(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163530
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20221019BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068528
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】岡 純平
(72)【発明者】
【氏名】堀 晃輔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056FA10
2C056HA37
2C056KB13
2C056KB15
2C056KB19
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】インクチューブに加わる負荷を低減することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置2は、記録媒体4に対して所定の方向に往復移動し、記録媒体4にインクを吐出する記録ヘッド38,40を有するキャリッジ28と、キャリッジ28の外部に配置され、インクを収容するためのインクタンク18,20,22,24と、インクタンク18,20,22,24と記録ヘッド38,40とを互いに接続し、インクタンク18,20,22,24に収容されたインクを記録ヘッド38,40に供給するためのインクチューブ44,46,48,50であって、キャリッジ28の往復移動に伴って追従変形するインクチューブ44,46,48,50と、キャリッジ28に対して回動可能に支持され、インクチューブ44,46,48,50を保持する第1のチューブホルダ52とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷を施すための印刷装置であって、
前記記録媒体に対して所定の方向に往復移動し、前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有するキャリッジと、
前記キャリッジの外部に配置され、インクを収容するためのインクタンクと、
前記インクタンクと前記記録ヘッドとを互いに接続し、前記インクタンクに収容されたインクを前記記録ヘッドに供給するためのインクチューブであって、前記キャリッジの往復移動に伴って追従変形するインクチューブと、
前記キャリッジに対して回動可能に支持され、前記インクチューブを保持する第1のチューブホルダと、を備える
印刷装置。
【請求項2】
前記第1のチューブホルダは、前記キャリッジに対して、前記記録ヘッドからのインクの吐出方向に平行な回動軸線を中心に回動可能である
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷装置は、さらに、前記第1のチューブホルダに対して変位可能に支持され、前記インクチューブを保持する第2のチューブホルダを備える
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第2のチューブホルダは、前記第1のチューブホルダに対して、互いに直交する3軸方向に変位可能である
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記3軸方向は、
前記回動軸線に平行な第1の方向と、
前記第2のチューブホルダにおける前記インクチューブの長手方向に平行な第2の方向と、
前記第2のチューブホルダにおける前記インクチューブの径方向に平行な第3の方向と、を含む
請求項4に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に印刷を施すための印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インク供給式の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の印刷装置は、所定の方向に往復移動し且つ記録ヘッドを有するキャリッジと、キャリッジの外部に配置されたインクタンクと、記録ヘッドとインクタンクとを互いに接続するインクチューブとを備えている。
【0003】
キャリッジには、インクチューブをキャリッジに対して固定するための固定部が設けられている。インクタンクに収容されたインクは、インクチューブを介して記録ヘッドに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の印刷装置では、インクチューブは、キャリッジが往復移動するのに伴って追従変形する。この時、キャリッジの固定部に対するインクチューブの姿勢は、キャリッジが往復移動するのに伴って変化する。そのため、キャリッジの固定部に固定されたインクチューブの部位に負荷が加わるようになり、負荷が蓄積することによりインクチューブが破損するおそれが生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、インクチューブに加わる負荷を低減することができる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る印刷装置は、記録媒体に印刷を施すための印刷装置であって、前記記録媒体に対して所定の方向に往復移動し、前記記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドを有するキャリッジと、前記キャリッジの外部に配置され、インクを収容するためのインクタンクと、前記インクタンクと前記記録ヘッドとを互いに接続し、前記インクタンクに収容されたインクを前記記録ヘッドに供給するためのインクチューブであって、前記キャリッジの往復移動に伴って追従変形するインクチューブと、前記キャリッジに対して回動可能に支持され、前記インクチューブを保持する第1のチューブホルダと、を備える。
