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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016341
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】タオル生地裁断機
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/32 20060101AFI20220114BHJP
   B26D 5/30 20060101ALI20220114BHJP
   B26D 7/02 20060101ALI20220114BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20220114BHJP
   D06H 7/02 20060101ALI20220114BHJP
   D06H 3/08 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B26D5/32
B26D5/30 A
B26D7/02 D
B26D5/34 Z
D06H7/02
D06H3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021111822
(22)【出願日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2020117972
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】591070587
【氏名又は名称】株式会社梶製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100101638
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 峰太郎
(72)【発明者】
【氏名】上山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】北川 英樹
【テーマコード(参考)】
3B154
3C021
3C024
【Fターム(参考)】
3B154AB20
3B154AB27
3B154AB33
3B154BA47
3B154BB54
3B154BC31
3B154CA03
3B154CA23
3B154DA21
3C021CB07
3C024FF01
(57)【要約】
【課題】 本来は直線状に裁断することが想定されても、生地の変形の影響を受ける裁断領域を、効率良く裁断可能なタオル生地裁断機を提供する。
【解決手段】 タオル生地裁断機1は、長尺のタオル生地2を、図の横方向となる長手方向に送りながら、織り目の違いで設定される図の紙面に垂直な幅方向の裁断領域2aを裁断する。裁断領域2aは、支持材5の支持部5aとクランパー4との間のタオル生地2を撮像して、画像処理で認識される。カッター7による裁断は、認識された裁断領域2aで生成される裁断線2bに沿って行われる。裁断領域2aは、支持部5aとクランパー4とで安定に支持と保持とを行う部分の中間の部分となり、この部分には支持や保持が行われないので、生成された裁断線2bに沿う裁断を、低コストで迅速に行い、裁断効率を高めることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のタオル生地を、長手方向に送りながら、織り目の違いで設定される幅方向の裁断領域を裁断するタオル生地裁断機において、
タオル生地の送り元側と送り先側との間を移動可能で、タオル生地の先端を把持する把持部を有し、把持部がタオル生地を送り元側で把持してから送り先側に移動することで、タオル生地の引出しを行うグリッパーと、
タオル生地の送り元側に設けられ、裁断領域を認識する範囲として予め設定される認識領域まで、グリッパーによって引出されたタオル生地の送り元側を保持可能なクランパーと、
グリッパーによって引出されたタオル生地を、認識領域よりも送り先側で支持する支持部を有して、支持部が支持している部分とクランパーとの間のタオル生地を支持無しの状態に保ち、支持部よりも送り元側へのグリッパーの通過を許容する支持材と、
クランパーで保持され、支持部で支持されるタオル生地の認識領域を撮像し、画像処理で裁断領域を認識し、認識した裁断領域に裁断線を生成する認識手段と、
認識手段によって生成される裁断線に沿って、クランパーで保持され、支持部で支持されるタオル生地を裁断するカッターとを、
含むことを特徴とするタオル生地裁断機。
