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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163536
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A01D61/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068537
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山本 祥太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 拓也
【テーマコード(参考)】
2B084
【Fターム(参考)】
2B084AA03
2B084BB70
(57)【要約】
【課題】吸塵ファンを駆動する電動モータの制御の自由度を高くする。
【解決手段】搬送ケースを有し、搬送ケース内で刈取穀稈を搬送する搬送装置と、電動モータ32の動力によって駆動する回転ファンを有するとともに搬送ケースに接続され、回転ファンの回転によって搬送ケース内部の塵埃を吸引して搬送ケースの外部に排出する排塵装置と、電動モータ32を制御する制御装置40と、回転ファンの単位時間あたりの回転数を検出する回転数センサ41と、が備えられ、制御装置40は、回転数センサの検出値に基づいて電動モータ32の回転を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ケースを有し、前記搬送ケース内で刈取穀稈を搬送する搬送装置と、
電動モータの動力によって駆動する回転ファンを有するとともに前記搬送ケースに接続され、前記回転ファンの回転によって前記搬送ケース内部の塵埃を吸引して前記搬送ケースの外部に排出する排塵装置と、
前記電動モータを制御する制御装置と、
前記回転ファンの単位時間あたりの回転数を検出する回転数センサと、が備えられ、
前記制御装置は、前記回転数センサの検出値に基づいて前記電動モータの回転を制御する収穫機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記回転数センサの検出値に基づいて前記電動モータの回転を停止する請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記制御装置による前記電動モータの制御に関する情報を報知する報知装置が備えられている請求項1又は2に記載の収穫機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記回転数が予め設定された回転閾値未満となっている時間を積算することで積算時間値を算出し、前記積算時間値が予め設定された時間閾値以上となった場合に前記電動モータの回転を停止する請求項1から3のいずれか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記回転数が前記回転閾値以上となっている時間を、前記積算時間値から減算する請求項4に記載の収穫機。
【請求項6】
前記排塵装置に、前記電動モータと前記回転ファンとを収容するハウジングと、前記電動モータを覆うように配置され、前記回転ファンと一体回転可能に支持されているモータカバーと、が備えられ、
前記回転数センサは、前記ハウジングに支持され、
前記モータカバーに、前記回転数センサの検知対象となる被検知部が備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ケース内で刈取穀稈を搬送する搬送装置と、電動モータによって駆動する回転ファンの回転によって搬送ケース内部の塵埃を吸引して搬送ケースの外部に排出する排塵装置と、が備えられている収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、収穫機には、排塵装置のモータ(本発明に係る「電動モータ」に相当)用のブレーカーが備えられていた。ブレーカーが備えられた収穫機では、刈取作業中に、吸塵ファン(本発明に係る「回転ファン」に相当)に穀稈やワラ屑が絡まると、吸塵ファンを駆動するモータに過剰な負荷が掛り、ブレーカーが落ちて、吸塵ファンの回転が停止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-124136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の収穫機では、穀稈やワラ屑が吸塵ファンに絡まることで排塵装置のモータの負荷が上がった場合、ブレーカーを落として、吸塵ファンの回転を止めるという制御を行うのみで、吸塵モータの制御の自由度が低かった。その結果、モータに一定の負荷が掛った場合には、モータの回転を停止する以外の制御を行うことができず、すぐにモータの回転が停止していた。
【0005】
このように、従来の収穫機では、吸塵ファンを駆動する電動モータの制御の自由度が低い点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の収穫機は、搬送ケースを有し、前記搬送ケース内で刈取穀稈を搬送する搬送装置と、電動モータの動力によって駆動する回転ファンを有するとともに前記搬送ケースに接続され、前記回転ファンの回転によって前記搬送ケース内部の塵埃を吸引して前記搬送ケースの外部に排出する排塵装置と、前記電動モータを制御する制御装置と、前記回転ファンの単位時間あたりの回転数を検出する回転数センサと、が備えられ、前記制御装置は、前記回転数センサの検出値に基づいて前記電動モータの回転を制御する。
