(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163491
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】電子部品実装方法及び回路実装基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/32 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
H05K3/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068443
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】391053696
【氏名又は名称】JOHNAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 良成
(72)【発明者】
【氏名】岡 孝充
(72)【発明者】
【氏名】北河 和弘
(72)【発明者】
【氏名】東谷 祐一
(72)【発明者】
【氏名】荒砂 秀俊
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA01
5E319AB06
5E319BB11
5E319CC61
5E319CD15
5E319CD27
5E319GG09
(57)【要約】
【課題】導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能な電子部品実装方法及び回路実装基板を提供する。
【解決手段】電子部品実装方法は、電極を有する電子部品を回路基板に固定するために、パターン上に第1導電性接着剤を塗布する第1導電性接着剤塗布工程と、前記電子部品を前記回路基板上に前記第1導電性接着剤によって前記電子部品を固定する固定工程と、前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、第2導電性接着剤をさらに塗布する第2導電性接着剤塗布工程と、前記固定工程の後の加熱によって前記第1導電性接着剤を硬化させ、前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱によって前記第2導電性接着剤を硬化させるか、又は前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱によって前記第1導電性接着剤及び前記第2導電性接着剤を硬化させる硬化工程とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の電極を有する電子部品を、前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板に固定するために、前記パターン上に熱硬化性の第1導電性接着剤を塗布する第1導電性接着剤塗布工程と、
前記電極が前記パターンに対応するように前記電子部品を位置決めして前記回路基板上に載置し、前記第1導電性接着剤によって前記電子部品を固定する固定工程と、
前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、熱硬化性の第2導電性接着剤をさらに塗布する第2導電性接着剤塗布工程と、
前記固定工程の後の加熱によって前記第1導電性接着剤を硬化させ、前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱によって前記第2導電性接着剤を硬化させるか、又は前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱によって前記第1導電性接着剤及び前記第2導電性接着剤を硬化させる硬化工程と
を含むことを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品実装方法において、
前記第1導電性接着剤と前記第2導電性接着剤とが同一であることを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項3】
1つ以上の電極を有する電子部品を、前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板に仮固定するために、前記回路基板上で前記パターンとは異なる箇所に非導電性接着剤を塗布する非導電性接着剤塗布工程と、
前記電極が前記パターンに対応するように前記電子部品を位置決めして前記回路基板上に載置し、前記非導電性接着剤によって前記電子部品を仮固定する仮固定工程と、
前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、熱硬化性の導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、
加熱によって前記導電性接着剤を硬化させる硬化工程と
を含むことを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項4】
1つ以上の電極を有する電子部品を、前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板に固定するために、前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、熱硬化性の導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、
加熱によって前記導電性接着剤を硬化させる硬化工程と
を含むことを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項5】
1つ以上の電極を有する電子部品と、
前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板とを備え、
