(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163405
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A61B5/055 360
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068313
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 洋平
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 健大
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB44
4C096CA51
4C096CA52
4C096CB20
(57)【要約】
【課題】冷凍機周辺で発生した結露水が周辺機器に影響を与えることを防止すること。
【解決手段】 実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、静磁場を発生させる超電導磁石と、超電導磁石を冷却する冷凍機と、傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、傾斜磁場コイルを冷却する冷却水を循環させる冷却手段と、結露水供給部とを備える。結露水供給部は、冷凍機で発生する結露水を貯留し、貯留した結露水を冷却手段に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場を発生させる超電導磁石と、
前記超電導磁石を冷却する冷凍機と、
傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、
前記傾斜磁場コイルを冷却する冷却水を循環させる冷却手段と、
前記冷凍機で発生する結露水を貯留し、当該貯留した結露水を前記冷却手段に供給する結露水供給部と、
を備え、
前記結露水供給部は、前記貯留した結露水の量に基づいて、前記冷却手段への結露水の供給の有無を切り替える、
磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記結露水供給部は、前記貯留した結露水の量が所定の値より大きい場合に、前記冷却手段へ結露水を供給する、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記結露水供給部は、前記貯留した結露水の量を検出する貯水センサと、前記貯水センサの検出結果に基づいて前記冷却手段への結露水の供給状態を制御する制御部と、を備える、
請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記結露水供給部は、前記貯留した結露水の量と前記冷却水の循環の有無とに基づいて、前記冷却手段への結露水の供給の有無を切り替える、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記結露水供給部は、前記冷却水が循環していない場合に、前記冷却手段へ結露水を供給する、
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、前記冷却水の流量を検出する冷却水センサを備え、
前記結露水供給部は、前記冷却水センサの検出結果に基づいて前記冷却水の循環の有無を判定し、当該判定結果に基づいて前記冷却手段への結露水の供給状態を制御する制御部を備える、
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記傾斜磁場コイル内の被検体の有無を識別する識別手段をさらに備え、
前記制御部は、前記貯留した結露水の量と、前記冷却水の循環の有無と、前記被検体の有無とに基づいて、前記冷却手段への結露水の供給状態を制御する、
請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記冷却水が循環していない場合、又は、前記冷却水が循環していて、かつ、前記傾斜磁場コイル内に被検体が存在しない場合に、前記冷却手段へ結露水を供給する、
請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記結露水供給部は、前記貯留した結露水の量が所定の値より大きい場合に開放される第1の開閉弁を備え、
前記第1の開閉弁が開放している場合に、前記貯留した結露水が前記冷却手段へ供給される、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記結露水供給部は、冷却水が循環していない場合に開放される第2の開閉弁をさらに備え、
前記第1の開閉弁が開放し、かつ、前記第2の開閉弁が開放している場合に、前記貯留した結露水が前記冷却手段へ供給される、
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging)装置(以下、MRI装置と呼ぶ)は、磁気共鳴現象を利用して被検体内を撮像する装置である。係るMRI装置は、撮像領域に静磁場を発生させる静磁場磁石や、静磁場内に置かれた被検体に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイルや、被検体に高周波パルスを印加する高周波コイルなどの、被検体内を撮像するために必要な各種の機器を備える。これらの機器の中には、運転中に発熱するため冷却が必要なものがある。このため、冷却が必要な機器のそれぞれに冷却水などの冷媒を循環させることで、各冷却対象器を冷却している。
【0003】
冷却が必要な機器の中には、常時冷却が必要な機器と、MRI装置が稼動している間のみ冷却が必要な機器とがある。常時冷却が必要な機器とは、例えば、MRI装置が稼働していない間も運転を続ける機器である。常時冷却が必要な機器は、例えば、静磁場磁石として用いられる超電導磁石の冷媒を冷却するための冷凍機などである。MRI装置が稼働している間のみ冷却が必要な機器は、例えば、MRI装置が稼働していない間は運転が停止される機器である。MRI装置が稼働している間のみ冷却が必要な機器は、例えば、傾斜磁場コイルや傾斜磁場電源などである。
【0004】
常時冷却が必要な静磁場磁石は、一般的に、温度と湿度が適度に制御された撮影室内に設置される。例えば、MRI装置を設置する地域が高温多湿な気候の場合、撮影室内の湿度が制御の設定値よりも高くなってしまうことが往々にして生じる。その際、静磁場磁石を冷却する冷凍機周辺には結露が発生する。一旦発生した結露は取り除くことが困難である。このため、冷凍機周辺で発生した結露が、静磁場磁石の略円形の外周形状を伝って周辺機器に到達することで、周辺機器の故障を誘発する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、冷凍機周辺で発生した結露水が周辺機器に影響を与えることを防止することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、静磁場を発生させる超電導磁石と、超電導磁石を冷却する冷凍機と、傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイルと、傾斜磁場コイルを冷却する冷却水を循環させる冷却手段と、結露水供給部とを備える。結露水供給部は、冷凍機で発生する結露水を貯留し、貯留した結露水を冷却手段に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る再利用水供給部の制御部の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による再利用水供給処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による再利用水供給処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図6】
