(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163290
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/21 20060101AFI20221019BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20221019BHJP
E04B 1/20 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
E04B1/21 B
E04B1/58 507A
E04B1/58 508A
E04B1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068139
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】島崎 大
(72)【発明者】
【氏名】石倉 敦
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 一輝
(72)【発明者】
【氏名】木内 佑輔
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB12
2E125AC02
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG28
2E125BB08
2E125BB09
2E125BB22
2E125BD01
2E125BE07
2E125CA05
2E125CA82
(57)【要約】
【課題】施工性の向上や工期短縮を図ることができる構造物を提供する。
【解決手段】2層にわたって配置されるプレキャストコンクリート製の柱部材4と、2スパンにわたって配置されるプレキャストコンクリート製の梁部材5と、柱部材4と梁部材5とをピン接合する第2接合部62(ピン接合部)と、を有する。柱部材4の長さ方向の端部4a,4bが梁部材5の長さ方向の中央部5cと接合され、梁部材の長さ方向の端部5a,5bが柱部材4の長さ方向の中央部4cと接合され、柱部材4の長さ方向の端部4a,4bと梁部材5の長さ方向の中央部5cとの第1接合部61は、剛接合され、梁部材5の長さ方向の端部5a,5bと柱部材4の長さ方向の中央部4cとの第2接合部62は、ピン接合部である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2層にわたって配置されるプレキャストコンクリート製の柱部材と、2スパンにわたって配置されるプレキャストコンクリート製の梁部材と、
前記柱部材と前記梁部材とをピン接合するピン接合部と、を有する構造物。
【請求項2】
前記柱部材の長さ方向の端部が前記梁部材の長さ方向の中央部と接合され、
前記梁部材の長さ方向の端部が前記柱部材の長さ方向の中央部と接合され、
前記柱部材の長さ方向の端部と前記梁部材の長さ方向の中央部との第1接合部は、剛接合され、
前記梁部材の長さ方向の端部と前記柱部材の長さ方向の中央部との第2接合部は、前記ピン接合部である請求項1に記載の構造物。
【請求項3】
前記第2接合部は、前記柱部材の長さ方向の中央部に設けられた鉄骨コーベルに前記梁部材の長さ方向の端部が接合されている請求項2に記載の構造物。
【請求項4】
前記構造物は、
平面視における中央部に配置されるコア耐震要素と、
平面視における外周部に配置される外周フレームと、を有し、
前記コア耐震要素は、地震力を負担するように構成され、
前記外周フレームは、前記柱部材と、前記梁部材と、を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
プレキャスト構造を用いた高層建築物では、各層ごとに同一のプレキャスト部材の割り付けが計画されている。このような高層建築物では各層ごとに建方を行うため、互いに接合されるプレキャスト部材間にグラウト材を注入する前は、プレキャスト部材を支持するための十分な仮設部材を設置する必要がある。また、フルプレキャスト部材であっても、いずれかの部位に現場打ちコンクリートで施工する箇所が発生し、現場打ちコンクリートの施工が工程上のクリティカルポイントとなることがある。
【0003】
