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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163453
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】読取システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20221019BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G06K7/10 104
G06K7/10 176
G06K19/07 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068388
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 渉
(57)【要約】
【課題】無線タグの読み取りを効率的に行うことを容易に可能にする。
【解決手段】無線タグは、情報の読み取りに応じて第1状態と第2状態とを交互に遷移する。指定手段により、複数の業務ごとに、読取対象として第1状態のみ又は前記第1状態および第2状態を指定するとともに、適する読取状態を指定する。読取状態は、無線タグの読み取り後に無線タグへの電力供給の有無に関わらず無線タグからの応答を第1の抑止時間に亘って抑止する第1読取状態と、無線タグの読み取り後に無線タグへの定期的な電力供給を続けた場合に無線タグからの応答を第2の抑止時間に亘って抑止する第2読取状態と、無線タグの読み取り後に無線タグへの定期的な電力供給を続けた場合に無線タグからの応答を第3の抑止時間に亘って抑止する第3読取状態と、無線タグの読み取り後に無線タグへの電力供給を継続した場合に無線タグからの応答を抑止する第4読取状態とである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の読み取りに応じて第1状態と第2状態とを交互に遷移する無線タグから情報を読み取る読取システムであって、
前記無線タグの情報を読み取る読取手段と、
複数の業務ごとに、読取対象として前記第1状態のみ又は前記第1状態および前記第2状態を指定するとともに、前記読取手段による読取状態として、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給の有無に関わらず、前記無線タグからの応答を第1の抑止時間に亘って抑止する第1読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、電力供給が有る間および電力供給がなくなってからの第2の抑止時間に亘って前記無線タグからの応答を抑止する第2読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、電力供給が有る間および電力供給がなくなってからの第3の抑止時間に亘って前記無線タグからの応答を抑止する第3読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給を継続した場合に、前記無線タグからの応答を抑止する第4読取状態と、の何れかを指定する指定手段と、
前記指定手段の指定に従って、前記読取手段を制御する読取制御手段と、
を備える読取システム。
【請求項2】
前記複数の業務は、少なくとも、複数の無線タグを読取対象とする棚卸業務と、前記棚卸業務で情報を読み取られなかった無線タグを読取対象とする絞込業務とであって、
前記指定手段は、
前記棚卸業務について前記読取手段による読取状態を前記第1読取状態、前記第2読取状態および前記第3読取状態の何れかに指定し、前記絞込業務について前記読取手段による読取状態を前記第4読取状態に指定するか、又は、
前記棚卸業務について前記読取手段による読取状態を前記第2読取状態および前記第3読取状態の何れかに指定し、前記絞込業務について前記読取手段による読取状態を前記第4読取状態および前記第1読取状態の何れかに指定する
請求項1に記載の読取システム。
【請求項3】
前記複数の業務は、特定の無線タグを読取対象とする探索業務をさらに含み、
前記指定手段は、前記探索業務について、前記読取手段による読取状態を前記第4読取状態に指定し、
前記読取制御手段は、前記棚卸業務の実行中に、所定の操作の受け付けを契機として、前記探索業務に移行する
請求項2に記載の読取システム。
【請求項4】
前記指定手段は、前記棚卸業務から前記絞込業務への移行の契機とする事象を指定し、
前記読取制御手段は、前記棚卸業務にかかる読み取り中に前記事象が現れると前記絞込業務に移行する
請求項2または3に記載の読取システム。
【請求項5】
前記読取制御手段は、前記棚卸業務の実行中に、所定の操作の受け付けを契機として、前記絞込業務に移行する
請求項2~4の何れか1項に記載の読取システム。
【請求項6】
情報の読み取りに応じて第1状態と第2状態とを交互に遷移する無線タグから情報を読み取る読取システムのコンピュータを、
前記無線タグの情報を読み取る読取手段と、
複数の業務ごとに、読取対象として前記第1状態のみ又は前記第1状態および前記第2状態を指定するとともに、前記読取手段による読取状態として、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給の有無に関わらず、前記無線タグからの応答を第1の抑止時間に亘って抑止する第1読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、電力供給が有る間および電力供給がなくなってからの第2の抑止時間に亘って前記無線タグからの応答を抑止する第2読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、電力供給が有る間および電力供給がなくなってからの第3の抑止時間に亘って前記無線タグからの応答を抑止する第3読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給を継続した場合に、前記無線タグからの応答を抑止する第4読取状態と、の何れかを指定する指定手段と、
前記指定手段の指定に従って、前記読取手段を制御する読取制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線タグが記憶するデータを読み取ることにより、当該無線タグが付された物品の在庫管理等が行われている。無線タグは、例えば、所定の周波数帯の電波により遠隔からデータを読み取り可能なICチップを含むタグ(ICタグ)である。データの読み取りには、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)、すなわち近距離無線通信を用いた自動認識技術が用いられる。また、上述の在庫管理等には、例えば特許文献1が開示するような無線タグ読取装置や、これを管理・制御する読取制御装置が用いられる。無線タグ読取装置は、無線タグへ向けて電波を放射し、当該電波を受けた無線タグが発する電波を受けることにより、無線タグに記憶されたデータ(以下、タグデータともいう)を読み取る。また、無線タグ読取装置は、無線タグに搭載されたインベントリフラグと呼ばれる機能を利用することで、未読取の無線タグと読取済の無線タグとを区別しながらタグデータの読み取りを行う。
【0003】
ところで、在庫管理等においては、大量の無線タグに登録されたデータを読み取る場合がある。このような場合、様々な原因により、全ての無線タグの読み取りが一度では完了しないので、読み取りを何度か繰り返すことで、読みこぼし(読み残し)を無くしていく作業を行う。
【0004】