図6は、第3の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置による再利用水供給処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第4の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、磁気共鳴イメージング装置の実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複する説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置と呼ぶ)100を含む磁気共鳴イメージングシステム(以下、MRIシステムと呼ぶ)200の機能構成の一例を示すブロック図である。MRIシステム200は、MRI装置100と、冷却水供給装置101とを有する。MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、高周波コイル3、天板4、傾斜磁場電源5、送信部6、受信部7、シーケンス制御装置8、計算機システム9、圧縮機10、冷凍機11、冷却水分配部12、冷却水分岐部14、再利用水供給部15、及び冷却水供給装置101を有する。例えば、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、高周波コイル3、天板4、冷凍機11、冷却水分岐部14及び再利用水供給部15は、MRI撮影を行う撮影室の内部に設置される。また、例えば、傾斜磁場電源5、送信部6、受信部7、シーケンス制御装置8、計算機システム9、圧縮機10及び冷却水分配部12は、撮影室とは異なるコンピュータ室の内部に設置される。また、例えば、冷却水供給装置101は屋外に設置される。
【0011】
静磁場磁石1は、被検体Pが置かれる撮像領域に静磁場を発生させる超電導磁石である。例えば、静磁場磁石1は、真空容器1a、冷媒容器1b及び超電導コイル1cを有する。真空容器1aは、概略円筒形状に形成されている。真空容器1aの円筒壁内は、真空状態に保たれる。真空容器1aの内側に形成された空間が、被検体Pが置かれる撮像領域となる。冷媒容器1bは、概略円筒形状に形成されており、真空容器1aの円筒壁内に収納される。冷媒容器1bの円筒壁内には、容器内を十分に低温な状態に保つための冷媒が収容されている。冷媒としては、例えば、液体ヘリウムが用いられる。超電導コイル1cは、冷媒容器1bの円筒壁内に配置されている。超電導コイル1cは、液体ヘリウムなどの冷媒に浸漬されている。超電導コイル1cは、真空容器1aの内側にある撮像領域に静磁場を発生させる。
【0012】
静磁場磁石1の内側に配置される。傾斜磁場コイル2は、概略円筒形状に形成されている。傾斜磁場コイル2は、傾斜磁場電源5から供給される電流により、撮像領域に設定されたX軸,Y軸,Z軸の方向に傾斜磁場を発生させる。スキャンの実行中には、傾斜磁場コイル2にパルス電流が繰り返し供給されるため、傾斜磁場コイル2は発熱する。
【0013】
高周波コイル3は、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。高周波コイル3は、撮像領域に置かれた被検体Pに対して、送信部6から送信される高周波パルスを照射する。また、高周波コイル3は、高周波パルスによる水素原子核の励起によって被検体Pから放出される磁気共鳴信号を受信する。
【0014】
天板4は、傾斜磁場コイル2の内側に設置される。天板4は、図示していない寝台によって支持される。撮影時には、天板4上に被検体Pが載置される。天板4は被検体Pとともに撮像領域内へ移動される。天板4は、被検体Pを載置した上で、撮影領域内外を移動することができる。
【0015】
傾斜磁場電源5は、シーケンス制御装置8からの指示に基づいて、傾斜磁場コイル2に電流を供給する。傾斜磁場電源5は、スキャンの実行中に発熱する。
【0016】
送信部6は、シーケンス制御装置8からの指示に基づいて、高周波コイル3に高周波パルスを送信する。送信部6は、高周波コイル3に送信する高周波パルスを発生させるための高周波電源を有する。高周波電源は、スキャンの実行中に発熱する。
【0017】
受信部7は、高周波コイル3によって受信された磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号をデジタル化することで生データを生成する。そして、受信部7は、生成した生データをシーケンス制御装置8に送信する。
【0018】
シーケンス制御装置8は、計算機システム9による制御のもと、傾斜磁場電源5、送信部6及び受信部7をそれぞれ駆動することにより被検体Pのスキャンを行う。そして、シーケンス制御装置8は、スキャンを行った結果として受信部7から送信された生データを受信し、生データを計算機システム9に送信する。
【0019】
計算機システム9は、操作者によって行われる操作に基づいてMRI装置100全体を制御する。例えば、計算機システム9は、処理回路、記憶部、入力部、表示部、通信部などを有する。
【0020】
処理回路は、ハードウェア資源としてCPU等のプロセッサを有する。処理回路は、MRI装置100の中枢として機能する。例えば、処理回路は、各種プログラムを実行することにより、シーケンス制御機能、画像再構成機能及び表示制御機能を有する。シーケンス制御機能において処理回路は、操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス制御装置8にスキャンを実行させる。画像再構成機能において処理回路は、シーケンス制御装置8から送信された生データに基づいて被検体Pの画像を再構成する。表示制御機能において処理回路は、種々の情報を表示部に表示させる。
【0021】
なお、単一の処理回路にてシーケンス制御機能、画像再構成機能及び表示制御機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、制御機能、画像再構成機能及び表示制御機能は、それぞれ個別のハードウェア回路として実装してもよい。処理回路が実行する各機能についての上記説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0022】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、ASIC、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサはメモリ152に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ152にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記「プロセッサ」の説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0023】