これに対し、近年では、高層建築物などの構造物に、複数層にわたるプレキャスト構造の柱部材や、複数スパンにわたるプレキャスト構造の梁部材を採用する工法も知られている(例えば、特許文献1参照)。このような工法では、部材点数を減らすことができ、楊重数量が削減されて施工性がよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構造物では、柱部材と梁部材との接合が全て剛接合であるため施工性や工期に影響する虞がある。
【0006】
本発明は、施工性の向上や工期短縮を図ることができる構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造物は、2層にわたって配置されるプレキャストコンクリート製の柱部材と、2スパンにわたって配置されるプレキャストコンクリート製の梁部材と、前記柱部材と前記梁部材とをピン接合するピン接合部と、を有する。
【0008】
本発明では、柱部材と梁部材とをピン接合するピン接合部を有することにより、柱部材が2層にわたり、梁部材が2スパンにわたる長さであっても、柱部材と梁部材の接合を剛接合のみとする構造物と比べて、簡便な構成とすることにより、施工性の向上および工期の短縮を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る構造物では、前記柱部材の長さ方向の端部が前記梁部材の長さ方向の中央部と接合され、前記梁部材の長さ方向の端部が前記柱部材の長さ方向の中央部と接合され、前記柱部材の長さ方向の端部と前記梁部材の長さ方向の中央部との第1接合部は、剛接合され、前記梁部材の長さ方向の端部と前記柱部材の長さ方向の中央部との第2接合部は、前記ピン接合部であってもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、構造物を剛接合とピン接合とを組みわせた構造とすることができる。そして、柱部材の長さ方向の端部と梁部材の長さ方向の中央部との第1接合部を剛接合し、梁部材の長さ方向の端部と柱部材の長さ方向の中央部との第2接合部をピン接合部として、第1接合部よりも簡便な構成とすることにより、施工性の向上および工期の短縮を図ることができる。
また、柱部材の長さ方向の中央部に梁部材が接合され、梁部材の長さ方向の中央部に柱部材が接合されるため、建方時も安定した状態で施工することができる。また、現場打ちコンクリートを無くすことができ、工期短縮を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る構造物では、前記第2接合部は、前記柱部材の長さ方向の中央部に設けられた鉄骨コーベルに前記梁部材の長さ方向の端部が接合されていてもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、第2接合部をより簡便な構造とすることができるため、更に施工性の向上および工期の短縮を図ることができる。
【0013】
また、本発明に係る構造物では、前記構造物は、平面視における中央部に配置されるコア耐震要素と、平面視における外周部に配置される外周フレームと、を有し、前記コア耐震要素は、地震力を負担するように構成され、前記外周フレームは、前記柱部材と、前記梁部材と、を有する構成としていてもよい。
【0014】
このような構成とすることにより、外周フレームに作用する荷重の負担を軽減することができ、剛接合とピン接合とが混在する構造であっても、必要な剛性や耐力を確保することができる。また、柱部材や梁部材の断面形状の縮小を図ることができ、2層分や2スパン分の柱部材や梁部材であっても、軽量化を図ることができる。また、柱部材と梁部材を同程度の長さや重さとすることで、楊重計画を簡便にすることができる。コア耐震要素とは、例えば、RCコアウォールや鉄骨ブレースなど、剛性および耐力を高めるために設けられる要素を示している。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工性の向上や工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態による構造物の平面図である。
【
図2】柱部材と梁部材の組み方を示す模式図である。
【
図3】柱部材と梁部材の組み方を示す斜視図である。
【
図4】第1接合部および第2接合部の斜視図である。
【
図5】(A)は第1接合部の鉛直断面図、(B)は(A)のA-A断面図である。
【
図6】(A)は第2接合部の鉛直断面図、(B)は(A)のB-B断面図、(C)は鉄骨コーベルの正面図である。