この作業を効率よく進めて短時間で終えられるようにするためには、読み取りの進行具合と無線タグやアンテナの特性とを考慮して、読取装置の設定が変更されていくことが望ましい。しかしながら、この作業を実際に行う小売店の店員は、読取装置に必ずしも詳しくないので、適切なタイミングで適切な設定に切り替えることは困難であることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、無線タグの読み取りを効率的に行うことを容易に可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の読取システムは、情報の読み取りに応じて第1状態と第2状態とを交互に遷移する無線タグから情報を読み取るものであって、前記無線タグの情報を読み取る読取手段と、複数の業務ごとに、読取対象として前記第1状態のみ又は前記第1状態および前記第2状態を指定するとともに、前記読取手段による読取状態として、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給の有無に関わらず、前記無線タグからの応答を第1の抑止時間に亘って抑止する第1読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、電力供給が有る間および電力供給がなくなってからの第2の抑止時間に亘って前記無線タグからの応答を抑止する第2読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、電力供給が有る間および電力供給がなくなってからの第3の抑止時間に亘って前記無線タグからの応答を抑止する第3読取状態と、無線タグの応答を前記読取手段が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給を継続した場合に、前記無線タグからの応答を抑止する第4読取状態と、の何れかを指定する指定手段と、前記指定手段の指定に従って、前記読取手段を制御する読取制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る読取システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るRFIDタグ読取装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態のRFIDタグ読取装置がRFIDタグの読み取りを行う際のRFIDタグの状態遷移図である。
図5図5は、実施形態に係るRFIDタグの各セッションにおけるパーシステンスタイムの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るRFIDタグ読取装置及び情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
図7図7は、設定記憶部が記憶する設定の内容の一例を示す図である。
図8図8は、業務マスタの一例を示す図である。
図9図9は、出力マスタの一例を示す図である。
図10図10は、Q値マスタの一例を示す図である。
図11図11は、偏波種類マスタの一例を示す図である。
図12図12は、セッションマスタおよびターゲットマスタの一例を示す図である。
図13図13は、自動絞込マスタの一例を示す図である。
図14図14は、表示部が表示するGUIの一例を示す図である。
図15図15は、表示部が表示するGUIの一例を示す図である。
図16図16は、表示部が表示するGUIの一例を示す図である。
図17図17は、読取システムが行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図18図18は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図19図19は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図20図20は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図21図21は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図22図22は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図23図23は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図24図24は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図25図25は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図26図26は、棚卸業務画面の一例を示す図である。
図27図27は、明細画面の一例を示す図である。
図28図28は、探索業務画面の一例を示す図である。
図29図29は、探索業務画面の一例を示す図である。
図30図30は、探索業務画面の一例を示す図である。
図31図31は、探索業務画面の一例を示す図である。
図32図32は、実施形態に係る読取システムの外観の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、実施形態に係る読取システム、無線タグ読取装置、読取制御装置及びプログラムについて説明する。なお、以下に説明する実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る読取システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、読取システム1は、RFIDタグ読取装置10と、情報処理装置20とを有する。RFIDタグ読取装置10は、無線タグ読取装置の一例である。また、情報処理装置20は、読取制御装置の一例である。なお、RFIDタグTGは、無線タグの一例である。RFIDタグ読取装置10と情報処理装置20とは、例えばBluetooth(登録商標)等の無線により通信可能に接続される。
【0010】
RFIDタグ読取装置10は、RFIDタグTGが記憶するタグデータを非接触で読み取る。RFIDタグTGは、例えば商品等の物品Gに付され、図示しない記憶媒体にタグデータを記憶する。タグデータには、RFIDタグTG自身を識別可能なタグ識別子、RFIDタグTGが付された物品Gの種別を識別可能な物品識別子、CRC(Cyclic Redundancy Code)等が含まれる。RFIDタグ読取装置10は、RFIDタグTGから読み取ったタグデータを情報処理装置20に送信する。
【0011】
ここで、図32は、実施形態に係る読取システム1の外観の一例を示す図であって、(a)は正面側(商品に向ける側)から見た状態、(b)は背面側(操作者に面する側)から見た状態を示す。本実施形態のRFIDタグ読取装置10は、図32に例示するようなハンディタイプの無線タグ読取装置であり、操作者が携帯することが可能となっている。携帯に際し、操作者は、RFIDタグ読取装置10の背面に設けられたハンドル17を持ち手として用いる。RFIDタグ読取装置10は、例えば、操作者により物品Gが載置された棚等に向けられることで、物品Gの各々に付されたRFIDタグTGからタグデータの読み取りを行う。
【0012】
図1に戻り、情報処理装置20は、RFIDタグ読取装置10から送信されるタグデータを受信し、当該タグデータに基づいて商品の在庫管理を行う。また、情報処理装置20は、RFIDタグ読取装置10による無線タグの読み取り動作を制御する。
【0013】
本実施形態の情報処理装置20は、図1に示すようにRFIDタグ読取装置10と別体であり、また、図32に示すようにスマートフォンやタブレット端末等の端末装置で実現されてRFIDタグ読取装置10が備える取付部18に着脱自在である。但し、実施にあたっては、情報処理装置20がRFIDタグ読取装置10に取り付け可能に構成されていなくてもよいし、或いは、情報処理装置20とRFIDタグ読取装置10とが一体に構成されていてもよい。
【0014】
次に、RFIDタグ読取装置10及び情報処理装置20のハードウェア構成について説明する。図2は、RFIDタグ読取装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0015】
図2に示すように、RFIDタグ読取装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶部14等を備えている。CPU11は、プロセッサの一例であり、RFIDタグ読取装置10の動作を統括的に制御する。ROM12は、各種プログラムを記憶する。RAM13は、各種データを展開するためのワーキングメモリとして使用される。
【0016】
CPU11、ROM12、RAM13及び記憶部14は、バス等を介して接続される。ここで、CPU11、ROM12及びRAM13は、制御部100を構成する。制御部100は、CPU11がROM12や記憶部14に記憶されたプログラムに従って動作することによって、各種制御処理を実行する。
【0017】
記憶部14は、電源を切っても記憶情報を保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。記憶部14は、各種のプログラムや設定情報を記憶する。
【0018】
また、制御部100には、バス等を介して、読取部15と、通信部16とが接続される。読取部15は、アンテナ151と、送信部152と受信部153とを有する。
【0019】
アンテナ151は、例えば、直線偏波切替方式のものである。周知のように、円偏波アンテナは、RFIDタグTGの向きによらず読取可能であるという利点があるが、直線偏波アンテナよりも読取距離が劣り、また、最終的な読みこぼしを無くしにくい。これに対して直線偏波切替方式のアンテナは、偏波の向きを切り替える必要があるものの、水平方向および鉛直方向の2方向での読み取りを実施することで最終的な読みこぼしを無くすことが可能である。
