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特開2022-163554炭化珪素半導体装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163554
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20221019BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 21/322 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20221019BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652G
H01L29/78 658H
H01L29/78 652K
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/78 658A
H01L21/322 L
H01L21/28 301B
H01L29/50 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068560
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】熊田 恵志郎
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB03
4M104BB09
4M104BB14
4M104BB21
4M104BB40
4M104DD37
4M104DD43
4M104DD65
4M104EE03
4M104EE16
4M104EE17
4M104FF02
4M104FF04
4M104FF17
4M104FF18
4M104FF35
4M104GG09
(57)【要約】
【課題】製造コストの低減ができ、信頼性の低下を防止することが可能なSiC半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】n型のドリフト層2の上面に設けられたn型の電流拡散層3と、この上面に設けられたp型のベース領域6と、電流拡散層3の内部に設けられたp型のゲート底部保護領域4bと、電流拡散層3の内部にゲート底部保護領域4bと離間し、ベース領域6の下面に接するp型のベース底部埋込領域(4a,5a)と、ベース領域6を貫通しゲート底部保護領域4bに達するトレンチ9aの内部に設けられた絶縁ゲート型電極構造(11,12a)と、ドリフト層2の底部に設けられ、少数キャリアを結晶欠陥により再結合する下部再結合領域24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の炭化珪素基板の上に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の上面に設けられ、前記ドリフト層より高不純物濃度の第1導電型の電流拡散層と、
前記電流拡散層の上面に設けられた第2導電型のベース領域と、
前記電流拡散層の内部に設けられた第2導電型のゲート底部保護領域と、
前記電流拡散層の内部に前記ゲート底部保護領域と離間し、前記ベース領域の下面に接する第2導電型のベース底部埋込領域と、
前記ベース領域を貫通し前記ゲート底部保護領域に達するトレンチの内部に設けられた絶縁ゲート型電極構造と、
前記ドリフト層の底部に設けられ、前記ドリフト層に注入された少数キャリアを結晶欠陥により再結合する下部再結合領域と、
を備えることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記ベース底部埋込領域の底面に接するように設けられ、前記ベース領域から注入される少数キャリアを結晶欠陥により再結合する上部再結合領域をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記上部再結合領域は、前記結晶欠陥として水素又はヘリウムからなる再結合中心を有し、前記ベース底部埋込領域の前記底面及び底面端部を覆うように前記ドリフト層の上部に設けられることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記上部再結合領域の側面は、前記ベース底部埋込領域の前記底面端部から前記ゲート底部保護領域側に、前記ベース底部埋込領域と前記ゲート底部保護領域との間の幅の1/2以下の幅で突出し、
前記上部再結合領域は、前記結晶欠陥の面密度が5×1010cm-2以上2×1011cm-2以下の範囲で、厚さが0.2μm以上0.5μm以下の範囲であることを特徴とする請求項2又は3に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記下部再結合領域は、少数キャリアを再結合する水素又はヘリウムからなる再結合中心を有し、前記ベース底部埋込領域の下方に選択的に設けられることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
隣り合う前記下部再結合領域間の領域が、前記ゲート底部保護領域に対向する位置に設けられ、
隣り合う前記下部再結合領域間の幅を前記ゲート底部保護領域の幅よりも大きくし、平面視において、前記下部再結合領域の端部は、前記ベース底部埋込領域と前記ゲート底部保護領域との間の前記ゲート底部保護領域側に位置することを特徴とする請求項5に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記下部再結合領域が、前記ドリフト層の底部全面に設けられることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記下部再結合領域は、前記結晶欠陥の面密度が5×1011cm-2以上2×1012cm-2以下の範囲で、厚さが0.5μm以上1.0μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
前記ゲート底部保護領域の底面及び底面端部を覆うように設けられ、少数キャリアを結晶欠陥により再結合するゲート底部再結合領域を更に備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項10】
前記絶縁ゲート型電極構造が設けられた活性部の端部から、該活性部の周囲に配置された外周部に延在する前記ベース底部埋込領域の底面全体に接するように、前記上部再結合領域が延在することを特徴とする請求項2~9のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項11】
前記上部再結合領域の上部に、前記ベース底部埋込領域の前記底面に接する第1導電型の部分電流拡散層を更に有することを特徴とする請求項2~10のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項12】
前記上部再結合領域は、前記結晶欠陥として、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、白金及び金から選ばれる少なくとも1の重金属からなる再結合中心を有し、前記ベース底部埋込領域の底部に局在するように設けられることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項13】
