(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163424
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】入力判定装置、及び、入力判定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068345
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】須藤 俊一
(57)【要約】
【課題】操作性の良好な入力判定装置、及び、入力判定方法を提供する。
【解決手段】入力判定装置は、操作面を通じて操作部を操作する利用者の前記操作面へのタッチ操作の座標を検出する座標検出部と、前記タッチ操作の押下力を検出する押下力検出部と、前記押下力検出部によって検出される押下力に基づき、前記操作部のオン及びオフを判定する判定部とを含み、前記判定部は、前記操作部がオンの状態からオフになったと判定した後に前記押下力の極小値を検出し、前記極小値を検出した後に、前記極小値に基づいて設定され前記極小値よりも高い所定の閾値を前記押下力が超えると、前記操作部がオフからオンになったと判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を通じて操作部を操作する利用者の前記操作面へのタッチ操作の座標を検出する座標検出部と、
前記タッチ操作の押下力を検出する押下力検出部と、
前記押下力検出部によって検出される押下力に基づき、前記操作部のオン及びオフを判定する判定部と
を含み、
前記判定部は、
前記操作部がオンの状態からオフになったと判定した後に前記押下力の極小値を検出し、
前記極小値を検出した後に、前記極小値に基づいて設定され前記極小値よりも高い所定の閾値を前記押下力が超えると、前記操作部がオフからオンになったと判定する、
入力判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記操作部がオフの状態で前記押下力が第1閾値を超えるとオンになったと判定し、
前記押下力が前記第1閾値を超えてから、前記第1閾値よりも高く前記押下力のピーク値の所定割合の第2閾値以下になると前記操作部がオンからオフになったと判定し、
前記操作部が前記オンからオフになったと判定した後に前記押下力の極小値を検出する、請求項1に記載の入力判定装置。
【請求項3】
前記極小値は、前記第2閾値以下で前記第1閾値よりも大きい値である、請求項2に記載の入力判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記押下力が前記第1閾値を超えてから前記第2閾値以下になり、前記第1閾値以下になることなく前記押下力の極小値を検出した場合に、前記所定の閾値を前記押下力が超えると、オフからオンになったと判定する、請求項2又は3に記載の入力判定装置。
【請求項5】
前記所定の閾値は、前記極小値に前記極小値の所定の割合を加算した値、又は、前記極小値に第3閾値を加算した値である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の入力判定装置。
【請求項6】
操作面を通じて操作部を操作する利用者の前記操作面へのタッチ操作の座標を検出する座標検出部と、
前記タッチ操作の押下力を検出する押下力検出部と、
前記押下力検出部によって検出される押下力に基づき、前記操作部のオン及びオフを判定する判定部と
を含む入力判定装置における入力判定方法であって、
前記操作部がオンの状態からオフになったと判定した後に前記押下力の極小値を検出し、
前記極小値を検出した後に、前記極小値に基づいて設定され前記極小値よりも高い所定の閾値を前記押下力が超えると、前記操作部がオフからオンになったと判定する、
入力判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力判定装置、及び、入力判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、操作者の入力を受け付ける操作部と、前記操作部に対する接触を検出する接触検出部と、前記操作部に対する押圧荷重の変化を検出する圧電素子と、前記圧電素子が第1押圧荷重の変化を検出したとき、第1処理を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記圧電素子が第2押圧荷重の変化を検出し、且つ、前記第1押圧荷重が検出されてから前記第2押圧荷重が検出されるまでの間に前記接触検出部が前記接触を検出し続けたとき、第2処理を実行する、電子機器がある。前記第2押圧荷重の変化量は、前記第1押圧荷重の変化量以下である。第1押圧荷重の入力は所謂半押しであり、第2押圧荷重の入力は所謂全押しである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半押しと全押しというように押圧荷重が大きく異なる入力方法ではなく、例えば、1回目の操作入力で操作部を選択する操作を行い、1回目と同等の操作荷重で2回目の操作入力を行うことによって1回目で選択した内容を確定させる入力方法のように、操作入力を一度行った後に、操作入力を再度行う入力方法がある。
