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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163393
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068288
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】316003726
【氏名又は名称】シャッフル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】安井 睦寛
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK28
(57)【要約】
【課題】所望の箇所にのみ、除菌、殺菌或いは滅菌を目的とした紫外線を所要の位置にのみ有効に照射することができる。これにより、効率よく所要の箇所の除菌、殺菌或いは滅菌処理行うことが可能となる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる紫外線照射装置10に相当する装置本体20は、紫外線UVを照射する紫外線照射部30と、照射された紫外線UVを適宜反射させる金属が露出した金属反射面たる鏡面46aとを有し、照射された紫外線UVが所望の箇所である照射範囲IAに直接照射する直接光UV1及び鏡面46aに反射して所望の箇所に間接的に紫外線UVを照射する間接光UV2を照射し得る反射体40とを具備していること、を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射する紫外線照射部と、
照射された紫外線を適宜反射させる金属が露出した金属反射面を有し、照射された紫外線が所望の箇所に直接照射する直接光及び前記金属反射面に反射して前記所望の箇所に間接的に紫外線を間接的に照射する間接光を照射し得る反射体と
を具備していること、を特徴とする紫外線照射装置。
【請求項2】
前記反射体において紫外線を反射する箇所を、金属を露出させた金属反射面としている、
請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記反射体が、外形をなす本体と、前記本体を貫通する紫外線案内部と、前記紫外線案内部の表面を鏡面加工することにより設けられた鏡面と、前記鏡面に囲まれた導光空間と、外部へ紫外線を案内する照射口とを有するものである、
請求項1または請求項2に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記導光空間の形状は、概略円錐形状である、
請求項3に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記概略円錐形状において、対抗する円錐面がなす角度は、5°~25°に設定されている、
請求項4に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記鏡面を、アルミニウムを鏡面加工することにより設けた構成としている、
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
前記反射体が、アルミニウムによる一体成形により構成されている、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項8】
前記紫外線照射部と前記反射体とを別体に構成されたものであり、用途や設置個所に応じて前記紫外線照射部を選択し得るように構成されている、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記紫外線照射部は、外形をなす筐体と、筐体内に固定される紫外線を発光し得るUV-LEDと紫外線を反射体へ向けて透過し得る透過板と、この透過板を筐体に保持するためのリブ状をなす保持リブとを有するものである、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記紫外線照射部及び反射体を支持するための土台と、
前記土台と前記反射体または前記紫外線照射部との間に設けられ、前記反射体または前記紫外線照射部の角度、位置を自在に調整可能に構成されたアームと、
を更に有する、
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記紫外線照射部及び前記反射体を収納するため照射本体収納部を備えた放熱部材を有し、
前記反射体収納部の外周面には、放熱部が設けられる、
