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特開2022-163325光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置
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  • 特開-光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置 図1
  • 特開-光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163325
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20221019BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G02B6/46
G02B6/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068192
(22)【出願日】2021-04-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2020年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発/高温動作可能なシリコンフォトニクス光モジュール技術の開発」委託研究、 産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】517177464
【氏名又は名称】アイオーコア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藏田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 茂
【テーマコード(参考)】
2H038
2H137
【Fターム(参考)】
2H038CA37
2H137AB05
2H137AB06
2H137AB11
2H137BA12
2H137BA15
2H137BA52
2H137BA53
2H137DA07
2H137DA12
2H137DA13
(57)【要約】
【課題】光学特性の劣化を防止でき、信頼性に優れ、且つ小型の光配線構造を提供する。
【解決手段】装置は、筐体と、前記筐体内に配置された光コネクタ付きモジュールと、を備え、前記光コネクタ付きモジュールは、モジュール本体と、一方端が前記モジュール本体に接続された光ファイバと、前記光ファイバの他方端に接続された光コネクタであって、前記筐体に固定された光コネクタと、を備え、前記光ファイバは、前記筐体内において、前記筐体の底面に対して立った状態のループを形成するように巻かれている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置であって、
筐体と、
前記筐体内に配置された光コネクタ付きモジュールと、
を備え、
前記光コネクタ付きモジュールは、
モジュール本体と、
一方端が前記モジュール本体に接続された光ファイバと、
前記光ファイバの他方端に接続された光コネクタであって、前記筐体に固定された光コネクタと、
を備え、
前記光ファイバは、前記筐体内において、前記筐体の底面に対して立った状態のループを形成するように巻かれている、
装置。
【請求項2】
前記光ファイバは、複数の光ファイバからなるテープ心線ファイバである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モジュール本体は、前記筐体の前記底面と平行な面内に並列に配置された複数の光導波路を有し、
前記テープ心線ファイバは、前記一方端が前記モジュール本体の前記複数の光導波路に接続されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光ファイバにより形成される前記ループの直径は、前記筐体の前記底面に垂直な方向の寸法よりも小さい、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記光ファイバは、2周以上のループを形成するように巻かれている、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光送受信機能を備えた装置において、装置内の配線として、複数チャンネルの光信号を並列に伝送するテープ心線ファイバが用いられることがある(例えば、特許文献1、2参照)。テープ心線ファイバは、複数本(例えば8~20本)の単線光ファイバを横に一列に並べて樹脂等の薄い外皮でコーティングした構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/012213号
【特許文献2】国際公開第2014/156962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に光ファイバの長さには寸法公差があるので、光ファイバの長さには余長を持たせることが必要である。しかし、余長の量が少ないと、光ファイバには座屈が生じる可能性がある。光ファイバの座屈はマイクロベンドを伴い、伝搬光の減衰を増大させてしまうとともに、中・長期の信頼性も低下させる。テープ心線ファイバでは特に、そのテープ状の形状および外皮コーティングのために、座屈により発生する力が大きく、問題は顕著となる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、光学特性の劣化を防止でき、信頼性に優れ、且つ小型の光配線構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、光コネクタ付きモジュールを内蔵した装置であって、筐体と、前記筐体内に配置された光コネクタ付きモジュールと、を備え、前記光コネクタ付きモジュールは、モジュール本体と、一方端が前記モジュール本体に接続された光ファイバと、前記光ファイバの他方端に接続された光コネクタであって、前記筐体に固定された光コネクタと、を備え、前記光ファイバは、前記筐体内において、前記筐体の底面に対して立った状態のループを形成するように巻かれている、装置である。
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光ファイバは、複数の光ファイバからなるテープ心線ファイバである、装置である。
【0007】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記モジュール本体は、前記筐体の前記底面と平行な面内に並列に配置された複数の光導波路を有し、前記テープ心線ファイバは、前記一方端が前記モジュール本体の前記複数の光導波路に接続されている、装置である。