前記電極が前記パターンに対応するように前記電子部品が位置決めされて前記回路基板上に載置されるとともに、前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分が硬化した導電性接着剤によって覆われていることを特徴とする回路実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装方法及び電子部品が実装された回路実装基板に関し、特に、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能な電子部品実装方法及びそのような電子部品実装方法が用いられた回路実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を回路基板に電気的に接合させる実装のため、鉛入りはんだが用いられてきた。その後の鉛フリー化の流れによって代替が進んだ鉛フリーはんだは、鉛入りはんだよりも融点が高いため、はんだ付け工程中に耐熱性が弱い電子部品などが損傷しやすくなる懸念があった。さらに、鉛入りはんだより弾性が低いため、鉛フリーはんだの接合部の方が脆くて、特に温度サイクル時にクラックが生じやすい傾向にあった。
【0003】
最近では、電子デバイスの小型化や電子部品実装の高密度化などのため、樹脂部品の使用やフレキシブル基板上への電子部品搭載なども増加しており、高温でのはんだ付け工程はあまり適切ではない。
【0004】
そこで、はんだ付けの代替技術として、良好な電気的接続を得るための銀などを主体とする導電材料(導電フィラー)を、エポキシなどの接着機能を有する熱硬化性バインダー樹脂に配合して作られるペースト状の導電性接着剤(例えば銀ペースト)を用いて電子部品を回路基板に実装する技術も普及が進んでいる。導電性接着剤の硬化温度ははんだの融点と比べてかなり低いため、耐熱性が弱い電子部品などの熱損傷が回避可能となる(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0005】
ここで、特許文献1に記載されている表面実装部品の回路基板への実装構造は、回路基板上に併設された多数の部品ランド部に、先端側が下方に向いて傾斜したリードを導電性接着剤により電気的に接続する表面実装部品の回路基板への実装構造であって、隣接するランド部について、前記導電性接着剤塗布パタ-ンを前記リードの先端側に対応する領域を含めて塗布されたものと、該領域を除いて塗布されたものとを交互に繰り返したものとし、このパターンで導電性接着剤の塗布されたランド部に対して先端側を下方に傾斜したリード部を接着したことを特徴とするものである。
【0006】
また、特許文献2に記載されている導電性接着剤は、導電性粒子および樹脂を含む導電性接着剤であって、フッ素および窒素を含むことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5-38951号公報
【特許文献2】特開2020-100807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3は、従来の一般的工法によって回路基板10に電子部品12を実装して構成された回路実装基板2を模式的に示す概略断面図である。
【0009】
この
図3に示すように、従来の一般的工法では、まず、回路基板10上に設けられたパターン11にディスペンサ又はスクリーン印刷などによって熱硬化性の導電性接着剤21を塗布する。その上に電極12aがちょうど位置するように電子部品12を位置決めして載置してから全体を加熱し、導電性接着剤21を硬化させることによって電極12aとパターン11との間の機械的接合及び電気的接合を実現する。
【0010】
ところが、導電性接着剤21にはソルダーペーストのような濡れ性がないので、電極12aの側面や上面までの濡れ上がりがほとんどない。その結果、電極12aの底面及び下面コーナー部のみの接続となりやすく、接合強度が不足しがちである。接合強度不足を補うため、例えば、保護補強材を使用したり、樹脂によって電子部品12を封止したりすることで必要な接合強度を確保できるが、その代わり、実装工程が増えたり、実装スペースを小さくすることが困難となったりして、実装コストも増大する。
【0011】
このような課題に対して、これまでは専ら、例えば特許文献2のように、導電性接着剤の導電フィラー及びバインダー樹脂それぞれの材質や配合比率などの改良研究が行われてきた。一方、特許文献1は、導電性接着剤を用いてICやLSIなどの電子部品を実装した際に、回路基板上の隣接するランド同士が接触することを回避するための発明であって、解決すべき課題や技術的思想が全く異なる。
【0012】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能な電子部品実装方法及びそのような電子部品実装方法が用いられた回路実装基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子部品実装方法は、
1つ以上の電極を有する電子部品を、前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板に固定するために、前記パターン上に熱硬化性の第1導電性接着剤を塗布する第1導電性接着剤塗布工程と、
前記電極が前記パターンに対応するように前記電子部品を位置決めして前記回路基板上に載置し、前記第1導電性接着剤によって前記電子部品を固定する固定工程と、
前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、熱硬化性の第2導電性接着剤をさらに塗布する第2導電性接着剤塗布工程と、
前記固定工程の後の加熱によって前記第1導電性接着剤を硬化させ、前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱によって前記第2導電性接着剤を硬化させるか、又は前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱によって前記第1導電性接着剤及び前記第2導電性接着剤を硬化させる硬化工程と
を含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記第1導電性接着剤と前記第2導電性接着剤とが同一であってもよい。または、前記第2導電性接着剤の導電性が前記第1導電性接着剤の導電性より高いものとしてもよい。前記硬化工程については、例えば、前記固定工程の後の加熱と前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱とを別々に行うことで、最初の加熱で前記第1導電性接着剤を硬化させるとともに2回目の加熱で前記第2導電性接着剤を硬化させてもよいし、前記第2導電性接着剤塗布工程の後の加熱で前記第1導電性接着剤及び前記第2導電性接着剤をまとめて硬化させてもよい。
【0015】