【0008】
本態様によれば、第1のチューブホルダは、キャリッジに対して回動可能に支持され、インクチューブを保持する。これにより、インクチューブがキャリッジの往復移動に伴って追従変形するのに応じて、第1のチューブホルダがキャリッジに対して回動するようになる。その結果、インクチューブがキャリッジに対して無理な姿勢を取るのを低減することができ、インクチューブに加わる負荷を低減することができる。
【0009】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記第1のチューブホルダは、前記キャリッジに対して、前記記録ヘッドからのインクの吐出方向に平行な回動軸線を中心に回動可能であるように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、インクチューブに加わる負荷を効果的に低減することができる。
【0011】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記印刷装置は、さらに、前記第1のチューブホルダに対して変位可能に支持され、前記インクチューブを保持する第2のチューブホルダを備えるように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、第2のチューブホルダによって、インクチューブの第1のチューブホルダに対する動きを吸収することができる。その結果、インクチューブに加わる負荷をより効果的に低減することができる。
【0013】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記第2のチューブホルダは、前記第1のチューブホルダに対して、互いに直交する3軸方向に変位可能であるように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、第2のチューブホルダによって、インクチューブの第1のチューブホルダに対する互いに直交する3軸方向への動きを吸収等することができる。
【0015】
例えば、本発明の一態様に係る印刷装置において、前記3軸方向は、前記回動軸線に平行な第1の方向と、前記第2のチューブホルダにおける前記インクチューブの長手方向に平行な第2の方向と、前記第2のチューブホルダにおける前記インクチューブの径方向に平行な第3の方向と、を含むように構成してもよい。
【0016】
本態様によれば、第2のチューブホルダが第1のチューブホルダに対して第1の方向に変位することにより、インクチューブの捻じれにより生じるインクチューブの第1のチューブホルダに対する第1の方向の動きを吸収することができる。また、第2のチューブホルダが第1のチューブホルダに対して第2の方向に変位することにより、インクチューブの第1のチューブホルダに対する第2の方向への動きを吸収することができる。さらに、第2のチューブホルダが第1のチューブホルダに対して第3の方向に変位することにより、インクチューブの第1のチューブホルダに対する第3の方向の動きの可動範囲を拡大することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係る印刷装置によれば、インクチューブに加わる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る印刷装置の内部機構の一部を抜き出して示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る第1のチューブホルダ及び第2のチューブホルダを拡大して示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る第1のチューブホルダ及び第2のチューブホルダを分解して示す分解斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る印刷ユニットにおいて、キャリッジの往復移動に伴ってインクチューブユニットが追従変形する様子を示す模式図である。
【
図6】比較例に係る印刷ユニットのキャリッジを示す斜視図である。
【
図7】比較例に係る印刷ユニットにおいて、キャリッジの往復移動に伴ってインクチューブユニットが追従変形する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
(実施の形態)
[1.印刷装置の構成]
まず、
図1~
図5を参照しながら、実施の形態に係る印刷装置2の構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る印刷装置2の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る印刷装置2の内部機構の一部を抜き出して示す斜視図である。