前記炭化珪素基板の上面に、前記ドリフト層の下面に接するように前記ドリフト層よりも高不純物濃度の第1導電型のバッファ層を更に備えることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項14】
第1導電型の炭化珪素基板の上にエピタキシャル成長させた第1導電型のドリフト層の上面に前記ドリフト層よりも高不純物濃度の第1導電型の電流拡散層、前記電流拡散層の上面に第2導電型のベース領域、前記電流拡散層の底部に前記ベース領域より高不純物濃度の第2導電型のゲート底部保護領域、前記電流拡散層の内部に前記ゲート底部保護領域と離間し、前記ベース領域の下面に接する前記ベース領域より高不純物濃度の第2導電型のベース底部埋込領域、及び前記ベース領域を貫通し前記ゲート底部保護領域に達するトレンチの内部に設けられた絶縁ゲート型電極構造を形成した後、前記炭化珪素基板の下面を研磨することにより活性部に素子構造を形成する工程と、
研磨した前記炭化珪素基板の前記下面より前記ドリフト層底部に水素又はヘリウムを選択的にイオン注入して、前記ドリフト層底部に、少数キャリアを結晶欠陥により再結合する下部再結合領域を形成する工程と、
を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項15】
研磨した前記炭化珪素基板の前記下面より前記ドリフト層上部に水素又はヘリウムを選択的にイオン注入して、前記ベース底部埋込領域の底面に接するように、少数キャリアを結晶欠陥により再結合する上部再結合領域を選択的に形成する工程を、
さらに含むことを特徴とする請求項14に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記上部再結合領域は、前記ベース底部埋込領域の前記底面及び底面端部を覆うように形成されることを特徴とする請求項15に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記下部再結合領域は、前記ベース底部埋込領域の下方に選択的に形成されることを特徴とする請求項14~16のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素(SiC)半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の炭化珪素(SiC)単結晶基板には、基底面転位(BPD)をはじめとする多数の転位が含まれる。このような転位は、基板上にSiC単結晶をエピタキシャル成長させたエピタキシャル基板に引き継がれる。そのため、エピタキシャル基板に形成された半導体装置の特性に悪影響を与えることが知られている。
【0003】
MOS電界効果トランジスタ(FET)等のSiC半導体装置においては、エピタキシャル基板にpn接合を有する内蔵ダイオードが設けられる。基底面転位は、ターンオフ時にバイポーラ動作を行う内蔵ダイオードの順方向特性の劣化の原因となる。例えば、バイポーラ動作時に順方向通電により発生する少数キャリア、例えばn型半導体における正孔は、エピタキシャル基板の中を拡散する。少数キャリアが基底面転位で再結合して再結合エネルギを基底面転位に与えると、基底面転位を起点としてエピタキシャル基板中に積層欠陥が拡張する。積層欠陥が拡張すると、内蔵ダイオードに順方向電流を流したとき、順方向電圧が上昇して順方向抵抗が増大する。このように、素子特性が劣化すると、発生する損失が経時的に増加し、発熱量も大きくなるため、半導体装置の故障の原因となる。
【0004】
積層欠陥は、n型の基板とn型エピタキシャル成長層であるドリフト層との界面から拡張する。基板とドリフト層の間に高濃度のn+型のバッファ層を配置することで、表面電極側から注入される正孔をバッファ層中で再結合させることができる。再結合エネルギはバッファ層中で放出されるので、積層欠陥の拡張は防止できる。しかし、高耐圧を保持するためには、バッファ層は10μm程度の厚さが要求され、エピタキシャル基板の製造コストが増大する。
【0005】
特許文献1には、基板とn型境界層との界面近傍に水素イオン(プロトン)を注入して再結合中心(ライフタイムキラー)を設ける方法が提案されている。特許文献1の方法では、再結合中心は基板とn型境界層との界面全面に導入されるためMOSFETのオン抵抗が劣化してしまう。特許文献2には、プレーナ型MOSFETのベース領域底部のpn接合界面にプロトン又はヘリウムイオンを注入して再結合中心を設けて内蔵ダイオードの逆回復損失を低減する方法が提案されている。特許文献2の方法では、再結合中心がベース領域底部に設けられるため、ドリフト層に注入される正孔を十分に低減することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-102493号公報
【特許文献2】国際公開第2016/039071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を鑑み、製造コストの低減ができ、信頼性の低下を防止することが可能なSiC半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、(a)第1導電型のSiC基板の上に設けられた第1導電型のドリフト層と、(b)ドリフト層の上面に設けられ、ドリフト層より高不純物濃度の第1導電型の電流拡散層と、(c)電流拡散層の上面に設けられた第2導電型のベース領域と、(d)電流拡散層の内部に設けられた第2導電型のゲート底部保護領域と、(e)電流拡散層の内部にゲート底部保護領域と離間し、ベース領域の下面に接する第2導電型のベース底部埋込領域と、(f)ベース領域を貫通しゲート底部保護領域に達するトレンチの内部に設けられた絶縁ゲート型電極構造と、(g)ドリフト層の底部に設けられ、ドリフト層に注入された少数キャリアを結晶欠陥により再結合する下部再結合領域と、を備えるSiC半導体装置であることを要旨とする。
【0009】
本発明の他の態様は、(a)第1導電型の基板の上にエピタキシャル成長させた第1導電型のドリフト層の上面にドリフト層よりも高不純物濃度の第1導電型の電流拡散層、電流拡散層の上面に第2導電型のベース領域、電流拡散層の底部にベース領域より高不純物濃度の第2導電型のゲート底部保護領域、電流拡散層の内部にゲート底部保護領域と離間し、ベース領域の下面に接するベース領域より高不純物濃度の第2導電型のベース底部埋込領域、及びベース領域を貫通しゲート底部保護領域に達するトレンチの内部に設けられた絶縁ゲート型電極構造を形成した後、基板の下面を研磨することにより活性部に素子構造を形成する工程と、(b)研磨した基板の下面よりドリフト層底部にプロトン又はヘリウムを選択的にイオン注入して、ドリフト層の底部に、少数キャリアを結晶欠陥により再結合する下部再結合領域を形成する工程と、を含むSiC半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造コストの低減ができ、信頼性の低下を防止することが可能なSiC半導体装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るSiC半導体装置の一例を示す平面概略図である。
図2図1中のA-A線方向から見た断面概略図である。
