(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163553
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】合成樹脂・金属複合資材の再生方法および再生前処理装置
(51)【国際特許分類】
B29B 17/02 20060101AFI20221019BHJP
C08J 11/22 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B29B17/02
C08J11/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068559
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】506021880
【氏名又は名称】遠藤 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 孝行
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA13
4F401AC20
4F401AD01
4F401CA31
4F401CA48
4F401CA74
4F401CB15
4F401CB35
4F401EA60
4F401FA01Z
(57)【要約】
【課題】合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物から合成樹脂を容易に再生可能で、資源の有効活用を図ることができる合成樹脂・金属複合資材の再生方法および再生前処理装置を提供する。
【解決手段】合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置が加熱用容器10と加熱装置20と搬送装置30とを有する。加熱用容器10はエチレングリコール1を収容する。加熱装置20は加熱用容器10の内部のエチレングリコール1を100℃以上150℃以下の温度に加熱する。搬送装置30は、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物を載せて加熱用容器10の内部から外部まで搬送可能である。合成樹脂・金属複合資材の再生方法では、廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコール1に所定時間、浸漬した後、合成樹脂を金属から剥がす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物からの合成樹脂の再生方法であって、前記廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコールに所定時間、浸漬した後、前記合成樹脂を前記金属から剥がすことを、特徴とする合成樹脂・金属複合資材の再生方法。
【請求項2】
前記廃棄物は前記合成樹脂を前記金属にポリエチレンにより接着して成ることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂・金属複合資材の再生方法。
【請求項3】
前記合成樹脂は塩化ビニル樹脂または架橋ポリエチレンから成ることを特徴とする請求項1または2記載の合成樹脂・金属複合資材の再生方法。
【請求項4】
エチレングリコールを収容するための加熱用容器と、
前記加熱用容器の内部のエチレングリコールを100℃以上150℃以下の温度に加熱するための加熱装置と、
合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物を載せて前記加熱用容器の内部から外部まで搬送可能な搬送装置とを、
有することを特徴とする合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置。
【請求項5】
前記搬送装置は、ベルトコンベヤから成り、前記廃棄物を載せて搬送するための網材を有し、上流部分が前記加熱用容器の内部に配置され、前記網材の上に載せた前記廃棄物を前記加熱用容器の内部から外部に排出するよう下流部分が前記加熱用容器の外部に配置されていることを、特徴とする請求項4記載の合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂・金属複合資材の再生方法および再生前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂と金属とを張り合わせて成る合成樹脂・金属複合資材が、コルゲート管や通信ケーブル管などに使用されている。そのような複合資材を廃棄する場合、使用される合成樹脂は、製品などの梱包に使用される再生フィルムなどの材料として再利用可能である(例えば、特許文献1参照)。このような製品の廃棄物から合成樹脂を再生するには、合成樹脂を金属から分離する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、合成樹脂は、金属にポリエチレンなどにより強力に接着されており、金属から分離させることは困難であるという課題があった。このため、従来は、合成樹脂を金属に張り付けて成る廃棄物は再生させることなく、埋め立て処分されており、資源の有効活用が図られていなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物から合成樹脂を容易に再生可能で、資源の有効活用を図ることができる合成樹脂・金属複合資材の再生方法および再生前処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る合成樹脂・金属複合資材の再生方法は、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物からの合成樹脂の再生方法であって、前記廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコールに所定時間、浸漬した後、前記合成樹脂を前記金属から剥がすことを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る合成樹脂・金属複合資材の再生方法では、合成樹脂を金属に張り付けて成る廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコールに所定時間、浸漬することにより、合成樹脂が柔らかくなり、金属から容易に剥がすことができる。このため、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物から合成樹脂を容易に再生可能で、資源の有効活用を図ることができる。
