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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163572
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221019BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/48 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068582
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐生
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA15
5H770CA02
5H770CA06
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770JA17Z
5H770JA19W
5H770JA19X
5H770PA02
5H770PA22
5H770PA42
5H770QA08
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な無停電電源装置を提供する。
【解決手段】無停電電源装置は、半導体素子を含み、電力変換するための複数の第1および第2の半導体モジュールと、複数の第1および第2の半導体モジュールを冷却するためのヒートシンクとを備える。ヒートシンクは、複数の第1および第2の半導体モジュールを載置するためのベース部と、ベース部に連結されたフィン部とを含む。複数の第1および第2の半導体モジュールは、フィン部の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の第1の半導体モジュールの長手方向は、フィン部の冷却風の流入口面側から流出口面側への流入方向に対して垂直となるように設けられる。複数の第2の半導体モジュールの長手方向は、フィン部の冷却風の流入方向に沿って平行となるように設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を含み、電力変換するための複数の第1および第2の半導体モジュールと、
前記複数の第1および第2の半導体モジュールを冷却するためのヒートシンクとを備え、
前記ヒートシンクは、
前記複数の第1および第2の半導体モジュールを載置するためのベース部と、
前記ベース部に連結されたフィン部とを含み、
前記複数の第1および第2の半導体モジュールは、前記フィン部の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられ、
前記複数の第1の半導体モジュールの長手方向は、前記フィン部の冷却風の前記流入口面側から前記流出口面側への流入方向に対して垂直となるように設けられ、
前記複数の第2の半導体モジュールの長手方向は、前記フィン部の冷却風の前記流入方向に沿って平行となるように設けられる、無停電電源装置。
【請求項2】
前記複数の第1の半導体モジュールは、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータであり、
前記複数の第2の半導体モジュールは、前記直流電圧を交流電圧に変換するインバータである、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記複数の第1および第2の半導体モジュールのそれぞれは、1つずつIGBT素子を含む、請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記複数の第1の半導体モジュールは、前記フィン部の冷却風の流入口面側に設けられ、
前記複数の第2の半導体モジュールは、前記フィン部の冷却風の流出口面側に設けられる、請求項1記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、無停電電源装置は、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、コンバータからの直流電圧を再度、交流電圧に変換して負荷へ出力するインバータとを備えている。
【0003】
コンバータ、インバータ等には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やダイオード等で構成される電力用半導体モジュールが用いられている。
【0004】
これらの電力用半導体モジュールは、無停電電源装置の動作に伴い、電流が流れることに起因する導通損と、スイッチングに起因するスイッチング損とにより発熱し、素子温度が上昇する。この電力用半導体モジュールの温度が定格温度を超えると、内部回路の劣化や破壊が発生する。
【0005】
そのため、電力用半導体モジュールをヒートシンクの一方の面に配設して、ヒートシンクの他方の面に冷却フィンを設け、この冷却フィンに冷却ファンからの送風をあて、電力用半導体素子の熱を放熱することが行われており、ヒートシンク上に配置する種々の方式が提案されている(特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5558401号
