IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社メニコンの特許一覧

<>
  • 特開-ペット保護システム 図1
  • 特開-ペット保護システム 図2
  • 特開-ペット保護システム 図3
  • 特開-ペット保護システム 図4
  • 特開-ペット保護システム 図5
  • 特開-ペット保護システム 図6
  • 特開-ペット保護システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163326
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】ペット保護システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20221019BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068197
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000138082
【氏名又は名称】株式会社メニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 英成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】津志 靖秋
(72)【発明者】
【氏名】大谷 彩
(72)【発明者】
【氏名】如見 美咲
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
(57)【要約】
【課題】飼い主がペットの飼養継続ができなくなった際に、個々のペットに適した新たな環境を構築することができる、新規なペット保護システムを提供することにある。
【解決手段】飼育会員用端末装置16と再教育者用端末装置18と通信ネットワーク手段24とサーバ装置14とを含んで構成されたペット保護システム10であって、サーバ装置14は、複数の飼育会員を個別に特定する飼育会員識別情報記憶手段と、複数の飼育会員がそれぞれ飼育するペットの譲渡事前情報を記憶する譲渡事前情報記憶手段と、複数の飼育会員がそれぞれ飼育するペットに関するペット情報を、飼育会員用端末装置16から受信して時刻データと共にペット履歴情報として記憶するペット履歴情報記憶手段とを、有しており、且つ、再教育者用端末装置18からの要求に応じて、ペット履歴情報記憶手段に記憶されたペット履歴情報を再教育者用端末装置18に送信することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの飼育者である各飼育会員の利用に供される複数の飼育会員用端末装置と、
前記飼育会員から引き取ったペットを管理下において再教育する再教育者の利用に供される再教育者用端末装置と、
前記複数の飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置がそれぞれ通信ネットワーク手段を介して接続されており、前記飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置から送信される情報を管理する管理者の利用に供されるサーバ装置と、
を含んで構成されたペット保護システムであって、
前記サーバ装置は、
(i)前記複数の飼育会員を個別に特定する飼育会員識別情報記憶手段と、
(ii)前記複数の飼育会員がそれぞれ飼育する前記ペットの譲渡に関する譲渡事前情報を記憶する譲渡事前情報記憶手段と、
(iii)前記複数の飼育会員がそれぞれ飼育する前記ペットに関するペット情報を、前記飼育会員用端末装置から受信して時刻データと共にペット履歴情報として記憶するペット履歴情報記憶手段と
を、有しており、且つ、
(iv)前記再教育者用端末装置からの要求に応じて、該ペット履歴情報記憶手段に記憶された前記ペット履歴情報を該再教育者用端末装置に送信する
ことを特徴とするペット保護システム。
【請求項2】
前記サーバ装置の前記譲渡事前情報記憶手段に記憶される前記譲渡事前情報が、前記ペットの引取条件および時期を含み、
前記飼育会員用端末装置は、前記サーバ装置の前記譲渡事前情報記憶手段にアクセスして前記譲渡事前情報を確認および変更できる、請求項1に記載のペット保護システム。
【請求項3】
前記再教育者用端末装置からの要求による前記ペット履歴情報記憶手段に記憶された前記ペット履歴情報の送信が、前記飼育会員からの前記ペットの引き渡し前においても許容されている、請求項1または請求項2に記載のペット保護システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、前記飼育会員の譲渡希望の表明により又は前記譲渡事前情報記憶手段に記憶された譲渡時期到来の検知により、前記再教育者用端末装置へペット引取り指示信号を送信する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のペット保護システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、ペットの飼育に関するセミナ動画記憶手段を備えており、前記各飼育会員に対してセミナ動画を配信し、前記ペット履歴情報記憶手段に配信履歴を記憶する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のペット保護システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、
(v)前記再教育者用端末装置から入力された前記ペットに関するペット管理情報を、時刻データと共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段を備えており、
(vi)前記ペット管理履歴情報が、再教育情報と、体調情報を含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のペット保護システム。
【請求項7】
前記サーバ装置は、
前記飼育会員用端末装置からの要求に応じて、前記ペットの引き渡し後においても、前記ペット管理履歴情報記憶手段に記憶された前記ペット管理履歴情報について、所定の条件下で該飼育会員用端末装置へ送信する、請求項6に記載のペット保護システム。
【請求項8】
前記通信ネットワーク手段を介して前記サーバ装置に接続されて、前記ペットを譲り受けたい各里親の利用に供される複数の里親会員用端末装置をさらに含み、
前記サーバ装置は、
(vii)前記複数の里親会員を個別に特定する里親会員識別情報記憶手段と、
(viii)前記里親会員用端末装置から入力されたペット飼育に関する問診情報を、記憶する里親問診情報記憶手段と
を、有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のペット保護システム。
【請求項9】
前記サーバ装置は、
(ix)前記里親会員用端末装置から入力された譲渡された前記ペットに関する情報を、時刻データと共に譲渡後ペット履歴情報として記憶する譲渡後ペット履歴情報記憶手段と、を有する、請求項8に記載のペット保護システム。
【請求項10】
前記サーバ装置は、
前記各里親からのペットの再引き取りの要求を受信して、記憶すると共に外部出力する再引き取りの要求対応手段を有する、請求項8または請求項9に記載のペット保護システム。
【請求項11】
前記サーバ装置は、ペット関連のセミナ動画記憶手段を備えており、各前記里親会員に対してセミナ動画を配信する、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のペット保護システム。
【請求項12】
前記サーバ装置は、
(x)前記ペット履歴情報と、前記ペット管理履歴情報と、前記里親の前記問診情報と、を用いて、前記ペットと前記里親との機械学習を用いたマッチングレベルの判定を行う、マッチングレベル判定手段を有し、
(xi)前記再教育者用端末装置からの要求に応じて、前記マッチングレベル判定手段の出力結果を、該再教育者用端末装置に送信する
請求項6に従属する場合の請求項8から請求項11のいずれか1項に記載のペット保護システム。
【請求項13】
前記里親の前記問診情報が、前記里親が過去に飼育したペットとの思い出に関する複数項目の情報を含む、請求項12に記載のペット保護システム。
【請求項14】
前記ペットとの思い出に関する複数項目の情報が、画像情報である、請求項13に記載のペット保護システム。
【請求項15】
保護されたペットと、ペットの里親希望者との相性を判定するペット里親マッチングレベル判定システムであって、
前記保護されたペットに関する複数項目のペット情報と、
前記里親がペットに望む複数項目の里親要望情報と、
前記里親のペットに対する満足度に関する里親満足度と、を記憶する記憶手段と、
前記ペット情報と前記里親要望情報と前記里親満足度を教師データとして用い、入力を前記ペット情報及び前記里親要望情報とし、出力を前記里親満足度とする推定モデルを学習により生成するモデル生成手段と、
前記ペット情報及び前記里親要望情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記生成された推定モデルを用いて、前記里親満足度の推定値を出力するマッチングレベル判定手段と
を、備えるペット里親マッチングレベル判定システム。
【請求項16】
前記記憶手段が、前記里親における過去のペットとの思い出に関する複数項目の里親ペット思い出情報を有し、
前記モデル生成手段における前記教師データとして更に前記里親ペット思い出情報を用い、入力として更に前記里親ペット思い出情報を採用し、
前記受付手段が、前記里親ペット思い出情報の入力を受け付ける、請求項15に記載のペット里親マッチングレベル判定システム。
【請求項17】
ペットの飼育者である各飼育会員の利用に供される複数の飼育会員用端末装置と、
前記飼育会員から引き取ったペットを管理下において再教育する再教育者の利用に供される再教育者用端末装置と、
前記複数の飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置がそれぞれ通信ネットワーク手段を介して接続されており、前記飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置をから送信される情報を管理する管理者の利用に供されるサーバ装置と、
を含んで構成されたペット保護システムであって、
前記サーバ装置は、
(i)前記再教育者用端末装置から入力された前記ペットに関するペット管理情報を、時刻データと共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段を備えており、
(ii)前記ペット管理履歴情報として、再教育の情報を含み、
(iii)前記ペット管理履歴情報として、体調の情報を含む
ことを、特徴とするペット保護システム。
【請求項18】
引き取ったペットを管理下において再教育する再教育者の利用に供される再教育者用端末装置と、
前記ペットを譲り受けたい各里親の利用に供される複数の里親会員用端末装置と、
前記再教育者用端末装置および前記複数の里親会員用端末装置がそれぞれ通信ネットワーク手段を介して接続されており、前記再教育者用端末装置および前記里親会員用端末装置から送信される情報を管理する管理者の利用に供されるサーバ装置と、
