(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163573
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】プラスチックボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20221019BHJP
B65D 21/08 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068584
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 量哉
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA21
3E033BA26
3E033BB08
3E033CA16
3E033DA03
3E033DB01
3E033DC03
3E033EA04
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】小さな力でプラスチックボトルを高さ方向に圧縮するとともに、ププラスチックボトルを周方向均一に圧縮することが可能な、プラスチックボトルを提供する。
【解決手段】プラスチックボトル10は、口部11と、胴部20と、底部30とを備える。胴部20は、複数の大径部21a~21hと複数の小径部22a~22gとを含む蛇腹形状を有し、大径部21a~21hと小径部22a~22gとは、高さ方向に交互に配置されている。プラスチックボトル10が接地される水平面Sに対して平行な断面における複数の大径部21a~21hの中心点P1は、1本の中心軸CL上に存在し、水平面Sに対して水平な断面における複数の小径部22a~22gの中心点P2は、それぞれ中心軸CLからずれた位置に存在する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、複数の大径部と複数の小径部とを含む蛇腹形状を有し、
前記大径部と前記小径部とは、高さ方向に交互に配置され、
前記プラスチックボトルが接地される水平面に対して平行な断面における前記複数の大径部の中心点は、1本の中心軸上に存在し、
前記水平面に対して水平な断面における前記複数の小径部の中心点は、それぞれ前記中心軸からずれた位置に存在する、プラスチックボトル。
【請求項2】
高さ方向に互いに隣接する2つの前記小径部の中心点は、前記中心軸に対して周方向に互いに異なる方向にずれている、請求項1記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
前記複数の小径部の中心点は、前記中心軸に対して周方向に全て異なる方向にずれている、請求項2記載のプラスチックボトル。
【請求項4】
前記水平面に対して水平な断面における前記複数の小径部の中心点は、それぞれ前記中心軸から0.1mm以上1.0mm以下ずれた位置に存在する、請求項1乃至3のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記水平面に対して水平な断面における前記大径部及び前記小径部の形状は、それぞれ円形である、請求項1乃至4のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
前記水平面に対して水平な断面における前記大径部の形状は、正多角形であり、前記水平面に対して水平な断面における前記小径部の形状は、円形である、請求項1乃至4のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
【請求項7】
前記大径部を構成する前記正多角形の各頂点と、前記小径部との間に、それぞれ稜線が形成されている、請求項6記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
前記小径部と、前記小径部に対して前記口部側に位置する前記大径部との間に、第1円錐台面と第2円錐台面とが形成され、前記第2円錐台面は、前記第1円錐台面よりも前記口部側に位置し、
前記小径部と、前記小径部に対して前記底部側に位置する前記大径部との間に、第1湾曲面が形成され、
前記第1円錐台面と、前記水平面に平行な面とのなす角をαとし、
前記第2円錐台面と、前記水平面に平行な面とのなす角をβとし、
前記第1湾曲面のうち最も前記小径部側における接平面と、前記水平面に平行な面とのなす角をγとしたとき、
γ≧α>βとの関係が成り立つ、請求項1乃至7のいずれか一項記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
口部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルであって、
