(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163399
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20221019BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20221019BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H05K3/34 505A
H05K3/34 501Z
H05K3/34 503A
H05K3/34 501F
H05K3/00 N
H01L21/92 604Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068305
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(72)【発明者】
【氏名】戸川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 雅人
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA08
5E319AC02
5E319AC18
5E319BB04
5E319CC33
5E319CC46
5E319CD04
5E319CD21
5E319GG01
5E319GG05
5E319GG11
(57)【要約】
【課題】 実装不良が発生し難いプリント配線板の製造方法の提供
【解決手段】 プリント配線板の製造方法は、樹脂絶縁層30上に第1導体層38を形成することと、樹脂絶縁層30及び第1導体層38上にソルダーレジスト層50を形成することと、ソルダーレジスト層50に第1導体層38に至る開口51を形成することと、第1導体層38上に、ソルダーレジスト層50から突出する金属めっき層54から成る金属ポスト80を形成することと、金属ポスト80上に半田層82を形成することで半田層82付き金属ポスト80を形成することと、半田層82付き金属ポスト80の表面及び半田層82付き金属ポスト80の周囲の前記ソルダーレジスト層50上にフラックス86を塗布することと、フラックス86を介し、半田層82にレーザを照射し、半田バンプ84を形成すること、とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層上に導体層を形成することと、
前記樹脂絶縁層及び導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に前記導体層に至る開口を形成することと、
前記導体層上に、前記ソルダーレジスト層から突出する金属ポストをめっきで形成することと、
前記金属ポスト上に半田層を形成することで半田層付き金属ポストを形成することと、
前記半田層付き金属ポストの表面及び前記半田付き金属ポストの周囲の前記ソルダーレジスト層上にフラックスを塗布することと、
前記フラックスを介し前記半田層にレーザを照射することで、半田バンプを形成すること、とを有するプリント配線板の製造方法。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、
前記塗布することは、エリア毎に行われ、前記エリア内に、複数の半田層付き金属ポストが形成され、前記照射することは、前記エリア毎に照射することを含む。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のプリント配線板の製造方法であって、
前記半田層を形成することは、めっきで行うことを含む。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板の製造方法であって、
前記半田層を形成することは、前記金属ポスト上に金属膜を形成した後、めっきで行うことを含む。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1のプリント配線板の製造方法であって、
前記フラックスを塗布することと、前記レーザを照射することは、位置合わせに同一の位置決めマークを用いることを含む。
【請求項6】
請求項2のプリント配線板の製造方法であって、
前記照射は、塗布された前記エリアよりも僅かに小さい範囲で行われることを含む。
【請求項7】
請求項6のプリント配線板の製造方法であって、
前記照射は、塗布された1つの前記エリア全体を同時に行われることを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田バンプを有するプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ソルダーレジスト層から突出する金属ポスト上にリフローで半田バンプを形成するプリント配線板の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[特許文献1の課題]