【請求項2】
前記クランパーが保持する位置よりも送り元側で、前記タオル生地から前記裁断領域の少なくとも一部となる事前検出領域を検出する検出手段をさらに含み、
前記グリッパーは、検出手段によって検出された事前検出領域が、前記クランパーを越えて前記支持材の前記支持部付近に達するように、タオル生地を引出す、
ことを特徴とする請求項1記載のタオル生地裁断機。
【請求項3】
前記クランパーの前記送り先側の下方に、前記カッターで裁断された後で垂下する前記タオル生地の送り元側の先端を受ける受け部材が設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2記載のタオル生地裁断機。
【請求項4】
前記支持材は、
前記長手方向に延びる板状の部材が複数枚、前記幅方向に間隔を空けて配置され、
前記送り先側の先端に前記支持部が形成され、
前記グリッパーは、
前記把持部のうちで少なくとも前記タオル生地の先端を下方から把持する部分が幅方向に櫛歯状となり、
櫛歯の歯の部分が支持材の間隔の位置、櫛歯の切り込みの部分が各板状の支持材の位置にそれぞれ対応して、支持部よりも前記送り元側への通過が許容される、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のタオル生地裁断機。
【請求項5】
前記支持材は、前記幅方向に延びる板状であり、先端側の支持部で前記タオル生地を支持し、基端側で幅方向に延びる軸線回りに揺動して、タオル生地の支持と前記グリッパーの通過を許容する待避とを切替える、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のタオル生地裁断機。
【請求項6】
前記認識手段と前記カッターとは、前記長手方向に移動可能な架台の異なる位置に取付けられて、架台による前記認識領域への移動で前記撮像と前記裁断とが切替えられ、
前記支持材は、架台の送り先側の先端付近に取付けられる、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のタオル生地裁断機。
【請求項7】
長尺のタオル生地を、長手方向に送りながら、織り目の違いで設定される幅方向の裁断領域を裁断するタオル生地裁断方法において、
タオル生地の送り先側の先端をグリッパーで把持して引出し、
裁断領域を含むように予め設定される認識領域まで引出されたタオル生地の送り元側をクランパーで保持し、
タオル生地を、認識領域よりも送り先側に接触しながら支持材の支持部で支持し、
クランパーで保持され、支持材の支持部で支持されるタオル生地の認識領域を撮像し、画像処理で裁断領域を認識し、
認識した裁断領域に裁断線を生成し、
生成される裁断線に沿って、タオル生地を裁断し、
裁断されたタオル生地の送り先側を解放したグリッパーを、裁断されたタオル生地の送り元側を保持するクランパーに接近させて、支持材の支持部よりも送り元側で次に裁断すべきタオル生地の送り先側の先端を把持させる、
ことを特徴とするタオル生地裁断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のタオル生地を、織り目の違いで設定される幅方向の裁断領域を裁断するタオル生地裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
矩形のタオル製品を得るためのタオル生地は、パイル織りが可能な織機で、長尺材として製織される。この織機では平織りも可能で、個々のタオル製品のために切り離す裁断領域は、緯糸が無く経糸のみ、または緯糸を少なくした状態で製織される。裁断領域は、本来、緯糸方向の直線状に裁断することが想定されているけれども、製織後のタオル生地が洗いなどの種々の後工程を経ると湾曲や歪みで変形し、直線状に裁断すると裁断領域外を裁断してしまうおそれがある。変形した裁断領域は、手作業で裁断する必要がある。タオル生地の変形を矯正して、裁断領域を直線状に裁断する技術は、従来から知られている(たとえば特許文献1、2参照)。特許文献1は、パイル織りと平織りとの境界を厚みの段差に基づいて直線状となるように送りで矯正し、この境界から所定距離離れた裁断領域としてのヘムを直線状に裁断する。特許文献2は、裁断領域として、タオル生地の緯糸が少ない縦糸部分にクシ歯部材の先端を挿入しながら直線状に矯正し、クシ歯部材を除去して裁断領域を直線状に裁断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-68278号公報