このような構成の電子部品実装方法によれば、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品を実装した回路実装基板の耐衝撃性を向上させることができる。なお、前記第2導電性接着剤の導電性が前記第1導電性接着剤の導電性より高いものとした場合は、実現される電気的接合の電気抵抗をより下げることができる。
【0016】
また、本発明の別の一態様に係る電子部品実装方法は、
1つ以上の電極を有する電子部品を、前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板に仮固定するために、前記回路基板上で前記パターンとは異なる箇所に非導電性接着剤を塗布する非導電性接着剤塗布工程と、
前記電極が前記パターンに対応するように前記電子部品を位置決めして前記回路基板上に載置し、前記非導電性接着剤によって前記電子部品を仮固定する仮固定工程と、
前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、熱硬化性の導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、
加熱によって前記導電性接着剤を硬化させる硬化工程と
を含むことを特徴とする。
【0017】
このような構成の電子部品実装方法によれば、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品を実装した回路実装基板の耐衝撃性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明のさらに別の一態様に係る電子部品実装方法は、
1つ以上の電極を有する電子部品を、前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板に固定するために、前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分を覆うように、熱硬化性の導電性接着剤を塗布する導電性接着剤塗布工程と、
加熱によって前記導電性接着剤を硬化させる硬化工程と
を含むことを特徴とする。
【0019】
このような構成の電子部品実装方法によれば、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品を実装した回路実装基板の耐衝撃性を向上させることができる。
【0020】
あるいは、本発明の他の一態様に係る回路実装基板は、
1つ以上の電極を有する電子部品と、
前記電極に対応するパターンが設けられた回路基板とを備え、
前記電極が前記パターンに対応するように前記電子部品が位置決めされて前記回路基板上に載置されるとともに、前記パターン及び少なくとも前記電極の各側面の回路基板側半分が硬化した導電性接着剤によって覆われていることを特徴とする。
【0021】
このような構成の回路実装基板によれば、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品を実装した回路実装基板の耐衝撃性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電子部品実装方法及びそのような電子部品実装方法が用いられた回路実装基板によれば、導電性接着剤を用いながらも電子部品の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品を実装した回路実装基板の耐衝撃性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品実装方法によって回路基板10に電子部品12を実装して構成された回路実装基板1を模式的に示す概略断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る電子部品実装方法によって回路基板10に電子部品12を実装して構成された回路実装基板1Aを模式的に示す概略断面図である。
【
図3】従来の一般的工法によって回路基板10に電子部品12を実装して構成された回路実装基板2を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る電子部品実装方法によって回路基板10に電子部品12を実装して構成された回路実装基板1を模式的に示す概略断面図である。
【0026】
この
図1に示すように、チップ形状の電子部品12は両端に電極12aを有しており、これらの電極12aに対応するように平板形状の回路基板10上にパターン11がそれぞれ設けられている。なお、電子部品12としては表面実装(SMT:Surface mount technology)タイプのチップ部品に限るわけではない。
【0027】
第1実施形態に係る電子部品実装方法は、以下のとおりである。なお、回路基板10上に実装すべき電子部品12の全てに適用しなくてもよく、大きさや形状などが異なる電子部品12毎に脱落防止に必要な接合強度や所要実装時間などを考慮して、適用する電子部品12を決定すればよい。
【0028】
(1.1)回路基板10上に非導電性接着剤13を塗布する工程
電子部品12を回路基板10上に実装するのに先立って、その電子部品12を仮固定するため、まずは回路基板10上でパターン11とは異なる箇所、例えば、2つのパターン11の間で電子部品12の直下に対応する箇所に非導電性接着剤13を塗布する。
【0029】
(1.2)電子部品12を位置決めして回路基板10上に載置して仮固定する工程
電子部品12の両端の電極12aが2つのパターン11にそれぞれ対応するように、電子部品12を位置決めしてから回路基板10上に載置する。これにより、上記の工程(1.1)で塗布された非導電性接着剤13によって電子部品12が仮固定される。
【0030】
(1.3)熱硬化性の導電性接着剤21を塗布する工程
パターン11及び電極12aのほぼ全体を覆うように、ディスペンサによって熱硬化性の導電性接着剤21を塗布する。ただし、必ずしも電極12aのほぼ全体を覆わなくてもよく、
図3に示した従来の一般的工法による場合と比較して大幅に多く塗布すれば相応の効果を奏する。例えば、電極12aの上面まで達するように塗布するか、又は少なくとも電極12aの各側面(
図1に示した右側の電極12aであれば手前側側面、右側側面、及び向こう側側面)の下半分(回路基板10側の半分)がほぼ覆われるように塗布することが望ましい。なお、導電性接着剤21の塗布は、1回で行ってもよいが、複数回に分けて行ってもよい。ディスペンサとしては、例えば非接触方式のジェットディスペンサが好適である。