【0020】
送信部152は、アンテナ151から電波を放射させるための電力をアンテナ151に供給する。受信部153は、アンテナ151を介してRFIDタグTGから送信される電波を受信する。読取部15は、制御部100(読取処理部101、図6参照、後述)の制御の下、RFIDタグTGを読み取るための電波を放射し、当該電波を受けた無線タグが発する電波を受信することで、RFIDタグTGに記憶されたタグデータを読み取る。通信部16は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格に準拠した通信インタフェースである。通信部16は、情報処理装置20と無線通信を行う。
【0021】
図3は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、図3に示すように、CPU21、ROM22、RAM23、記憶部24等を備えている。
【0022】
CPU21は、プロセッサの一例であり、情報処理装置20の動作を統括的に制御する。ROM22は、各種プログラムを記憶する。RAM23は、各種データを展開するためのワーキングメモリとして使用される。また、RAM23は、RFIDタグ読取装置10で読み取られたタグデータを記憶するための読取バッファBFを保持する。
【0023】
CPU21、ROM22、RAM23、及び記憶部24は、バス等を介して接続される。ここで、CPU21、ROM22及びRAM23は、制御部200を構成する。制御部200には、バス等を介して、表示部25、操作部26、及び通信部27等が接続される。制御部200は、CPU21がROM22や記憶部24に記憶されたプログラムに従って動作することによって、上記各部(表示部25、操作部26、通信部27等)を統括的に制御する各種制御処理を実行する。
【0024】
記憶部24は、電源を切っても記憶情報を保持するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。記憶部24は、各種のプログラムや設定情報を記憶する。
【0025】
なお、記憶部24は、RFIDタグ読取装置10を制御するためのアプリケーションソフトウェアプログラムを記憶する。このアプリケーションソフトウェアプログラムをCPU21が実行すると、表示部25に、RFIDタグ読取装置10を操作するためのGUI(Graphic User Interface)が表示される。
【0026】
表示部25は、例えば液晶パネル等で形成されており、操作者に対して各種の情報を表示する。操作部26は、例えば各種操作ボタンやタッチパネル等の入力デバイスを有し、操作者による操作を受け付ける。タッチパネルは表示部25に重ねて設けられ、表示部25の表示内容(GUI)に応じた操作を受け付ける。通信部27は、上述した通信部16と同様の通信規格に準拠した通信インタフェースである。通信部27は、RFIDタグ読取装置10と無線通信を行う。
【0027】
次に、図4を用いて、RFIDタグ読取装置10が備えるRFIDタグ読取機能について説明する。なお、RFIDタグ読取装置10は、ISO18000-63(EPC global Gen2)のエアインタフェースに準拠したRFIDタグ読取機能を備えているものとする。
【0028】
なお、RFIDタグTGは、アンテナと、起電力部と、メモリと、制御部と、を備える。アンテナは、RFIDタグ読取装置10のアンテナ151から放射された電波を受信し、また、制御部の制御に従って電波を放射する。起電力部は、アンテナがRFIDタグ読取装置10から受信した電波で、RFIDタグTGを起動するための電力や、制御部が動作するための電力を発生する。メモリは、RFIDタグTGが付された物品Gの物品情報や、当該RFIDタグTGを特定するタグ情報等を記憶する。制御部は、RFIDタグTGの読み取りに係る動作全体を制御する。より具体的には、制御部は、アンテナによる電波の送受信の制御や、メモリが記憶する情報の読み書きを行って、タグ情報や物品情報をRFIDタグ読取装置10に送信する等の制御を行う。
【0029】
図4は、RFIDタグ読取装置10がRFIDタグTGの読み取りを行う際のRFIDタグTGの状態遷移図である。なお、図4では、RFIDタグTGの状態遷移のうち、主要な部分を示している。
【0030】
まず、RFIDタグ読取装置10の移動等に伴い、電源OFF状態31であるRFIDタグTGがアンテナ151の交信領域に入ると、RFIDタグTGはスタンバイ状態32に遷移する。RFIDタグ読取装置10は、所定の送信周期でQ値を含むQueryコマンドを送信する。
【0031】
RFIDタグTGがスタンバイ状態32にあるとき、RFIDタグ読取装置10からQueryコマンドを受信すると、RFIDタグTGは調停状態33に遷移する。Queryコマンドは、RFIDタグ読取装置10がRFIDタグTGに対して、複数のタグの中の個別のタグを識別するインベントリへの参加を問い合わせるコマンドである。なお、調停状態33にあるとき、RFIDタグTGは、RFIDタグ読取装置10に対して同時に応答しないように調停を行う。
【0032】
RFIDタグTGが調停状態33にあるとき、RFIDタグ読取装置10からQuery Adjustコマンド又はQuery Repコマンドを受信すると、RFIDタグTGは応答状態34に遷移する。応答状態34にあるとき、対象となるRFIDタグTGは、16ビットの乱数であるRN16を生成してRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0033】
RFIDタグTGが応答状態34にあるとき、RFIDタグ読取装置10から送信された、RN16を含む応答信号であるAckコマンドを受信すると、RFIDタグTGは、Ackコマンドの中に、自身が送信したRN16が含まれているかを検出する。そして、RN16が含まれていることが検出されると、RFIDタグTGは承認状態35に遷移する。承認状態35にあるとき、RFIDタグTGは、自身が記憶するタグ識別子の一例であるEPC(Electronic Product Code)等を含んだタグデータを送信する。
【0034】
なお、調停状態33、応答状態34及び承認状態35は、複数のRFIDタグTGを読み取る際に、各RFIDタグTGからのデータの衝突を回避してそれぞれのタグデータを読み取る、いわゆるアンチコリジョンを実現するためのインベントリ処理36を構成する。
【0035】
インベントリ処理36を行う際に、RFIDタグ読取装置10は、予め設定されたQ値に基づいて、RFIDタグTGをQ値に応じた数のグループ(スロット)に分割する。そして、分割されたスロット毎にRFIDタグTGを読み取る。このとき、スロット=0のRFIDタグTGのみが応答を返す。RFIDタグ読取装置10は、唯1つのタグデータが読み取られた場合に、当該タグデータを読み取り結果として採用する。
【0036】
一方、複数のタグデータが読み取られた場合は、コリジョンが発生したものと判断して、スロットを切り替えて(スロット値をデクリメント(-1))して読取処理を繰り返す。以降、唯1つのタグデータが読み取られるまで読み取り処理を繰り返すことによって、アンチコリジョンを実現する。例えば、RFIDタグTGの個数が100~200枚程度であれば、Q値を8~10(スロット数256(=28)~1024(=210))程度に設定することで、全てのRFIDタグTGを読み取りの対象とすることができる。なお、このようなアンチコリジョン方式は、タイムスロット方式のアンチコリジョン機能として一般に用いられている。
【0037】
また、RFIDタグ読取装置10は、RFIDタグTGからの応答に応じて、Q値を自動的に調整する機能を備えている。具体的には、RFIDタグ読取装置10は、スロット数に対してRFIDタグTGからの応答が適切か、スロット数に対してRFIDタグTGからの応答が多いか、又はスロット数に対してRFIDタグTGからの応答が少ないか等に応じて、Q値を自動的に調整する。なお、Q値の自動調整は、公知の技術を用いることができる。
【0038】
RFIDタグTGが承認状態35にあるとき、RFIDタグ読取装置10からReq_RNコマンドを受信すると、RFIDタグTGはオープン状態37に遷移する。
【0039】
RFIDタグTGがオープン状態37にあるとき、RFIDタグ読取装置10からSelectコマンドを受信すると、RFIDタグTGはスタンバイ状態32に遷移する。また、RFIDタグTGがオープン状態37にあるとき、RFIDタグ読取装置10からKillコマンドを受信すると、RFIDタグTGは機能停止状態39に遷移する。
【0040】
