【0084】
本実施形態の二酸化炭素回収装置200によれば、吸着塔として機能している吸着塔10において二酸化炭素が破過する直前に第1工程と第2工程との間の切替を行っている。そのため、吸着材に吸着されず、オフガスとして排出される二酸化炭素の量を抑制することができる。すなわち、二酸化炭素回収装置200による排ガスからの二酸化炭素の回収率を向上させることができる。
【0085】
本実施形態の炭化水素製造装置100によれば、上述の通り、二酸化炭素回収装置200において回収ガスにおける二酸化炭素濃度の変動、および回収ガスの流量の変動を抑制することができる。そのため、回収ガスを用いてメタンを主成分とする製品ガスを生成する炭化水素生成部60において、回収ガスの流量および濃度の変動に伴う製品ガスのメタン純度の低下を抑制することができる。また、排ガス流量の変動に伴う、炭化水素生成部60の炭化水素化触媒の失活を抑制することができる。そのため、炭化水素製造装置100において生成する製品ガスにおいて、炭化水素製造装置100に供給される排ガスの流量変動に伴うメタン純度の低下を抑制することができる。
【0086】
<第2実施形態>
図10は、第2実施形態の炭化水素製造装置100Aの概略構成を示す説明図である。第2実施形態の炭化水素製造装置100Aは、第1実施形態の構成において、二酸化炭素回収装置200に代えて二酸化炭素回収装置200Aを有する。以下に説明する実施形態において、炭化水素製造装置100と同一の構成には同一の符号を付し、先行する説明を参照する。
【0087】
二酸化炭素回収装置200Aは、第1実施形態の二酸化炭素回収装置200の構成に加え、二酸化炭素濃度センサ82と、温度センサ83と、を有する。二酸化炭素濃度センサ82および温度センサ83は、排ガス流路20に設けられており、それぞれ、排ガス中の二酸化炭素濃度と排ガス温度を検出し、検出結果を二酸化炭素回収制御装置50に出力する。
【0088】
また、本実施形態の二酸化炭素回収装置200Aは、二酸化炭素回収制御装置50に代えて二酸化炭素回収制御装置50Aを有する。二酸化炭素回収制御装置50Aでは、破過時間予測部52における破過時間の予測方法と、水素流通量決定部53における水素流通量の算出方法が第1実施形態と異なる。また、記憶部54には、第1実施形態における定格排ガス流量55と処理可能排ガス量56に代えて、定格二酸化炭素流量57と、飽和吸着量マップ58と、が記憶されている。定格二酸化炭素流量57は、排ガス供給装置から供給される二酸化炭素の流量であり、排ガス供給装置毎に予め定められている。本実施形態において、定格二酸化炭素流量57として、炭化水素製造装置100に接続される排ガス供給装置固有の値が、予め、使用者等により入力されている。飽和吸着量マップ58は、吸着塔10の二酸化炭素吸着能力と、排ガス温度および二酸化炭素濃度との関係を示すマップである。実施形態では、予め、実験的に、吸着塔10における二酸化炭素吸着能力(最大吸着量)と排ガス温度および二酸化炭素濃度との関係を調べ、その結果を示すマップとして、使用者等により記憶部54に入力されている。また、炭化水素製造装置100Aの製造時に、予め、記憶されていてもよい。
【0089】
(破過時間予測処理)
図11は、第2実施形態における破過時間予測処理の流れを示すフローチャートである。
【0090】
ステップS31Aでは、破過時間予測部52は、二酸化炭素総量C(n)[L]を算出する。二酸化炭素総量C(n)は、吸着工程開始から予測時刻nまでに流入した二酸化炭素の総量である。破過時間予測部52は、流量計81から毎秒入力される排ガス流量の計測値[L/s]と二酸化炭素濃度センサ82から毎秒入力される二酸化炭素濃度の計測値とを用いて毎秒二酸化炭素流量[L/s]を算出し、二酸化炭素流量[L/s]の積算値を算出することにより、二酸化炭素総量C(n)を取得することができる。
【0091】
ステップS32Aでは、破過時間予測部52は、飽和吸着量Ca[L]を取得する。飽和吸着量Caは、吸着工程において、吸着塔10が吸着可能な二酸化炭素の総量(最大吸着量)であり、予測時刻nにおける排ガス温度(温度センサ83から取得)および二酸化炭素濃度(二酸化炭素濃度センサ82から取得)と、を用いて、記憶部54に記憶されている飽和吸着量マップ58から得ることができる。
【0092】
ステップS33Aでは、破過時間予測部52は、定格二酸化炭素流量Cf[L/s]を取得する。定格二酸化炭素流量Cfは、排ガスの供給源毎に予め定められた二酸化炭素の流量であり、上述の通り、定格二酸化炭素流量57として、記憶部54に予め記憶されている。破過時間予測部52は、定格二酸化炭素流量57を記憶部54から取得する。