図3は、実施の形態に係る第1のチューブホルダ52及び第2のチューブホルダ54を拡大して示す斜視図である。
図4は、実施の形態に係る第1のチューブホルダ52及び第2のチューブホルダ54を分解して示す分解斜視図である。
図5は、実施の形態に係る印刷ユニット10において、キャリッジ28の往復移動に伴ってインクチューブユニット42が追従変形する様子を示す模式図である。
【0021】
なお、
図1~
図4において、印刷装置2の幅方向(左右方向)をX軸方向とし、印刷装置2の奥行き方向(前後方向)をY軸方向とし、印刷装置2の高さ方向(上下方向)をZ軸方向とする。
【0022】
図1に示すように、印刷装置2は、記録媒体4にインクを吐出することにより印刷を施すインクジェットプリンタである。なお、記録媒体4は、例えば普通紙、写真用紙又は印刷可能なレーベル面を有するCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等である。
図1及び
図2に示すように、印刷装置2は、筐体6と、タンクユニット8と、印刷ユニット10とを備えている。
【0023】
図1に示すように、筐体6の背面6aの上端部には、印刷すべき記録媒体4を筐体6の内部に供給するための供給口12が設けられている。供給口12には、記録媒体4が上方より差し込まれる。なお、図示しないが、筐体6の背面6aの上端部には、供給口12に差し込まれた記録媒体4を後方より支持するための供給トレイが固定されている。筐体6の前面6bには、印刷された記録媒体4を筐体6の外部に排出するための排出口14が設けられている。
【0024】
供給口12に差し込まれた記録媒体4は、筐体6の内部に配置された搬送機構(図示せず)により、筐体6の内部において供給口12から排出口14に向かう方向(Y軸のマイナス方向)に搬送される。
【0025】
タンクユニット8は、筐体6の内部に配置されている。
図2に示すように、タンクユニット8は、フレーム16と、シアン(C)インクタンク18(インクタンクの一例)と、マゼンタ(M)インクタンク20(インクタンクの一例)と、イエロー(Y)インクタンク22(インクタンクの一例)と、ブラック(K)インクタンク24(インクタンクの一例)とを有している。シアンインクタンク18、マゼンタインクタンク20、イエローインクタンク22及びブラックインクタンク24は、フレーム16に支持されており、キャリッジ28の外部に配置されている。
【0026】
シアンインクタンク18には、シアンインクが収容されている。マゼンタインクタンク20には、マゼンタインクが収容されている。イエローインクタンク22には、イエローインクが収容されている。ブラックインクタンク24には、ブラックインクが収容されている。
【0027】
印刷ユニット10は、筐体6の内部に配置されている。
図2に示すように、印刷ユニット10は、ガイドフレーム26と、ガイドフレーム26に支持されたキャリッジ28とを有している。ガイドフレーム26は、印刷装置2の幅方向(X軸方向)に延びている。キャリッジ28は、ガイドフレーム26に沿って所定の方向(X軸方向)、すなわち記録媒体4の搬送方向に略垂直な方向に往復移動可能である。
図4に示すように、キャリッジ28の上面には、上方(Z軸のプラス方向)に突出する円柱状の軸部30が形成されている。軸部30には、ネジ孔32が形成されている。
【0028】
キャリッジ28には、カラーインク容器34及びブラックインク容器36が搭載されている。カラーインク容器34は、シアンインクタンク18、マゼンタインクタンク20及びイエローインクタンク22からそれぞれ供給されたシアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを一時的に溜めておくための容器である。カラーインク容器34の下端部には、カラーインク容器34に溜められたシアンインク、マゼンタインク及びイエローインクを下方(Z軸のマイナス方向)に向けて吐出するための記録ヘッド38が配置されている。ブラックインク容器36は、ブラックインクタンク24から供給されたブラックインクを一時的に溜めておくための容器である。ブラックインク容器36の下端部には、ブラックインク容器36に溜められたブラックインクを下方に向けて吐出するための記録ヘッド40が配置されている。
【0029】
印刷時には、記録媒体4は、筐体6の内部において供給口12から排出口14に向けて搬送され、キャリッジ28は、ガイドフレーム26に沿って往復移動する。この状態で、記録ヘッド38,40から各インクが記録媒体4に吐出されることにより、記録媒体4に印刷が施される。
【0030】
図2に示すように、印刷装置2は、さらに、インクチューブユニット42を備えている。インクチューブユニット42は、シアンインクチューブ44(インクチューブの一例)と、マゼンタインクチューブ46(インクチューブの一例)と、イエローインクチューブ48(インクチューブの一例)と、ブラックインクチューブ50(インクチューブの一例)とを含んでいる。これらのシアンインクチューブ44、マゼンタインクチューブ46、イエローインクチューブ48及びブラックインクチューブ50は、この順に帯状に束ねられており、キャリッジ28の往復移動に伴って追従変形する。
【0031】