【
図7】梁部材を庇として利用する形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態による構造物について、
図1-
図8に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態による構造物1は、プレキャスト構造を用いた高層建築物である。構造物1の平面形状は、長方形である。この長方形の辺に沿った方向をX方向(図の矢印Xの方向)、Y方向(図の矢印Yの方向)とする。本実施形態では、構造物1の各層は同じ高さ(階高)に設計されている。
【0018】
構造物1は、上下方向から見た平面視における中央部分に配置されるコアウォール2(コア耐震要素)と、平面視における外周部分に配置される外周フレーム3と、を有している。コアウォール2は、外周フレーム3よりも剛性が高く設定され、コア耐震要素として設けられている。コアウォール2は、構造物1全体に作用する地震力のほぼ全部を負担するように構成されている。外周フレーム3は、外周フレーム3に作用する鉛直力を負担し、地震力はほとんど負担しないように構成されている。コアウォール2は、平面視で辺がX方向およびY方向に延びる長方形の枠状に形成されている。コアウォール2の内側には、例えば構造物1のコア部が配置され、コアウォール2の外側には、例えば居室などが配置される。
【0019】
外周フレーム3は、平面視で辺がX方向およびY方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
図2および
図3に示すように、外周フレーム3は、複数のプレキャストコンクリート製の柱部材4および複数のプレキャストコンクリート製の梁部材5を接合して構築されている。1つの柱部材4は、2層(2階)の長さに形成され、2層にわたって設置される。柱部材4は、同じスパンで配列されている。1つの梁部材5は、2スパンの長さに形成され、2スパンにわたって配置される。
【0020】
X方向またはY方向に隣り合う柱部材4は、1層分(1階分)異なる高さに配置されている。すなわち、n階およびn+1階にわたって配置される柱部材4Aと、n+1階およびn+2階にわたって配置される柱部材4Bとが水平方向に交互に配列されている。なお、n階およびn+1階にわたって配置される柱部材4Aの隣には、n+1階およびn+2階にわたって配置される柱部材4Bの下側に位置する柱部材4A、すなわちn-1階およびn階にわたって配置される柱部材4Cも配置されている。なお、
図3では、n階およびn+1階にわたって配置される柱部材4Aの上下に配置される柱部材4を省略している。このように、X方向およびY方向に配列される柱部材4は、1つおきに同じ高さに配置される。隣り合う柱部材4は、一方の柱部材4の高さ方向の中央部4cと、他方の柱部材4の上端部4aまたは下端部4bの高さとが同じ高さに配置される。
【0021】
ここで、n階およびn+1階にわたって配置される1つの柱部材4Aを第1柱部材41とし、第1柱部材41のX方向の一方側に隣接しn+1階およびn+2階にわたって配置される柱部材4Bを第2柱部材42とし、第2柱部材42の下に配置され、n-1階およびn階にわたって配置される柱部材4Cを第3柱部材43とし、第2柱部材42および第3柱部材43のX方向の一方側に隣接しn階およびn+1階にわたって配置される柱部材4Aを第4柱部材44とする。
【0022】
梁部材5は、1つの柱部材4を挟んで配置された2つの柱部材4それぞれの高さ方向の中央部4cの間に架設されている。例えば、第1柱部材41と第4柱部材44との間に架設される梁部材5Aは、X方向の一方側の端部5aが第1柱部材41の高さ方向の中央部41cに接合され、X方向の他方側の端部5bが第4柱部材44の高さ方向の中央部44cに接合されている。梁部材5AのX方向の中央部5cには、上側に第2柱部材42の下端部42bが接合され、下側に第3柱部材43の上端部43aが接合されている。
【0023】
このように、柱部材4の上端部4aおよび下端部4bは、梁部材5の長さ方向の中央部5cに接合されている。柱部材4の上端部4aは、梁部材5の長さ方向の中央部5cに下方から接合され、柱部材4の下端部4bは、梁部材5の長さ方向の中央部5cに上方から接合されている。梁部材5の長さ方向の端部5a,5bは、柱部材4の高さ方向の中央部4cに接合されている。
