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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163304
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】物品払出装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/44 20060101AFI20221019BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20221019BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G07F11/44
G07F9/00 108
G07F9/00 107C
G07F9/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068162
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】503097185
【氏名又は名称】株式会社エクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】金谷 龍坤
【テーマコード(参考)】
3E044
3E046
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044BA01
3E044BA02
3E044DA03
3E044DA08
3E044FA02
3E044FB05
3E044FB06
3E044FB07
3E044FB08
3E044FB17
3E046AA04
3E046BA01
3E046BB07
3E046CA15
3E046DA01
3E046EB01
3E046FA03
3E046GA02
3E046GA03
3E046HA03
3E046HA06
(57)【要約】
【課題】払出部の故障を効果的に防止するとともに従来よりも多くの物品を収納することが可能な物品払出装置を提案する。
【解決手段】物品払出装置1は、複数の物品Cが収納される収納部9と、収納部9の下方に設けられ収納部9から少なくとも一つの物品Cを払い出す払出部10とを備え、収納部9は、払出部10の上方において一側に位置する一側端部13aから他側に位置する他側端部13bまで下向きに傾いて延在して物品Cを支持する一方、他側端部13bから払出部10へ物品Cを落下させる仕切部材13を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が収納される収納部と、当該収納部の下方に設けられ当該収納部から少なくとも一つの物品を払い出す払出部とを備える物品払出装置であって、
前記収納部は、前記払出部の上方において一側に位置する一側端部から他側に位置する他側端部まで下向きに傾いて延在して物品を支持する一方、当該他側端部から当該払出部へ物品を落下させる仕切部材を備える物品払出装置。
【請求項2】
前記仕切部材に対して前記一側から前記他側に向かう向きに移動可能に取り付けられ、当該一側へ移動させると前記他側端部から前記払出部への物品の落下を許容する一方、当該他側へ移動させると当該他側端部から当該払出部への物品の落下を阻止する移動部材を備える請求項1に記載の物品払出装置。
【請求項3】
前記収納部は、開閉可能な扉の内側に設けられるレールと、当該レールにスライド可能に支持される区画部材とを備え、
前記レールは、当該レールの上部において、前記区画部材を取着可能な切欠き部を有する請求項1又は2に記載の物品払出装置。
【請求項4】
前記区画部材は、棒状部材を挿入可能な開口を有し、
前記仕切部材は、前記区画部材を上方に向けてスライドさせ且つ前記開口に前記棒状部材を挿入した状態で当該棒状部材を支持する受け部を有する請求項3に記載の物品払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納した物品を払い出す物品払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガチャポン(登録商標)と称される物品払出装置が知られている。この種の物品払出装置として特許文献1には、商品が内包されたカプセルを物品とするカプセル払出装置が示されている。
【0003】