【0008】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光ファイバにより形成される前記ループの直径は、前記筐体の前記底面に垂直な方向の寸法よりも小さい、装置である。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上記一態様において、前記光ファイバは、2周以上のループを形成するように巻かれている、装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光学特性の劣化を防止でき、信頼性に優れ、且つ小型の光配線構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る装置の構成図(上面図)である。
図2】本発明の一実施形態に係る装置の構成図(側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る装置10の構成図である。図1は装置10の上面図を示し、図2は装置10の側面図を示している。図1および図2には、筐体100の一部分を除去した状態の装置10が描かれている。
【0014】
装置10は、筐体100および光コネクタ付きモジュール200を備える。筐体100は、光コネクタ付きモジュール200を収容する。筐体100は、例えば、金属、樹脂、またはそれらの組み合わせによって構成された収容箱であってよい。筐体100は、図に示すZ方向の寸法がXおよびY方向の寸法よりも小さい、ボード状の形を有する。複数のボード型の装置10を重ねてラックに収納することもできる。
【0015】
光コネクタ付きモジュール200は、モジュール本体210と、テープ心線ファイバ220と、光コネクタ230とを備える。モジュール本体210は、筐体100の底面に設置されている。モジュール本体210は、例えば、プリント基板、光IC(集積回路)、電気IC、およびその他の電気/電子部品などから構成された複合体であってよい。モジュール本体210は、少なくとも、互いに並列に配列された複数の光導波路212を備える。光導波路212は、例えば、シリコン基板上に形成されたガラス光導波路またはシリコン光導波路であってよい。モジュール本体210は、光導波路212を介して光信号を外部伝送路へ送信することが可能な光送信機能、および/または外部伝送路から光導波路212を介して光信号を受信することが可能な光受信機能を備えるように構成される。モジュール本体210は、光導波路のアレイ212が筐体100の底面に平行になるように配置されている。
【0016】
モジュール本体210の複数の光導波路212は、テープ心線ファイバ220の一方端に接続されている。テープ心線ファイバ220は、複数本(光導波路212の本数と同じであり例えば4~20本)の単線光ファイバを横に一列に並べて樹脂等の薄い外皮でコーティングした構成を有する。例えば、テープ心線ファイバ220は光端末240を用いてモジュール本体210の光導波路212に固着されてもよい。テープ心線ファイバ220の他方端は、光コネクタ230に接続されている。光コネクタ230は、筐体100の壁に固定されており、光コネクタ230の少なくとも端部は筐体100の外面に出ている。この光コネクタ230には、装置10から送出される光信号および/または装置10へ向かう光信号を伝送するための不図示の光ファイバケーブルの光コネクタを接続することができる。なお、図1にはテープ心線ファイバ220と光コネクタ230と光端末240の組が2つのみ示されているが、装置10は任意の数の組を備えるのであってもよい。
【0017】
一般にテープ心線ファイバの長さには寸法公差があるので、テープ心線ファイバの長さには余長を持たせることが必要である。しかし、余長の量が少ないと、テープ心線ファイバには座屈(すなわち曲率半径の小さい曲げ)が生じ、光学特性の劣化(例えば光損失の増加)や装置の中・長期信頼性の低下などの問題が懸念される。
【0018】
本実施形態の装置10では、テープ心線ファイバ220は、筐体100の底面に対して立った状態のループ225を形成するように巻かれている。ループ225は1巻きであってもよいし、2巻き以上巻かれていてもよい。テープ心線ファイバ220がループ225を形成するように巻かれていることによって、テープ心線ファイバ220に加わる力が緩和され、座屈が生じることが防止される。これにより、テープ心線ファイバ220中での光損失の増加など光学特性の劣化を防ぐことができ、また装置10の中・長期信頼性を向上させることができる。
【0019】
テープ心線ファイバ220のループ225を筐体100の底面に対して立った状態としている理由は、テープ心線ファイバ220を90°捻ってループ225が筐体100の底面に平行となるようにするには大きなスペースが必要となってしまうからである。テープ心線ファイバ220を捻ることなく巻けば、ループ225は筐体100の底面に対して立った状態となり、しかもコンパクトなスペースでループ225を形成することができる。例えば、筐体100の厚さ方向(すなわち図中のZ方向)の内寸(すなわち筐体100の内側における底面と天井との距離)は数センチメートル程度である。テープ心線ファイバ220のループ225の直径は、この内寸厚さよりも小さくてよい。この程度の曲率半径であれば、テープ心線ファイバ220中での光損失の増加はほとんどなく、また筐体100の厚さを必要以上に大きくしなくてよいため装置10の大型化は伴わない。
【0020】
なお、テープ心線ファイバ220が作るループ225は、筐体100の底面や天井に接触しないことが必須というわけではなく、テープ心線ファイバ220に大きな力が加わらない限りにおいて、ループ225が筐体100の底面や天井に軽く接触してもよい。また、テープ心線ファイバ220の全長は、上述のようなループ225を作るのに十分な長さであればよく、例えば、モジュール本体210と光コネクタ230との距離の1.5倍から5倍程度の長さであってよい。
【0021】
上記実施形態では、光コネクタ付きモジュール200がテープ心線ファイバ220を備えるとして説明したが、テープ心線ファイバ220の代わりに、樹脂等の外皮によってテープ状に一体成型されていない複数本の単線光ファイバ(1本1本がバラバラの単線光ファイバ)が用いられてもよい。また、モジュール本体210は光導波路212を1本だけ備えるのであってもよく、その場合には、光コネクタ付きモジュール200は、テープ心線ファイバ220ではなく1本の単線光ファイバを備えればよい。
【0022】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0023】
10 装置
100 筐体
200 光コネクタ付きモジュール
210 モジュール本体
212 光導波路
220 テープ心線ファイバ
225 ループ
230 光コネクタ
240 光端末
図1
図2