【0024】
柱部材4の上端部4aと梁部材5の長さ方向の中央部5cとの接合部、および柱部材4の下端部4bと梁部材5の長さ方向の中央部5cとの接合部を第1接合部61とし、梁部材5の長さ方向の端部5a,5bと柱部材4の高さ方向の中央部4cとの接合部を第2接合部62とする。
【0025】
第1接合部61は、機械式継手によって接合されている。
図4および
図5に示すように、第1接合部61は、梁部材5の長さ方向の中央部5cから上方に突出する鉄筋51が、この梁部材5の上側に接合される柱部材4の下端部4bに形成された孔部45に挿入され、梁部材5の長さ方向の中央部5cから下方に突出する鉄筋51が、この梁部材5の下側に接合される柱部材4の上端部4aに形成された孔部45に挿入され、孔部45にグラウト材が充填されている。第1接合部61は、剛接合による接合部である。
図5では、柱部材4および梁部材5の鉄筋を省略している。
【0026】
第2接合部62は、ボルト接合されている。
図4および
図6に示すように、第2接合部62は、柱部材4の高さ方向の中央部4cから側方に突出する鉄骨コーベル7に、梁部材5の端部5a,5bがボルト接合されている。第2接合部62は、ピン接合による接合部である。
図6では、柱部材4および梁部材5の鉄筋を省略している。
【0027】
鉄骨コーベル7は、柱部材4に固定される固定部71と、固定部71から水平方向に突出する突出部72と、を有している。固定部71は、平板状に形成され、柱部材4の周面に沿って配置される。本実施形態では、柱部材4を挟んだ両側に鉄骨コーベル7が設けられている。柱部材4の両側に配置された鉄骨コーベル7,7は、それぞれの固定部71が、柱部材4を貫通するPC鋼棒73によって柱部材4に固定されている。鉄骨コーベル7,7は、PC鋼棒73によりプレストレスが与えられ、局所的な曲げ耐力が与えられている。
【0028】
本実施形態では、突出部72は、T形鋼である。突出部72は、その軸線方向が固定部71から突出する方向となる向きに配置されている。突出部72は、フランジ721がウェブ722よりも上側となる向きに配置されている。フランジ721には、ボルト74が挿通される孔部723が形成されている。梁部材5の端部5a,5bには、下方に開口するめねじ52が設けられている。梁部材5の端部5a,5bのめねじ52が鉄骨コーベル7の突出部72のフランジ721の孔部723の上に配置され、フランジ721の孔部723に下側から挿通されたボルト74がめねじ52に締結されることで、梁部材5の端部5a,5bが柱部材4の高さ方向の中央部4cと接合されている。
【0029】
外周フレーム3は、梁部材5の中央部5cに柱部材4の上端部4aおよび下端部4bが接合され、柱部材4の中央部4cに梁部材5の端部5a,5bが接合されるため、第1接合部61と第2接合部62とが上下方向および水平方向(X方向、Y方向)に交互に配置されている。すなわち、第1接合部61と第2接合部62とが千鳥状配置されている。
【0030】
本実施形態では、柱部材4の長さ方向の中央部4cに、平面視で外周フレーム3の内側となる側に突出す突出部46が設けられている。また、梁部材5の長さ方向の中央部5cに、平面視で外周フレーム3の内側となる側に突出する突出部52が設けられている。これらの突出部46,52は、外周フレーム3の内側に設けられる梁材81を受けるために設けられている。突出部46,52には、外周フレーム3の内側に設けられる梁材81が接合される。
【0031】
次に、上記の本実施形態による構造物1の作用・効果について説明する。
上記の本実施形態による構造物1では、柱部材4と梁部材5とをピン接合する第2接合部62(ピン接合部)を有している。これにより、柱部材4が2層にわたり、梁部材5が2スパンにわたる長さであっても、柱部材4と梁部材5との接合を剛接合のみとする構造物と比べて、簡便な構成とすることにより、施工性の向上および工期の短縮を図ることができる。
【0032】
また、上記の本実施形態による構造物1では、柱部材4の端部4a,4bと梁部材5の長さ方向の中央部5cとの第1接合部61が剛接合であり、梁部材5の長さ方向の端部5a,5bと柱部材4の長さ方向の中央部4cとの第2接合部62がピン接合である。
このように剛接合とピン接合とを組み合わせた構造とすることができるため、ピン接合部の第2接合部62を剛接合部の第1接合部61よりも簡便な構成とすることにより、施工性の向上および工期の短縮を図ることができる。
