(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163406
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】配電盤
(51)【国際特許分類】
H02B 1/30 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
H02B1/30 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068315
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 正典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 深大
(57)【要約】
【課題】現場で監視用センサの検出値を目視によって確認ができ、しかも遠隔地の管制センタにおいても監視用センサの検出値を目視によって確認ができる配電盤を提供する。
【解決手段】撮像部に至る撮像部用導光路と、覗き窓に至る覗き窓用導光路を備え、撮像部用導光路と覗き窓用導光路の接続領域部に、監視用センサの表示部の表示像を撮像部用導光路の側に反射し、また、監視用センサの表示部の表示像を覗き窓用導光路に透過させるハーフミラーを設けた表示分割ユニットを、監視用センサの表示部と覗き窓の間、或いは覗き窓の外側に配置した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の開口を塞ぐと共に、前記筐体の内部に配置された監視用センサの表示部を目視する覗き窓が形成された開閉扉を備えた配電盤において、
前記監視用センサの前記表示部と前記覗き窓の間に、
撮像部に至る撮像部用導光路と、前記覗き窓に至る覗き窓用導光路を備え、前記撮像部用導光路と前記覗き窓用導光路の接続領域部に、前記監視用センサの前記表示部の表示像を前記撮像部用導光路の側に反射し、また、前記監視用センサの前記表示部の前記表示像を前記覗き窓用導光路に透過させるハーフミラーを配置した表示分割ユニットを設けた
ことを特徴とする配電盤。
【請求項2】
筐体と、前記筐体の開口を塞ぐと共に、前記筐体の内部に配置された監視用センサの表示部を目視する覗き窓が形成された開閉扉を備えた配電盤において、
前記開閉扉の前記覗き窓の外側に、
撮像部に至る撮像部用導光路と、前記覗き窓に至る覗き窓用導光路を備え、前記撮像部用導光路と前記覗き窓用導光路の接続領域部に、前記監視用センサの前記表示部の表示像を前記撮像部用導光路の側に反射し、また、前記監視用センサの前記表示部の前記表示像を前記覗き窓用導光路に透過させるハーフミラーを配置した表示分割ユニットを設けた
ことを特徴とする配電盤。
【請求項3】
請求項1、或いは請求項2に記載の配電盤において、
前記撮像部は通信部を備え、前記通信部は、撮像された前記監視用センサの前記表示部の前記表示像を管制センタに送信する
ことを特徴とする配電盤。
【請求項4】
請求項3に記載の配電盤において、
前記撮像部の前記通信部は、撮影された前記監視用センサの前記表示部の前記表示像を、通信線、或いは無線によって前記管制センタに送信する
ことを特徴とする配電盤。
【請求項5】
請求項3に記載の配電盤において、
前記撮像部用導光路と前記覗き窓用導光路は直交するようにして前記接続領域部で接続され、前記ハーフミラーは、前記覗き窓用導光路の軸線に対して45°の傾きを有して配置されている
ことを特徴とする配電盤。
【請求項6】
請求項1に記載の配電盤において、
前記表示分割ユニットの前記監視用センサの前記表示部側の前記覗き窓用導光路の内部、或いは前記覗き窓用導光路の外側に、照明灯が設けられている
ことを特徴とする配電盤。
【請求項7】
請求項2に記載の配電盤において、
前記表示分割ユニットの前記覗き窓側の前記覗き窓用導光路の内部、或いは前記覗き窓用導光路の外部に、照明灯が設けられている
ことを特徴とする配電盤。
【請求項8】
請求項3に記載の配電盤において、
前記表示分割ユニットの前記覗き窓用導光路、及び前記撮像部用導光路にPL(偏光)フィルタが設けられている
ことを特徴とする配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場、ビル等の受配電設備として用いられる配電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場、ビル等の受配電設備として用いられる配電盤は、一般的には
図8に示す構成とされている。
図8において配電盤10は、筐体11、及び筐体11の開口を塞ぐ開閉扉12を備えている。筐体11の内部には、監視制御機器(計器、開閉器、継電器等)、及び主回路機器(遮断器、断路器、負荷開閉器、変成器等)が収納されている。
