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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163489
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】ボルテージディテクタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
G01R19/165 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068441
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照夫
(72)【発明者】
【氏名】小倉 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕二
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA13
2G035AB03
2G035AC15
2G035AD03
2G035AD11
2G035AD13
2G035AD27
2G035AD56
(57)【要約】
【課題】瞬時電圧低下時に確実かつ高速な検出応答性を有するボルテージディテクタの提供。
【解決手段】検出端子T2を介して入力されたバッテリ電圧Vsを分圧抵抗Ra、Rbにより分圧して分圧電圧Vdを出力する分圧回路110と、バッテリ電圧Vsが低電圧であることを判定するためのしきい値電圧Vthを備えるトランジスタM1により、分圧電圧Vdとしきい値電圧Vthとを比較した結果に対応する電圧を出力する比較回路120と、比較回路120の出力電圧に応じてリセット信号を出力する出力トランジスタM5と、バッテリ電圧Vsが瞬時電圧降下した際に、瞬時電圧降下した分圧電圧Vdが比較回路120に入力される前に、検出端子T2から検出したバッテリ電圧Vsの高周波成分に基づき、出力トランジスタM5からリセット信号を出力させる瞬時電圧降下検出回路130と、を有するボルテージディテクタ10である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視電源から検出端子を介して入力された被監視電圧を分圧して分圧電圧を出力する分圧回路と、
前記被監視電圧が低電圧であることを判定するためのしきい値電圧を備えるトランジスタにより、前記分圧電圧と前記しきい値電圧とを比較した結果に対応する電圧を出力する比較回路と、
前記比較回路の出力電圧に応じてリセット信号を出力する出力トランジスタと、
前記被監視電圧が瞬時電圧降下した際に、瞬時電圧降下した前記分圧電圧が前記比較回路に入力される前に、前記検出端子から検出した前記被監視電圧の高周波成分に基づき、前記出力トランジスタから前記リセット信号を出力させる瞬時電圧降下検出回路と、
を有することを特徴とするボルテージディテクタ。
【請求項2】
前記瞬時電圧降下検出回路は、
前記検出端子に一端が接続され、前記被監視電圧の高周波成分を通過させるハイパスフィルタと、
前記ハイパスフィルタの他端から前記高周波成分が出力されている場合には、前記比較回路に入力される前記分圧電圧を前記しきい値電圧よりも低下させる制御を行うオン制御信号が入力され、前記高周波成分が出力されていない場合には、前記分圧回路により分圧した前記分圧電圧を前記比較回路に入力する制御を行うオフ制御信号が入力される第1のスイッチング素子と、
を備える請求項1に記載のボルテージディテクタ。
【請求項3】
前記瞬時電圧降下検出回路は、
前記ハイパスフィルタの他端側に一端が接続され、前記ハイパスフィルタの他端から前記高周波成分が出力されている場合には他端から接地電位に向かって定電流を発生し、前記高周波成分が出力されていない場合には前記定電流を発生しない定電流源と、
前記定電流源の一端側に一端を接続され、前記定電流源から発生した前記定電流に基づく電流を前記オン制御信号として他端から前記第1のスイッチング素子に出力するカレントミラー回路と、
を更に備える請求項2に記載のボルテージディテクタ。
【請求項4】
前記瞬時電圧降下検出回路は、
前記第1のスイッチング素子に入力される前記オン制御信号又は前記オフ制御信号が入力され、前記オン制御信号により前記出力トランジスタに入力される前記比較回路の出力電圧を低下させて前記出力トランジスタから前記リセット信号を出力させ、前記オフ制御信号により前記比較回路の出力電圧を前記出力トランジスタにそのまま入力させる制御を行う第2のスイッチング素子を更に備える請求項2又は3に記載のボルテージディテクタ。
【請求項5】
