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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163310
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04817 20220101AFI20221019BHJP
【FI】
G06F3/0481 170
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068175
(22)【出願日】2021-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊英
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA23
5E555AA26
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA71
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC18
5E555DB18
5E555DB33
5E555DB51
5E555DC09
5E555DC40
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】第1形式のファイルを表す第1画像が表示されている時点でそのファイルに対して特定処理を行おうとする場合において、特定処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その特定処理の実行を可能とする。
【解決手段】
デスクトップ画面等にある第1形式(例えば表計算のデータ形式)のファイルをワークスペース領域110内に取り込む際に、束ねやばらし等が実行可能な第2形式(例えばPDF)のファイルが作成され、第1及び第2形式のファイルが対応付けて記憶される。第1形式を表すアイコン112が表示される。アイコン112に対して、第1形式のファイルには実行できない束ね等の特定処理の実行が指示された場合、情報処理装置は、作成済みの第2形式のファイルを用いてその特定処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、
取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、
前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記第1画像に対して、前記第1形式のファイルに対して実行可能な、前記特定処理とは異なる第2処理の実行が指示された場合に、前記第1形式のファイルに対して前記第2処理を実行する、
処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記コンピュータに、作成された前記第2形式のファイルを表す第2画像を表示させない、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記特定処理は、複数のファイルを合成して新たな第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記複数のファイルのうちの前記第1画像が表す前記第1形式のファイルを、前記特定処理の結果作成された前記新たな第2形式のファイルに添付する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記特定処理は、1のファイルを複数に分割して複数の第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記特定処理は、注釈が付加された第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記特定処理の結果第2形式のファイルが作成された場合、前記第1形式のファイルを表す前記第1画像を表示したまま、作成された第2形式のファイルを表す画像を更に表示する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、
それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記特定処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルから前記特定処理の実行が指示される前に作成された前記第2形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記特定処理を実行する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、
それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記第2処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記第2処理を実行する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項11】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、
取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、
前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナで読み込まれた画像データやパーソナルコンピュータ(PC)上のアプリケーションで作成された文書ファイルを管理するソフトウエアが存在している。例えば、出願人が提供するDocuWorks(商標)や、AdobeSystems社のAdobeAcrobat(商標)等のファイルハンドリングソフトウエアが、その一例である。この種のソフトウエア(以下単に「ソフト」ともいう)は、紙文書をスキャンすることで得られたイメージデータのファイル(例えばJPEG形式)や、ワードプロセッサやスプレッドシート等の各種アプリケーションで作成されたアプリケーションファイルを取り込んで、ハンドリングすることができる。
【0003】
この種のファイルハンドリングソフトは、様々なアプリケーションで作成されたデータ形式の異なるファイルを、ページ記述言語等のページの見た目すなわちページ画像を規定する言語で記述するデータ形式に変換して管理する。
【0004】
またこの種のファイルハンドリングソフトは、例えば特許文献1に開示されるように、文書内の各ページの画像を示す情報を持っているので、「束ね」機能や「ばらし」機能を有する。束ね機能は、複数の文書を合成して1つの文書を作成する機能である。束ね機能を用いれば、ワードプロセッサのファイルと表計算のファイルのように、別々のアプリケーションが生成したファイルのページ同士を束ねることもできる。またばらし機能は、1つの文書をページ単位で複数の文書に分割する機能である。
【0005】
ワードプロセッサ等のアプリケーションは、自らが生成したファイルに対する束ね機能やばらし機能を持たないことが一般的である。このように束ね機能等を持たないアプリケーションが生成したファイルに対して束ねやばらしを行う手段として、そのファイルを上述したハンドリングソフトウエアに取り込む方法がある。例えば、マイクロソフト社のワードプロセッサソフト「ワード」が生成するワード形式のファイルが表す文書をPDF形式に変換し、そのPDF形式の文書に対してDocuWorks又はAcrobatによりページ単位のばらしを行う等である。
【0006】
以上に述べたハンドリングソフトウエアの例に限らず、あるデータ形式のファイルに実行できない処理を実現するために、そのファイルを、その処理が可能なアプリケーションの取り扱うデータ形式に変換する方法が採られることは少なくない。
【0007】
またOS(オペレーティングシステム)には、データ形式(すなわちフォーマット)ごとにそれを開いて取り扱うためのデフォルトのアプリケーションが設定されている。OSのGUI(グラフィカル・ユーザインタフェース)では、ファイルはそのファイルのデータ形式を示すアイコンで表示される場合が多い。
【0008】
すなわち、あるデータ形式(第1形式と呼ぶ)のファイルを示すアイコンをダブルクリック操作等で開くと第1形式に対応付けられた第1のアプリケーションが起動され、その第1のアプリケーションによりそのファイルが開かれる。そのファイルを別の第2形式に変換した場合、変換後のファイルは第2形式を示す第2形式アイコンで表示され、第2形式アイコンに対して開く操作を行えば、第2形式に対応付けられた第2のアプリケーションが起動される。
【0009】
そして、上述したワードプロセッサのファイルとハンドリングソフトウエアの束ね機能の例のように、第1のアプリケーションでは実行不可能であるが、第2のアプリケーションでは実行可能な特定処理が存在する。
【0010】
また特許文献1には、コンテンツファイルを配布する際、配布先の環境(どのフォーマットに対応しているか)に合ったフォーマットでファイルを配布するため、コンテンツファイルと、コンテンツファイルのフォーマットを別のフォーマットに変換するための変換指示情報を単一の文書として複合化(カプセル化)する技術が開示されている。
【0011】
特許文献3には、入力されたファイルがPDFでない形式のファイルであったらPDFに変換する装置が開示されている。この装置は、入力されたファイルがPDFでありかつ別のファイルが添付されていた場合、当該別のファイルがPDFなら入力されたPDFファイルとその添付されたPDFファイルとを結合し、そうでないならその添付ファイルをPDFに変換の上、入力されたPDFファイルと結合し、結合結果のPDFファイルをページ記述言語データに変換して印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開10-124489号公報
【特許文献2】特許第4350981号公報
【特許文献3】特許第5725812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第1形式のファイルには実行できないが、第2形式のファイルならば実行可能な特定処理が存在する。第1形式のファイルを表すアイコン等の第1画像が表示されている時点で、そのファイルに対してその特定処理を行おうとした場合、その特定処理の実行を指示した時点から第2形式のファイルを作成し、作成されたファイルに対してその特定処理を実行する必要があり、時間がかかる。
【0014】
本発明は、第1形式のファイルを表す第1画像が表示されている時点でそのファイルに対して特定処理を行おうとする場合において、特定処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その特定処理の実行を可能とする手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行する、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0016】
請求項2に係る発明は、前記第1画像に対して、前記第1形式のファイルに対して実行可能な、前記特定処理とは異なる第2処理の実行が指示された場合に、前記第1形式のファイルに対して前記第2処理を実行する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項1に記載のプログラムである。
【0017】
請求項3に係る発明は、前記プログラムは、前記コンピュータに、作成された前記第2形式のファイルを表す第2画像を表示させない、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のプログラムである。
【0018】