【特許文献2】特開平3-124875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タオル生地の裁断を、特許文献1,2のように直線状に矯正して行おうとしても、矯正の可否が生地によって左右され、汎用性が低い。
【0005】
本発明の目的は、本来は直線状に裁断することが想定されても、生地の変形の影響を受ける裁断領域を、効率良く裁断可能なタオル生地裁断機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長尺のタオル生地を、長手方向に送りながら、織り目の違いで設定される幅方向の裁断領域を裁断するタオル生地裁断機において、
タオル生地の送り元側と送り先側との間を移動可能で、タオル生地の先端を把持する把持部を有し、把持部がタオル生地を送り元側で把持してから送り先側に移動することで、タオル生地の引出しを行うグリッパーと、
タオル生地の送り元側に設けられ、裁断領域を認識する範囲として予め設定される認識領域まで、グリッパーによって引出されたタオル生地の送り元側を保持可能なクランパーと、
グリッパーによって引出されたタオル生地を、認識領域よりも送り先側で支持する支持部を有して、支持部が支持している部分とクランパーとの間のタオル生地を支持無しの状態に保ち、支持部よりも送り元側へのグリッパーの通過を許容する支持材と、
クランパーで保持され、支持部で支持されるタオル生地の認識領域を撮像し、画像処理で裁断領域を認識し、認識した裁断領域に裁断線を生成する認識手段と、
認識手段によって生成される裁断線に沿って、クランパーで保持され、支持部で支持されるタオル生地を裁断するカッターとを、
含むことを特徴とするタオル生地裁断機である。
【0007】
また本発明は、前記クランパーが保持する位置よりも送り元側で、前記タオル生地から前記認識領域の少なくとも一部となる事前検出領域を検出する検出手段をさらに含み、
前記グリッパーは、検出手段によって検出された事前検出領域が、前記クランパーを越えて前記支持材の前記支持部付近に達するように、タオル生地を引出す、
ことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記クランパーの前記送り先側の下方に、前記カッターで裁断された後で垂下する前記タオル生地の送り元側の先端を受ける受け部材が設けられる、
ことを特徴とする。
【0009】
また本発明で、前記支持材は、
前記長手方向に延びる板状の部材が複数枚、前記幅方向に間隔を空けて配置され、
前記送り先側の先端に前記支持部が形成され、
前記グリッパーは、
前記把持部のうちで少なくとも前記タオル生地の先端を下方から把持する部分が幅方向に櫛歯状となり、
櫛歯の歯の部分が支持材の間隔の位置、櫛歯の切り込みの部分が各板状の支持材の位置にそれぞれ対応して、支持部よりも前記送り元側への通過が許容される、
ことを特徴とする。
【0010】
また本発明で、前記支持材は、前記幅方向に延びる板状であり、先端側の支持部で前記タオル生地を支持し、基端側で幅方向に延びる軸線回りに揺動して、タオル生地の支持と前記グリッパーの通過を許容する待避とを切替える、
ことを特徴とする。
【0011】
また本発明で、前記認識手段と前記カッターとは、前記長手方向に移動可能な架台の異なる位置に取付けられて、架台による前記認識領域への移動で前記撮像と前記裁断とが切替えられ、
前記支持材は、架台の送り先側の先端付近に取付けられる、
ことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、長尺のタオル生地を、長手方向に送りながら、織り目の違いで設定される幅方向の裁断領域を裁断するタオル生地裁断方法において、
タオル生地の送り先側の先端をグリッパーで把持して引出し、
裁断領域を含むように予め設定される認識領域まで引出されたタオル生地の送り元側をクランパーで保持し、
タオル生地を、認識領域よりも送り先側に接触しながら支持材の支持部で支持し、
クランパーで保持され、支持材の支持部で支持されるタオル生地の認識領域を撮像し、
画像処理で裁断領域を認識し、
認識した裁断領域に裁断線を生成し、
生成される裁断線に沿って、タオル生地を裁断し、
裁断されたタオル生地の送り先側を解放したグリッパーを、裁断されたタオル生地の送り元側を保持するクランパーに接近させて、支持材の支持部よりも送り元側で次に裁断すべきタオル生地の送り先側の先端を把持させる、
