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特開2022-163567ドライフルーツ及びドライフルーツの製造方法
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  • 特開-ドライフルーツ及びドライフルーツの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163567
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】ドライフルーツ及びドライフルーツの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/02 20060101AFI20221019BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20221019BHJP
【FI】
A23B7/02
A23L19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068576
(22)【出願日】2021-04-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り アンテナハウスにて、令和2年4月16日に公開 第55回スーパーマーケット・トレードショー2021にて、令和3年2月17日に公開
(71)【出願人】
【識別番号】521162012
【氏名又は名称】小宮山 尚明
(74)【代理人】
【識別番号】100133547
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 基文
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 尚明
【テーマコード(参考)】
4B016
4B169
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LE03
4B016LG01
4B016LP08
4B169BA01
4B169BA02
4B169HA11
(57)【要約】
【課題】砂糖などの甘味料を使わなくても、噛むほどに果物本来の甘みを感じられるドライフルーツを提供する。
【解決手段】小切りにした果物を乾燥させたドライフルーツ1を、隅2aがとがり、中央2bに向かって厚くなった形にして、小片2の厚みを不ぞろいにする。そして、小片を、厚みが薄い部分は水分が抜けて噛みごたえのある食感に、厚みが厚い部分は水分が抜けきらずしっとりとした柔らかい食感にする。また、りんごのドライフルーツを、小片に甘みが強い芯の周辺部分と、甘みが控えめな皮に近い部分とを含むようにして、それぞれの小片の甘さを均等にして、甘さが足りない小片をなくす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小切りにした果物を乾燥させたドライフルーツであって、
前記ドライフルーツの小片が、隅がとがり、中央に向かって厚くなった形であることを特徴とするドライフルーツ。
【請求項2】
前記ドライフルーツの小片が、甘みが強い部分と、甘みが控えめな部分とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のドライフルーツ。
【請求項3】
前記ドライフルーツの材料が、りんごであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドライフルーツ。
【請求項4】
前記甘みが強い部分が芯の周辺部分で、前記甘みが控えめな部分が皮に近い部分であることを特徴とする請求項3に記載のドライフルーツ。
【請求項5】
ドライフルーツの製造方法であって、
果物を乱切りにしてから、乾燥させることを特徴とするドライフルーツの製造方法。
【請求項6】
前記乱切りが、皮をむいて芯を取り除いたりんごを、芯の周辺部分と、皮に近い部分とを含むように切ることを特徴とする請求項5に記載のドライフルーツの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、果物をそのまま乾燥させた、砂糖などの甘味料を使わないドライフルーツ(干し果物ともいう。)とそのドライフルーツの製造方法に関し、特に小切りにした果物、例えば小切りにしたりんごを、砂糖をまぶしてから乾燥させたり、シロップ(砂糖液ともいう。)漬けや砂糖で煮詰めてから乾燥させたりしなくても、噛(か)むほどにりんご本来の甘みを感じられるドライフルーツとそのドライフルーツの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小切りにしたりんごを乾燥させた乾燥りんごとしては、ドライフルーツの小片を加熱したり、ドライフルーツの小片を水あめやグラニュー糖などと一緒に加熱したりして、ドライフルーツの小片の表面に粘着性を与えてドライフルーツの小片どうしをくっつけて、望みの形にしたドライフルーツ形成食品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このドライフルーツ形成食品は、乱切りのように形が不ぞろいだと食べづらいことから、ドライフルーツの小片どうしをくっつけて、食べやすくしている。