図3】従来の半導体装置における積層欠陥拡張の一例を示す断面概略図である。
図4】従来のSiC半導体装置の積層欠陥拡張のための構造の一例を示す断面概略図である。
図5図4の半導体装置における再結合促進を説明するための断面概略図である。
図6図2中のB部分の拡大図である。
図7】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程の一例を説明するための断面概略図である。
図8】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図7に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図9】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図8に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図10】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図9に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図11】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図10に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図12】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図11に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図13】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図12に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図14】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図13に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図15】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図14に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図16】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図15に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図17】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の図16に引き続く工程の一例を説明するための断面概略図である。
図18】本発明の実施形態に係るSiC半導体装置の他の例を示す断面概略図である。
図19】本発明の実施形態に係るSiC半導体装置の他の例を示す断面概略図である。
図20】本発明の実施形態に係るSiC半導体装置の他の例を示す断面概略図である。
図21】本発明のその他の実施形態に係るSiC半導体装置の一例を示す断面概略図である。
図22】本発明のその他の実施形態に係るSiC半導体装置の再結合領域の形成工程の一例を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。また、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0013】
本明細書においてMOSトランジスタのソース領域は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)のエミッタ領域として選択可能な「一方の主領域(第1主領域)」である。又、MOS制御静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)などのサイリスタにおいては、一方の主領域はカソード領域として選択可能である。MOSトランジスタのドレイン領域は、IGBTにおいてはコレクタ領域を、サイリスタにおいてはアノード領域として選択可能な半導体装置の「他方の主領域(第2主領域)」である。本明細書において単に「主領域」と言うときは、当業者の技術常識から妥当な第1主領域又は第2主領域のいずれかを意味する。
【0014】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。また以下の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明する。しかし、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。またnやpに付す+や-は、+及び-が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物密度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。ただし同じnとnとが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物密度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0015】
<SiC半導体装置の構造>
SiC結晶には結晶多形が存在し、主なものは立方晶の3C、及び六方晶の4H、6Hである。室温における禁制帯幅は3C-SiCでは2.23eV、4H-SiCでは3.26eV、6H-SiCでは3.02eVの値が報告されている。本発明の実施形態では、4H-SiCを用いて説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係るSiC半導体装置を製造するSiC半導体基板(基板)100は、図1に示すように、複数のチップ領域101とダイシングライン102とからなる。例えば、チップ領域101は、矩形状の平面形状を有し、マトリックス状に基板100に配置される。ダイシングライン102は、チップ領域101のそれぞれを囲むように格子状に配置される。チップ領域101には、図2に示すように、活性素子を含む活性部101aと、耐圧構造を有する外周部101bとが設けられる。図2では、活性素子として第1導電型(n型)のドリフト層2の上部に設けられたトレンチゲート構造のMOSFETを、耐圧構造として電界緩和領域20a、20bを含む場合を例示している。
【0017】
図2に示すように、ドリフト層2の上面には第2導電型(p型)のベース領域6が配置されている。ドリフト層2及びベース領域6はSiCからなるエピタキシャル成長層(以下において「エピタキシャル層」と略記する。)でそれぞれ構成されている。ベース領域6の上部には、ベース領域6よりも高不純物濃度のp型のベースコンタクト領域8が選択的に設けられている。ベース領域6の上部には、ベースコンタクト領域8に接するように、ドリフト層2よりも高不純物濃度のn型の第1主領域(ソース領域)7が選択的に設けられている。
【0018】