【0033】
また、上記の本実施形態による構造物1では、柱部材4の長さ方向の中央部4cに梁部材5が接合され、梁部材5の長さ方向の中央部5cに柱部材4が接合されることにより、建方時も1つおきに固定された柱部材4があるため、安定した状態で施工することができる。また、水平方向の鉄筋機械式継手が不要のため、現場打ちコンクリートを無くすことができ、工期短縮を図ることができる。
【0034】
また、上記の本実施形態による構造物1では、第2接合部62は、柱部材4の長さ方向の中央部4cに設けられた鉄骨コーベル7に梁部材5の長さ方向の端部5a,5bを接合している。
このような構成とすることにより、第2接合部62をより簡便な構成とすることができるため、更に施工性の向上および工期の短縮を図ることができる。
【0035】
また、上記の本実施形態による構造物1では、コアウォール2は、構造物1全体に作用する地震力のほぼ全部を負担するように構成されている。外周フレーム3は、外周フレーム3に作用する鉛直力を負担し、地震力はほとんど負担しないように構成されている。
このような構成とすることにより、外周フレーム3に作用する荷重の負担を軽減することができ、外周フレーム3が剛接合とピン接合とが混在する構造であっても、必要な剛性や耐力を確保することができる。また、柱部材4や梁部材5の断面形状の縮小を図ることができ、2層分や2スパン分の柱部材4や梁部材5であっても、軽量化を図ることができる。また、柱部材4と梁部材5を同程度の長さや重さとすることで、楊重計画を簡便にすることができる。
【0036】
また、本実施形態では、コアウォール2が構造物1全体の地震力を負担し、外周フレーム3は、ほぼ鉛直力のみを負担するように設計されている。外周フレーム3は、外周フレーム3の内側に設けられる梁材81とは接続されているが、床スラブ83とは直接接続されてはいない。これにより、外周フレーム3の梁部材5の高さを、床スラブ83の高さを考慮せずに任意の高さに設定することができる。例えば、
図7に示すように、外周フレーム3の梁部材5を構造物の内部に挿し込む日射84を遮るための庇82として利用できるように、梁部材5の床スラブ83からの高さを任意に設定することができる。
【0037】
以上、本発明による構造物1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第2接合部62は、柱部材4の高さ方向の中央部4cに設けられた鉄骨コーベル7に梁部材5の長さ方向の端部5a,5bが接合されている。これに対し、
図8に示すように、柱部材4の高さ方向の中央部4cに突出するように柱側鉄骨91を設け、梁部材5の長さ方向の端部5aに突出するように梁側鉄骨92が設け、柱側鉄骨91と梁側鉄骨92とをガセットプレート(不図示)を介して接合することで柱部材4の高さ方向の中央部4cに梁部材5の長さ方向の端部5aを接合するようにしてもよい。
【0038】
また、上記の実施形態では、構造物1における平面視における中央部分にコア耐震要素としてコアウォール2が配置されている。コアウォール2が外周フレーム3よりも剛性が高く設定され、コア耐震要素として設けられている。これに対し、構造物1における平面視における中央部分に、コア耐震要素として鉄骨ブレースなどの剛性の高い部材が設けられていてもよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、コアウォール2が構造物1全体に作用する地震力のほぼ全部を負担するように構成されている。そして、外周フレーム3が本発明の柱部材4および梁部材5で組まれている。これに対し、構造物1の平面視における中央部分にコアウォール2が設けられていなくてもよい。また、外周フレーム3が地震力を負担するように構成されていてもよい。また、構造物1の外周部分の外周フレーム3のみでなく、外周フレーム3の内側も本発明の柱部材4および梁部材5で組まれていてもよいし、構造物1の任意の領域が本発明の柱部材4および梁部材5で組まれていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 構造物
2 コアウォール
3 外周フレーム
4 柱部材
4a 上端部(端部)
4b 下端部(端部)
4c,41c,44c 中央部
5 梁部材
5a 端部
5b 端部
5c 中央部
7 鉄骨コーベル
61 第1接合部
62 第2接合部(ピン接合部)