さらに、RFIDタグTGがオープン状態37にあるとき、RFIDタグ読取装置10からAccessコマンドを受信すると、RFIDタグTGはセキュア状態38に遷移する。
【0041】
RFIDタグTGがセキュア状態38にあるとき、RFIDタグ読取装置10からSelectコマンドを受信すると、RFIDタグTGはスタンバイ状態32に遷移する。また、RFIDタグTGがセキュア状態38にあるとき、RFIDタグ読取装置10からKillコマンドを受信すると、RFIDタグTGは機能停止状態39に遷移する。
【0042】
RFIDタグTGが機能停止状態39にあるとき、RFIDタグTGがアンテナ交信領域から外れると、RFIDタグTGは電源OFF状態31に遷移する。
【0043】
また、RFIDタグ読取装置10は、独立した4種類のセッションS0、S1、S2、S3の何れかを実行することによって、RFIDタグTGの情報を読み取ることができる。具体的には、RFIDタグ読取装置10は、4種類のセッションS0、S1、S2、S3の中から1つを選択して、選択したセッションを上述したQueryコマンド、Query Adjustコマンド、Query Repコマンドによって指定する。さらに、RFIDタグ読取装置10は、Queryコマンドによって、読取対象となるRFIDタグTGのインベントリフラグの状態を指定する。
【0044】
ここで、インベントリフラグがオンである(インベントリフラグがA状態、第1状態の一例)とは、RFIDタグTGが未応答(未読取)であることを表す。また、インベントリフラグがオフである(インベントリフラグがB状態、第2状態の一例)とは、RFIDタグTGが応答済(読取済)であることを表す。
【0045】
RFIDタグ読取装置10は、Queryコマンドによって、例えば、セッションS2でインベントリフラグがA状態のRFIDタグTGのみを読み取ることを指定する。この場合、RFIDタグ読取装置10は、インベントリフラグがA状態のRFIDタグTGからタグ情報の読み取りを行い、インベントリフラグがB状態のRFIDタグTGについては読み取りの対象から除外する。
【0046】
以下、セッションSnでインベントリフラグがA状態のRFIDタグTGを読み取ることを、Sn_A(n=0、1、2、3)と表記する。また、同様に、セッションSnでインベントリフラグがB状態のRFIDタグTGを読み取ることを、Sn_B(n=0、1、2、3)と表記する。また、以下、「Sn_Xの読取方法」は、「セッションSn(n=0,1,2,3)でインベントリフラグがX(X=A,B)状態のRFIDタグTGを読み取る方法」の意味である。
【0047】
RFIDタグTGが備えるインベントリフラグは、各セッションに応じたパーシステンスタイム(Persistence Time)を有する。パーシステンスタイムとは、応答済になったインベントリフラグが、再び未応答の状態に変更されるまでの時間である。
【0048】
ここで、図5を用いて、RFIDタグTGが備えるパーシステンスタイム(Persistence Time)を説明する。図5は、RFIDタグTGの各セッションにおけるパーシステンスタイムの一例を示す図である。
【0049】
セッションS0では、RFIDタグTG読み取り時の電力供給が継続している間、そしてインベントリフラグの指定を反転しての読み取りがされない限り、RFIDタグTGは読み取りにより反転されたインベントリフラグを維持し続ける。具体例としては、セッションS0では、RFIDタグTGは、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波を受信している間及び、インベントリフラグBの読み取りがなされない限りはB状態を維持し、電波を受信しなくなった(RFIDタグTGへの電力供給がなくなった)タイミングで即座(0s)にA状態に変化する。この場合の0sがパーシステンスタイムである。なお、セッションS0は、第4読取状態の一例である。
【0050】
セッションS1では、RFIDタグTGは、RFIDタグTG読み取り後の電力供給の有無に関わらず、500ms~5sに亘ってインベントリフラグを維持し続ける。具体例としては、セッションS1では、RFIDタグTGは、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波の受信に関わらず、500ms~5sに亘ってインベントリフラグをB状態に維持し続ける。そして、500ms~5s経過すると、インベントリフラグはA状態に戻る。この場合の500ms~5sがパーシステンスタイムである。なお、500ms~5sの時間は、第1の抑止時間の一例である。また、セッションS1は、第1読取状態の一例である。
【0051】
セッションS2では、RFIDタグTG読み取り後に定期的な電力供給を続けた場合に、インベントリフラグを維持し続ける。具体例としては、セッションS2では、RFIDタグTGは、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波を受信している間はB状態を維持する。そして、RFIDタグTGは、電波の受信(電力供給)がなくなってから少なくとも2s以上に亘ってインベントリフラグをB状態に維持するが、その後、インベントリフラグはA状態に戻る。この場合の2s以上の時間がパーシステンスタイムである。なお、2s以上の時間は、第2の抑止時間の一例である。また、セッションS2は、第2読取状態の一例である。
【0052】
セッションS3は、セッションS2と同様にインベントリフラグの状態が変化する。但し、セッションS2とセッションS3とは独立しており、セッションS2とセッションS3とを切り替えることで、例えばセッションS2でB状態となった無線タグを、セッションS3でA状態として読み取ることが可能となる。
【0053】
つまり、セッションS3では、RFIDタグTG読み取り後に定期的な電力供給を続けた場合に、インベントリフラグを維持し続ける。具体例としては、セッションS3では、RFIDタグTGは、インベントリフラグがB状態に変化した後、RFIDタグ読取装置10からの電波を受信している間はB状態を維持する。そして、RFIDタグTGは、電波の受信(電力供給)がなくなってから少なくとも2s以上に亘ってインベントリフラグをB状態に維持するが、その後、インベントリフラグはA状態に戻る。この場合の2s以上の時間がパーシステンスタイムである。なお、2s以上の時間は、第3の抑止時間の一例である。また、セッションS3は、第3読取状態の一例である。
【0054】
RFIDタグ読取装置10は、1度目の読み取りで読み取れなかったRFIDタグTGを、パーシステンスタイムが経過してインベントリフラグが未応答の状態に変更された際に、再び読み取ることができる。RFIDタグ読取装置10は、インベントリフラグXによる区別とセッションSnとを組み合わせた読取方法Sn_X(n=0,1,2,3、X=A,B)により、多数のRFIDタグTGの一括読み取りを実現する。
【0055】
次に、RFIDタグ読取装置10及び情報処理装置20の機能構成について説明する。図6は、RFIDタグ読取装置10及び情報処理装置20の機能構成の一例を示す図である。
【0056】
RFIDタグ読取装置10は、読取処理部101と、通信制御部102と、読取動作変更部103とを、機能部として備える。RFIDタグ読取装置10が備える機能部の一部又は全ては、RFIDタグ読取装置10のプロセッサ(例えばCPU11)とメモリ(例えばROM12、記憶部14)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、RFIDタグ読取装置10が備える機能部の一部又は全ては、RFIDタグ読取装置10に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0057】
一方、情報処理装置20は、図6に示すように、通信制御部201と、設定処理部202と、読取結果処理部203と、読取動作制御部204と、表示制御部205と、操作制御部206とを、機能部として備える。情報処理装置20が備える機能部の一部又は全ては、情報処理装置20のプロセッサ(例えばCPU21)とメモリ(例えばROM22、記憶部24)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、情報処理装置20が備える機能部の一部又は全ては、情報処理装置20に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0058】
読取処理部101(読取手段の一例)は、読取部15と協働することで、RFIDタグTGからタグデータを読み取る。具体的には、読取処理部101は、図4で説明した一連の読取動作を行うことで、アンテナ151の交信領域内にあるRFIDタグTGからタグデータを読み取る。
【0059】