請求項4に係る発明は、前記特定処理は、複数のファイルを合成して新たな第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラムである。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記複数のファイルのうちの前記第1画像が表す前記第1形式のファイルを、前記特定処理の結果作成された前記新たな第2形式のファイルに添付する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項4に記載のプログラムである。
【0020】
請求項6に係る発明は、前記特定処理は、1のファイルを複数に分割して複数の第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラムである。
【0021】
請求項7に係る発明は、前記特定処理は、注釈が付加された第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプログラムである。
【0022】
請求項8に係る発明は、前記特定処理の結果第2形式のファイルが作成された場合、前記第1形式のファイルを表す前記第1画像を表示したまま、作成された第2形式のファイルを表す画像を更に表示する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のプログラムである。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記特定処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルから前記特定処理の実行が指示される前に作成された前記第2形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記特定処理を実行する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のプログラムである。
【0024】
請求項10に係る発明は、前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記第2処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記第2処理を実行する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2に記載のプログラムである。
【0025】
請求項11に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0026】
請求項1又は11に係る発明によれば、第1形式のファイルを表す第1画像が表示されている時点でそのファイルに対して特定処理を行おうとする場合において、特定処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その特定処理の実行を可能とすることができる。
【0027】
請求項2に係る発明によれば、第2処理については第1画像がユーザにとって第1形式のファイルを表すものとして振る舞うようにすることができる。
【0028】
請求項3に係る発明によれば、第1画像の他に第2画像も表示する場合と比べて、実行したい処理が特定処理か否かに応じて第1画像と第2画像のいずれかを選ぶ煩雑さが提言される。
【0029】
請求項4に係る発明によれば、複数のファイルを合成して新たな第2形式のファイルを作成する処理に関して、その処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その処理の実行を可能とすることができる。
【0030】
請求項5に係る発明によれば、合成の結果作成される新たな第2形式のファイルからも、合成された第1形式のファイルを呼び出すことができる。
【0031】
請求項6に係る発明によれば、1のファイルを複数に分割して複数の第2形式のファイルを作成する処理に関して、その処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その処理の実行を可能とすることができる。
【0032】
請求項7に係る発明によれば、注釈が付加された第2形式のファイルを作成する処理に関して、その処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その処理の実行を可能とすることができる。
【0033】
請求項8に係る発明によれば、特定処理の結果第2形式のファイルが作成された場合でも、元の第1形式のファイルそのものに対する処理の実行の指示を受け付けることができる。
【0034】
請求項9に係る発明によれば、複数のファイルを対象とする場合にも、特定処理の実行が可能になる。
【0035】
請求項10に係る発明によれば、複数のファイルを対象として第2処理の実行が指示された場合に、取得した第1形式のファイルについては、その第1形式のファイルに基づいて作成された第2形式のファイルではなく、元の第1形式のファイルに対して第2処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】情報処理装置が提供するハンドリング画面を例示する図である。
図2】ハンドリング画面内の文書のアイコンに対して処理の実行指示を受けた場合の処理手順を例示する図である。
図3】ハンドリング画面において、処理の対象とする文書のアイコンを順に選択した状態を例示する図である。
図4】束ね処理の4つの代表的なパターンを示す図である。
図5】束ね処理の全体的な処理手順を例示する図である。
図6】特定処理におけるロック制御の手順を例示する図である。
図7】ばらし画面を例示する図である。
図8】ばらし処理の3つの代表的なパターンを示す図である。
図9】ばらし処理の全体的な処理手順を例示する図である。
図10】コンピュータのハードウエア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下では「実施形態」と呼ぶ)を説明する。以下では、電子データのファイルの内容をユーザに表示したり、それらファイルをユーザの操作に応じて処理したりするファイルハンドリング機能を持つ情報処理装置についての実施形態を説明する。
【0038】
<ファイルハンドリング機能>
本実施形態の情報処理装置は、ワードプロセッサ等のアプリケーションソフトウエアが作成したファイルや、スキャナやデジタルカメラ等により生成された画像データを表すファイル等を取り込んでハンドリングする。この情報処理装置は、取り込んだファイルを、ハンドリング用のデータ形式のファイルに変換して管理する。このハンドリング用のデータ形式は、そのファイルが示す文書の各ページの画像を記述するものであり、例えばPDF(Portable Document Format)や前述のDocuWorksで用いられるxdw形式がその例である。以下に示す例では、情報処理装置は、ハンドリング用のデータ形式としてPDF形式を用いる。以下では、ファイルのことを文書と呼ぶこともある。
【0039】
また、以下では、情報処理装置がアプリケーション等から取り込むファイルのデータ形式をオリジナル形式又は第1形式と呼ぶ。これに対して、情報処理装置が、ハンドリングのために用いるファイルのデータ形式をハンドリング形式又は第2形式と呼ぶ。例えば、マイクロソフト社のワード形式が第1形式の例であり、PDF形式が第2形式の例である。第2形式は、情報処理装置が当該装置固有のハンドリング処理を実行するために用いる内部的なデータ形式とも言える。第2形式のファイルは、各ページの画像内容を記述するデータを含んでおり、このデータからそのファイルが示す文書のページ数を求めて表示したり、紙の書籍のように文書内の任意のページを開いて表示したりすることが可能である。xdw形式も、文書の各ページの画像を記述するデータ形式であるが、例えば情報処理装置が、ハンドリング形式すなわち第2形式としてPDF形式を用いる場合、xdw形式は第1形式に該当する。すなわち、外部からxdw形式のファイルを情報処理装置に取り込んだ場合、情報処理装置はそのファイルを第2形式であるPDF形式に変換し、ハンドリング処理にはその第2形式を用いる。
【0040】
情報処理装置は、束ね、ばらし、注釈等の各種のハンドリング処理を実行する機能を有する。
【0041】
束ね処理は、複数のファイルを合成して1つのファイルを作成する処理であり、合成処理とも呼ばれる。例えば10のページを有する第1ファイルと5ページを有する第2ファイルとを束ね処理によりこの順に束ねると、先頭からまず第1ファイルの10のページが順に並び、その次に第2ファイルの5つのページが順に並んだ第3ファイルが作成される。なお、作成された第3ファイルは、情報処理装置に設定された設定情報に応じて、第1ファイル及び第2ファイルのいずれとも異なる新規のファイルとして保存されるか、第1ファイルに上書き保存される。なお、第3ファイルが第1ファイルではなく第2ファイルに上書き保存されるような設定を用意してもよい。
【0042】
ばらし処理は、1つのファイルを分割して複数のファイルを作成する処理であり、分割処理とも呼ばれる。例えば、10のページを有するファイルを、このばらし処理により先頭ページから順に2ページずつ分割すると、それぞれ2ページを含む5つのファイルが作成される。
【0043】
注釈処理は、ファイルが含むページ内のコンテンツ(例えば段落や文字列)や場所に対してユーザから注釈(すなわちアノテーション)の入力を受け付け、その注釈のデータをコンテンツ又は場所に関連付ける処理である。ページ内のコンテンツや場所に関連付けられた注釈は、情報処理装置がそのページを表示する際に、例えばそのコンテンツや場所に対応する付箋やポップアップ等の形態で表示される。
【0044】
情報処理装置が実行するこれら束ね、ばらし、注釈の各処理は、情報処理装置が用いるハンドリング形式すなわち第2形式のファイルに対して実行可能な処理である。情報処理装置に取り込む前のオリジナル形式すなわち第1形式のファイルには、それら各処理は実行できない。このように、第1形式のファイルには実行できないが、第2形式のファイルには実行できる特定の処理のことを「特定処理」と呼ぶ。
【0045】
また、「(あるデータ形式のファイルに対して)特定処理を実行できない」とは、元のデータ形式のままではその特定処理が実行できないことである。この概念には、そのデータ形式を取り扱うアプリケーションがその特定処理の実行機能を持たない場合が含まれる。またこの概念には、そのデータ形式のファイルに対して何らかのアプリケーションで特定処理を実行した場合に、その処理の結果がそのデータ形式ではなく、別のデータ形式になってしまう場合も含まれる。
【0046】
例えば、第1形式の例であるマイクロソフト社のワード形式のファイルを取り扱うアプリケーション「ワード」は、ページ単位の束ねやばらしの機能を持たない。このため、ワード形式のファイルに対して束ねやばらし等の特定処理を行いたい場合には、そのファイルを情報処理装置に取り込んでPDF形式等の第2形式に変換し、その第2形式のファイルに対して特定処理を実行する。
【0047】
情報処理装置は、第1形式のファイルを取り込んで第2形式のファイルを作成する。そして、本実施形態では、情報処理装置は、取り込んだ第1形式のファイルと、そのファイルから作成した第2形式のファイルとを、互いに対応付けて記憶する。この対応付けの方式は限定されない。情報処理装置における文書の内部フォーマットは、当該文書を表す画像すなわちアイコンに対応付けて、その文書の第1形式のファイルと第2形式のファイルの2つのファイルを含むことができるものであればどのようなものであってもよい。例えば、この内部フォーマットは、1つの内部フォーマットのファイル中に、第1形式のファイルと第2形式のファイルの両方を内包できるものであってもよい。また、内部フォーマットは、第1形式のファイルとこのファイルから作成した第2形式のファイルを別々に記憶すると共に、それら両ファイルが互いに対応することを記録した管理情報を作成し、記憶するというものであってもよい。情報処理装置内の内部フォーマットのファイルすなわち文書は、情報処理装置に外部から取り込まれたファイルが第1形式のものである場合は、その第1形式のファイルと、そのファイルから作成した第2形式のファイルの両方を含む。また、外部から取り込まれたファイルが第2形式のものである場合は、内部フォーマットのファイルは、その第2形式のファイルを含む。
【0048】