【特許文献2】特開2003-259658号公報
【特許文献3】特許第5715352号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この点で、ヒートシンク上における、コンバータおよびインバータ用の電力用半導体モジュールの配置の点でさらなる改善が必要である。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、小型化が可能な無停電電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある局面に従う無停電電源装置は、半導体素子を含み、電力変換するための複数の第1および第2の半導体モジュールと、複数の第1および第2の半導体モジュールを冷却するためのヒートシンクとを備える。ヒートシンクは、複数の第1および第2の半導体モジュールを載置するためのベース部と、ベース部に連結されたフィン部とを含む。複数の第1および第2の半導体モジュールは、フィン部の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の第1の半導体モジュールの長手方向は、フィン部の冷却風の流入口面側から流出口面側への流入方向に対して垂直となるように設けられる。複数の第2の半導体モジュールの長手方向は、フィン部の冷却風の流入方向に沿って平行となるように設けられる。
【0010】
複数の第1の半導体モジュールは、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータであり、複数の第2の半導体モジュールは、直流電圧を交流電圧に変換するインバータである。
【0011】
複数の第1および第2の半導体モジュールのそれぞれは、1つずつIGBT素子を含む。
【0012】
複数の第1の半導体モジュールは、フィン部の冷却風の流入口面側に設けられる。複数の第2の半導体モジュールは、フィン部の冷却風の流出口面側に設けられる。
【発明の効果】
【0013】
一実施例によれば、無停電電源装置は、小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に基づく無停電電源装置1の回路構成を説明する図である。
図2】実施形態に従うコンバータCNVと、インバータINVと、電解コンデンサ11とを含む電力変換ユニットの構成を説明する図である。
図3】比較例に基づくコンバータCNVおよびインバータINVのヒートシンク50の構成について説明する図である。
図4】実施形態に基づくコンバータCNVおよびインバータINVのヒートシンク60の構成について説明する図である。
図5】比較例に基づくヒートシンク50の冷却風の流れについて説明する図である。
図6】実施形態に基づくヒートシンク60の冷却風の流れについて説明する図である。
図7】実施形態および比較例に基づく冷却風によるヒートシンク50,60の温度変化について説明する図である。
図8】比較例に基づくヒートシンク50のベース部100の温度分布について説明する図である。
図9】実施形態に基づくヒートシンク60のベース部100の温度分布について説明する図である。
図10】別の実施形態に基づくコンバータCNVおよびインバータINVのヒートシンク70の構成について説明する図である。
図11】別の実施形態に基づくヒートシンク50のベース部100の温度分布について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、実施形態に基づく無停電電源装置1の回路構成を説明する図である。
図1に示されるように、無停電電源装置1は、交流入力電源2、バイパス入力電源3および負荷4に接続される。また、無停電電源装置1は、スイッチ14を介して蓄電池31とも接続される。
【0017】
交流入力電源2およびバイパス入力電源3は、無停電電源装置1に交流電力を供給する交流電源である。これらの入力電源の各々は、たとえば商用交流電源もしくは自家用発電機等によって構成される。
【0018】
入力交流電源の一例として単相単線(1φ1W)式を示す。ただし、入力交流電源の種類は単相単線式に限定されず、たとえば3相3線式の電源でもよいし、単相三線式の電源でもよい。
【0019】
無停電電源装置1は、バイパス入力端子T1と、交流入力端子T2と、蓄電池端子T3と、出力端子T4とを含む。
【0020】
バイパス入力端子T1は、バイパス入力電源3からの交流電力を受ける。交流入力端子T2は、交流入力電源2からの交流電力を受ける。蓄電池端子T3は、スイッチ14を介して蓄電池31の正極に接続されている。出力端子T4には、負荷4が接続される。
【0021】
無停電電源装置1は、電磁接触器(コンタクタ)5,15,17と、リアクトル7,9と、コンバータCNVと、電解コンデンサ11と、インバータINVと、コンデンサ8,10と、サイリスタスイッチ18と、制御装置30とを備える。
【0022】