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、本発明は、所望の位置の除菌、殺菌を目的として当該位置に紫外線を照射することができる紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光学機器として、所定の範囲にのみ可視光を照射することで、所望の箇所のみを好適に明るくする器具は、種々提案されている。これらのようなものは、一般的に、光源と、この光源から発せられる光の方向を案内する、いわゆるフードと称される装置を接続することによって、所望の位置のみに所要の光を照射できるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また近年、光学機器としても単なる照明としての目的ではなく、照射した範囲の除菌、殺菌或いは滅菌という目的に主眼をおき、紫外線を照射するという技術も種々開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ここで、特許文献1に開示された技術は、照射された光が目視できる光であり、所望の位置への所要の時間だけ照明を得るという目的に用いられている。一方、特許文献2に記載の技術は、主に除菌、殺菌或いは滅菌を目的としたものであるため、紫外線の特性故に目視が不可能である上、継続的な照射を必須とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4422886号公報
【特許文献2】特開2020-151643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のLED光源装置は、所望の位置にのみ光を照射する機能があるものの、その用途が主に自動車のブレーキランプ等を想定したものであるため、持続的に照射できる構造になり得るか否かが懸念される。実際、当該特許文献1では、光の持続的な照射を促すような記載は何ら開示されていない。
【0007】
また、特許文献2の紫外線照射装置は、水が流れる箇所全域に対し紫外線を照射するためのものであるため、所望の箇所のみならず、所望の箇所を含む広い領域に隈なく紫外線を照射することが目的であると解される。
【0008】
ここで、装置自体の消費電力を抑えつつ、且つ、紫外線による除菌、殺菌並びに滅菌の効果を効率よく得るためには、所望の箇所にのみ所要の出力の紫外線を照射する機能が要求されているのが現状である。
【0009】
それゆえに、本発明の主たる目的は、所望の箇所の除菌、殺菌或いは滅菌を目的として、所要の出力の紫外線を所要の箇所にのみ照射し得る紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明にかかる紫外線照射装置は、紫外線を照射する紫外線照射部と、照射された紫外線を適宜反射させる金属が露出した金属反射面を有し、照射された紫外線が所望の箇所に直接照射する直接光及び前記金属反射面に反射して前記所望の箇所に間接的に紫外線を間接的に照射する間接光を照射し得る反射体とを具備していること、を特徴とする紫外線照射装置である。
【0011】
このようなものであれば、所望の箇所にのみ、除菌、殺菌或いは滅菌を目的とした紫外線を所要の位置にのみ有効に照射することができる。これにより、効率よく所要の箇所の除菌、殺菌或いは滅菌処理行うことが可能となる。
【0012】
また、反射体において紫外線を反射する箇所を、金属を露出させた金属反射面とすることにより、紫外線による素材の経時的な劣化を有効に回避しつつ、継続した安定した使用を可能としている。
【0013】
また、反射体が効率よく紫外線を案内するための構成として、反射体が、外形をなす本体と、本体を貫通する導光部と、この導光部の表面を鏡面加工することにより設けられた反射面部と、この反射面部に囲まれた導光空間と、外部へ紫外線を案内する照射口とを有するものとすることが望ましい。
【0014】
より効率よく紫外線を案内するようにするためには、導光空間の形状は、概略円錐形状とすることが望ましい。
【0015】
そして導光空間の形状を概略円錐形状としたとき、対抗する円錐面がなす角度は、5°~25°に設定することが望ましく、さらに望ましくは、10°~20°とすることが好ましく、もっとも適した角度としては15°とすることが好ましい。
【0016】
紫外線の出力を有効に担保し得るとともに、継続的な使用において性能を損なわない反射面部の構成としては、反射面部を、アルミニウムを鏡面加工することにより設けた構成を挙げることができる。
【0017】
上述した反射面部の性能を損なわず、より耐久性を高めた構成とするためには、反射体を、アルミニウムによる一体成形により構成することが望ましい。
【0018】
そして、所望の出力の紫外線を好適に照射し得るためには、紫外線照射部と反射体とを別体に構成し、用途や設置個所に応じて適宜紫外線照射部を選択し得るようにすることが望ましい。
【0019】
上述した紫外線照射部の機能を有効に発揮し得る構成としては、紫外線照射部は、外形をなす筐体と、筐体内に固定される紫外線を発光し得るUV-LEDと紫外線を反射体へ向けて透過し得る透過板と、この透過板を筐体に保持するためのリブ状をなす保持リブとを有するものを、挙げることができる。
【0020】
また、紫外線を所望の位置に正確に照射するための構成として、紫外線照射部及び反射体を支持するための土台と、この土台と反射体または紫外線照射部との間に設けられ、角度、位置を自在に調整可能に構成されたアームとを更に有するものとすることが好ましい。
【0021】
さらに、紫外線照射装置は、紫外線照射部および反射体を収納するため照射本体収納部を備えた放熱部材を有し、反射体収納部の外周面には、放熱部が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、所望の箇所にのみ、除菌、殺菌或いは滅菌を目的とした紫外線を所要の位置にのみ有効に照射することができる。これにより、効率よく所要の箇所の除菌、殺菌或いは滅菌処理行うことが可能となる紫外線照射装置を提供することができる。