このように、内部フォーマットのファイルは、第1形式のファイルを取り込んだ場合に作成されたものか、第2ファイルを取り込んだ場合に作成されたものかに応じて、内容が異なる。したがって、後述するハンドリング画面100上では、内部フォーマットのファイルが第1形式のファイルに由来するか第2形式のファイルに由来するかで、そのファイルを表すアイコンの画像内容を区別する。例えば後述するように、第1形式のファイルに由来する場合はアイコン112等に第1形式を表すマーク112b等を表示するようにしてもよい。情報処理装置は、第1形式のファイルに由来する内部フォーマットのファイルを表すアイコン112等は、内部フォーマットのファイルが第1形式のファイルを表すものとして取り扱う。
【0049】
その内部フォーマットのファイルに、例えばそのファイルのうちのヘッダ情報に、内部フォーマットのファイルが第1形式と第2形式のどちらのファイルに由来するかの区別を示す情報を持たせてもよい。また第1形式のファイルに由来する内部フォーマットのファイルには、その第1形式がどのアプリケーションのデータ形式かを示す情報を、例えばヘッダ情報に含める形で持たせてもよい。そして、ハンドリング画面100上に表示するアイコンの画像内容を、その区別の情報やアプリケーションを示す情報に従って切り替えるようにしてもよい。
【0050】
また、別の例として、情報処理装置は、第2形式のファイルを取り込んだ場合には、そのファイルをそのまま記憶するようにしてもよい。すなわち、この例では、第2形式のファイルを取り込んだ場合には、内部フォーマットのファイルにはせず、その第2形式のファイルをそのまま記憶する。内部フォーマットのファイルを作成するのは、第1形式のファイルを取り込んだ場合である。この例では、情報処理装置は、内部フォーマットのファイルは第1形式に由来するものと判断し、第2形式のファイルをそのまま第2形式のファイルと認識すればよい。
【0051】
なお、後述するように第2形式、例えばPDFは、他のファイルを添付可能なフォーマットである。したがって、第1形式のファイルが添付された第2形式のファイルというものが存在する。一方、本実施形態の情報処理装置におけるファイルの内部フォーマットは、その第2形式とは異なるものであり、両者は明確に区別可能である。
【0052】
すなわち、第1形式のファイルを取り込んだときに情報処理装置が作成する内部フォーマットのファイルは、第1形式のファイルとその第1形式のファイルから作成した第2形式のファイルの両方のデータ内容を含むという点では、第1形式のファイルが添付された第2形式のファイルと同じである。しかし、その内部フォーマットのファイルと添付ファイル付の第2形式のファイルとは、例えばファイルのヘッダ情報等により形式の異なるファイルとして区別される。そして、情報処理装置は、第1形式のファイルから作成した内部フォーマットのファイルを表すアイコン112等を、ファイルが添付された第2形式のファイルを表すアイコン(例えば後述する図4の文書402を表すアイコン)と異なる画像内容のものとする。
【0053】
<UI(ユーザインタフェース)画面の説明>
図1に、情報処理装置がUI画面として表示するハンドリング画面100を例示する。例示したハンドリング画面100は、ワークスペース領域110及び操作ボタン領域120を含む。
【0054】
ワークスペース領域110は、ユーザが管理したいファイルのアイコン112、114、116、・・・を配置した、一種のデスクトップ画面である。ユーザは、例えば自分が行っている業務ごとにワークスペース領域110を作成し、そのワークスペース領域110内にその業務で用いる文書等のファイル群を置いて管理する。図1に示したワークスペース領域110は、そのように1以上作成可能なワークスペース領域110のうちの1つである。
【0055】
ワークスペース領域110には、ハンドリング対象のファイルを表すアイコン112、114、116、118、119(以下、区別の必要がないときには「アイコン112等」と総称)が表示される。
【0056】
アイコン112は、対応するファイルのページのサムネイル画像112aと、そのファイルのデータ形式を表すマーク112bと、そのファイルのファイル名112cとを含む。アイコン112が表すファイルは、ワードプロセッサソフトのデータ形式のファイルであり、マーク112bはそのデータ形式を表すデザインとなっている。マーク112bは、サムネイル画像112a内の所定の位置(図示例では左下隅)に、サムネイル画像112aの上に重ねる形で表示される。
【0057】
なお、情報処理装置に取り込まれてハンドリング画面100上に表示されている以上、そのファイルに対応するハンドリング形式すなわち第2形式(この例ではPDF形式)のファイルも作成され、そのアイコン112に対応付けて情報処理装置内に記憶されている。この第2形式のファイルが表す文書の内容(すなわちその文書の各ページの画像)は、対応する第1形式のファイルが表す文書の内容と同じである。アイコン112の例では、ワードプロセッサソフトのデータ形式が第1形式である。アイコン112が表すファイルは1ページのみの文書であり、サムネイル画像112aはそのページの縮小画像である。
【0058】
サムネイル画像112aは、アイコン112に対応付けて記憶されている第2形式のファイルのデータから作成されたものである。すなわち、そのファイルは、1ページの画像を記述するデータを含んでおり、そのデータからそのページのサムネイル画像112aが作成され、アイコン112の画像として表示される。
【0059】
アイコン114が表すファイルは、2つのページからなる文書である。このファイルは、スプレッドシートソフトのデータ形式のファイルであり、マーク114bはそのデータ形式を示す。アイコン114の上部に示すクリップ形状のマーク114dは、そのファイルが複数のページを含むことを表す。クリップ形状のマーク114dの左には、ページ戻しマーク114eが、右にはページ送りマーク114fが表示される。これらのマーク114e及び114fは、アイコン114内のサムネイル画像114aが示すページをめくる操作のために用いられる。また、サムネイル画像114aの上部には、ページ番号114gが表示されている。ページ番号114gは、表示されているサムネイル画像114aのページ番号を示す。図示例では、サムネイル画像114aが、2ページからなるファイルのうちの1ページ目であることを示している。なお、情報処理装置は、アイコン114に対応付けて、第1形式であるスプレッドシートソフトのデータ形式のファイルだけでなく、そのファイルから作成した第2形式(この例ではPDF形式)のファイルも記憶している。アイコン114に含まれる各ページのサムネイル画像114aは、第2形式のファイルが含む各ページのデータから作成される。一つの例では、各ページのサムネイル画像は、例えばファイルを情報処理装置に取り込む際に一括して作成され、第2形式のファイルと対応付けて情報処理装置内に記憶されていてもよい。また別の例として、情報処理装置が、マーク114e又は114fの押下に応じてアイコン114上に表示するページをめくる操作に同期して、新たに表示すべきページのサムネイル画像114aを第2形式のファイル内の当該ページのデータから動的に作成してもよい。
【0060】
サムネイル画像114aがページの画像を記述している第2形式のファイルから作成されるので、アイコン114の表示におけるサムネイル画像114aのページめくりや、ページ番号114gの表示が可能となる。例えば、各ページのサムネイル画像を予め(例えばファイル取込時に)作成して情報処理装置内に記憶していない場合、ページのサムネイル画像を表示する際に第2形式のファイルから動的に高速にそのサムネイル画像を生成可能である。仮に第1形式のファイルしかなければ、第1形式のアプリケーションにより第1形式のファイルを開かないと、ページの総数が分からない。またサムネイル画像を動的に生成するために、第1形式のアプリケーションを起動することは実用的ではない。
【0061】
アイコン116が表すファイルは、12のページからなる文書のデータであり、そのデータ形式は第2形式であるPDF形式である。このファイルは、PDFファイルを編集可能な外部のアプリケーションにより生成されたか、又は情報処理装置が束ねやばらし等の特定処理の結果として生成したものである。このファイルには、文書内容が同じである第1形式のファイルは存在しない。すなわち、アイコン116には、第2形式のファイルが対応付けられている、そのファイルと同じ文書内容を持つ第1形式のファイルは対応付けられていない。
【0062】
アイコン112、114、116、119は、対応するファイルが表す文書のページサイズに比例したサイズの画像として表示される。図示例では、アイコン112、114、119は、A4サイズのページを表すのに対し、アイコン116はA3サイズのページを表している。
【0063】
アイコン118は、情報処理装置に対してファイルの取込操作が行われた後、第2形式のページデータが作成されるまでの間、そのファイルを表すために表示されるアイコンである。第2形式のページデータが作成されるまでは、ページのサムネイル画像が生成できないので、このアイコン118は、サムネイル画像ではなく、そのファイルのデータ形式を示す予め用意された画像を含む。このようなアイコン118は、取込操作に応じ、そのファイルに対してハンドリング処理(例えば上述した束ね等の特定処理、或いはワークスペース領域110内でのアイコンの位置の移動)が実行可能になった時点で、ワークスペース領域110内に表示される。そして、そのファイルのページデータが作成され、サムネイル画像が表示可能となった時点で、アイコン112、114と同様のサムネイル画像を含んだアイコンへと変更される。
【0064】
なお、ここではアイコン112等がサムネイル画像112a等を含む例を説明したが、これは一例に過ぎない。以下に説明する本実施形態の処理のうちサムネイル画像112a等を用いない処理については、サムネイル画像112a等を含まないアイコンを用いる場合にも適用可能である。
【0065】
ワークスペース領域110内のアイコン112、114、・・・は、例えばマウスによるドラッグ・アンド・ドロップ操作により、ワークスペース領域110内の任意の位置に移動可能である。
【0066】
操作ボタン領域120には、ワークスペース領域110内に表示されたアイコン112、114、・・・が表すファイルに対する各種の処理を指示するためにユーザが押下するGUIボタンが表示される。例えば、印刷ボタン122は印刷を指示するためのボタンである。ユーザが例えばワークスペース領域110内の1以上のファイルのアイコン112、114、・・・等をクリック操作等により選択状態とした後、印刷ボタン122を押下(例えばクリック)する。この操作に応じ、情報処理装置は、選択状態のアイコン112等が表すファイルの印刷のための処理を実行する。また、承認印ボタン124は、選択された文書の所定ページの所定の場所にユーザの承認印を押印する処理を指示するためのボタンである。承認印の押印は、情報処理装置の注釈機能により、選択されたアイコンに対応する文書の第2形式のファイルの所定ページの所定の場所に、予め記憶している承認印に印影の画像を重畳することにより行われる。この承認印ボタン124が示す押印処理は、第2形式のデータに対する処理であり、その元になったワードプロセッサ文書等の第1形式のデータには実行不可能である。すなわち、この押印処理は特定処理の一例である。
【0067】
また図示は省略したが、操作ボタン領域120には、上に例示した特定処理の代表例である束ね処理やばらし処理を指示するためのボタンが配置されていてもよい。
【0068】
外部から情報処理装置へのファイルの取込又はアップロードは、例えば、OSのデスクトップ画面やファイルシステム画面に表示されたファイルのアイコンを、ドラッグ・アンド・ドロップ操作でワークスペース領域110内にドロップすることにより指示される。情報処理装置は、OS上でファイルハンドリングソフトウエアが実行されることにより構成されており、OSのデスクトップ画面やOSのファイルシステム画面に表示される各フォルダは、情報処理装置から見て外部である。この他、ハンドリング画面100内の図示省略したメニューからファイル取込を指示する方法等、他の方法もある。
