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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163311
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】袋口剥離装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/04 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
B65B67/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068176
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】321003658
【氏名又は名称】有限会社アポロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100121371
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 和人
(72)【発明者】
【氏名】有馬 昇
【テーマコード(参考)】
3E057
【Fターム(参考)】
3E057AC03
3E057CC03
3E057CC18
(57)【要約】
【課題】簡便に樹脂袋の口開きができ、容易に用法が理解できる袋口剥離装置の提供。
【解決手段】袋が載置され上面に滑り止め材が貼付/塗布された基台と、基台上方に上下動自在に設けた原動ロッドと、原動ロッド下端に回動自在に軸支され下側に橇面状の摺接面が形成され、摺接面に滑り止め材が貼付/塗布された摺接カムと、原動ロッドを上方に付勢する原動ロッド付勢手段と、摺接カムを摺接面が起立する方向に付勢する摺接カム付勢手段とを備え、原動ロッドは、最上位では摺接カムの摺接面が基台上面から離隔し、最下位で摺接カムの摺接面が基台上面に接し且つ該摺接面が倒伏する方向に摺接カムが回動した状態となる範囲で移動可能であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋が載置される平らな上面を有し、該上面に滑り止め材が取り付けられ又は塗布された基台と、
前記基台の上方に上下動自在に設けられた原動ロッドと、
前記原動ロッドの下端に設けられた水平軸周りに回動自在に軸支され、下面側に下に凸の長円弧曲面状又は橇面状の摺接面が形成され、該摺接面に滑り止め材が取り付けられ又は塗布された摺接カムと、
前記原動ロッドを上方に付勢する原動ロッド付勢手段と、
前記摺接カムを、前記摺接面が起立する方向に付勢する摺接カム付勢手段と、を備え、
前記原動ロッドは、最上位では前記摺接カムの前記摺接面が前記基台の上面から離隔し、最下位では前記摺接カムの前記摺接面が前記基台の上面に接し且つ該摺接面が倒伏する方向に前記摺接カムが回動した状態となる範囲で移動可能であることを特徴とする袋口剥離装置。
【請求項2】
前記原動ロッドが最下位に位置する状態において、前記摺接カムの回動が規制されるように拘束するディテント手段と、
前記原動ロッドが所定の高さまで上昇したときに、前記ディテント手段により拘束された前記摺接カムの拘束を解除するラッチ解除手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の袋口剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ袋(ポリエチレン製袋)、ビニル袋、レジ袋のように、袋口が密着して開袋し難い袋の口を、引き剥がして口開きするための袋口剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーなどの小売店において、買い物の際に、購入した物品を入れるためにポリ袋、ビニル袋、レジ袋などの樹脂袋が用いられる。この樹脂袋は、多くの場合、袋口が密着し静電気によりぴったりとくっついており、これを引き剥がして開袋するのに苦労する場合が多い。そこで、このようにぴったりとくっついた樹脂袋の袋口を引き剥がして開口するための道具としては、袋口剥離装置が知られている。袋口剥離装置としては、特許文献1~20に記載のものが公知である。これらの袋口剥離装置を、袋口剥離の機構構成により分類すると以下の通りに大きく分類できる。
【0003】
(1)固定された摩擦板を設けて、使用者が樹脂袋の袋口を摩擦板上に載せて樹脂袋を指先で摺動させて袋口を剥離するもの。(特許文献1~3)