【0003】
また、小切りにしたりんごを乾燥させた乾燥りんごとしては、りんごを薄切りにしてからそのまま乾燥させたものが一般に提供されている。この一般的な乾燥りんごでは、りんごを薄切りにして、小片の中心まで水分を抜くように乾燥させている。そして、この一般的な乾燥りんごは、そのまま食べるほかに、乾燥りんごを紅茶に浮かべたり、乾燥りんごをシリアル食品に混ぜて牛乳をかけたりして食べられている。
【0004】
別の一般的な乾燥りんごとしては、乱切りにしたりんごをシロップ漬けにしてから乾燥させたものが一般に提供されている。この一般的な乾燥りんごでは、シロップに漬けて果物に甘みを足すとともに、果物の水分を糖分に置き換えて日持ちを良くしている。そして、この一般的な乾燥りんごは、シロップに漬けて日持ちを良くしているために、小片の中心まで水分が抜けないように乾燥させて(セミドライや半生ともいう。)、しっとりとした柔らかい食感を出せるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-136184号公報(段落0004,0021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に係るドライフルーツ形成食品では、ドライフルーツの小片を水あめやグラニュー糖などと一緒に加熱しているために、仮にドライフルーツの小片として、生の果物をそのまま、言い換えると砂糖を使わずに乾燥させたものを用いても、砂糖を使用したドライフルーツになってしまう。
【0007】
また、前記特許文献1に係るドライフルーツ形成食品では、水あめやグラニュー糖などとを使わない場合にも、ドライフルーツの小片を加熱、それも70℃以上で加熱しているために、仮にドライフルーツの小片として、果物に含まれる酵素が破壊されないように非加熱や低温で乾燥させたものを用いても、酵素が破壊されたドライフルーツになってしまう。
【0008】
前記一般的な乾燥りんごでは、薄切りにしたりんごをそのまま乾燥、言い換えると、砂糖をまぶしたりせずに乾燥させているために、そのまま食べたのでは甘みを感じにくい。特に、りんごは、ドライフルーツによく加工される果物、例えばバナナやパイナップル、マンゴー、ぶどう、柿などに比べて糖度が低いために、これらの果物に比べてより一層甘みを感じにくい。また、前記一般的な乾燥りんごでは、小片の中心まで水分を抜くように乾燥させているために、そのまま食べたのではりんごを思わせる風味も感じにくい。そこで、前記一般的な乾燥りんごでは、そのまま食べるよりも、乾燥りんごを紅茶に浮かべたり、乾燥りんごをシリアル食品に混ぜて牛乳をかけたりして、甘みや水分を加えた方がおいしく食べられる。
【0009】
前記別の一般的な乾燥りんごでは、乱切りにしたりんごをシロップ漬けにしてから乾燥させているために、砂糖を使用したドライフルーツになってしまう。特に、りんごは、ドライフルーツによく加工される果物に比べて糖度が低いために、これらの果物に比べてより多くの砂糖が使われてしまう。
【0010】
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、砂糖などの甘味料を使わなくても、噛むほどに果物本来の甘みを感じられるドライフルーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、小切りにした果物をそのまま乾燥させたドライフルーツの小片を、隅がとがり、中央に向かって厚くなった形にした。
【0012】
請求項2に係る発明では、ドライフルーツの小片に、甘みが強い部分と、甘みが控えめな部分とを含むようにした。
【0013】
請求項3に係る発明では、ドライフルーツの材料を、りんごにした。
【0014】
請求項4に係る発明では、りんごを材料にしたドライフルーツの小片に、芯の周辺部分と、皮に近い部分とを含むようにした。
【0015】
請求項5に係る発明では、果物を乱切りにしてから、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させた。
【0016】