このうち、コンタクタ5、リアクトル7,9、インバータINV、コンバータCNV、コンタクタ15は、交流入力端子T2と出力端子T4との間に直列に接続される。
【0023】
コンタクタ5およびリアクトル7は、交流入力端子T2とコンバータCNVとの間の通電経路に介挿接続される。コンデンサ8は、リアクトル7と並列にコンタクタ5と接続される。コンタクタ5は、制御装置30からの指令に応答して開放(オン)および閉成(オフ)する。コンデンサ8およびリアクトル7は、コンバータCNVに入出力される交流電力の高調波・高周波を除去するためのフィルタである。
【0024】
コンバータCNVは、交流入力電源2から供給される交流電力を直流電力に変換する。電解コンデンサ11は、コンバータCNVの出力電圧を平滑化する。インバータINVは、電解コンデンサ11によって平滑化された直流電力を所定電圧および所定周波数の交流電力に変換する。なお、コンバータCNVおよびインバータINVの各々は、制御装置30によって制御される。
【0025】
コンタクタ15およびリアクトル9は、出力端子T4とインバータINVとの間の通電経路に介挿接続される。コンデンサ10は、リアクトル9と並列にコンタクタ15と接続される。コンタクタ15は、制御装置30からの指令に応答して開放(オン)および閉成(オフ)する。コンタクタ15およびリアクトル9は、インバータINVに入出力される交流電力の高調波・高周波を除去するためのフィルタである。
【0026】
コンタクタ15は、出力端子T4から負荷4に出力される交流出力を、インバータINVの出力と、サイリスタスイッチ18およびコンタクタ17からなるバイパス回路の出力との間で切換えるためのものである。
【0027】
サイリスタスイッチ18およびコンタクタ17は、バイパス入力端子T1と出力端子T4との間に並列に接続される。サイリスタスイッチ18は、出力端子T4から負荷4に出力される交流出力を、インバータINVの出力からバイパス入力電源3からの交流電力に高速に切換えるためのスイッチである。コンタクタ17は、バイパス入力端子T1から出力端子T4までの通電経路に介挿接続される。コンタクタ17は、バイパス入力電源3からの交流電力を無停電電源装置から出力される交流出力として維持するためのものである。コンタクタ15、サイリスタスイッチ18およびコンタクタ17は、制御装置30の指令に応答して閉成(オン)および開放(オフ)する。
【0028】
蓄電池31は、交流入力電源2が交流電力を供給できないとき(たとえば停電時)において、インバータINVに直流電力を供給するための蓄電装置である。リアクトル12およびスイッチ14は、蓄電池31と直列に接続される。リアクトル12は、蓄電池31への突入電流防止のために設けられている。
【0029】
交流入力電源2から交流電力を供給されている通常時には、コンバータCNVによって生成された直流電力が蓄電池31に蓄えられるとともに、インバータINVによって交流電力に変換されて負荷4に供給される。一方、交流入力電源2からの交流電力の供給が停止した停電時には、コンバータCNVの運転が停止され、蓄電池31に蓄えられた直流電力がインバータINVによって交流電力に変換されて負荷4に供給される。したがって、無停電電源装置によれば、停電時でも蓄電池31に蓄えられた電力を用いて負荷4の運転を継続することができる。
【0030】
制御装置30は、通常時および停電時において、負荷4に供給する交流電力を発生させるために、コンバータCNVおよびインバータINVを制御するための制御装置であり、一例として、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。そして、制御装置30は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、コンバータCNV、インバータINV等を制御する。
【0031】
さらに、制御装置30は、このコンバータCNVおよびインバータINVの制御に加えて、コンタクタ5,15,17およびバイパス回路を制御する。なお、制御装置30の少なくとも一部は、電子回路等のハードウェアにより所定の数値・論理演算処理を実行するように構成されてもよい。
【0032】
図2は、実施形態に従うコンバータCNVと、インバータINVと、電解コンデンサ11とを含む電力変換ユニットの構成を説明する図である。
【0033】
図2を参照して、電力変換ユニットは、複数の半導体素子(IGBT)QA1~QA4,QA1#~QA4#と、コンデンサユニットCD1,CD2と、抵抗ユニットRCD1,RCD2と、母線L1,L2とを含む。各半導体素子(IGBT)の構成は同様である。
【0034】
コンバータCNVを構成する半導体素子(IGBT)QA1~QA4は、入力端子と共通に接続され、母線L1と母線L2との間にそれぞれ接続される。
【0035】
インバータINVを構成する複数の半導体素子(IGBT)QA#1~QA#4は、母線L1と母線L2の間に互いに並列に接続され、その出力と出力端子とが共通に接続される。
【0036】
コンデンサユニットCD1,CD2は、母線L1と母線L2との間に並列に接続される。
【0037】