ことを特徴とするタオル生地裁断方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タオル生地に設定されている裁断領域は、支持材の支持部とクランパーとの間のタオル生地の認識領域を撮像して画像処理で認識される。カッターによる裁断は、認識された裁断領域に生成される裁断線に沿って自動で行われる。認識領域は、支持材の支持部とクランパーとで支持と保持とを行う部分の間となり、撮像から裁断まで安定に保つことができる。この部分の中間となる裁断領域は、直接の支持や保持が行われないで宙に浮いた状態となるので、カッターは、受ける抵抗が少なくなる。支持部は、クランパーに近い位置でタオル生地を支持するので、安定した裁断を迅速に行い、裁断効率を高めることができる。
【0014】
また本発明によれば、裁断領域は、クランパーがタオル生地を保持する位置よりも送り元側で少なくとも一部が事前に検出されるので、クランパーから送り先側への適切な位置にグリッパーでタオル生地を引出すことができる。タオル生地の適切な引出しで、画像処理による裁断領域の認識や認識結果に基づいて生成される裁断線に沿う裁断は、確実かつ効率良く行うことができる。
【0015】
また本発明によれば、受け部材は、裁断線に沿った裁断後に、クランパー側に残るタオル生地が垂れ下がっても受けておくことができるので、次に裁断するタオル生地の先端部分のグリッパーによる把持を、確実に行わせることができる。
【0016】
また本発明によれば、板状の支持材間を櫛歯の歯の部分が通過し、支持材は櫛歯の切り込みの部分を通過するので、支持材は待避しないでも、グリッパーの通過を許容することができ、支持材の待避に要する機構を不要にすることができる。
【0017】
また本発明によれば、支持材は、板状の先端側でタオル生地を支持し、揺動で支持と待避とを切替えるので、待避への切替えでグリッパーを通過させることができる。
【0018】
また本発明によれば、支持材は架台の移動に伴って移動するので、支持材がタオル生地を支持する支持部も移動して、タオル生地を延ばしながら支持することができる。
【0019】
さらに本発明によれば、グリッパーでクランパー側から送り先側に引出したタオル生地で裁断領域を含むように設定される認識領域は、クランパーと支持材の支持部との安定な保持と支持とで、宙に浮かせた状態となる範囲に位置する。裁断領域を裁断する裁断線は、この部分を撮像して認識される裁断領域に生成されるので、迅速かつ効率良く裁断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例1であるタオル生地裁断機1の簡略化した正面図である。
図2図2は、図1のタオル生地裁断機1の主要部分の平面図である。
図3図3は、図1のタオル生地裁断機1の動作を示す部分的な正面図である。
図4図4は、図1のタオル生地裁断機1の動作を示す部分的な正面図である。
図5図5は、図1のタオル生地裁断機1の動作を示す部分的な正面図である。
図6図6は、タオル生地2の例を示す平面図である。
図7図7は、本発明の実施例2であるタオル生地裁断機31に使用する支持材35の構成を示す正面図、およびタオル生地裁断機31の動作を示す部分的な正面図である。
図8図8は、タオル生地裁断機31の動作を示す部分的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図6は、本発明の実施例1であるタオル生地裁断機1の構成と動作に関する。図7および図8は、本発明の実施例2であるタオル生地裁断機31に使用する支持材35の構成と動作に関する。各図で対応する部分は,同一の参照符を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。また説明の便宜上、説明対象の図には記載されていない部分について、他の図に記載される参照符を付して言及する場合がある。
【実施例0022】
図1は、本発明の実施例1であるタオル生地裁断機1の概略的な正面構成を示す。図2は、図1の主要部分の平面配置状態を示す。タオル生地裁断機1は、長尺のタオル生地2を、図の横方向となる長手方向に送りながら、織り目の違いで設定される幅方向の裁断領域2aを自動で裁断する。タオル生地裁断機1は、グリッパー3とクランパー4と支持材5と認識手段6とカッター7とを含む。グリッパー3は、把持部3aと駆動部3bとを備える。把持部3aは、駆動部3bによる開閉駆動で、タオル生地2を把持可能または解放可能な、閉じた状態と開いた状態とを切替え可能である。グリッパー3は、タオル生地2の送り元側と送り先側との間の長手方向を移動可能で、タオル生地2の先端を把持してから送り先側に移動することで、タオル生地の引出しを行うことができる。クランパー4は、タオル生地2の送り元側に設けられ、グリッパー3によって裁断領域2aを含むように予め設定される認識領域まで引出されたタオル生地2の送り元側を保持可能な保持部4aと保持部4aを開閉駆動する駆動部4bとを含む。クランパー4によるタオル生地2の保持は、タオル生地2にテンションを与えて弛みを少なくするために、グリッパー3による引出し時にも軽く行うことが好ましい。図2に示すように、把持部3aは櫛歯状であり、保持部4aの上側は平板状である。保持部4aの下側は櫛歯状で、歯の間の切れ込みの部分に対応する位置の送り先側に受け部材14が位置する。保持部4aの下側は、平板状でもよい。