前記ハイパスフィルタは、前記被監視電圧が瞬時電圧降下した際に、電圧が降下した前記分圧電圧が前記比較回路の入力端子に入力されるよりも早く、前記瞬時電圧降下検出回路により前記比較回路の入力端子を接地電位にするとともに、ノイズにより前記被監視電圧が瞬時電圧降下して発生する高周波成分を通過させないカットオフ周波数が設定されている請求項2から4のいずれかに記載のボルテージディテクタ。
【請求項6】
前記ハイパスフィルタは、コンデンサである請求項2から5のいずれかに記載のボルテージディテクタ。
【請求項7】
動作に必要な電源と接続されている電源端子は、前記検出端子と接続されている請求項1から6のいずれかに記載のボルテージディテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルテージディテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルテージディテクタは、主にバッテリ電圧を監視する目的で用いられ、バッテリ電圧が所定のしきい値を下回ったこと又は上回ったことを検出することができる。これにより、ボルテージディテクタは、電源IC(Integrated Circuit)によりバッテリ電圧から生成された電源電圧が不安定な状態になって後段のシステムが誤動作する前に、電源電圧の供給を停止することができる。
【0003】
このようなボルテージディテクタの一例として、分圧したバッテリ電圧がMOSFETのしきい値を下回ると、出力トランジスタのスイッチング制御を行い、リセット信号としてLow信号を出力する電圧検出回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-55946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボルテージディテクタは、例えば、自動車のバッテリ電圧で駆動するシステムで用いられる場合がある。この場合には、バッテリの長寿命を目的として低消費電流化がボルテージディテクタに求められる。さらに、ボルテージディテクタは、バッテリに接続されている配線が断線などにより瞬時にバッテリ電圧が降下した際に、システムを安全に停止させるために検出応答速度の高速化が求められる。
【0006】
ボルテージディテクタの低消費電流化を実現しようとすると、バッテリ電圧を分圧する場合には分圧回路の抵抗値を高くすることが考えられるが、高くした抵抗値と寄生容量による時定数が大きくなり、瞬時にバッテリ電圧が降下した際には応答速度が低下する。このため、特許文献1に記載の電圧検出回路では対応できず、瞬時電圧低下時にシステムが誤動作する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の一つの側面では、瞬時電圧低下時に確実かつ高速な検出応答性を有するボルテージディテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態におけるボルテージディテクタは、
被監視電源から検出端子を介して入力された被監視電圧を、高い抵抗値の分圧抵抗により分圧して分圧電圧を出力する分圧回路と、
前記被監視電圧が低電圧であることを判定するためのしきい値電圧を備えるトランジスタにより、前記分圧電圧と前記しきい値電圧とを比較した結果に対応する電圧を出力する比較回路と、
前記比較回路の出力電圧に応じてリセット信号を出力する出力トランジスタと、
前記被監視電圧が瞬時電圧降下した際に、瞬時電圧降下した前記分圧電圧が前記比較回路に入力される前に、前記検出端子から検出した前記被監視電圧の高周波成分に基づき、前記出力トランジスタから前記リセット信号を出力させる瞬時電圧降下検出回路と、
を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの側面によれば、瞬時電圧低下時に確実かつ高速な検出応答性を有するボルテージディテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、バッテリから電源ICに供給されるバッテリ電圧をボルテージディテクタが監視する状態を示す回路図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るボルテージディテクタの回路図である。
図3図3は、第1の実施形態の変形例に係るボルテージディテクタの回路図である。
図4図4は、第2の実施形態に係るボルテージディテクタの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図面においては、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
図1は、バッテリから電源ICに供給されるバッテリ電圧をボルテージディテクタが監視する状態を示す回路図である。
図1に示すように、ボルテージディテクタ10は、被監視電源としてのバッテリ20が検出端子T2に接続されており、バッテリ20から電源IC30に印加されている被監視電圧であるバッテリ電圧Vsを監視する。