抵抗ユニットRCD1,RCD2は、母線L1と母線L2との間に並列に接続される。
図3は、比較例に基づくコンバータCNVおよびインバータINVのヒートシンク50の構成について説明する図である。
【0038】
図3(A)に示されるように、ヒートシンク50のベース部100の複数の半導体素子(IGBT)QAのレイアウト構成が示されている。
【0039】
複数の半導体素子QAは、フィン部200の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の半導体素子QAは、手前側と奥側に配置された2段構成である。
【0040】
図3(B)に示されるヒートシンク50は、一例の構成であり、上部にベース部が設けられ、下部は櫛形のフィン部で構成されている。なお、これに限られず、格子形状のフィンや波形状のフィン等を用いるようにしてもよい。
【0041】
一例として冷却風を一方側の側面(流入口)から受けて反対側の側面(流出口)に排出することが可能なように複数の金属片が所定間隔毎に設けられている。当該フィン部を冷却風が通過することにより当該フィン部と連結されたベース部の温度を冷却することが可能である。
【0042】
複数の半導体素子QAの向きは全て同一方向を向いており、長手方向が冷却風の流入方向に沿って配置される。
【0043】
図4は、実施形態に基づくコンバータCNVおよびインバータINVのヒートシンク60の構成について説明する図である。
【0044】
図4(A)に示されるように、ヒートシンク60のベース部100の複数の半導体素子(IGBT)QAのレイアウト構成が示されている。
【0045】
図4(B)に示されるように、ヒートシンク50は、上部にベース部が設けられ、下部は櫛形のフィン部で構成されている。
【0046】
図3で説明したヒートシンク50と比較して、半導体素子QAのレイアウト構成が異なる。具体的には、複数の半導体素子QAは、フィン部200の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の半導体素子QAは、手前側と奥側に配置された2段構成である。複数の半導体素子QAの向きは全て同一方向ではなく、流入口面側(手前側)に配置された複数の半導体素子QAの長手方向は冷却風の流入方向に対して垂直に配置される。流出口面側(奥側)に配置された複数の半導体素子QAの長手方向は冷却風の流入方向に沿って平行に配置される。
【0047】
一例として、流入口面側(手前側)には、コンバータCNVを構成する半導体素子QA1~QA4を配置する。一方、流出口面側(奥側)には、インバータINVを構成する半導体素子QA#1~QA#4を配置する。なお、本例においては、コンバータCNVを構成する半導体素子QA1~QA4を流入口面側(手前側)に配置し、インバータINVを構成する半導体素子QA#1~QA#4を流出口面側(奥側)に配置する場合について説明するが、入れ替えて配置するようにしてもよい。この点で、半導体素子の発熱量を比較して、発熱量の高い半導体素子を流入口面側(手前側)に配置して、発熱量の低い半導体素子を流出口面側(奥側)に配置することが望ましい。
【0048】
図5は、比較例に基づくヒートシンク50の冷却風の流れについて説明する図である。
図5を参照して、複数の半導体素子QAは、フィン部200の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の半導体素子QAは、手前側と奥側に配置された2段構成である。ここで、奥側に配置された複数の半導体素子QAの断面線DAと、手前側に配置された複数の半導体素子QAの断面線DBとが示されている。
【0049】
冷却風は、ヒートシンク50の流入口面側から流入し、流出口面側から排出される。ベース部100の手前側に配置された半導体素子QAの熱は、冷却風によりフィン部200で冷却される。一方で、その熱を含む冷却風がベース部100の奥側に配置された半導体素子QAに対応するフィン部200を通過する。したがって、ベース部100の奥側に配置された半導体素子QAの熱は、温まった冷却風によりフィン部200で冷却される。
【0050】
図6は、実施形態に基づくヒートシンク60の冷却風の流れについて説明する図である。
【0051】
図6を参照して、複数の半導体素子QAは、フィン部200の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の半導体素子QAは、手前側と奥側に配置された2段構成である。ここで、奥側に配置された複数の半導体素子QAの断面線DCと、手前側に配置された複数の半導体素子QAの断面線DDとが示されている。
【0052】
冷却風は、ヒートシンク50の流入口面側から流入し、流出口面側から排出される。ベース部100の手前側に配置された半導体素子QAの熱は、冷却風によりフィン部200で冷却される。一方で、その熱を含む冷却風がベース部100の奥側に配置された半導体素子QAに対応するフィン部200を通過する。したがって、ベース部100の奥側に配置された半導体素子QAの熱は、温まった冷却風によりフィン部200で冷却される。
【0053】