【0007】
この発明によれば、例えば、回転ファンの回転数が下がった場合に、電動モータの回転数を下げた状態で回転ファンの回転を継続するように制御することができる。つまり、制御装置が、回転ファンの回転数に基づいて電動モータを制御することで、電動モータの制御の自由度を高くすることが可能となる。
【0008】
本発明においては、前記制御装置は、前記回転数センサの検出値に基づいて前記電動モータの回転を停止すると好適である。
【0009】
この構成によれば、例えば、制御装置は、回転数センサの検出値が規定値未満となった場合に駆動モータの回転を止めるため、駆動モータの負荷が高い状態でいつまでも回転し続けることがなくなる。その結果、負荷の高い状態で電動モータや回転ファンを回転することに起因する電動モータの故障や回転ファンの損傷等を抑えることができる。
【0010】
本発明においては、前記制御装置による前記電動モータの制御に関する情報を報知する報知装置が備えられていると好適である。
【0011】
この構成によれば、例えば、回転ファンの回転が停止した場合、報知装置により運転者に報知されるため、排塵装置の回転ファンが停止したことに運転者が気付かないまま、刈取作業を継続してしまうという不都合を回避することが可能となる。
【0012】
本発明においては、前記制御装置は、前記回転数が予め設定された回転閾値未満となっている時間を積算することで積算時間値を算出し、前記積算時間値が予め設定された時間閾値以上となった場合に前記電動モータの回転を停止すると好適である。
【0013】
この構成によれば、回転ファンの回転数が低くなってもすぐには電動モータを停止することなく、積算時間値が時間閾値以上になるまで、電動モータは回転し続けるため、刈取作業を継続することができる。その結果、電動モータの負荷が瞬間的に高くなったときに回転ファンの回転が停止されることがないため、刈取作業の作業効率を上げることが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記制御装置は、前記回転数が前記回転閾値以上となっている時間を、前記積算時間値から減算すると好適である。
【0015】
穀稈やワラ屑が回転ファンに絡まることで排塵装置の電動モータの負荷が上がった場合、回転ファンの回転を継続していれば、穀稈やワラ屑が回転ファンから外れて、電動モータの負荷が下がることがある。この構成によれば、積算時間値が時間閾値以上になる前に電動モータの負荷が下がって回転ファンの回転数が回転閾値以上となれば、そのまま刈取作業を継続することができ、刈取作業の作業効率を上げることが可能となる。
【0016】
本発明においては、前記排塵装置に、前記電動モータと前記回転ファンとを収容するハウジングと、前記電動モータを覆うように配置され、前記回転ファンと一体回転可能に支持されているモータカバーと、が備えられ、前記回転数センサは、前記ハウジングに支持され、前記モータカバーに、前記回転数センサの検知対象となる被検知部が備えられていると好適である。
【0017】
この構成によれば、ハウジングに回転数センサが支持されていることで、搬送ケース等に回転数センサを取り付けるための機構を備える必要がなく、容易に回転数センサを取り付けることができる。また、回転数センサによって検知される被検知部が、回転ファンではなく、回転ファンと一体回転可能に構成されているモータカバーに支持されていることで、回転ファンの構成を変えることによる回転ファンの吸塵能力の悪化を回避しつつも、正確に回転ファンの回転数を検出することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】全稈投入型コンバインを示す側面図である。
図2】全稈投入型コンバインを示す平面図である。
図3】排塵装置の伝動構成を示す搬送装置の側面図である。
図4】搬送装置及び排塵装置の横断断面図である。
図5】制御ブロック図である。
図6】制御装置による制御動作のフローチャートである。
図7】回転ファンの回転数と積算時間値との関係を示すタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印F(図1及び図2参照)の方向を「前側」、矢印B(図1及び図2参照)の方向を「後側」、矢印U(図1参照)の方向を「上側」、矢印D(図1参照)の方向を「下側」、矢印L(図2参照)の方向を「左側」、矢印R(図2参照)の方向を「右側」とする。
【0020】
〔全体構成について〕
図1及び図2には、全稈投入型コンバイン(本発明に係る「収穫機」に相当)を示している。本収穫機の機体には、エンジンEが備えられ、機体の前部には、圃場の作物を収穫する収穫部5が備えられている。収穫部5の後部には、収穫部5にて収穫された収穫物を機体後方に向けて搬送する搬送装置6が接続されている。また、収穫部5の後方において、搬送装置6の右側に、搬送装置6と横並び状態で配置された運転部1が備えられている。運転部1の後方に、脱穀装置3及び穀粒タンク4が、機体左右方向に並んだ状態で備えられている。