【0005】
このような入力方法において、1回目の操作入力によってオンになった後にオフと判定するための閾値が1回目の操作入力によるオンを判定するための閾値と同一である場合には、1回目の操作入力の押圧荷重が低下するのを待つことでオフの判定が遅くなる。オフの判定が遅くなると、操作性が良好ではなくなる。
【0006】
そこで、操作性の良好な入力判定装置、及び、入力判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の入力判定装置は、操作面を通じて操作部を操作する利用者の前記操作面へのタッチ操作の座標を検出する座標検出部と、前記タッチ操作の押下力を検出する押下力検出部と、前記押下力検出部によって検出される押下力に基づき、前記操作部のオン及びオフを判定する判定部とを含み、前記判定部は、前記操作部がオンの状態からオフになったと判定した後に前記押下力の極小値を検出し、前記極小値を検出した後に、前記極小値に基づいて設定され前記極小値よりも高い所定の閾値を前記押下力が超えると、前記操作部がオフからオンになったと判定する。
【発明の効果】
【0008】
操作性の良好な入力判定装置、及び、入力判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】操作面101Aに行われるタッチ操作の押下力と、押下判定部143が操作部のオン及びオフを判定する閾値との関係の一例を示す図である。
【
図3】押下判定部143が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の入力判定装置、及び、入力判定方法を適用した実施形態について説明する。
【0011】
<実施形態>
図1は、実施形態の電子機器100を示す図である。電子機器100は、筐体101、タッチパネル110、ディスプレイパネル120、押下力検出部130、及び制御装置140を含む。タッチパネル110は座標検出部の一例であり、ディスプレイパネル120は表示部の一例である。
【0012】
電子機器100から筐体101とディスプレイパネル120を除いた部分は、実施形態の入力判定装置100Aを構成する。このため、タッチパネル110、ディスプレイパネル120、押下力検出部130、及び制御装置140には、括弧書きで符号100Aを示す。入力判定装置100Aは、タッチパネル110、ディスプレイパネル120、押下力検出部130、及び制御装置140を含む。また、入力判定装置100Aが実行する方法は、実施形態の入力判定方法である。なお、入力判定装置100Aは、筐体101を含んでもよい。
【0013】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。X軸に平行な方向(X方向)、Y軸に平行な方向(Y方向)、Z軸に平行な方向(Z方向)は、互いに直交する。また、以下では、説明の便宜上、-Z方向側を下側又は下、+Z方向側を上側又は上と称す場合があるが、普遍的な上下関係を表すものではない。また、平面視とはXY面視することをいう。また、以下では構成が分かり易くなるように各部の長さ、太さ、厚さ等を誇張して示す場合がある。
【0014】
筐体101は、操作面101Aを有し、タッチパネル110、ディスプレイパネル120、押下力検出部130、及び制御装置140を収容する。筐体101は一例として樹脂製であり、操作面101Aは、タッチパネル110の上側に位置する透明なプレートの表面である。透明なプレートは、例えばガラス製又は樹脂製である。
【0015】
図1では筐体101のZ方向の厚さを誇張して示す。操作面101AはXY平面に平行である。タッチパネル110、ディスプレイパネル120、押下力検出部130は、一例として操作面101Aから下方に向かって、この順に設けられている。なお、タッチパネル110、ディスプレイパネル120、押下力検出部130が設けられる順は、この順に限られるものではない。
【0016】
電子機器100は、一例として、利用者によって操作面101Aに行われるタッチ操作の座標をタッチパネル110で検出するとともに、タッチ操作の押下力を押下力検出部130で検出し、タッチパネル110で検出される座標と、押下力検出部130で検出される押下力とに応じて、制御装置140がGUI(Graphic User Interface)でディスプレイパネル120に表示する操作部へのタッチ操作を受け付け、操作内容に応じてディスプレイパネル120の表示を制御する。タッチ操作は、利用者が指先FTを操作面101Aに触れて行う操作入力であり、利用者が操作面101Aを通じて操作部を操作する操作入力である。また、制御装置140は、操作内容に応じてディスプレイパネル120の表示を制御するとともに、電子機器100を利用者の入力部として制御される制御対象になる機器を制御する制御信号を出力してもよい。
【0017】