(2)2つの摩擦ローラ間に樹脂袋の袋口を挟み込み、両ローラを回転させて袋口の上面側シートと下面側シートを剥離するもの。(特許文献4~7)
(3)台上に載置された袋の上面を、ローラにより押圧してこれを回転させ、樹脂袋の上面側シートを袋底側(ボトムシール側)に滑らせることにより、上面側シートを下面側シートから剥離するもの。(特許文献8~10)
(4)対向する2枚の摩擦板の間に樹脂袋の袋口を挟み込み、摩擦板を互いにずらして移動させ、袋口の上面側シートと下面側シートを剥離するもの。(特許文献11~19)
(5)樹脂袋の袋口の上面側シートに粘着部材を押庄して附着させ、粘着部材を持ち上げることにより袋口の上面側シートと下面側シートを剥離するもの。(特許文献20)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3229594号明細書(ポリ袋開口具)
【特許文献2】実用新案登録第3229106号明細書(ポリ袋・レジ袋開口補助台)
【特許文献3】特開2020-55623号公報(ポリ袋開口具)
【特許文献4】特開2020-189683号公報(袋開き装置、及び袋開き方法)
【特許文献5】特開2018-188218号公報(ゴム製レジ及びビニール袋摩擦係数差異式ローラー機構開口装置)
【特許文献6】実用新案登録第3153307号明細書(ロール巻きビニール袋の開口補助架台)
【特許文献7】特開平5-305921号公報(連続袋の送り方法)
【特許文献8】特開平8-133245号公報(物品収納袋の開袋装置)
【特許文献9】特開2020-59509号公報(袋開き装置)
【特許文献10】特開2018-177366号公報(レジ袋給送装置)
【特許文献11】特開2016-88616号公報(ロール袋の保持具)
【特許文献12】実用新案登録第3200990号明細書(オープン具)
【特許文献13】特開2015-168180号公報(袋開封具)
【特許文献14】特開2014-198589号公報(樹脂袋開け具)
【特許文献15】特開2012-140163号公報(袋開口具)
【特許文献16】特開2011-152922号公報(薄袋開口用具)
【特許文献17】特開2010-264995(ビニール袋開封器)
【特許文献18】実用新案登録第3151270号明細書(袋開口用具)
【特許文献19】特開2007-30982号公報(レジ袋開け具)
【特許文献20】特開2004-106875号公報(包装用補助装置)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スーパーやコンビニアンスストアなどの店舗で袋口剥離装置を適用する場合には、できる限り簡便に使用でき、機械に不案内な買い物客などのユーザであっても、初見で使い方が分かりやすいものが求められる。
【0006】
そこで本発明の目的は、上記従来の各袋口剥離装置とは異なる機構で、簡便に樹脂袋の袋口を剥離して口開きすることができ、用法も容易に理解できる袋口剥離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る袋口剥離装置の第1の構成は、袋が載置される平らな上面を有し、該上面に滑り止め材が取り付けられ又は塗布された基台と、
前記基台の上方に上下動自在に設けられた原動ロッドと、
前記原動ロッドの下端に設けられた水平軸周りに回動自在に軸支され、下面側に下に凸の長円弧曲面状又は橇面状の摺接面が形成され、該摺接面に滑り止め材が取り付けられ又は塗布された摺接カムと、
前記原動ロッドを上方に付勢する原動ロッド付勢手段と、
前記摺接カムを、前記摺接面が起立する方向に付勢する摺接カム付勢手段と、を備え、
前記原動ロッドは、最上位では前記摺接カムの前記摺接面が前記基台の上面から離隔し、最下位では前記摺接カムの前記摺接面が前記基台の上面に接し且つ該摺接面が倒伏する方向に前記摺接カムが回動した状態となる範囲で移動可能であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ユーザは、基台上に樹脂袋を置いて、原動ロッドを、最下位に位置するまで下方に手で押して、その後、手を離すだけで、簡便に樹脂袋の袋口を剥離して口開きすることができる。また、その使用法も容易に理解できる。
【0009】
本発明に係る袋口剥離装置の第2の構成は、上記第1の構成に於いて、前記原動ロッドが最下位に位置する状態において、前記摺接カムの回動が規制されるように拘束するディテント手段と、