前記胴部は、複数の大径部と複数の小径部とを含む蛇腹形状を有し、
前記大径部と前記小径部とは、高さ方向に交互に配置され、
前記小径部と、前記小径部に対して前記口部側に位置する前記大径部との間に、第1円錐台面と第2円錐台面とが形成され、前記第2円錐台面は、前記第1円錐台面よりも前記口部側に位置し、
前記小径部と、前記小径部に対して前記底部側に位置する前記大径部との間に、第1湾曲面が形成され、
前記第1円錐台面と、前記プラスチックボトルが接地される水平面に平行な面とのなす角をαとし、
前記第2円錐台面と、前記水平面に平行な面とのなす角をβとし、
前記第1湾曲面のうち最も前記小径部側における接平面と、前記水平面に平行な面とのなす角をγとしたとき、
γ≧α>βとの関係が成り立つ、プラスチックボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラスチックボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食品等の内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが一般化してきており、このようなプラスチックボトルの中には、胴部が蛇腹状となっているものがある(例えば特許文献1、2参照)。このような、胴部が蛇腹状となっているプラスチックボトルは、プラスチックボトルを高さ方向の両側から押圧することにより、その高さを縮小することができる。また、縮小したプラスチックボトルを高さ方向の両側から引っ張ることにより、プラスチックボトルの高さを伸ばすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3169787号公報
【特許文献2】特開2007-055645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の蛇腹状のプラスチックボトルは、プラスチックボトルの高さを縮小するために大きな力が必要となる。また従来の蛇腹状のプラスチックボトルは、その高さを縮小するときに必ずしも真っ直ぐ(周方向均一)に縮まるとは限らず、縮小したプラスチックボトルが傾く(曲がる)おそれがある。
【0005】
本開示は、小さな力でプラスチックボトルを高さ方向に圧縮するとともに、プラスチックボトルを周方向均一に圧縮することが可能な、プラスチックボトルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態によるプラスチックボトルは、口部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルであって、前記胴部は、複数の大径部と複数の小径部とを含む蛇腹形状を有し、前記大径部と前記小径部とは、高さ方向に交互に配置され、前記プラスチックボトルが接地される水平面に対して平行な断面における前記複数の大径部の中心点は、1本の中心軸上に存在し、前記水平面に対して水平な断面における前記複数の小径部の中心点は、それぞれ前記中心軸からずれた位置に存在する。
【0007】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、高さ方向に互いに隣接する2つの前記小径部の中心点は、前記中心軸に対して周方向に互いに異なる方向にずれていても良い。
【0008】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記複数の小径部の中心点は、前記中心軸に対して周方向に全て異なる方向にずれていても良い。
【0009】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記水平面に対して水平な断面における前記複数の小径部の中心点は、それぞれ前記中心軸から0.1mm以上1.0mm以下ずれた位置に存在しても良い。
【0010】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記水平面に対して水平な断面における前記大径部及び前記小径部の形状は、それぞれ円形であっても良い。
【0011】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記水平面に対して水平な断面における前記大径部の形状は、正多角形であり、前記水平面に対して水平な断面における前記小径部の形状は、円形であっても良い。
【0012】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記大径部を構成する前記正多角形の各頂点と、前記小径部との間に、それぞれ稜線が形成されていても良い。
【0013】