例えば、読取処理部101は、Sn_Aの読取方法を用いてRFIDタグTGの読み取りを行うことで、インベントリフラグがA状態、つまり未応答のRFIDタグTGからタグデータを順次読み取る。かかる読取方法では、未応答のRFIDタグTGのみを読み取りの対象とすることができるため、多数のRFIDタグTGを読み取るような場合に、RFIDタグTGの読み取りを効率的に行うことができる。
【0060】
通信制御部102は、通信部16と協働することで、情報処理装置20との間の通信を制御する。具体的には、通信制御部102は、読取処理部101が読み取ったタグデータを情報処理装置20に送信する。また、通信制御部102は、情報処理装置20から送信される各種情報(後述する変更指示等)を受信する。
【0061】
読取動作変更部103は、読取動作制御部204とともに、読取制御手段の一例を構成し、設定処理部202の指定に従って読取処理部101を制御する。読取動作変更部103は、読取処理部101の読取動作を変更する。具体的には、読取動作変更部103は、情報処理装置20(読取動作制御部204)から送信される変更指示に応じて、読取処理部101がRFIDタグTGの読み取りに使用する読取方法Sn_Xを変更する。なお、RFIDタグTGの読み取りに使用する読取方法Sn_Xは、図示しない操作ボタンからの指示により切り替え可能であってもよい。また、RFIDタグTGの読み取りに使用する読取方法Sn_Xとしては、各種業務(後述)に応じて予めデフォルトの値が設定されている。当該デフォルト値等の設定値を、読取動作変更部103は、読取動作制御部204からの指示により、書き変える。
【0062】
読取動作変更部103は、読取処理部101による読取方法の変更にあたり、読取処理部101による読取状態を、第1読取状態と、第2読取状態と、第3読取状態と、第4読取状態と、の何れかの読取状態に指定するとともに、読取対象とするインベントリフラグ(AまたはB)を指定する。
【0063】
第1読取状態は、RFIDタグTGの応答を読取処理部101が読み取った後に、当該無線タグへの電力供給の有無に関わらず、当該RFIDタグTGからの応答を第1の抑止時間に亘って抑止する読取状態である(例えば、上述のセッションS1)。
【0064】
第2読取状態は、RFIDタグTGの応答を読取処理部101が読み取った後に、当該無線タグへの定期的な電力供給を続けた場合に、当該RFIDタグTGからの応答を第2の抑止時間に亘って抑止する読取状態である(例えば、上述のセッションS2)。
【0065】
第3読取状態は、RFIDタグTGの応答を読取処理部101が読み取った後に、当該無線タグへの定期的な電力供給を続けた場合に、当該RFIDタグTGからの応答を第3の抑止時間に亘って抑止する読取状態である(例えば、上述のセッションS3)。
【0066】
第4読取状態は、RFIDタグTGの応答を読取処理部101が読み取った後に、当該RFIDタグTGへの電力供給を継続した場合に、RFIDタグTGからの応答を抑止する読取状態である(例えば、上述のセッションS0)。
【0067】
通信制御部201は、通信部27と協働することで、RFIDタグ読取装置10との間の通信を制御する。具体的には、通信制御部201は、RFIDタグ読取装置10から送信されたタグデータを受信する。また、通信制御部201は、読取動作制御部204が出力する変更指示をRFIDタグ読取装置10に送信する。
【0068】
設定処理部202は、指定手段の一例である。設定処理部202は、複数の業務ごとに、読取対象として、RFIDタグTGの状態(インベントリフラグAのみ又はA,B両方(交互))の何れかを指定するとともに、読取処理部101による読取状態として、上述の読取状態(第1~4読取状態)の何れかを指定する。この指定にあたり、設定処理部202は、次に説明する設定記憶部241(図7参照)が記憶する設定を更新する。
【0069】
図7は、設定記憶部241が記憶する設定の内容の一例を示す図である。なお、ここでは、設定記憶部241の記憶内容をテーブルの形式で示しているが、実施にあたってはテーブル形式でなくて構わない。設定記憶部241は、例えば、記憶部24の一部領域を用いて設けられる。
【0070】
設定記憶部241は、例えば、出力、Q値、偏波種類、セッション、ターゲット、自動絞込、絞込閾値などを、業務ごとに記憶している。各項目(業務、出力、Q値、偏波種類、セッション、ターゲット、自動絞込)には、図8図13に示す各マスタに存在する値が割り当てられる。
【0071】
図8は、業務マスタ242の一例を示す図である。業務マスタ242は、値0~11の各々に、意味(業務)を割り当てて記憶している。値1は、通常の棚卸業務を示す。値2は、棚卸中に自動切替で行われる絞込業務の初期を示す。値3は、棚卸中に自動切替で行われる絞込業務の終期を示す。値4は、棚卸中に手動切替で行う絞込業務を示す。ここで、手動切替は、GUI或いは操作部26を介した操作により受け付ける。
【0072】
ここで、通常の棚卸業務は、不特定のRFIDタグTGを限定せずに読み取りを行い、取得したタグデータを理論在庫と突合せることで、在庫確認を行う業務である。また、絞込業務は、読取対象を、理論在庫のうち通常の棚卸業務を実施後の読み残しのRFIDタグTGに限定して、読み取りを行う業務である。なお、理論在庫は、棚卸業務の前に、所定のサーバ等から取得しておく。
【0073】
図8に戻り、値5は、棚卸中に行う探索業務の初期を示す。値6は、棚卸中に行う探索業務の終期を示す。探索業務は、読取対象として特定のRFIDタグTGを指定して読み取りを行う業務である。他、値7~11は、例えば、通常の探索業務、入荷業務、出荷業務、読取業務、書込業務である。また、値0は、共通設定である。
【0074】
図9は、出力マスタ243の一例を示す図である。出力マスタ243は、値の各々に、意味としてアンテナ151に適用する電波の出力値を割り当てて記憶している。図中の出力値(1000mw、500mw、…1.0mW、…)は一例であって、実施にあたっては異なる数値で構わない。
【0075】
図10は、Q値マスタ244の一例を示す図である。Q値マスタ244は、値の各々に、意味(スロット数)を割り当てて記憶している。図中のスロット数は一例であって、実施にあたっては異なる数値で構わない。
【0076】
図11は、偏波種類マスタ245の一例を示す図である。偏波種類マスタ245は、値0,1,2の各々に、意味(偏波種類)を割り当てて記憶している。値1は垂直偏波のみ用いることを示す。値2は水平偏波のみ用いることを示す。値0は両方偏波である。両方偏波は、垂直偏波と水平偏波とを所定のタイミングで交互に切り替えて用いることを意味する。
【0077】
図12は、セッションマスタ246およびターゲットマスタ247の一例を示す図である。セッションマスタ246は、値0,1,2,3の各々に、意味(セッション種類)を割り当てて記憶している。値0はセッションS0を示す。値1はセッションS1を示す。値2はセッションS2を示す。値3はセッションS3を示す。
【0078】
ターゲットマスタ247は、値0,1,2,3の各々に、意味(読取対象とするインベントリフラグの種類)を割り当てて記憶している。値1はインベントリフラグがA状態のRFIDタグTGのみを読取対象とすることを示す。値2はインベントリフラグがB状態のRFIDタグTGのみを読取対象とすることを示す。値0はインベントリフラグA,Bを交互に切り替えて読取対象とすることを示す。
【0079】
図13は、自動絞込マスタ248の一例を示す図である。自動絞込マスタ248は、値0,1,-の各々に、意味(自動絞込の有無)を割り当てて記憶している。値0は、自動絞込なし、つまり自動絞込を行わないことを示す。値1は、自動絞込あり、つまり自動絞込を行うことを示す。値「-」は、適用なし、つまり自動絞込が適用され得ない自動絞込適用不可の業務であることを示す。本実施形態の説明中に登場する業務のうち、自動絞込適用可として説明するのは、通常の棚卸業務(業務マスタ242の値1)である。
【0080】
絞込閾値は、自動絞込ありの場合に、絞込業務に移行する契機とするSKU(stock keeping unit)の数を、記憶している。なお、絞込閾値の値「-」は、適用なし、つまり絞込閾値の設定が不要な業務であることを示す。本実施形態では、読み残しのSKUの数(残数)が所定の閾値(絞込閾値)を下回ることを、「棚卸業務から前記絞込業務への移行の契機とする事象」の一例とする。この事象は、他には、手動で操作するボタン等の所定の操作子が操作を受けることであってもよい。
【0081】
ここで、図7に戻り、業務のいくつかについて、代表的な設定の例を説明する。
【0082】
通常の棚卸業務(項目「業務」の値「1」)においては、多量のRFIDタグTGを読取対象とすることを想定し、偏波種類は両方偏波、セッションはS2、ターゲットはAのみ、自動絞込ありが設定されている。また、この業務では、Q値が大きめに設定される。