電子機器100は、例えば車両に搭載することが可能であり、HMI(Human Machine Interface)として利用可能な機器である。この場合に、制御対象になる機器は、例えば車両に搭載されるナビゲーションシステム、オーディオ、エアコンディショナ等の様々な機器であってよい。制御装置140が出力する制御信号は、例えば、これらの機器を操作するための信号である。
【0018】
タッチパネル110は、一例として静電容量式のタッチパネルであり、操作面101Aに触れる利用者の手の指先FT等の位置を表す座標を検出する。ここでは一例として利用者が指先FTを操作面101Aに触れて操作入力を行う場合について説明する。なお、タッチパネル110は静電容量式以外であってもよく、例えば抵抗膜式であってもよい。
【0019】
ディスプレイパネル120は、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイパネル等を用いることができる。ディスプレイパネル120には、上述した車両の様々な機器の操作部の画像を表示することができる。操作部の画像は、例えば制御対象がオーディオの場合は、ボリューム操作用のスイッチ、選曲用のスイッチ等を表すGUI画像である。
【0020】
押下力検出部130は、操作面101Aに行われるタッチ操作の押下力を検出する。押下力は、タッチ操作の下方向への押圧荷重である。押下力検出部130としては、例えばピエゾ素子を用いたセンサ、又は、変位を検出可能なセンサ等を用いることができる。なお、押下力検出部130は、タッチパネル110で検出されるタッチ操作の面積を押下力に変換する処理部であってもよい。押下力検出部130は、平面視でタッチパネル110よりも大きく、押下力を検出可能な領域130Aは、平面視においてタッチパネル110でタッチ操作を検出可能な領域110Aよりも大きく、領域110Aを含む。タッチパネル110の端部において行われるタッチ操作の押下力を検出可能にするためである。
【0021】
制御装置140は、位置判定部141、押下力取得部142、押下判定部143、HMI処理部144、及びメモリ145を有する。押下判定部143は、判定部の一例である。制御装置140は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0022】
位置判定部141、押下力取得部142、押下判定部143、及びHMI処理部144は、制御装置140が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。メモリ145は、制御装置140のメモリを機能的に表したものである。
【0023】
位置判定部141は、タッチパネル110のX方向に延在する複数の電極と、Y方向に延在する複数の電極とに順番に電圧を印加し、X方向に延在する複数の電極と、Y方向に延在する複数の電極との交点における静電容量を検出し、タッチ操作が行われた位置(座標)を判定する。
【0024】
押下力取得部142は、押下力検出部130によって検出される押下力を取得し、デジタル変換処理等を施して押下判定部143に出力する。
【0025】
押下判定部143は、押下力取得部142から出力される押下力を表すデータを閾値と比較し、タッチ操作による押下によって操作部がオン又はオフになったかどうかを判定する。押下判定部143の処理については、
図2を用いて後述する。
【0026】
HMI処理部144は、位置判定部141によって判定されるタッチ操作が行われた位置と、押下判定部143の判定結果とに応じて、ディスプレイパネル120の表示を制御する。HMI処理部144は、押下判定部143の判定結果によって操作部が1回目のオンになると、操作部を選択した状態に設定し、さらに2回目のオンになると選択が確定した状態に設定する。
【0027】
メモリ145は、位置判定部141、押下力取得部142、押下判定部143、及びHMI処理部144が処理を行うために必要なプログラムやデータの他、処理によって生じるデータ等を格納する。
【0028】
図2は、操作面101Aに行われるタッチ操作の押下力と、押下判定部143が操作部のオン及びオフを判定する閾値との関係の一例を示す図である。
図2において横軸は時間軸tである。横軸の下には、押下判定部143の判定結果(オン、オフ)を示す。また、
図2の縦軸には、第1閾値TH1、第2閾値TH2、所定の閾値THDの他に、閾値TH0、ピーク値PK、及びボトム値BTMを示す。
【0029】
第1閾値TH1は、操作部がオフの状態からオンに切り替わるときに用いる閾値である。押下判定部143は、操作部がオフの状態において、押下力が第1閾値TH1を超えると操作部がオンになったと判定する。これは、タッチ操作によって操作部が1回目のオンになるときである。第1閾値TH1は、例えば、利用者がタッチ操作で操作面101Aを押下して、操作部を選択するタッチ操作を行う際に用いられる。押下力が第1閾値TH1を超えて操作部がオンになったと押下判定部143が判定することにより、操作部が選択されることになる。なお、操作部が1回目のオンになった後にオフになっても、押下力が第1閾値TH1よりも大きい間は、HMI処理部144は、操作部が選択された状態を保持する。
【0030】