特許文献1では、リフロー時の熱によって基板に反りが発生し易く、実装不良が発生することがあると考えられる。リフロー時の長時間の加熱により、金属ポスト付近に、半田バンプからのスズの垂れ下がりが出来やすく、ヒートサイクルにおいてスズの垂れ下がりが基板上に落下し、端子短絡の原因になることがあると考えられる。ソルダーレジスト層から露出する金属ポストが微小径の場合、リフロー時の側面から加わる熱で金属ポストの脆性が高まり、信頼性が低下することがあると予想される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線基板の製造方法は、樹脂絶縁層上に導体層を形成することと、前記樹脂絶縁層及び導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に前記導体層に至る開口を形成することと、前記導体層上に、前記ソルダーレジスト層から突出する金属ポストをめっきで形成することと、前記金属ポスト上に半田層を形成することで半田層付き金属ポストを形成することと、前記半田層付き金属ポストの表面及び前記半田付き金属ポストの周囲の前記ソルダーレジスト層上にフラックスを塗布することと、前記フラックスを介し前記半田層にレーザを照射することで、半田バンプを形成すること、とを有する。
【0006】
[実施形態の効果]
本発明の実施形態によれば、レーザで必要な箇所のみを加熱するため、基板全体への熱ストレスが少ない。基板に反りが生じ難い。レーザで短時間に加熱するため、短絡の原因となる半田バンプからのスズの垂れ下がりが生じ難い。フラックスを塗布することで、リフロー時に半田層の表面の酸化膜を除去できる。フラックスを塗布することで、レーザによってソルダーレジスト層の表面の変質を防ぐことができる。ソルダーレジスト層から露出する金属ポストに、レーザ照射時に側面から熱を加えないので、金属ポストの脆性が高まらず、信頼性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】
図4(A)は実施形態のフラックス塗布後のプリント配線板の平面図であり、
図4(B)はレーザ照射時のプリント配線板の平面図である。
【
図5】
図5(A)、
図5(C)は参考例のプリント配線板の半田バンプの顕微鏡写真のスケッチであり、
図5(B)、
図5(D)は実施形態のプリント配線板の半田バンプの顕微鏡写真のスケッチである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図3(C)は本発明の実施形態に係るプリント配線板10の断面図である。
プリント配線板10は、第1面Fと第1面Fの反対側の第2面Sとを有する樹脂絶縁層30と、樹脂絶縁層30の第1面F側に形成された第1導体層38と、樹脂絶縁層30の第2面S側に形成された第2導体層34と、樹脂絶縁層30を貫通し第1導体層38と第2導体層を接続するビア導体36と、樹脂絶縁層30及び第1導体層38上に形成されているソルダーレジスト層50と、ソルダーレジスト層50を貫通し第1導体層38に至る複数の金属ポスト80とを有する。ソルダーレジスト層50は第1導体層38に至る開口51を有する。金属ポスト80は開口51内に形成されている導体部(ビア導体部)60とソルダーレジスト層50の第1面Fから突出している導体部(突出部)90で形成されている。開口51とビア導体部60の形状は略切頭錐体である。突出部90の形状は略円柱である。ビア導体部60と突出部90は連続していて、両者は一体化されている。
【0009】
突出部90の上面90T上に金属膜78が形成されている。金属膜78の例は、スズ層やNi/Pd/Au層である。金属膜78上に半球状の半田バンプ84が形成されている。
【0010】
第1導体層38はソルダーレジスト層50の第1面F上に形成されているシード層56とシード層56上に形成されている第1電解めっき膜58で形成されている。金属ポスト80は第1電解めっき膜58上に直接形成されている。金属ポスト80はシード層52と、シード層52上に形成されている第2電解めっき膜54で形成されている。
【0011】
実施形態のプリント配線板10では、金属ポスト80がソルダーレジスト層50から突出するので、隣接する金属ポスト80間の距離を小さくすることができる。隣接する金属ポスト80間の距離が小さくても、隣接する金属ポスト80間で短絡が生じ難い。
【0012】
[製造方法]
図1、
図2、
図3に実施形態のプリント配線板10の製造方法が示される。
