(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163521
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
F16H1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068513
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】田代 崇
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FA36
3J027FB02
3J027GB03
3J027GC03
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE01
(57)【要約】
【課題】歯車の設置個数を低減可能な減速機を提供する。
【解決手段】減速機10は、軸心に対して偏心した状態に設けられた偏心支持部32を有する入力軸30と、偏心支持部32の径方向外方に配置され、外周部に複数の第一歯55aを有する入力歯車50と、第一歯55aと噛み合う位置に配置された固定歯車25であって、第一歯55aに対向する位置に並んで配置された複数の固定歯26を有する固定歯車25と、入力軸30と同一軸心上に延びる出力軸70と、入力歯車50のトルクを出力軸70に伝達する伝達機構80とを備えている。伝達機構80は、入力歯車50において出力軸70に対向する対向面に円形状の収容凹部84を有する回転盤81と、当該収容凹部の内周面に対し摺動自在な回転体82と、回転体82を収容凹部84内で回転自在に軸支する支持部材83とを備えている。支持部材83は、収容凹部84の中心に対して偏心した位置に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸であって、前記入力軸の軸心に対して偏心した状態に設けられた偏心支持部を有する入力軸と、
前記入力軸の偏心支持部の径方向外方に配置され、外周部において周方向に並んで配置された複数の第一歯を有する入力歯車と、
前記第一歯と噛み合う位置に配置された固定歯車であって、前記第一歯に対向する位置に並んで配置された複数の固定歯を有する固定歯車と、
前記入力軸と同一軸心上に延びる出力軸と、
前記入力歯車のトルクを前記出力軸に伝達する伝達機構とを備え、
前記伝達機構は、
前記入力歯車において軸方向で前記出力軸に対向する対向面に円形状の収容凹部を有する回転盤と、
前記収容凹部内に収容され、当該収容凹部の内周面に対し摺動自在な回転体と、
前記出力軸から前記収容凹部に向けて突出し、前記回転体を前記収容凹部内で回転自在に軸支する支持部材とを備え、
前記支持部材は、前記収容凹部の中心に対して偏心した位置に配置されている
減速機。
【請求項2】
前記回転体は、前記収容凹部に嵌合する円形状である
請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記収容凹部には、前記回転体を回転自在に保持する軸受が設けられている
請求項2に記載の減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される回転角を減じて出力する減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の歯車を備えることで、入力される回転角を減じて出力する減速機が存在する。例えば、特許文献1には、第1軸材がキャリア軸として機能し、二段歯車が外歯と内歯により一体型の遊星歯車として機能し、内歯歯車が内歯車として機能し、伝達歯車が太陽歯車として機能する、いわゆるサイクロイド減速機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、低コスト化を図るべく、精度が要求される歯車の設置個数を押さえつつも安定した減速性能を発揮できる減速機が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、歯車の設置個数を低減可能な減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る減速機は、入力軸であって、入力軸の軸心に対して偏心した状態に設けられた偏心支持部を有する入力軸と、入力軸の偏心支持部の径方向外方に配置され、外周部において周方向に並んで配置された複数の第一歯を有する入力歯車と、第一歯と噛み合う位置に配置された固定歯車であって、第一歯に対向する位置に並んで配置された複数の固定歯を有する固定歯車と、入力軸と同一軸心上に延びる出力軸と、入力歯車のトルクを出力軸に伝達する伝達機構とを備え、伝達機構は、入力歯車において軸方向で出力軸に対向する対向面に円形状の収容凹部を有する回転盤と、収容凹部内に収容され、当該収容凹部の内周面に対し摺動自在な回転体と、出力軸から収容凹部に向けて突出し、回転体を収容凹部内で回転自在に軸支する支持部材とを備え、支持部材は、収容凹部の中心に対して偏心した位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、歯車の設置個数を低減可能な減速機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る減速機の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る減速機の構成概要を示す断面図である。