ピーク値PKは、操作部がオフの状態からオンに切り替わった後に、押下判定部143によって検出される押下力のピーク値である。押下判定部143は、操作部がオフの状態からオンに切り替わった後に、押下力を監視することによって押下力のピーク値(極大値)を検出する。押下判定部143は、検出したピーク値PKをメモリ145に格納する。
【0031】
第2閾値TH2は、操作部がオンの状態で押下力がピーク値PKから低下したときに、操作部のオンからオフへの切り替わりを判定する際に用いる閾値である。第2閾値TH2は、押下判定部143によってピーク値PKの所定割合(100%よりも小さな百分率で表される割合)に設定される。所定割合は、一例として70%~85%に設定される。押下判定部143は、操作部がオンの状態で押下力がピーク値PKから低下して第2閾値TH2以下になると、操作部がオンからオフになったと判定する。
【0032】
ボトム値BTMは、操作部がオンの状態で押下力がピーク値PKから低下して第2閾値TH2以下になって操作部がオンからオフになった場合における押下力の極小値であり、押下力が第2閾値TH2以下になってから所定時間内に検出される。所定時間内という制限を設けたのは、1回目のオンで操作部を選択した後に、操作部の選択を確定させるために行う2回目のオンは、1回目のオンの後の早い段階で行われると考えられるからである。押下力のボトム値BTMは、利用者が操作部を選択して押下力を一度弱めている状態で、操作部の選択を確定するために再度押下したときに生じる極小値である。ボトム値BTMは、第2閾値TH2以下であり、第1閾値TH1よりも大きい値になる。押下力が第1閾値TH1以下になるとHMI処理部144によって操作部の選択がオフにされるからである。ボトム値BTMは、押下判定部143によって検出され、メモリ145に格納される。
【0033】
所定の閾値THDは、操作部がオンの状態で押下力がピーク値PKから低下して第2閾値TH2以下になって操作部がオンからオフになり、ボトム値BTMを取った後に再び増大する際に、操作部が再度オフからオンに切り替わるときに用いる閾値である。これは、1回目のオンの後のタッチ操作によって操作部が2回目のオンになるときである。所定の閾値THDは、ボトム値BTMに基づいて押下判定部143によって設定される値であり、例えば、ボトム値BTMにボトム値BTMの所定の割合を加算した値、又は、ボトム値BTMに閾値(第3閾値の一例)を加算した値である。所定の割合は、例えば40%~60%程度に設定すればよい。ボトム値BTMに加算する閾値は、例えばボトム値BTMの40%~60%程度に設定すればよく、また、予め定めた或る実数値であってもよい。
【0034】
閾値TH0は、操作面101Aにタッチ操作が行われているかどうかを判定するために用いられる閾値である。ここでは、タッチ操作が行われているかどうかの判定は、一例として押下判定部143が行うものとする。なお、閾値TH0は、例えば第1閾値TH1の半分程度でよい。
【0035】
図2に示すように、時刻t0において押下力が立上り、時刻t1で第1閾値TH1を超えると、押下判定部143はオフからオンになったと判定する。押下力が増大し続ける際に押下判定部143は押下力を監視し続け、時刻t2でピーク値PKを検出する。押下判定部143は、ピーク値PKを検出すると第2閾値TH2を算出する。
【0036】
時刻t2以降は押下力が低下し、時刻t3で第2閾値TH2以下になると、押下判定部143は、オンからオフになったと判定する。押下力は低下し続け、押下判定部143は押下力を監視し続け、時刻t4でボトム値BTMを検出する。押下判定部143は、ボトム値BTMを検出すると所定の閾値THDを算出する。
【0037】
押下力はボトム値BTMを取ると再度増大し、時刻t5で所定の閾値THDを超えると、押下判定部143は、操作部がオフからオンになったと判定する。押下判定部143は、時刻t1でオンになって時刻t3でオフになった後に、押下力が第1閾値TH1以下になることなく、ボトム値BTMに基づいて押下判定部143によって設定される所定の閾値THDを超えたため、オフからオンになったと判定する。これは2回目のオンである。操作部の選択が保持された状態で再びオンになっているため、選択している操作部の操作が確定することになる。
【0038】
図3は、押下判定部143が実行する処理を表すフローチャートを示す図である。
図3のフローチャートが示す処理は、実施形態の入力判定方法による処理である。
【0039】
押下判定部143は、処理がスタートすると、押下力が第1閾値TH1よりも大きいかどうかを判定する(ステップS1)。押下判定部143は、押下力が第1閾値TH1よりも大きくない(S1:NO)と判定すると、押下力が第1閾値TH1よりも大きい(S1:YES)と判定するまでステップS1の処理を繰り返し実行する。
【0040】
押下判定部143は、押下力が第1閾値TH1よりも大きい(S1:YES)と判定すると、操作部がオフからオンになったと判定する(ステップS2)。これは1回目のオンである。1回目のオンにより、HMI処理部144は、操作部が選択された状態に設定する。
【0041】