を含んで構成されたペット保護システムであって、
前記サーバ装置は、
(i)前記再教育者用端末装置から入力された前記ペットに関するペット管理情報を、時刻データと共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段と、
(ii)前記里親会員用端末装置から入力された譲渡された前記ペットに関する情報を、時刻データと共に譲渡後ペット履歴情報として記憶する譲渡後ペット履歴情報記憶手段と、
を有することを特徴とするペット保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫等のペットの安全な暮らしを確保するための、ペット保護システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、犬や猫等のペットは、人と暮らしを共にして癒しや幸せをもたらす存在として広く親しまれており、世界中で多数の人々がペットと共に暮らしている。一方で、飼い主の身勝手な都合により飼養を放棄されたり、飼い主の病気等のやむを得ない事情により飼養が出来なくなったりした犬や猫が、地方自治体が運営する動物保護センターに引き取られている。そこでは、次の飼い主が見つからないまま殺処分される件数が多いことが大きな社会問題となっている。
【0003】
このような状況を改善すべく、民間の動物保護団体が飼い主からペットを引き取り、里親希望者への譲渡を行う活動も広がりを見せている。そのような活動においては、保護したペットに最適な里親を如何に見つけ出すかが、その後のペットの安全な暮らしを確保するために重要となる。そこで、例えば、特許文献1には、ペットを飼育できなくなった飼い主が、複数の里親候補者の中から飼い主の希望に沿う里親を検索し、システム上で飼い主と里親が直接契約を実行できるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-38175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、飼い主が里親を選択する条件として、飼育地域や料金などが挙げられているに過ぎず、ペットと里親との適正を見出せる条件が不足している。また、里親候補者も所定の研修を受けているものの経験や知識に乏しい部分もあり、すべてのペットに適応できるわけではない。さらに、ペットと里親の適合性は、飼い主の主観的なペットの資質評価に頼らざるを得ず、既にペットの飼育が継続できないという問題を抱え切迫した状況にある飼い主が、ペットと里親の適合性を正確に判断できないおそれもあった。それゆえ、里親に譲渡されたペットが新しい環境に馴染めず問題行動を起こしたり、里親が譲り受けたペットに馴染めず再度ペットが放棄をされたり、といったペットと里親のミスマッチングが起こることも少なくなかった。
【0006】
本発明は、上述の事情を背景としてなされたものであり、その解決課題は、飼い主がペットの飼養継続ができなくなった際に、個々のペットに適した新たな環境を構築することができる、新規なペット保護システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
【0008】
第一の態様は、(1)ペットの飼育者である各飼育会員の利用に供される複数の飼育会員用端末装置と、(2)前記飼育会員から引き取ったペットを管理下において再教育する再教育者の利用に供される再教育者用端末装置と、(3)前記複数の飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置がそれぞれ通信ネットワーク手段を介して接続されており、前記飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置から送信される情報を管理する管理者の利用に供されるサーバ装置と、を含んで構成されたペット保護システムであって、前記サーバ装置は、(i)前記複数の飼育会員を個別に特定する飼育会員識別情報記憶手段と、(ii)前記複数の飼育会員がそれぞれ飼育する前記ペットの譲渡に関する譲渡事前情報を記憶する譲渡事前情報記憶手段と、(iii)前記複数の飼育会員がそれぞれ飼育する前記ペットに関するペット情報を、前記飼育会員用端末装置から受信して時刻データと共にペット履歴情報として記憶するペット履歴情報記憶手段とを、有しており、且つ、(iv)前記再教育者用端末装置からの要求に応じて、該ペット履歴情報記憶手段に記憶された前記ペット履歴情報を該再教育者用端末装置に送信することを特徴とするペット保護システムである。
【0009】
本態様のペット保護システムによれば、ペットと暮らしを共にするペット飼育者が、万一ペットの飼養継続が困難となった場合にも、ペットの安全な暮らしを確保したいというペット飼育者の要望を実現することができる。すなわち、ペット飼育者が予め会員登録等することで利用可能となる会員制のペット保護システムを構築する。ペット飼育者は、ペットの譲渡が未定である会員登録時やその後の任意のタイミングで、飼育会員用端末装置からペットに関する様々な情報(例えば、食事状況や運動状況、好きな遊びなど)をペット情報として送信することができ、サーバ装置では、それらをペット履歴情報としてペット履歴情報記憶手段に記憶している。それゆえ、ペットの飼養が困難となった切迫した状況でペットに関する具体的な情報が正確に得られないといった従来のシステムにおける不具合が改善されている。さらに、ペット飼育者がペット情報や譲渡に関する条件等である譲渡事前情報を入力する期間の時間的分散も図られるため、ペット飼育者の負担も軽減されている。
【0010】
そして、ペット飼育者の死亡や長期入院等の理由や、老人ホームへの入居など予測した状況になった場合には、ペットは、直接里親に引き渡されることはなく、一旦、再教育者に引き渡されて管理下に置くことができる。再教育者は、再教育者用端末装置から、サーバ装置のペット履歴情報記憶手段に記憶されたペット履歴情報を取得することができる。それゆえ、再教育者は、ペット飼育者から引き取ったペットに関する継時的な情報に基づきより正確にペットの性格や状況を把握することができる。それゆえ、ペットを新しい里親に引き渡すまでの間に、再教育者は、ペットの心や体の適切なケアや、新しい環境にスムーズに適合できるようにするための再教育を行うことができる。さらに、再教育者というペット飼育者とは異なる客観的な視点を介在させることができ、ペットの里親との適正をより正確に時間を掛けて判断することも可能となる。その結果、ペットと新しい里親とのミスマッチングの発生を低減することができ、個々のペットに適した新たな環境を構築することが可能となるのである。なお、ペットとは、「人と暮らしを共にし、長い歴史を歩んできたこと」「人と共に暮らし、習性や行動、獣医学が解明されていること」「人と動物との共通感染症が解明されていること」という条件を満たす「コンパニオンアニマル」と称される動物のことを言い、犬や猫などが挙げられる。
【0011】
前記サーバ装置の前記譲渡事前情報記憶手段に記憶される前記譲渡事前情報が、前記ペットの引取条件および時期を含み、前記飼育会員用端末装置は、前記サーバ装置の前記譲渡事前情報記憶手段にアクセスして前記譲渡事前情報を確認および変更できる、ことが好ましい。飼育会員の急な状況変化(飼育会員の急な病気や、転勤など)にも迅速に対応できるからである。
【0012】
前記再教育者用端末装置からの要求による前記ペット履歴情報記憶手段に記憶された前記ペット履歴情報の送信が、前記飼育会員からの前記ペットの引き渡し前においても許容されている、ことが好ましい。再教育者が、引き渡し前にペット履歴情報を取得することにより、ペットの引き渡し前から、効率的にペットの受け入れ態勢を整えることができ、新たな環境に移されるペットへの負担をより軽減できるからである。
【0013】
前記サーバ装置は、前記飼育会員の譲渡希望の表明により又は前記譲渡事前情報記憶手段に記憶された譲渡時期到来の検知により、前記再教育者用端末装置へペット引取り指示信号を送信する、ことが好ましい。予め通信ネットワーク手段を介して相互に接続された本態様のシステムを用いることで、サーバ装置における譲渡事前情報およびネットワークを活用して、ペット飼育者の緊急時においても、ペットの譲渡に速やかに対応することが可能となるからである。なお、飼育会員の譲渡希望の表明は、飼育会員用端末装置からの譲渡希望信号の送信や、飼育会員から再教育者や管理者への口頭や書面による譲渡希望の伝達を含む。
【0014】
前記サーバ装置は、ペットの飼育に関するセミナ動画記憶手段を備えており、前記各飼育会員に対してセミナ動画を配信し、前記ペット履歴情報記憶手段に配信履歴を記憶する、ことが好ましい。ペットを飼育する飼育会員に対して、ペットのしつけや食事、病気に関する知識などを含むペットとの暮らしをより豊かにする情報を配信することができ、飼育会員のペットとの豊な暮らしをサポートすることができる。さらに、飼育会員に配信されたセミナ動画の配信履歴をペット履歴情報に記憶することで、ペットが再教育機関で再教育される際に、再教育者がペットの過去の飼育環境をより適切に把握するための手助けにもなり、再教育機関でのペットのより適切な保護体制を構築することにも寄与し得る。さらに、飼育会員が飼育会員用端末から送信するペット情報に記載された内容に応じて、飼育会員が現在直面しているペットとの問題の解決に寄与し得る適切な動画を適切なタイミングで配信するようにすることも可能である。
【0015】
前記サーバ装置は、(v)前記再教育者用端末装置から入力された前記ペットに関するペット管理情報を、時刻データと共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段を備えており、(vi)前記ペット管理履歴情報が、再教育情報と、体調情報を含む、ことが好ましい。再教育情報には、ペットの鳴き,歩き,排せつ等のしつけに関する情報が含まれ、体調情報には、食事の種類と量,散歩量,体重などが含まれる。従来は、里親に引き渡されるペットの状況(性格やしつけ、好みなど)についての情報が、専ら飼育者からの情報しかなかった。しかし、そのような情報は、相互信頼感の成立した特定の飼い主とペットとの間でのみの情報に過ぎず、また、表現も飼い主の主観が大きく入ってしまうことが避けられない。それゆえ、信頼性に欠けるという問題があった。そこで、客観的情報として、再教育者によるペット管理情報を、履歴情報としてペット管理履歴情報記憶手段に記憶して、それを利用可能にした。すなわち、本態様では、里親希望者がいれば、再教育者が履歴情報として蓄積したペット管理情報を活用してマッチングを試みることが可能となる。また、里親希望者がいれば、再教育者が蓄積したペット管理情報と飼育会員が蓄積したペット履歴情報も併せて活用して、より効率的なマッチングを試みることができる。即ち、例えば長期間に亘って飼育された飼育会員の元で発する性状と、一時的な再教育者のもとで発する性状との差などについても考慮することが可能になる。
【0016】
前記サーバ装置は、前記飼育会員用端末装置からの要求に応じて、前記ペットの引き渡し後においても、前記ペット管理履歴情報記憶手段に記憶された前記ペット管理履歴情報について、所定の条件下で該飼育会員用端末装置へ送信する、ことが好ましい。引き渡した後もペットの状況がとても気になる元飼育会員の気持ちに応えることができるからである。