記憶部は、再構成された画像などを記憶するメモリである。記憶部は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶部は、CD-ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、記憶部は、k空間データ、MR画像データ、制御プログラム等を記憶する。
【0024】
表示部は、被検体の画像を含む各種情報を表示する。例えば、表示部は、生成されたMR画像、撮像プロトコルの設定画面等を表示する。表示部としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0025】
入力部は、操作者から各種入力を受け付けるインタフェースである。入力部は、ユーザからの各種指令を受け付ける入力機器を含む。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ、タッチスクリーン、タッチパッド等が利用可能である。なお、入力機器は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、MRI装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力部の例に含まれる。
【0026】
通信部は、LAN(Local Area Network)等を介してMRI装置100と、ワークステーションやPACS(Picture Archiving and Communication System)、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)等とを接続するインタフェースである。通信部は、各種情報を接続先のワークステーション、PACS、HIS及びRISとの間で送受信する。
【0027】
圧縮機10は、冷凍機11へ高圧ガスを供給する。この際、高圧ガスは、冷凍機11と接続された冷却管を経由して冷凍機11へ供給される。冷却管は、例えば、ホースである。この冷却管は、ガスホースと呼ばれてもよい。高圧ガスは、例えば、高圧の冷媒ガスである。冷媒ガスとしては、好適には、ヘリウムガスが用いられる。
【0028】
冷凍機11は、静磁場磁石1を冷却する。冷凍機11は、静磁場磁石1に結合した状態で設置される。冷凍機11は、圧縮機10から供給された高圧ガスを断熱膨張させることにより寒冷を発生させ、静磁場磁石1内の超電導コイル1cを冷却する。冷凍機11は、静磁場磁石1を常に超電導の状態に保つため、MRI装置100が稼働していない間も常時運転を続ける。冷凍機11としては、ギフォード・マクマホン冷凍機を好適に用いることができる。
【0029】
冷却水供給装置101は、冷却が必要な機器(以下、冷却対象器と呼ぶ)を冷却するために所定の温度に調整された水(以下、冷却水と呼ぶ)を冷却水分配部12に供給する。また、冷却水供給装置101は、機器の冷却に利用された後に戻された冷却水を所定の温度になるまで再度冷却し、所定の温度に調整された冷却水を冷却水分配部12に再び供給する。
【0030】
冷却水分配部12には、冷却対象器のそれぞれに冷却水を供給するための冷却管21が接続されている。冷却水分配部12は、冷却水供給装置101から供給される冷却水を、冷却管21を介して冷却が必要な各機器に分配する流路である。冷却対象器は、例えば、傾斜磁場コイル2、送信部6、圧縮機10などである。冷却水供給装置101から配給された冷却水は、各機器を循環した後、冷却水分配部12に戻される。冷却水分配部12は、各機器を循環した冷却水を冷却水供給装置101に送る。
【0031】
冷却水分配部12には、冷却水センサ13が取り付けられている。冷却水センサ13は、冷却水分配部12の内部を流れる冷却水の流量に関する情報(以下、流量情報と呼ぶ)を検出し、検出した流量情報を計算機システム9へ送信する。流量情報は、例えば、冷却水分配部12の内部を流れる冷却水の流速[l/min]である。この場合、冷却水センサ13として、冷却水の流速を計測する流速計(フローセンサ)が用いられる。流量情報は、冷却水分配部12の内部を流れる冷却水の温度や、冷却水分配部12の内部を流れる冷却水の圧力であってもよい。この場合、冷却水センサ13として、冷却水の温度を計測する温度計や、冷却水の圧力を計測する圧力計が用いられる。冷却水センサ13は、冷却水分配部12に取り付けられてもよく、冷却水分配部12以外の構成物に設置されてもよい。また、冷却水センサ13は、冷却水分配部12から独立して設置されてもよい。
【0032】
冷却水分岐部14には、傾斜磁場コイル2の内部を循環する複数の冷却管22が接続されている。冷却水分岐部14は、冷却水分配部12から供給された冷却水を、傾斜磁場コイル2に向かう複数の冷却管22に分岐させる。冷却管22は、例えば、ホースである。冷却管22は、水ホースと呼ばれてもよい。また、冷却水分岐部14は、傾斜磁場コイル2の内部を還流した冷却水を冷却水分配部12に戻す。
【0033】
このように、冷却水供給装置101、冷却水分配部12、冷却管21、冷却水分岐部14及び冷却管22により、傾斜磁場コイル2を冷却する冷却水を循環させる冷却手段が形成される。
【0034】
再利用水供給部15は、冷凍機11で結露により発生した水(以下、結露水と呼ぶ)を貯留し、貯留した結露水を冷却手段に供給する。具体的には、再利用水供給部15は、静磁場磁石1に結合して設置された冷凍機11の周辺で結露により発生した結露水を、冷却水分岐部14へ供給する。冷却水分岐部14に供給された結露水は、冷却水分配部12を介して冷却水供給装置101に送られる。結露水は、冷却水供給装置101において所定の温度になるまで冷却された後、冷却水分配部12を介して冷却が必要な各機器に供給され、冷却水として再利用される。再利用水供給部15は、結露水供給部に相当する。
【0035】
図2は、MRI装置100の構成物のうち、撮影室内に設置される構成物を示した模式図である。
【0036】
冷却管21は、往路管21aと、復路管21bとを備える。往路管21aの一端は冷却水分配部12に接続され、往路管21aの他端は冷却水分岐部14に接続されている。往路管21aは、冷却水分配部12から冷却水分岐部14へ供給される冷却水が流れる流路である。また、復路管21bの一端は冷却水分配部12に接続され、復路管21bの他端は冷却水分岐部14に接続されている。復路管21bは、冷却水分岐部14から冷却水分配部12へ戻る冷却水が流れる流路である。往路管21a及び復路管21bは、例えば、ホースである。往路管21a及び復路管21bは、水ホースと呼ばれてもよい。
【0037】
冷却管22は、往路管22aと、復路管22bとを備える。往路管22aの一端は往路分岐部14aに接続されている。往路管22aは、往路分岐部14aから傾斜磁場コイル2へ向かう冷却水が流れる流路である。復路管22bの一端は、復路分岐部14bに接続されている。復路分岐部14bは、傾斜磁場コイル2内を循環した冷却水が復路分岐部14bに戻る際に流れる流路である。往路管22a及び復路管22bは、例えば、ホースである。往路管22a及び復路管22bは、水ホースと呼ばれてもよい。
図2では、冷却水分岐部14から各冷却対象器へ向かう複数の往路管22aのうち一つのみを図示し、他の往路管22aは省略している。また、各冷却対象器から冷却水分岐部14へ戻る複数の復路管22bのうち一つのみを図示し、他の復路管22bは省略している。
【0038】