シアンインクチューブ44は、シアンインクタンク18とキャリッジ28に搭載された記録ヘッド38とを互いに接続するための、可撓性を有するチューブである。シアンインクチューブ44は、シアンインクタンク18に収容されたシアンインクを、カラーインク容器34を介して記録ヘッド38に供給する。
【0032】
マゼンタインクチューブ46は、マゼンタインクタンク20とキャリッジ28に搭載された記録ヘッド38とを互いに接続するための、可撓性を有するチューブである。マゼンタインクチューブ46は、マゼンタインクタンク20に収容されたマゼンタインクを、カラーインク容器34を介して記録ヘッド38に供給する。
【0033】
イエローインクチューブ48は、イエローインクタンク22とキャリッジ28に搭載された記録ヘッド38とを互いに接続するための、可撓性を有するチューブである。イエローインクチューブ48は、イエローインクタンク22に収容されたイエローインクを、カラーインク容器34を介して記録ヘッド38に供給する。
【0034】
ブラックインクチューブ50は、ブラックインクタンク24とキャリッジ28に搭載された記録ヘッド40とを互いに接続するための、可撓性を有するチューブである。ブラックインクチューブ50は、ブラックインクタンク24に収容されたブラックインクを、ブラックインク容器36を介して記録ヘッド40に供給する。
【0035】
図3及び
図4に示すように、印刷ユニット10は、さらに、第1のチューブホルダ52と、第2のチューブホルダ54とを有している。
【0036】
第1のチューブホルダ52は、インクチューブユニット42を保持するためのホルダである。第1のチューブホルダ52がインクチューブユニット42を保持することにより、インクチューブユニット42が下方に垂れ下がるのを抑制することができる。第1のチューブホルダ52は、水平部56と、垂直部58とを有している。
【0037】
水平部56は、水平方向(XY平面内)に延び、円形状の貫通孔60を有している。水平部56の貫通孔60には、キャリッジ28の軸部30が回動可能に挿通されている。ネジ62が水平部56の貫通孔60を通して軸部30のネジ孔32にねじ込まれることにより、第1のチューブホルダ52は、キャリッジ28に対して回動軸線64を中心に回動可能に支持される。ここで、回動軸線64は、軸部30の径中心を通り、且つ、記録ヘッド38,40からのインクの吐出方向(Z軸方向)に平行な軸線である。
【0038】
垂直部58は、水平部56の一端部から垂直方向(Z軸方向)に延び、略矩形状の開口部66を有している。開口部66の上端部には、第1の切り欠き部68が形成されている。また、開口部66の下端部には、第2の切り欠き部70が形成されている。さらに、開口部66の横側部には、第3の切り欠き部72が形成されている。
【0039】
第2のチューブホルダ54は、インクチューブユニット42を保持するためのホルダである。第2のチューブホルダ54は、略矩形状の筒状に形成されており、その内部には、水平方向に延びる縦長の挿通用空間74が形成されている。挿通用空間74には、インクチューブユニット42が挿通されている。シアンインクチューブ44、マゼンタインクチューブ46、イエローインクチューブ48及びブラックインクチューブ50は、挿通用空間74において上下方向に帯状に束ねられている。なお、インクチューブユニット42は、第2のチューブホルダ54に対して固定されている。
【0040】
第2のチューブホルダ54の上端面には、円柱状の第1の突部76が形成されている。第1の突部76の直径は、第1の切り欠き部68の大きさよりも小さい。第2のチューブホルダ54の下端面には、円柱状の第2の突部78が形成されている。第2の突部78の直径は、第2の切り欠き部70の大きさよりも小さい。第2のチューブホルダ54の横側面には、円柱状の第3の突部80が形成されている。第3の突部80の直径は、第3の切り欠き部72の大きさよりも小さい。
【0041】
第2のチューブホルダ54は、第1のチューブホルダ52の垂直部58の開口部66に挿通されている。この時、第2のチューブホルダ54の第1の突部76、第2の突部78及び第3の突部80はそれぞれ、第1のチューブホルダ52の第1の切り欠き部68、第2の切り欠き部70及び第3の切り欠き部72に変位可能に挿通される。これにより、第2のチューブホルダ54は、第1のチューブホルダ52に対して、互いに直交する3軸方向に変位可能に支持される。
【0042】
上述した3軸方向は、回動軸線64に平行な第1の方向(
図3において矢印Pで示す方向)と、第2のチューブホルダ54における各インクチューブ44,46,48,50の長手方向に平行な第2の方向(
図3において矢印Qで示す方向)と、第2のチューブホルダ54における各インクチューブ44,46,48,50の径方向に平行な第3の方向(
図3において矢印Rで示す方向)とを含む。
【0043】
図5の(a)、(b)及び(c)に示すように、インクチューブユニット42は、キャリッジ28が所定の方向(X軸方向)に往復移動するのに伴って追従変形する。この時、インクチューブユニット42が追従変形するのに応じて、第1のチューブホルダ52がキャリッジ28に対して回動するようになる。すなわち、
図5の(a)、(b)及び(c)において、キャリッジ28が実線の矢印で示す方向に移動する際には、第1のチューブホルダ52は、キャリッジ28に対して実線の矢印で示す方向に回動する。一方、キャリッジ28が破線の矢印で示す方向に移動する際には、第1のチューブホルダ52は、キャリッジ28に対して破線の矢印で示す方向に回動する。