前記原動ロッドが所定の高さまで上昇したときに、前記ディテント手段により拘束された前記摺接カムの拘束を解除するラッチ解除手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、摺接カムが樹脂袋上を摺動して口開きした段階で、ディテント手段によって回動が拘束され、拘束された状態で上昇して、一定程度上昇した後に、ラッチ解除手段により回動拘束が解除されて、摺接カム付勢手段によって摺接面が起立した状態まで復帰する。これにより、一旦口開きした樹脂袋が摺接カムの復帰回動によって口が閉じられるという事態が防止される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、上記従来の各袋口剥離装置とは異なる機構で、簡便に樹脂袋の袋口を剥離して口開きすることができ、用法も容易に理解できる袋口剥離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1に係る袋口剥離装置の(a)右前方斜め上から見た斜視透視図及び(b)右公報斜め上から見た斜視透視図である。
図2図1の袋口剥離装置の(a)正面透視図及び(b)背面透視図である。
図3図1の袋口剥離装置の右側面透視図である。
図4図1の袋口剥離装置の駆動機構部分の斜視透視図である。
図5】実施例1に係る袋口剥離装置の袋口剥離動作を表す図である。
図6】実施例1に係る袋口剥離装置のディテント手段の動作を説明する図である。
図7】本発明の実施例2に係る袋口剥離装置の右前方斜め上から見た斜視図及び(b)右前方斜め上から見た斜視透視図である。
図8図7の袋口剥離装置の(a)正面透視図、(b)平面透視図、(c)右側面透視図、(d)背面透視図である。
図9図8(b)の(a)A-A線矢視断面図及び(b)B-B線矢視断面図である。
図10】実施例2に係る袋口剥離装置の摺接カム8周辺の部分拡大透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例0014】
図1は、本発明の実施例1に係る袋口剥離装置の(a)右前方斜め上から見た斜視透視図及び(b)右公報斜め上から見た斜視透視図である。図2は、図1の袋口剥離装置の(a)正面透視図及び(b)背面透視図である。図3は、図1の袋口剥離装置の右側面透視図である。図4は、図1の袋口剥離装置の駆動機構部分の斜視透視図である。図1図4において、実施例1に係る袋口剥離装置1は、ハウジング2、基台3、原動ロッド4、押釦ヘッド5、軸支持部6、カムシャフト6a、スペーサ7(原動ロッドストローク規制筒体)、摺接カム8、リターンスプリング9、摺接カムスプリング10、リリースバー11を備えている。ハウジング2は、机上に水平に載置される扁平直方体状の基台3と、基台3の背面側に起立して立設された柱状体であるリアポスト2aと、リアポスト2aの上部前面側に連設され駆動機構を支持・収納する角箱状の上部ホルダ2bとを備えている。以下の説明では、基台3のリアポスト2aの側を「後側(又は背側)」、その反対側を「前側」とし、前側から基台3を視て左手側を「左側」、右手側を「右側」という。基台3は、上面にゴムやシリコン樹脂などの、樹脂袋に対する摩擦係数が大きい滑り止め材3aが取り付けられ又は塗布されている。上部ホルダ2bは、下側部全体が開口する四角箱状に形成され、天板の中央付近にロッド挿通孔2cが開口形成されている。原動ロッド4は、直棒状のステム(stem;幹体)であり、上部ホルダ2bのロッド挿通孔2cに、上下動自在に貫装されている。押釦ヘッド5は、上端縁がフィレット加工された短円柱状の押釦体であり、上部ホルダ2bの天板の上方に位置し、原動ロッド4の上端に、原動ロッド4の中心軸と同心に連設されている。軸支持部6は、左右の同形の側部材6b,6bの上端が水平梁部材6cによって連結された、正面視で冂字状のブロックであり(図4参照)、原動ロッド4の下端に同軸に連設されている。軸支持部6の左右の側部材の中央には、両側部材中央を水平に架け渡すようにカムシャフト6aが架設されている。スペーサ7は、円筒状の筒体であり、上部ホルダ2bの天板のロッド挿通孔2cの下側に垂直に連設されている。原動ロッド4の中央部は、このスペーサ7に挿通されており、原動ロッド4が上方に移動すると、軸支持部6がスペーサ7の下端に突き当たり、原動ロッド4のストローク長が規制される。摺接カム8は、軸支持部6の左右側部材間に、カムシャフト6aで回動自在に軸支されたカム(cam)である。摺接カム8は、水平に横倒された横倒円柱の下半側に、下に凸の長円弧曲面状又は橇面状の摺接面8aを有する橇状体を重合したような形状に形成されている。