【
図3】実施の形態に係る減速機の入力側から見た場合の構成概要図である。
【
図4】実施の形態に係る伝達機構の概略構成を示す分解斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る入力歯車、各回転体、各支持部材及び出力軸の動作を示す模式図である。
【
図6】変形例に係る減速機の構成概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態及びその変形例について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例おける構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、図面は、本発明を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。さらに、以下の実施の形態及び特許請求の範囲において、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交である、とは、当該2つの方向が完全に直交であることを意味するだけでなく、実質的に直交であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0011】
(実施の形態)
以下、実施の形態に係る減速機10の全般的な構成及び動作を説明する。
図1は、実施の形態に係る減速機10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る減速機10の構成概要を示す断面図である。
図2では出力軸70及び各歯車(25、50)が有する歯については断面ではなく側面が図示されている。また、
図2において、入力軸30及び出力軸70のそれぞれを回転自在に支持する軸受は簡易的に図示されており、その説明は省略する。
【0012】
図3は、実施の形態に係る減速機10の入力側から見た場合の構成概要図である。
図3では、各構成要素を識別しやすいように、それぞれの構成要素にはハッチングが付されている。また、各歯車(25、50)が有する複数の歯については、一部のみを図示し、他の図示は省略されている。また、複数の歯のそれぞれについては簡易的に台形状の部位として図示しているが、各歯の形状に特に限定はなく、インボリュート歯形、サイクロイド歯形、または、これらを合成した歯形などであってもよい。
【0013】
減速機10は、入力される回転角及び回転速度を減じてさせて出力する装置である。本実施の形態では、減速機10は、入力軸30の回転速度より小さな回転速度で出力軸70を回転させる構造を有している。減速機10の用途に特に限定はないが、例えば、自動車等の移動体が備えるステアリング装置におけるパワーアシスト用、または、移動体の転舵輪を転舵させる力を発生する転舵駆動用などの用途で用いられる。
【0014】
図1に示すように、減速機10は、ハウジング20と、ハウジング20に収容された複数の歯車(入力歯車50及び固定歯車25)とを備える。入力歯車50は、軸受40を介して入力軸30に取り付けられている。軸受40は、内輪部41及び外輪部42と、内輪部41と外輪部42との間に配置された複数の回転部43とを有し、外輪部42及び内輪部41の一方は他方に対して回転自在に支持されている。回転部43は、例えば球状または円柱状の金属体である。軸受40の内輪部41は、入力軸30に対して偏心した状態で入力軸30に取り付けられている。具体的には、入力軸30は、軸線Laを中心に回転する軸本体部31と、入力軸30の軸方向の一部において軸線Laに対して偏心した状態に設けられた偏心支持部32とを有する。より詳細には、偏心支持部32は、軸線Laの方向(本実施の形態ではZ軸方向と一致する方向であり、以下、単に「軸方向」ともいう。)から見た場合、つまり、軸方向視において円形であり、かつ、中心軸Lb(
図3参照)が軸線Laから径方向に離れた位置に配置されている。偏心支持部32の、軸線Laと中心軸Lbとを結ぶ直線上に位置する部分である大径部32aが、軸線Laから径方向に最も離れた外周面を形成する部分である。
図3では、大径部32aが、Y軸方向プラス側に位置した状態が図示されている。この偏心支持部32の外周面に、軸受40の内輪部41が固定されており、軸受40の外輪部42には、入力歯車50が固定されている。つまり、入力軸30が回転した場合、軸方向視における入力歯車50の中心は、軸線La周りに回転する。すなわち、入力歯車50は、入力軸30の回転に伴って公転する。
【0015】
入力歯車50において環状の本体部51の外周部には、周方向に並んで配置された複数の第一歯55aが設けられている。入力歯車50の複数の第一歯55aと噛み合う位置に固定歯車25が配置されている。固定歯車25は、ハウジング20に固定された歯車であり、複数の第一歯55aに対向する位置に並んで配置された複数の固定歯26を有している。また、第一歯55aの数をZaとし、固定歯26の数をZbとした場合、Za>Zbである。上記構造において、入力軸30の回転に伴って入力歯車50が公転した場合、入力歯車50の複数の第一歯55aの一部と固定歯車25との噛み合い位置が、固定歯車25の周方向で移動し、これにより、入力歯車50は、入力軸30とは逆向きに回転する。具体的には、