冷却水分岐部14は、往路分岐部14aと、復路分岐部14bとを備える。往路分岐部14aには、往路管21aと複数の往路管22aが接続されている。往路分岐部14aは、往路管21aを介して冷却水分配部12から供給された冷却水を、各冷却対象器に向かう複数の往路管22aに分岐させる。復路分岐部14bには、復路管21bと複数の復路管21bが接続されている。復路分岐部14bでは、各冷却対象器を循環した冷却水が合流する。復路分岐部14bにおいて合流した冷却水は、復路管21bを介して、冷却水分配部12に戻される。
【0039】
冷凍機11は、静磁場磁石1の上部に取り付けられている。また、冷凍機11は、保護ケースにより覆われた状態で静磁場磁石1の上部に設置される。また、冷凍機11は、冷却水分岐部14よりも上側に取り付けられている。より詳細には、冷却水分岐部14よりも上側であって、静磁場磁石1の筐体の一部に冷凍機11及び当該冷凍機11を覆う保護ケースが設置される。保護ケースは、撮影室内の空気に曝されている。冷凍機11の周囲では、保護ケースの外表面に結露水が発生する可能性がある。
【0040】
静磁場磁石1の外壁には、水受け部23が取り付けられている。水受け部23は、冷凍機11の下側に設けられている。水受け部23では、冷凍機11を覆う保護ケースの外表面に発生した結露水が一時的に滞留する。水受け部23は例えば、トレイ形状に形成される。水受け部23の形状は、トレイ形状に限るものではなく、冷凍機11の近傍で発生した結露水の周辺への流出を防ぐ形状に形成されていればよい。
【0041】
再利用水供給部15は、ドレイン24を介して、水受け部23と接続されている。ドレイン24は、例えば、チューブや水ホースである。水受け部23の底面には、ドレイン24と接続するための孔が設けられる。水受け部23は、再利用水供給部15よりも高い位置に設けられている。このため、水受け部23に滞留した結露水は、自重によりドレイン24の内部に進入し、ドレイン24の内部を通って再利用水供給部15の内部へ自動的に流入する。
【0042】
また、再利用水供給部15は、冷却水分岐部14に接続されている。再利用水供給部15は、冷凍機11を覆う保護ケースの外表面に発生した結露水を、再利用水として冷却水分岐部14に供給する。以下、ドレイン24を介して再利用水供給部15に流入した結露水を再利用水と呼ぶ。
【0043】
復路分岐部14bの内部を流れる冷却水の圧力が往路分岐部14aの内部を流れる冷却水の圧力より低くなる。このため、再利用水供給部15は、復路分岐部14bの上側に取り付けられることが好ましい。この場合、再利用水供給部15を往路分岐部14aに取り付ける場合に比べて、再利用水を冷却水分岐部14の内部へ流入させやすくなる。本実施形態では、再利用水供給部15が復路分岐部14bに取り付けられる場合を例に説明する。なお、再利用水供給部15は、往路分岐部14aに取り付けられてもよい。
【0044】
再利用水供給部15は、貯水部15aと、結合部15bと、制御部15cとを備える。
【0045】
貯水部15aでは、ドレイン24を介して水受け部23から流入した再利用水が貯められる。貯水部15aは、例えば、上部が開口した有底の略円筒形状に形成される。貯水部15aは、例えば、プラスチック容器を利用して形成される。貯水部15aは、再利用水の水位や量を外部から視認しやすくするために、透明の材料で形成されることが好ましい。また、貯水部15aには、再利用水中の不純物を取り除くフィルタが設けられることが好ましい。
【0046】
貯水部15aは、貯水センサを備える。貯水センサは、貯水部15aに貯留した再利用水の量に関する情報(以下、貯水情報と呼ぶ)を検出するセンサである。貯水情報は、例えば、再利用水の水位[cm]である。この場合、貯水センサとして、貯水部15aに貯められた再利用水の水位を検出する水位センサが用いられる。あるいは、貯水情報として、再利用水の重量が用いられてもよい。この場合、貯水センサとして、貯水部15aに貯められた再利用水の重量を検出する重量センサが用いられる。
【0047】
結合部15bは、貯水部15aと復路分岐部14bとの間を接続している。結合部15bは、貯水部15aの底部に設けられ、復路分岐部14bに上側から取り付けられている。結合部15bは、開閉弁を備える。開閉弁には、公知の非磁性の電磁弁などを好適に用いることができる。開閉弁が閉じた状態では、貯水部15aに貯められた再利用水は復路分岐部14bに流入しない。一方、開閉弁が開いた状態では、貯水部15aに貯められた再利用水が復路分岐部14bに流入する。開閉弁は、復路分岐部14bから貯水部15aへの冷却水の流入を防止する逆止弁であることが好ましい。また、開閉弁は、二重構造の開閉弁であってもよい。
【0048】
制御部15cは、例えば、IC(Integrated Circuit)チップである。制御部15cは、例えば、貯水部15aの外壁に取り付けられる。制御部15cは、計算機システム9、貯水センサ、冷却水センサ13、及び開閉弁のそれぞれと電気的に接続される。制御部15cと各機器の接続方法は、有線接続であってもよく、無線接続でもよい。
【0049】
制御部15cは、貯水部15aに貯留した結露水の量に基づいて、冷却手段への結露水の供給の有無を切り替える。具体的には、制御部15cは、計算機システム9からの入力信号と貯水センサの検出結果に基づいて、冷却手段への再利用水の供給状態を制御する。例えば、制御部15cは、貯水部15aに貯留した再利用水の量が所定の値より大きい場合に、冷却手段へ再利用水を供給する。また、制御部15cは、貯留した結露水の量と、冷却水の循環の有無とに基づいて、冷却手段への結露水の供給の有無を切り替える。具体的には、制御部15cは、計算機システム9からの入力信号、貯水センサの検出結果、及び、冷却水センサ13の検出結果に基づいて、冷却手段への再利用水の供給状態を制御する。例えば、制御部15cは、冷却水が循環していない場合に、冷却手段へ再利用水を供給する。
【0050】
また、MRI装置100は、コンピュータ室に配置される計算機システム9とMRI装置100が備える各機器との無線通信を中継する中継基板25を備える。制御部15cと計算機システム9とを無線接続する場合、制御部15cと中継基板25とを有線接続することが好ましい。この場合、新たに接続ケーブル等を設けることなく、中継基板25を介して制御部15cと計算機システム9を無線接続することができる。
【0051】
図3は、制御部15cの構成の一例を示す図である。
図3に示すように、制御部15cは、処理回路151、メモリ152、及び通信インタフェース153を有する。
【0052】
処理回路151は、ハードウェア資源としてCPU等のプロセッサを有する。処理回路151は、貯水部15aの貯水センサから貯水情報を取得する。また、処理回路151は、冷却水分配部12の冷却水センサ13から流量情報を取得する。処理回路151は、取得した貯水情報及び流量情報に基づいて、貯水部15aに貯められた結露水を再利用水として冷却水の流路に供給するか否かを判定し、判定結果に基づいて開閉弁の開閉状態を制御する。
【0053】
メモリ152は、種々の情報を記憶する記憶装置である。例えば、メモリ152は、開閉弁の制御プログラム等を記憶する。
【0054】
通信インタフェース153は、制御部15cと計算機システム9、貯水センサ、冷却水センサ13、電磁弁等とを接続するインタフェースである。通信インタフェース153は、各種情報を接続先の機器との間で送受信する。
【0055】
次に、MRI装置100により実行される再利用水供給処理の動作について説明する。再利用水供給処理とは、冷凍機11の周囲に発生した結露水を冷却水の循環機構に再利用水として供給する処理である。