【0069】
このようにファイルの取込が指示された場合、情報処理装置は、そのファイルが第2形式(すなわちこの例ではPDF)のものであれば、そのファイルを単に指示された取込先に関連付けて記憶する。例えば、ワークスペース領域110にファイルがドロップされた場合は、そのファイルをそのワークスペース領域110に関連付けて記憶する。また、第2形式でない形式(すなわち第1形式)のファイルの取込が指示された場合は、情報処理装置は、そのファイルから第2形式のファイルを作成し、作成した第2形式のファイルを、第1形式のファイルと対応付けて記憶し、管理する。
【0070】
<第2形式の作成タイミング>
本実施形態では、典型的には、外部から情報処理装置に第1形式のファイルを取り込む際に、その第1形式ファイルから第2形式のファイルが作成される。ただし、第2形式のファイルが作成されるタイミングはこれに限らない。第2形式のファイルは、情報処理装置への第1形式のファイルの取込が指示された後、かつ、情報処理装置においてそのファイルを表すアイコン112等に対して特定処理の実行がユーザから指示される前であれば、どのようなタイミングで作成されてもよい。
【0071】
<ファイルのアイコンに対する操作>
アイコン112、114、116及び119は、そのアイコンに対応付けて記憶している第1形式のファイルを第一義的に表している。すなわち、アイコン112、114、116及び119は、第1形式のファイルを表す第1画像の一例である。第1画像としてのアイコン112、114、116及び119に対してユーザがファイルを開く等の基本的な処理の実行を指示する操作を行った場合、情報処理装置は、その操作をその第1画像に対応する第1形式のファイルに対して実行する。例えば、アイコン112に対して、ダブルクリックや、コンテキストメニュー内の「開く」の選択により、ファイルを開く処理の実行が指示された場合、情報処理装置は、そのアイコン112に対応して記憶している第1形式(この例ではワードプロセッサソフトのデータ形式)のファイルを開くための処理を実行する。この他に、ファイルを情報処理装置(すなわちファイルハンドリングソフト)内から外部に取り出す又はダウンロードする処理も、このような基本的な処理に該当する。これら基本的な処理は、第1形式のファイルに対しても実行可能な処理であり、特定処理とは異なる第2処理の例である。
【0072】
これに対し、第1形式のファイルを表すアイコン112、114、118及び119に対して、ユーザから上述の特定処理が指示される場合がある。この場合、情報処理装置は、その第1形式のファイルではなく、これに対応付けて記憶している第2形式のファイルに対してその特定処理を実行する。例えば、アイコン112及び114が表す2つのファイルを束ねる束ね処理の実行が指示された場合、情報処理装置は、それら2つのアイコンに対応する2つの第2形式のファイルを対象として、束ね処理を実行する。このように、第1画像すなわちアイコン112、114、118及び119に対する特定処理の実行の指示は、ワークスペース領域110内にあるその第1画像に対して、ユーザがGUIを用いて行う操作によりなされる指示である。このGUIを用いた特定処理の実行指示の操作には、第1画像を選択した状態でのコンテキストメニューの選択、第1画像をドラッグして別のファイルのアイコンにドロップする操作、別のファイルのアイコンをドラッグして当該第1画像にドロップする操作、等が含まれる。
【0073】
アイコン116は、第2形式のファイルを表しており、これに対応する第1形式のファイルはない。アイコン116は、第2形式のファイルを表す第2画像の例である。情報処理装置は、アイコン116に対する処理の実行指示は、基本的な処理及び特定処理のどちらの実行指示についても、第2形式のファイルに対するものとして受け付ける。例えば、アイコン116に対して開く操作が行われた場合、情報処理装置は、そのアイコン116に対応付けられた第2形式のファイルを開き、ばらし処理の操作が行われた場合、その第2形式のファイルに対してばらし処理を行う。
【0074】
なお、情報処理装置は、第1画像すなわち第1形式のファイルを表すアイコン112等表示を表示する文書については、第2画像すなわち第2形式のファイルを表すアイコンは表示しない。つまり、そのような文書は、内部フォーマットとして第1形式のファイルと第2形式のファイルの両方を含んでいるが、その文書を表すアイコン112等には、第1形式を表すマーク112b等は表示するが、第2形式を表すマーク(例えばマーク116bと同じもの)は表示しない。また、第1形式を表すアイコンとは別に第2形式を表すアイコンを表示することもしない。これにより、ユーザは、ワークスペース領域110内に、その文書についてただ1つの第1形式のファイルを表すアイコン112等があるのみと認識する。仮に1つの文書について、データ形式ごとに別々のアイコンを表示した場合、ユーザは、実行したい処理が特定処理か否かに応じて、異なるアイコンを選択する必要がある。それに対して本実施形態では、その文書について1つのアイコンしか表示しないので、特定処理か否かに応じて異なるアイコンを選ぶといった煩雑さがない。
【0075】
図2に、ワークスペース領域110内のアイコン112等に対してユーザから操作が行われた場合の、情報処理装置の全体的な処理の手順を例示する。
【0076】
この手順では、情報処理装置は、まずその操作の対象である対象文書画像と、その操作によりユーザが実行を指示した処理とを認識する(ステップ200)。対象文書画像は、例えばマウスのクリック操作等により、操作の対象としてユーザが選択したアイコン112等である。また、ユーザが実行を指示した処理は、例えば、ハンドリング画面100のメニューや操作ボタン領域120のボタン、アイコン112等から呼び出されたコンテキストメニュー等からユーザが選んだ処理である。すなわちユーザは、対象文書画像としてのアイコン112等を操作することで、対象文書画像に、対応する文書への処理の実行を指示する。また、情報処理装置は、アイコンに対するジェスチャーから、ユーザの指示を認識してもよい。例えば、アイコンに対するダブルクリックを、そのアイコンに対応する文書を開く処理の実行指示と認識したり、アイコンをドラッグして別のアイコンにドロップする操作を、それらアイコンが表す2つの文書を束ねる処理の実行指示と認識したりする等である。なお対象文書画像が第1形式のファイルを表す第1画像である場合、対象文書画像に対応するファイルは第1形式のファイルと、第2形式のファイルが存在する。
【0077】
次に情報処理装置は、ステップ200で認識した対象文書画像が、第1形式のファイルを表しているか否かを判定する(ステップ202)。この判定の結果がNoの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式(すなわちPDF)のファイルに対して、ステップ200で認識した処理を実行する(ステップ208)。
【0078】
ステップ202の判定結果がYesの場合、情報処理装置は、ステップ200で認識した処理が、上述の特定処理に該当するか否かを判定する(ステップ204)。この判定の結果がNoの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第1形式のファイルに対して、ステップ200で認識した処理を実行する(ステップ206)。
【0079】
例えば、認識した処理がファイルを開く処理である場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第1形式のファイルの情報を用いて、第1形式に対応するアプリケーションを起動し、そのアプリケーションにそのファイルを開かせる。このとき、情報処理装置は、自装置が記憶しているその第1形式のファイルを、外部の所定の格納領域、例えばOSのデスクトップ画面上にダウンロードし、そのアプリケーションにそのダウンロードした第1形式のファイルを開かせるようにしてもよい。
【0080】
一方、ステップ204の判定結果がYesの場合は、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルに対して、ステップ200で認識した処理を実行する(ステップ208)。例えば、選択された2つのアイコン112等に対して束ね処理の実行が指示された場合、情報処理装置は、それら2つのアイコン112等に対応する2つの第2形式のファイルに対して、束ね処理を実行する。
【0081】
なお、ユーザが複数の対象文書画像を選択した上で処理の実行を指示する場合がある。例えば、ユーザが複数のアイコン112等の順にクリックして選択した後、操作ボタン領域120内のボタンの押下によりそれら複数のアイコン112等が示す複数の文書に対してそのボタンに対応する処理の実行を指示する場合である。また、ユーザがあるアイコン112等を別のアイコン112等にドラッグ・アンド・ドロップする操作は、それら2つのアイコン112等が表す2つの文書を束ねる処理の実行を指示する操作である。このように複数の対象文書画像に対する処理の実行指示がなされた場合、情報処理装置は、それら複数の対象文書画像のそれぞれについて、その対象文書画像が第1形式のファイルを示す第1画像かどうかを判定する(ステップ202)。そして、指示された処理が特定処理に該当すれば(ステップ204の判定結果がYes)、情報処理装置は、それら複数の対象文書画像それぞれに対応する第2形式のファイルを用いてその処理を実行する(ステップ208)。
【0082】
一方、指示された処理が特定処理に該当しない場合(ステップ204の判定結果がNo)には、情報処理装置は、それら複数の対象文書画像のうち、第1形式のファイルを表すものについてはその第1形式のファイルに対応するアプリケーションを用いてその処理を実行する。また、第2形式のファイルを表す対象文書画像については第2形式のファイルを用いて、その処理を実行する。例えば、ユーザが複数のアイコン112等を選択し、それらを一括してデスクトップ画面上にドラッグ・アンド・ドロップする場合がその例である。この例では、第1形式(すなわちオリジナル形式)のファイルを表す対象文書画像については、第1形式のファイルのみがデスクトップ画面上に取り出される(すなわち、対応する第2形式のファイルは取り出されない)のに対して、第2形式のファイルを表す対象文書画像については、対応する第2形式のファイルがデスクトップ画面上に取り出される。
【0083】
このように、本実施形態では、第1形式のファイルを表すアイコン112、114、118及び119に対して、第1形式のファイルに対して実行可能な基本的な処理の実行が指示された場合は、その処理はその第1形式のファイルに対して実行される。その一方、それらアイコンに対して、第1形式のファイルには実行できない上述の特定処理の実行が指示された場合は、第1形式のファイルではなく、これに対応する第2形式のファイルに対してその特定処理が実行される。このように、アイコン112、114、118及び119に指示された処理の種類に応じて、第1形式及び第2形式のどちらのファイルに処理が実行されるかが切り替わる。
【0084】
したがって、ユーザは、ファイルのアイコン112等が情報処理装置のハンドリング画面100の中にあっても外(例えばOSのデスクトップ画面内)にあっても、開く等の基本的な処理についてはファイルフォーマットの違いを意識する必要がない。すなわち、基本的な処理については、ハンドリング画面100の中と外のどちらにアイコン112等がある場合も、そのアイコン112等が表す第1形式のファイルに対応するアプリケーションによりその処理が行われる。その一方、ハンドリング画面100内のアイコン112等に、第2形式のファイルでなければ実行できない特定処理が指示された場合には、第2形式のファイルを用いてその特定処理が実行される。
【0085】
また、サムネイル画像112aを第2形式のファイルに対応付け、マーク112bを第1形式のファイルに対応付けるというように、アイコン112内のポイントされた(すなわちマウス等により指し示された)場所により処理対象を切り替える方式も考えられるが、本実施形態はその方式とは異なる。
【0086】