図3に示すように、複数の第一歯55aにおける、偏心支持部32の大径部32aの外側の位置を含む所定の範囲が、固定歯車25と噛み合いながら、入力歯車50が公転する。このような動きを行う入力歯車50は、例えば、固定歯車25を太陽歯車とする内接式の遊星歯車であると表現できる。
【0016】
例えば、減速機10を軸方向の出力側(Z軸方向プラス側)から見た場合に、入力軸30が時計回りに回転した場合、複数の第一歯55aと固定歯車25との噛み合い位置も時計回りに移動し、その結果、入力歯車50は、軸受40を中心に反時計回りに回転(自転)する。具体的には、例えばZa=41かつZb=40である場合において、入力軸30が時計回りに360°回転することで、複数の第一歯55aと固定歯車25との噛み合い位置が、360°回転した場合を想定する。この場合、入力歯車50は、軸受40周りに、360°×((41-40)/40)=9°だけ反時計回りに回転する。つまり、減速機10は、入力歯車50の回転角(回転速度)をそのまま出力するように構成した場合、減速比が1/40の減速機として動作することができる。
【0017】
図2に示すように、本実施の形態では、減速機10はさらに、軸線Laを中心として回転するように配置された出力軸70を備えている。出力軸70は、軸本体71と、第一鍔部72と、筒部73と、第二鍔部74とを有している。
【0018】
軸本体71は、入力軸30と同一軸心上に延びる円柱部である。第一鍔部72は、軸本体71における出力軸70側(Z軸マイナス方向)の端部から全周にわたって径方向外方に延びる円環板状の部位である。第一鍔部72は、軸線Laに対して直交する方向に延設されている。筒部73は、第一鍔部72の外周縁から全周にわたって出力軸70側に延びる筒状の部位である。筒部73は、一対の軸受を介してハウジング20及び入力軸30の軸本体部31に回転自在に保持されている。第二鍔部74は、筒部73における出力軸70側の端部から全周にわたって径方向外方に延びる円環板状の部位である。第二鍔部74は、第一鍔部72に対して平行に延設されている。
【0019】
伝達機構80は、入力歯車50のトルクを出力軸70に伝達する機構である。
図4は、実施の形態に係る伝達機構80の概略構成を示す分解斜視図である。
図2及び
図4に示すように、伝達機構80は、回転盤81と、一対の回転体82と、一対の支持部材83とを有している。回転盤81は、入力歯車50において、本体部51の出力軸70側の端部に設けられた、円環板状の部位である。回転盤81において、出力軸70の第二鍔部74に対向する対向面には、一対の収容凹部84が形成されている。一対の収容凹部84は、軸線Laを挟んで対向する位置に配置されている。各収容凹部84は、平面視(Z軸プラス方向から見て)円形状の凹部である。
【0020】
各回転体82は、各収容凹部84に収容される円板状の部材である。具体的には、各回転体82は、各収容凹部84の内周面に沿って回転摺動するように、当該収容凹部84内に嵌合している。
【0021】
各支持部材83は、各回転体82を回転自在に軸支するピン部材である。具体的には、各支持部材83は、出力軸70の第二鍔部74において、回転盤81に対向する面に固定されており、その一端部が各収容凹部84に向けて突出している。この突出した部分に回転体82が回転自在に軸支されている。各支持部材83は、平面視した場合において収容凹部84の中心に対し偏心した位置に配置されている。このため、各収容凹部84内では、当該収容凹部84の中心とは異なる位置を回転中心として、各回転体82が回転摺動するようになっている。具体的には、支持部材83の位置と収容凹部84の中心との偏心量は、軸線Laと中心軸Lbとの偏心量と同一である。ここで、偏心量とは、2点間(例えば支持部材83の位置と収容凹部84との中心との間、または軸線Laと中心軸Lbとの間)を結ぶ直線の長さである。これにより、各回転体82は、入力歯車50のトルクを受けると各収容凹部84内で回転摺動(自転)しながら公転する。このとき、各支持部材83も同様に公転する。この際、収容凹部84内に着目すると、各支持部材83は、当該収容凹部84の中心から偏心した位置を中心に回転するような動きを見せるが、これは、入力歯車50の中心が軸線La周りに回転する動作を許容しているためである。実際には、各支持部材83の公転の軌道は、軸線Laを中心とした円周上であるので、各支持部材83が出力軸70に対して軸線Laまわりのトルクを伝達する。これにより、出力軸70が軸線Laを中心に回転することになる。
【0022】
このときの各部の動作について
図5を参照して説明する。
図5は、実施の形態に係る入力歯車50、各回転体82、各支持部材83及び出力軸70の動作を示す模式図である。
図5では、固定歯車25のピッチ円を25Lで示し、入力歯車50のピッチ円を30Lで示している。また、
図5では、一対の収容凹部84の中心の軌道を84Lで示し、一対の支持部材83の軌道を83Lで示し、一対の支持部材83を結ぶ線分を83LLで示している。
図5では、(a)から(b)、(c)、(d)、(e)という順で回転が進んでいく状態を示している。
図5の(a)~(e)では、いずれも、入力歯車50の複数の第一歯55aの一部と固定歯車25との噛み合い位置が上端となっている場合を示している。この場合における入力歯車50の中心をLa1としている。また、
図5では、各収容凹部84内における各回転体82を長円82Lで示している。これにより、円形状である各回転体82の、収容凹部84内での姿勢を表現している。具体的には、
図5の(a)における回転体82の姿勢を、長円82Lの長手方向が