請求項6に係る発明では、皮をむいて芯を取り除いたりんごを、甘みが強い芯の周辺部分と、甘みが控えめな皮に近い部分とを含むように乱切りにしてから、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させた。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、ドライフルーツの小片を、隅がとがり、中央に向かって厚くなった形にしたので、ドライフルーツ片の厚みを不ぞろいにすることができる。そのため、請求項1に係る発明によれば、ドライフルーツ片の厚みが不ぞろいなので、厚みが薄い部分は水分が抜けて噛みごたえのある食感に、厚みが厚い部分は水分が抜けきらずしっとりとした柔らかい食感にすることができる。
【0018】
このように、請求項1に係る発明によれば、一かけらのドライフルーツに異なる食感、特に硬さと弾力を兼ね備えるようにしたので、噛んでいることを強く意識でき、ドライフルーツ片を長く噛み続けることができる。そのため、請求項1に係る発明によれば、ドライフルーツ片を長く噛み続けることができるので、噛むほどに果物本来の甘みを感じることができる。そこで、請求項1に係る発明によれば、小切りにした果物を、砂糖をまぶしてから乾燥させたり、シロップ漬けや砂糖で煮詰めてから乾燥させたりしなくても、噛むほどに果物本来の甘みを感じられるようにすることができる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、ドライフルーツの小片に、甘みが強い部分と、甘みが控えめな部分とを含むようにしたので、それぞれのドライフルーツ片の甘さを均等にすることができ、甘さが足りないドライフルーツ片をなくすことができる。そのため、請求項2に係る発明によれば、砂糖などの甘味料を使って甘みを足さなくても、噛むほどに果物本来の甘みを感じられるようにすることができる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、りんごを材料にしたドライフルーツの小片を、隅がとがり、中央に向かって厚くなった形にしたので、ドライフルーツによく加工される果物よりも糖度が低いりんごでも、砂糖などの甘味料を使って甘みを足さなくても、噛むほどにりんご本来の甘みを感じられるようにすることができる。
【0021】
請求項4に係る発明によれば、りんごを材料にしたドライフルーツの小片に、甘みが強い芯の周辺部分と、甘みが控えめな皮に近い部分とを含むようにしたので、それぞれのドライフルーツ片の甘さを均等にすることができ、甘さが足りないドライフルーツ片をなくすことができる。そのため、請求項4に係る発明によれば、ドライフルーツによく加工される果物よりも糖度が低いりんごでも、砂糖などの甘味料を使って甘みを足さなくても、噛むほどにりんご本来の甘みを感じられるようにすることができる。
【0022】
請求項5に係る発明によれば、果物を乱切りにしてから、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させたので、ドライフルーツ片の厚みを不ぞろいにすることができる。そのため、請求項5に係る発明によれば、ドライフルーツ片の厚みが不ぞろいなので、厚みが薄い部分は水分が抜けて噛みごたえのある食感に、厚みが厚い部分は水分が抜けきらずしっとりとした柔らかい食感にすることができる。
【0023】
このように、請求項5に係る発明によれば、一かけらのドライフルーツに異なる食感、特に硬さと弾力を兼ね備えるようにしたので、噛んでいることを強く意識でき、ドライフルーツ片を長く噛み続けることができる。そのため、請求項5に係る発明によれば、ドライフルーツ片を長く噛み続けることができるので、噛むほどに果物本来の甘みを感じることができる。そこで、請求項5に係る発明によれば、小切りにした果物を、砂糖をまぶしてから乾燥させたり、シロップ漬けや砂糖で煮詰めてから乾燥させたりしなくても、噛むほどに果物本来の甘みを感じられるようにすることができる。
【0024】
請求項6に係る発明によれば、皮をむいて芯を取り除いたりんごを、甘みが強い芯の周辺部分と、甘みが控えめな皮に近い部分とを含むように乱切りにしてから、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させたので、それぞれのドライフルーツ片の甘さを均等にすることができ、甘さが足りないドライフルーツ片をなくすことができる。そのため、請求項6に係る発明によれば、ドライフルーツによく加工される果物よりも糖度が低いりんごでも、砂糖などの甘味料を使って甘みを足さなくても、噛むほどに果物本来の甘みを感じられるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係るドライフルーツの斜視図である。