本実施の形態によるプラスチックボトルにおいて、前記小径部と、前記小径部に対して前記口部側に位置する前記大径部との間に、第1円錐台面と第2円錐台面とが形成され、前記第2円錐台面は、前記第1円錐台面よりも前記口部側に位置し、前記小径部と、前記小径部に対して前記底部側に位置する前記大径部との間に、第1湾曲面が形成され、前記第1円錐台面と、前記水平面に平行な面とのなす角をαとし、前記第2円錐台面と、前記水平面に平行な面とのなす角をβとし、前記第1湾曲面のうち最も前記小径部側における接平面と、前記水平面に平行な面とのなす角をγとしたとき、γ≧α>βとの関係が成り立っても良い。
【0014】
本実施の形態によるプラスチックボトルは、口部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルであって、前記胴部は、複数の大径部と複数の小径部とを含む蛇腹形状を有し、前記大径部と前記小径部とは、高さ方向に交互に配置され、前記小径部と、前記小径部に対して前記口部側に位置する前記大径部との間に、第1円錐台面と第2円錐台面とが形成され、前記第2円錐台面は、前記第1円錐台面よりも前記口部側に位置し、前記小径部と、前記小径部に対して前記底部側に位置する前記大径部との間に、第1湾曲面が形成され、前記第1円錐台面と、前記プラスチックボトルが接地される水平面に平行な面とのなす角をαとし、前記第2円錐台面と、前記水平面に平行な面とのなす角をβとし、前記第1湾曲面のうち最も前記小径部側における接平面と、前記水平面に平行な面とのなす角をγとしたとき、γ≧α>βとの関係が成り立つ。
【発明の効果】
【0015】
本実施の形態によれば、小さな力でプラスチックボトルを高さ方向に圧縮するとともに、ププラスチックボトルを周方向均一に圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す斜視図。
【
図2】
図2は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す正面図。
【
図3】
図3は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す平面図。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す底面図。
【
図5】
図5は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す垂直断面図(
図3のV-V線断面図)。
【
図6】
図6(a)-(d)は、それぞれ小径部を示す水平断面図。
【
図7】
図7(a)-(c)は、それぞれ小径部を示す水平断面図。
【
図8】
図8は、プラスチックボトルを示す部分拡大垂直断面図(
図5のVIII部拡大図)。
【
図9】
図9は、プラスチックボトルを高さ方向に縮めた状態を示す垂直断面図。
【
図10】
図10は、変形例によるプラスチックボトルを示す斜視図。
【
図11】
図11は、変形例によるプラスチックボトルを示す正面図。
【
図12】
図12は、変形例によるプラスチックボトルを示す平面図。
【
図13】
図13は、変形例によるプラスチックボトルを示す底面図。
【
図14】
図14は、変形例によるプラスチックボトルを示す水平断面図(
図11のXIV-XIV線断面図)。
【
図15】
図15は、変形例によるプラスチックボトルを示す水平断面図(
図11のXV-XV線断面図)。
【
図16】
図16は、変形例によるプラスチックボトルを示す水平断面図(
図11のXVI-XVI線断面図)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。
図1乃至
図9は一実施の形態を示す図である。
【0018】
図1乃至
図9により本実施の形態によるプラスチックボトルの概要について説明する。なお、本明細書中、「上方」及び「下方」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(
図1及び
図2)における上方及び下方のことをいう。本明細書中、プラスチックボトル10の「中心軸CL」とは、プラスチックボトル10の口部11の内面を構成する円筒の中心軸をいう。「水平面S」とは、プラスチックボトル10を正立させた状態で接地させたときに接地面となる平面をいう。なお、プラスチックボトル10の中心軸CLは、水平面Sに対して直交する直線である。
【0019】
また本明細書中、「高さ方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CLに沿う方向をいい、「半径方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CLに対して直交する方向をいう。また、「周方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸CLを中心とする円の円周方向をいう。また、「X方向」とは、水平面S上の一方向をいい、「Y方向」とは、水平面S上でX方向に垂直な方向をいう。「Z方向」とは、X方向及びY方向の両方に垂直かつ上記中心軸CLに平行な方向をいう。