ソース領域7及びベース領域6の上面からベース領域6を貫通して、幅が1μm以下のトレンチ9aが設けられている。つまりトレンチ9aの側面には、ソース領域7及びベース領域6が接している。トレンチ9aの底面及び側面にはゲート絶縁膜11が設けられている。トレンチ9a内にはゲート絶縁膜11を介してゲート電極12aが埋め込まれ、絶縁ゲート型電極構造(11、12a)を構成する。ゲート絶縁膜11としては、二酸化珪素膜(SiO膜)の他、酸窒化珪素(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、窒化珪素(Si)膜、アルミニウム酸化物(Al)膜、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y)膜、ハフニウム酸化物(HfO)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO)膜、タンタル酸化物(Ta)膜、ビスマス酸化物(Bi)膜のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜などが採用可能である。ゲート電極12aの材料としては、例えば燐(P)やボロン(B)などの不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)が使用可能である。
【0019】
ドリフト層2の上部には、ドリフト層2よりも高不純物濃度のn型の電流拡散層(CSL)3が選択的に設けられている。トレンチ9aの底部は電流拡散層3に達する。電流拡散層3は必ずしも設ける必要はない。電流拡散層3を設けない場合、トレンチ9aの底部はドリフト層2に達する。電流拡散層3の内部には、トレンチ9aの底部に接するように、p型のゲート底部保護領域4bが設けられている。電流拡散層3の内部には、ベースコンタクト領域8の下方において、ゲート底部保護領域4bと同程度の深さで、ゲート底部保護領域4bから離間してp型の第1埋込領域4aが設けられている。電流拡散層3の上部には、第1埋込領域4aの上面とベース領域6の下面に接するようにp型の第2埋込領域5aが設けられている。第2埋込領域5aも、ベースコンタクト領域8の下方に設けられる。第1埋込領域4aと第2埋込領域5aでベース底部埋込領域(4a,5a)が構成される。また、トレンチの奥行き方向において選択的に、第1埋込領域4aとゲート底部保護領域4bとを接続するp型の接続部4dが設けられている。ベース底部埋込領域(4a,5a)の第1埋込領域4aの底面に接するように上部再結合領域26が設けられる。上部再結合領域26は、第1埋込領域4aの底面及び底面端部を覆うように設けることが好ましい。
【0020】
ゲート電極12aの上面には層間絶縁膜13が配置される。層間絶縁膜13としては、硼素(B)及び燐(P)を添加したシリコン酸化膜(BPSG)が用いられる。しかし、層間絶縁膜13としては、燐(P)を添加した酸化珪素膜(PSG)、「NSG」と称される燐(P)や硼素(B)を含まないノンドープのSiO膜、硼素(B)を添加した酸化珪素膜(BSG)、Si膜などでもよい。またこれらの積層膜でもよい。
【0021】
層間絶縁膜13の間に露出したソース領域7及びベースコンタクト領域8に物理的に接するようにソースコンタクト層14が設けられる。層間絶縁膜13及びソースコンタクト層14を覆うようにバリアメタル層15aが設けられる。第1主電極(ソース電極)16aは、バリアメタル層15a及びソースコンタクト層14を介してソース領域7及びベースコンタクト領域8に電気的に接続される。例えば、ソースコンタクト層14がニッケルシリサイド(NiSi)膜、バリアメタル層15aが窒化チタン(TiN)膜やチタン(Ti)膜、ソース電極16aがアルミニウム(Al)膜やアルミニウム-シリコン(Al-Si)膜で構成できる。ソース電極16aは、ゲート表面電極(図示省略)と分離して配置されている。
【0022】
活性部101aの外周部101b側において、ベース領域6の上部にはベースコンタクト領域8aが設けられる。ベースコンタクト領域8aの上面には、フィールド酸化膜10を介して配線層12bが配置され、配線層12bの上面にはバリアメタル層15bを介してゲート電極パッド16bが配置されている。図示を省略するが、ゲート電極パッド16bは配線層12bを介してゲート電極12aに電気的に接続されている。層間絶縁膜13及びフィールド酸化膜10は、外周部101b側に延在する。また、活性部101aの外周部101b側には、ベース領域6の下面に接するように第2埋込領域5b及び第1埋込領域4cからなるベース底部埋込領域(4c,5b)が延在している。ベース底部埋込領域(4c,5b)の第1埋込領域4cの底面に接するように上部再結合領域26aが設けられる。
【0023】
ドリフト層2の下には、n型のバッファ層22及びn型の第2主領域(ドレイン領域)1が配置されている。ドレイン領域1はSiC半導体基板(基板)で構成されている。ベース底部埋込領域(4a,5a)の下方において、ドリフト層2の底部には下部再結合領域24が選択的に設けられる。隣り合う下部再結合領域24間の空隙は、ゲート底部保護領域4bに対向するように配置されている。また、ベース底部埋込領域(4c,5b)の下方のドリフト層2の底部には、外周部101bに延在するように下部再結合領域24aが設けられる。
【0024】
ドレイン領域1の下面には第2主電極(ドレイン電極)17が配置されている。ドレイン電極17としては、例えば金(Au)からなる単層膜や、Ti、ニッケル(Ni)、Auの順で積層された金属膜が使用可能であり、更にその最下層にモリブデン(Mo)、タングステン(W)などの金属膜を積層してもよい。また、ドレイン領域1とドレイン電極17との間に、ドレインコンタクト層が設けられてもよい。ドレインコンタクト層は、例えばニッケルシリサイド(NiSi)膜である。
【0025】
図2に示すように、外周部101bには、ベース領域6の上面からベース領域6を貫通して第1埋込領域4cに達するメサ溝9bが設けられている。1つのチップ領域101におけるメサ溝9bの幅は、例えば5μm以上、200μm以下の範囲である。外周部101bには、メサ溝9bの底面に露出するように、電界緩和領域20a、20bが終端構造として設けられる。電界緩和領域20a、20bのそれぞれは、例えば、ジャンクション・ターミネーション・エクステンション(JTE)構造であり、p型の複数の空間変調部が設けられている。電界緩和領域20a、20bのそれぞれはJTE構造に限定されず、p型の複数のガードリングを同心リング状に設けてもよい。また、外周部101bの外側端部において、ドリフト層2の上部にn型のチャネルストッパを同心リング状に設けてもよい。なお、n型のチャネルストッパの代わりに、p型のチャネルストッパを設けてもよい。
【0026】
例えば、ドリフト層2は、不純物濃度が1×1015cm-3以上2×1016cm-3以下で、厚さは、1μm以上数100μm以下であり、後述する内蔵ダイオードの耐圧仕様に応じて最適な厚さと不純物密度が選ばれる。ベース領域6の不純物濃度は1×1017cm-3以上1×1018cm-3以下である。ベースコンタクト領域8の不純物濃度は5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下、ソース領域7の不純物濃度は5×1018cm-3以上5×1020cm-3以下である。電流拡散層3の不純物濃度は5×1016cm-3以上5×1017cm-3以下で、ゲート底部保護領域4b、ベース底部埋込領域(4a,5a)の第1埋込領域4a及び第2埋込領域5aは同程度の不純物濃度を有し、1×1017cm-3以上、1×1019cm-3以下である。バッファ層22は、不純物濃度が5×1017cm-3以上1×1018cm-3以下で、厚さが0.5μm以上1μm以下である。ドレイン領域1の不純物濃度は1×1018cm-3以上1×1019cm-3以下である。