特許文献1の装置は、複数のカプセルが収納される収納部と、収納部の下方に設けられて収納部から一つのカプセルを払い出す払出部とを備えている。払出部には、利用者がハンドルを回転させることによって回転する回転盤が設けられていて、回転盤には、一つのカプセルが収まる貫通孔が形成されている。また払出部には、貫通孔の下方に位置するシュート孔と、シュート孔に連通するとともに払出部の出口になる払出口が設けられている。そして利用者がハンドルを操作して回転盤が回転すると、貫通孔に収まったカプセルが回転盤とともに移動し、貫通孔がシュート孔の真上に位置するところでカプセルが落下するため、利用者は払出口からカプセルを取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-025856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来の物品払出装置において、収納部に収納可能な物品の数は限られている。これは収納部に多数の物品を収納すると、その重量によって払出部を構成する各部材に負荷がかかって、故障につながることがあるためである。例えば従来の物品払出装置において直径が75mm程度のカプセルを使用する場合、収納部に収納されるカプセルの数は最大でも100個程度であって、これ以上収納しようとすると、払出部の故障を引き起こすおそれがあった。
【0006】
一方、収納部に収納可能な物品の数が増えれば、その分、物品の種類も増えるため、利用者への訴求効果を高めることができる。また収納部に収納可能な物品の数が増えると、装置に物品を補充する頻度を減らすことができるため、メンテナンス性の点でも優れている。
【0007】
これらの点を鑑み、本発明は、払出部の故障を効果的に防止するとともに従来よりも多くの物品を収納することが可能な物品払出装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の物品が収納される収納部と、当該収納部の下方に設けられ当該収納部から少なくとも一つの物品を払い出す払出部とを備える物品払出装置であって、前記収納部は、前記払出部の上方において一側に位置する一側端部から他側に位置する他側端部まで下向きに傾いて延在して物品を支持する一方、当該他側端部から当該払出部へ物品を落下させる仕切部材を備える物品払出装置である。
【0009】
このような物品払出装置は、前記仕切部材に対して前記一側から前記他側に向かう向きに移動可能に取り付けられ、当該一側へ移動させると前記他側端部から前記払出部への物品の落下を許容する一方、当該他側へ移動させると当該他側端部から当該払出部への物品の落下を阻止する移動部材を備えることが好ましい。
【0010】
またこのような物品払出装置において、前記収納部は、開閉可能な扉の内側に設けられるレールと、当該レールにスライド可能に支持される区画部材とを備え、前記レールは、当該レールの上部において、前記区画部材を取着可能な切欠き部を有することが好ましい。
【0011】
そして前記区画部材は、棒状部材を挿入可能な開口を有し、前記仕切部材は、前記区画部材を上方に向けてスライドさせ且つ前記開口に前記棒状部材を挿入した状態で当該棒状部材を支持する受け部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の物品払出装置によれば、払出部の上方に位置する仕切部材によって収納部に収納した物品を下方から支持することができるため、より多くの物品を収納する場合でも、払出部に対して直接的に重量が加わる物品の数を減らすことができる。このため、従来よりも多くの物品を収納しつつ、払出部の故障を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る物品払出装置の一実施形態を示した斜視図である。
図2図1に示した物品払出装置に関し、収納部の内部を示した斜視図である。
図3図1に示した物品払出装置に関する右側面視での断面図である。
図4】移動部材を後側に移動させるとともに区画部材を上方に移動させた状態での右側面視での断面図である。
図5図1に示した物品払出装置を含むシステムについて示した図である。
図6】利用者端末装置に表示されるwebサイトの一例を示した図である。
図7】利用者端末装置に表示されるwebサイトの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係る物品払出装置の一実施形態について説明する。なお以下の説明において、上、下、右、左、前、後とは、図1に示した向きである。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態である物品払出装置1における斜視図である。なお図1は、下記に説明する扉8を開いた状態で示している。また図2は、物品払出装置1における右側部分を破断して下記に説明する区画部材11を仮想線で示すことによって、内部が表れる状態で示している。そして図3は、物品払出装置1における右側面視での断面図である。また本実施形態の物品払出装置1は、球状のカプセルCを払い出すように構成されている。
【0016】