【0020】
図1乃至
図5に示すプラスチックボトル10は、射出成形により得られるプリフォームを準備し、このプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより作製される。
【0021】
図1乃至
図5に示すように、プラスチックボトル10は、口部11と、口部11の下方に位置する首部12と、首部12の下方に位置する肩部13と、肩部13の下方に位置する胴部20と、胴部20の下方に位置する底部30とを備えている。
【0022】
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14の下方に位置するフランジ部17とを有している。なお、プラスチックボトル10に内容液等の内容物が充填され、口部11にキャップが螺着されることにより、内容物入り容器が得られる。内容物としては、飲料のほか、醤油等の調味料、塩等の粉末状の食品、コーヒー豆等の固形物、又は、液体洗剤等の非食品であっても良い。
【0023】
首部12は、フランジ部17と肩部13との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部13は、首部12と胴部20との間に位置しており、首部12側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0024】
胴部20は、全体として略円筒形の蛇腹形状を有しており、複数の大径部21a~21hと、複数の小径部22a~22gとを含む。本実施の形態において、胴部20には、8つの大径部21a~21hと、7つの小径部22a~22gとが形成されている。なお、大径部21a~21hと小径部22a~22gの数は、それぞれ2以上15以下としても良い。
【0025】
大径部21a~21hと小径部22a~22gとは、高さ方向に沿って交互に配置されている。具体的には、胴部20には、肩部13側から底部30側に向けて、第1大径部21a、第1小径部22a、第2大径部21b、第2小径部22b、第3大径部21c、第3小径部22c、第4大径部21d、第4小径部22d、第5大径部21e、第5小径部22e、第6大径部21f、第6小径部22f、第7大径部21g、第7小径部22g、第8大径部21hがこの順に形成されている。なお、本明細書において、第1大径部21a、第2大径部21b、第3大径部21c、第4大径部21d、第5大径部21e、第6大径部21f、第7大径部21g、第8大径部21hをまとめて、単に大径部21a~21hともいう。また第1小径部22a、第2小径部22b、第3小径部22c、第4小径部22d、第5小径部22e、第6小径部22f、第7小径部22gをまとめて、単に小径部22a~22gともいう。
【0026】
水平面Sに対して平行な断面(以下、水平断面ともいう)において、大径部21a~21hの径は、小径部22a~22gの径よりも大きい。ここで「径」とは、水平断面において大径部21a~21h又は小径部22a~22gの両側から接する2本の平行線の間の最長距離として定義される。本実施の形態において、大径部21a~21h及び小径部22a~22gは、それぞれ円筒から構成され、その水平断面はそれぞれ円である。このため、大径部21a~21h及び小径部22a~22gの径とは、それぞれ大径部21a~21h及び小径部22a~22gの直径に対応する。しかしながら、大径部21a~21h及び小径部22a~22gの水平断面は必ずしも円でなくても良く、例えば多角形としても良い。
【0027】
複数の大径部21a~21hの水平断面は、全て互いに同一形状をもつ。すなわち水平断面において、複数の大径部21a~21hを構成する円の直径D1(
図5参照)は全て互いに同一である。この場合、上記直径D1は、例えば30mm以上100mm以下としても良く、50mm以上80mm以下とすることが好ましく、一例として65mmとすることができる。また、水平断面における複数の大径部21a~21hの中心点P1(
図5参照)は、いずれも1本の直線(中心軸CL)上に存在する。言い換えれば、複数の大径部21a~21hは、全て中心軸CLを中心とする1つの仮想円筒面上に存在する。
【0028】
複数の大径部21a~21hの高さ(Z方向の長さ)H1(
図2参照)は、互いに同一であっても良く、互いに異なっていても良い。この場合、6つの大径部21b~21gの高さH1は、互いに同一であり、例えば0.4mm以上18.0mm以下としても良く、0.8mm以上5.0mm以下とすることが好ましい。一方、肩部13側の第1大径部21aの高さH1は、大径部21b~21gの高さH1よりも高く、例えば0.7mm以上20.0mm以下としても良く、1.0mm以上10.0mm以下とすることが好ましい。底部30側の第8大径部21hの高さH1は、第1大径部21aの高さH1よりも高く、例えば5mm以上30mm以下としても良く、7mm以上20mm以下とすることが好ましい。