【0023】
タオル生地裁断機1の全体は、フレーム8で支持され、床面に設置される。前側材9aおよび後側材9bは、フレーム8の上部に設けられる。グリッパー3は、前側材9aおよび後側材9bに支持されて、長手方向に移動する。支持材5、認識手段6およびカッター7は、前側材9aおよび後側材9bに支持されて長手方向に移動可能な架台10に搭載される。架台10は、送り元側カバー11で覆われる。送り先側に設けられる送り先側カバー12は、送り先側に移動しているグリッパー3を覆うことができる。クランパー4の保持部4aよりも送り元側には、検出手段13が設けられる。検出手段13は、たとえば幅方向の中間付近を検出対象13aとして、裁断領域2aの少なくとも一部である部分の通過時に、図6に示すような事前検出領域2fとして検出する。架台10は、受け部材14も搭載している。タオル生地2は、生地槽20に長尺を折り畳む状態などで収容され、拡げローラー21を経てクランパー4以降まで引出される。拡げローラー21は、外周面にワイヤー21aが螺旋状に巻き付けられ、螺旋の向きが幅方向の中央から手前側と奥側とで逆になり、タオル生地2を生地槽20に戻す方向に回転しながら、タオル生地2を幅方向に拡げることができる。カッター7で裁断されたタオル生地2は、送り元側から昇降テーブル22に落下し、グリッパー3の把持部3aを開いて先端部分を解放することで昇降テーブル22上に移動する。タオル生地2は、裁断を繰り返すことで、昇降テーブル22上に積層される。昇降テーブル22は、落差が適切となるように高さが初期設定され、タオル生地2の積層で沈降するように制御される。
【0024】
支持材5は、断面形状が大略的に図示のようなL字状となるように、幅方向に延びる板材を折り曲げて形成される。支持材5の先端側の支持部5aは、グリッパー3によって引出されたタオル生地2を、認識領域よりも送り先側で生地の底側に接触しながら支持することができる。支持材5は、基端側の揺動軸5bで支持されて揺動する。揺動軸5bは、幅方向に延びるように、架台10で支持される。支持材5の揺動は、支持状態と待避状態とを切替える。支持状態は、支持部5aで支持している部分とクランパー4が保持している部分とで安定に行い、この間の中間のタオル生地2を支持無しの状態に保つ。待避状態に切替えることは、グリッパー3が通過する際にタオル生地2から離れて待避することを可能にする。支持材5は、タオル生地2への接触部が必要であって、形状は丸棒など他の形状でもよい。支持と待避との切替えは、揺動に限らず、昇降などでもよい。認識手段6は、幅方向に延びる光源6aおよび受光センサー6bを含み、タオル生地2の認識領域を線状の一次元に撮像し、走査に伴う二次元の画像処理で裁断領域2aを認識して、裁断領域2aに裁断線2bを生成する処理部も含む。カッター7は、回転する丸刃7aの外周でタオル生地2を裁断し、移動部7bで幅方向に移動することができ、裁断線2bに従って裁断する制御部も含む。移動部7bは、送り方向に移動する架台10に搭載されているので、丸刃7aは送り方向と幅方向とに移動することができる。タオル生地2の性質上、裁断領域2aは図2に示すように湾曲するなどの変形状態で認識される可能性があるけれども、認識された裁断領域2aに対して生成する裁断線2bに沿った裁断が可能となる。カッター7は、丸刃7aの回転軸の方向を長手方向と幅方向とに垂直な方向の軸回りに制御可能にすることもでき、その場合、裁断線2bを滑らかに裁断することができる。
【0025】
図3図4および図5は、タオル生地裁断機1の主要部分の動作を示す。図5(b)で示す裁断時を除いて、カッター7の図示は省略する場合がある。図3(a)は、最初の裁断、または繰返す裁断の次の裁断のために、グリッパー3が把持部3aを開いて、クランパー4に接近する状態を示す。クランパー4側では、タオル生地2の先端が閉じた状態のクランパー4の先端から垂れ下がり、送り先側に突出する片状の受け部材14によって受けられている。支持材5は、揺動軸5bまわりの揺動で、グリッパー3が接近して通過する際に、支持部5aが開いた把持部3aと干渉しないように待避する状態に切替えられる。図3(b)は、グリッパー3がクランパー4側からタオル生地2の先端部分を受取る位置まで接近している状態を示す。図2に示すように、把持部3aは櫛歯状であり、歯の間の切り込みの部分に受け部材14が進入する位置まで、クランパー4側に接近させることができる。