【0017】
(4)前記通信ネットワーク手段を介して前記サーバ装置に接続されて、前記ペットを譲り受けたい各里親の利用に供される複数の里親会員用端末装置をさらに含み、前記サーバ装置は、(vii)前記複数の里親会員を個別に特定する里親会員識別情報記憶手段と、(viii)前記里親会員用端末装置から入力されたペット飼育に関する問診情報を、記憶する里親問診情報記憶手段とを、有することが好ましい。里親会員をシステムに含み、里親会員から取得してサーバに記憶されたペット飼育に関する問診情報を利用することで、ペットと里親のマッチングを、より速やか且つ確実に行うことができるからである。
【0018】
前記サーバ装置は、(ix)前記里親会員用端末装置から入力された譲渡された前記ペットに関する情報を、時刻データと共に譲渡後ペット履歴情報として記憶する譲渡後ペット履歴情報記憶手段と、を有する、ことが好ましい。里親会員が、譲渡後のペットの状況を送信することにより、総合的な保護管理者や再教育者が、適切な対応策や積極的且つ的確なアドバイスなどのサポートも容易且つ適切に行うことが可能となる。特に、体調の変化や、飼育状況の変化などについて、的確に判断でき、且つ大きな問題になる前に対応することも可能になる。さらに、再教育者等が里親からのペットの再引き取りに対応する際にも、里親会員から時系列的に入力されていたペットに関する譲渡後ペット履歴情報を利用することで、再引き取りの原因となった問題把握が容易になる。その結果、ペットにより適切な里親候補者を選別して、ペットや里親にストレスが加わる可能性を低減できる。
【0019】
前記サーバ装置は、前記各里親からのペットの再引取要求信号を受信して、記憶すると共に外部出力する再引き取りの要求対応手段を有する、ことが好ましい。ペットの再引き取りを、端末を使用する里親に制限することで、安易な再引き取りの発生を抑えることができる。その結果、安易に里親となることに抑制をかけて、しっかりと考えてから里親になることを要求する契機にもなる。
【0020】
前記サーバ装置は、ペット関連のセミナ動画記憶手段を備えており、各前記里親会員に対してセミナ動画を配信する、ことが好ましい。ペットが新しい里親の元で幸せに暮らすことができるように、里親がペットとの新しい共同生活に備えたり、学習したりすることができる。なお、里親会員用のセミナ動画と飼育会員用のセミナ動画は、動画の内容が同一である場合も含まれ得る。
【0021】
前記サーバ装置は、(x)前記ペット履歴情報と、前記ペット管理履歴情報と、前記里親の前記問診情報と、を用いて、前記ペットと前記里親との機械学習を用いたマッチングレベルの判定を行う、マッチングレベル判定手段を有し、(xi)前記再教育者用端末装置からの要求に応じて、前記マッチングレベル判定手段の出力結果を、該再教育者用端末装置に送信する、ことが好ましい。サーバ装置に蓄積されたペットに関連する大量の履歴データを利用した機械学習により、ペットと里親希望者との相性をより正確に判定することができるからである。
【0022】
前記里親の前記問診情報が、前記里親が過去に飼育したペットとの思い出に関する複数項目の情報を含む、ことが好ましい。過去のペットとの接し方を把握して、里親に対する適切なペットを選択する情報として利用できる。理想ではなく、現実の経験を情報として取得することで、ペットと里親のミスマッチを抑制できる。
【0023】
前記ペットとの思い出に関する複数項目の情報が、画像情報である、ことが好ましい。思い出を文章化するよりも、画像情報化することで、よりペットとの接し方を客観化でき、良好なマッチング判定を行うことができる。
【0024】
第二の態様は、保護されたペットと、ペットの里親希望者との相性を判定するペット里親マッチングレベル判定システムであって、前記保護されたペットに関する複数項目のペット情報と、前記里親がペットに望む複数項目の里親要望情報と、前記里親のペットに対する満足度に関する里親満足度と、を記憶する記憶手段と、前記ペット情報と前記里親要望情報と前記里親満足度を教師データとして用い、入力を前記ペット情報及び前記里親要望情報とし、出力を前記里親満足度とする推定モデルを学習により生成するモデル生成手段と、前記ペット情報及び前記里親要望情報の入力を受け付ける受付手段と、前記生成された推定モデルを用いて、前記里親満足度の推定値を出力するマッチングレベル判定手段とを、備えるペット里親マッチングレベル判定システムである。
【0025】
本態様のペット里親マッチングレベル判定システムによれば、特定のペット情報と特定の里親要望情報との組み合わせにおいて得られた里親満足度の複数組を教師データとして用いて、里親満足度を推定する推定モデルを生成している。それゆえ、ペット情報と里親要望情報を入力することで、里親満足度の推定値を出力することができ、推定値に基づいた客観的なペットと里親のマッチングレベルを得ることができる。その結果、ペットと新しい里親とのミスマッチングの発生を低減することができ、個々のペットに適した新たな環境を構築することが可能となるのである。特に、第一の態様のペット保護システムと組み合わせて採用することにより、適切なペット情報の収集や里親要望情報の収集が促進され、マッチングレベルの判定制度の向上を図ることができる。
【0026】
前記記憶手段が、前記里親における過去のペットとの思い出に関する複数項目の里親ペット思い出情報を有し、前記モデル生成手段における前記教師データとして更に前記里親ペット思い出情報を用い、入力として更に前記里親ペット思い出情報を採用し、前記受付手段が、前記里親ペット思い出情報の入力を受け付ける、ことが好ましい。里親の過去のペットとの思い出に関する里親ペット思い出情報を入力値に含めることにより、里親のペットへの接し方や考え方などの情報もマッチングレベルの判定材料として用いることができ、より精度の高いマッチングレベルの判定が可能となるからである。
【0027】
第三の態様は、(A)ペットの飼育者である各飼育会員の利用に供される複数の飼育会員用端末装置と、(B)前記飼育会員から引き取ったペットを管理下において再教育する再教育者の利用に供される再教育者用端末装置と、(C)前記複数の飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置がそれぞれ通信ネットワーク手段を介して接続されており、前記飼育会員用端末装置および前記再教育者用端末装置をから送信される情報を管理する管理者の利用に供されるサーバ装置と、を含んで構成されたペット保護システムであって、前記サーバ装置は、(a)前記再教育者用端末装置から入力された前記ペットに関するペット管理情報を、時刻データと共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段を備えており、(b)前記ペット管理履歴情報として、再教育の情報を含み、(c)前記ペット管理履歴情報として、体調の情報を含むことを、特徴とするペット保護システムである。
【0028】
従来は、ペットの状況(性格やしつけ、好みなど)についての情報が、専ら飼育者からの情報しかなかった。しかし、そのような情報は、相互信頼感の成立した特定の飼い主とペットとの間でのみの情報に過ぎず、また、表現も飼い主の主観が大きく入ってしまうことが避けられない。それゆえ、信頼性に欠けるという問題を内在しており、里親が譲り受けたペットが、聞いていたものとは全く違うというストレスを抱えてミスマッチング発生の原因となることが少なからずあった。そこで、本態様では、第三者による客観的情報として、飼育会員から引き取ったペットを保護管理である再教育者による情報を、履歴情報(日々の情報をタイムデータと共に記憶)として取得し、それを利用可能にした点に技術的な意義を有している。すなわち、本態様のペット保護システムを用いれば、里親希望者がいる場合に、再教育者が蓄積したより客観的なペットの履歴情報を活用して、ペットと里親のマッチングを試みることができる。その結果、ペットと新しい里親とのミスマッチングの発生を低減することができ、個々のペットに適した新たな環境を構築することが可能となるのである。なお、再教育情報は、鳴き,歩き,排せつ等のペットのしつけに関する情報を含み、体調情報は、食事の種類と量,散歩量,体重などの情報を含む。
【0029】
第四の態様は、(I)引き取ったペットを管理下において再教育する再教育者の利用に供される再教育者用端末装置と、(II)前記ペットを譲り受けたい各里親の利用に供される複数の里親会員用端末装置と、(III)前記再教育者用端末装置および前記複数の里親会員用端末装置がそれぞれ通信ネットワーク手段を介して接続されており、前記再教育者用端末装置および前記里親会員用端末装置から送信される情報を管理する管理者の利用に供されるサーバ装置と、を含んで構成されたペット保護システムであって、前記サーバ装置は、(α)前記再教育者用端末装置から入力された前記ペットに関するペット管理情報を、時刻データと共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段と、(β)前記里親会員用端末装置から入力された譲渡された前記ペットに関する情報を、時刻データと共に譲渡後ペット履歴情報として記憶する譲渡後ペット履歴情報記憶手段と、を有することを特徴とするペット保護システムである。
【0030】
本態様のペット保護システムによれば、里親に引き渡してから、その後の効率的なサポートを実現し、里親とペットの不安を和らげることができる。具体的には、元の飼い主から引き取ったペットを一旦管理下において再教育する再教育者を介在させると共に、里親希望者が予め会員登録等することで利用可能となる会員制のペット保護システムを構築する。引き取られたペットは、再教育者の元で適切に保護管理されながら、個々のペットに適する環境を提供し得る里親候補者が現れるまで、待機することができる。さらに、会員となった里親に対して、再教育者のもとにおけるペットの履歴情報(教育や体調など)を例えば適宜閲覧可能とすることで、里親が入手できるペットに関する情報が多くなる。その結果、里親が引き取るペットを決定する際の判断材料を増大させることができる。
【0031】
また、会員となった里親が特定のペットの譲渡を受けた後に、譲渡後のペットの状況を送信することで、再教育者等が、里親の元でのペットの状況を把握することで、適切な対応策や積極的且つ的確なアドバイスなどのサポートも容易且つ適切に行うことが可能となる。特に、体調の変化や、飼育状況の変化などについて、的確に判断でき、且つ大きな問題になる前に対応することも可能になる。さらに、例えば会員制の里親となった里親会員については、ペットの再引き取りに対応可能にしても良い。そして、再引き取りに対応する際にも、里親会員から時系列的に入力されていたペットに関する履歴情報を利用することで、再引き取りの原因となった問題把握が容易になる。その結果、会員制の里親となった里親会員の次回の要求にもより的確に対応することが可能になる。同様に、再引き取りが要求されたペットの里親に受け入れられなかった問題点を把握することができ、ペットが次回は相性のよい里親に引き取られる確率を向上させることもできる。なお、会員制の里親となった里親会員からの履歴情報の入力は、任意にしても良いし、ある程度強制的にしても良い。以上により、ペットと里親とのミスマッチングの発生を低減することができ、個々のペットに適した新たな環境を構築することが可能となるのである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、飼い主がペットの飼養継続ができなくなった際に、個々のペットに適した新たな環境を構築することができる、新規なペット保護システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1の実施形態としての犬保護システムの構成を概略的に示す図である。
