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  • 特開-鋼管の出荷方法 図1
  • 特開-鋼管の出荷方法 図2
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  • 特開-鋼管の出荷方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163496
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】鋼管の出荷方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
F16L57/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068455
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】521161691
【氏名又は名称】株式会社リノフラップ
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】来栖 徳治
(72)【発明者】
【氏名】木下 正満
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024CA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鋼管の先端部を少ない工程で的確に養生し、出荷後に養生に用いた部材の取り外し及び廃棄の負荷を軽減する鋼管の出荷方法を提供すること。
【解決手段】鋼管1の先端部を養生して出荷する方法であって、先端部11と略一致する大きさのプレート材2を準備する工程と、先端部11にプレート材2を着脱自在に取り付ける工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の先端部を養生して出荷する方法であって、
先端部と略一致する大きさのプレート材を準備する工程と、
先端部にプレート材を着脱自在に取り付ける工程と、
を含むことを特徴とする鋼管の出荷方法。
【請求項2】
プレート材は、前記先端部の開口より小さい大きさに形成された段差部を有し、
段差部を前記開口より内側に位置するように先端部にプレート材を当接する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼管の出荷方法。
【請求項3】
プレート材は、周端縁に向かって放射状に形成されたリブ部を有し、
リブ部をを介してプレート材を先端部に当接する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管の出荷方法。
【請求項4】
プレート材は、パルプ材、樹脂材、又はこれらの混合材で形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼管の出荷方法。
【請求項5】
鋼管は、0.1mm~2mmの厚さを有し、
プレート材は、0.3mm~3mmの厚さを有している
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の鋼管の出荷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築物の施工に採用される鋼管の出荷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の施工に採用される管には、鋼製や樹脂製、給水・排水用や排気用といった様々な種類や用途があった。そして種類や用途によっては、管の先端部分の養生が必要なタイミングがあった。例えば特許文献1には、水道設備工事に際して配管され、かつ一時的に開口状態とされる排水管の管体口となる先端部に嵌脱可能に施すようにしたゴム製や合成樹脂製の養生キャップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3045891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の養生キャップは、先端部を覆うように取り付けられる分、先端部周辺が太くなってかさばるため、出荷前に行っている管の養生には不向きである。また、上記養生カップは、弾性変形しやすい材質であることから、出荷後に処分しにくい。すなわち、出荷のために管の先端を養生する場合、外径を増すことなく、かつ養生に用いた部材を処分しやすい方法を採用すべきである。そして特に鋼管は、樹脂製の管より比重が高い分、軽量かつ破損しにくい資材で養生すべきである。
【0005】
そこで、本発明の目的は、鋼管の先端部を少ない工程で的確に養生し、出荷後に養生に用いた部材の取り外し及び廃棄の負荷を軽減する鋼管の出荷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明における鋼管の出荷方法は、鋼管の先端部を養生して出荷する方法であって、先端部と略一致する大きさのプレート材を準備する工程と、先端部にプレート材を着脱自在に取り付ける工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