【0021】
〔収穫部の構成について〕
収穫部5は、機体左右方向に沿う軸芯周りで上下方向に昇降可能に構成されている。収穫部5は、本収穫機の旋回時などの非収穫作業時には上昇状態となり、収穫作業時には圃場面に近接した下降状態となる。
【0022】
図1及び図2に示すように、収穫部5には、回転駆動されることにより植立穀稈を後方へ掻き込む掻込リール16と、掻込リール16によって掻き込まれた植立穀稈を刈り取る切断装置13と、刈り取られた穀稈を後方の搬送装置6へ送出する横送り装置17と、が備えられている。
【0023】
〔搬送装置の構成について〕
図3及び図4に示すように、搬送装置6には、チェーン回動式の搬送機構9と、搬送機構9を収容する筒型の搬送ケース7と、が備えられている。
【0024】
搬送ケース7は、略角筒状に構成されている。搬送ケース7の前端部には、導入口19が形成され、収穫物は導入口19から搬送装置6へ送出される。搬送ケース7の後端部には、送出口(図示せず)が形成され、送出口と脱穀装置3の穀稈投入部とが連通させるように構成されている。
【0025】
搬送機構9には、搬送ケース7の前端部に回転可能に支持されている前側回転体11と、搬送ケース7の後端部に回転可能に支持されている後側回転体12(図1参照)と、前側回転体11と後側回転体12とに巻き付けられている複数の搬送チェーン14とを備えられている。複数の搬送チェーン14には、搬送部材15が設けられている。
【0026】
搬送ケース7の天板7aには、矩形形状の吸塵口21が形成されている。天板7aのうち吸塵口21に対向する部位に、搬送ケース7の内部の塵埃を吸引して搬送ケース7の外部に排出する排塵装置8が接続されている。
【0027】
〔排塵装置の構成について〕
図3及び図4に示すように、排塵装置8には、電動モータ32と、電動モータ32の動力よって回転する回転ファン33と、電動モータ32を覆うモータカバー34と、回転ファン33を収容するハウジング30と、が備えられている。
【0028】
ハウジング30は、搬送ケース7の天板7aに支持されている。ハウジング30の下端が押さえフレーム26によって上方から押えられた状態で、押さえフレーム26と天板7aとハウジング30とがボルト25で連結されている。ハウジング30は、吸引側ケース30Rと排出側ケース30Lとから構成されている。吸引側ケース30Rと排出側ケース30Lとは、ボルト38で脱着可能に連結されている。吸引側ケース30Rは、回転ファン33に対して塵埃流動方向上流側に備えられ、排出側ケース30Lは、回転ファン33に対して塵埃流動方向下流側に備えられている。
【0029】
吸引側ケース30Rにおける回転ファン33と対向する部分には、回転ファン33側に凹入する凹入部35が形成されている。凹入部35は、回転ファン33側端部に、縦壁面35aを有する。また、吸引側ケース30Rには、凹入部35の上部から吸引側ケース30Rの上端まで延びる縦溝部36(図2参照)が形成されている。縦溝部36は、回転ファン33側端部に、縦壁面36aを有している。縦溝部36の縦壁面36aは、凹入部35の縦壁面35aよりも、回転ファン33側に位置する。また、吸引側ケース30Rには、縦壁面36aの下端部分と縦壁面35aの上端部分とに亘る段差部37が形成されている。
【0030】
排出側ケース30Lは、吸引された塵埃を排出する排出部31を有している。
【0031】
回転ファン33は、電動モータ32の出力軸32aに取り付けられ、軸芯X周りに回転する。回転ファン33は、搬送ケース7の天板7aの左横端近傍に配置されている。回転ファン33の回転によって搬送ケース7内部の塵埃を吸引し、排出部31を介して搬送ケース7の外部に塵埃を排出する。
【0032】
電動モータ32は、回転ファン33に対して塵埃流動方向上流側、つまり、吸塵口21と回転ファン33との間に配置されている。電動モータ32は、凹入部35の内部に、凹入部35の縦壁面35aを貫通した状態で支持されている。
【0033】
モータカバー34は、凹入部35と回転ファン33との間に配置され、回転ファン33に、回転ファン33と一体回転可能に支持されている。モータカバー34は、回転ファン33側から凹入部35に向かうほど口径が大きくなる椀状に構成されている。モータカバー34の凹入部35側の端部は、段差部37の下方に位置し、モータカバー34の凹入部35側の端部の口径は、凹入部35の径と略同じ大きさに構成されている。電動モータ32は、凹入部35と回転ファン33とが対向する区間においてモータカバー34で覆われていることで、塵埃が流動する塵埃流動経路と区画されている。
【0034】
〔回転数センサの構成について〕
本実施形態では、図3及び図4に示すように、吸引側ケース30Rのうち段差部37の上方に、電動モータ32の回転数を検出する回転数センサ41が取り付けられ、モータカバー34に、回転数センサ41の検知対象となる2つの被検知部41aが形成されている。
【0035】
回転数センサ41は、吸引側ケース30Rに支持されているステー45にボルト46で連結支持されている。ステー45には、回転数センサ41を横外側から覆うカバー47がボルトで連結されている。
【0036】
被検知部41aは、モータカバー34の外周面から径方向外側に突出するような凸形状に形成されており、モータカバー34のうち軸芯X方向において回転ファン33とは反対側の端部部分に配置されている。2つの被検知部41aは、それぞれ、軸芯X回りで180度離れて配置されている。