すなわち、その方式では、マウス操作等でサムネイル画像112aが選択されれば第2形式のファイルに、マーク112bが選択されれば第1形式のファイルに、それぞれ処理を実行する。これに対して本実施形態では、第1形式と第2形式のどちらのファイルに処理が行われるかは、アイコン112内のどの部分がマウス等で操作されるかには依存せず、もっぱら実行が指示された処理の種類に依存する。したがって、アイコン112等のどの部分がユーザからポイントされても、ユーザから実行を指示された処理の種類が同じならば、その種類に対応する同じ形式のファイルが処理の対象に選ばれる。
【0087】
<束ね処理>
次に、特定処理に該当する個々の処理について、更に詳しい説明を行う。まず、束ね処理の詳しい例を説明する。
【0088】
束ね処理は、ワークスペース領域110内で選択された複数の文書を結合して一つの文書とする処理である。束ね処理は、ワークスペース領域110内の表示に対して、例えば以下の3通りの方法で実行できる。
(1)操作メニュー又はツールバー(上述した操作ボタン領域120はその一例)内にある「束ね」ボタンから実行する。例えば、ワークスペース領域110内で複数の文書のアイコン112等を選択した後、「束ね」ボタンを押下することにより、それら複数の文書に束ね処理が実行される。
(2)ワークスペース領域110上で、選択した文書のアイコン112等を束ねたい文書のアイコン112等へドラッグ・アンド・ドロップする。
(3)右クリック等の操作で呼び出されるコンテキストメニューで「束ねる」を選択する。
【0089】
束ね処理の実行後の文書は、束ねの対象がすべて第2形式(すなわちこの例ではPDF)の文書だった場合、先頭文書のバージョンアップ版となり、先頭文書に対して上書きされる。束ねの対象の文書のうち先頭文書以外の文書は削除され、削除ファイルの格納領域(いわゆるゴミ箱)に移動される。なお、先頭文書とは、ワークスペース領域110上で束ねの対象の文書のアイコン112等を順番に選択した際に、最初に選択した文書のことである。
【0090】
束ねの対象の文書に第2形式でないデータ形式の文書(すなわち第1形式の文書)が含まれる場合、束ねの対象の先頭文書が第1形式か第2形式かにより処理手順が以下の二通りに分岐する。
(A)先頭文書が第2形式である場合、情報処理装置は、束ね後の文書で先頭文書をバージョンアップ(すなわち上書き)し、束ねの対象の元の文書はすべてそのまま残す。
(B)先頭文書フォーマットが第1形式である場合、情報処理装置は、束ね後の文書を新規文書として作成して記憶する一方、束ねの対象である元の文書はすべてそのまま残す。
【0091】
なお、束ねの対象に第2形式以外のフォーマットの文書が含まれる場合、情報処理装置は、その文書から第2形式の文書を作成する旨の通知をユーザに対して行う。その通知は、例えば、「処理を実行後の文書はPDF文書として新規作成されます。元のファイルも残ります。」といったメッセージの形で、ハンドリング画面100上に表示される。また、内部での第2形式の文書の生成が失敗した場合は実行エラーとなる。
【0092】
束ね処理の実行中は、情報処理装置は対象となったすべての文書に対してシステムロックを行う。システムロック中は、その束ね処理の実行を指示したユーザ含め、すべてのユーザが、その処理の終了まで、それらの文書を操作することができない。このシステムロックは束ね処理の完了により解除される。
【0093】
束ねの対象の文書の中に一つでもユーザロック中の文書があった場合、かつ上書きによる束ねを行う場合は、束ねた後の文書に対してそのユーザロックが維持される。新規作成による束ねを行う場合、束ねた後の文書にはユーザロックがかからない。
【0094】
束ね処理は、ハンドリング画面100の表示上では、例えば以下のように進行する。
〇「束ね」ボタン又はコンテキストメニューの「束ねる」の選択から実行する場合
ユーザが、ワークスペース領域110上で、束ねの対象とする複数の文書のアイコン112等を選択する。選択されたアイコン112等はハイライト表示され、選択順を示す番号1、2、3がそのアイコン112等に重畳表示される(図3参照)。この後、ユーザが、「束ね」ボタンの押下、またはコンテキストメニューでの「束ねる」の選択等の操作を行うと、情報処理装置は、それら選択された文書を対象として束ね処理を実行する。束ね処理の実行により、番号1の文書を先頭の文書として、上記の選択順の順序で文書が結合され、一つの文書となる。
〇文書のドラッグ&ドロップによる実行
ユーザが、束ねの対象とする文書のアイコン112等を、一つまたは複数選択する。これに応じて、選択された一つ以上のアイコン112等がハイライトされ、選択順を示す番号1、2、3、・・・がアイコン112上に表示される(図3参照)。このようにして選択した1以上のアイコン112等を、束ねたい文書のアイコン112等に対し、ドラッグ・アンド・ドロップすると、選択された1以上の文書と、ドラッグ・アンド・ドロップ先の文書と、からなる複数の文書に対して束ね処理が実行される。束ね処理が実行されると、上記の選択順の順序で文書が結合される。そして、ドラッグ・アンド・ドロップ先の文書は、最後尾に結合される。
【0095】
情報処理装置は、束ね処理の結果生成される文書(すなわち束ね後の文書)のファイル名を例えば次のように決定する。
【0096】
すなわち、束ねの対象の先頭文書が第2形式の文書である場合、束ね後の文書は、その先頭文書のファイル名を引き継ぐ。一方、先頭文書が第2形式でない場合、束ねの結果生成される新規文書には、その先頭文書と同名となるのを回避するために、その先頭文書のファイル名の後に所定桁数の通し番号をサフィックスとして付加した文字列をファイル名として付与する。例えば、先頭文書のファイル名が「example.doc」である場合、束ね後の新規文書のファイル名を「example-00001.pdf」とする。
【0097】
なお、情報処理装置は、束ね処理の実行中に、束ね対象の少なくとも1つの文書のアイコン112等に対応付けて、その処理の進捗状況を表示してもよい。この表示は、例えばアクティビティインジケータ(例えば進捗割合を示すバー表示)の形態や、全ページ数に対する処理済みページ数の数字表示の形態などで行ってもよい。
【0098】
束ねの対象の各文書の本体に添付された添付ファイル(すなわち1つの文書全体に対する添付ファイル)がある場合、情報処理装置は、その添付ファイルを、束ね後の文書の本体の添付ファイルとして統合する。これに対して、束ね対象のいずれかの文書のいずれかのページに添付された添付ファイルは、束ね後の文書のそのページに対する添付ファイルとして残る。
【0099】
文書すなわちファイルの属性としては、束ねの対象の先頭文書が第2形式の場合、束ね後の文書はその先頭文書に上書きされるので、束ね後の文書には、その先頭文書の属性が引き継がれるようにしてもよい。この場合、情報処理装置は、束ね処理を開始する前に、束ね後の文書が先頭文書の属性を引き継ぐ旨をユーザに通知し、確認を求めてもよい。これには、例えば「複数の文書を束ねると、最初に選択した文書の属性だけが残り、ほかの文書の属性は破棄します。このまま束ねてもよろしいですか?」といったメッセージをハンドリング画面100上に表示すればよい。なお、ここで言うファイルの属性には、タイトル、作成者、サブタイトル、キーワード等といった一般的な文書属性の他に、ユーザが定義したカスタム属性が含まれていてもよい。
【0100】
以上に説明した束ね処理について、代表的な4つのパターンを図4に例示する。この図に示す文書400等の絵柄は、ワークスペース領域110上でのその文書のアイコンの絵柄を模式的に示している。
【0101】
パターン(a)は、第2形式(この例ではPDF形式)の2つの文書400と402をこの順に束ねる指示がなされた場合を示す。文書400及び402は、いずれも1ページの文書であり、文書402には文書全体への添付ファイルが付加されているとする。添付ファイルの存在は、文書402のアイコン上でゼムクリップのマーク404で示されている。その束ね処理の結果、第2形式の文書406が生成され、この文書が先頭文書である文書400に上書きして記憶される。束ね後の文書406は2ページの文書なので、複数ページの存在を示すクリップのマーク408がその文書406のアイコンに付される。文書402への添付ファイルは、文書全体への添付ファイルとして束ね後の文書406に統合される。
【0102】
パターン(b)は、1ページからなる第1形式(この例ではワードプロセッサのデータ形式)の文書410と、同じく1ページからなる第2形式の文書412をこの順に束ねる指示がなされた場合を示す。この場合、束ね後の第2形式の文書414は、新規文書として生成され、束ねの対象である2つの文書410と412はそのまま情報処理装置内に残る。文書414は、1ページ目が文書410、2ページ目が文書412である2ページの文書である。また、第1形式の文書410は、束ね後の文書414に対して、文書全体に対する添付ファイルとして統合される。この添付ファイルは、文書414のアイコンに対してゼムクリップのマーク416で表現される。このマーク416に対してダブルクリック等の所定のファイルを開く操作を行うと、その添付ファイルが第1形式に対応するアプリケーションにより開かれる。
【0103】
パターン(c)は、1ページからなる第2形式の文書420と、同じく1ページからなる第1形式の文書422をこの順に束ねる指示がなされた場合を示す。この場合、束ね後の第2形式の文書424は、先頭文書である第2形式の文書420に上書きされる形で情報処理装置に記憶される。束ね処理の後、上書きされた文書420は情報処理装置からなくなる(例えばゴミ箱に移動する)が、束ねの対象のうち第1形式の文書422は情報処理装置に記憶されたまま残る。また、第1形式の文書422は、束ね後の文書424に対して、文書全体に対する添付ファイルとして統合される。
【0104】
パターン(d)は、それぞれ1ページからなる2つの第1形式の文書430及び432をこの順に束ねる指示がなされた場合を示す。この場合、束ね後の第2形式の文書434は、新規文書として生成され、束ねの対象である2つの文書430と432はそのまま情報処理装置内に残る。文書434は、1ページ目が文書430、2ページ目が文書432である2ページの文書である。また、第1形式の2つの文書430及び432は、束ね後の文書434に対して、文書全体に対する添付ファイルとして統合される。
【0105】
図5に、このような束ね処理の全体的な処理手順を例示する。この手順は、ユーザがハンドリング画面100上で束ねの対象となる1以上の文書を選択し、束ねボタンの押下等の方法で束ね処理の実行を指示したときに開始される。なお、束ねの対象としてユーザが選択した文書を表す画像(すなわちアイコン112等)のことを対象文書画像と呼ぶ。また、対象文書画像が表す文書すなわちファイルのことを対象文書とも呼ぶ。対象文書は、情報処理装置の内部フォーマットの文書又は第2形式のファイルである。またワークスペース領域110内で複数の対象文書画像が順に選択され、それら複数の対象文書画像に対して処理の実行が指示される場合があるが、その場合にそれら複数の対象文書画像のうち最初に選択されたものに対応する対象文書のことを先頭文書と呼ぶ。
【0106】
束ね処理の実行指示を受けた場合、情報処理装置は、その対象文書画像が表すファイルが全て第2形式(この例ではPDF)のファイルであるか否かを判定する(ステップ500)。このステップも含め、本実施形態の処理手順の中には、対象文書画像が表すファイルが第2形式か(あるいは第1形式か)を判定するステップがある。これらのステップでの判定は、そのファイルに含まれる(例えばそのファイルのヘッダ情報に含まれる)、そのファイルのデータ形式を示す情報に従って行ってもよい。
【0107】
ステップ500の判定の結果がYesの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する対象文書の第2形式のファイルを束ねる処理を実行して、束ね後の文書を生成する。そして情報処理装置は先頭文書をその束ね後の文書によりバージョンアップする(ステップ502)。次に情報処理装置は、対象文書のうち先頭文書以外のものをゴミ箱に移動する(ステップ504)。
【0108】