電源IC30は、ボルテージディテクタ10及び後続システム50の動作に必要な電源であり、バッテリ電圧Vsから発生させた電源電圧VDDを、電源端子T1からボルテージディテクタ10に供給するとともに、抵抗40を介して後続システム50に供給する。
【0013】
ボルテージディテクタ10は、バッテリ電圧Vsにおいて比較的ゆっくりとした電圧降下が発生したことを検出すると、抵抗40とシステム50との間に接続されている出力端子T3の電位が接地電位になるようにスイッチングしてリセット信号を出力する。これにより、ボルテージディテクタ10は、電圧降下した電源電圧VDDで後続システム50が不安定な状態にならないように、電源電圧VDDが後続システム50の最低動作電圧を下回る前に後続システム50を安全に停止させることができる。
【0014】
さらに、このボルテージディテクタ10は、バッテリ電圧Vsにおいて瞬時電圧降下が発生しても、電源IC30が供給する電源電圧VDDが急激に低下する前に、リセット信号を出力することができる。これにより、ボルテージディテクタ10は、急激に低下した電源電圧VDDで後続システム50が不安定な状態にならないように、電源電圧VDDが後続システム50の最低動作電圧を下回る前に後続システム50を安全に停止させることができる。
【0015】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係るボルテージディテクタの回路図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係るボルテージディテクタ10は、分圧回路110と、比較回路120と、瞬時電圧降下検出回路130と、出力トランジスタM5と、を有し、これらを適宜機能させるための回路及び素子を有する。
【0016】
ボルテージディテクタ10は、分圧回路110でバッテリ電圧Vsを分圧した分圧電圧Vdと、後述するNMOSトランジスタM1のしきい値電圧Vthとを比較する。分圧電圧Vdがしきい値電圧Vthを下回る場合にはバッテリ電圧Vsが低電圧状態にあるとして、ボルテージディテクタ10は、出力トランジスタM5からリセット信号を出力する。
【0017】
分圧抵抗の抵抗値を高くすると、高くした抵抗値と寄生容量による時定数が大きくなり、瞬時にバッテリ電圧が降下した際には応答速度が低下するが、このボルテージディテクタ10は、分圧抵抗の抵抗値を高くしても、瞬時電圧降下検出回路130により確実かつ高速な検出応答性を得ることができる。
【0018】
瞬時電圧降下検出回路130は、検出端子T2に入力されるバッテリ電圧Vsに瞬時電圧降下が発生すると、瞬時電圧降下したバッテリ電圧Vsの分圧電圧Vdが比較回路120に入力される前に、バッテリ電圧Vsの高周波成分に基づき、分圧電圧Vdをしきい値電圧Vthよりも低下させる。これにより、ボルテージディテクタ10は、出力トランジスタM5をオンにして、出力端子T3の電位が接地電位になるようにスイッチングしてリセット信号を出力する。
【0019】
分圧回路110は、バッテリ20から検出端子T2を介して入力されたバッテリ電圧Vsと接地電位との間に接続され、分圧抵抗Ra、Rbの分圧点から分圧電圧Vdを比較回路120のNMOSトランジスタM1のゲート端子に出力する。
【0020】
比較回路120は、分圧回路110から出力された分圧電圧Vdと、NMOSトランジスタM1のしきい値電圧Vthとを比較した結果に対応する電圧を出力する。
この比較回路120は、NMOSトランジスタM1と、PMOSトランジスタM2、M3を接続したカレントミラー回路と、NMOSトランジスタM4と、を備えている。
【0021】
NMOSトランジスタM1は、ゲート端子に分圧電圧Vdが入力され、ドレイン端子がPMOSトランジスタM2のドレイン端子に接続され、ソース端子が接地されている。
【0022】
PMOSトランジスタM2、M3を接続したカレントミラー回路は、図1で示した電源IC30から電源電圧VDDが供給される電源端子T1に各ソース端子がそれぞれ接続され、各ゲート端子間が接続されている。
PMOSトランジスタM2は、ドレイン端子にNMOSトランジスタM1のドレイン端子が接続されている。
PMOSトランジスタM3は、ドレイン端子にNMOSトランジスタM4のドレイン端子が接続されている。
【0023】
NMOSトランジスタM4は、デプレッション型であり、ゲート端子が接地電位のソース端子に接続され、定電流を発生させる。
【0024】