プレート材は、上記先端部の開口より小さい大きさに形成された段差部を有し、上記出荷方法は、段差部を上記開口より内側に位置するように先端部にプレート材を当接する工程と、を含むのが望ましい。
【0008】
プレート材は、周端縁に向かって放射状に形成されたリブ部を有し、上記出荷方法は、リブ部を介してプレート材を先端部に当接する工程と、を含むのが望ましい。
【0009】
プレート材は、パルプ材、樹脂材、又はこれらの混合材で形成されているのが望ましい。
【0010】
鋼管は、0.1mm~2mmの厚さを有し、プレート材は、0.3mm~3mmの厚さを有しているのが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋼管の先端部を少ない工程で的確に養生できるばかりでなく、出荷後に養生に用いた部材の取り外し及び廃棄の負荷を軽減できることから、建築物に対する鋼管の施工効率を向上させる効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態における出荷方法で養生されたスパイラルダクト(a)と、(a)を4本束ねたスパイラルダクト群(b)とを示す図である。
図2】上記出荷方法に含まれるプレート材の取付工程に含まれる当接工程(a)と、固定工程(b)とを示す図である。
図3】上記出荷方法に用いられる別のプレート材の構造及びこのプレート材を取り付けた状態を説明する図である。
図4】上記出荷方法に用いられる別のプレート材の構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1及び図2を参照しつつ、本発明の一実施形態における鋼管の出荷方法(以下、「本出荷方法」ともいう。)について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの部位の引き出し線をかくれ線(破線)で示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の向きを示す用語は、基本的に水平な床や地面を基準とする。
【0014】
<本出荷方法の概要>
本出荷方法は、例えばスパイラル鋼管(以下「スパイラルダクト」ともいう。)・電気抵抗溶接鋼管・継目無鋼管・板巻(ベンディング)鋼管といった建築物の施工に用いられる厚さ0.1mm~2mmの鋼管の先端部を養生し、製造現場を含む某所から建築現場に移送する際に採用され、好ましくはスパイラルダクトのように比較的軽量かつ薄肉の鋼管を移送する際に採用され、いわゆる丸ダクトのみならず角ダクトを移送する際に採用されてもよい。「建築物」とは、例えば集合住宅・戸建住宅・仮設住宅・学校・病院・高齢者施設・障害者施設・各種商業施設であり、鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造といった構造やサイズを限定しない。
【0015】
「スパイラルダクト」とは、幅50mm~200mm、厚み0.2mm~1.5mmの帯状の亜鉛鋼板を螺旋状に巻き、重なった帯鋼の両端同士をハゼ折りにかしめて所定の長さに製造された断面円形状の鋼管であり、かしめた部分が螺旋状に形成されて鋼管としての強度を高め、例えば集合住宅のキッチン・浴室・トイレの換気用ダクトや各居室の冷暖房用ダクト、各種商業施設の集塵用ダクトとして用いられ、用途に応じて内径を決定してもよい。
【0016】
<本出荷方法の基本工程及び効果>
図1(a)及び図2に示すように、スパイラルダクト1には、先端部11と略一致する大きさのプレート材2を準備する準備工程と、先端部11にプレート材2を着脱自在に取り付ける取付工程と、を含む出荷方法が採用されている。先端部11を含むスパイラルダクト1の直径は、50mm~1000mmでもよいが、好ましくは75mm~200mm、より好ましくは100mm~150mmである。この方法によれば、プレート材2の周端縁がスパイラルダクト1の先端部11より外側にはみ出さないで先端部11を最短の作業工程で的確に養生できるばかりでなく、養生に用いられたプレート材2その他資材を出荷先で素早く荷解きできることから、建築物に対する鋼管の施工効率を向上させる効果を期待できる。
【0017】
なお、図1(b)に示すように、養生したスパイラルダクト1を、例えば結束バンドで4本束ねたスパイラルダクト群として出荷してもよい。スパイラルダクト1やスパイラルダクト群を段ボール箱で梱包して出荷してもよい。スパイラルダクト1内に略同等の長さかつ小さい径の別のスパイラルダクト1を挿入してもよく、双方に取り付けたプレート材2により内部のスパイラルダクト1の露出も予防できる。
【0018】
<プレート材2の詳細>
プレート材2は、パルプ材、樹脂材、又はこれらの混合材を原材料として形成されており、好ましくは製造コストが相対的に安価で、軽量かつ破損しにくいパルプ材製又はパルプ材の割合が高い混合材である。プレート材2は、所定のサイズの板材を切断して1つずつ成形されたものでも、射出成形により1つずつ成形されたものでも、所定のサイズの板材を切断後に所定の金型を用いて1つずつ成型されたものでもよい。プレート材2は、0.3mm~3mmの厚さを有し、好ましくはスパイラルダクト1の先端部11の養生に適した強度及び原材料費を考慮して0.5mm~2mmの厚さを有する。プレート材2は、スパイラルダクト1の先端部11による損傷や水分による軟化を防ぐ所定成分のコーディング層を表面に有していてもよい。プレート材2は、スパイラルダクト1の先端部11の外径と同等以上の直径でも、先端部11に当接する程度に上記外径より小さい直径でもよい。