図2】サーバ装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】サーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】飼育会員用端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】データベースに格納される犬情報ファイルの一例を示す図である。
図6図1に示す犬保護システムの具体的な処理の流れの一部を示すシーケンス図である。
図7図1に示す犬保護システムの具体的な処理の流れの他の一部を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明をさらに具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0035】
図1には、本発明に従うペット保護システムのうち、特に犬を保護するために構築されたシステムの一実施形態の構成が、全体概略図として示されている。本実施形態の犬保護システム10は、システム全体の管理・統轄を行う管理者12の利用に供されるサーバ装置14と、犬を飼育する飼育者である複数の飼育会員のそれぞれの利用に供される複数の飼育会員用端末装置16(=16-1,16-2・・・16-N)と、飼育会員から引き取ったペットである犬を管理下において飼養および再教育を行う再教育者の利用に供される再教育者用端末装置18と、ペットである犬を譲り受けたい複数の里親希望者のそれぞれの利用に供される複数の里親会員用端末装置20(=20-1,20-2・・・20-N)と、動物保護団体等が運営する犬や猫等の動物を保護する複数の保護施設のそれぞれの利用に供される複数の保護施設用端末装置22(=22-1,22-2・・・22-N)とが、ワールドワイドウェブ(World Wide Web)を使用して、通信ネットワーク手段としてのインターネット24を経由して、相互に接続されたコンピュータシステムとして構成されている。
【0036】
サーバ装置14,飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22は、何れも、インターネットを利用した情報の送受信が出来るように、キーボードやタッチパネル等の入力装置と、CRTや液晶ディスプレイ等の表示装置を備えたコンピュータ等によって構成されたものであって、特にサーバ装置14は、インターネット24上でWebページを提供するWWWサーバで構成されていると共に、飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22は、インターネット上でWebページを閲覧するWWWブラウザが導入されて構成されている。それらサーバ装置14や飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22には、インターネット上でe-mail等を利用して各種情報を個別的に送受信し得るように適当なソフトウェアが導入されていると共に、必要に応じて、送受信信号を暗号化および復号化するためのソフトウェアが導入され得る。
【0037】
図2は、サーバ装置14の機能構成の一例を示すブロック図である。サーバ装置14は、受付手段26、送信手段28、マッチングレベル判定手段30、モデル生成手段32、データベース34を備えている。受付手段26は、飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22から送信される各種の情報を受信する。送信手段28は、飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22へ各種の情報を送信する。マッチングレベル判定手段30は、里親満足度の推定値を出力する。モデル生成手段32は、里親満足度に関する推定モデルを学習により生成する。データベース34は、各種のデータを記憶する。データベース34は、例えば、飼育会員情報データ36と、譲渡事前情報データ38と、ペット履歴情報データ40と、ペット管理履歴情報データ42と、里親会員情報データ44と、里親問診情報データ46と、譲渡後ペット履歴情報データ48と、セミナ動画データ50と、保護施設会員情報データ52と、保護犬情報データ54を含んで構成されている。
【0038】
図3は、サーバ装置14のハードウェア構成を示している。サーバ装置14は、通信機能を有するコンピュータで構成され、プロセッサ62,メモリ64,記憶装置66,UI(User Interface)部68,通信部70を備えている。プロセッサ62は、記憶装置66にあるOS(Operation System)を実行し、犬保護システム10に関する各種プログラムを実現するための情報処理を実行する。メモリ64は、プロセッサ62がプログラムを実行するためのワークエリアとして機能する記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。記憶装置66は、各種のプログラムおよび飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22から受信した各種の情報データを格納するものであり、例えば、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)によって構成される。すなわち、記憶装置56には、データベース34が格納されており、サーバ装置14が直接に管理するファイル形式でデータ記憶されていてもよい。また、サーバ装置14とデータベース34は、適当なスキーマを含んでデータベースシステムを構成するようにされる。UI部68は、キーボードやタッチパネル,モニター等のユーザーインターフェースで構成される。UI部68は、サーバ装置14に内蔵されていてもよいし、サーバ装置14に対して外付けされる外部接続タイプであってもよい。通信部70は、予め定められた無線または有線の通信規格(例えば、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),イーサネット(登録商標)等)に従って他の装置と通信を行う。
【0039】
このようなハードウェア構成を備えたサーバ装置14は、メモリ64または記憶装置66に記憶されているプログラムをプロセッサ62が実行することにより、図2に示される機能が実装される。プログラムを実行しているプロセッサ62および通信部70は、受付手段26,送信手段28,マッチングレベル判定手段30,モデル生成手段32の一例である。
【0040】
図4は、飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22として採用可能なハードウェア構成を示している。何れも同じハードウェア構成であることから、以下の説明では飼育会員用端末装置16のハードウェア構成を説明することで、他の装置18,20,22のハードウェア構成の説明は省略する。また、図4において、他の装置18,20,22のハードウェア構成は符号を併記するに留め、図示は省略する。
【0041】
飼育会員用端末装置16(再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22)は、通信機能を有するコンピュータで構成され、スマートフォンやタブレット端末などの情報端末を用いることができる。飼育会員用端末装置16は、プロセッサ72,メモリ74,記憶装置76,UI(User Interface)部78,通信部80を備えている。プロセッサ72は、飼育会員用端末装置16の他の要素を制御するプロセッサである。メモリ74は、プロセッサ72がプログラムを実行するためのワークエリアとして機能する記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。記憶装置56は各種のプログラム及びデータを記憶する記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)によって構成される。UI部78は、飼育会員用端末装置16に内蔵されていてもよいし、飼育会員用端末装置16に対して外付けされる外部接続タイプであってもよい。通信部80は、予め定められた無線または有線の通信規格(例えば、Wi-Fi(登録商標),Bluetooth(登録商標),イーサネット(登録商標)等)に従って他の装置と通信を行う。
【0042】
次に、サーバ装置14のデータベース34に格納された各種のデータについて詳述する。飼育会員情報データ36は、複数の飼育会員を個別に特定する飼育会員識別情報を記憶する飼育会員識別情報記憶手段を構成するものであり、各飼育会員の飼育会員ID,氏名,住所,生年月日,年齢,性別,電話番号,職業,勤務先乃至は学校,e-mailアドレスの他、クレジットカードやその他の決済用カードの番号および有効期限や、アンケート情報などのデータを含む。なお、飼育会員IDは、各飼育会員を特定するために飼育会員毎に付された情報であり、例えば、犬保護システム10のサービスを享受するために、犬の飼育者が飼育会員としての会員登録をする際に、サーバ装置14から発行されるIDによって構成される。飼育会員情報データ36に格納される飼育会員識別情報は、飼育会員用端末装置16を用いてインターネット24に接続し、サーバ装置14によって提供される飼育会員用端末装置16において動作するウェブブラウザまたは専用アプリによる飼育会員用サイトから入力することができる。飼育会員用端末装置16から入力された飼育会員識別情報は、サーバ装置14の受付手段26を介してデータベース34内の飼育会員情報データ36に格納される。なお、本実施形態では、犬の飼育者が犬保護システム10の会員として登録され飼育会員としてのサービスを享受し得るための条件として、定期的な会費の支払いを条件としている。本実施形態では、飼育会員は、クレジットカード等の決済用カード用いて会費の支払いを行うようになっており、各飼育会員の会費の支払い状況は、決済代行会社25から管理者12に通知される。会費の支払いが滞るなどの事象が発生した際には、管理者12により飼育会員へのサービスの提供の中断や中止を実行できる。
【0043】
譲渡事前情報データ38は、犬保護システム10の会員である飼育会員が、現在飼育する犬の飼養継続が困難となり、犬の再教育者への引き渡しが必要となる際の、条件や希望である譲渡事前情報に関するデータを、予め飼育会員から取得して記憶する譲渡事前情報記憶手段を構成するものである。譲渡事前情報データ38は、飼育会員IDと関連付けられており、例えば、飼育会員の死亡時や介護施設への転居時等といった犬の引き渡し時期や、引き渡しの際の犬に与えたいケアなどの希望が含まれる。譲渡事前情報データ38に格納される譲渡事前情報は、飼育会員用端末装置16を用いてインターネット24に接続し、サーバ装置14によって提供され、飼育会員用端末装置16において動作するウェブブラウザまたは専用アプリによる飼育会員用サイトから入力することができる。飼育会員用端末装置16から入力された譲渡事前情報は、サーバ装置14の受付手段26を介してデータベース34内の譲渡事前情報データ38に格納される。なお、飼育会員は、飼育会員用端末装置16から譲渡事前情報データ38に格納された譲渡事前情報を確認したり、変更することができる。これにより、飼育会員の病気や転勤等といった急な状況変化に速やかに対応でき、犬保護システム10の利便性が向上する。