押下判定部143は、押下力のピーク値PKの検出を開始する(ステップS3)。ステップS3は、サブルーチン処理であり、押下判定部143は、操作部がオフの状態からオンに切り替わった後に、押下力を監視することによって押下力のピーク値(極大値)を検出する。なお、押下判定部143は、検出したピーク値PKをメモリ145に格納する。
【0042】
押下判定部143は、押下力のピーク値PKを検出すると、押下力が第2閾値TH2以下であるかどうかを判定する(ステップS4)。押下判定部143は、押下力が第2閾値TH2以下になるまでステップS4の処理を繰り返し実行する。
【0043】
押下判定部143は、押下力が第2閾値TH2以下である(S4:YES)と判定すると、操作部がオンからオフになったと判定する(ステップS5)。このとき、HMI処理部144は、操作部を選択された状態に保持する。
【0044】
押下判定部143は、ボトム値BTMの検出を開始する(ステップS6)。ステップS6は、サブルーチン処理であり、押下判定部143は、押下力を監視することによって押下力のボトム値BTMの検出を実行する。
【0045】
押下判定部143は、押下力が所定の閾値THDよりも大きいかどうかを判定する(ステップS7)。
【0046】
押下判定部143は、ステップS7で押下力が所定の閾値THDよりも大きい(S7:YES)と判定すると、オンになったと判定する(ステップS8)。これは2回目のオンであるため、HMI処理部144は、操作部の選択を確定させる。ステップS8の処理を終えるとフローはステップS3にリターンする。2回目のオンの後の操作を判定するためである。
【0047】
また、押下判定部143は、押下力が所定の閾値THDよりも大きくない(S7:NO)と判定すると、押下力が第1閾値TH1以下であるかどうかを判定する(ステップS9)。押下力が所定の閾値THD以下であり、2回目のオンにするための操作が行われない場合があるため、第1閾値TH1以下であるかどうかを判定する処理を設けたものである。
【0048】
押下判定部143は、押下力が第1閾値TH1以下である(S9:YES)と判定すると、操作部がオフになったと判定する(ステップS10)。この結果、HMI処理部144は、押下操作が選択されていない状態に設定する。以上により、一連の処理が終了する(エンド)。
【0049】
また、押下判定部143は、ステップS9において押下力が第1閾値TH1以下ではない(S9:NO)と判定すると、フローをステップS7にリターンする。押下力が所定の閾値THDよりも大きいかどうかを判定するためである。
【0050】
以上のように、電子機器100及び入力判定装置100Aでは、押下力が第1閾値TH1を超えて操作部が1回目のオンになり、操作部がオンの状態で押下力がピーク値PKから低下して第2閾値TH2以下になって操作部がオンからオフになり、ボトム値BTMで底をついて所定の閾値THDを超えると、操作部が2回目のオンになる。このため、2回目のオンを早期に判定することができる。
【0051】
したがって、操作性の良好な入力判定装置100A及び電子機器100と、入力判定方法とを提供することができる。この結果、HMI処理部144は、押下判定部143によるオン、オフの判定結果と、位置判定部141によって判定されるタッチ操作が行われた位置とに応じて、操作部の選択を早期に確定させることができる。
【0052】
また、押下判定部143は、オフの状態で押下力が第1閾値TH1を超えるとオンになったと判定し、押下力が第1閾値TH1を超えてから、第2閾値TH2以下になるとオンからオフになったと判定し、オンからオフになったと判定した後に押下力のボトム値BTMを検出するので、1回目のオンの後に押下力が低下して2回目のオンのために押下力が増大するときの底の値をボトム値BTMとして検出することができる。
【0053】
また、ボトム値BTMは、第2閾値TH2以下で第1閾値TH1よりも大きい値であるため、より早い段階で2回目のオンを判定することができる。
【0054】
また、押下判定部143は、押下力が第1閾値TH1を超えてから第2閾値TH2以下になり、第1閾値TH1以下になることなく押下力のボトム値BTMを検出した場合に、所定の閾値THDを押下力が超えると、オフからオンになったと判定するため、1回目のオンから連続的に2回目のオンに向けた操作が行われたときに、2回目のオンの判定を行うことができる。
【0055】
また、所定の閾値THDは、ボトム値BTMに所定の割合を乗じた値、又は、ボトム値BTMに閾値を加算した値であるため、検出したボトム値BTMに応じて2回目のオンの判定用の所定の閾値THDを生成でき、押下力に応じて早期に2回目のオンを実行することができる。このため、操作性がより良好な入力判定装置100A及び電子機器100と、入力判定方法とを提供することができる。
【0056】
以上、本発明の例示的な実施形態の入力判定装置、及び、入力判定方法について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
100 電子機器
101A 操作面
110 タッチパネル
120 ディスプレイパネル
130 押下力検出部
140 制御装置
141 位置判定部
142 押下力取得部
143 押下判定部
144 HMI処理部
145 メモリ