【0019】
<準備工程の詳細>
準備工程は、スパイラルダクト1の先端部11と略一致する大きさにプレート材2を製造する製造工程と、製造後のプレート材2を仕入れる仕入工程と、仕入後のプレート材2を取付工程に提供する提供工程と、を全て含んでもよく、製造工程を除いて仕入工程と提供工程とを含んでもよく、製造工程及び仕入工程を除いて提供工程のみ含んでもよい。製造工程では、所定のサイズの板材を切断してプレート材2を得ても、射出成形によりプレート材2を得ても、上記板材を切断して得られた板状部材を所定の金型で成型してプレート材2を得てもよい。仕入工程では、プレート材2を1つずつ仕入れても、複数まとめて仕入れてもよい。提供工程では、包装されたプレート材2を開封して取り出しても、複数重なった状態からプレート材2を一つ一つ取り出してもよい。
【0020】
<取付工程の詳細>
取付工程は、図2(a)に示すプレート材2をスパイラルダクト1の先端部11に当接する当接工程と、図2(b)に示す先端部11に当接したプレート材2を取り外し可能な接着部材3でスパイラルダクト1に固定する固定工程と、を含んでもよい。当接工程は、プレート材2をスパイラルダクト1の先端部11まで所定の機械装置により移動して行っても、作業員により移動して行ってもよい。固定工程で用いられる接着部材3は、片面に接着剤が塗布されたいわゆるクロスタイプの養生テープでもフィルムタイプの養生テープでもよく、好ましくは剥がし跡がスパイラルダクト1の表面に残りにくいものである。固定工程は、スパイラルダクト11の先端部11の一方又は両方に対してプレート材2の表面からスパイラルダクト1に渡って横断及び/又は縦断するように接着部材3を長めに貼り付けるが、プレート材2の表面の端からスパイラルダクト1に渡って接着部材3を短めに貼り付けてもよい。
【0021】
次に、図3及び図4を参照しつつ、本発明の一実施形態における別の出荷方法について、上述した出荷方法と相違する部分を説明し、同等の部分の説明を省略する。図2で示した部品又は部位と同等なものは、参照を容易にするため、図3及び図4では図1及び図2において一律100、200を加えた番号にしている。
【0022】
図3に示すように、プレート材102は、スパイラルダクト1の先端部11の開口11aより小さい大きさに形成された段差部121を有している。取付工程に含まれる当接工程では、段差部121を開口11aより内側に位置するように先端部11にプレート材102を当接する。この方法によれば、段差部121が目印となるためプレート材102の取付向きを誤りにくく、また段差部121がスパイラルダクト1内に収まるため先端部11に対するプレート材102の位置を決定しやすくなる。
【0023】
<プレート材102の詳細>
プレート材102は、平坦状の段差部121と、段差部121の周縁から連続して外方向に形成された付番しない傾斜面部と、傾斜面部の周縁から連続して外方向に形成された付番しない平坦状の外端部とを有しており、傾斜面部の代わりに略垂直の側壁部でもよい。段差部121は、プレート材102の中央に1段形成されており、2段以上でもよく、中心を囲むように複数個形成されてもよい。段差部121は、スパイラルダクト1の先端部11の開口11aに嵌合しない程度の径で形成されており、これにより出荷先でプレート材102を余計な力を加えず容易に取り外せる。段差部121は、プレート材102の直径の100分の1~10分の1の深さで形成されており、好ましくは90分の1~20分の1の深さ、より好ましくは70分の1~30分の1の深さであり、100分の1未満の深さだと浅すぎて所望の効果を発揮できず、10分の1超の深さだと高低差が大き過ぎて成形し難く、また破損しやすい。
【0024】
図4に示すように、プレート材202は、付番しない平坦状の外端部の周端縁に向かって放射状に形成されたリブ部222を有している。取付工程に含まれる当接工程では、リブ部222を介してプレート材202を先端部11に当接する。この方法によれば、リブ部222がスパイラルダクト1の先端部11に当接するプレート材202の外端部を補強するため、プレート材202が破損しにくくなる。
【0025】
<プレート材202の詳細>
リブ部222は、プレート材202の表面から突出する凸状に形成されても、表裏に突出する波状に形成されてもよい。リブ部222は、付番しない外端部から傾斜面部に渡って形成されているが、外端部のみに形成されてもよい。リブ部222は、狭めの幅でも広めの幅でもよく、隣り合うリブ部222同士は、リブ部222の幅より狭めの間隔でも広めの間隔でもよい。
【0026】
なお、本実施形態に示した鋼管の出荷方法は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、所定の手順を含む工程や、所定の形状・寸法・部位同士の関係を含む資材により実行されてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 スパイラルダクト、11 先端部、11a 開口
2、102、202 プレート材、121 段差部、222 リブ部
3 養生テープ
図1
図2
図3
図4