図8では、代表して変成器を構成する変圧器13を示している。また、計器類としてアナログ式のダイヤル温度計14が設けられており、このダイヤル温度計14の表示部14Dに表示された温度値を目視するために、開閉扉12には覗き窓15が設けられている。
【0003】
このような覗き窓15を設けた配電盤10は、例えば、特開平11-27812号公報(特許文献1)に示されている。特許文献1においては、配電盤の開閉扉の前面に、ハーフミラーにカバーされた覗き窓を設け、その背面に照明灯によって照らされる監視装置を配置し、常時はハーフミラーにより監視装置は外部から見えないが、点検時には、照明灯のスイッチをオンとすることにより、照明灯を点灯して監視装置を見ることができる構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような配電盤においては、現場において目視によってダイヤル温度計14の表示部14Dに表示された温度値(検出値)を確認することに加えて、最近ではダイヤル温度計14の温度値(検出値)の画像を、遠隔地の管制センタでも確認したい、或いは自動収集したいという要請が増えてきている。特に、既存の配電盤においては、テータロガー方式への変更が難しく、上述の要請が増えている。
【0006】
しかしながら、覗き窓15の前面、或いはダイヤル温度計14の前面に撮像用のカメラを設置すると、これらが邪魔になって現場での目視確認ができなくなるといった課題が新たに発生する。尚、ダイヤル温度計14は一例を示したものであり、一般化すると監視用センサということができる。
【0007】
本発明の目的は、現場で監視用センサの検出値を目視によって確認ができ、しかも遠隔地の管制センタにおいても監視用センサの検出値を目視によって確認ができる配電盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、撮像部に至る撮像部用導光路と、覗き窓に至る覗き窓用導光路を備え、撮像部用導光路と覗き窓用導光路の接続領域部に、監視用センサの表示部の表示像を撮像部用導光路の側に反射し、また、監視用センサの表示部の表示像を覗き窓用導光路に透過させるハーフミラーを配置した表示分割ユニットを、監視用センサの表示部と覗き窓の間、或いは覗き窓の外側に設けた、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハーフミラーによって、現場で監視用センサの表示像を覗き窓から目視によって確認ができ、しかも遠隔地の管制センタにおいても監視用センサの表示像を撮像部の撮像画像を介して目視によって確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態になる配電盤の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す表示分割ユニットの構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態になる配電盤の構成を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す表示分割ユニットの構成を示す断面図である。
【
図5】
図1に示す表示分割ユニットの第3の実施形態を示す断面図である。
【
図6】
図4に示す表示分割ユニットの変形例を示す断面図である。
【
図7】
図1に示す表示分割ユニットの第4の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【実施例0012】
図1において、配電盤10は屋外に配置される場合もあり、筐体11、及び筐体11の開口を塞ぐ開閉扉12を備えている。筐体11の内部には、上述したように、計器、開閉器、継電器等からなる監視制御機器、及び遮断器、断路器、負荷開閉器、変成器等からなる主回路機器が収納されている。この図では簡略化して変成器を構成する変圧器13を示している。
【0013】
また、計器類としてアナログ式のダイヤル温度計(監視用センサ)14が設けられており、このダイヤル温度計14の表示部14Dに表示された温度値(検出値)を目視するために、開閉扉12には覗き窓15が設けられている。
【0014】
本実施形態においては、ダイヤル温度計14の表示部14Dと覗き窓15の間には、表示分割ユニット16が配置されている。つまり、表示分割ユニット16は、筐体11の内部に、ダイヤル温度計14の表示部14Dと覗き窓15に挟まれて配置され、外部環境(風雨等による)の悪影響を避ける形態とされている。
【0015】