【0026】
図4(a)は、図3(b)でグリッパー3の把持部3aが閉じてタオル生地2の先端を把持し、クランパー4の保持部4aが開いて、グリッパー3が送り先側に移動している状態を示す。保持部4aは、閉じてタオル生地2を軽く保持するようにしておくこともできる。タオル生地2は、クランパー4を経て引出される。クランパー4の保持部4aよりも送り元側に設けられる検出手段13は、事前検出領域2fが通過するのを、たとえば非接触で光学的に検出する。タオル生地2の引出しは、検出された事前検出領域2fがクランパー4の保持部4aを越えて支持材5の支持部5aが支持する位置付近に達するまで行われる。図4(b)は、タオル生地2の引出しが終了した状態を示す。クランパー4の保持部4aは閉じ、支持材5は支持部5aでタオル生地2を支持する状態に切替えられる。支持材5の支持部5a近傍には、受け部材14が通過する位置にスリットが設けられ、受け部材14が存在しても、支持と待避との切替えに支障がないようにされている。支持材5による支持を、タオル生地2の引出しの途中から行うと、支持部5aの接触で、生地を延ばすことができる。
【0027】
図5(a)は、架台10を送り先側に移動して、認識手段6によって裁断領域2aを認識する状態を示す。認識手段6は、たとえば上方で幅方向に延びる線状の光源6aから出る光を下方の線状の受光センサー6bで検出し、架台10の送り先側への移動に伴う走査で、裁断領域2aを含む認識領域の画像を撮像する。光の透過方向は上下逆にすることもできる。裁断領域2aを認識するための走査は、認識手段6を停止させてグリッパー3によるタオル生地2の引出しでも行うことができる。たとえば、図4(a)ではグリッパー3が送り先側に移動してからの架台10の移動で走査するけれども、グリッパー3を途中で一旦停止させておく。図5(a)のように、架台10の移動で認識手段6がタオル生地2の表面を撮像可能な位置まで移動したら、架台10を停止させてグリッパー3の引出しを再開すれば走査も可能となる。認識手段6は、裁断領域2aを直接二次元の画像として撮像可能なカメラを使用することもでき、その場合走査は不要となる。図5(b)は、走査の終了後、架台10を送り元側に移動して、撮像を裁断に切替え、カッター7の丸刃7aで裁断線2bに沿うように裁断する状態を示す。受け部材14は、丸刃7aと干渉しない位置に設ける。丸刃7aの長手方向の移動は、架台10の移動で行う。移動部7bは、架台10に対して幅方向に移動する。丸刃7aによる裁断は、移動部7bが幅方向の一方に移動する間に、認識された裁断領域2aに合せて生成される裁断線2bに沿うように、架台10が送り方向に移動しながら行う。幅方向の一方に達したカッター7を他方に移動させる際に次の裁断を行うようにすれば、裁断効率を高めることができる。カッター7はタオル生地2の上方から裁断するようにしているけれども、下方から裁断するようにしてもよい。この場合、支持材5の支持部5aによる支持は、タオル生地2の上方から行えばよい。また支持材5は、フレーム8に装着し、架台10とともに移動しないようにしてもよい。本実施例の支持部5a部は、架台10の移動に伴って移動するので、この移動の際にも、タオル生地2を延ばしながら支持することができる。認識手段6は、裁断に先行して裁断領域2aの撮像が可能な位置でカッター7に設けることもでき、カッター7による裁断は、裁断領域2aを認識して裁断位置を制御しながら行うようにすればよい。
【0028】
図6は、裁断領域2aが湾曲しているタオル生地2の例を示す。タオル生地2は、パイル織り部2cを主要な部分として有し、図の上から下に送る長手方向で裁断する部分の端部に平織り部2dが設けられる。裁断線2bは、緯糸が無いか少ない状態で幅方向に延びる裁断領域2aに生成される。裁断領域2aは帯状であり、長手方向が帯状の幅となり、裁断線2bは帯の中間に設定される。タオル生地2の幅方向の両側は、折重ねられて耳と呼ばれる側縁部2eが形成されるので、厚みが大きくなり、延びにくくなる。把持部3aは櫛歯状にすることで、保持部4aはゴム材などを使用することで、厚い側縁部2eを把持したり保持したりすると同時に、薄い平織り部2dの把持や保持も有効に行えるようにしている。ただし、幅方向の中間部分は側縁部2eよりも延びやすいので、クランパー4の保持部4aからタオル生地2を引出す際に保持を強くすると、裁断領域2aは幅方向の中央が送り先側に湾曲しやすくなるおそれがある。保持部4aで保持しなければ、湾曲しにくくなるけれども、タオル生地2が長手方向の中間で重力によって弛みやすくなってしまう。本実施例では、タオル生地2の特性に応じて、保持部4aから引出す際の保持の程度を調整する。認識領域2gは、裁断領域2aの湾曲や弛みなどの変形を考慮して、経験に基づいて、変形した裁断領域2aが含まれるように設定する。このような認識領域2gから裁断領域2aを画像処理で認識し、裁断領域2aに生成する裁断線2bに沿って裁断するので、裁断領域2aが変形していても適切に裁断することができる。