比較回路120の動作としては、分圧電圧VdがNMOSトランジスタM1のしきい値電圧Vth以上である場合には、NMOSトランジスタM4で発生させた定電流をカレントミラー回路でミラーした電流がNMOSトランジスタM1のドレイン端子に流れると、NMOSトランジスタM1のドレイン端子の電位がLowレベルになる。つまり、NMOSトランジスタM1のしきい値電圧Vthとは、NMOSトランジスタM4で発生させた定電流をNMOSトランジスタM1が流し得る最小のゲート電圧である。NMOSトランジスタM1のドレイン端子の電位がLowレベルになると、NMOSトランジスタM1のドレイン端子に接続されているインバータINV1、INV2を介して出力トランジスタM5がオフになり、出力端子T3がハイインピーダンスになる。
【0025】
また、分圧電圧VdがNMOSトランジスタM1のしきい値電圧Vthより小さい場合には、NMOSトランジスタM4で発生させた定電流をカレントミラー回路でミラーした電流がNMOSトランジスタM1のドレイン端子に流れると、NMOSトランジスタM1のドレイン端子の電位がHiレベルになる。すると、NMOSトランジスタM1のドレイン端子に接続されているインバータINV1、INV2を介して出力トランジスタM5がオンになり、出力端子T3が接地電位になる。
すなわち、被監視電圧の判定を行うためのトランジスタのしきい値電圧とは、判定を行うトランジスタのドレインに所定の電流を発生させるためのゲート電圧である。
【0026】
このように、ボルテージディテクタ10は、バッテリ電圧Vsにおいて比較的ゆっくりとした電圧降下が発生したことを検出すると、抵抗40と後続システム50との間に接続されている出力端子T3の電位が接地電位になるようにスイッチングしてリセット信号を出力する。
【0027】
瞬時電圧降下検出回路130は、バッテリ電圧Vsが瞬時電圧降下した際に、瞬時電圧降下した分圧電圧Vdが比較回路120に入力される前に、検出端子T2から検出したバッテリ電圧Vsの高周波成分に基づき、出力トランジスタM5からリセット信号を出力させる。
この瞬時電圧降下検出回路130は、コンデンサCと、定電流源Cs1と、PMOSトランジスタM6、M7を接続したカレントミラー回路と、第1のスイッチング素子としてのNMOSトランジスタM10とを備え、これらを適宜機能させるための回路及び素子を備えている。
【0028】
ハイパスフィルタとしてのコンデンサCは、検出端子T2に一端が接続され、バッテリ電圧Vsの高周波成分を他端に通過させる。このコンデンサCは、バッテリ電圧Vsが瞬時電圧降下した際に、電圧が降下した分圧電圧Vdが比較回路120の入力端子(すなわち、NMOSトランジスタM1のゲート端子)に入力されるよりも早く、瞬時電圧降下検出回路130により比較回路120の入力端子を接地電位にできるカットオフ周波数が設定されている。
【0029】
このコンデンサCの容量値を変更することにより、コンデンサCの容量値と内部インピーダンスで決定されるハイパスフィルタのカットオフ周波数を調整することができる。
このカットオフ周波数は、ノイズによりバッテリ電圧Vsが電圧降下して発生する高周波成分を通過させないように設定されていることが好ましい。すなわち、本来検出したい瞬時電圧降下よりも降下速度が遅いノイズによる電圧降下を検出しないように、コンデンサCの容量値を大きくしてノイズによる高周波成分を通過させないようにし、瞬時電圧降下検出回路130の誤動作を防止することが好ましい。
【0030】
定電流源Cs1は、コンデンサCの他端側に一端が接続され、コンデンサCの他端からバッテリ電圧Vsの高周波成分が出力されている場合には他端から接地電位に向かって定電流を発生し、高周波成分が出力されていない場合には定電流を発生しない。
定電流源Cs1としては、例えば、抵抗素子とED型基準電圧源とが並列に接続されており、ED型基準電圧源におけるデプレッションMOSFETのしきい値が高周波成分の電圧より少し小さめに設定され、印加された高周波成分を平滑化して定電流を発生する回路などが挙げられる。
【0031】
PMOSトランジスタM6、M7を接続したカレントミラー回路は、定電流源Cs1の一端側に一端を接続され、定電流源Cs1から発生した定電流に基づく電流をNMOSトランジスタM9のドレイン端子に他端から供給する。
【0032】
PMOSトランジスタM8は、ゲート端子がPMOSトランジスタM6、M7のゲート端子と接続され、ドレイン端子がヒューズF1を介してNMOSトランジスタM9のドレイン端子に接続され、ソース端子に電源電圧VDDが印加されている。
これにより、PMOSトランジスタM6で流す電流がPMOSトランジスタM7、M8の両方でミラーされるため、NMOSトランジスタM9のドレイン電圧をより早く上昇させることができ、検出応答性を高めることができる。
【0033】
NMOSトランジスタM9は、ドレイン端子がゲート端子とインバータINV3、INV4を介してNMOSトランジスタM10のゲート端子とに接続され、ソース端子が接地されている。このNMOSトランジスタM9は、PMOSトランジスタM6、M7を接続したカレントミラー回路から電流が供給されると上昇したドレイン電圧をオン制御信号として、インバータINV3、INV4を介してNMOSトランジスタM10に出力される。