本実施形態の物品払出装置1は、右側パネル2、左側パネル3、後側パネル4、上側パネル5、下側パネル6、前側下パネル7、扉8を備えていて、全体的に縦長直方体状に形作られている。これらのパネルはねじ等によって組み付けられていて、通常の使用において取り外されることはない。これに対して扉8は、図示したように左側を支点として回転することができるように構成されている。なお扉8は、通常時は閉じられた状態になっていて、カプセルCの補充等を行う場合に図示したように開かれる。また扉8の全体又は一部には、透明又は半透明になる素材(例えばガラスやアクリル樹脂)が用いられていて、扉8の内側が視認できるようになっている。
【0017】
上述したパネル及び扉8の内側には、複数のカプセルCが収納される収納空間Sを有する収納部9と、収納部9の下方に設けられ、収納部から一つの物品を払い出すことが可能な払出部10が設けられている。
【0018】
まず、収納部9の構成について説明する。本実施形態の収納部9は、扉8の内側に設けられる板状の区画部材11を備えている。区画部材11は、全体又は一部が透明又は半透明になるものであって、本実施形態では、その全体がアクリル樹脂で形成されている。本実施形態の物品払出装置1は、区画部材11を3つ備えている。また本実施形態の区画部材11は、図1図3に示すように、扉8の上下方向長さに対して約1/4の上下方向長さで形成されていて、その上部と下部には、前方に向けて突出する持ち手部11aが設けられている。また図1に示すように区画部材11の左右方向中央部には、円形の孔(開口11b)が設けられている。
【0019】
また物品払出装置1は、図2に示すように扉8の内側において、区画部材11の左右に位置するレール12を備えている。レール12は、図3の部分拡大図に示すように前後方向に間隔をあけた2つの板状部(前方板状部12aと後方板状部12b)が上下方向に延在するものであって、前方板状部12aと後方板状部12bの間に区画部材11が収まるように構成されている。これにより区画部材11は、レール12に対して上下方向にスライド可能に支持される。また、前方板状部12aの上部には切欠き部12cが設けられ、前方板状部12aの長さは後方板状部12bよりも短くなっているため、区画部材11を上方に向けてスライドさせることによりレール12から取り外すことができる。また取り外した区画部材11をレール12に取り付けるにあたっては、この切欠き部12cから前方板状部12aと後方板状部12bの間に挿入する。
【0020】
なお本実施形態において、カプセルCが収納される収納空間Sは、払出部10の上方において右側パネル2、左側パネル3、後側パネル4、上側パネル5、及び区画部材11で区画される空間である。
【0021】
収納空間Sには、板状になる2つの仕切部材(第一仕切部材13、第二仕切部材14)が設けられている。第一仕切部材13は、後述するホッパー18の上方に設けられている。また第一仕切部材13は、その前側に位置する第一前側端部13aから後側に位置する第一後側端部13bまで下向きに傾いて延在している。なお第一前側端部13aは、下から2番目の区画部材11に対して隣接する位置にある。また第一後側端部13bは、ホッパー18の前後方向中央部よりもやや後側に位置していて、第一後側端部13bと後側パネル4の間には隙間があいている。そして図2に示すように第一前側端部13aの左右方向中央部には、第一前方折り曲げ部13cが設けられていて、第一前方折り曲げ部13cには、これを貫通する円形の孔(受け部13d)が設けられている。また第一仕切部材13の左右方向端部には、図3に示すように下方に向けて延在する第一右側折り曲げ部(図3では不図示)と第一左側折り曲げ部13eが設けられている。なお、第一右側折り曲げ部と第一左側折り曲げ部13eの外側には、図3に示すように上下方向に複数の孔を備えるブラケット15が、右側パネル2と左側パネル3の内側において前側と後側に一対設けられていて、第一右側折り曲げ部と第一左側折り曲げ部13eには、ブラケット15の孔に適合する円形又は長形の孔が設けられている。そして、ブラケット15の孔や第一左側折り曲げ部13e等の孔に挿入されるねじ等の固着手段を利用することにより、第一仕切部材13をブラケット15に固定することができる。なお、ブラケット15に設けた複数の孔を適宜選択することによって、第一仕切部材13の位置や角度は任意に変更することができる。
【0022】
第一仕切部材13の下方には、第一仕切部材13の下面に沿って前側から後側に向かう向きに移動可能に取り付けられる板状の第一移動部材16が設けられている。図示は省略するが、第一仕切部材13及び第一移動部材16の何れか一方には円形の孔が設けられ、何れか他方には前後方向に長く延在する長形の孔が設けられている。そしてこれらの孔に挿入されるねじ等の固着手段を利用することにより、図3に示すように第一仕切部材13の内側に隠れる状態から図4に示すように第一後側端部13bよりも後側に突出する状態まで、第一移動部材16を移動させ、且つその位置で固定することができる。すなわち第一移動部材16によって、第一仕切部材13の長さを後方に向けて任意に延長することができる。