【0083】
この設定によれば、RFIDタグ読取装置10は、通常の棚卸業務においては、読取方法S2_Aにて動作する。これにより、インベントリフラグがA状態、つまり未応答のRFIDタグTGが、順次読み取られる。また、この設定によれば、読み残しのRFIDタグTGの数が絞込閾値(ここでは32)を下回ったところで、自動的に、絞込業務の初期(項目「業務」の値「2」)に移行する。
【0084】
棚卸中に自動切替で行われる絞込業務において、当該絞込業務の初期は、読取対象のRFIDタグTGを読み残しに限定しつつ、セッションS2を継続する。そして、読み残しのRFIDタグTGの数が絞込閾値(ここでは4)を下回ったところで、自動的に、絞込業務の終期(項目「業務」の値「3」)に移行する。当該絞込業務の終期においては、セッションをS2からS0に切り替えて、読み残しのRFIDタグTGの読み取りを行う。
【0085】
設定処理部202は、操作者から受け付ける操作に応じて、設定記憶部241を更新する。操作者の操作は、例えば図14図16に示すGUIを介して、受け付ける。図14図16は、表示部25が表示するGUIの一例を示す図である。これらのGUIは、記憶部24が記憶する、RFIDタグ読取装置10を制御するためのアプリケーションソフトウェアプログラム(以下単に読取アプリと記す)によるものである。表示部25は、読取アプリを実行中の制御部200の制御のもと、各GUIを表示する。なお、図14はメイン画面251、図15は設定画面252、図16は棚卸設定画面253の一例である。
【0086】
メイン画面251は、各種業務の名称が表示された複数(図1では7個)の選択ボタン2611や、設定ボタン2612を含んでいる。操作部26が備えるタッチパネルを介して何れかの選択ボタン2611が操作を受けると、操作を受けた選択ボタン2611に名称が表示された業務を行うための画面が、表示部25に表示される。
【0087】
また、メイン画面251中の設定ボタン2612が操作を受けると、設定画面252(図15)が表示部25に表示される。設定画面252は、各種設定を行うためのボタン2621や、複数の業務別の設定を行うためのボタン2622を含んでいる。例えば、棚卸業務設定の実行を受け付けるボタン2622が操作を受けると、棚卸設定画面253(図16)が表示部25に表示される。
【0088】
棚卸設定画面253は、左右に分けられており、右側の領域に、設定ファイルを開くためのボタン301、設定ファイルを保存するためのボタン302、デバイス(RFIDタグ読取装置10)の現在の設定を読みこむためのボタン303、デバイスに表示中の設定を送信するためのボタン304等を含んでいる。
【0089】
また、棚卸設定画面253は、左側の領域に、設定記憶部241(図7)が記憶する各種項目に対応した設定値の受付部305~316を含む。棚卸設定画面253の左側の領域は、縦方向にスクロール可能である。スクロール範囲の最も上の部分を画面2531に、他の部分を画面2532に示す。そして、棚卸設定画面253は、スクロール範囲の最下部に、設定を初期状態に戻すためのボタン317と、設定の更新を保存するためのボタン318とを含んでいる。ここで、初期状態とは、設定記憶部241が記憶する各項目にデフォルトの値(例えば推奨値)が設定された状態である。デフォルト値は、例えば記憶部24が記憶する。
【0090】
受付部305~309,311~316は、例えばドロップダウンリスト(プルダウンメニューとも呼ぶ)として具体化される。ドロップダウンリストは、周知のように、右端の記号付きのボタンを操作すると選択肢のリストが表示され、リスト中の選択肢の表示位置に操作者が触れる等することで選択肢からの選択が行われると、当該選択された選択肢が表示されるとともにリストが消えるものである。
【0091】
受付部310は、例えばトグルスイッチとして具体化される。トグルスイッチは、周知のように、左右にスライドするボタンによってオンオフの指定を受けるものである。なお、ボタンが右に位置する状態がオン、左に位置する状態がオフである。
【0092】
受付部305は、ボタンが操作を受けると、出力マスタ243が記憶する各レコードをリストとして表示し、出力の指定を受け付ける。受付部306は、ボタンが操作を受けると、Q値マスタ244が記憶する各レコードをリストとして表示し、Q値の指定を受け付ける。受付部307は、ボタンが操作を受けると、偏波種類マスタ245が記憶する各レコードをリストとして表示し、偏波種類の指定を受け付ける。
受付部308は、ボタンが操作を受けると、セッションマスタ246が記憶する各レコードをリストとして表示し、セッションSn(n=0,1,2,3)の指定を受け付ける。受付部309は、ボタンが操作を受けると、ターゲットマスタ247が記憶する各レコードをリストとして表示し、インベントリフラグX(X=A,B)読取対象の指定を受け付ける。
【0093】
受付部310は、通常の棚卸業務における自動絞込の実行の有無の選択を受け付ける。ボタンがスライド範囲の右端にあるとき、自動絞込ありである。ボタンがスライド範囲の左端にあるとき、自動絞込なしである。ここで自動絞込ありが選択されていると、受付部311~316が使用可能状態になる。受付部310でトグルスイッチがオフ(自動絞込なし)であると、受付部311~316もオフ(使用不可)である。
【0094】
受付部311~313は、絞込の初期についての設定を受け付ける。受付部311は、ボタンが操作を受けると、連続する数をリストとして表示し、絞込閾値の指定を受け付ける。受付部312は、ボタンが操作を受けると、セッションマスタ246が記憶する各レコードをリストとして表示し、セッションSn(n=0,1,2,3)の指定を受け付ける。受付部313は、ボタンが操作を受けると、ターゲットマスタ247が記憶する各レコードをリストとして表示し、インベントリフラグX(X=A,B)読取対象の指定を受け付ける。
【0095】
受付部314~316は、絞込の終期についての設定を受け付ける。受付部314は、ボタンが操作を受けると、連続する数をリストとして表示し、絞込閾値の指定を受け付ける。受付部315は、ボタンが操作を受けると、セッションマスタ246が記憶する各レコードをリストとして表示し、セッションSn(n=0,1,2,3)の指定を受け付ける。受付部316は、ボタンが操作を受けると、ターゲットマスタ247が記憶する各レコードをリストとして表示し、インベントリフラグX(X=A,B)読取対象の指定を受け付ける。
【0096】
そして、ボタン318が操作を受けると、設定処理部202が、各受付部305~316に行われた指定を設定記憶部241に記録する。また、ボタン317が操作を受けると、設定処理部202は、記憶部24から各項目のデフォルト値を読み出して、設定記憶部241に反映させる。
【0097】
図6に戻り、読取結果処理部203は、通信制御部201が受信したタグデータをRAM23又は記憶部24に保持された読取バッファBFに登録する。ここで、読取結果処理部203は、新たなタグデータが通信制御部201で受信される毎に、当該タグデータに含まれるタグ識別子と、読取バッファBFに登録されたタグデータのタグ識別子とを比較する。そして、読取結果処理部203は、タグ識別子が重複した場合に、受信されたタグデータを破棄する重複チェックを実行する。これにより、同一のタグ識別子を含むタグデータが読取バッファBFに重複して登録されてしまうことを抑制することができる。
【0098】
また、読取結果処理部203は、読み取られたタグデータを読取バッファBFに登録する毎に報知を行う。例えば、読取結果処理部203は、タグデータを読み取ったことを表す報知画像やメッセージ、タグデータに含まれた物品識別子を表示部25に表示させることで報知を行う。また、例えば、読取結果処理部203は、情報処理装置20が備えるスピーカー等の音声出力装置(図示せず)からビープ音等の音声を出力させることで報知を行う。これにより、情報処理装置20の操作者は、報知の頻度や回数等に基づき、現在の位置でのRFIDタグTGの読み取り状況を把握することができる。したがって、情報処理装置20は、他の位置に交信領域を移動するタイミング等を操作者に認識させることができるため、RFIDタグTGの読取作業に係る利便性を向上させることができる。
【0099】
また、読取結果処理部203は、読取バッファBFに登録されたタグデータの各々に含まれるタグ識別子や物品識別子に基づき、物品Gの在庫数を計数する処理等を実行する。例えば、読取結果処理部203は、物品識別子の種別毎にタグデータの個数を計数することで、物品Gの種別毎に在庫数を導出する。また、例えば、読取結果処理部203は、チェック対象の物品Gの物品識別子が登録されたチェックリストと、読取バッファBFに登録されたタグデータの物品識別子とを比較することで、チェック対象の物品Gが存在するか否かの判定結果を導出する。なお、読取結果処理部203の処理による導出結果は、表示部25に表示されてもよい。