【0031】
(1.4)加熱によって導電性接着剤21を硬化させる工程
全体を加熱して導電性接着剤21を硬化させる。これにより、電子部品12の電極12aと回路基板10のパターン11との間の機械的接合及び電気的接合が実現される。
【0032】
以上で説明した第1実施形態に係る電子部品実装方法によれば、電子部品12の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品12の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品12を実装した回路実装基板1の耐衝撃性を向上させることができる。
【0033】
<第2実施形態>
図2は本発明の第2実施形態に係る電子部品実装方法によって回路基板10に電子部品12を実装して構成された回路実装基板1Aを模式的に示す概略断面図である。なお、第1実施形態と同じ構成部材には同じ参照符号を付すこととし、以下では主として相違点について説明する。回路基板10上に実装すべき電子部品12の全てに適用しなくてもよいのは、第1実施形態と同様である。
【0034】
第2実施形態に係る電子部品実装方法は、以下のとおりである。
【0035】
(2.1)パターン11上に熱硬化性の導電性接着剤21を塗布する工程
電子部品12を回路基板10上に固定するため、まずはパターン11上にディスペンサ又はスクリーン印刷などによって熱硬化性の導電性接着剤21を塗布する。
【0036】
(2.2)電子部品12を位置決めして回路基板10上に載置して固定する工程
電子部品12の両端の電極12aが2つのパターン11にそれぞれ対応するように、電子部品12を位置決めしてから回路基板10上に載置する。これにより、上記の工程(2.1)で塗布された導電性接着剤21によって電子部品12が固定される。
【0037】
(2.3)加熱によって導電性接着剤21を硬化させる工程
全体を加熱して導電性接着剤21を硬化させる。これにより、電子部品12の電極12aと回路基板10のパターン11との間の機械的接合及び電気的接合が実現される。
【0038】
(2.4)熱硬化性の導電性接着剤22をさらに塗布する工程
導電性接着剤21が既に塗布・硬化されているパターン11及び電極12aのほぼ全体を覆うように、ディスペンサによって熱硬化性の導電性接着剤22をさらに塗布する。ただし、必ずしも電極12aのほぼ全体を覆わなくてもよく、
図3に示した従来の一般的工法による場合と比較して大幅に多く塗布すれば相応の効果を奏する。例えば、電極12aの上面まで達するように塗布するか、少なくとも電極12aの各側面(
図2に示した右側の電極12aであれば手前側側面、右側側面、及び向こう側側面)の下半分(回路基板10側の半分)がほぼ覆われるように塗布することが望ましい。
【0039】
ここで、導電性接着剤22は上記の工程(2.1)で塗布された導電性接着剤21と同一でもよいが、例えば導電性がより高いものであってもよい。これにより、導電性接着剤21と導電性接着剤22とが同一の場合と比較して、実現される電気的接合の電気抵抗をより下げることができる。なお、導電性接着剤22の塗布は、1回で行ってもよいが、複数回に分けて行ってもよい。ディスペンサとしては、例えば非接触方式のジェットディスペンサが好適である。
【0040】
(2.5)加熱によって導電性接着剤22を硬化させる工程
再び全体を加熱して導電性接着剤22を硬化させる。これにより、電子部品12の電極12aとパターン11との間の機械的接合及び電気的接合が強化される。
【0041】
以上で説明した第2実施形態に係る電子部品実装方法によれば、電子部品12の接合強度を大幅に向上可能である。これにより、電子部品12の脱落を防止できるので保護補強材なども不要となり、電子部品12を実装した回路実装基板1の耐衝撃性を向上させることができる。第1実施形態とは異なり、回路基板10上に非導電性接着剤13を塗布する工程や電子部品12を載置して仮固定する工程は不要である。
【0042】
なお、上記の工程(2.3)を省略するとともに、工程(2.5)において導電性接着剤21及び導電性接着剤22をまとめて硬化させるようにしてもよい。これにより、工程を簡略化して合計の実装時間を短縮することができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明の要点は、第1実施形態では工程(1.3)や第2実施形態では工程(2.4)に記載されているように、パターン11及び少なくとも電極12aの各側面の下半分がほぼ覆われるように熱硬化性の導電性接着剤21又は導電性接着剤22を塗布した後、加熱によって導電性接着剤21や導電性接着剤22を硬化させることである。それに先立って電子部品12を回路基板10上に仮固定又は固定する方法としては、第1実施形態の工程(1.1)、(1.2)、第2実施形態の工程(2.1)~(2.3)が挙げられるが、これらに限るわけではない。
【0044】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態を適宜組み合わせることも考えられる。例えば、第2実施形態の工程(2.1)に先立って第1実施形態の工程(1.1)及び(1.2)を順次行い、電子部品12を回路基板10上に非導電性接着剤13で仮固定してから、導電性接着剤21による電子部品12の固定、導電性接着剤22による電極12aとパターン11との間の機械的接合及び電気的接合の強化を行うようにしてもよい。
【0045】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、導電性接着剤を用いる電子部品実装方法及び導電性接着剤が用いられた回路実装基板などに利用可能である。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)やその他の安価な基材、又は薄く柔軟なフィルムなどへの電子部品実装、インモールドエレクトロニクス、あるいはウェアラブル用途などにも好適である。
【符号の説明】
【0047】
1 回路実装基板(第1実施形態に係る電子部品実装方法によるもの)
1A 回路実装基板(第2実施形態に係る電子部品実装方法によるもの)
2 回路実装基板(従来技術によるもの)
10 回路基板
11 パターン
12 電子部品
12a 電極
13 接着剤(仮固定用/非導電性)
21 第1導電性接着剤
22 第2導電性接着剤