ここで、ヒートシンク60の構成は、手前側に配置された複数の半導体素子QAの長手方向は冷却風の流入方向に対して垂直に配置される。一方で、流出口面側(奥側)に配置された複数の半導体素子QAの長手方向は冷却風の流入方向に沿って平行に配置される。
【0054】
それゆえ、ベース部100の手前側に配置された半導体素子QAに対するフィン部200を通過した冷却風は、全てベース部100の奥側に配置された半導体素子QAに対応するフィン部200を通過するのではなく、冷却風の流入方向に対して配置が重なる領域について温まった冷却風によりフィン部200で冷却される。
【0055】
図7は、実施形態および比較例に基づく冷却風によるヒートシンク50,60の温度変化について説明する図である。
【0056】
図7を参照して、縦軸は温度Tを示す。横軸は、ヒートシンクの位置を示す。本例においては、ヒートシンク左端部から右端部が示されている。
【0057】
当該図にしめされているように、比較例と実施形態とを比較すると、断面線DAと断面線DCとが同じ位置である。断面線DBと断面線DDとが同じ位置である。
【0058】
本例においては、断面線DA~DDの温度変化波形M1~M4がそれぞれ示されている。
【0059】
当該温度変化波形に示されるように、比較例よりも実施形態の方が局所的な最大の温度が低下している。すなわち、温度が局所的に集中することなく分散された状態となる。したがって、明らかに比較例よりも実施形態の方が冷却効果が高いことが分かる。
【0060】
図8は、比較例に基づくヒートシンク50のベース部100の温度分布について説明する図である。
【0061】
図9は、実施形態に基づくヒートシンク60のベース部100の温度分布について説明する図である。
【0062】
図8および図9を参照して、グレースケールで温度の高さが示されている。黒い方が温度が高い場合であり、白い方が温度が低い場合が示されている。
【0063】
比較例よりも実施形態の方が白い温度の領域が広く、明らかに冷却効果が高いことが分かる。
【0064】
したがって、ヒートシンクの放熱能力を十分に活用することが可能であり、ヒートシンク自体の大きさを縮小することが可能である。
【0065】
図10は、別の実施形態に基づくコンバータCNVおよびインバータINVのヒートシンク70の構成について説明する図である。
【0066】
図10(A)に示されるように、ヒートシンク70のベース部100の複数の半導体素子(IGBT)QAのレイアウト構成が示されている。
【0067】
図10(B)に示されるように、ヒートシンク70は、上部にベース部が設けられ、下部は櫛形のフィン部で構成されている。
【0068】
図3で説明したヒートシンク50と比較して、半導体素子QAのレイアウト構成が異なる。具体的には、複数の半導体素子QAは、フィン部200の冷却風の流入口面側および流出口面側にそれぞれ設けられる。複数の半導体素子QAは、手前側と奥側に配置された2段構成である。複数の半導体素子QAの向きは全て同一方向ではなく、流出口面側(奥側)に配置された複数の半導体素子QAの長手方向は冷却風の流入方向に対して垂直に配置される。流入口面側(手前側)に配置された複数の半導体素子QAの長手方向は冷却風の流入方向に沿って平行に配置される。
【0069】
図11は、別の実施形態に基づくヒートシンク50のベース部100の温度分布について説明する図である。
【0070】
図11を参照して、グレースケールで温度の高さが示されている。黒い方が温度が高い場合であり、白い方が温度が低い場合が示されている。
【0071】
図8の比較例の温度分布よりも別の実施形態の方が白い温度の領域が広く、明らかに冷却効果が高いことが分かる。
【0072】
したがって、当該ヒートシンク70の構成とすることにより比較例よりも効率良く冷却することが可能である。それゆえ、ヒートシンクの放熱能力を十分に活用することが可能であり、ヒートシンク自体の大きさを縮小することが可能である。
【0073】
なお、図4のヒートシンク60と図10のヒートシンク70とを比較すると、ヒートシンク60の方が冷却効果は高い。
【0074】
なお、上記においては、一例として、流入口面側(手前側)には、コンバータCNVを構成する半導体素子QA1~QA4を配置し、流出口面側(奥側)には、インバータINVを構成する半導体素子QA#1~QA#4を配置する構成について説明したがこれに限られず、流入口面側(手前側)には、インバータINVを構成する半導体素子QA#1~QA#4を配置し、流出口面側(奥側)には、コンバータCNVを構成する半導体素子QA1~QA4を配置する構成としてもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 無停電電源装置、2 交流入力電源、3 バイパス入力電源、4 負荷、5,15,17 コンタクタ、7,9,12 リアクトル、8,10 コンデンサ、11 電解コンデンサ、14 スイッチ、18 サイリスタスイッチ、30 制御装置、31 蓄電池、50~70 ヒートシンク、100 ベース部、200 フィン部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11