表示分割ユニット16の内部には、ハーフミラー17が配置されており、ハーフミラー17を介して、ダイヤル温度計14の表示部14Dに表示された表示像を覗き窓15側に透過させ、現場で目視することができる。また、表示分割ユニット16には撮像部18が設けられており、ハーフミラー17を介して、ダイヤル温度計14の表示部14Dに表示された表示像を撮像部18側に反射している。
【0016】
撮像部18は、レンズや撮像素子からなるカメラ、及び通信部等を主たる構成要素としており、撮像された表示像は、通信線19を介して管制センタ20に送信されている。尚、通信線の代わりに、無線によって撮像画像を管制センタ20に送ることもできる。管制センタ20では、管制センタに設置された表示部の画面で、送信されてきた撮像画像を目視することができる。
【0017】
次に、表示分割ユニット16の詳細な構成について
図2を用いて説明する。表示分割ユニット16は、全体を合成樹脂、或いは金属で作られており、内部に覗き窓用導光路21と撮像部用導光路22を備えている。覗き窓用導光路21と撮像部用導光路22は円形、四角形のような多角形の筒状の通路であり、光が直進できるように直線状に形成されている。そして、覗き窓用導光路21の両端は、表示部14Dと覗き窓15に臨むようになっている。
【0018】
そして、覗き窓用導光路21の途中の領域で、撮像部用導光路22は、覗き窓用導光路21と互いに接続されており、夫々の導光路21、22の軸心は、直交する関係に決められている。また、夫々の導光路21、22の軸心は交わる関係とされている。そして、覗き窓用導光路21と撮像部用導光路22の接続領域部23には、ハーフミラー17が配置されている。
【0019】
ハーフミラー17の配置上の傾きは、覗き窓用導光路21の軸線に対して45°の傾きに設定されており、覗き窓用導光路21を通過してきた光(表示像)が、90°の角度で方向転換されるような傾きに設定されている。また、撮像部用導光路22は、配電盤10の「地方向」に延びているが、「天方向」、「左方向」、「右方向」に延びるようにしても良い。
【0020】
尚、ハーフミラー17の配置上の傾きは、これに限られるものではないが、反射された光(表示像)が撮像部18に到達できるように、撮像部用導光路22の覗き窓用導光路21に対する接続角度を決めることが必要である。
【0021】
覗き窓用導光路21の一方は、ダイヤル温度計14の表示部14Dに向き合い、他方は覗き窓15に向き合っている。したがって、現場の監視者(H)は、ハーフミラー17、覗き窓用導光路21を介してダイヤル温度計14の表示部14Dを眺めることができる。
【0022】
一方、撮像部用導光路22の一方は、ハーフミラー17に向き合い、他方は撮像部18に向き合っている。撮像部18はレンズ(図示せず)や撮像素子24を備えており、ハーフミラー17で反射された光(表示像)は、撮像部用導光路22を介して撮像部18で撮像される。
【0023】
撮影された画像は、通信部によって通信線19を介して管制センタ20に送られ、管制センタの管制員は、管制センタに設けられた表示部で映し出された画像によって、間接的にダイヤル温度計14の表示部14Dの表示像を目視することができるようになる。
【0024】
このようにハーフミラー17は、覗き窓用導光路21を通過してきた光(表示像)が、そのまま透過して覗き窓15に至る状態と、覗き窓用導光路21を通過してきた光(表示像)が、反射してと撮像部用導光路22を通過して撮像部18に至る状態を作り出している。
【0025】
以上説明したように、本実施形態では、撮像部に至る撮像部用導光路22と、覗き窓に至る覗き窓用導光路21を備え、撮像部用導光路22と覗き窓用導光路21の接続領域部23に、監視用センサ14の表示部14Dの表示像を撮像部用導光路22の側に反射し、また、監視用センサ14の表示部14Dの表示像を覗き窓用導光路21に透過させるハーフミラー17を配置した表示分割ユニット16を、監視用センサ14の表示部14Dと覗き窓15の間に設けた、ことを特徴としている。
【0026】
これによれば、ハーフミラー17によって、現場で監視用センサ14の表示像を、覗き窓15から目視によって確認ができ、しかも遠隔地の管制センタ20においても監視用センサ14の表示像を、撮像部18の撮像画像を介して目視によって確認することができる。
このような構成においても、ハーフミラー17によって、現場で監視用センサ14の表示像を、覗き窓15から目視によって確認ができ、しかも遠隔地の管制センタ20においても監視用センサ14の表示像を、撮像部18の撮像画像を介して目視によって確認することができる。
また、上述したように、表示分割ユニット16を配電盤10の外側に配置することで、ダイヤル温度計14と覗き窓15との距離が近くても表示分割ユニットを配置できるようになる。特に、既存の配電盤10において、ダイヤル温度計14と覗き窓15とが近接しているので、第2の実施形態のような外付けの形態は有利となる。