【0027】
実施形態に係る半導体装置の動作時は、ソース電極16aをアース電位として、ドレイン電極17に正電圧を印加し、ゲート電極12aに閾値以上の正電圧を印加すると、ベース領域6のトレンチ9aの側面側に反転層(チャネル)が形成されてオン状態となる。反転層は、ベース領域6がゲート電極12aに対向する位置に挟まれたゲート絶縁膜11とベース領域6との界面となるトレンチ9aの側面に露出したベース領域6の表面に形成される。オン状態では、ドレイン電極17からドレイン領域1、ドリフト層2、電流拡散層3、ベース領域6の反転層及びソース領域7を経由してソース電極16aへ電流が流れる。一方、ゲート電極12aに印加される電圧が閾値未満の場合、ベース領域6に反転層が形成されないため、オフ状態となり、ドレイン電極17からソース電極16aへ電流が流れない。
【0028】
また、図2に示すように、p型のベース領域6がn型のドリフト層2の上部に形成されることにより、pn接合の内蔵ダイオード(ボディダイオード)が形成される。即ち、ベースコンタクト領域8、ベース領域6、ベース底部埋込領域(4a,5a)、電流拡散層3、ドリフト層2、バッファ層22及びドレイン領域1で内蔵ダイオードが構成される。半導体基板からなるドレイン領域1は内蔵ダイオードの「カソード領域」として機能し、バッファ層22上のドリフト層2及び電流拡散層3は、キャリアがドリフト走行する「走行領域」として機能する。また、ベースコンタクト領域8、ベース領域6及びベース底部埋込領域(4a,5a)は、内蔵ダイオードの「アノード領域」として機能する。このため、ドレイン領域1の下面に設けられたドレイン電極17は「カソード電極」として機能し、ドレイン領域1に供給されたキャリアを、ドレイン電極17を介して外部回路に供給する。ベースコンタクト領域8の上面に設けられたソース電極16aは内蔵ダイオードの「アノード電極」として機能し、外部回路からソース電極16aを介してベースコンタクト領域8及びベース領域6にキャリアを供給する。ドレイン領域1から供給される多数キャリア(電子)がドリフト層2をドリフト電界で走行する。そして、ベースコンタクト領域8からベース領域6を通ってドリフト層2に少数キャリア(正孔)が注入される。
【0029】
通常のSiC基板中には、基底面転位が1000個/cm2台で存在している。図3に示すように、n型の基板1s上にn型のバッファ層22s及びn型のエピタキシャル層2sをエピタキシャル成長すると、基底面転位40tの大部分はバッファ層22s内で貫通転位42に転換される。バッファ層22sは転移変換層として機能し、厚さは1μm程度以下とされる。一方、一部の基底面転位40sは、基板1sからバッファ層22sを越えてエピタキシャル層3sに伝播する。このようなエピタキシャル基板(1s,2s,3s)を用いてpnダイオードを形成すると、通電により、基板1sとバッファ層22sの界面近傍の基底面転位40sが積層欠陥の拡張の起点となり得る。即ち、エピタキシャル層2sの上部に形成したp型アノード領域から、正孔がエピタキシャル層2sに注入されることにより、基底面転位40sが積層欠陥の拡張の起点となる。なお、基底面転位40tから転換された貫通転位42は、積層欠陥に拡張しない。
【0030】
例えば、n型のエピタキシャル層2sに「少数キャリア」として正孔44がpnダイオードのアノード領域から注入される。順方向通電により生成された伝導帯の多数キャリアである電子が基底面転位40sから生じた積層欠陥の電子準位、即ち再結合中心で正孔44と再結合することにより、積層欠陥の拡張が起こる。再結合中心による再結合エネルギは小さいため、積層欠陥に到達する正孔密度が閾値以上とならないと積層欠陥の拡張は起こらない。閾値の正孔密度は、1×1015cm-3程度といわれている。エピタキシャル層2sは低不純物密度であり、エピタキシャル層2sに注入された正孔の拡散深さは10μm程度である。したがって、pnダイオードの走行領域として厚さが10μm程度のエピタキシャル層2sを用いる場合、アノード領域から注入された正孔は、十分高い密度でバッファ層22s内から基板1s内に到達し得る。バッファ層22sと基板1sとの界面近傍に局在する基底面転位40sを起点として、積層欠陥46がエピタキシャル層2s内で拡張することになる。積層欠陥は高抵抗領域となるため、電流は積層欠陥のない領域を流れることになる。その結果、pnダイオードにおいて、オン電圧(順方向電圧)の増加やオン抵抗の増加等の順方向特性の劣化を招いてしまう。
【0031】
従来の半導体装置では、図4に示すように、バッファ層22とドリフト層2との間に数μ程度のn型の再結合促進層34を設けている。例えば、ドリフト層2を10μm程度とし、再結合促進層34を3μm~7μmとする。図5は、図4に示した半導体装置のドレイン領域1、バッファ層22、再結合促進層34及びドリフト層2からなるn型の積層構造を示す拡大図である。図5に示すように、図2の内蔵ダイオードのアノード領域からドリフト層2内に注入された少数キャリアの正孔44は再結合促進層34内で多数キャリアの電子と再結合して消失する。そのため、ドレイン領域1に存在する基底面転位40t、40sは、共に貫通転位42に転換され、積層欠陥に拡張することが防止される。正孔44の再結合を十分に促進するためには、再結合促進層34を十分厚くエピタキシャル成長させる必要があり、製造コストの増加を招く。
【0032】
図6は、図2に示した半導体装置のB部分の拡大図である。図6に示すように、実施形態に係る半導体装置では、少数キャリアの正孔を再結合する再結合中心としての結晶欠陥を有する上部再結合領域26及び下部再結合領域24が設けられている。結晶欠陥は、イオン注入された軽元素イオン、例えばプロトン(水素イオン)又はヘリウムイオンからなる。上部再結合領域26は、ベース底部埋込領域(4a,5a)の第1埋込領域4aの底面及び底面端部を覆うように選択的に設けられ、対向するゲート底部保護領域4b側に突出幅Dcで突出している。下部再結合領域24は、ベース底部埋込領域(4a,5a)の下方のドリフト層2の底部にバッファ層22の上面に接し、互いに離間幅Dsで離間して選択的に設けられる。ここで下部再結合領域24は、ドリフト層2の内部にとどまり、バッファ層22にかからないように設けてよい。これにより、基板の転位を変換するというバッファ層22の機能を維持することができる。ただし、少数キャリアである正孔をバッファ層22に到達させないためには、下部再結合領域24の底部とバッファ層22の底部とは3μm以下であると良い。
【0033】