【0023】
そして第二仕切部材14は、第一仕切部材13の上方に設けられていて、その後側に位置する第二後側端部14bから前側に位置する第二前側端部14aまで下向きに傾いて延在している。なお第二後側端部14bは、後側パネル4に対して隣接する位置にあり、第二前側端部14aは、ホッパー18の前後方向中央部よりもやや前側に位置していて、第二前側端部14aと区画部材11との間には隙間があいている。すなわち第二後側端部14bは、第一後側端部13bと後側パネル4の間に設けられた隙間に対し、その上方を覆う位置に設けられている。また第二仕切部材14の左右方向端部には、上述した第一右側折り曲げ部と第一左側折り曲げ部13eと同様の構成になる第二右側折り曲げ部(図3では不図示)と第二左側折り曲げ部14eが設けられていて、第二右側折り曲げ部と第二左側折り曲げ部14eの外側には、上述したブラケット15が設けられている。ブラケット15に設けた複数の孔を適宜選択することによって、第二仕切部材14の位置や角度も任意に変更することができる。
【0024】
また第二仕切部材14の下方には、第二仕切部材14の下面に沿って後側から前側に向かう向きに移動可能に取り付けられる板状の第二移動部材17が設けられている。第二仕切部材14と第二移動部材17にも、第一仕切部材13と第一移動部材16のような円形、長形の孔が設けられている。そしてこれらの孔に挿入されるねじ等の固着手段を利用することにより、第二仕切部材14の内側に隠れる状態(図3図4を参照)から第二前側端部14aよりも前側に突出する状態(不図示)まで、第二仕切部材14を移動させ、且つその位置で固定することができる。すなわち第二移動部材17によって、第二仕切部材14の長さを前方に向けて任意に延長することができる。
【0025】
次に払出部10の構成について説明する。本実施形態の払出部10は、収納空間Sの下方に位置するホッパー18を備えている。本実施形態のホッパー18は、上方から下方に向かって縮径するホッパー上部18aと、有底円筒状になるホッパー下部18bとを備えている。ホッパー下部18bの内側には、円板状をなしていて不図示のモータによって回転する回転盤19が設けられている。なおモータは、不図示の硬貨・紙幣投入口から硬貨・紙幣を入れた後、利用者が図1に示したボタン20を押すことによって駆動するよう構成されている。
【0026】
回転盤19には、カプセルCが一つ収まる貫通孔19aが周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。なお、ホッパー下部18bの底部には、カプセルCが通過可能なシュート孔18cが一つ設けられていて、回転盤19が回転すると貫通孔19aに収まった一つのカプセルCがシュート孔18cから落下する。
【0027】
シュート孔18cの下方には、中空状をなし、後側から前側に向けて傾いて延在するシュート部21が設けられている。またシュート部21の下方には、箱形状であって、シュート部21につながるボックス22が設けられている。これによりシュート孔18cから落下したカプセルCは、ボックス22まで移動する。そしてボックス22の前側には、図1に示すように払出口23が設けられていて、利用者は払出口23からカプセルCを取り出すことができる。
【0028】
このような物品払出装置1は、扉8の全体又は一部が透明又は半透明であって、区画部材11も透明又は半透明であるため、利用者は、収納空間Sに収納したカプセルCを外側から視認することができる。後述するように本実施形態の物品払出装置1は、従来よりも多数のカプセルCを収納空間Sに収納することができ、それ故多種のカプセルCを利用者に提示することができるため、従来に比して高い訴求効果を有している。またホッパー18の上方には第一仕切部材13が設けられていて、第一仕切部材13によってカプセルCが下方から支持されるため、回転盤19に対して直接的に重量が加わるカプセルCの数を減らすことができる。特に本実施形態においては、第一仕切部材13の上方に設けた第二仕切部材14が、第一後側端部13bと後側パネル4の間に設けられた隙間に対し、その上方を覆う位置に設けられているため、この隙間から回転盤19に直接的に重量が加わるカプセルCの数も減ることになる。従って、多数のカプセルCを収納空間Sに収納しても、回転盤19の故障を効果的に防止することができる。なお本実施形態の物品払出装置1で確認を行ったところ、直径が75mm程度のカプセルCを収納空間Sに350個程度収納することができ、この状態でも回転盤19の故障を効果的に防止することが可能であった。
【0029】