図2】(a)は実施形態に係るドライフルーツの材料であるサンふじの特徴を説明する模式図のうち、サンふじの正面図であり、(b)はサンふじの断面図である。
図3】実施形態に係るドライフルーツの製造方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず、この発明の創作の基礎となる事項について簡単に説明する。出願人は、長野県立科町を拠点にして、りんごの生産から、加工と販売までを手掛けており、りんごを軸に農業の6次産業化に取り組んでいる。
【0027】
出願人は、長野県を代表するりんごの産地の小さなりんご農家から始まった。出願人は、立科町の恵まれた気候と風土だからこそ生産できるおいしいりんごに付加価値を付けて、りんごを生のまま食べられる限られた期間だけでなく「一年を通して立科町のりんごを親しんでもらいたい」と考えていた。
【0028】
その思いから出願人は、りんごを丸ごとすりおろした果肉入りジュースを始め、シードル(りんごの発泡酒のこと)などの加工品を開発してきた。同時に出願人は、情報の発信場所として立科町の国道沿いにアンテナハウスをオープンさせて、観光に来られたお客様や地域の皆様に開発した加工品を親しんでいただくように努めてきて、今では多くの方々に立科町のりんごを用いた加工品をご愛好いただいてる。
【0029】
発明者は、出願人の総支配人であり、「おいしい立科の水と空気、緑に育まれたを果物のおいしさを皆様の元へ」との思いから、果汁に果肉を混入するのではなく、特殊なフィルターを用いてりんごを丸ごと搾った果汁100%のストレートジュースや、人工的に炭酸を充填していないシードルなど、高品質で糖度抜群の無袋ふじ(サンふじともいう。)を生かした加工品の開発に取り組んできた。
【0030】
そうした中、発明者が開発した果肉入りジュースは、何も足さず、何も引かず、りんごをそのままジュースにして、りんごのおいしさを味わっていただけるようにしたことから多くの皆様にご愛好いただき、都内の有名店でもご提供いただけるまでになった。
【0031】
発明者は、立科町のりんごのおいしさを一年中味わえる加工品を作りたいとの思いを強くする中で、この発明は、何も足さず、何も引かず、りんごをそのままドライフルーツにして、立科町のりんごのおいしさをお伝えしたいという、発明者の思いから創作されたものである。
【0032】
そして、発明者は、糖度抜群の無袋ふじの特徴を生かせれば、砂糖をまぶしたり、シロップ漬けや砂糖で煮詰めたりして果物に甘みを足さなくても、立科町のりんごのおいしさを味わえることを見いだし、この発明を創作するに至ったものである
【0033】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係るドライフルーツの斜視図である。図1に示すように、ドライフルーツ1(ここでは、乾燥りんごともいう。)は、小片2の隅2aがとがり、中央2bに向かって厚くなった形である。小片2は、それぞれに不規則な形で、それらの大きさはほぼ同じである。
【0034】
ドライフルーツ1は、皮をむいて芯を取り除いたりんごを、一つの小片2に芯の周辺部分と、皮に近い部分が含まれるように乱切りにしてから、砂糖などの甘味料を使わずにそのまま乾燥したものである。ここでは、材料のりんごは、長野県立科町産の無袋ふじ(以下、サンふじという。)であり、完熟したサンふじの中から、蜜が少なく外観の悪いものを選んでいる。
【0035】
小片2は、乾燥させた小さなかけらの乾燥りんごであり、ここでは一口大の大きさである。
【0036】
小片2には、その一部に、保存中に褐色に変わった褐変Bができることがある。褐変Bは、甘みが強い芯の周辺部分にできやすく、りんごに含まれる糖とアミノ酸が結び付いて褐色物質ができる反応(メイラード反応ともいう。)によるものである。
【0037】
小片2は、その隅2aがとがり、中央2bに向かって厚くなった形であるために、小片2に厚みが薄い部分と厚い部分ができる。そして、小片2は、厚みが薄い部分と厚い部分ができるために、厚みが薄い部分は水分が抜けて噛みごたえのある食感に、厚みが厚い部分は水分が抜けきらずしっとりとした柔らかい食感になる。また、小片2は、それぞれ不規則な形でありながら、それらの大きさはほぼ同じであるために、乾燥の程度がそろいやすく、全ての小片2が噛みごたえのある食感としっとりとした柔らかい食感を兼ね備えたドライフルーツになる。
【0038】
図1に示すように、実施形態に係るドライフルーツ1は、小片2に厚みが薄い部分と厚い部分ができるために、一つの小片2で水分が抜けて噛みごたえのある食感と、水分が抜けきらずしっとりとした柔らかい食感を味わえる。そして、実施形態に係るドライフルーツ1では、一つの小片2で異なる食感、特に硬さと弾力を味わえるために、噛んでいることを強く意識でき、小片2を長く噛み続けられる。