上部再結合領域26では、ベース領域6から、特にベース底部埋込領域(4a,5a)を通ってドリフト層2に注入される正孔を結晶欠陥により再結合させる。上部再結合領域26の側面の突出幅Dcは、ベース底部埋込領域(4a,5a)とゲート底部保護領域4bとの間の電流拡散幅Dpの1/2以下が望ましい。突出幅Dcが0以下、即ちベース底部埋込領域(4a,5a)の幅よりも小さくなると、ベース底部埋込領域(4a,5a)を通してドリフト層2に注入される正孔を十分には低減できない。また、結晶欠陥を含む上部再結合領域26は高抵抗となるため、突出幅Dcが半導体装置の主電流路を含む電流拡散幅Dpの1/2より大きくなると、MOSFETのオン抵抗や内蔵ダイオードの順方向電圧が増加してしまう。また、上部再結合領域26は、結晶欠陥、即ち注入されたプロトン又はヘリウムの面密度が、5×1010cm-2以上2×1011cm-2以下の範囲で、厚さは0.2μm以上0.5μm以下であることが望ましい。このような面密度及び厚さの範囲であれば、正孔の再結合を十分に行え、且つMOSFETのオン抵抗や内蔵ダイオードの順方向電圧の増加を抑制することができる。
【0034】
下部再結合領域24では、ベース領域6から上部再結合領域26で再結合されずにドリフト層2に注入される正孔を結晶欠陥により再結合させる。隣り合う下部再結合領域24間の領域をゲート底部保護領域4bに対向する位置に設ける。すなわち、下部再結合領域24はベース底部埋込領域(4a,5a)に対向する位置に、ベース底部埋込領域(4a,5a)よりも広い幅で設けられる。隣り合う下部再結合領域24間の離間幅Dsは、オン抵抗の増加を抑制するために、ゲート底部保護領域4bの幅Dgよりも大きくしてゲート底部保護領域4b直下のドリフト層2の領域を高抵抗化させないことが望ましい。また、正孔を十分に再結合させるために、離間幅Dsを(Dg+Dp)以下として、下部再結合領域24の側面を第1埋込領域4aとゲート底部保護領域4bとの間の1/2よりゲート底部保護領域4b側に位置させることが望ましい。すなわち、下部再結合領域24の端部は、平面視において、ベース底部埋込領域(4a,5a)とゲート底部保護領域4bとの間のゲート底部保護領域4bに近い側に位置する。また、下部再結合領域24は、結晶欠陥、即ち注入されたプロトン又はヘリウムの面密度が、5×1011cm-2以上2×1012cm-2以下で、厚さは0.5μm以上1.0μm以下であることが望ましい。このような面密度及び厚さの範囲であれば、正孔の再結合を十分に行え、且つMOSFETのオン抵抗や内蔵ダイオードの順方向電圧の増加を抑制することができる。
【0035】
<SiC半導体装置の製造方法>
次に、図7図17の工程断面図を用いて、実施形態に係るSiC半導体装置の製造方法を、トレンチゲート型MOSFETの場合を一例に説明する。なお、以下に述べるトレンチゲート型MOSFETの製造方法は一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0036】
まず、窒素(N)などのn型不純物が添加されたn型のSiC半導体基板(基板)1pを用意する。基板1pの上面に、n型のドリフト層2pをエピタキシャル成長させる。次に、ドリフト層2pの上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術などを用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜130をイオン注入用マスクとして用いて、ドリフト層2pの上面側から、窒素(N)などのn型不純物イオンをドリフト層2の活性部101aに選択的に多段イオン注入する。このようにして、図7に示すように、ドリフト層2pの活性部101aにnイオン注入層3pが形成される。
【0037】
フォトレジスト膜130を除去後、CVD技術などにより、nイオン注入層3p及びドリフト層2pの上面にSiO2からなる酸化膜を堆積する。酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などを用いて酸化膜をパターニングする。パターニングされた酸化膜140をイオン注入のマスクとして用いて、nイオン注入層3pにアルミニウム(Al)などのp型不純物イオンを多段イオン注入する。その結果、図8に示すように、nイオン注入層3pの内部に第1埋込領域4a、ゲート底部保護領域4b及び第1埋込領域4cが選択的に形成される。図示しないが、この工程により図2に示した接続部4dも形成される。
【0038】
酸化膜140を除去後、第1埋込領域4a、4c、ゲート底部保護領域4b及びドリフト層2pの上面にn型のエピタキシャル層5eを成長させる。そのエピタキシャル層5eの表面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術などを用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をイオン注入のマスクとして用いて、エピタキシャル層5eの上面側から、窒素(N)などのn型不純物イオンを活性部101aのエピタキシャル層5eの上部に選択的に多段イオン注入してnイオン注入層5pを形成する。
【0039】
イオン注入用マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去後、CVD技術などにより、図9に示すnイオン注入層5pとエピタキシャル層5eとの上面にSiO2からなる酸化膜を堆積する。酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などを用いて酸化膜をパターニングする。パターニングされた酸化膜150をイオン注入のマスクとして用いて、nイオン注入層5pに選択的にアルミニウム(Al)などのp型不純物イオンを多段イオン注入する。その結果、図9に示すように、第1埋込領域4a、4cの上にそれぞれ第2埋込領域5a、5bがnイオン注入層5pに選択的に形成される。
【0040】
酸化膜150を除去後、第2埋込領域5a、5b、nイオン注入層5p及びエピタキシャル層5eの上面にp型のエピタキシャル層6pをエピタキシャル成長させる。成長させたエピタキシャル層6pの表面にCVD技術などによりSiO2からなる酸化膜を堆積する。この酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などを用いて酸化膜をパターニングする。パターニングされた酸化膜をエッチングマスクとして、ドライエッチング技術などにより、外周部101bにおいて、エピタキシャル層6p、第2埋込領域5bの一部、及びエピタキシャル層5eを選択的にエッチングする。その結果、図10に示すように、メサ溝9bが形成される。活性部101aにはエピタキシャル層6p、第2埋込領域5a、nイオン注入層5p及び第2埋込領域5bが残存し、外周部101bでは、メサ溝9bの底面に第1埋込領域4cの端部とドリフト層2の上面が露出する。
【0041】
エッチングマスクとして用いた酸化膜を除去後、エピタキシャル層6pの上面及びメサ溝9bの底面にCVD技術などによりSiO2からなる酸化膜を堆積する。この酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などを用いて酸化膜をパターニングする。パターニングされた酸化膜をイオン注入のマスクとして用いて、エピタキシャル層6pの上面側から、燐(P)などのn型不純物イオンをエピタキシャル層6pに多段イオン注入する。その結果、活性部101aにおいて、エピタキシャル層6pの上部にnイオン注入層が形成される。
【0042】