なお第一仕切部材13は、第一前側端部13aから第一後側端部13bまで下向きに傾いて延在しているため、第一仕切部材13と第二仕切部材14の間に位置するカプセルCは、その自重でもって第一後側端部13bと後側パネル4の間に設けられた隙間に向けて移動する。また第二仕切部材14は、第二後側端部14bから第二前側端部14aまで下向きに傾いて延在しているため、第二仕切部材14の上方に位置するカプセルCは、その自重でもって第二前側端部14aと区画部材11との間に設けられた隙間に向けて移動する。すなわち、収納空間SのカプセルCは、第二仕切部材14の上方において後側から前側に向けて移動し、その後、第一仕切部材13の上方において前側から後側に向けて移動するという連続した一つの流れのもとで、ホッパー18に向けてスムーズに移動するため、カプセルCが途中で詰まってしまう等の不具合を効果的に抑制することができる。
【0030】
ところで従来の物品払出装置は、収納部に物品を補充するにあたって上側のパネルを開くものがあるが、多数のカプセルCを収納できるようにするべく収納部を大きくすると、物品払出装置の高さが高くなって上側のパネルを開く際の作業性が悪くなる。一方、本実施形態の物品払出装置1は、前側に設けられた扉8を開いてカプセルCを補充することが可能であるため作業性に優れる。
【0031】
また収納空間Sに比較的多数のカプセルCが残っている状態で扉8を開いても、区画部材11によってカプセルCが物品払出装置1の外に転がり落ちることがない。すなわち、本実施形態の物品払出装置1によれば、カプセルCをこまめに補充することも可能である。なお、カプセルCを補充するにあたって区画部材11は取り付けたままでもよいが、これを取り外すことによって補充しやすくなるうえ、カプセルCの損傷を防止することができる。すなわち、カプセルCの残量が少ない状態で区画部材11を取り付けたままカプセルCの補充を行うと、補充するカプセルCを高い位置から落下させることになるためカプセルCが損傷するおそれがある。一方、本実施形態の物品払出装置1は、3つの区画部材11をレール12からそれぞれ取り外すことができ、カプセルCの残量に応じてこれを取り外すことによって、カプセルCを殆ど落下させずに補充することができるため、カプセルCの損傷を防止することができる。そして区画部材11には持ち手部11aが設けられていて、持ち手部11aを指で摘まんでそのまま持ち上げることができるため、レール12から簡単に取り外すことができる。なお、区画部材11に設けた開口11bに指をかけることによっても、区画部材11を簡単に持ち上げることができる。
【0032】
ところでこの種の物品払出装置は、ホッパー内でカプセルが詰まってしまうことがある。このような場合に詰まりを解消するには、収納空間の下方に設けられているホッパーを露出させて詰まったカプセルを取り出さなければならず、そのためには収納空間のカプセルを殆ど全て取り出さなければならない。収納するカプセルの数が増えると、その作業はより繁雑になって大きな負担になる。
【0033】
一方、本実施形態の物品払出装置1によれば、収納空間Sから取り出すカプセルCの数を大きく減らすことが可能である。すなわち、ホッパー18を露出させる必要がある場合は、図4に示すように区画部材11を一つ取り出した状態で二つの区画部材11を上方に向けてスライドさせる。そして区画部材11の開口11bが第一仕切部材13の受け部13dに重なる状態にし、例えばドライバーの先端部のような棒状部材Bを開口11bと受け部13dに挿入する。これにより、上方にずらした区画部材11を棒状部材Bで支持することができるため、区画部材11の下方を開放した状態にすることができる。その後は、開放した区画部材11の下方に腕を差し入れて、第一仕切部材13に対して第一移動部材16を前側から後側に向けて移動させる。これにより、第一後側端部13bと後側パネル4の間に設けられている隙間を埋めることができるため、第一仕切部材13の上方に位置するカプセルCが、第一仕切部材13の下方に移動することがない。すなわち、ホッパー18に詰まったカプセルCを取り出すには、ホッパー18周辺のカプセルCのみを取り出せばよい。なお第一仕切部材13は、第一前側端部13aから後側に位置する第一後側端部13bまで下向きに傾いて延在していて、第一仕切部材13の下方は、前側が後側に比して大きくあいている。このため、第一移動部材16を移動させる作業、及びカプセルCを取り出す作業を容易に行うことができる。
【0034】
なお、カプセルCに入れておく景品としては、例えば玩具、菓子、衣類、小型電気製品等、種類は問わないが、それ程大きなものを入れることはできない。また高額の景品をカプセルCに入れておくと、防犯面でも懸念がある。このため、カプセルCに小型のカードを入れておき、物品払出装置1を設置している店舗の窓口でこのカードと引き換えに商品を提供するようにしてもよい。また、図5に示すような2次元コード等の景品引き換えアクセス情報24が表示されているカード25をカプセルCに収納しておき、景品引き換えアクセス情報24を利用して景品を提供するようにしてもよい。景品引き換えアクセス情報24を利用した景品の提供にあたっては、例えば以下のシステム及び方法を採用することができる。