【0044】
[2.効果]
以下、
図6及び
図7を参照しながら、比較例に係る印刷ユニット100の構成について説明する。
図6は、比較例に係る印刷ユニット100のキャリッジ102を示す斜視図である。
図7は、比較例に係る印刷ユニット100において、キャリッジ102の往復移動に伴ってインクチューブユニット42が追従変形する様子を示す模式図である。なお、
図6及び
図7において、
図1~
図5と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
図6に示すように、比較例に係る印刷ユニット100のキャリッジ102には、インクチューブユニット42をキャリッジ102に対して固定するための固定部104が設けられている。固定部104は、キャリッジ102に対して固定されている。
【0046】
図7の(a)、(b)及び(c)に示すように、比較例に係る印刷ユニット100では、インクチューブユニット42は、キャリッジ102が所定の方向(X軸方向)に往復移動するのに伴って追従変形する。この時、キャリッジ102の固定部104に対するインクチューブユニット42の姿勢は、キャリッジ102が往復移動するのに伴って変化する。そのため、キャリッジ102の固定部104に固定されたインクチューブユニット42の部位(
図7の(b)及び(c)において太線の矢印で示す部位)に負荷が加わるようになり、負荷が蓄積することによりインクチューブユニット42が破損するおそれが生じる。
【0047】
これに対して、実施の形態に係る印刷装置2では、
図5の(a)、(b)及び(c)に示すように、インクチューブユニット42がキャリッジ28の往復移動に伴って追従変形するのに応じて、第1のチューブホルダ52がキャリッジ28に対して回動するようになる。その結果、インクチューブユニット42がキャリッジ28に対して無理な姿勢を取るのを低減することができ、インクチューブユニット42に加わる負荷を低減することができる。
【0048】
さらに、インクチューブユニット42がキャリッジ28の往復移動に伴って追従変形するのに応じて、第2のチューブホルダ54は、第1のチューブホルダ52に対して互いに直交する3軸方向に変位するようになる。この第2のチューブホルダ54によって、インクチューブユニット42の第1のチューブホルダ52に対する互いに直交する3軸方向への動きを吸収等することができる。
【0049】
具体的には、第2のチューブホルダ54が第1のチューブホルダ52に対して第1の方向に変位することにより、各インクチューブ44,46,48,50の捻じれにより生じる各インクチューブ44,46,48,50の第1のチューブホルダ52に対する第1の方向の動きを吸収することができる。また、第2のチューブホルダ54が第1のチューブホルダ52に対して第2の方向に変位することにより、各インクチューブ44,46,48,50の第1のチューブホルダ52に対する第2の方向への動きを吸収することができる。さらに、第2のチューブホルダ54が第1のチューブホルダ52に対して第3の方向に変位することにより、各インクチューブ44,46,48,50の第1のチューブホルダ52に対する第3の方向の動き(すなわち、第1のチューブホルダ52の回動方向における動き)の可動範囲を拡大することができる。
【0050】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態に係る印刷装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0051】
上記実施の形態では、インクチューブユニット42が4本のインクチューブ(シアンインクチューブ44、マゼンタインクチューブ46、イエローインクチューブ48及びブラックインクチューブ50)を有するようにしたが、これに限定されず、例えば1本、2本、3本又は5本以上のインクチューブを有するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る印刷装置は、例えば記録媒体にインクを吐出することにより印刷を施すインクジェットプリンタとして適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 印刷装置
4 記録媒体
6 筐体
6a 背面
6b 前面
8 タンクユニット
10,100 印刷ユニット
12 供給口
14 排出口
16 フレーム
18 シアンインクタンク
20 マゼンタインクタンク
22 イエローインクタンク
24 ブラックインクタンク
26 ガイドフレーム
28,102 キャリッジ
30 軸部
32 ネジ孔
34 カラーインク容器
36 ブラックインク容器
38,40 記録ヘッド
42 インクチューブユニット
44 シアンインクチューブ
46 マゼンタインクチューブ
48 イエローインクチューブ
50 ブラックインクチューブ
52 第1のチューブホルダ
54 第2のチューブホルダ
56 水平部
58 垂直部
60 貫通孔
62 ネジ
64 回動軸線
66 開口部
68 第1の切り欠き部
70 第2の切り欠き部
72 第3の切り欠き部
74 挿通用空間
76 第1の突部
78 第2の突部
80 第3の突部
104 固定部