【0029】
複数の大径部21a~21h同士の間隔(高さ方向の距離)G1(
図2参照)は、互いに同一であっても良く、互いに異なっていても良い。この場合、複数の大径部21a~21h同士の間隔G1は、全て互いに同一であり、例えば7mm以上100mm以下としても良く、10mm以上30mm以下とすることが好ましい。
【0030】
複数の小径部22a~22gの水平断面は、全て互いに同一形状をもつ。すなわち水平断面において、複数の小径部22a~22gを構成する円の直径D2(
図5参照)は全て互いに同一である。この場合、上記直径D2は、例えば20mm以上80mm以下としても良く、30mm以上60mm以下とすることが好ましく、一例として48mmとすることができる。小径部22a~22gを構成する円の直径D2は、大径部21a~21hを構成する円の直径D1の、50%以上95%以下としても良く、65%以上85%以下とすることが好ましく、一例として74%とすることができる。
【0031】
また、水平断面における複数の小径部22a~22gの中心点P2は、いずれも中心軸CL上になく、中心軸CLから半径方向にずれた位置に存在する。なおこれに限らず、一部の小径部22a~22gの中心点P2が、中心軸CL上に位置していても良い。また、互いに高さ方向に隣接する2つの小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して周方向に互いに異なる方向にずれていることが好ましい。とりわけ、複数の小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して周方向に少なくとも3方向に分かれて配置されていることが好ましい。さらに、複数の小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して周方向に全て異なる方向にずれていても良い。
【0032】
図6(a)-(d)及び
図7(a)-(c)は、各小径部22a~22gの水平断面図である。具体的には、
図6(a)は、第1小径部22aの水平断面図(
図2のVIA-VIA線断面図)である。
図6(b)は、第2小径部22bの水平断面図(
図2のVIB-VIB線断面図)である。
図6(c)は、第3小径部22cの水平断面図(
図2のVIC-VIC線断面図)である。
図6(d)は、第4小径部22dの水平断面図(
図2のVID-VID線断面図)である。
図7(a)は、第5小径部22eの水平断面図(
図2のVIIA-VIIA線断面図)である。
図7(b)は、第6小径部22fの水平断面図(
図2のVIIB-VIIB線断面図)である。
図7(c)は、第7小径部22gの水平断面図(
図2のVIIC-VIIC線断面図)である。
【0033】
図6(a)-(d)及び
図7(a)-(c)に示すように、各小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して半径方向にずれている。各小径部22a~22gの中心点P2は、それぞれ中心軸CLから半径方向に距離δだけずれた位置に存在する。この距離δは、0.1mm以上1.5mm以下としても良く、0.3mm以上0.7mm以下とすることが好ましく、一例として0.5mmとすることができる。また中心点P2が中心軸CLに対してずれる距離δは、各小径部22a~22g同士の間で互いに同一としても良く、互いに異なっても良い。
【0034】
また、
図6(a)-(d)及び
図7(a)-(c)に示す水平断面において、中心軸CLと各小径部22a~22gの中心点P2とを通る直線をL1とする。このとき、直線L1とX方向に延びる軸Lxとのなす角θ1は、各小径部22a~22g同士の間で互いに異なっていても良い。角θ1は、平面視で上記軸Lxから反時計回り方向に測定した角度である。なお、上述したように、少なくとも互いに高さ方向に隣接する2つの小径部22a~22g同士の間で角θ1が異なることが好ましい。また、複数の小径部22a~22gの間で少なくとも3種類の角θ1が存在することが好ましい。さらに、複数の小径部22a~22gの間で角θ1が全て異なっていても良い。一例として、
図6(a)-(d)及び
図7(a)-(c)において、それぞれの角θ1は、157.5°、311.7°、105.9°、260.3°、54.5°、208.9°、3.1°となっている。
【0035】
図6(a)-(d)及び