【0037】
回転ファン33と一体回転するモータカバー34が軸芯X周りに回転すると、被検知部41aが、回転数センサ41の下方を通過する。段差部37のうち回転数センサ41の下端部分に対応する位置に、開口37aが形成されており、回転数センサ41は、開口37aを介して被検知部41aを検知する。回転数センサ41は、単位時間(例えば1秒)に回転数センサ41の下方を通過する被検知部41aをカウントすることにより、単位時間あたりの回転ファン33の回転数を算出する。
【0038】
図5に示すように、電動モータ32の作動を制御する制御装置40が設けられ、制御装置40には、回転数センサ41の検出値が入力される。
【0039】
〔電動モータの制御について〕
以下、図6及び図7を基に、本実施形態における制御装置40による電動モータ32の制御について説明する。
【0040】
収穫機は、バッテリ(図示せず)から各電装品への通電を断続するメインスイッチ43(図5参照)と、刈取クラッチ(図示せず)を操作する刈取レバー44(図5参照)を備えている。本実施形態では、制御装置40は、メインスイッチ43がオン位置に操作されて、さらに刈取レバー44により刈取処理の開始操作(刈取クラッチ入操作)が行われると、制御処理を開始する。図6に示すように、制御が開始されると、所定時間Δtごとに、回転数センサ41から回転ファン33の単位時間あたりの回転数を取得する(ステップ#1)。なお、刈取処理の開始操作後から回転ファン33の回転動作が安定するまでの一定時間は、制御処理を開始しないように構成されていてもよい。
【0041】
回転数センサ41から入力された回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、予め設定された回転閾値K未満となっているか否かを判定する(ステップ#2)。
【0042】
回転数センサ41から入力された回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K未満である場合(ステップ#2:Yes)、積算時間値Vに、値「1」を積算する(ステップ#3)。この処理により、回転閾値K未満である状態が続く場合、図7の下図に示すt1からt2の時間範囲及びt3からt4の時間範囲のように、積算時間値Vに、値「1」が積算され続ける。
【0043】
積算時間値Vの値が、予め設定されていた時間閾値T以上であるか否かを判定する(ステップ#4)。積算時間値Vの値が、時間閾値T未満である場合(ステップ#4:No)、ステップ#1に戻る。
【0044】
積算時間値Vの値が、時間閾値T以上である場合(ステップ#4:Yes)、つまり、図7の下図に示すt4の状況に相当する場合、電動モータ32の停止処理を行う(ステップ#5)。このとき、図5に示すように、収穫機が、電動モータ32の制御に関する情報を報知する報知装置42を備えている場合、制御装置40は、電動モータ32の停止処理と同時に、運転者に電動モータ32を停止した旨を報知する構成としてもよい。なお、報知装置42として、例えば、表示装置、LED等からなる警告灯、警告音を発するスピーカー、又は、それらを組み合わせたものであってもよい。
【0045】
なお、ステップ#2において、回転数センサ41から入力された回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K以上である場合(ステップ#2:No)、積算時間値Vの値から、値「1」を減算する(ステップ#6)。このとき、積算時間値Vの値が「0」である場合、それ以上の減算は行わない。その後、ステップ#1の処理に戻る。つまり、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が回転閾値K以上の状態が続く場合、図7の下図に示すt2からt3の時間範囲のように、積算時間値Vの値が「0」に至るまで減り続けるか、又は、t0からt1の時間範囲のように、積算時間値Vの値が「0」である状態が継続される。また、図示はしないが、積算時間値Vの値が「0」に至る前に、ステップ#2にて、回転数センサ41から入力された回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K未満となった場合(ステップ#2:Yes)、その時点の積算時間値Vに値「1」が積算されることとなる。
【0046】
ステップ#3及びステップ#6において、積算時間値Vに、値「1」を積算及び減算する代わりに、所定時間Δtの値を直接積算及び減算する構成としてもよい。いずれにしても、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が回転閾値K未満である時間を積算して積算時間値Vを算出し、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が回転閾値K以上となっている時間を積算時間値Vから減算する構成となる。
【0047】
メインスイッチ43がオフ位置に操作され、又は、刈取レバー44等により刈取処理の終了操作(刈取クラッチ切操作)が行われると、積算時間値Vの値等を初期化したうえで、制御装置40による電動モータ32の制御を終了する。