【0023】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一実施の形態にかかる紫外線照射装置を示す外観斜視図である。
図2図1に示す紫外線照射装置の分解斜視図である。
図3図1に示す紫外線照射装置の線III-III断面図である。
図4】同紫外線照射装置の反射体を示す構成説明図である。
図5】同紫外線照射装置の基板部を示す斜視図である。
図6】同反射体の側面図である。
図7】同反射体の正面図である。
図8】同反射体の背面図である。
図9】同実施の形態にかかる作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について図1図9を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1は、この発明の一実施の形態にかかる紫外線照射装置を示す外観斜視図である。図2は、図1に示す紫外線照射装置の分解斜視図である。図3は、図1に示す紫外線照射装置の線III-III断面図である。図4は、紫外線照射装置の反射体を示す構成説明図である。図5は、紫外線照射装置の基板部を示す斜視図である。図6は、同反射体の側面図である。図7は、同反射体の正面図である。図8は、同反射体の背面図である。図9は、本実施の形態にかかる作用説明図である。
【0027】
以下、本実施の形態にかかる紫外線照射装置10について説明する。当該紫外線照射装置10は、例えば、工場、オフィスや一般家庭などにおいて局所的に除菌、殺菌あるいは滅菌を行うためのものである。特に、一般家庭にて用いる場合には、玄関先の靴の起き場所など、局所的に雑菌が繁殖しやすい個所に好適に用いられるものである。このように使用することで、一般家庭では家全体、また、工場、オフィスでは設備全体を清潔に保つことに有効に寄与し得るものである。
【0028】
本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、フード部材22、照射本体部24及び放熱部材26を含む装置本体20と、装置本体20を支持するための土台70と、土台70と装置本体20との間に設けられ、装置本体20の角度、位置を自在に調整可能に構成されたアーム80と、を有する。アーム80の先端側には装置本体20が支持される。
【0029】
本実施の形態では、紫外線照射装置10の主たる構成を装置本体20として、図示、説明をしている。
【0030】
上述したように、装置本体20は、フード部材22、照射本体部24及び放熱部材26を含む。
装置本体20は、その前方側にフード部材22を備え、後方側に放熱部材26を備える。そして放熱部材26の内部において、照射本体部24が配置される。放熱部材26の内部に配置される照射本体部24は、その前端側において、環状の緩衝部材28を介してフード部材22の後端側から押圧されることにより固定される。
【0031】
フード部材22は、照射本体部24から照射された紫外線UVを案内するために設けられる。フード部材22は、円筒状に形成され、たとえば、アルミニウムにより形成される。フード部材22の先端側には、照射本体部24から照射された紫外線UVを照射するための開口部22aが設けられる。フード部材22の後端側には、放熱部材26と接続するための接続部22bが設けられる。接続部22bには、たとえば、雌ねじに加工されている。フード部材22の内部には、照射本体部24から照射された紫外線UVを案内するためのフード側紫外線案内部22cが設けられる。
【0032】
照射本体部24は、紫外線UVを照射する紫外線照射部30と、照射された紫外線UVを適宜反射させる金属が露出した金属反射面たる鏡面46aとを有し、照射された紫外線UVが所望の箇所である照射範囲IAに直接照射する直接光UV1及び鏡面46aに反射して所望の箇所に間接的に紫外線UVを照射する間接光UV2を照射し得る反射体40とを具備していること、を特徴とする。
【0033】
装置本体20は、図1~7に示すように、紫外線照射部30と、反射体40とを主な構成要素としている。本実施の形態では、紫外線照射部30と反射体40とを別体に構成されたものとし、用途や設置個所に応じて紫外線照射部30を選択し得るように構成している。
【0034】
紫外線照射部30は、基板部32と、基板部を保持するための基板保持板34とを含む。基板部32は、紫外線UVを発光し得るUV-LED36を含む。そして、基板部32は、UV―LED36を固定するための外形をなす筐体38aと、紫外線UVを反射体40へ向けて透過し得る透過板たる透過ガラス38bと、この透過ガラス38bを筐体38aに保持するためのリブ状をなす保持リブたるガラス保持部38cとを有する。なお、UV-LED36から照射される紫外線UVの波長は、たとえば、280nmであるが、適宜、所望の波長の紫外線UVが設定される。
紫外線照射部30は、基板保持板34を介して、放熱部材24に設置される。
【0035】