【0035】
本実施形態における景品を提供する際に使用されるシステム26は、利用者端末装置27と、管理者端末装置28と、上述した物品払出装置1と、通信ネットワークNを含んで構成されている。
【0036】
利用者端末装置27、管理者端末装置28、物品払出装置1は、通信ネットワークNを介して相互に情報の送受信を行うことが可能である。利用者端末装置27、及び管理者端末装置28は、例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯用端末装置でもよいし、デスクトップ型やサーバ型の据置用端末装置でもよい。なお本実施形態においては、利用者端末装置27は携帯用端末装置であって、管理者端末装置28は据置用端末装置である。ここで利用者端末装置27は、景品引き換えアクセス情報24を読み取るカメラや各種情報を入力するためのタッチパネル等の入力手段を備えている。なおタッチパネルは、webサイト等を表示する機能も備えている。また利用者端末装置27には、プログラム等を記憶する半導体メモリ等の記憶手段と、このプログラムを読み出して実行することで利用者端末装置27の動作を制御するCPU等の制御手段も設けられている。また管理者端末装置28には、キーボードやマウス等の入力手段と、LCDや有機ELディスプレイ等の出力手段と、管理者端末装置28に関するプログラムやwebサイトのデータの他、利用者に関する各種の情報等を記憶する半導体メモリ等記憶手段と、このプログラムを読み出して実行することで管理者端末装置28の動作を制御するCPU等の制御手段が設けられている。
【0037】
また本実施形態の物品払出装置1は、文字や画像等を表示することが可能な表示機器29(例えばLCDや有機ELディスプレイ等)を備えている。更にこの物品払出装置1には、例えば2次元コード等の景品紹介情報30が表示されている。なお本実施形態の物品払出装置1は、通信ネットワークNを介して管理者端末装置28と相互に情報の送受信を行うことが可能であり、また受信した情報が記憶されるように構成されている。
【0038】
そして通信ネットワークNは、例えば専用線、移動体通信網、通信衛生網、電話回線、CATV回線等によるLANの他、WANやインターネット等である。
【0039】
以下、このようなシステム26による景品の提供方法について説明する。利用者が物品払出装置1から払い出したカプセルCには、図5に示すようなA賞の当選に関するカード25が収納されていたとする。そして利用者が利用者端末装置27のカメラを使って景品引き換えアクセス情報24を読み込むと、利用者端末装置27の制御手段は、通信ネットワークNを介して管理者端末装置28と情報のやり取りを行って、管理者端末装置28の記憶手段に記憶されているデータに基づいて、景品引き換えアクセス情報24に対応するwebサイトを利用者端末装置27のタッチパネルに表示する(図6(a)参照)。本実施形態のwebサイトでは、A賞に含まれる各種の商品(商品aa、商品ab、商品ac・・・)に関する商品情報(各商品の写真や特長など)が表示される。
【0040】
そして利用者が、希望する景品として例えば商品abをタッチパネルで選択すると、利用者端末装置27は、その情報を、通信ネットワークNを介して管理者端末装置28に伝える。これに対して管理者端末装置28は、商品abの発送先である利用者の住所や氏名、メールアドレス等を入力するためのwebサイトに関する情報を利用者端末装置27に送信する。これにより利用者端末装置27のタッチパネルには、図6(b)に示すようなwebサイトが表示される。
【0041】
そして利用者がタッチパネルを使って商品abの発送先である住所や利用者の氏名、メールアドレス等の利用者情報を入力すると、利用者端末装置27は、通信ネットワークNを介して管理者端末装置28に利用者情報を伝える。これにより管理者端末装置28の記憶手段には、商品abを発送するための利用者情報が記憶される。
【0042】
その後は管理者が管理者端末装置28を操作して利用者情報を参照し、商品abを発送する。このようにして利用者は、希望する商品abを受け取ることができる。
【0043】
ところで物品払出装置1のカプセルCには、A賞の当選に関するカード25以外にも、B賞、C賞・・・のような他の賞の当選カードが収納されている。本実施形態のシステム26は、これらの賞に関する商品情報を利用者に提示する機能も備えている。
【0044】
まず利用者端末装置27に、A賞、B賞、C賞・・・に関する商品情報を提示する方法について説明する。利用者が、利用者端末装置27のカメラで図5に示した2次元コード等の景品紹介情報30を読み込むと、利用者端末装置27の制御手段は、通信ネットワークNを介して管理者端末装置28と情報のやり取りを行う。そして管理者端末装置28は、管理者端末装置28の記憶手段に記憶されているデータに基づいて、A賞に関する商品aa・・・、B賞に関する商品ba・・・、C賞に関する商品ca・・・等が掲載されているwebサイトの情報を利用者端末装置27に送信する。これにより利用者端末装置27のタッチパネルには、図7に示すようなwebサイトが表示される。