【0029】
裁断領域2aは、支持材5の支持部5aとクランパー4との間のタオル生地2の認識領域2gで認識され、カッター7によって裁断される。タオル生地2の変形が想定よりも大きい場合など、裁断領域2aが認識領域2gからはみ出していれば、エラーとして停止する。裁断領域2aは、支持部5aで支持する部分とクランパー4で保持する部分との間の部分となり、この部分には支持や保持が行われないので、裁断によって消耗するとともに裁断時の抵抗も大きいマットやコンベアベルトなどで支持する場合に比較して、低コストで迅速に行い、裁断効率を高めることができる。裁断領域2aは、緯糸が少ないので、光透過性とともに、通気性などが大きくなったりするので、検出手段13は、その違いで事前検出領域2fを検出してもよい。図示のように裁断領域2aが送り方向に湾曲していれば、事前検出領域2fは、裁断領域2a全体に対して先行して検出されるけれども、変形の状態が異なると、裁断領域2aの他の部分が先行する可能性もある。したがって、認識領域2gは、事前検出領域2gの位置や、タオル生地2の変形の傾向を考慮して行うようにすればよい。裁断領域2aの事前検出領域2fを検出しないで、タオル生地2の送り量を制御するようにしてもよい。ただし、タオル生地2の歪みや延び縮みを考慮して、認識手段6が撮像する認識領域2gの範囲を広くする必要があり、画像処理の負担が増加するおそれがある。
【実施例0030】
図7(a)は、本発明の実施例2であるタオル生地裁断機31に使用する支持材35の構成を示し、図7(b)はタオル生地裁断機31の主要部分の動作を示す。支持材35は鉄などの金属板で形成され、実施例1の支持材5および受け部材14の替わり使用される。すなわち、図7(a)に示すように、支持材35は、長手方向に延びる板状の部材であり、幅方向に複数枚が間隔を空けて配置される。支持材35の送り先側の先端は上方に反る形状となり、支持部35aが形成される。支持部35aよりも送り元側は、受け部材14と同等の機能を有する受け部35bとなり、支持材と受け部材とが一体化されている。図7(b)は、図3(b)に対応する動作であり、グリッパー3の櫛歯状の把持部3aに対し、支持部35aよりも送り元側への通過を許容する。なお、把持部3aは上下に開いている状態から閉じることでタオル生地2の先端を把持するので、少なくとも把持部3a下側が櫛歯状となって支持材35を通過可能であればよい。
【0031】
図8(a)および図8(b)は、図4(a)および図5(b)に対応する動作をそれぞれ示す。この間の図4(b)および図5(a)の動作も、支持材35と支持材5および受け部材14の組合せとの違いを除いて、同様に行われる。特に本実施例2では図8(b)に示し、実施例1では図5(b)に示すカッター7による裁断時に支持部35aや支持部5aでタオル生地2を支持することは、クランパー4との間隔が短くなり、安定した裁断を迅速に行い、裁断効率を高めることを可能にする。支持部5a,35aによる支持が無くても、タオル生地2はクランパー4とグリッパー3との間の長い区間で宙づりになるので、支持無しの状態での裁断は可能であっても、弛みが生じて精度良く裁断することは困難になる。テンションを高めて弛みをとることも、区間が長いと困難になる。なお、本実施例のように支持材を待避させない場合でも、支持材と受け部材とを一体化させず、別に設けることもできる。たとえば、実施例1の支持材5と同様に幅方向に延びる板材を直立させ、先端を櫛歯状にしてグリッパー3の把持部3aを通過可能にしておけばよい。
【符号の説明】
【0032】
1,31 タオル生地裁断機
2 タオル生地
2a 裁断領域
2b 裁断線
2f 事前検出領域
2g 認識領域
3 グリッパー
3a 把持部
4 クランパー
4a 保持部
5,35 支持材
5a,35a 支持部
5b 揺動軸
6 認識手段
7 カッター
10 架台
13 検出手段
14 受け部材
35b 受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8