【0034】
これにより、NMOSトランジスタM10は、コンデンサCの他端から高周波成分が出力されている場合には、比較回路120に入力される分圧電圧Vdをしきい値電圧Vthよりも低下させる制御を行うオン制御信号が入力され、高周波成分が出力されていない場合には、分圧回路110により分圧した分圧電圧Vdが比較回路120にそのまま入力される制御を行うオフ制御信号が入力される。
【0035】
このように、ボルテージディテクタ10は、瞬時電圧降下検出回路130を有することにより、バッテリ電圧Vsが瞬時電圧降下した際に、瞬時電圧降下したバッテリ電圧Vsの分圧電圧Vdが比較回路120に入力される前に、検出端子T2から検出したバッテリ電圧Vsの高周波成分に基づき、出力トランジスタM5からリセット信号を出力させることができる。これにより、ボルテージディテクタ10は、瞬時電圧低下時に確実かつ高速な検出応答性を得ることができる。
【0036】
(第1の実施形態の変形例)
図3は、第1の実施形態の変形例に係るボルテージディテクタの回路図である。
図3に示すように、第1の実施形態の変形例に係るボルテージディテクタは、第1の実施形態において、電源電圧VDDとしてバッテリ電圧Vsを用いる態様とし、検出端子T2が電源端子T1を兼ねている以外は、第1の実施形態と同様である。
これにより、第1の実施形態の変形例に係るボルテージディテクタは、電源端子T1が不要となり、電源電圧VDDを供給するための引き回しを少なくすることができるため、第1の実施形態に係るボルテージディテクタよりも小型化が可能となる。
【0037】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係るボルテージディテクタの回路図である。
図4に示すように、第2の実施形態に係るボルテージディテクタ20は、第1の実施形態において、ゲート端子がインバータINV4の出力と接続され、ドレイン端子がインバータINV2の入力に接続され、ソース端子が接地されている第2のスイッチング素子としてのNMOSトランジスタM11を更に備える以外は、第1の実施形態と同様である。
すなわち、第2の実施形態に係る瞬時電圧降下検出回路230は、NMOSトランジスタM10に入力されるオン制御信号又はオフ制御信号が入力され、オン制御信号により出力トランジスタM5に入力される比較回路120の出力電圧を低下させて出力トランジスタM5からリセット信号を出力させ、オフ制御信号により比較回路120の出力電圧を出力トランジスタM5にそのまま入力させる制御を行うNMOSトランジスタM11を更に備える。
【0038】
第1の実施形態においては、NMOSトランジスタM4から供給されるミラー電流を小さくするとNMOSトランジスタM1のドレイン電圧の上昇が緩やかになるため、出力端子T3が接地電位になるまでの時間が長くなってしまう。
そこで、第2の実施形態に係るボルテージディテクタ20は、NMOSトランジスタM4による定電流値を小さくしても、NMOSトランジスタM11が先にオンになるようにすることで、出力端子T3が接地電位になるまでの時間が長くならないようにすることができる。
【0039】
以上説明したように、本発明の一実施形態におけるボルテージディテクタは、被監視電源から検出端子を介して入力された被監視電圧を、高い抵抗値の分圧抵抗により分圧して分圧電圧を出力する分圧回路と、被監視電圧が低電圧であることを判定するためのしきい値電圧を備えるトランジスタにより、分圧電圧としきい値電圧とを比較した結果に対応する電圧を出力する比較回路と、比較回路の出力電圧に応じてリセット信号を出力する出力トランジスタと、瞬時電圧降下した分圧電圧が比較回路に入力される前に、検出端子から検出した被監視電圧の高周波成分に基づき、出力トランジスタからリセット信号を出力させる瞬時電圧降下検出回路と、を有する。
これにより、このボルテージディテクタは、瞬時電圧低下時に確実かつ高速な検出応答性を有することができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明はこれまで記載した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0041】
10 ボルテージディテクタ
20 バッテリ(被監視電源)
30 電源IC
40 抵抗
50 後続システム
110 分圧回路
120 比較回路
130 瞬時電圧降下検出回路
M1 NMOSトランジスタ
M5 出力トランジスタ
M10 NMOSトランジスタ(第1のスイッチング素子)
M11 NMOSトランジスタ(第2のスイッチング素子)
C コンデンサ(ハイパスフィルタ)
Ra、Rb 分圧抵抗
T1 電源端子
T2 検出端子
T3 出力端子
VDD 電源電圧
Vd 分圧電圧
Vs バッテリ電圧(被監視電圧)
図1
図2
図3
図4