【0044】
ペット履歴情報データ40は、犬保護システム10の会員である飼育会員が、現在飼育する犬に関する情報を、サーバ装置14が、飼育会員用端末装置16から取得した時刻データ(日時/時刻を含む)と共に、ペット履歴情報として記憶するペット履歴情報記憶手段を構成する。ペット履歴情報データ40は、犬毎に作成された図5に例示する犬情報ファイルA(=A-1,A-2・・・A-N)に格納される。各犬情報ファイルAは、飼育会員IDと関連付けられて格納されており、飼育会員IDで特定される飼育会員が飼育する犬の名前、犬ID、種類、年齢、性格、癖、飼育環境(家族構成など)の情報を「犬の基本カルテ」100として格納する。また、犬情報ファイルAは、健康診断結果、食事量や排せつの状況,体重、運動量、予防接種歴、予防薬の投薬情報、病歴などを含む情報を「犬の健康」102として格納する。さらに、犬情報ファイルAは、飼育会員から再教育者へ犬が引き渡される際等に行われる犬の性格診断結果情報を格納する「犬の性格」104を備えている。
【0045】
犬保護システム10の会員である飼育会員は、飼育会員用端末装置16を用いて、飼育会員用サイトからこれらのペット履歴情報を随時入力することができる。すなわち、飼育会員は、大切な愛犬を将来再教育者へ飼養を引き継ぐ可能性があることを考え、飼育会員の犬保護システム10への会員登録時や譲渡時ばかりでなく、逐次大切な愛犬の情報を更新することができ、このような履歴情報を、再教育者への譲渡後の愛犬の最適な飼養環境の構築に役立てるという希望を叶えることができる。そして、このような飼育会員によるペット履歴情報の蓄積は、後述するマッチングシステムにおいて、犬の特性を把握するためにも有利に活用することができる。なお、犬IDは、例えば、犬保護システム10のサービスを享受するために、犬の飼育者が飼育会員としての会員登録をする際や、犬の保護施設が、再教育者に犬の引き取りを依頼する際に、飼育会員用端末装置や保護施設用端末装置から犬情報ファイルAへの情報入力時に、サーバ装置14から発行されるIDによって構成される。
【0046】
ペット履歴情報データ40に格納されるペット履歴情報は、飼育会員用端末装置16を用いてインターネット24に接続し、サーバ装置14によって提供され、飼育会員用端末装置16において動作するウェブブラウザまたは専用アプリによる飼育会員用サイトから入力することができる。飼育会員用端末装置16から入力されたペット履歴情報は、サーバ装置14の受付手段26を介してデータベース34内の犬情報ファイルAにおいて、ペット履歴情報データ40として格納される。なお、ペット履歴情報と共に記憶される時刻データは、飼育会員用端末装置16から飼育会員用サイトに入力した後、飼育会員用端末装置16からサーバ装置14へ向けて送信される送信時刻であってもよいし、サーバ装置の受付手段26が飼育会員用端末装置16からペット履歴情報を受け付けた時刻でもよいし、その他のペット履歴情報の入力時に近接した時刻を表す時刻データであってもよい。本実施形態の犬保護システム10では、サーバ装置14が、受付手段26において再教育者用端末装置18からのペット履歴情報の開示要求信号を受信したり、管理者12が再教育者からの依頼を受けた際には、サーバ装置14は、ペット履歴情報データ40に格納されたペット履歴情報を、送信手段28から再教育者用端末装置18に送信することができる。再教育者からのペット履歴情報の開示要求は、再教育者への犬の引き渡し後は勿論、引き渡し前であっても許容されている。これにより、再教育者は、ペット飼育者から犬を引き取る以前であっても、犬に関する継時的な情報に基づきより正確に犬の性格や状況を把握することができ、犬により適切な飼養環境を構築することが可能となる。
【0047】
ペット管理履歴情報データ42は、飼育会員から引き取ったペットである犬を管理下において飼養および再教育を行う再教育者が、再教育者用端末装置18から入力するペット管理情報を、時刻データ(日時/時刻を含む)と共にペット管理履歴情報として記憶するペット管理履歴情報記憶手段を構成する。すなわち、本実施形態の犬保護システム10においては、犬保護システム10の会員である飼育会員が飼育する犬の飼養が困難となり、飼育会員から犬の譲渡希望が表明されたり、予定された譲渡時期の到来がサーバ装置14により検知された際には、飼育会員から引き取ったペットである犬は、一旦再教育者に引き取られ、再教育者の管理下において飼養および再教育が行われるようになっている。ここで、再教育者とは、犬の飼養が困難となった飼育会員や、動物保護団体などから犬を引き取り、適切な飼育環境化において、引き取った犬を飼養しつつ、犬の新しい飼い主(里親等)が見つかるまでの間、犬の心身のケアや、ドッグトレーナー等によるトレーニングなどを行い、新しい飼い主との生活にスムーズに移行でき、新しい飼い主(里親等)とのミスマッチングを減らすことを目的とした再教育を行う団体をいう。なお、図1において、再教育者用端末装置18は、単一の装置として示しているが、団体である再教育者の各スタッフがそれぞれ個別の再教育者用端末装置18を用いる場合も含まれる(図示省略)。
【0048】
なお、飼育会員から再教育者に犬が引き取られる際に、犬の所有権は、飼育会員から再教育者に移転される。さらに、譲渡される犬に関する犬情報ファイルAは、再教育者からの閲覧や入力が可能となる一方、元の飼い主である飼育会員からのアクセスができなくなる。すなわち、再教育者は、再教育者用端末装置18から要求すれば、サーバ装置14の送信手段28から犬情報ファイルAに格納されたペット履歴情報データ40の送信を受けることができ、閲覧することができ、犬情報ファイルAに、ペット管理履歴情報データ42として、譲渡後の犬の履歴情報を入力することができる。しかしながら、サーバ装置14は、飼育会員用端末装置16からの開示要求信号を受付手段26で受信した際には、ペット管理履歴情報データ42に格納されたペット管理履歴情報を、開示制限等を設けるといった所定の条件下で、送信手段28から飼育会員用端末装置16に送信するようにしてもよい。これにより、再教育者へ引き渡した後も元愛犬の状況が気掛かりとなる飼育会員の気持ちに応えることができる。ここで、飼育会員の譲渡希望の表明は、飼育会員用端末装置16からの譲渡希望信号の送信や、飼育会員から再教育者や管理者への口頭や書面による譲渡希望の伝達を含む。このように、予めインターネット24を介して相互に接続された犬保護システム10を用いることで、サーバ装置14における譲渡事前情報およびインターネット24を活用して、飼育会員の緊急時においても、犬の譲渡に速やかに対応することが可能となる。
【0049】
ペット管理履歴情報データ42は、再教育者に引き取られた犬についての犬情報ファイルAに格納される。ペット管理履歴情報には、体調情報として、健康診断結果、食事量や排せつの状況,体重、運動量、予防接種歴、投薬内容、病歴などが含まれ、犬情報ファイルAの「犬の健康」102に格納される。さらに、ペット管理履歴情報には、再教育情報として、犬に行ったトレーニングの内容や犬の性格診断結果情報などが含まれ、犬情報ファイルAの「犬の性格」104に格納される。犬の性格診断は、再教育者が犬を引き取る際や、各トレーニング終了時などに行うことができる。
【0050】
ペット管理履歴情報データ42に格納されるペット管理履歴情報は、再教育者用端末装置18を用いてインターネット24に接続し、サーバ装置14によって提供され、再教育者用端末装置18において動作するウェブブラウザまたは専用アプリによる再教育者用サイトから入力することができる。再教育者用端末装置18から入力されたペット管理履歴情報は、サーバ装置14の受付手段26を介してデータベース34内の犬情報ファイルAにおいて、ペット管理履歴情報データ42として格納される。なお、ペット管理履歴情報と共に記憶される時刻データは、再教育者用端末装置18から再教育者用サイトに入力した後、再教育者用端末装置18からサーバ装置14へ向けて送信される送信時刻であってもよいし、サーバ装置14の受付手段26が再教育者用端末装置18からペット管理履歴情報を受け付けた時刻でもよいし、その他のペット管理履歴情報の入力時に近接した時刻を表す時刻データであってもよい。
【0051】
里親会員情報データ44は、複数の里親会員を個別に特定する里親会員識別情報を記憶する里親会員識別情報記憶手段を構成するものであり、各里親会員の里親会員ID,氏名,住所,生年月日,年齢,性別,電話番号,職業,勤務先乃至は学校,e-mailアドレスの他、クレジットカードやその他の決済用カードの番号および有効期限や、アンケート情報などのデータを含む。なお、里親会員IDは、各里親会員を特定するために里親会員毎に付された情報であり、例えば、犬保護システム10のサービスを享受するために、里親希望者が里親会員としての会員登録をする際に、サーバ装置14から発行されるIDによって構成される。
【0052】
里親問診情報データ46は、里親会員用端末装置20から入力されたペット飼育に関する問診情報を記憶する里親問診情報記憶手段を構成するものである。里親問診情報データ46は、里親会員IDと関連付けられており、里親問診情報として、例えば、里親希望者が過去飼育したまたは現在飼育している犬情報(犬種、種類、性格、思い出等)や、犬を飼う目的、犬を飼ったらしたいこと、休日の過ごし方、住まいの環境、家族構成、飼い方の理想、他の動物の飼養、犬にされると困る行動、好みの犬種、家族の同意、アレルギーの有無などに関する情報が含まれる。里親希望者のライフスタイル、過去から現在の犬や他の動物の飼育状況や里親の人柄を含む多岐に亘る項目の里親問診情報を取得することで、里親希望者に適合性の高い犬を選ぶことができ、里親希望者と犬のミスマッチングの発生を低減することができる。さらに、過去に飼育したペット(犬)との思い出に関する複数項目を、以下のように例示して選択させることで、後述する機械学習による里親ペット思い出情報に前処理を施すことができ、機械学習における入力と出力の相関関係を明確にして、推定値の精度の向上を図ることも可能となる。
・一緒にして楽しかったこと
□ボール遊び
□散歩
□旅行
・ペットにやってあげて喜んだと感じたこと
□おやつ
□一緒に遊ぶ(具体的にはどんなことかも選択)
□散歩(□朝□夕□夜)
・日頃のペットの生活パターン
□日中は一人で留守番
□四六時中、家に人がいる
□散歩の時間、回数の選択
・昔のペットを飼っていたときの心残り、もっとしてあげたかったこと
□散歩を毎日する
□家の中でもっと一緒に遊んであげる
□定期的に病院へ連れて行って、病気を早くみつけてあげたたかった
□おやつをあげすぎてしまった
□特に心残りはない
・飼い主として自信があったこと
□十分な散歩量ができた
□留守番中もエアコンをしっかりつけて、体調を気にかけた etc.