イオン注入用マスクとして用いた酸化膜を除去後、nイオン注入層の上面及びメサ溝9bの底面にCVD技術などにより酸化膜を堆積する。この酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などを用いて酸化膜をパターニングする。パターニングされた酸化膜をイオン注入のマスクとして用いて、nイオン注入層の上面側から、アルミニウム(Al)などのp型不純物イオンをnイオン注入層に選択的に多段イオン注入する。その結果、図11に示すソース領域7及びベースコンタクト領域8、8aがベース領域6の上部に形成される。ソース領域7がnイオン注入層5pの上方に形成され、ソース領域7に接するベースコンタクト領域8が第2埋込領域5aの上方に形成される。また、ベースコンタクト領域8aが第2埋込領域5bの上方に形成される。
【0043】
イオン注入用マスクとして用いた酸化膜を除去後、ソース領域7、ベースコンタクト領域8、8aの上面、及びメサ溝9bの底面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術などを用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をイオン注入のマスクとして用いて、メサ溝9bの上面側から、アルミニウム(Al)などのp型不純物イオンをメサ溝9bの底面に選択的に多段イオン注入して電界緩和領域20a、20bを形成する。イオン注入用マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去後、図11に示すように、メサ溝9bの底面に露出するように、電界緩和領域20a、20bが終端構造として設けられる。
【0044】
引き続き、ソース領域7、ベースコンタクト領域8、8aの上面、及びメサ溝9bの底面にCVD技術などにより酸化膜を堆積する。この酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などを用いて酸化膜をパターニングする。パターニングされた酸化膜をエッチングマスクとして用いて、ドライエッチング技術により、トレンチ9aを選択的に形成する。図12に示すように、nイオン注入層3pとnイオン注入層5pとからなるn型の電流拡散層3がドリフト層2の上面に形成され、トレンチ9aはソース領域7及びベース領域6を貫通して、電流拡散層3に形成されたゲート底部保護領域4bに達する。
【0045】
酸化膜を除去後、トレンチ9a及びメサ溝9bを覆うように、カーボンスパッタ技術などにより、カーボン(C)膜を成膜する。その後、熱処理を行ってイオン注入されたn型不純物イオン及びp型不純物イオンを一斉に活性化させる。カーボン膜を除去後の露出面に、CVD技術などにより、SiO2からなる酸化膜を堆積する。この酸化膜の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術などを用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして用いて、酸化膜を選択的に除去して、メサ溝9bの底面からベースコンタクト領域8aの上面に延在するように図13に示すフィールド酸化膜10を形成する。
【0046】
熱酸化法又は化学気相成長(CVD)技術などにより、トレンチ9aの底面及び側面、並びにソース領域7及びベースコンタクト領域8の上面に、SiO膜などのゲート絶縁膜を形成する。次に、CVD技術などにより、トレンチ9aを埋めるように、燐(P)やボロン(B)などの不純物を高濃度で添加したポリシリコン層(ドープドポリシリコン層)を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングにより、ポリシリコン層の一部及びゲート絶縁膜の一部を選択的に除去して、図13に示す絶縁ゲート型電極構造(11、12a)を形成する。絶縁ゲート型電極構造(11、12a)は、ゲート絶縁膜11と、ポリシリコン層からなるゲート電極12aとで構成される。また、メサ溝9bの近傍において、フィールド酸化膜10の上面に、ゲート電極12aに電気的に接続された配線層12bを形成する。次に、CVD技術などにより、ゲート電極12a及びゲート絶縁膜11からなる絶縁ゲート型電極構造(11、12a)の上面に絶縁膜を堆積する。この絶縁膜として、ボロン燐ガラス(BPSG)やNSGなどが用いられる。そして、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術などにより、堆積した絶縁膜の一部を選択的に除去する。この結果、図13に示すように、層間絶縁膜13にソース電極コンタクトホール及びゲート電極パッドコンタクトホールが開口される。図示を省略しているが、ソース電極コンタクトホールとは異なる箇所において、ゲート電極12aに接続されたゲート表面電極の一部が露出するように、ゲートコンタクトホールも層間絶縁膜13に開口される。
【0047】
スパッタリング法又は蒸着法などによりNi膜などの金属層を堆積して、フォトリソグラフィ技術及びRIE技術などを用いて金属層をパターニングする。その後、高速熱処理(RTA)、例えば1000℃程度で熱処理をすることでソースコンタクト層14を形成する。次に、スパッタリング技術などによりTiN膜などの金属層を堆積し、フォトリソグラフィ技術及びRIE技術などを用いて金属層をパターニングしてバリアメタル層15a、15bを形成する。この結果、図14に示すように、ソースコンタクト層14がソース領域7及びベースコンタクト領域8の上面に形成され、バリアメタル層15aが層間絶縁膜13を被覆するように形成される。また、バリアメタル層15bが層間絶縁膜13から露出した配線層12bの上面に形成される。次に、スパッタリング法などによりAl膜などの金属層を堆積する。フォトリソグラフィ技術とRIE技術などを用いてAl膜などの金属層をパターニングしてソース電極16a、ゲート電極パッド16b及びゲート表面電極(図示省略)のパターンを形成する。このようにして、ソース電極16aとゲート表面電極のパターンが分離され、ゲート電極パッド16bが配線層12bを介してゲート電極12aに電気的に接続される。
【0048】
次に、図15に示すように、素子構造が形成された基板1pの上面側に接着剤200を塗布してガラス板210に貼り合わせる。化学機械研磨(CMP)などにより基板1pの下面を研磨して厚さを100μm以下、例えば50μm程度に調整をして、ドレイン領域1を形成する。その後、ドレイン領域1の下面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術などを用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜220をイオン注入のマスクとして用いて、ドリフト層2の上部にプロトン(水素(H)イオン)又はヘリウム(He)イオンを選択的に多段イオン注入する。その結果、図16に示すように、上部再結合領域26が第1埋込領域4aに、上部再結合領域26aが第1埋込領域4bにそれぞれ接するようにドリフト層2の上部に選択的に形成される。上部再結合領域26の幅を第1埋込領域4aの底面の幅よりも広くして、上部再結合領域26によって第1埋込領域4aの底面端部が覆われるように形成する。
【0049】