図5における上下方向に沿うように表現しており、この姿勢を基準として、
図5の(b)、(c)、(d)、(e)の回転体82の姿勢を表現している。
【0023】
まず、入力軸30が回転することで、
図5の(a)に示す状態から入力歯車50が回転し、
図5の(b)に示す状態になる際には、その間、各回転体82が各収容凹部84内で回転摺動しながら、中心La1を中心にした軌道84Lに沿って公転する。このとき、各支持部材83は、軸線Laを中心にした軌道83Lに沿って公転するので、出力軸70が軸線Laを中心に回転することになる。また、各収容凹部84内では各回転体82が基準の姿勢から傾いた姿勢となっている。
図5の(b)から
図5の(c)への回転時や、
図5の(c)から
図5の(d)への回転時、
図5の(d)から
図5の(e)への回転時、
図5の(e)から
図5の(a)への回転時においても、同様のことが言える。これらの動作によって、入力軸30に導入された回転が、入力歯車50、各回転体82及び各支持部材83を介して、出力軸70に減速されて伝達される。つまり、減速機10は、入力軸30の回転角を1/40に減じて出力することができる。すなわち、本実施の形態に係る減速機10は、減速比が1/40の減速機である。なお、上記の各歯数(Za、Zb)のそれぞれは例示であり、各歯数(Za、Zb)は、減速機10の用途等から決定される減速比が得られるように、適宜決定されてもよい。
【0024】
(効果など)
以上説明したように、本実施の形態に係る減速機10の伝達機構80は、回転盤81と、一対の回転体82と、一対の支持部材83とを有している。回転盤81は、入力歯車50において軸方向で出力軸70に対向する部分に設けられ、出力軸70に対向する対向面に円形状の収容凹部84を有する。回転体82は、収容凹部84内に収容され、当該収容凹部84の内周面に対し摺動自在となっている。支持部材83は、出力軸70から収容凹部84に向けて突出し、回転体82を収容凹部84内で回転自在に軸支する部材であり、収容凹部84の中心に対して偏心した位置に配置されている。
【0025】
これによれば、入力歯車50のトルクを受けて回転体82が収容凹部84内で回転摺動しながら公転する。このとき、各支持部材83も同様に公転するが、この際、各支持部材83は、収容凹部84内で当該収容凹部84の中心から偏心した位置を中心に回転(自転)しながら、出力軸70に対して軸線Laまわりのトルクを伝達する。これにより、出力軸70が軸線Laを中心に回転することになる。このように、歯車ほど精度が要求されない伝達機構80を採用することで、減速機10に備わる歯車の設置個数を低減することができる。
【0026】
また、各回転体82が各収容凹部84に嵌合する円形状であるので、安定して各回転体82を収容凹部84内で回転摺動させることができる。したがって、効率的なトルク伝達が可能となる。
【0027】
(その他)
以上、本発明に係る減速機について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0028】
例えば、上記実施の形態では、収容凹部84内に回転体82が直接的に嵌合している場合を例示した。しかしながら、収容凹部内には、回転体を回転自在に保持する軸受が設けられていてもよい。具体的には、
図6は、変形例に係る減速機10Aの構成概要を示す断面図である。具体的には、
図6は
図2に対応する図である。以降の説明において、上記実施の形態と同等の部分においては同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0029】
図6に示すように、減速機10Aの各収容凹部84aには、軸受99が取り付けられている。各軸受99は、回転体82を回転自在に保持しており、これにより、スムーズに回転体82を収容凹部84a内で回転摺動させることができる。したがって、より効率的なトルク伝達が可能となる。
【0030】
また、上記実施の形態では、収容凹部84及び回転体82の組が二組設けられている場合を例示したが、収容凹部及び回転体は、何組設けられていてもよい。ただし、安定したトルク伝達性を実現するには、二組以上であることがよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、回転体82が平面視円形状である場合を例示した。しかしながら、収容凹部内を回転摺動できるのであれば、回転体の平面視形状は如何様でもよい。例えば、回転体の平面視形状は、楕円形状、長円形状、多角形状であってもよい。多角形状である場合には、各角部がR状に形成されていることがスムーズな回転摺動を実現するうえで好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、例えば、自動車等の移動体または産業機械等に搭載される減速機として有用である。
【符号の説明】
【0033】
10、10A…減速機、20…ハウジング、25…固定歯車、26…固定歯、30…入力軸、31…軸本体部、32…偏心支持部、32a…大径部、40…軸受、41…内輪部、42…外輪部、43…回転部、50…入力歯車、51…本体部、55a…第一歯、70…出力軸、71…軸本体、72…第一鍔部、73…筒部、74…第二鍔部、80…伝達機構、81…回転盤、82…回転体、82L…長円、83…支持部材、83L…軌道、83LL…一対の支持部材を結ぶ線分、84、84a…収容凹部、84L…軌道、99…軸受、La…軸線、La1…中心、Lb…中心軸