第2導体層34上に樹脂絶縁層30が形成される。樹脂絶縁層30は第1面Fと第1面Fとの反対面の第2面Sとを有する。樹脂絶縁層30上にシード層56と第1電解めっき膜58からなる第1導体層38が形成される。その時、樹脂絶縁層30を貫通し第2導体層34に至るビア導体36が形成される。樹脂絶縁層30と第1導体層38上にソルダーレジスト層50が形成される(
図1(A))。図示しないアライメントマークを用いて位置決めされ、ソルダーレジスト層50に、レーザで第1導体層38に至る開口(第1開口)51が形成される(
図1(B))。ソルダーレジスト層50の第1面Fと第1開口51内に無電解めっきによりシード層52が形成される(
図1(C))。
【0013】
ソルダーレジスト層50の第1面F上に第2開口71を有するめっきレジスト70が形成される(
図1(D))。第2開口71は第1開口51に繋がっている。第2開口71の径は第1開口51の径より大きい。第2開口71と第1開口51で導体用開口53が形成される。シード層52を用いて第2電解めっき膜54を形成することで、導体用開口53内に金属ポスト80が形成される(
図1(E))。金属ポスト80は、ソルダーレジスト層50内の導体部(ビア導体部)60とソルダーレジスト層50の第1面Fから突出している導体部(突出部)90で形成されている。
【0014】
めっきレジスト70から露出する突出部90の上面90T上にめっきで金属膜78が形成される(
図2(A))。金属膜78の例は、スズ層やNi/Pd/Au層である。めっきレジスト70から露出する金属膜78上に半田めっきで半田層82が形成される(
図2(B))。めっきレジストが除去され、金属ポスト80の突出部90が露出される(
図2(C))。金属ポスト80から露出するシード層52が除去される(
図2(D))。
【0015】
図3(A)は一つのエリアの説明である。複数の半田層82付き金属ポスト80の表面及び複数の半田層82付き金属ポスト80の周囲ソルダーレジスト層50上にフラックス86が塗布される(
図3(A))。
図4(A)は塗布されたフラックス86の平面図である。フラックスを塗布する際に用いられたアライメントマーク(図示しない)を用いて位置決めされ、複数の半田層82付き金属ポスト80の表面及びソルダーレジスト層50上のフラックス86に、フラックス86の塗布されている領域LE1にレーザが照射され、半田層から半田バンプ84が形成される(
図3(B))。
図4(B)はレーザが照射される領域LE2の平面図である。プリント配線板10上に
図3(A)と同様なエリアが複数存在する。塗布は、エリア毎に行われる。照射は、塗布されたエリア毎に行われる。さらに、照射は、塗布された1つのエリア全体を同時に行われる。なお、照射は、塗布されたエリアよりも僅かに小さい範囲で行われる。半田バンプ84が形成された後、フラックスが洗浄されプリント配線板10が完成する(
図3(C))。
【0016】
図5(A)、
図5(C)は参考例の製造方法のプリント配線板の半田バンプの顕微鏡写真のスケッチであり、
図5(C)は
図5(A)中の一部を拡大した顕微鏡写真のスケッチである。
参考例の製造方法では、リフローにより半田層を溶融し、半田バンプが形成された。リフローにより半田層を溶融した場合、加熱時間が長くなるため、
図5(C)中に楔状の線分Lで特定されるように半田バンプからのスズの垂れ下がりが生じ易い。
【0017】
図5(B)、
図5(D)は実施形態の製造方法のプリント配線板の半田バンプの顕微鏡写真のスケッチであり、
図5(D)は
図5(B)中の一部を拡大した顕微鏡写真のスケッチである。
実施形態の製造方法では、レーザにより半田層を溶融し、半田バンプが形成された。レーザにより半田層を溶融した場合、加熱時間が短くなるため、
図5(D)中で示されるように半田バンプからのスズの垂れ下がりが生じ難い。
【0018】
実施形態の製造方法では、レーザで必要な箇所のみを加熱するため、基板全体への熱ストレスが少ない。基板に反りが生じ難く、実装不良が発生し難い。レーザで短時間に加熱するため、短絡の原因となる半田バンプからのスズの垂れ下がりが生じ難い。フラックスを塗布することで、リフロー時に半田層の表面の酸化膜が除去でされる。即ち、RCOOHを含むフラックスで、半田層の表面のスズ酸化膜(SnO)を、Sn(RCOO)2と、H2Oとに変化させ、スズ酸化膜(SnO)が除去される。フラックスを塗布することで、レーザによってソルダーレジスト層の表面の変質を防ぐことができる。ソルダーレジスト層から露出する金属ポストに、レーザ照射時に側面から熱を加えないので、金属ポストの脆性が高まらず、微小径の金属ポストでも信頼性が低下することがない。
【符号の説明】
【0019】
10 プリント配線板
30 樹脂絶縁層
50 ソルダーレジスト層
80 金属ポスト
82 半田層
84 半田バンプ