図4は、再利用水供給処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4では、一例として、MRIシステム200の立ち上げ時に再利用水供給処理を実行する場合を例に説明する。なお、MRIシステム200の立ち上げ時以外に再利用水供給処理を実行する場合については、後述の他の実施形態において説明する。また、
図4では、一例として、貯水情報として再利用水の水位が用いられ、流量情報として冷却水の流量が用いられる場合を例に説明する。なお、以下で説明する各処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0056】
(再利用水供給処理)
(ステップS101)
技師等の操作者により計算機システム9のシステム起動ボタンが押下されると、MRIシステム200のシステム電源がONになり、MRIシステム200が起動する。計算機システム9の処理回路は、MRIシステム200全体の制御を開始する。
【0057】
(ステップS102)
計算機システム9の処理回路は、再利用水供給部15への通電を開始する。これにより、貯水部15aの水位センサ、結合部15bの電磁弁、制御部15cが動作を開始する。
【0058】
(ステップS103)
制御部15cの処理回路151は、貯水情報として、貯水部15aに貯められた再利用水の水位を水位センサから継続的に取得する。制御部15cは、取得した水位が、第1閾値より大きいか否かを判定する。第1閾値は、あらかじめ設定されている。第1閾値は、例えば、水位の上限値である。第1閾値は、例えば、貯水部15a全体の高さ(深さ)の4/5の値に設定される。水位が第1閾値より大きい場合(ステップS103-Yes)、制御部15cは、再利用水が貯水部15aに多く貯水されていると判断する。この場合、処理はステップS104へ進む。一方、水位が第1閾値以下である場合(ステップS103-No)、制御部15cは、貯水部15aに貯水されている再利用水が少ないと判断する。この場合、処理はステップS109へ進む。
【0059】
(ステップS104)
水位が第1閾値より大きい場合(ステップS103-Yes)、制御部15cの処理回路151は、計算機システム9を介して、冷却水センサ13から冷却水分配部12の内部を流れる冷却水の流速を取得する。制御部15cは、取得した冷却水の流速に基づいて、冷却水分配部12の内部において冷却水が流れているか否かを判定する。すなわち、制御部15cは、冷却水分配部12の内部における冷却水の流速に基づいて、冷却水の流量の有無を判定する。冷却水の流速が0である場合(ステップS104-No)、制御部15cは、冷却水の流量が無いと判定し、その時点においてMRIシステム200が撮影状態でないと判断する。この場合、処理はステップS105へ進む。一方、冷却水の流速が0より大きい場合(ステップS104-Yes)、制御部15cは、冷却水の流量があると判定し、MRIシステム200が撮影状態であると判断する。この場合、処理はステップS109へ進む。
【0060】
(ステップS105)
冷却水の流量が無い場合(ステップS104-No)、制御部15cの処理回路151は、結合部15bの電磁弁を開放する。
【0061】
(ステップS106)
冷却水分配部12の内部において冷却水の流量が0である場合、復路分岐部14bの内部においても冷却水の流量は0となる。このため、貯水部15aに貯められた再利用水は、解放された電磁弁を通って復路分岐部14bの内部へ流入する。なお、再利用水が復路分岐部14bの内部へ流入しにくい場合には、公知の非磁性のアクチュエータが貯水部15aに設けられてもよい。この場合、電磁弁の開放と同期してアクチュエータが駆動されることにより、再利用水を貯水部15aから復路分岐部14bへ確実に流入させることができる。
【0062】
(ステップS107)
貯水部15aに貯められた再利用水が復路分岐部14bの内部へ流入すると、貯水部15aに貯められた再利用水の水位が徐々に低下する。制御部15cの処理回路151は、水位センサから取得した水位が、第2閾値より小さいか否かを判定する。第2閾値は、あらかじめ設定されている。第2閾値は、第1閾値以下の値である。第2閾値は、例えば、水位の下限値である。第2閾値は、例えば、貯水部15a全体の高さ(深さ)の1/5の値に設定される。水位が第2閾値より小さい場合(ステップS107-Yes)、制御部15cは、再利用水が貯水部15aから復路分岐部14bへ十分に流入したと判断する。この場合、処理はステップS108へ進む。一方、水位が第2閾値以上である場合(ステップS107-No)、制御部15cは、貯水部15aに貯水されている再利用水が多いと判断し、水位が第2閾値より小さくなるまで、ステップS107の処理を例えば数秒毎に繰り返す。
【0063】
(ステップS108)
水位が第2閾値より小さい場合(ステップS107-Yes)、制御部15cの処理回路151は、結合部15bの電磁弁を閉鎖する。その後、制御部15cは、電磁弁を閉鎖したことを示す信号を計算機システム9へ送信する。
【0064】
(ステップS109)
電磁弁を閉鎖したことを示す信号を制御部15cから受信すると、計算機システム9の処理回路は、再利用水供給部15への通電を終了し、再利用水供給処理を終了する。
【0065】
このように、MRIシステム200の立ち上げ時に貯められた結露水を回収することにより、MRIシステム200の撮影時において、冷凍機11の周囲に発生した結露水が周囲の機器に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0066】
なお、上述の再利用水供給処理は、MRIシステム200を起動した後、冷却水の循環を開始する前に実行されることが好ましい。例えば、再利用水供給処理を行うための遅延時間が設定されることが好ましい。この場合、計算機システム9は、MRIシステム200が起動されると、冷却水の循環を開始する前に再利用水供給処理を行うための遅延時間を設定する。遅延時間は、例えば、30秒や1分に設定される。制御部15cは、遅延時間の間に、再利用水供給処理を完了させる。再利用水供給処理の終了時に、再利用水供給部15への通電が終了することにより、再利用水供給処理の後に撮影が行われる際において、電磁弁等が通電することに起因するMRI装置100の磁場への影響を抑えることができる。
【0067】
以下、本実施形態に係るMRI装置100の効果について説明する。
【0068】
冷凍機11の周辺に発生した結露水を回収する方法として、例えば、冷凍機を囲むように水回収機構を設置し、水回収機構から供給された結露水を一時的に貯める水回収容器をMRI装置のカバー内に設置する方法が考えられる。しかし、このような方法では、水回収容器に貯められた結露水を定期的に排水する必要がある。さらに、結露水が入った水回収容器を人の手により運搬する必要があるため、水回収容器を運搬する際に水がこぼれて周辺機器にかかってしまうリスクがある。また、伝導冷却方式などの冷却能力が高い冷凍機11を用いた場合、冷凍機11の周辺で発生する結露水の量が多くなる。この場合、結露水を回収する水回収容器を大きくする必要があるが、MRI装置のカバー内に水回収容器を収納できなくなる可能性がある。
【0069】
本実施形態に係るMRI装置100は、静磁場を発生させる静磁場磁石1と、静磁場磁石1を冷却する冷凍機11と、傾斜磁場を発生させる傾斜磁場コイル2と、傾斜磁場コイル2を冷却する冷却水を循環させる冷却手段と、再利用水供給部15と、を備える。再利用水供給部15は、冷凍機11で発生する結露水を貯留し、貯留した結露水を冷却手段に供給することができる。また、再利用水供給部15は、貯留した結露水の量に基づいて、冷却手段への結露水の供給の有無を切り替えることができる。