【0053】
さらに、里親ペット思い出情報として、過去に飼養したペット(犬)のおもちゃ等からにおい成分を分析してデータ化したものが含まれてもよい。後述するマッチングレベル判定において、譲渡予定の犬のにおい成分の分析結果データと相関性が高い場合に、マッチングレベルが高いと判断することができる。
【0054】
里親会員情報データ44に格納される里親会員識別情報や、里親問診情報データ46に格納される里親問診情報は、里親会員用端末装置20を用いてインターネット24に接続し、サーバ装置14によって提供される里親会員用端末装置20において動作するウェブブラウザまたは専用アプリによる里親会員用サイトから入力することができる。里親会員用端末装置20から入力された里親会員識別情報や里親問診情報は、サーバ装置14の受付手段26を介してデータベース34内の里親会員情報データ44や里親問診情報データ46に格納される。
【0055】
譲渡後ペット履歴情報データ48は、再教育者から特定の犬を譲渡された里親会員が、里親会員用端末装置20から入力する譲渡後ペット履歴情報を、時刻データ(日時/時刻を含む)と共に記憶する譲渡後ペット履歴情報記憶手段を構成する。すなわち、本実施形態の犬保護システム10においては、犬保護システム10の里親会員が、元の飼い主から一旦再教育者の管理下において再教育された犬の譲渡を受けることができ、犬は、元の飼い主と同じ犬保護システム10の会員である里親会員の元で飼養されることとなる。犬の所有権は、再教育者から犬を譲り受けた里親会員に移転される。さらに、譲渡された犬に関する犬情報ファイルAは、里親会員からの入力が可能となる。譲渡後ペット履歴情報には、体調情報として、健康診断結果、食事量や排せつの状況,体重、運動量、予防接種歴、投薬内容、病歴などが含まれ、犬情報ファイルAの「犬の健康」102に格納され、譲渡後ペット履歴情報データ48として格納される。里親会員が、譲渡後の犬の状況を履歴情報として送信することにより、管理者12や再教育者が、適切な対応策や積極的且つ的確なアドバイスなどのサポートを容易且つ適切に行うことができる。特に、体調の変化や、飼育状況の変化などについて、的確に判断でき、大きな問題になるまえに迅速に対応できる。さらに、里親と犬の良好な関係が構築できず、再教育者等が里親会員からのペットの再引き取りに対応する際にも、里親会員から時系列的に入力されていた犬に関する譲渡後ペット履歴情報を利用することで、再引き取りの原因となった問題把握が容易になる。その結果、犬により適切な新たな里親候補者を選別することができる。さらに、譲渡後ペット履歴情報データ48には、里親会員の譲渡された犬に対する満足度である里親満足度が含まれる。里親満足度は、犬情報ファイルAの「犬の性格」に格納され、例えば、10段階評価で、里親会員用端末装置20から入力することができる。
【0056】
サーバ装置14は、里親会員用端末装置20からの要求に応じて、データベース34の犬情報ファイルAにおいて、ペット履歴情報データ40やペット管理履歴情報データ42として格納された各情報を、里親会員用端末装置20に送信することができる。それゆえ、里親会員は、犬保護システム10のデータベース34における犬情報ファイルAに蓄積された犬の情報を共有することができる。それゆえ、譲り受けた犬との関係や譲り受けた犬と始める新しい暮らし方を模索する際に、これらの有益な情報を利用することができ、里親と犬のミスマッチングが発生する可能性を低減することができる。
【0057】
なお、所定の条件下では、里親会員用端末装置20は、犬の再引取要求信号をサーバ装置14に送信することができる。サーバ装置14は、受付手段26において犬の再引取要求信号を里親会員用端末装置20から受信した際に、再引き取りの要求信号を記憶して、再引取対応信号を外部に出力する再引き取りの要求対応手段を有している。再引取対応信号は、再教育者用端末装置18から受信可能であったり、管理者12により検知可能であったりすることで、里親会員の再引取要求が管理者12または再教育者に認知され得る。ここで、所定の条件は、例えば、里親会員が飼育会員と同様の会費の支払いを行い、譲渡を受けた犬の再教育者への譲渡が保証された状況などが考えられる。これにより、仮に、里親と犬のミスマッチングが発生した際にも、犬を再度再教育者に引き取り、再教育を行うことが可能となり、犬により適切な飼養環境を速やかに提案することができる。また、里親会員が病気等により飼養が継続できない事情が発生する場合の不安を和らげることができ、里親会員が犬の譲渡を積極的に受け入れる動機付けにもなり得る。
【0058】
セミナ動画データ50は、犬の飼育に関するセミナ動画を記憶するセミナ動画記憶手段を構成している。サーバ装置14は、飼育会員に対してセミナ動画を配信し、ペット履歴情報データ40に配信履歴を記憶する。これにより、犬を飼育する飼育会員に対して、犬のしつけや食事、病気に関する知識などを含む犬との暮らしをより豊かにする情報を配信して、飼育会員の犬との豊かな暮らしをサポートすることができる。さらに、ペット履歴情報データ40に記憶されたセミナ動画の配信履歴は、再教育者が犬の過去の飼育環境をより適切に把握するための手助けにもなり、再教育者に引き取られた犬のより適切な保護体制を構築することを容易にし得る。加えて、サーバ装置14は、里親会員に対しても、セミナ動画を配信し、譲渡後ペット履歴情報データ48に配信履歴を記憶する。これにより、里親会員と犬との新しい暮らしがより適切なものとなるように、里親会員を手助けすることができる。また、譲渡後ペット履歴情報データ48に記憶された配信履歴は、里親から再引き取りの要求があった場合に、里親会員の元での犬の飼養環境を把握する一助となり得る。さらに、サーバ装置14は、ペット履歴情報データ40や譲渡後ペット履歴情報データ48に記憶された履歴情報に基づき、飼育会員や里親会員が直面する課題を把握して、その課題に対応したセミナ動画を配信するようにしてもよい。
【0059】
保護施設会員情報データ52は、複数の保護施設会員を個別に特定する情報を記憶するものであり、各保護施設会員の保護施設会員ID,名称,住所,担当者名,電話番号,e-mailアドレスの他、保護施設の規模や環境等に関するアンケート情報などのデータを含む。なお、保護施設会員IDは、各保護施設会員を特定するために保護施設会員毎に付された情報であり、例えば、犬保護システム10のサービスを享受するために、保護施設の担当者が保護施設会員としての会員登録をする際に、サーバ装置14から発行されるIDによって構成される。
【0060】
保護施設会員が、自己の施設で保護する犬を再教育者に譲渡する際には、図5に示す犬情報ファイルAが、保護施設会員IDと関連付けられて保護犬情報データ54に格納される。犬情報ファイルAには、保護施設会員IDで特定される保護施設会員が保護する犬の名前、犬ID、種類、年齢などの情報が「犬の基本カルテ」100に格納される。また、保護する犬に関して、健康診断結果、食事量や排せつの状況,体重、運動量、予防接種歴、投薬内容、病歴などを含む情報を、保護施設会員の担当者が分かる範囲で犬情報ファイルAの「犬の健康」102に格納する。さらに、保護施設会員から再教育者へ犬が引き渡される際に行われる犬の性格診断結果情報を、犬情報ファイルAの「犬の性格」104に格納する。この際に行われる犬の性格診断には、今の環境に慣れるまでにかかった日数や、人を噛んだことがあるか、他の犬との関係などに関する項目が含まれてもよい。
【0061】
次に、犬保護システム10において、飼育会員から再教育者に譲渡された犬に対して、里親会員から適切な里親を選定する際に用いられる、マッチングレベル判定システムについて、説明する。マッチングレベル判定システムは、サーバ装置14の受付手段26,マッチングレベル判定手段30,モデル生成手段32,データベース34の機能を利用して実現される。先ず、記憶手段としてのデータベース34には、ペット履歴情報データ40,ペット管理履歴情報データ42に格納された、図5に示す犬情報ファイルAに記憶された犬情報と、里親問診情報データ46に記憶された里親要望情報と、譲渡後ペット履歴情報データ48に格納されて、犬情報ファイルAの「犬の性格」104に格納された里親満足度、が確保されている。サーバ装置14のモデル生成手段32は、犬情報と里親要望情報と里親満足度を教師データとして用い、入力を犬情報および里親要望情報とし、出力を里親満足度とする推定モデルを機械学習により生成する。サーバ装置14の受付手段26が、例えば、再教育者用端末装置18から、譲渡予定の犬に関するペット履歴情報データ40とペット管理履歴情報データ42に格納された犬情報と、里親候補者の里親問診情報データ46に格納された里親要望情報とを受け付ける。マッチングレベル判定手段30が、推定モデルを用いて、受け付けた犬情報と里親要望情報を入力値として、里親満足度の推定値を出力する。
【0062】
このように構成されたマッチングレベル判定システムによれば、特定の犬情報と特定の里親要望情報との組み合わせにおいて得られた里親満足度の複数組を教師データとして用いて、里親満足度を推定する推定モデルを生成している。それゆえ、譲渡予定の犬に関する犬情報と里親候補者の里親要望情報を入力することで、里親満足度の推定値を出力することができ、推定値に基づいた客観的な犬と里親のマッチングレベルを得ることができ、犬と里親のミスマッチングの低減に寄与し得る。サーバ装置14のマッチングレベル判定手段30の出力結果は、再教育者用端末装置18からの要求に応じて、再教育者用端末に送信される。再教育者は、客観的なデータに基づく犬と里親のマッチングレベルを犬保護システムを通じて速やかに得ることができる。特に、里親要望情報に用いられる里親問診情報データ46には、里親が過去に飼育した犬との思い出に関する複数項目の情報(里親ペット思い出情報)が含まれていることから、現実の里親の犬の飼育経験を情報として取得することで、里親と犬のミスマッチングの発生を有利に抑制できるのである。ここで、里親が過去に飼育した犬との思い出に関する複数項目の情報が、写真などの画像情報を含むことが好ましい。画像情報とすることで、里親の犬に対する接し方をより客観的な情報として収集することができ、機械学習によるマッチング判定を良好に行うことができる。例えば、過去に飼育した犬の好みの服、食べ物、おもちゃ、食器、リード、散歩コースに関する画像データから選択したに限定するという前処理を施すことで、マッチングレベル判定システムの推定制度の向上を図ることも考えられる。或いは、過去に飼育したペット(犬)の写真、飼い主と犬が一緒に写っている写真、散歩コースの写真、お気に入りの食べ物・おもちゃ、使っていた食器・リード・服などの思い出の品の写真などの画像情報から、里親会員の犬との暮らし方の思考やパターンを分析することも可能である。加えて、里親会員が、過去に飼育していたペット(犬)に似た犬を希望するのか、類似点は、見た目,性格,匂の何れであるか,あるいは似ている犬を希望するのかについての、問診項目を含むことも有用である。そのような情報は、里親要望情報として確認しておくべき重要な情報であり、ミスマッチングの抑制に寄与するからである。