【0100】
ところで、上述した読取システム1の構成では、タグデータの読み取りや送信において何等かのエラーが発生していると、タグデータが情報処理装置20に正常に登録されない。
【0101】
上述のエラーとしては、例えば、RFIDタグTGが発生させる乱数RN16によるものがある。RFIDを用いた物品の在庫管理(棚卸等)において大量のRFIDタグTGに登録されたタグデータを読み取る場合、RFIDタグTGは、16ビットの乱数であるRN16を発生させて、RFIDタグ読取装置10に送信する。そして、RFIDタグTGは、RFIDタグ読取装置10からのRN16を含む返信の中に、送信したRN16が含まれていることを確認して、自身が有する情報を送信する。
【0102】
しかしながら、1/216(=1/65536)の確率で、複数のタグが同じRN16を返す可能性がある。この確率は非常に小さいが、タグの枚数が増加した場合には、同じRN16が返される確率が高くなる。例えば、タグがn枚ある場合に、複数のタグが同じRN16を返す確率は、1-(65535/65536)^(n-1)となる。すなわち、タグが1000枚ある場合には、約1.5%の確率で複数のタグが同じRN16を返す。そして、複数のタグが同じRN16を返した場合には、無線タグの読みこぼしが発生する。
【0103】
エラーが発生したタグデータは、再読取される必要がある。しかしながら、エラーの発生したタグデータのRFIDタグTGが先の読み取りによりB状態となっていれば、RFIDタグ読取装置10は、そのタグデータを同じ読取方法Sn_Xで直ちに再読取することはできない。
【0104】
例えば、タグデータの読み取り例として、RFIDタグ読取装置10がS2_AでRFIDタグTGの読み取りを行い、A状態の3つのRFIDタグTGから「T1」、「T2」、「T3」のタグデータがそれぞれ読み取られたとする。この場合、「T1」、「T2」、「T3」の各々に対応するRFIDタグTGのインベントリフラグは、タグデータの読み取りに伴いB状態に変化する。
【0105】
ここで、何等かのエラーにより「T2」のタグデータが情報処理装置20において正常に登録されなかった場合、「T2」に対応するRFIDタグTGはB状態にあるため、S2_Aで読み取りを行うRFIDタグ読取装置10では「T2」を再読取できず、情報処理装置20への再送も行われない。
【0106】
このため、本実施形態にかかる読取システム1では、棚卸業務中に自動または手動の絞込業務に移行可能とすることで、エラーの発生したタグデータ(T2)の再読取を実施可能にし、読みこぼしを無くすよう構成している。
【0107】
読取動作制御部204は、読取動作変更部103とともに読取制御手段の一例を構成する。読取動作制御部204は、設定記憶部241を参照し、通信制御部201と協働することで読取動作変更部103に読取方法Sn_Xの変更を指示する変更指示を送信する。なお、読取動作制御部204は、設定記憶部241が記憶する他の設定の読取動作変更部103への送信も担当する。
【0108】
表示制御部205は、RFIDタグ読取装置10が読み取ったタグ情報やRFIDタグ読取装置10の動作状態に係る情報等を、表示部25により表示する。また、表示部25は、RFIDタグ読取装置10に対して操作指示を与えるボタン等を表示する。このボタン等は、操作部26が含むタッチパネルを介して操作される。操作制御部206は、操作部26に対する操作を受け付ける。
【0109】
表示制御部205は、記憶部24に記憶されているRFIDタグ読取装置10を制御するためのアプリケーションソフトウェアプログラムがCPU21により実行されると、RFIDタグ読取装置10を操作するためのGUIを、表示部25により表示する。
【0110】
(棚卸業務中の自動絞込への移行)
以上のような構成の読取システム1は、以下のように動作する。図17は、読取システム1が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。図17に示す処理の流れは、情報処理装置20において読取アプリが起動されて表示部25にメイン画面251(図14)が表示された状態で開始する。なお、ここでは、自動絞込ありの棚卸業務を例に説明する。
【0111】
まず、メイン画面251において選択ボタン2611のうちの一つが操作を受け、業務が選択されると(ステップS1)、情報処理装置20の読取動作制御部204は、設定記憶部241が記憶する設定を読み出し、読み出した設定をRFIDタグ読取装置10の読取動作変更部103に送信し、反映させる(ステップS2)。
【0112】
RFIDタグ読取装置10の読取処理部101は、ステップS2で反映された設定に応じた電波を、アンテナ151から放射させる(ステップS3)。読取処理部101は、アンテナ151がRFIDタグTGから電波を受信すると、受信した情報(タグデータ)を情報処理装置20へ送信する。情報処理装置20の読取結果処理部203は、タグデータを受信し、読取バッファBFに登録する(ステップS4)。
【0113】
続いて読取結果処理部203は、読み残しのSKUの数(残数)の有無を判断する(ステップS5)。残数なしの場合(ステップS5のYes)、読取システム1は本処理を終了する。残数あり(ステップS5のNo)の場合、読取動作制御部204は、所定の事象の有無を判断する(ステップS6)。所定の事象とは、例えば、残数が絞込閾値を下回ることである。
【0114】
所定の事象ありの場合(ステップS6のYes)、読取動作制御部204は、棚卸業務から絞込業務へ移行すべく、RFIDタグ読取装置10の設定を変更する(ステップS7)。ステップS7における設定の変更は、ステップS2と同様である。所定の事象なしの場合(ステップS6のNo)、読取動作制御部204は、処理をステップS3に戻す。
【0115】
次に、画面例を用いて、読取システム1の動作の他の例について説明する。図18図26は、棚卸業務画面254(2541~2549)の一例を示す図である。
【0116】
棚卸業務画面254は、読取アプリが棚卸業務を実行中に表示されるものである。まず、棚卸業務において表示される棚卸業務画面2541(図18)は、左右に分けられており、右側の領域に、読取開始ボタン401、未読商品絞込ボタン402、選択ボタン403、中断ボタン404、確定ボタン405等の各種操作ボタンを備える。
【0117】
読取開始ボタン401が操作を受けると、読取システム1は、アンテナ151から電波を放射して、RFIDタグTGの読み取りを開始する。読取開始に伴い、読取システム1は、読取中の棚卸業務画面2542(図19)に示すように、読取開始ボタン401を読取停止ボタン406に変更する。
【0118】
また、棚卸業務画面2541は、左側の領域に、商品情報をSKU別に示す明細行501と、各SKUが含むRFIDタグTGの数量502を含んでいる。また、棚卸業務画面2541は、左側の領域の下部に、読取総数503を備えている。なお、棚卸業務画面2541の左側の領域は、縦方向にスクロール可能である。
【0119】
数量502および読取総数503は、例えば、理論在庫を分母として読取数を分子とした分数の形式で表示される。棚卸業務画面2541(図18)は読取開始前の状態を示している。したがって、読取数(分子)はいずれも0である。次に、棚卸業務画面2542(図19)は、読取中の状態を示している。ここでは、読み取り済みのRFIDタグTGの数量が、読取数(分子)に反映されている。そして、棚卸業務画面2543(図20)は読取停止後の状態を示す。
【0120】
次に、図21および図22を参照して、表示を未読商品のみに絞る方法について説明する。棚卸業務画面2544(図21)における3行目の明細行501は、数量502の分子と分母が同じ値であるので、この明細行501が示すSKUの読み取りは完了している。このような読取完了済みのSKUを除いた他のSKU(未読商品)を指定した絞込を行う場合には、未読商品絞込ボタン402を押下する。これにより、棚卸業務画面2545(図22)に示すように、読取完了済みのSKUの明細行501が表示されなくなる。これにより、読取中であっても、未読商品を把握することができる。
【0121】
なお、絞込表示中は、読取システム1は、棚卸業務画面2545(図22)に示すように、未読商品絞込ボタン402を全表示ボタン407に変更する。全表示ボタン407が操作を受けると、読取システム1は、表示を棚卸業務画面2545(図22)から棚卸業務画面2544(図21)に戻す。
【0122】
(棚卸業務中の手動絞込への移行)