この摺接面8aには、ゴムやシリコン樹脂などの滑り止め材(図示せず)が取り付けられ又は塗布されている。摺接カム8の横倒円柱状部分の中心に軸孔が貫設されており、この軸孔にカムシャフト6aが挿通されている。軸孔とカムシャフト6aの間には、摺接カム8の回動を円滑にすべく、ベアリング(図示せず)を介設することもできる。また、摺接カム8の横倒円柱状部分の側面(円周面)中央には、円周面に沿って中央凹溝8bが形成されている。リターンスプリング9は、原動ロッド4の、ハウジング2の上部ホルダ2bの天板と押釦ヘッド5との中間部分に環装されたコイルスプリングである。このリターンスプリング9は、原動ロッド4が下方に移動した際に押釦ヘッド5により圧縮され、原動ロッド4を上方に付勢する原動ロッド付勢手段である。摺接カムスプリング10は、軸支持部6の水平梁部材6cの背面と、摺接カム8の中央凹溝8bの背面側の溝底面との間に渡して設けられたコイルスプリングである。この摺接カムスプリング10は、摺接カム8が、摺接面8aが前方向に動き、摺接面8aが前方に移動しつつ倒伏するように回動した場合に伸長され、倒伏した摺接面8aが後方向きで起立する方向に摺接カム8を付勢する摺接カム付勢手段である。リリースバー11は、四角箱状の上部ホルダ2bの箱内下部の、摺接カム8よりも前方側に、該上部ホルダ2bの左右側板の間に水平に架け渡すように架設された棒状体である。このリリースバー11は、摺接面8aが最下位となる位置(摺接面8aが最も倒伏する位置)に摺接カム8が回動した状態において、摺接面8aの前側先端よりも後方となり且つ摺接カム8の横倒円柱状部分よりも前方となる位置に設けられている。このリリースバー11の詳細については後述するが(図5の説明参照)、リリースバー11は、原動ロッド4が所定の高さまで上昇したときに、ディテント機構12(detent mechanism;戻り止め機構)により拘束された摺接カム8の拘束を解除するラッチ解除手段となる。ディテント機構12(ディテント手段)は、軸支持部6の左右の側部材6b,6bの下端近傍に貫設された小孔内に収納されたデイテントボール12a及びディテントスプリング12bと、摺接カム8の左右側面(ボールコンタクト面)上に形成されたディンプル12d(dimple;小さなくぼみ。ディテント孔)とから構成される。
【0015】
図5は、実施例1に係る袋口剥離装置の袋口剥離動作を表す図である。図5では、天板以外のハウジング2を省略し、滑り止め材3a以外の基台3を省略している。また、図6は、実施例1に係る袋口剥離装置の摺接カムのラッチング機構の動作を説明する図である。押釦ヘッド5が押されていない初期状態において、図5(a)に示すように、基台3上の滑り止め材3aの上面に樹脂袋Pが置かれる。この状態で、ユーザが押釦ヘッド5を手で下方に押し込むと、図5(b)に示すように、摺接カム8が下方に移動して、摺接カム8の摺接面8aの先端が樹脂袋Pの上面側シートに接触する。このとき、リターンスプリング9は押釦ヘッド5と天板2dの間で圧縮される。さらに押釦ヘッド5を下方に押し込むと、摺接カム8が基台3に押されて下側面が前方へずり動くように回動しながら下方に移動する。以下ではこの回動方向を「往き方向」、その逆の回動方向を「戻り方向」と呼ぶ。このとき、樹脂袋Pの上面側シートに接触する摺接カム8の摺接面8aには滑り止め材が設けられており、樹脂袋Pの下面側シートに接触する基台3には滑り止め材3aが設けられているので、樹脂袋Pの上面側シートは摺接面8aに引き摺られて樹脂袋Pの袋底側(ボトムシール側)に移動する一方、樹脂袋Pの下面側シートは滑り止め材3aのずり抵抗により引き留められる。これにより、樹脂袋Pの上面側シートと下面側シートは引き剥がされる(図5(c))。また、摺接カム8の回動に伴い、摺接カムスプリング10が伸長されて、摺接カム8を戻り方向に引き戻す回動力が作用する。さらに押釦ヘッド5を最下位まで押し込むと、図5(d)に示すように、摺接カム8は往き方向に、初期状態(図5(a)の状態)からほぼ90度回動して、摺接面8aの平らな部分が基台3の上面とほぼ平行な状態となり、これ以上は押釦ヘッド5を下方に押し込むことは出来なくなる。そして、この状態で、摺接カム8の左右側面(ボールコンタクト面)上のディンプル12dが、軸支持部6の左右の側部材6b,6bの内側に設けられたディテント機構12のデイテントボール12aの位置に到達し、ディテントスプリング12bの押圧力によってデイテントボール12aの内側の球欠部分がディンプル12dに嵌合して摺接カム8の回動が拘束される(図6参照)。