【0093】
ステップS34Aでは、破過時間予測部52は、破過時間t(n)を下記式(3)により算出する。
t(n)=(Ca-C(n))/Cf … (3)
但し、t(n):予測時刻nにおいて予測される破過時間 Ca:飽和吸着量 C(n):予測時刻nまでに流入した二酸化炭素の総量 Cf:定格二酸化炭素流量
【0094】
式(3)において、Ca-C(n)は、予測時刻nにおいて残余の吸着工程の期間で吸着可能な二酸化炭素量(L)に相当する。そのため、式(3)により、予測時刻nにおける破過時間t(n)を求めることができる。時間の経過に伴い、予測時刻nにおいて吸着可能な二酸化炭素量が変化する(小さくなる)ため、予測される破過時間t(n)は、時間の経過に伴い短くなる。但し、二酸化炭素流量の変動に伴い、C(n)の増加量も変動するため、予測時刻nにおいて吸着可能な二酸化炭素量(Ca-C(n))の減少量も変動し、破過時間t(n)の減少量も変動する。
【0095】
本実施形態では、排ガスの流量、温度、二酸化炭素濃度を用いて、破過時間t(n)を予測している。吸着塔10における二酸化炭素の吸着量は、排ガスの流量、温度、二酸化炭素濃度によって異なるため、第1実施形態よりも、正確に破過時間を予測することができる。
【0096】
(水素流通量決定処理)
第2実施形態において、水素流通量決定部53は、水素流通量mf(n)を、下記の式(1)により算出する。
【0097】
mf(n)=(ma-mp)/t(n)… (1)
但し、mp:脱離工程が開始してから予測時刻nまでに吸着塔に流通した水素量、ma:脱離工程の全期間の間に吸着塔に流通可能な水素総量、t(n):予測時刻nにおける破過時間
【0098】
脱離工程が開始してから予測時刻nまでに吸着塔に流通した水素量mp[L]は、流量制御器30aから毎秒入力される水素流量[L/s]を積算することにより得ることができる。
【0099】
脱離工程の全期間の間に吸着塔に流通可能な水素総量maは、本実施形態では、以下のように求める。現脱離工程の前に行われた吸着工程において、吸着塔10内に吸着された二酸化炭素の総量を、流量計81から入力された排ガス流量と、二酸化炭素濃度センサ82から入力された二酸化炭素濃度と、温度センサ83から入力された温度と、飽和吸着量マップ58とを用いて予測し、予測した二酸化炭素吸着量を全て脱離させるのに必要な水素の量を算出し、水素総量ma[L]とする。水素総量maは、nがカウントアップされても、変更されない。
【0100】
破過時間t(n)は、上述の通り予測時刻nにおいて算出された破過時間である。
【0101】
吸着塔10に流入する排ガスの温度、二酸化炭素濃度が変化すると、二酸化炭素の飽和吸着量が変化する。詳しくは、排ガスの温度が低い程、飽和吸着量は大きく、排ガス中の二酸化炭素濃度が高いほど、飽和吸着量は大きい。本実施形態では、水素流通量mf(n)を、排ガス中の二酸化炭素濃度および排ガス温度を用いて算出された二酸化炭素吸着量に対応する水素総量maを用いて、水素流通量mf(t)を算出している。そのため、吸着塔10内部に吸着された二酸化炭素を脱離させるのに、より適切な(過不足ない)量に、水素流通量mf(n)を設定することができる。その結果、回収ガスの流量および濃度の変動をより抑制することができる。そして、製品ガスのメタン純度をさらに向上させることができる。
【0102】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。また、上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【0103】
・上記実施形態において、1つの吸着工程において、複数回に亘り、破過時間t(n)を予測すると共に水素流通量mf(n)を更新する例を示したが、1つの吸着工程において、破過時間を1回だけ予測し、予測された破過時間に基づいて水素流通量を決定してもよい。例えば、吸着工程の開始時に、排ガス流量を用いて破過時間を予測し、予測された破過時間に応じて、水素流通量を決定してもよい。このようにすると、水素流通量を変更しない場合や、破過時間に関わらず予め決定された水素流通量に変更する場合と比較して、回収ガスの流量および二酸化炭素の濃度変更を抑制することができる。特に、比較的、排ガス流量の変動が緩やか場合等は、適切に、回収ガスの流量および濃度の変動を抑制することができる。
【0104】