【0070】
上記構成により、本実施形態に係るMRI装置100によれば、冷凍機11周辺での結露により発生した結露水を冷却手段に供給することにより、結露水を排水することなく冷却水として再利用することができる。また、人の手を介さずに結露水を自動的に回収できるため、結露水が貯められた容器を運搬することによるリスクを避けることができる。また、貯められた結露水は冷却手段へ順次供給されるため、再利用水供給部15の貯水部15aを小さく形成することができる。
【0071】
また、再利用水供給部15は、冷凍機11で発生する結露水を貯留する貯水部15aを備え、貯水部15aに貯留した結露水の量が第1閾値より大きい場合に、冷却手段へ結露水を供給することができる。
【0072】
また、再利用水供給部15は、貯留した結露水の水位、体積または重量を検出する貯水センサを備え、貯水センサの検出結果に基づいて、貯水部15aに貯留した結露水の量を取得する。
【0073】
上記構成により、本実施形態に係るMRI装置100によれば、一定の量の結露水が貯まる度に、貯まった結露水を冷却手段に供給することができる。これにより、貯まった結露水を効率的に冷却手段に供給することができる。また、再利用水供給部15の貯水部15aに結露水が貯まりすぎることを防止することができる。
【0074】
撮影時には、傾斜磁場コイル2を冷却するため、傾斜磁場コイル2の内部を冷却水が循環する。このため、例えば、撮影時に貯水部15aに貯留した結露水を冷却水分岐部14へ供給すると、冷却水分岐部14の内部を流れる冷却水の圧力により、冷却水分岐部14の内部へ結露水が流入しにくい。また、撮影時に電磁弁の開閉動作を行うと、MRI装置100の磁場への影響を与える可能性がある。
【0075】
本実施形態では、再利用水供給部15は、貯留した結露水の量と冷却水の循環の有無とに基づいて、冷却手段への結露水の供給の有無を切り替えることができる。具体的には、再利用水供給部15は、貯水部15aに貯留した結露水の量が第1閾値より大きく、かつ、冷却水が循環していない場合に、冷却手段へ結露水を供給することができる。
【0076】
また、再利用水供給部15は、冷却水の流量を検出する冷却水センサ13と、制御部15cとを備える。制御部15cは、冷却水センサ13の検出結果に基づいて、冷却水の循環の有無を判定し、当該判定結果に基づいて冷却手段への結露水の供給状態を制御することができる。
【0077】
上記構成により、本実施形態に係るMRI装置100によれば、冷却水分岐部14の内部を流れる冷却水の有無を検出し、冷却水が循環していない場合にのみ冷却手段へ結露水を供給することにより、撮影時に電磁弁の開閉動作が行われることが防止することができる。また、冷却水が循環していない場合にのみ冷却手段へ結露水を供給することにより、冷却水の流れにより結露水を流入させにくい状態で結露水を流入させることを防止することができ、効率的に結露水を再利用水として回収することができる。
【0078】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。本実施形態に係るMRI装置100は、カメラから取得した画像に基づいて傾斜磁場コイル2内の患者の有無を判断し、患者の有無の判断結果に基づいて、MRIシステム200が撮影状態であるか否かを判定する。
【0079】
本実施形態では、MRI装置100は、図示しない患者カメラを備える。患者カメラは、例えば、撮影対象を撮影することにより画像を生成する一般的なカメラである。患者カメラは、傾斜磁場コイル2内に配置された天板4の状態を撮影可能な位置に設けられる。
【0080】
計算機システム9は、患者カメラで撮影された画像(以下、カメラ画像と呼ぶ)を取得し、カメラ画像に対して画像処理および判定処理を行うことにより、カメラ画像から患者を抽出する。そして、計算機システム9は、患者の抽出結果に基づいて、傾斜磁場コイル2内の患者の有無を判定する。
【0081】
患者カメラ及び計算機システム9は、傾斜磁場コイル2内の被検体の有無を識別する識別手段の一例である。
【0082】
制御部15cは、傾斜磁場コイル2内の患者の有無に関する情報を、計算機システム9から取得する。そして、制御部15cは、取得した貯水情報、流量情報、及び患者の有無に関する情報に基づいて、結合部15bの開閉弁の開閉状態を制御することにより、冷却手段への結露水の供給状態を制御する。具体的には、制御部15cは、流量情報と患者の有無に関する情報に基づいて、冷却水が循環していない場合、又は、冷却水が循環していて、かつ、傾斜磁場コイル2内に被検体が存在しない場合に、MRIシステム200が撮影状態でないと判断し、貯水部15aに貯められた結露水を、再利用水として冷却手段に供給する。
【0083】
(再利用水供給処理)
次に、本実施形態のMRI装置100により実行される再利用水供給処理の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る再利用水供給処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下で説明する各処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
図5では、一例として、MRIシステム200の立ち上げ時に再利用水供給処理を実行する場合を例に説明する。また、
図5では、一例として、貯水情報として再利用水の水位が用いられ、流量情報として冷却水の流量が用いられる場合を例に説明する。
【0084】
ステップS201-S203、S205、S207-S210の処理は、それぞれ
図4のステップS101-S103、S105-S109の処理と同様のため、説明を省略する。
【0085】
(ステップS204)
制御部15cは、第1の実施形態と同様に、冷却水分配部12の内部における冷却水の流速に基づいて、冷却水の流量の有無を判定する。そして、冷却水の流速が0である場合(ステップS204-No)、制御部15cは、冷却水の流量が無いと判定し、その時点においてMRIシステム200が撮影状態でないと判断する。この場合、処理はステップS205へ進む。一方、冷却水の流速が0より大きい場合(ステップS204-Yes)、制御部15cは、冷却水の流量があると判定する。この場合、処理はステップS206へ進む。
【0086】
(ステップS206)
ステップS204の処理において、冷却水の流量がある場合(ステップS204-Yes)、制御部15cの処理回路151は、計算機システム9から患者の有無に関する情報を取得する。そして、制御部15cは、患者の有無に関する情報に基づいて、傾斜磁場コイル2内に患者が存在するか否かを判定する。傾斜磁場コイル2内に患者が存在しない場合、(ステップS206-No)、処理はステップS205へ進み、結合部15bの電磁弁が開放される。一方、傾斜磁場コイル2内に患者が存在する場合、(ステップS206-Yes)、制御部15cは、MRIシステム200が撮影状態であると判断する。この場合、処理はステップS210へ進み、再利用水供給部15への通電が終了する。
【0087】
以下、本実施形態に係るMRI装置100の効果について説明する。本実施形態に係るMRI装置100は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0088】