【0045】
A賞、B賞、C賞・・・に係る商品情報は、図5に示した物品払出装置1の表示機器29に表示することも可能である。例えば管理者が管理者端末装置28を操作してA賞、B賞、C賞・・・に係る商品情報を物品払出装置1に対して通信ネットワークNを介して送信すると、この情報は、物品払出装置1に記憶される。そして物品払出装置1は、所定のタイミングでA賞に関する商品aa・・・、B賞に関する商品ba・・・、C賞に関する商品ca・・・等の商品情報を表示機器29に表示する。
【0046】
このように本実施形態のシステム26によれば、物品払出装置1に収納したカプセルCで得られる商品を、利用者端末装置27や表示機器29に表示させることができるため、利用者への訴求効果を高めることができる。
【0047】
また本実施形態のシステム26は、A賞等が当選した利用者に対して、所定のイベント(例えば抽選会)に参加できる権利を付与する機能も備える。上述したようにA賞等が当選した利用者の住所、氏名、メールアドレス等の利用者情報は、管理者端末装置28の記憶手段に記憶されている。従ってイベントを開催する際、A賞等が当選した利用者にイベントへの参加許可証等を送付することができる。なお、例えばイベントの優勝者には、A賞等よりも高額な商品が提供されるようにしておくと、物品払出装置1の利用者に期待を持たせることができるため、訴求効果をより高めることができる。また、イベントで得られる商品に関する商品情報も管理者端末装置28の記憶手段に記憶させておくことによって、上述したように利用者端末装置27や表示機器29に表示させることができるため、訴求効果をより一層高めることができる。
【0048】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0049】
例えば本実施形態では、2つの仕切部材(第一仕切部材13と第二仕切部材14)を設けていたが、1つでもよいし3つ以上でもよい。また第一仕切部材13や第二仕切部材14は、上述した実施形態では前側から後側に向けて下向きに傾く(又は後側から前側に向けて下向きに傾く)ものであったが、左側から右側に向けて下向きに傾く(又は右側から左側に向けて下向きに傾く)ものでもよい。なお、仕切部材を複数設けるときは、上述した実施形態のように、一つの仕切部材に対してその直上に位置する仕切部材の傾く向きは逆にすることが好ましい。
【0050】
また受け部13dは、上述した実施形態では図2に示すように第一前方折り曲げ部13cに設けた円形の孔であったが、区画部材11の開口11bに挿入した棒状部材Bを支持することができればよく、この形態に限られない。すなわち、開口11bに挿入した棒状部材Bは、第一前側端部13aで支持することも可能であって、第一前側端部13aを受け部13dとして機能させることもできる。
【0051】
また本実施形態の物品払出装置1において、景品紹介情報30は物品払出装置1の扉8の下方に表示するようにしたが、表示機器29に景品紹介情報30を表示してもよい。また表示機器29を機能させるにあたり、物品払出装置1は通信ネットワークNに接続されるものに限られない。例えば物品払出装置1に外部記憶装置が接続できるようにしておき、外部記憶装置に記憶させた情報に基づいて、表示機器29に商品情報が表示されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1:物品払出装置
2:右側パネル
3:左側パネル
4:後側パネル
5:上側パネル
6:下側パネル
7:前側下パネル
8:扉
9:収納部
10:払出部
11:区画部材
11a:持ち手部
11b:開口
12:レール
12a:前方板状部
12b:後方板状部
12c:切欠き部
13:第一仕切部材(仕切部材)
13a:第一前側端部(一側端部)
13b:第一後側端部(他側端部)
13c:第一前方折り曲げ部
13d:受け部
13e:第一左側折り曲げ部
14:第二仕切部材(仕切部材)
14a:第二前側端部(他側端部)
14b:第二後側端部(一側端部)
14e:第二左側折り曲げ部
15:ブラケット
16:第一移動部材
17:第二移動部材
18:ホッパー
18a:ホッパー上部
18b:ホッパー下部
18c:シュート孔
19:回転盤
19a:貫通孔
20:ボタン
21:シュート部
22:ボックス
23:払出口
24:景品引き換えアクセス情報
25:カード
26:システム
27:利用者端末装置
28:管理者端末装置
29:表示機器
30:景品紹介情報
B:棒状部材
C:カプセル(物品)
N:通信ネットワーク
S:収納空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7