・上記実施形態において、1つの吸着工程において、複数回に亘り、破過時間t(n)を予測する場合に、破過時間t(n)と破過時間t(n-1)との関係による水素流通量mf(n)の決定の仕方の一例を示したが、水素流通量mf(n)の決定の仕方は、上記実施形態に限定されない。例えば、t(n-1)<t(n)+dtの場合に、水素流通量mf(n)を水素流通量mf(n-1)より低下させ、t(n-1)≧t(n)+dtの場合に、水素流通量mf(n)を維持(水素流通量mf(n-1)と同一)するようにしてもよい。このようにしても、少なくとも、吸着塔10への水素供給量の過多を抑制することができる。
【0105】
・破過時間の計算方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、排ガス流量と破過時間との関係示すマップ、関係式を用いて破過時間を求めてもよい。排ガス流量に、排ガス中の二酸化炭素濃度、排ガス温度を加え、それらと、破過時間との関係を示すマップ、関係式を用いて破過時間を求めてもよい。また、シミュレーションにより求めてもよい。
【0106】
水素流通量の決定方法は、上記実施形態に限定されない。例えば、第2実施形態において示した式(1)において、水素総量maを固定値としてもよい。具体的には、各工程において同量の二酸化炭素を吸着すると仮定して、当該量の二酸化炭素を分離させるのに必要な水素の量を、水素総量maとしてもよい。
【0107】
・上記実施形態では、二酸化炭素の破過に関する情報である二酸化炭素破過情報として、オフガスの温度を用いる例を示したが、他の情報を用いて、二酸化炭素の破過を予測してもよい。例えば、オフガス中の二酸化炭素濃度を、二酸化炭素破過情報として用いてもよい。具体的には、オフガス分流路23およびオフガス分流路24に、二酸化炭素濃度センサを設けて、オフガス中の二酸化炭素濃度に基づいて、二酸化炭素の流出を検知してもよい。また、排ガス流量とオフガス流量とを二酸化炭素破過情報として用いてもよい。具体的には、オフガス分流路23およびオフガス分流路24に、流量計を設けて、吸着塔10に流入する排ガスの流量と、吸着塔10から流出するガス(オフガス)の流量との差分から二酸化炭素の流出を検知してもよい。
【0108】
・上記実施形態において、二酸化炭素が破過する直前に、第1工程と第2工程とを切替える例を示したが、二酸化炭素が破過したときに第1工程と第2工程とを切替えてもよい。破過する直前に工程を切替えると、排ガスからの二酸化炭素回収効率を向上させることができるため、好ましい。
【0109】
・上記実施形態では、二酸化炭素回収装置が2つの吸着塔を備える例を示したが、3つ以上の吸着塔を備える構成にしてもよい。
【0110】
・上記実施形態では、1つの吸着塔において、吸着工程と脱離工程とを1サイクルとして、複数サイクルが繰り返し実行される例を示したが、さらに、別の工程が実行されてもよい。例えば、吸着工程と脱離工程と冷却工程とで1サイクルとしてもよいし、吸着工程と予熱工程と脱離工程と冷却工程とで1サイクルとしてもよい。
【0111】
・上記実施形態の二酸化炭素回収装置において、吸着塔の温度を調整する温度調整部(例えば、ヒータ、熱媒体等)を、さらに備える構成にしてもよい。
【0112】
・上記実施形態では、二酸化炭素回収制御の一例を示した。しかし、炭化水素回収制御の手順は種々の変更が可能であり、各ステップにおける処理内容の追加/省略/変更をしてもよく、ステップの実行順序を変更してもよい。
【0113】
・上記実施形態において、二酸化炭素回収装置と炭化水素生成部とを備える炭化水素製造装置を例示したが、二酸化炭素回収装置単体として構成してもよいし、二酸化炭素回収制御装置単体として構成してもよい。
【0114】
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0115】
10…吸着塔
11…第1吸着塔
11a、12a…吸着材
12…第2吸着塔
20…排ガス流路
21、22…排ガス分流路
21a…排ガス入口弁
22a…排ガス入口弁
23、24…オフガス分流路
25…オフガス流路
25a…三方弁
30…水素流路
30a…流量制御器
31、32…水素分流路
31a、32a…水素入口弁
40…回収ガス流路
41、42…回収ガス分流路
41a、42a…回収ガス出口弁
50、50A…二酸化炭素回収制御装置
51…工程制御部
52…破過時間予測部
53…水素流通量決定部
54…記憶部
55…定格排ガス流量
56…処理可能排ガス量
57…定格二酸化炭素流量
58…飽和吸着量マップ
60…炭化水素生成部
62…水素流路
62a…流量制御器
63…製品ガス流路
70…回収ガスタンク
72…回収ガス流路
81…流量計
82…二酸化炭素濃度センサ
83…温度センサ
84…温度センサ
85…温度センサ
100、100A…炭化水素製造装置
200、200A…二酸化炭素回収装置