反射体40は、外形をなす反射部本体42と、上述した紫外線照射部20と当接されるための照射部当接部44と、反射部本体42と照射部当接部44との間に配置される中間部材47とを有する。反射体40において、反射部本体42、照射部当接部44および中間部材47の内部を貫通するように、概略円錐状に構成された紫外線案内部46が設けられる。紫外線案内部46は、たとえば、反射体40の内部を掘削することにより形成される。紫外線案内部46の内表面には、鏡面46aを有する。鏡面46aは、たとえば、金属反射面とされる。鏡面46aは、金属反射面とするように、所定の研磨を施すことにより、紫外線UVを効率よく反射しやすいように鏡面加工されたものである。
【0036】
反射部本体42は、円柱状に形成される。反射部本体42の内部には、上述したように紫外線案内部46が設けられる。そして、反射部本体42に対して中間部材47が配置される側とは反対側には、紫外線案内部46の内部を通過した紫外線UVを照射するための照射口48が設けられる。なお、反射部本体42の形状は円柱状に限るものではない。また、反射部本体42の外径は、照射部当接部44の外径および中間部材47の外径よりも大きく形成されているが、これに限るものではない。
【0037】
照射部当接部44は、円板状に形成される。照射部当接部44は、反射部本体42の照射口48が設けられる側とは反対側に配置される。照射部当接部44の内部には、紫外線案内部46が設けられる。照射部当接部44の外径は、反射部本体44の外径より小さく、また、中間部材47の外径よりも小さい。照射部当接部44に対して中間部材47が配置される側とは反対側には、紫外線案内部46内に紫外線UVを入射するための入射口45が設けられる。また、照射部当接部44に対して中間部材47が配置される側とは反対側の面には、紫外線照射部30が当接される。そして、紫外線照射部30から照射された紫外線UVは、入射口45を通って、紫外線案内部46に向けて照射される。なお、照射部当接部44の形状は、円板状に限るものではない。また、照射部当接部44の外径は、反射部本体42の外径より小さく、また、中間部材47の外径よりも小さく形成されているが、これに限るものではない。
【0038】
中間部材47は、円板状に形成される。中間部材47は、反射部本体42の照射口48が設けられる側とは反対側に接続され、配置される。また、中間部材47は、照射部当接部44の入射口45が設けられる側とは反対側に接続され、配置される。中間部材47の内部には、紫外線案内部46が設けられる。中間部材47の外径は、反射部本体42の外径よりも小さく、照射部当接部44の外径よりも大きい。図3に示すように、反射部本体42より小さい外径とした中間部材37を設けることにより、紫外線照射部30からの配線90を装置本体20から外部に障害なく導出することができる。
【0039】
反射体40の内部に設けられる紫外線案内部46において、照射部当接部44から反射部本体42に向かう中心軸Oは、入射口45の中心と照射口48の中心とを通る。
【0040】
そして、紫外線案内部46の形状は、本実施の形態では、概略円錐形状としている。これは、発光源である紫外線UVを照射するUV-LEDを最も効率よく所望の照射範囲IAへと、紫外線UVを照射させるためである。
【0041】
そして、この紫外線案内部46の形状は、上述の通り概略円錐形状であるため、照射口38から発せられる紫外線UVは、照射対象に対して、円形または楕円形状に照射される。
【0042】
ここで、紫外線案内部46について詳細に説明する。特に、紫外線案内部46の効果についてその概略円錐形状において詳細に説明すると、任意の対抗する円錐面がなす角度は、5°~25°に設定されている。具体的には、8°~20°とすることが望ましく、本実施の形態では、最も望ましい一例として、15°に設定している。
【0043】
この反射体40は、反射部本体42と、照射部当接部44と、中間部材47とが一体に構成される。反射体40は、その内部に貫通するように設けられる紫外線案内部46の表面が鏡面加工の可能な金属により構成される。反射体40を構成する金属は、加工の容易な点で、たとえば、アルミニウムが好ましい。本実施の形態では、紫外線案内部46の鏡面46aは、アルミニウムを鏡面加工することにより設けた構造としている。これにより、紫外線照射部30からの紫外線UVを直接アルミニウム素材に当たる。このように、反射体40は、樹脂により形成されず、金属により形成されることから、紫外線UVが照射されることに起因する装置本体20の構成要素の劣化を抑制することができる。その結果、この実施の形態にかかる装置本体20は、持続的な使用を行っても、装置本体20の各構成要素が劣化されにくいため、耐久性が高い構成を実現している。
【0044】
ここで、図8に示すように、紫外線照射部30から、所望の照射範囲IAへと紫外線UVを照射する際、紫外線UVは、所望の照射範囲IAに対して直接的に照射される直接光UV1と、金属反射面である鏡面46aに反射してから、所望の照射範囲IAに対して間接的に照射される間接光UV2とが照射される。これにより、本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、所望の照射範囲IAに対して紫外線UVを収束させることで、紫外線照射部30の出力をほとんどロスさせることはなく効率の良い照射を行うことを実現している。
【0045】
放熱部材26は、円柱状に形成される。