第1の実施形態では、傾斜磁場コイル2の内部を冷却水が循環している場合に、撮影が行われていると判断した。ただし、傾斜磁場コイル2の内部を冷却水が循環している場合であっても、撮影が実際に行われていないことがある。
【0089】
本実施形態に係るMRI装置100は、傾斜磁場コイル2内の被検体の有無を識別する識別手段をさらに備える。再利用水供給部15の制御部15cは、貯留した結露水の量と被検体の有無に基づいて、冷却手段への結露水の供給状態を制御することができる。具体的には、再利用水供給部15の制御部15cは、冷却水が循環している場合であっても、傾斜磁場コイル2内に被検体が存在しない場合には、冷却手段へ結露水を供給することができる。
【0090】
上記構成により、本実施形態に係るMRI装置100によれば、患者カメラから取得した画像から得られた患者の有無に関する情報を用いることにより、傾斜磁場コイル2の内部を冷却水が循環している場合であっても、実際に撮影が行われていない場合には、結露水を冷却手段へ供給することができる。これにより、撮影時に電磁弁の開閉動作が行われることを防止し、かつ、貯水部15aに貯留した結露水を冷却水として効率的に再利用することができる。
【0091】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。本実施形態に係るMRI装置100では、再利用水供給部15の制御部15cは、MRIシステム200の立ち下げ時に、貯留した結露水を再利用水として冷却水の流路に供給する。
【0092】
(再利用水供給処理)
次に、本実施形態のMRI装置100により実行される再利用水供給処理の動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る再利用水供給処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下で説明する各処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
図6では、一例として、貯水情報として再利用水の水位が用いられ、流量情報として冷却水の流量が用いられる場合を例に説明する。また、本実施形態では、再利用水供給処理は、MRIシステム200の立ち下げ時に実行される。
【0093】
ステップS303-S309の処理は、それぞれ
図4のステップS103-S109の処理と同様のため、説明を省略する。
【0094】
(ステップS301)
技師等の操作者により計算機システム9に設けられた押下済みのシステム起動ボタンが再度押下されると、計算機システム9の処理回路は、MRIシステム200のシステム電源をOFFにする立ち下げ動作を開始する。
【0095】
(ステップS302)
立ち下げ動作が開始すると、計算機システム9の処理回路は、再利用水供給部15への通電を開始する。これにより、貯水部15aの水位センサ、結合部15bの電磁弁、制御部15cが動作を開始する。
【0096】
(ステップS303-S309)
再利用水供給部15への通電が開示されると、再利用水供給部15の制御部15cは、第1の実施形態と同様に、水位センサから取得した再利用水の水位と、冷却水センサ13から取得した冷却水の流速に基づいて、貯水部15aに貯留した再利用水を復路分岐部14bの内部へ流入させる。そして、電磁弁を閉鎖したことを示す信号を制御部15cから受信すると、計算機システム9の処理回路は、再利用水供給部15への通電を終了し、再利用水供給処理を終了する。
【0097】
なお、上述の再利用水供給処理は、冷却水の循環を終了した後、MRIシステム200への通電を終了する前に実行されることが好ましい。冷却水の循環を終了した後に再利用水供給部15への通電が開始することにより、電磁弁等が通電することに起因するMRI装置100の磁場への影響を確実に抑えることができる。例えば、再利用水供給処理を行うための遅延時間が設定されることが好ましい。この場合、計算機システム9は、MRIシステム200を終了させる操作が入力され、冷却水の循環を終了すると、再利用水供給処理を行うための遅延時間を設定する。遅延時間は、例えば、30秒や1分に設定される。制御部15cは、遅延時間の間に、再利用水供給処理を完了させる。そして、再利用水供給処理が完了すると、計算機システム9は、MRIシステム200への通電を終了する。
【0098】
以下、本実施形態に係るMRI装置100の効果について説明する。本実施形態に係るMRI装置100は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、以下の効果を奏する。本実施形態に係るMRI装置100によれば、MRIシステム200の立ち下げ時に、冷凍機11周辺で発生した結露水を排水することなく、冷却水として再利用することができる。MRIシステム200の立ち下げ時に貯められた結露水を回収することにより、次にMRIシステム200使用するまでに、水受け部23の容量を超えて結露水が貯まることを防止することができる。
【0099】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。本実施形態は、第1の実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。第1の実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。本実施形態に係るMRI装置100の再利用水供給部15は、通電を必要としない開閉弁を用いて、冷却手段への再利用水の供給の有無を自動的に切り替える。言い換えると、再利用水供給部15は、開閉弁の開閉状態を切り替えることにより、冷却手段への再利用水の供給量を制御する。
【0100】
本実施形態では、再利用水供給部15は、貯水部15aと結合部15bとを備える。
【0101】
貯水部15aは、例えば、上部が開口した有底の略円筒形状に形成される。貯水部15aは、例えば、プラスチック容器を利用して形成される。また、貯水部15aは、貯水センサを備える。本実施形態では、貯水センサとして、電力の供給なしで、貯水情報を検出可能な機構が用いられる。貯水センサは、例えば、フロート式の水位センサである。
【0102】
結合部15bは、貯水部15aと復路分岐部14bとの間を接続する二重構造の開閉弁を備える。具体的には、結合部15bは、上段開閉弁と、上段開放弁の下側に配置される下段開閉弁と、上段開閉弁と下段開閉弁との間に設けられる滞留部とを備える。滞留部は、上段開閉弁と下段開閉弁との間に設けられる空隙である。上段開閉弁は、貯水部15aと接続される。上段開放弁は、第1の開放弁に相当する。下段開閉弁は、復路分岐部14bと接続される。下段開放弁は、第2の開放弁に相当する。
【0103】
上段開閉弁は、貯水部15aに設けられたフロート式の水位センサに接続される。上段開閉弁が閉じた状態では、貯水部15aに貯められた再利用水は滞留部に流入できない。上段開閉弁が開いた状態では、貯水部15aに貯められた再利用水が滞留部に可能になる。上段開閉弁は、滞留部から貯水部15aへの冷却水の流入を防止する逆止弁である。
【0104】