ステップ500の判定結果がNoの場合、情報処理装置は、その先頭文書が第2形式のファイルであるか否かを判定する(ステップ506)。この判定の結果がYesの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルを束ねる処理を実行し、その結果得られた束ね後の文書により先頭文書をバージョンアップする(ステップ508)。なお、この束ねる処理は、各対象文書画像に対応する第2形式のファイルを用いて行われる。そして情報処理装置は、先頭文書以外の対象文書を記憶したままとする(ステップ510)。束ね処理の結果、ワークスペース領域110上の先頭文書を表す対象文書画像は、バージョンアップにより表示内容が変わる場合があるが、それ以外の対象文書画像の表示内容は変化しない。
【0109】
ステップ506の判定結果がNoの場合、情報処理装置は、すべての対象文書画像に対応する第2形式のファイルを束ねる処理を実行し、その結果得られた束ね後の文書を新規文書として記憶する(ステップ512)。この束ねる処理は、各対象文書画像に対応する第2形式のファイルを用いて行われる。そして情報処理装置は、すべての対象文書を記憶したまま維持する(ステップ514)。束ね処理の結果、ワークスペース領域110上には束ね結果の新規文書を示す対象文書画像すなわちアイコンが新たに表示される。また、束ねの対象に選択されていた各対象文書画像は、変化せずにそのまま表示される。
【0110】
ステップ504、510、又は514の後、情報処理装置は、個々の対象文書画像についてそれぞれ、その対象文書画像に対応する第2形式のファイル全体に関連付けられた添付ファイルがあるか否かを判定する(ステップ516)。対象文書画像に対応する第2形式のファイル全体に関連付けられた添付ファイルがあれば、その添付ファイルを、束ね後の先頭文書に関連付ける(すなわち添付ファイルを先頭文書に統合する)(ステップ518)。なお、ステップ512で作成された新規文書も、このステップ518及び後述のステップ522でいう先頭文書に該当する。例えば対象文書画像に対応する第2形式のファイルA全体に添付ファイルa1及びa2が関連付けられ、対象文書画像に対応する第2形式のファイルB全体に添付ファイルbが関連付けられていた場合、ステップ518ではそれら3つの添付ファイルa1、a2、bを先頭文書に関連付ける。ステップ516の判定結果がNoの場合は、ステップ518はスキップする。
【0111】
次に情報処理装置は、個々の対象文書画像についてそれぞれ、その対象文書画像に対応する第2形式のファイルのページに関連付けられた添付ファイルがあるか否かを判定する(ステップ520)。この判定の結果がYesの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルのページに関連付けられていた添付ファイルを、先頭文書中のそのページに関連付ける(ステップ522)。ステップ520の判定結果がNoの場合は、ステップ522はスキップする。
【0112】
次に図6を参照して、図5の手順におけるステップ502、508、512(すなわち複数のファイルを実際に束ねる処理)の詳細手順、特にロック制御(すなわち排他制御)を含む手順を例示する。
【0113】
図6に示すように、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルの束ねを開始するにあたり、まずそれら全ての対象文書画像に対応するファイル(第1形式および第2形式のファイル)について、システムロックを取得する(ステップ600)。これにより、それら全ての対象文書画像(及びこれが表す対象文書)は、全てのユーザから操作不可となる。なお、完全に操作不可とする代わりに、編集は認めないが参照は認めるようにしてもよい。このシステムロックの後、情報処理装置は、それら対象文書画像に対応する第2形式のファイルに対して、ステップ502、508、512のそれぞれに応じた形態で束ね処理を実行する(ステップ610)。
【0114】
次に情報処理装置は、ステップ610で実行した束ね処理が、上書き(すなわち先頭文書のバージョンアップ)による束ねであるか否かを判定する(ステップ612)。この判定の結果は、ステップ502及び508の場合にYesとなり、ステップ512の場合にはNoとなる。
【0115】
ステップ612の判定結果がYesの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応するファイル中にユーザロック中のものがあるか否かを判定する(ステップ614)。ユーザロック中の文書に対しては、そのユーザロックを掛けたユーザは編集ができるが、それ以外のユーザは編集ができない。ステップ614の判定結果がYesの場合、すなわち対象文書画像に対応するファイルの中に1つでもユーザロック中の文書があれば、情報処理装置は、束ね後の文書に対してユーザロックをかける(ステップ616)。ユーザロック中の文書がなければ、束ね後の文書にはユーザロックが掛けられない。そして、情報処理装置は、全ての対象文書画像に対応するファイルについてのシステムロックを解除する(ステップ618)。
【0116】
ステップ612の判定結果がNoの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応するファイル中にユーザロック中のものがあるか否かを判定する(ステップ620)。ステップS620の判定結果がYesの場合、情報処理装置は、ユーザロックがかかっている対象文書画像に対応するファイルからそのユーザロックを解除する(ステップ622)。ユーザロック中の文書がなければ、ステップ622はスキップされる。
【0117】
またステップ612の判定結果がNoの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルの中に、束ね後の文書(この場合は新規に作成された文書である)と同名の文書があるか否かを調べ(ステップ624)、この判定の結果がYesの場合は、束ね後の文書を所定の規則に従ってリネームする(ステップ626)。例えば、束ね後の文書が、対象文書画像に対応する第2形式のファイルのうちの先頭文書のファイル名を引き継ぐ設定の場合、ステップ626の判定結果はYesとなり、束ね後の文書のファイル名はリネームされることとなる。リネームの規則は、例えば、リネーム前の文書名に対して、所定桁数の通し番号のサフィックスを付加する、などのものでよい。ステップ624の判定結果がNoの場合は、ステップ626はスキップされる。そして、情報処理装置は、全ての対象文書画像に対応するファイルについてのシステムロックを解除する(ステップ618)。
【0118】
ステップ618の後、情報処理装置は、図5の手順のステップ516に進む。
【0119】
<ばらし処理>
次にばらし処理の詳しい例を説明する。
【0120】
ばらし処理は、ワークスペース領域110内で選択された一つの文書を、ユーザの指定に応じていくつかの文書に分割する処理である。ばらし処理は、分割処理とも呼ぶ。
【0121】
情報処理装置は、ばらし処理のUIのために、ばらし画面を提供する。この画面は、ユーザがワークスペース領域110上で対象文書画像であるアイコン112等を選択し、操作メニュー又はツールバーから「ばらし」(又は「分割」)ボタンを押下するか、又はコンテキストメニューで「ばらす」を選択することにより呼び出される。
【0122】
「ばらし処理」実行後の結果は、「ばらし画面」内のオプション選択により、以下の2通りが選択できる。
(A)対象文書画像に対応する第2形式のファイルを、分割(ばらし)後の先頭文書で上書きする。
(B)対象文書画像に対応する第2形式のファイルは変更せずに、分割後の文書を全て新規作成する。
【0123】
なお、ばらし処理の対象文書画像が第2形式以外の形式のファイルを表す画像である(言い換えれば第1形式のファイルを表す画像である)場合、上記オプション選択は無効となり、自動的に(B)の処理結果が選ばれる。この時、ユーザには、文書が第2形式(この例ではPDF)に変換される旨のメッセージが通知される。このメッセージは、例えば「処理を実行後の文書はPDFとして新規作成されます。」等といったものでよい。また内部での第2形式への変換が失敗していた場合、実行エラーとなる。
【0124】
ばらし画面の表示中は、ばらしの対象文書画像に対応するファイルが操作中のユーザによりロック状態となる。その対象文書画像に対応するファイルを別のユーザがロック中の場合は、ばらし処理を実行できない。また、「ばらし画面」を閉じるとユーザロックは解除される。ばらし処理の実行中は、ばらしの対象文書画像に対応するファイルに対してシステムロックが行われる。システムロックが行われると、操作を開始したユーザ含め、すべてのユーザが、ばらし処理が終了するまで対象文書画像を操作することができない。このシステムロックは、ばらし処理の完了により解除される。対象文書画像に対応するファイルにユーザロック中の文書がある場合において、ばらしが上書きにより行われる場合には、ばらし後の先頭文書はユーザロックを維持する。ただし、ばらしの結果新規に作成される文書にユーザロックはかからない。
【0125】
ばらし処理は、ハンドリング画面100の表示上では、例えば以下のように進行する。
【0126】
ユーザが、ワークスペース領域110上で、ばらしの対象の文書を選択し、「ばらし」ボタンの押下、またはコンテキストメニューでの「ばらす」の選択等の操作を行うと、情報処理装置は、ばらし画面を表示する。ばらしは複数ページを持つ一つの文書に対してのみ可能な処理である。複数文書を選択している場合には、ばらし機能は無効になる。
【0127】
図7に、ばらし画面700を例示する。ばらし画面700には、ばらし処理の対象文書画像に対応する第2形式のファイルの各ページのサムネイル画像714a、714b、・・・を表示するサムネイル欄710が含まれる。表示開始ページ指定欄720には、サムネイル表示を開始するページの番号が入力される。この表示開始のページ番号の初期値は1であり、ばらし画面700が最初に表示される際には、サムネイル欄710には、左から順に、対象文書画像に対応する第2形式のファイルの1ページ目、2ページ目、3ページ目、・・・のサムネイル画像714a、714b、・・・が表示される。もっと後のページから表示を開始したい場合、ユーザは、表示開始ページ指定欄720に、表示を開始したいページ番号を入力し、再表示ボタン722を押下する。これに応じてサムネイル欄710には、指定された開始ページから順に、連続した各ページのサムネイル画像が表示される。サムネイル欄710内の隣り合うページのサムネイル画像714a、714b、・・・同士の間には、分割位置マーク712a、712b、712c、・・・が表示される。分割位置マーク712a等は、オン、オフの2つの状態のいずれかをとる。文書は、オン状態の分割位置マーク712a等の位置で分割される。図示例では、白抜きの分割位置マーク712a、712cがオフ状態であり、黒塗りの分割位置マーク712bはオン状態である。分割位置マーク712a等のオン、オフは、マウスのクリック操作等で切り替えることができる。
【0128】
項目730は、「指定ページずつ分割」モードでの分割を指示する場合に用いられる。チェック欄732がマウス操作等によりオン(すなわちチェックマークが入った状態)にされると、このモードがオンになる。このモードがオンの場合、情報処理装置は、分割ページ数欄734にユーザが入力したページ数ずつ対象文書画像に対応する第2形式のファイルを分割する。図7の例では、このモードがオンであり、分割ページ数が2に指定されている。この指定に応じて、サムネイル欄710では、先頭から2ページずつの位置にある分割位置マーク712bがオン状態になっている。
【0129】
このように、ばらし画面700での文書の分割位置は、以下の2つの方法で指定できる。
(α)サムネイル欄710上で分割位置マーク712a等をクリックする(クリックのたびにマークのオン、オフはトグルする)。
(β)項目730(「ページ単位で分割する」)のチェック欄732をオンにして、分割ページ数欄734にページ数を指定する。
【0130】
上記(β)の方法で、指定ページ数間隔で分割位置マーク712aをオンにした後に、上記(α)の方法で個々の分割位置マーク712aの状態を再編集することも可能である。