放熱部材26の前側部50には、その外周面において第1の放熱部52が配置される。第1の放熱部52は、複数のフィン52aにより構成される。放熱部材26の前側部50の内部には、照射本体部24を収納するための照射本体収納部54が設けられる。換言すると、照射本体収納部54の外周面に第1の放熱部52が配置される。また、放熱部材26の前側部50の前端部分の外周面において、フード部材22と接続するための接続部56が設けられる。接続部56は、たとえば、雄ねじに加工されている。フード部材22の接続部22bが、放熱部材26の接続部56に対して緩衝部材28を介してねじ込まれて一体化される。そのとき、照射本体収納部54の内部に紫外線照射部30、反射体40の順に収納される。そして、緩衝部材28が反射体40の前端側を押圧されることで、照射本体収納部54の内部に照射本体部24が配置される。従って、照射本体部24から発熱された熱が、第1の放熱部52を介して効率よく放熱することができる。
【0046】
放熱部材26の後側部60には、その外周面において第2の放熱部62が配置される。第2の放熱部62は、複数のフィン62aにより構成される。第2の放熱部62は、後側部60の一方側において第1のフィン支持部64を有し他方側において第2のフィン支持部64を備える。そして、放熱部材26の中心部分の軸方向に円筒状の空洞部68が配置される。空洞部68は、その一方端が照射本体収納部54に接続され、他方端が放熱部材26の後側部60の後端面に接続される。従って、空洞部68は、放熱部材26の後側部60を貫通している。換言すると、照射本体収納部54に照射本体部24が収納されたとき、照射本体部24から発熱された熱が、放熱部材26の後方に向かって空洞部68を伝わり、さらに、第2の放熱部62を介して効率よく放熱することができる。
【0047】
土台70は、プレート72と、プレート72の一方面に配置される土台本体部74と、土台本体部74のプレート72が配置される側とは反対側に設けられ、板状の一対のアーム支持部76a,76bとを有する。プレート72は、床面または壁面、その他の設置面に載置される平板状に形成される。土台本体部74は、円柱状に形成されており、プレート42の一方面における略中央部分に設けられる。アーム支持部76は、土台本体部74のプレート72が配置される側とは反対側の面の略中央部分に設けられる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、土台70は、平板状に形成されたプレート72により床面または壁面、その他の設置面に設置される態様であるが、他には、たとえば、載置箇所の一部を挟み込むことができるような挟持手段を有するものであってもよいし、壁面に対して直接ねじ止めなどにより固定する固定手段を用いたものであったりしてもよい。
【0049】
アーム58は、図1に示すようにリンク部材84a,84bを回転可能に支持することにより、装置本体20を、所望の位置且つ所望の角度で支持するためのものである。具体的に説明すると、このアーム80は、上述したアーム支持部76a,76bに支持される第1ヒンジ82a,82bと、この第1ヒンジ82a,82bに基端を回転可能に支持された棒状をなす一対のリンク部材84a,84bと、この一対のリンク部材84a,84bの先端側に設けられた第2ヒンジ86a,86bと、この第2ヒンジ86a,86bに動作可能に支持されることによって装置本体20を所望の位置並びに角度で支持することができる板状の一対の装置本体支持部88a,88bと、を有している。
【0050】
配線90は、図3に示されるように、紫外線照射部30の基板部32から導出され、反射体40の中間部材47と放熱部材20の照射本体収納部54とによる空間を通って、放熱部材20の下側より外部へ導出される。そして、配線90は、アーム80の一対のリンク84a,84bの間を通って土台70の土台本体部74を介して導出される。
【0051】
以上のように、本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、紫外線UVを照射する紫外線照射部30と、照射された紫外線UVを適宜反射させる金属が露出した金属反射面たる鏡面46aを有し、照射された紫外線UVが所望の箇所に直接照射する直接光UV1及び金属反射面に反射して所望の箇所IAに間接的に紫外線UVを照射する間接光UV2を照射し得る反射体40とを具備していること、を特徴とする。
【0052】
このようなものとすることにより、所望の箇所IAにのみ、除菌、殺菌或いは滅菌を目的とした紫外線UVを有効に照射することができる。これにより、効率よく所要の箇所IAの除菌、殺菌或いは滅菌処理行うことが可能となる紫外線照射装置10を実現している。
【0053】
また本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、反射体40において紫外線UVを反射する箇所を、金属を露出させた金属反射面たる鏡面46aとすることにより、紫外線UVによる素材の経時的な劣化を有効に回避しつつ、継続した安定した使用を実現している。
【0054】
また、反射体40が効率よく紫外線UVを案内するための構成として本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、反射体40が、外形をなす本体である反射部本体42と、本体を貫通する導光部である紫外線案内部46と、この紫外線案内部46の表面を鏡面加工することにより設けられた反射面部である鏡面46aと、外部へ紫外線UVを案内する照射口48とを有するものとしている。