そして、ユーザが押釦ヘッド5から手を離すと、圧縮されたリターンスプリング9の復元力により摺接カム8が上昇する。このとき、摺接カム8の回動はディテント機構12によって拘束されているので、摺接カム8は往き方向にほぼ90度回動した状態に維持される。さらに摺接カム8が上昇すると、図5(e)に示すように、摺接カム8の前端上部がリリースバー11に当接する。然らば、摺接カム8の更なる上昇に伴い、摺接カム8の先端が強制的に戻り方向に引き戻され、ディンプル12dに嵌合していたデイテントボール12aの球欠部分がディンプル12dから摺出して離脱し、摺接カム8のディテント機構12による回動の拘束が解除される。拘束が解除されると、摺接カム8は摺接カムスプリング10の復元力によって摺接面8aが起立した状態(図5(a))に戻される。このようにして、ユーザは簡便に樹脂袋の袋口を剥離して口開きすることができる。また、この作業でユーザは押釦ヘッド5を押して離すだけなので、機械に不案内な買い物客などのユーザであっても、用法を容易に理解できる。
【0016】
なお、本実施例では、ディテント手段として、デイテントボール12a,ディテントスプリング12b,ディンプル12dで構成されたディテント機構12を例示し、ラッチ解除手段として、リリースバー11を例示したが、本発明ではディテント手段及びラッチ解除手段はこれに限られず、摺接カム8が最下位に位置したときに摺接カム8の回動を拘束し、摺接カム8が一定の位置まで上昇したときに摺接カム8の回動拘束を解除するような機構であれば、どのような公知の機構をも使用することが出来る。例えば、左右のディテント機構12の位置にディテント機構12に代えて磁石を設け、左右のディンプル12dの位置にディンプル12dに代えて磁石を設け、其々の磁石の磁力により、摺接カム8が最下位に位置したときに摺接カム8の回動を拘束するようなディテント手段を採用することもできる。また、ラッチ解除手段として、リリースバー11ではなく、他の障害構造を採用することもできる。
【実施例0017】
図7は、本発明の実施例2に係る袋口剥離装置の右前方斜め上から見た斜視図及び(b)右前方斜め上から見た斜視透視図である。図8は、図7の袋口剥離装置の(a)正面透視図、(b)平面透視図、(c)右側面透視図、(d)背面透視図である。図9は、図8(b)の(a)A-A線矢視断面図及び(b)B-B線矢視断面図である。図10は、実施例2に係る袋口剥離装置の摺接カム8周辺の部分拡大透視図である。図7図10において、実施例1と同様の構成部分については、同符号を附して説明は省略する。
【0018】
本実施例2の袋口剥離装置は、実施例1と比較すると、基台3の下面に滑り止め材3bを設けた点、摺接カム8の摺接面8aの橇形状を変更した点、実施例1の摺接カムスプリング10(摺接カム付勢手段)を、摺接カム8の左右のボールコンタクト面のカムシャフト6a周囲に環装された、トーションスプリングからなる摺接カムスプリング10’,10’に代えた点、実施例1のリリースバー11(ラッチ解除手段)を、ハウジング2の上部ホルダ2bの前面下端辺から内側に延設されたリリースフランジ11’に代えた点が相違している。尚、摺接カムスプリング10’,10’は、カムシャフト6aを回動軸として、軸支持部6の左右の側部材6b,6bに対し、摺接カム8の左右のボールコンタクト面を、摺接面8aが後方向きで起立する方向に回動付勢する。このような構成を採用しても、実施例1と同様に、簡便に樹脂袋の袋口を剥離して口開きすることができ、用法も容易に理解できる袋口剥離装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 袋口剥離装置
2 ハウジング
2a リアポスト
2b 上部ホルダ
2c ロッド挿通孔
2d 天板
3 基台
3a 滑り止め材
3b 滑り止め材
4 原動ロッド
5 押釦ヘッド
6 軸支持部
6a カムシャフト
6b 側部材
6c 水平梁部材
7 スペーサ
8 摺接カム
8a 摺接面
8b 中央凹溝
9 リターンスプリング(原動ロッド付勢手段)
10,10’ 摺接カムスプリング(摺接カム付勢手段)
11 リリースバー(ラッチ解除手段)
11’ リリースフランジ(ラッチ解除手段)
12 ディテント機構(ディテント手段)
12a デイテントボール
12b ディテントスプリング
12c イモネジ
12d ディンプル
P 樹脂袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10