上段開閉弁は、貯水部15aに貯留した結露水の量が所定の値より大きい場合に開放される。例えば、上段開閉弁が閉鎖した状態で、貯水部15aに貯められた再利用水の水位が第1閾値より大きくなった場合に、上段開閉弁は自動的に開放される。第1閾値は、例えば、水位の上限値である。第1閾値は、例えば、貯水部15a全体の高さ(深さ)の4/5の値に設定される。また、上段開閉弁が開放した状態で、貯水部15aに貯められた再利用水の水位が第2閾値より大きくなった場合に、上段開閉弁は自動的に閉鎖される。第2閾値は、第1閾値以下の値である。第2閾値は、例えば、水位の下限値である。第2閾値は、例えば、貯水部15a全体の高さ(深さ)の1/5の値に設定される。
【0105】
下段開閉弁は、復路分岐部14bの内部を通る冷却水の流路に接続される。下段開閉弁は、復路分岐部14bから滞留部への冷却水の流入を防止する逆止弁である。下段開閉弁としては、例えば、公知の三方弁が用いられる。下段開閉弁が閉じた状態では、滞留部に貯められた再利用水は復路分岐部14bに流入できない。下段開閉弁が開いた状態では、滞留部から復路分岐部14bへ再利用水が流入可能な状態となる。このため、上段開閉弁と下段開閉弁の両方が開いた状態では、貯水部15aに貯留した再利用水が滞留部を通って冷却手段へ供給される。結合部15bは、貯水部15aと復路分岐部14bとの間に形成される再利用水の流路が復路分岐部14bの内部を通る冷却水の流路に対して略垂直になるように、復路分岐部14bの内部を通る冷却水の流路に接続されることが好ましい。
【0106】
復路分岐部14bの内部を冷却水が流れている場合、すなわち、冷却手段において冷却水が循環している場合、下段開閉弁は、冷却水の水流により自動的に閉鎖される。また、復路分岐部14bの内部を冷却水が流れていない場合、すなわち、冷却手段において冷却水が循環していない場合、下段開閉弁は、自動的に開放される。
【0107】
なお、下段開放弁は設けられなくてもよい。この場合、上段開閉弁が開放している場合に、貯水部15aに貯留した再利用水が冷却手段へ供給される。
【0108】
次に、本実施形態のMRI装置100の動作について説明する。
図7は、本実施形態のMRI装置100の動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下で説明する各動作は一例に過ぎず、各動作は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する動作について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0109】
貯水部15aでは、フロート式の水位センサにより、貯水部15aに貯留した再利用水の水位が常時検知されている(ステップS401)。
【0110】
貯水部15aに貯留した再利用水が少ない場合、上段開閉弁は閉鎖した状態となる。上段開閉弁が閉鎖した状態で、貯水部15aに貯められた再利用水の水位が第1閾値より大きくなると(ステップS401-Yes)、上段開閉弁は、貯水部15aの貯水センサの検知と連動して自動的に開放される(S402)。上段開閉弁が開放した状態では、貯水部15aに貯められた再利用水が滞留部に流入する。
【0111】
復路分岐部14bの内部を冷却水が流れている場合(ステップS403-Yes)、下段開閉弁は、冷却水の水流により自動的に閉鎖される。上段開閉弁が開放し、下段開閉弁がした状態では、貯水部15aから滞留部に流入した再利用水は、滞留部において下段開閉弁によりせき止められる。
【0112】
復路分岐部14bの内部を冷却水が流れていない場合(ステップS403-No)、下段開閉弁は、開放した状態となる(ステップS404)。上段開閉弁が開放した状態で下段開閉弁が開放されると、貯水部15aに貯められた再利用水が滞留部を通って復路分岐部14bの内部へ流入することにより、貯水部15aに貯められた再利用水が冷却手段へ自動的に供給される(ステップS405)。
【0113】
貯水部15aに貯められた再利用水が復路分岐部14bの内部へ流入すると、貯水部15aに貯められた再利用水の水位が徐々に低下する。そして、貯水部15aにおいて再利用水の水位が第2の閾値よりも小さくなると(ステップS406-Yes)、上段開放弁は、貯水部15aの貯水センサの検知と連動して自動的に閉鎖される(ステップS407)。上段開放弁が閉鎖されると、貯水部15aから滞留部へ再利用水が流入できなくなることにより、貯水部15aに貯められた再利用水の冷却手段への供給が自動的に停止する。
【0114】
以下、本実施形態に係るMRI装置100の効果について説明する。
【0115】
本実施形態に係るMRI装置100では、再利用水供給部15は、貯留した結露水の量が所定の値より大きい場合に開放される上段開閉弁を備える。上段開閉弁が開放している場合に、貯留した結露水が冷却手段へ供給される。
【0116】
上記構成により、本実施形態に係るMRI装置100によれば、貯水部15aに貯留した再利用水の量に応じて開閉状態が自動的に切り替わる開閉弁を用いることにより、貯水部15aに貯留した再利用水の量に応じて冷却手段への再利用水の供給状態を切り替えることができる。
【0117】
さらに、本実施形態では、再利用水供給部15に通電することなく、再利用水の冷却手段への供給状態を切り替えることができる。このため、撮影時においてMRI装置100の磁場へ影響を与えることなく、冷凍機周辺で発生した結露水を回収することができる。
【0118】
また、本実施形態に係るMRI装置100では、再利用水供給部15は、冷却水が循環していない場合に開放される下段開閉弁をさらに備える。前記第1の開閉弁が開放し、かつ、第2の開閉弁が開放している場合に、貯留した結露水が冷却手段へ供給される。
【0119】
上記構成により、本実施形態に係るMRI装置100によれば、貯水部15aに貯留した再利用水の量に応じて開閉状態が自動的に切り替わる開閉弁と、冷却水の循環の有無に応じて開閉状態が自動的に切り替わる開閉弁とにより形成される二重構造の開閉弁を用いることにより、貯水部15aに貯留した再利用水の量と、冷却水の循環の有無に応じて、冷却手段への再利用水の供給状態を切り替えることができる。
【0120】
また、所定の量を超える再利用水が貯水部15aに貯留し、かつ、冷却水が循環していない場合にのみ、貯水部15aに貯められた結露水を冷却手段に供給することができる。このため、冷却水の流れにより結露水を流入させにくい状態で結露水を流入させることを防止することができ、効率的に結露水を再利用水として回収することができる。
【0121】
また、本実施形態のように、上段開閉弁と下段開放弁との間に滞留部が設けることにより、再利用水供給部15において再利用水を滞留できる容量を増やすことができる。
【0122】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、冷凍機周辺で発生した結露水が周辺機器に影響を与えることを防止することができる。
【0123】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
200…MRIシステム
100…MRI装置
101…冷却水供給装置
1…静磁場磁石
1a…真空容器
1b…冷媒容器
1c…超電導コイル
2…傾斜磁場コイル
3…高周波コイル
4…天板
5…傾斜磁場電源
6…送信部
7…受信部
8…シーケンス制御装置
9…計算機システム
10…圧縮機
11…冷凍機
12…冷却水分配部
13…冷却水センサ
14…冷却水分岐部
14a…往路分岐部
14b…復路分岐部
15…再利用水供給部
15a…貯水部
15b…結合部
15c…制御部
151…処理回路
152…メモリ
153…通信インタフェース
21、22…冷却管
21a、22a…往路管
21b、22b…復路管
23…水受け部
24…ドレイン
25…中継基板