【0063】
ここで、マッチングレベル判定システムで用いられる画像データとしては、譲渡される前の、元飼い主である飼育会員と犬との同様の画像データや、再教育者と犬との同様の画像データが含まれていてもよい。これらの三者からの画像データのマッチングが高い場合に、里親と犬とのマッチングレベルが高い可能性が大きいと推定できるからである。さらに、飼育会員と里親会員の顔写真データを含め、それらの類似性が高い場合に、里親と犬とのマッチングレベルが高いとの推定値を出すようにしてもよい。さらに、飼育会員と里親会員に所定のセリフ(例えば、「ごはんだよ」「お散歩いくよ」)を発話させた音声データを格納しておき、声の質の分析結果が近い場合に、里親と犬とのマッチングレベルが高いとの推定値を出すようにしてもよい。
【0064】
また、マッチングレベル判定システムにおいて、以下の判定基準を採用することができる。例えば、再教育者に引き取られた後、慣れるまでの日数(例えば、ご飯、散歩などに喜んでしっぽを振るようになるまでの日数)と、他人(知らない人)に対する慣れやすさには、相関関係があると推定される。そこで、犬情報として、再教育者に引き取られた後、慣れるまでの日数を含め、日数が少ないほど、里親(知らない人)とのマッチングレベルが高いと推定させることができる。また、里親ペット思い出情報に、一日のうちでペット(犬)と接している時間を含め、人と一緒にいるのが好きなペット(犬)とのマッチングレベルを高く判定することも可能である。さらに、里親ペット思い出情報に、ペット(犬)と旅行に行った回数を含め、人と一緒にいるのが好きなペット(犬)や車等の移動に抵抗がないペット(犬)とのマッチングレベルを高く判定することも可能である。また、里親ペット思い出情報に、過去に飼育したペット(犬)の動物病院で健康診断の受診回数や頻度を含めることで、里親のペットの健康管理に対する意識の高さを推定することができる。里親が過去に飼育したペット(犬)与えていた餌の情報を含めることで、里親のペットの健康管理に対する意識の高さを推定することができる。
【0065】
続いて、本実施形態の犬保護システム10の動作を説明する。サーバ装置14,飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22には、犬保護システム10が提供するサービスを利用するためのアプリケーションが予めインストールされている。このアプリケーションは、サーバ装置14のプロセッサ62および飼育会員用端末装置16,再教育者用端末装置18,里親会員用端末装置20,保護施設用端末装置22の各プロセッサ72が、自装置の記憶装置66,76に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0066】
図6は、犬保護システム10において、飼育会員から再教育者へ犬が譲渡され、再教育者の管理下で犬が再教育される段階までの、処理の流れを示すシーケンス図である。はじめに、犬保護システム10へ入会して、飼育する犬の飼養継続が万一困難となった場合でも、再教育者の管理下で飼養され適切な里親へ譲渡することが可能なサービスの利用を希望する犬の飼育者が、飼育会員用端末装置16から、入会・会員登録手続きを行う(S1)。この時、新規の飼育会員は、飼育会員用端末装置16から、上述の飼育会員情報と譲渡事前情報とペット履歴情報を入力し、それらの情報がサーバ装置14の飼育会員情報データ36,譲渡事前情報データ38,ペット履歴情報データ40に格納される。飼育会員は、登録後、いつでも飼育会員情報と譲渡事前情報の変更や修正を行うことができる(S2)。さらに、飼育会員は、飼育する犬の情報を、逐次入力することができ、それらの情報は、時刻データと共にペット履歴情報データ40に記憶されて蓄積される(S3)。
【0067】
管理者12の利用に供されるサーバ装置14は、飼育会員によって入力されたペット履歴情報データ40に格納された情報等を参照して、セミナ動画データ50に格納された飼育会員に適したセミナ動画を配信したり、定期的なセミナ動画の配信や犬の健康に関するアドバイスを配信する(S4)。
【0068】
飼育会員は、飼育する犬の飼養継続が困難となった際には、飼育会員用端末装置16から譲渡希望信号をサーバ装置14に送信したり、電話や書面等により、管理者12や再教育者に対して、譲渡希望の表明を行う(S5)。なお、飼育会員の譲渡希望の表明には、譲渡事前情報データ38に記憶された譲渡時期の到来をサーバ装置14で検知することも含まれる。その後、サーバ装置14は、再教育者用端末装置18へペット引取り指示信号を送信する(S6)。なお、サーバ装置14の再教育者用端末装置18へのペット引取り指示信号の送信に代えて、サーバ装置14を管理する管理者12から再教育者に対してペット引き取り指示を電話や書面等により伝えてもよい。
【0069】
サーバ装置14は、再教育者用端末装置18からの要求により(S7-1)、譲渡希望のある犬に関するペット履歴情報データ40に記憶されたペット履歴情報を再教育者用端末装置18に送信する(S7-2)。再教育者用端末装置18は、S5の譲渡希望の表明の後は勿論、それ以前であっても、ペット履歴情報の送信をサーバ装置14に要求できる。それゆえ、正式な表明前であっても、譲渡の可能性がある犬に関する情報を事前に入手して、犬の引き取り体制の準備を十分に行うことができる。その結果、犬に過度のストレスを与えることなく、新しい環境に迎え入れることが可能となる。
【0070】
飼育会員が飼育する犬が、飼育会員から再教育者へ譲渡される際には、サーバ装置14は、譲渡対象の犬に関する犬情報ファイルAへの再教育者用端末装置18からの入力を可能にし、飼育会員用端末装置16からのアクセスを制限する(S8)。この際、本実施形態では、犬の所有権が飼育会員から再教育者に移転される。犬の譲渡を受けた再教育者が用いる再教育者用端末装置18からは、犬のしつけやトレーニング等を含む犬の再教育に関する再教育情報や、犬の体調情報を含むペット管理履歴情報が、入力可能である。再教育者用端末装置18から入力されたペット管理履歴情報は、時刻データと共にペット管理履歴情報データ42に記憶されて蓄積される(S9)。
【0071】
なお、飼育会員は、犬を再教育者へ譲渡した後でも、譲渡した犬についてペット管理履歴情報データ42に蓄積されたペット管理履歴情報の開示に関する要求信号を、飼育会員用端末装置16からサーバ装置14へ送信することができる(S10-1)。サーバ装置14は、要求信号の受信に応じて、飼育会員用端末装置16へペット管理履歴情報を送信する(S10-2)。この際、飼育会員の開示要求の可否について、所定の条件(会費の支払いや使用目的の制限など)を付すことができる。これにより、飼育会員が譲渡した犬の状況を把握することができ、飼育会員に安心を与えることができる。
【0072】
続いて、動物保護団体等が運営する特定の保護施設が、犬保護システム10のサービスを利用する場合について、説明する。先ず、犬保護システム10のサービスを享受するために、保護施設の担当者が、保護施設用端末装置22から、入会・会員登録手続きを行う(S11)。この時、新規の保護施設は、保護施設用端末装置22から、保護施設の名称、住所、担当者名等の保護施設会員情報を入力し、保護施設会員情報データ52に格納される。次に、保護施設会員が、自己の施設で保護する犬を再教育者に譲渡する際には、保護施設会員IDと関連付けられた犬情報ファイルAに保護施設用端末装置22から犬の情報を入力する(S12)。入力された犬の情報はサーバ装置14の保護犬情報データ54に格納される。保護施設会員から再教育者へ犬が引き渡される際に行われる犬の性格診断結果情報が、保護施設用端末装置22から入力されて、サーバ装置14の保護犬情報データ54に格納される(S13)。
【0073】
図7は、犬保護システム10において、再教育者の管理下で飼養されている犬が、再教育者から里親会員へ譲渡される段階までの、処理の流れを示すシーケンス図である。犬保護システム10へ入会して、犬の譲渡を受けたい里親希望者は、里親会員用端末装置20から、入会・会員登録手続きを行う(S21)。この時、新規の里親会員は、里親会員用端末装置20から、上述の里親会員情報と里親問診情報を入力し、それらの情報がサーバ装置14の里親会員情報データ44および里親問診情報データ46に格納される。サーバ装置14は、会員登録された里親会員にセミナ動画データ50に格納されたセミナ動画を、里親会員の要求に応じて、あるいは適時、里親会員に配信する(S22)。これにより、里親会員が実際に犬の譲渡を受ける前に、犬の里親となるために必要な知識や環境を整えることができる。
【0074】