次に、図23図25を参照して、棚卸中の手動の絞込について説明する。棚卸業務画面2546(図23)は、読取総数が理論在庫に近づいた状態のものであって、読取停止ボタン406が押された状態のものである。ここで選択ボタン403が操作を受けると、読取システム1は、棚卸業務画面2547(図24)に示すように、読取完了済みのSKUを除いた他のSKU(未読商品)の明細行501のみを表示し、さらに、各明細行501の先頭にラジオボタン504を付加する。なお、ラジオボタン504はチェックボックス等の他の選択手段であって構わない。
【0123】
また、絞込表示に伴い、読取システム1は、未読商品絞込ボタン402を全表示ボタン407に変更するとともに、選択ボタン403を選択解除ボタン408に変更する。選択解除ボタン408が操作を受けると、読取システム1は、ラジオボタン504のチェックを、全てオフにする。選択解除ボタン408は、ラジオボタン504が全てオフのとき、機能しない。
【0124】
操作者は、棚卸業務画面2547(図24)において読み取りたいSKUの明細行501のラジオボタン504のチェックを、棚卸業務画面2548(図25)に示すようにオンにし、さらに、読取開始ボタン401を操作する。これにより、読取システム1は、SKUを指定しての絞込読取を実行する。
【0125】
(棚卸業務中の探索業務への移行)
次に、図26図31を参照して、棚卸業務から探索業務への移行について説明する。例えば、探索業務への移行は、所定のボタンが操作を受ける等の事象を契機として実行される。
【0126】
読取システム1は、棚卸業務中に所定のボタンが操作を受けると、表示部25に表示する画面を、図19に示すようなものから棚卸業務画面2549(図26)に変更する。この棚卸業務画面2549においては、読取システム1は、読取完了済みのSKUを除いた他のSKU(未読商品)を表示する。操作者は、この画面が含む明細行501のうち、読取対象とするSKUが表示された明細行501に触れた後、選択ボタン403を操作する。これを受けて読取システム1は、次の画面(明細画面255、図27)を表示する。
【0127】
図27は、明細画面255の一例を示す図である。明細画面255は、左右に分けられており、左側の領域に、図26で選択された明細行501に合致するSKUの商品の各種情報511が表示される。右側の領域には、左側の領域の情報が示すSKUの商品に付されたRFIDタグTGのシリアル番号512と、その数量513と、が表示される。シリアル番号512の表示欄はシリアル番号512を行で表示しており、表示欄は縦方向にスクロール可能である。
【0128】
操作者がシリアル番号512の一つを選択しその表示位置に触れると、読取システム1は、タッチパネルを介してシリアル番号512を選択する操作を受け付け、探索業務画面256を表示する。図28図31は、探索業務画面256(2561~2564)の一例を示す図である。
【0129】
図28に示すように、探索業務画面256は、探索開始ボタン421と、探索終了ボタン422と、RFIDタグ読取装置10の位置521と、位置521を中心とした方向および距離を示す同心円522と、を含んでいる。探索開始ボタン421が操作を受けると、読取システム1は、アンテナ151から電波を放射する。すると、探索業務画面2562(図29)は、電波の放射範囲525を表示する。
なお、探索中、読取システム1は、図29に示すように、探索開始ボタン421を探索停止ボタン423に変更する。また、読取対象(明細画面255(図27)で選択されたシリアル番号512のRFIDタグTG)が放射範囲525に入り応答が検知された場合には、読取システム1は、読取対象の位置526を、放射範囲525中に表示する。
操作者は、読取対象の位置526とRFIDタグ読取装置10の位置521とが近づくように移動する。操作者は、画面表示が図30のようになると、つまり、読取対象の位置526にRFIDタグ読取装置10の位置521がほぼ一致すると、探索停止ボタン423を操作して探索業務を終了する。探索業務画面2564(図31)は、探索業務を終えた状態を示す。
【0130】
このように、本実施形態によれば、棚卸業務から、絞込業務へ移行することができる。また、絞込業務への移行は、所定の事象を契機として自動で行うことができる。また、絞込業務への移行は、所定の操作等で切り替える手動で行うことができる。
さらに、本実施形態によれば、棚卸業務から、探索業務へ移行することができる。
【0131】
このように、本実施形態の読取システム1によれば、無線タグの読み取りを効率的に行うことを容易に可能にできる。
【0132】
なお、本実施形態の読取システム1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0133】
本実施形態の読取システム1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0134】
さらに、本実施形態の読取システム1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の読取システム1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0135】
本実施形態の読取システム1で実行されるプログラムは、上述した各部(読取処理部101、通信制御部102、読取動作変更部103、通信制御部201、設定処理部202、読取結果処理部203、読取動作制御部204、表示制御部205、および操作制御部206)を含むモジュール構成となっている。CPU(プロセッサ)は、上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各部を主記憶装置上にロードする。これにより、読取処理部101、通信制御部102、読取動作変更部103、通信制御部201、設定処理部202、読取結果処理部203、読取動作制御部204、表示制御部205、および操作制御部206が、主記憶装置上に生成される。
【0136】
なお、本実施形態では、読取システム1が備える上記各部を、RFIDタグ読取装置10と情報処理装置20とに分けているが、実施にあたっては、上記各部が複数の装置に分けられていることは必須ではない。
【0137】
また、本実施形態では、棚卸および絞込の一部(図7における業務の値1,2)をセッションS2で行う場合を例に説明したが、このセッションS2が実施にあたってセッションS3とされても同様に動作する。つまり、読取方法S2_XをS3_Xで代用してよい。
【0138】
さらに、本実施形態では、絞込の少なくとも一部(図7における業務の値3,4)をセッションS0で行う場合を例に説明したが、このセッションS0が実施にあたってセッションS1とされても構わない。つまり、読取方法S0_XをS1_Xで代用してよい。他、セッションS0をセッションS1で代用して構わない。
【0139】
また、本実施形態では、棚卸および絞込の一部(図7における業務の値1,2)をセッションS2で行い、その後の絞込(図7における業務の3,4)をセッションS0で行う場合を例に説明したが、このセッションS2が実施にあたってセッションS1とされても構わない。
【0140】
さらに、本実施形態において読取方法S0_Xで実施している箇所(例えば図7における業務の値3~6)を、ターゲットとするインベントリフラグをA,Bを交互に切り替えつつ他のセッションSn(1,2または3)で実施するようにしてもよい。
【0141】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0142】
1…読取システム、
10…RFIDタグ読取装置、
100…制御部、
101…読取処理部、102…通信制御部、103…読取動作変更部、
11…CPU、12…ROM、13…RAM、
14…記憶部、
15…読取部、151…アンテナ、152…送信部、153…受信部、
16…通信部、
17…ハンドル、18…取付部、
20…情報処理装置、
200…制御部、
201…通信制御部、202…設定処理部、203…読取結果処理部、
204…読取動作制御部、205…表示制御部、206…操作制御部、
21…CPU、22…ROM、23…RAM、
24…記憶部、
241…設定記憶部、242…業務マスタ、243…出力マスタ、
244…Q値マスタ、245…偏波種類マスタ、246…セッションマスタ、
247…ターゲットマスタ、248…自動絞込マスタ、
25…表示部、
251…メイン画面、252…設定画面、253…棚卸設定画面、
254…棚卸業務画面、255…明細画面、256…探索業務画面、
26…操作部、
27…通信部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】
【特許文献1】特開2017-130885号公報
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