【0131】
項目740は、「元の文書自体を分割する」モードでの分割を指示する場合に用いられる。チェック欄742がマウス操作等によりオンにされると、このモードがオンになる。このモードがオンの場合、情報処理装置は、ワークスペース領域110内で選択されたばらし処理の対象文書画像に対応する第2形式のファイル自体を分割する。この場合、情報処理装置が記憶している対象文書画像に対応する第2形式のファイルは、分割の結果生成される複数の文書のうちの先頭文書により上書きされる。一方、このモードがオフの場合は、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルの複製を作成し、その複製を分割する。この場合、分割結果の複数の文書は全て、情報処理装置のファイルシステムに新規の文書として記憶される。
【0132】
図示例ではこの「元の文書自体を分割する」モードはオフなので、ばらし(分割)処理の開始を指示する開始ボタン750には「複製を分割」と表示される。逆にこのモードがオンの場合は、開始ボタン750には「分割」と表示される。
【0133】
対象文書画像が第1形式のファイルを表す場合、「元の文書自体を分割する」モードの選択は不可となり、複製を分割するモードが自動的に選択される。
【0134】
分割位置マーク712a等のうちの少なくとも1つがオン状態となっていれば、ばらし処理の開始を指示する開始ボタン750が有効すなわち押下可能になる。開始ボタン750をクリックすると、ばらし処理が実行され、これに応じてばらし画面700の表示が終了する。この結果表示されることになるワークスペース領域110は、ばらし処理の結果を示す状態に更新される。すなわち、ばらしの結果生成された新規文書を示すアイコンがワークスペース領域110に追加される。
【0135】
なお、キャンセルボタン752が押下されると、ばらし処理が実行されないまま、ばらし画面700が閉じられる。
【0136】
ばらし画面700の表示が終了すると、ばらし処理のためにロックされていた文書がアンロック(すなわちロック解除)される。
【0137】
情報処理装置は、ばらし処理の結果生成される文書のファイル名を例えば次のように決定する。
【0138】
対象文書画像に対応する第2形式のファイルを、ばらし結果の先頭文書で上書きする場合には、その先頭文書は元の文書名、すなわち対象文書画像に対応するファイルの文書名を引き継ぎ、二番目以降の文書は、同名回避ルールに従った枝番付きの文書名とする。例えば、元の文書名の後に、ハイフン付きの所定桁数のサフィックスを付加した文書名とする。
【0139】
対象文書画像に対応する第2形式のファイルに上書きせず、ばらし処理の結果の文書を全て新規作成する場合には、同名回避ルールに従った枝番付きの文書名とする。
【0140】
なお、情報処理装置は、ばらし処理の実行中に、対象文書画像に対応付けて、その処理の進捗状況を表示してもよい。この表示は、例えばアクティビティインジケータの形態や、全ページ数に対する処理済みページ数の数字表示の形態などで行ってもよい。
【0141】
ばらし処理の対象文書画像に対応する第2形式のファイルの本体に添付された添付ファイルがある場合、ばらし結果の文書のうち、対象文書画像に対応する第2形式のファイルの先頭ページが含まれる文書に、その添付ファイルが添付される。対象文書画像に対応する第2形式のファイルの各ページに関連付けられている添付ファイルは、ばらし結果の各文書の、同じページに関連付けられた状態で引き継がれる。
【0142】
対象文書画像に対応するファイルの属性は、ばらし結果の全ての文書に引き継がれる。
【0143】
以上に説明したばらし処理について、代表的な3つのパターンを図8に例示する。
【0144】
パターン(a)は、添付ファイル付きの2ページからなる第2形式の文書800を、上書き方式(すなわち「元の文書自体を分割する」モード)で1ページずつにばらす指示がなされた場合を示す。この場合、ばらしの結果、1ページからなる第2形式の文書802及び804が生成され、文書802は文書800に上書きされる。また添付ファイルは、先頭の文書802に引き継がれる。
【0145】
パターン(b)は、2ページからなる第1形式(例えばワードプロセッサのデータ形式)の文書810を、1ページずつにばらす指示がなされた場合を示す。この場合、ばらし処理では、その文書810が含む第2形式の文書が1ページずつに分割されて、1ページからなる第2形式の文書812及び814が新規作成される。また、元の文書810は情報処理装置内に記憶されたままとなる。
【0146】
パターン(c)は、添付ファイル付きの2ページからなる第2形式の文書820を、元の文書を残す方式で1ページずつにばらす指示がなされた場合を示す。この場合、ばらしの結果、1ページからなる第2形式の文書822及び824が生成されると共に、元の文書820も残る。ばらしの結果のうち先頭の文書822にも、その添付ファイルが添付される。
【0147】
図9に、このようなばらし処理の全体的な処理手順を例示する。この手順は、ユーザが、ばらし画面700上の開始ボタン750を押下してばらし処理の実行を指示したときに開始される。
【0148】
ばらし処理の実行指示を受けた場合、情報処理装置は、その対象文書画像が第2形式(この例ではPDF)のファイルを表している否かを判定する(ステップ900)。この判定では、対象文書画像が第2形式のファイルの他に第1形式のファイルに対応している場合には、その対象文書画像は第2形式のファイルを表していないと判定する。一方、第2形式のファイルに対応しているが第1形式のファイルには対応していない対象文書画像は、第2形式のファイルを表していると判定する。
【0149】
ステップ900の判定の結果がYesの場合、情報処理装置は、更に、ばらし処理の結果を上書きする設定(すなわち「元の文書自体を分割する」が選択された状態)であるか否かを判定する(ステップ902)。次に情報処理装置は、ばらし画面700上での指示に従って対象文書画像に対応する第2形式のファイルをばらし、ばらし結果の先頭文書を対象文書画像に対応する第2形式のファイルに上書き保存し、ばらし結果の他の文書を新規文書として作成して保存する(ステップ904)。
【0150】
ステップ900の判定結果がNoの場合、情報処理装置は、ばらし結果の各文書を新規作成し、保存する(ステップ906)。
【0151】
ステップ904又は906の後、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイル全体に関連付けられた添付ファイルがあるか否かを判定する(ステップ908)。この判定の結果がYesであれば、その添付ファイルを、ばらし結果の先頭文書に関連付ける(ステップ910)。ステップ908の判定結果がNoの場合は、ステップ910はスキップする。
【0152】
次に情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルのページに関連付けられた添付ファイルがあるか否かを判定する(ステップ912)。この判定の結果がYesの場合、情報処理装置は、対象文書画像に対応する第2形式のファイルのページに関連付けられていた添付ファイルを、ばらし結果の各文書中のそのページに該当するページに関連付ける(ステップ914)。ステップ912の判定結果がNoの場合は、ステップ912はスキップする。
【0153】
図9の手順におけるステップ904及び906における対象文書画像に対応するファイルに対するロックの制御の具体的な手順は、図6に示した束ね処理に置けるロック制御の手順と類似したものでよいので、説明は省略する。
【0154】
<注釈処理>
情報処理装置が第2形式のファイルの注釈情報に関連付ける注釈処理も、特定処理の一例である。例えば、図1に例示したハンドリング画面100上の承認印ボタン124を用いた押印処理を例にとって、この注釈処理について説明する。
【0155】
ユーザがワークスペース領域110上で対象文書画像を選択し、承認印ボタン124を押下すると、情報処理装置は、その対象文書画像に対応する第2形式のファイルを開き、そのファイルの所定ページの所定の場所に、予め記憶している承認印に印影の画像を重畳する。
【0156】
ここで、対象文書画像が第1形式のファイルを表すものである場合、その対象文書画像にはその第1形式のファイルから作成された第2形式のファイルも対応付けられているので、情報処理装置は、その第2形式のファイルに対して印影画像の重畳を行う。情報処理装置は、その対象文書画像に対応付けられた第2形式のファイル自体を、印影画像が重畳されたバージョンへと更新する。また別の例として、情報処理装置は、印影画像が重畳されたバージョンの新たな第2形式のファイルを作成し、記憶してもよい。この例では、新たに作成された第2形式のファイルを表す画像すなわちアイコンが、ワークスペース領域110上に新たに表示される。更に別の例として、対象文書画像に対応付けられた第2形式のファイル自体を更新するか、新たな第2形式のファイルを作成するかを、オプションとしてユーザ側が設定できるようにしてもよい。
【0157】
上記実施形態の情報処理装置は、例えば、汎用のコンピュータを用いて構成される。図10に例示するように、情報処理装置のベースとなるコンピュータは、プロセッサ1002、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のメモリ(主記憶装置)1004、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)、HDD(ハードディスクドライブ)等の不揮発性記憶装置である補助記憶装置1006を制御するコントローラ、各種の入出力装置1008とのインタフェース、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース1010等が、例えばバス1012等のデータ伝送路を介して接続された回路構成を有する。上記実施形態の処理の内容が記述されたプログラムが、ネットワーク等を経由してそのコンピュータにインストールされ、補助記憶装置1006に記憶される。補助記憶装置1006に記憶されたプログラムが、プロセッサ1002によりメモリ1004を用いて実行されることにより、本実施形態の情報処理装置が構成される。
【0158】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0159】
また上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによってなすのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働してなすものであってもよい。また、プロセッサの各動作は、以上の実施形態において説明した順序のみに限定されるものではなく、適宜に変更してもよい。
【0160】
また以上の実施形態では、特定処理の対象となるファイル又は文書として、ワードプロセッサや表計算のソフトウエアで作成されたファイルを主として示したが、これはあくまで一例に過ぎない。上記実施形態の処理の対象となるファイル又は文書には、それらの他に、例えば動画やマルチメディアデータのファイルなども含まれ得る。
【符号の説明】
【0161】
100 :ハンドリング画面
110 :ワークスペース領域
112 :アイコン
112a :サムネイル画像
112b :ワードプロセッサのデータ形式を示すマーク
112c :ファイル名
114 :アイコン
114a :サムネイル画像
114b :表計算のデータ形式を示すマーク
114d :複数ページを含むことを示すマーク
114e :ページ戻しマーク
114f :ページ送りマーク
114g :ページ番号
116 :アイコン
116b :ハンドリングソフトのデータ形式を示すマーク
118 :アイコン
119 :アイコン
120 :操作ボタン領域
122 :印刷ボタン
124 :承認印ボタン
1002 :プロセッサ
1004 :メモリ
1006 :補助記憶装置
1008 :入出力装置
1010 :ネットワークインタフェース
1012 :バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、