引き続き、フォトレジスト膜220を除去後、ドレイン領域1の下面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術などを用いてフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜230をイオン注入のマスクとして用いて、ドリフト層2の上部にプロトン(水素(H)イオン)又はヘリウム(He)イオンを選択的に多段イオン注入する。その結果、図17に示すように、ドリフト層2の底部にバッファ層22の上面に接するように下部再結合領域24、24aが形成される。下部再結合領域24、24aの底部は、バッファ層22に対して3μm以下の範囲で離れていてもよい。下部再結合領域24は、ゲート底部保護領域4bの直下の位置が下部再結合領域24の間の位置に対応するように、第1埋込領域4aの下方に選択的に形成される。また、下部再結合領域24aは、第1埋込領域4cの下方から、外周部101bに延在するように形成される。
【0050】
フォトレジスト膜230を除去後、接着剤200を除去してガラス板210から素子構造を分離する。スパッタリング法又は蒸着法などにより、ドレイン領域1の下面の全面にAuなどからなるドレイン電極17を形成する。このようにして、図2に示したトレンチゲート型半導体装置が完成する。
【0051】
実施形態に係る半導体装置の製造方法では、正孔を再結合する結晶欠陥の生成工程は、注入された不純物イオンの活性化や電極形成などの高温熱処理を含む工程の後に実施される。そのため、生成された結晶欠陥が、高温熱処理により消滅することを抑制することができる。また、ドレイン領域1は、基板1pを100μm以下の厚さに研磨して形成されているので、ドレイン領域1の下面からドリフト層2の中に水素やヘリウムなどの軽元素イオンを高濃度で再現性よくイオン注入することが可能となる。
【0052】
上述の説明では、図2に示した実施形態に係る半導体装置は、下部再結合領域24が第1埋込領域4aの下方に位置するようにドリフト層2の底部に選択的に形成されている。しかし、図18に示すように、ドリフト層2の底部全面に、バッファ層22の上面に接する下部再結合領域24bを設けてもよい。この場合、下部再結合領域24bでの正孔の再結合を増大させることは可能であるが、MOSFETのオン抵抗や内蔵ダイオードの順方向電圧の増加を招きやすくなる。そのため、下部再結合領域24bに含まれる結晶欠陥の面密度を低減するか、下部再結合領域24bの厚さを薄くすることが望ましい。なお、下部再結合領域24bは外周部101bに延在して設けてもよい。
【0053】
また、図19に示すように、ゲート底部保護領域4bの底面に接するように上部再結合領域26aを設けてもよい。上部再結合領域26aは、上部再結合領域26と離間して設けられる。上部再結合領域26aの幅をゲート底部保護領域4bよりも広くして、上部再結合領域26aによってゲート底部保護領域4bの底面転部が覆われるようにする。ゲート底部保護領域4bはフローティングで使用されることもあるが、一般的にはベース底部埋込領域(4a,5a)の第1埋込領域4aに接続される。本例でも、接続部4dによりゲート底部保護領域4bと第1埋込領域4aを接続しているが、接続部4dの底部にも上部再結合領域26cを設けて、上部再結合領域26と上部再結合領域26aとをつなげてもよい。このように上部再結合領域26a,26cを設けることにより、ベース領域6からゲート底部保護領域4bを経由してドリフト層2に注入される正孔を上部再結合領域26aにおいて再結合させて減少させることが可能となる。ゲート底部保護領域4bの側面から第1埋込領域4a側へ突出した上部再結合領域26aの突出幅Dtは、0より大きく、電流拡散幅Dpの1/2以下が望ましい。このような範囲であれば、正孔の再結合を増大させ、且つMOSFETのオン抵抗や内蔵ダイオードの順方向電圧の増加を抑制することが可能となる。なお、上部再結合領域26a,26cの厚さや照射イオンの面密度は、上部再結合領域26と同じでよい。
【0054】
また、図20に示すように、上部再結合領域26の上部に第1埋込領域4aの底面に接するようにn型の部分電流拡散層28を設けてもよい。例えば、部分電流拡散層28の不純物濃度は5×1017cm-3以上1×1019cm-3以下である。部分電流拡散層28は電流拡散機能を有するが、第1埋込領域4aからの正孔の注入を低減することが可能である。
【0055】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0056】
上述のように、実施形態では水素(H)やヘリウム(He)などの軽元素イオンを用いて結晶欠陥を生成しているが、限定されない。例えば、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、白金(Pt)及び金(Au)などの重金属イオンであってもよい。図21に示すように、重金属イオンを用いる上部再結合領域26bは、ベース底部埋込領域(4a,5a)の第1埋込領域4aの底部に結晶欠陥が局在するように設けることが望ましい。重金属イオンを用いる場合、イオン注入の注入深さが小さくなるため、図16で示したようにドレイン領域1の下面からイオン注入を行うことは困難である。そのため、図22に示すように、図8の第1埋込領域4aのp型不純物イオンを注入する工程の前に重金属イオンを注入して上部再結合領域26bを形成する。イオン注入用のマスクは、酸化膜140を用いることができる。イオン注入した重金属そのものが結晶欠陥を構成するので、活性化熱処理等の高温工程でも結晶欠陥は残存する。なお、重金属イオン注入を第1埋込領域4aのp型不純物イオン注入工程の直後に実施してもよい。
【0057】
このように、上記の実施形態及び各変形例において説明される各構成を任意に応用した構成等、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0058】
1…ドレイン領域(第2主領域)
1p,100…SiC半導体基板(基板)
2、2p…ドリフト層
2s、3s、5e、6p…エピタキシャル層
3…電流拡散層
3p,5p…nイオン注入層
(4a,5a)…ベース底部埋込領域
4a、4c…第1埋込領域
4b…ゲート底部保護領域
4d…接続部
5a、5b…第2埋込領域
6…ベース領域
7…ソース領域(第1主領域)
8、8a…ベースコンタクト領域
9a…トレンチ
9b…メサ溝
10…フィールド酸化膜
11…ゲート絶縁膜
(11、12a)…絶縁ゲート型電極構造
12a…ゲート電極
12b…配線層
13…層間絶縁膜
14…ソースコンタクト層
15a、15b…バリアメタル層
16a…ソース電極(第1主電極)
16b…ゲート電極パッド
17…ドレイン電極(第2主電極)
20a、20b…電界緩和領域
22…バッファ層
24、24a、24b…下部再結合領域
26、26a、26b、26c…上部再結合領域
28…部分電流拡散層
34…再結合促進層
31a、31b…マスク
40s、40t…基底面転位
42…貫通転位
44…少数キャリア(正孔)
46…積層欠陥
101…チップ領域
101a…活性部
101b…外周部
102…ダイシングライン
130、220、230…フォトレジスト膜
140、150…酸化膜
200…接着剤
210…ガラス板
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