【0039】
また、図1に示すように、実施形態に係るドライフルーツ1は、それぞれの小片2に甘みが強い芯の周辺部分が含まれているために、甘さが足りない小片2をなくせる。
【0040】
このように、実施形態に係るドライフルーツ1は、甘さが足りない小片2をなくし、小片2を噛み応えのあるものにしているために、小片2を噛むほどにりんご本来の甘みを感じられる。そのため、実施形態に係るドライフルーツ1は、砂糖などの甘味料を使わなくてすむ。
【0041】
図2は、実施形態に係るドライフルーツの材料であるサンふじの特徴を説明する模式図である。図2の(a)は、サンふじの正面図であり、図4の(b)は、サンふじの断面図である。
【0042】
図2の(a)に示すように、実施形態に係るドライフルーツの材料は、ここでは長野県立科町産のサンふじAであり、完熟したサンふじの中から、蜜が少なく外観の悪いものを選んでいる。このように、ドライフルーツの材料に、完熟したサンふじの中から、蜜が少なく外観の悪いものを選ぶことで、生産したサンふじを、蜜が多く外観のよいものは贈答用に、蜜が多く外観の悪いものはジュースやシードルなどの飲料加工用に、蜜が少なく外観の良いものはご家庭用に分けて、全てを使い切ることができる。なお、サンふじとは、ふじという品種を、袋をかぶせないで栽培(無袋栽培ともいう。)したものをいい、袋をかぶせないで栽培したものは、袋をかぶせて栽培したものよりも甘くなる。
【0043】
図2の(b)に示すように、サンふじAは、りんごの中では甘みがあって酸味は少なめで、蜜Sが入りやすいのが大きな特徴である。最近は糖度や蜜の具合を計れるようになったために、糖度が高いものや蜜入りのものはブランド品として扱われることが多い。
【0044】
蜜Sは、ソルビトールという糖アルコールで、芯Cの周辺に入りやすい。ここで、蜜が入る仕組みについて簡単に説明すると、生長段階では、葉の光合成によって作られたソルビトールは実に運ばれ、実の中でりんごの本来の甘みである果糖やしょ糖などの糖に変換されるところ、りんごが完熟すると、ソルビトールは糖に変換されなくなり芯Cの周辺にたまる。このソルビトールが、浸透圧によって周囲の組織から水分を吸収することで、芯Cの周辺部が黄色く透き通り、蜜が入っているように見えるのである。そして、蜜入りは、これ以上糖に変換しなくてもよいほど完熟している状態なので、おいしいりんごの目安になるものである。
【0045】
図3は、実施形態に係るドライフルーツの製造方法を説明する模式図である。図3に示すように、実施形態に係るドライフルーツは、サンふじAを洗ってから(図3の(a))、りんごの皮Pをむく(図3の(b))。そして、りんごの実を八つ切りにしてから(図3の(c))、芯Cを取り除く(図3の(d))。
【0046】
図3に示すように、実施形態に係るドライフルーツは、皮Pをむいて芯Cを取り除いたりんご(図3の(d))を、小片に甘みが強い芯Cの周辺部分が含まれるように乱切りにしてから(図3の(e))、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させて作る。
【0047】
このように、実施形態に係るドライフルーツの製造方法は、果物を、ここではりんごを乱切りにしてから、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させて作るために、砂糖などの甘味料を使わないドライフルーツになる。
【0048】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態に係るドライフルーツでは、その材料を長野県立科町産のサンふじと説明したところ、他の産地のサンふじでも構わない。また、りんごの品種もふじ以外の品種でも構わない。
【0049】
また、実施形態に係るドライフルーツの製造方法では、砂糖などの甘味料を使わずに乾燥させて作ると説明したが、砂糖などの甘味料を使わなければ、どのような方法で乾燥させても構わない。
【0050】
この発明において、隅2aとは、小片2の端の部分をいう。隅がとがりとは、小片2の端の部分が細くなったり、薄くなったりしていることをいう。
【0051】
また、この発明において、芯の周辺部分とは、芯C(図3参照)を取り除いたときに、実の内側の部分をいう。皮に近い部分とは、皮P(図3参照)をむいたときに、実の外側の部分をいう。
【0052】
この発明において乱切りとは、材料を形は不規則に、大きさはほぼ同じに切ることをいう。
【符号の説明】
【0053】
1 ドライフルーツ(乾燥りんご)
2 小片
2a 隅
2b 中央
B 褐変
図1
図2
図3