再教育者は、里親への譲渡に適すると判断した犬がいる場合には、当該犬に対して適当な里親候補者の選定をサーバ装置14に要求する信号を送信する(S23)。サーバ装置14は、上述のとおり、再教育者の管理下で飼養される犬と里親会員とのマッチングを行う、マッチングレベル判定システムを備えている。すなわち、サーバ装置14の受付手段26が、譲渡予定の犬に関するペット履歴情報データ40とペット管理履歴情報データ42に格納された犬情報と、里親候補者の里親問診情報データ46に格納された情報から里親要望情報に相当する情報と、里親ペット思い出情報に相当する情報を受け付ける。マッチングレベル判定手段30が、モデル生成手段32により生成された推定モデルを用いて、受け付けた犬情報と里親要望情報を入力値として、里親満足度の推定値を出力する。そして、得られた出力結果を、再教育者用端末装置18に送信する(S24)。得られた里親満足度の推定値が所定の基準値以上の場合(例えば、満足度が10点満点中8点以上など)には、サーバ装置14からマッチング成立通知が、再教育者用端末装置18と該当する里親会員の里親会員用端末装置に送信される(S25-1,S25-2)。
【0075】
マッチング成立通知を受理した里親会員は、犬のお試し飼育の開始の可否について送信する(S26-1)。里親会員からサーバ装置14に送られたお試し飼育の開始の可否の回答は、再教育者用端末装置18にも転送される(S26-2)。お試し飼育の開始が可の場合には、サーバ装置14から、里親会員の里親会員用端末装置20に向けて、お試し飼育に関する注意情報、引き渡し方法の情報、譲渡予定の犬に関する犬情報ファイルAに格納された情報が、送信される(S27)。譲渡予定の犬は、再教育者から里親会員に預けられる。お試し飼育中のトラブルの内容や解決方法・対応結果などは、サーバ装置14を介して、再教育者用端末装置18と里親会員用端末装置20との間でやり取りされる(S28-1,S28-2)。
【0076】
所定のお試し飼育期間の経過前までに、里親会員用端末装置20から、譲渡の可否に関する連絡がサーバ装置14に送信され(S29-1)、再教育者用端末装置18に転送される(S29-2)。里親会員の譲渡を受ける意思の確認ができた際には、サーバ装置14から、譲渡の成立通知が里親会員用端末装置20と再教育者用端末装置18に送信される(S30-1,S30-2)。この際、譲渡対象の犬の所有権は、再教育者から里親会員に移転される。里親会員には、犬の所有権移転の案内や、譲渡後の注意事項、お願い事項の案内等も併せて送信される。なお、お試し飼育期間中に、里親会員から譲渡を受けない旨の意思決定が有った場合には、犬は再度、再教育者に引き渡されて、再教育者の管理下で飼養され再教育される。
【0077】
里親会員への犬の譲渡が成立した際には、里親会員は、里親会員用端末装置20から、犬に関する情報を、譲渡後ペット履歴情報として随時入力することができ、それらの情報がサーバ装置14の譲渡後ペット履歴情報データ48に蓄積される(S31)。それゆえ、譲渡後ペット履歴情報データ48に基づき、再教育者から里親会員に、犬の飼育に関するアドバイスや適切な支援を与えることも可能となる。さらに、万一譲渡された犬の再譲渡が必要になる場合でも、犬に関する最新の情報を収集することができ、犬が再度の飼養環境の変更を経験する際にも、犬により適切な環境を与えて犬のストレスを低減することが可能となる。
【0078】
管理者12の利用に供されるサーバ装置14は、里親会員によって入力された譲渡後ペット履歴情報データ48に格納された情報等を参照して、セミナ動画データ50に格納された里親会員に適したセミナ動画を配信したり、定期的なセミナ動画の配信や犬の健康に関するアドバイスを配信する(S32)。
【0079】
里親会員が急な病気や転勤等の理由により、犬の飼養継続が困難となる場合も考えられる。そのような場合には、里親会員が里親会員用端末装置20からペットの再引取要求信号を送信することができる(S33)。これに対応して、サーバ装置14は、再教育者用端末装置18に向けて再引取対応信号を送信する(S34)。この場合には、犬の所有権および犬は再教育者に戻され、犬は再教育者の管理下で飼養され、再教育される。
【0080】
このような構成とされた本実施形態の犬保護システム10によれば、犬と暮らしを共にする飼育会員が、万一犬の飼養継続が困難となった場合にも、犬の安全な暮らしを確保したいという飼育会員の要望を実現することができる、画期的なシステムを提供できるのである。そして、管理者12により運営される犬保護システム10で結ばれる、飼育会員、再教育者、里親会員、保護施設会員が、犬保護システム10で管理される犬に関する情報を、それぞれが犬を飼養するタイミングでサーバ装置14のデータベース34に蓄積していくことができる。1匹の犬に関して継続的に蓄積されたデータは、犬が快適に過ごせる飼養環境を推定する客観的な指標となり得る。例えば、犬保護システム10において、再教育者の管理下に置かれて再教育されて飼養されている犬に対する新しい里親を決定する際には、サーバ装置14に蓄積されたペット履歴情報データ40とペット管理履歴情報データ42に格納された犬情報が利用できる。そして、それらの犬情報と、里親候補者の里親問診情報データ46に格納された情報から里親要望情報に相当する情報と、里親ペット思い出情報に相当する情報と、それらの情報を対応させた際の実際の里親から得られた里親満足度を、教師データとして、ニューラルネットワークで機械学習をさせるサーバ装置14のモデル生成手段32により、推定モデル(学習済みモデル)を生成することができる。このような推定モデルを用いて、犬情報,里親要望情報,里親ペット思い出情報を入力情報としてマッチングレベル判定手段30を用いて里親満足度を出力させることができる。
【0081】
サーバ装置14の受付手段26が、譲渡予定の犬に関するペット履歴情報データ40とペット管理履歴情報データ42に格納された犬情報と、里親候補者の里親問診情報データ46に格納された情報から里親要望情報に相当する情報と、里親ペット思い出情報に相当する情報を受け付ける。マッチングレベル判定手段30が、推定モデルを用いて、受け付けた犬情報と里親要望情報を入力値として、里親満足度の推定値を出力する。このようなマッチングレベル判定システムを用いたことにより、マッチングレベルの判定制度の向上を図ることができる。
【0082】
犬保護システム10においては、再教育者によるペット管理情報を、履歴情報としてペット管理履歴情報記憶手段に記憶して、それを利用可能にしている。すなわち、本態様では、里親希望者がいれば、再教育者が履歴情報として蓄積したより客観的なペット管理履歴情報と、長期間に亘って飼育された飼育会員の元で蓄積されたペット履歴情報の両方を用いて、犬の特性を判断できる。さらに、里親に譲渡された後の犬に関する情報である譲渡後ペット履歴情報も利用することができる。そのため、犬に適した飼養環境を認定する情報が豊富であり、発する性状と、一時的な再教育者のもとで発する性状との差などについても考慮することが可能になる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、本発明のペット保護システムを構築するためには、例示の犬保護システム10で用いられた全ての構成を含める必要はない。例えば、里親会員用端末装置20や保護施設用端末装置22は、必ずしも備える必要はなく、別途のシステムや組織を用いて、里親希望者や保護施設と連携することも可能である。この場合でも、飼育会員と再教育者による犬に関する蓄積データを用いて、犬に適した環境の把握や里親の選定の妥当性を高めて、犬と新しい里親のミスマッチングの発生を抑制できる。
【0084】
犬保護システム10では、飼育会員が受けられるサービスが一律であったが、これに限定されない。例えば、犬保護システム10において、再教育者への犬の譲渡が可能となるサービスを受けられる飼育会員を第一種飼育会員とし、犬の譲渡のサービスは希望しないがペット保険のサービスやセミナ動画の配信サービスを受けられる飼育会員を第二種飼育会員とし、さらに、セミナ動画や犬との暮らし方に関する情報提供のサービスのみを受けられる飼育会員を第三種飼育会員とするなど、飼育会員が受けられるサービスの内容にバリエーションを付けることも可能である。その場合には、飼育会員の種別により、会費を異ならせることも可能である。
【0085】
犬保護システム10では、犬と里親とのマッチングレベルを行うマッチングレベル判定システムにおいて、里親ペット思い出情報を入力値として採用していたが、必ずしも必要ではない。別の里親に関する情報を入力値として採用してもよい。
【0086】
さらに、里親会員が、ペットの再引取り要求を要求できる条件として、里親会員の飼育会員と同様の会費の支払いや、里親会員の飼育会員への登録変更を要求してもよい。
【0087】
なお、前記実施形態では、本発明に係るペット保護システムに適用されるペットとして犬を例示したが、本発明に係るペット保護システムに適用されるペットとは「コンパニオンアニマル」と称される動物のことを言い、犬の他に、例えば猫やその他のコンパニオンアニマルが適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
10 犬保護システム(ペット保護システム)
12 管理者
14 サーバ装置
16,16-1,16-2,…16-N 飼育会員用端末装置
18 再教育者用端末装置
20,20-1,20-2,…20-N 里親会員用端末装置
22,22-1,22-2,…22-N 保護施設用端末装置
24 インターネット(通信ネットワーク手段)
25 決済代行会社
26 受付手段
28 送信手段
30 マッチングレベル判定手段
32 モデル生成手段
34 データベース(記憶手段)
36 飼育会員情報データ
38 譲渡事前情報データ
40 ペット履歴情報データ
42 ペット管理履歴情報データ
44 里親会員情報データ
46 里親問診情報データ
48 譲渡後ペット履歴情報データ
50 セミナ動画データ
52 保護施設会員情報データ
54 保護犬情報データ
62 プロセッサ
64 メモリ
66 記憶装置
68 UI部
70 通信部
72 プロセッサ
74 メモリ
76 記憶装置
78 UI部
80 通信部
100 犬の基本カルテ
102 犬の健康
104 犬の性格
A,A-1,A-2,…A-N 犬情報ファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7