【0048】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。以下の別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて上記実施形態に適用してよい。なお、本発明の範囲は、各実施形態の内容に限定されるものではない。
【0049】
(1)上記実施形態においては、積算時間値Vの値が時間閾値T以上である場合(ステップ#4:Yes)、電動モータ32の回転を停止する例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、電動モータ32の単位時間あたりの回転数を一定値まで下げる構成としてもよく、電動モータ32の単位時間あたりの回転数を一定値まで上げる構成としてもよい。また、電動モータ32の単位時間あたりの回転数を段階的に下げる構成としてもよい。
【0050】
(2)上記実施形態においては、回転数センサ41から回転ファン33の単位時間あたりの回転数を取得する(ステップ#1)と、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K未満となっているか否かを判定する(ステップ#2)と、が一連の処理として実施される例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、それぞれ、個別に実行される処理として構成されていてもよい。
【0051】
(3)上記実施形態においては、報知装置42を備えている例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、報知装置42を備えない構成としてもよい。
【0052】
(4)上記実施形態の制御装置40による電動モータ32の制御においては、ステップ#2では、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K「未満」となっているか否かを判定し、ステップ#4では、積算時間値Vの値が、時間閾値T「以上」であるか否かを判定する例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、例えば、ステップ#2では、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K「以下」となっているか否かを判定し、ステップ#4では、積算時間値Vの値が、時間閾値T「より上」であるか否かを判定するように構成されていてもよい。また、このとき、ステップ#6では、制御装置40は、回転ファン33の単位時間当たりの回転数が、回転閾値K「より上」となっている時間を、積算時間値Vから減算する。
【0053】
(5)上記実施形態においては、ハウジング30に回転数センサ41が取り付けられ、モータカバー34に被検知部41aが設けられている例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、回転数センサ41は、搬送装置6に取り付けられていてもよく、被検知部41aは、出力軸32aに取り付けられていてもよい。
【0054】
(6)上記実施形態においては、被検知部41aが2つ設けられている例を説明したが、これに限られるものではなく、被検知部41aは1つでもよく、また、被検知部41aは3つ以上設けられていてもよい。
【0055】
(7)上記実施形態においては、メインスイッチ43がオフ位置に操作され、又は、刈取レバー44等により刈取処理の終了操作(刈取クラッチ切操作)が行われたときに、積算時間値Vの値等を初期化する構成を例に説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、例えば、メインスイッチ43がオン位置に操作されて、さらに刈取レバー44により刈取処理の開始操作(刈取クラッチ入操作)が行われたときに、積算時間値Vの値等を初期化する構成としてもよく、メインスイッチ43をオン位置への操作のみで積算時間値Vの値等を初期化する構成としてもよい。
【0056】
(8)上記実施形態においては、排塵装置8は、搬送ケース7の天板7aに接続されている例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、搬送ケース7の側壁や底面に接続されていてもよい。
【0057】
(9)上記実施形態においては、電動モータ32は、凹入部35の内部に、凹入部35の縦壁面35aを貫通した状態で支持されている例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではない。例えば、ハウジング30の内部に格納されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、全稈投入型コンバインの他、自脱型コンバイン、トウモロコシ収穫機の各種の収穫機にも適用できる。
【符号の説明】
【0059】
6 :搬送装置
7 :搬送ケース
8 :排塵装置
30 :ハウジング
32 :電動モータ
33 :回転ファン
34 :モータカバー
40 :制御装置
41 :回転数センサ
41a :被検知部
42 :報知装置
K :回転閾値
T :時間閾値
V :積算時間値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7