【0055】
より効率よく紫外線を案内するようにするために本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、紫外線案内部46の形状は、概略円錐形状としている。
【0056】
そして本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、紫外線案内部46の形状を概略円錐形状としたとき、対抗する円錐面がなす角度は、5°~25°に設定することが望ましく、さらに望ましくは、10°~20°とすることが好ましいものである。特に本実施の形態では、最も適した角度として15°とした態様を適用している。
【0057】
また本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、紫外線UVの出力を有効に担保し得るとともに、継続的な使用において性能を損なわない反射面部(金属反射面)たる鏡面46aの構成を実現するために、反射面部(金属反射面)たる鏡面46aを、反射体40を構成する金属材料を鏡面加工することにより設けた構成を適用している。
【0058】
具体的には、本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、上述した反射面部(金属反射面)たる鏡面46aの性能を損なわず、より耐久性を高めた構成とするために、反射体40を、たとえば、アルミニウムによる一体成形により構成している。
【0059】
そして、所望の出力の紫外線を好適に照射し得るために本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、紫外線照射部30と反射体40とを別体に構成し、用途や設置個所に応じて適宜紫外線照射部30を選択し得るようにしている。
【0060】
上述した紫外線照射部30の機能を有効に発揮し得る構成として本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、紫外線照射部30が、基板部32と、基板部32を保持するための基板保持板34とを含む。基板部32は、紫外線UVを発光し得るUV-LED36を含む。そして、基板部32は、UV-LED36を固定するための外形をなす筐体38aと、紫外線UVを反射体40へ向けて透過し得る透過板である透過ガラス38bと、この透過ガラス38bを筐体38aに保持するためのリブ状をなす保持リブとしての機能を有するガラス保持部38cを有するものを、適用している。
【0061】
また、紫外線UVを所望の位置に正確に照射するための構成として本実施の形態にかかる紫外線照射装置10は、装置本体20を支持するための土台70と、この土台70と装置本体20との間に設けられ、角度、位置を自在に調整可能に構成されたアーム80とを更に有するものとしている。
【0062】
さらに、紫外線照射装置10は、紫外線照射部30および反射体40を収納するため照射本体収納部54を備えた放熱部材26を有し、反射体収納部54の外周面には、第1の放熱部52が設けられる。
【0063】
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、上記した記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、紫外線案内部の形状が概略円錐形状としたものを開示しているが、もちろん、湾曲面を有するものではあったり、三角錐、四角錐など多角形状をなすものであったりしてもよい。すなわち、紫外線案内部の形状は、所望の照射範囲に好適に紫外線を照射することができる態様であることが好ましい。
【0064】
また、上述した本発明の実施の形態の装置本体20における紫外線照射部30には、基板部32として紫外線UVを発光しうるUV-LED36を含んでいるが、これに限るものではなく、照明用LEDを備えてもよい。すなわち、本発明にかかる装置本体20により照射される電磁波は、紫外線に限らず、可視光線等も含む。
【0065】
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
10 紫外線照射装置
20 装置本体
22 フード部材
22a 開口部
22b 接続部
22c フード側紫外線案内部
24 照射本体部
26 放熱部材
28 緩衝部材
30 紫外線照射部
32 基板部
34 基板保持板
36 UV-LED
38a 筐体
38b 透過ガラス
38c ガラス保持部
40 反射体
42 反射部本体
44 照射部当接部
45 入射口
46 紫外線案内部
46a 鏡面
47 中間部材
48 照射口
50 前側部
52 第1の放熱部
52a フィン
54 照射本体収納部54
56 接続部
60 後側部
62 第2の放熱部
62a フィン
64 第1のフィン支持部
66 第2のフィン支持部
68 空洞部
70 土台
72 プレート
74 土台本体部
76a,76b アーム支持部
80 アーム
82a,82b 第1ヒンジ
84a,84b リンク部材
86a,86b 第2ヒンジ
88a,88b 装置本体支持部
θ 相対角度
UV 紫外線
UV1 直接光
UV2 間接光
IA 照射範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9