廃棄物に用いられた金属は、曲面板状のものであっても、平面板状のものであっても、線状のものであってもよい。
前記廃棄物は前記合成樹脂を前記金属にポリエチレンにより接着して成ることが好ましい。この場合、強力に接着した合成樹脂であっても柔らかくなり、金属から容易に剥がすことができる。
前記合成樹脂は、例えば、塩化ビニル樹脂または架橋ポリエチレンから成る。
【0008】
本発明に係る合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置は、エチレングリコールを収容するための加熱用容器と、前記加熱用容器の内部のエチレングリコールを100℃以上150℃以下の温度に加熱するための加熱装置と、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物を載せて前記加熱用容器の内部から外部まで搬送可能な搬送装置とを、有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置は、加熱用容器にエチレングリコールを収容し、加熱装置により加熱用容器の内部のエチレングリコールを100℃以上150℃以下の温度に加熱して使用される。搬送装置により、合成樹脂を金属に張り付けて成る廃棄物を載せて加熱用容器の内部のエチレングリコールに所定時間浸漬させた状態から加熱用容器の外部まで搬送する。これにより、合成樹脂を金属に張り付けて成る廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコールに所定時間、浸漬させることができ、加熱用容器の外部に搬送された合成樹脂を金属から容易に剥がすことができる。このため、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物から合成樹脂を容易に再生可能で、資源の有効活用を図ることができる
【0010】
前記搬送装置は、ベルトコンベヤから成り、前記廃棄物を載せて搬送するための網材を有し、上流部分が前記加熱用容器の内部に配置され、前記網材の上に載せた前記廃棄物を前記加熱用容器の内部から外部に排出するよう下流部分が前記加熱用容器の外部に配置されていることが好ましい。
この場合、合成樹脂を金属に張り付けて成る廃棄物を載せて加熱用容器に所定時間浸漬させた状態から加熱用容器の外部までの搬送を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物から合成樹脂を容易に再生可能で、資源の有効活用を図ることができる合成樹脂・金属複合資材の再生方法および再生前処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態の合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置の概略構成を示す(A)平面図、(B)縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態の合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置は、加熱用容器10と、加熱装置20と、搬送装置30とを有している。
【0014】
加熱用容器10は、エチレングリコール1を収容するための槽から成っている。
加熱装置20は、加熱用容器10の下方に設置され、加熱用容器10の内部のエチレングリコール1を100℃以上150℃以下の温度に加熱するようになっている。
搬送装置30は、動力により駆動するベルトコンベヤから成っている。搬送装置30は、廃棄物を載せて搬送するための網材31の無端ベルト32を有し、上流部分が加熱用容器10の内部に配置され、網材31の上に載せた廃棄物を加熱用容器10の内部から外部に排出するよう下流部分が加熱用容器10の外部に配置されている。搬送装置30は、廃棄物を網材31の上に載せて加熱用容器10の内部から外部まで搬送可能である。処理される合成樹脂・金属複合資材の廃棄物は、合成樹脂をアルミニウムやスチールなどの薄い金属にポリエチレンにより接着して張り付けて成る。合成樹脂は、例えば、塩化ビニル樹脂または架橋ポリエチレンから成る。このような廃棄物は、例えば、コルゲート管や通信ケーブル管などの廃棄物である。
【0015】
本発明の実施の形態の合成樹脂・金属複合資材の再生方法は、合成樹脂を薄い金属にポリエチレンにより接着して張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物からの合成樹脂の再生方法である。合成樹脂は、例えば、塩化ビニル樹脂または架橋ポリエチレンから成る。
廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコール1に所定時間、浸漬した後、柔らかくなった合成樹脂を金属から剥がす。浸漬する所定時間は、1分から20分が好ましい。合成樹脂を金属から剥がす処理は、自然に剥がれるほか、手作業で合成樹脂と金属との間にへらなどを差し込んで行うことができる。
【0016】
合成樹脂・金属複合資材の再生前処理装置は、加熱用容器10にエチレングリコール1を収容し、加熱装置20により加熱用容器10の内部のエチレングリコール1を100℃以上150℃以下の温度に加熱して使用される。搬送装置30により、合成樹脂を薄い金属に張り付けて成るコルゲート管などの廃棄物を、手作業などで上流部分の網材31の上に載せて加熱用容器10の内部のエチレングリコール1に所定時間浸漬させた状態から加熱用容器10の外部まで搬送する。これにより、合成樹脂を薄い金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコール1に所定時間、浸漬させることができる。
【0017】
合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物を100℃以上150℃以下のエチレングリコール1に所定時間、浸漬することにより、ポリエチレンにより強力に接着された合成樹脂は、自然に剥がれるほか、金属から手作業によりへらなどで容易に剥がすことができる。このため、合成樹脂を金属に張り付けて成る合成樹脂・金属複合資材の廃棄物から合成樹脂を容易に再生可能で、資源の有効活用を図ることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 エチレングリコール
10 加熱用容器
20 加熱装置
30 搬送装置
31 網材
32 無端ベルト