取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、
前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行し、
前記第1画像に対して、前記第1形式のファイルに対して実行可能な、前記特定処理とは異なる第2処理の実行が指示された場合に、前記第1形式のファイルに対して前記第2処理を実行するとともに、前記第2形式のファイルに対しては前記第2処理を実行しない、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記プログラムは、前記コンピュータに、作成された前記第2形式のファイルを表す第2画像を表示させない、
ことを特徴とする、請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記特定処理は、複数のファイルを合成して新たな第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記複数のファイルのうちの前記第1画像が表す前記第1形式のファイルを、前記特定処理の結果作成された前記新たな第2形式のファイルに添付する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記特定処理は、1のファイルを複数に分割して複数の第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項6】
前記特定処理は、注釈が付加された第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項7】
前記特定処理の結果第2形式のファイルが作成された場合、前記第1形式のファイルを表す前記第1画像を表示したまま、作成された第2形式のファイルを表す画像を更に表示する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、
それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記特定処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルから前記特定処理の実行が指示される前に作成された前記第2形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記特定処理を実行する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、
それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記第2処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記第2処理を実行する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項10】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、
取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、
前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行し、
前記第1画像に対して、前記第1形式のファイルに対して実行可能な、前記特定処理とは異なる第2処理の実行が指示された場合に、前記第1形式のファイルに対して前記第2処理を実行するとともに、前記第2形式のファイルに対しては前記第2処理を実行しない、
ことを特徴とする情報処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項1に係る発明は、特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行し、前記第1画像に対して、前記第1形式のファイルに対して実行可能な、前記特定処理とは異なる第2処理の実行が指示された場合に、前記第1形式のファイルに対して前記第2処理を実行するとともに、前記第2形式のファイルに対しては前記第2処理を実行しない、処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項に係る発明は、前記プログラムは、前記コンピュータに、作成された前記第2形式のファイルを表す第2画像を表示させない、ことを特徴とする、請求項に記載のプログラムである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項に係る発明は、前記特定処理は、複数のファイルを合成して新たな第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1又は2に記載のプログラムである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項に係る発明は、前記複数のファイルのうちの前記第1画像が表す前記第1形式のファイルを、前記特定処理の結果作成された前記新たな第2形式のファイルに添付する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項に記載のプログラムである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項に係る発明は、前記特定処理は、1のファイルを複数に分割して複数の第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1又は2に記載のプログラムである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項に係る発明は、前記特定処理は、注釈が付加された第2形式のファイルを作成する処理である、請求項1又は2に記載のプログラムである。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項に係る発明は、前記特定処理の結果第2形式のファイルが作成された場合、前記第1形式のファイルを表す前記第1画像を表示したまま、作成された第2形式のファイルを表す画像を更に表示する、処理を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のプログラムである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項に係る発明は、前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記特定処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルから前記特定処理の実行が指示される前に作成された前記第2形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記特定処理を実行する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のプログラムである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
請求項に係る発明は、前記第2形式のファイルを取得した場合には、当該第2形式のファイルを表す第2画像を表示し、それぞれ異なるファイルを表す複数の画像を対象として前記第2処理の実行が指示された場合、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第1形式のファイルについては、当該第1形式のファイルを用い、前記複数の画像のそれぞれが表すファイルのうち前記第2形式のファイルについては、当該第2形式のファイルを用いて、前記第2処理を実行する、処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項に記載のプログラムである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
請求項10に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、特定処理を実行できない第1形式のファイルを取得し、取得した前記第1形式のファイルに基づく前記特定処理が実行可能な第2形式のファイルを、前記特定処理の実行が指示される前に作成し、前記第1形式のファイルを表す第1画像に前記特定処理の実行が指示された場合、作成された前記第2形式のファイルに対して前記特定処理を実行し、前記第1画像に対して、前記第1形式のファイルに対して実行可能な、前記特定処理とは異なる第2処理の実行が指示された場合に、前記第1形式のファイルに対して前記第2処理を実行するとともに、前記第2形式のファイルに対しては前記第2処理を実行しない、ことを特徴とする情報処理装置である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
請求項1又は10に係る発明によれば、第1形式のファイルを表す第1画像が表示されている時点でそのファイルに対して特定処理を行おうとする場合において、特定処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その特定処理の実行を可能とすることができる。また、請求項1又は10に係る発明によれば、第2処理については第1画像がユーザにとって第1形式のファイルを表すものとして振る舞うようにすることができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
請求項に係る発明によれば、第1画像の他に第2画像も表示する場合と比べて、実行したい処理が特定処理か否かに応じて第1画像と第2画像のいずれかを選ぶ煩雑さが提言される。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
請求項に係る発明によれば、複数のファイルを合成して新たな第2形式のファイルを作成する処理に関して、その処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その処理の実行を可能とすることができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
請求項に係る発明によれば、合成の結果作成される新たな第2形式のファイルからも、合成された第1形式のファイルを呼び出すことができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
請求項に係る発明によれば、1のファイルを複数に分割して複数の第2形式のファイルを作成する処理に関して、その処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その処理の実行を可能とすることができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
請求項に係る発明によれば、注釈が付加された第2形式のファイルを作成する処理に関して、その処理の実行を指示してから第2形式のファイルを作成するものよりも早く、その処理の実行を可能とすることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
請求項に係る発明によれば、特定処理の結果第2形式のファイルが作成された場合でも、元の第1形式のファイルそのものに対する処理の実行の指示を受け付けることができる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
請求項に係る発明によれば、複数のファイルを対象とする場合にも、特定処理の実行が可能になる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
請求項に係る発明によれば、複数のファイルを対象として第2処理の実行が指示された場合に、取得した第1形式のファイルについては、その第1形式のファイルに基づいて作成された第2形式のファイルではなく、元の第1形式のファイルに対して第2処理を実行することができる。