図7(a)-(c)に示す水平断面において、各小径部22a~22gと大径部21a~21hとの間隔は、周方向に不均一となっている。具体的には、各小径部22a~22gと大径部21a~21hとの間隔は、直線L1上かつ中心軸CLに対して中心点P2の反対側に位置する領域A1が最も広く、直線L1上かつ中心軸CLに対して中心点P2側に位置する領域A2が最も狭い。これにより、プラスチックボトル10を高さ方向に圧縮させたとき、間隔が広い領域A1から第1円錐台面23a(後述)と第2円錐台面23b(後述)が変形し始め、その後、間隔が狭い領域A2が変形していく。このため、各小径部22a~22gの中心点P2が中心軸CLに一致する場合よりも、小さな力でプラスチックボトル10を圧縮することができる。また各小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して周方向に互いに異なる方向にずれている。このため、プラスチックボトル10を高さ方向に圧縮するときに特定の方向に傾く(曲がる)ことを抑制し、プラスチックボトル10を周方向均一に圧縮することができる。
【0036】
図2に示すように、各小径部22a~22gの高さH2は、周方向に不均一となっている。各小径部22a~22gの高さH2は、間隔が狭い領域A2が最も高く、間隔が広い領域A1が最も低い。この場合、各小径部22a~22gの高さH2の最大値(間隔が狭い領域A2における高さ)を例えば0.5mm以上2.6mm以下としても良く、1.0mm以上1.6mm以下とすることが好ましい。複数の小径部22a~22g同士の間隔(高さ方向の距離)G2は、互いに同一であっても良く、互いに異なっていても良い。この場合、複数の小径部22a~22g同士の間隔G2は、全て互いに同一であり、例えば7mm以上100mm以下としても良く、10mm以上30mm以下とすることが好ましい。
【0037】
図5に示すように、各小径部22a~22gと、当該小径部22a~22gに対して口部11側(Z方向プラス側)に位置する大径部21a~21gとの間に、それぞれ第1円錐台面23aと第2円錐台面23bとが形成されている。第2円錐台面23bは、第1円錐台面23aよりも口部11側(Z方向プラス側)に位置している。第1円錐台面23aは、底部30側から口部11側に向けて拡径する円錐台面(円錐台の側面を構成する面)からなる。第1円錐台面23aは、各小径部22a~22gから高さ方向に連続的に形成されている。第2円錐台面23bは、底部30側から口部11側に向けて拡径する円錐台面(円錐台の側面を構成する面)からなる。第2円錐台面23bは、第1円錐台面23aから高さ方向に連続的に形成されている。さらに、第2円錐台面23bの口部11側(Z方向プラス側)には、第2湾曲面23cが形成されている。第2湾曲面23cは、底部30側から口部11側に向けて拡径する湾曲面からなる。第2湾曲面23cは、第2円錐台面23bから高さ方向に連続的に形成されている。大径部21a~21gは、第2湾曲面23cから高さ方向に連続的に形成されている。
【0038】
また、各小径部22a~22gと、当該小径部22a~22gに対して底部30側(Z方向マイナス側)に位置する大径部21b~21hとの間に、第1湾曲面24aが形成されている。第1湾曲面24aは、口部11側から底部30側に向けて拡径するとともに半径方向外側に向けて凸となる湾曲面からなる。第1湾曲面24aは、各小径部22a~22gから高さ方向に連続的に形成されている。また、第1湾曲面24aの底部30側(Z方向マイナス側)に、第3湾曲面24bが形成されている。第3湾曲面24bは、口部11側から底部30側に向けて拡径する湾曲面からなる。第3湾曲面24bは、第2湾曲面23cから高さ方向に連続的に形成されている。大径部21b~21hは、第3湾曲面24bから高さ方向に連続的に形成されている。
【0039】
図8は、第2大径部21b、第2小径部22b及び第3大径部21cの周辺を示す拡大垂直断面図である。なお、
図8に示す構成は、他の小径部22a、22c~22gと、当該小径部22a、22c~22gに隣接する大径部21a~21hとの間でも同様に当てはまる。
【0040】
図8に示すように、第1円錐台面23aと、水平面Sに平行な面Saとのなす角をαとし、第2円錐台面23bと、水平面Sに平行な面Saとのなす角をβとする。また第1湾曲面24aのうち最も第2小径部22b側における接平面Stと、水平面Sに平行な面Saとのなす角をγとする。このとき、γ≧α>βとの関係が成り立つ。具体的には、角αは、20°以上50°以下としても良く、25°以上35°以下とすることが好ましく、一例として30°とすることができる。角βは、7°以上30°以下としても良く、10°以上20°以下とすることが好ましく、一例として15°とすることができる。角γは、25°以上55°以下としても良く、25°以上40°以下とすることが好ましく、一例として32°とすることができる。
【0041】
これにより、プラスチックボトル10を高さ方向に圧縮させる力が働いたとき、胴部20は、第1湾曲面24aの形状をほぼ維持したまま、第1円錐台面23aと第2円錐台面23bとが変形する。このとき、第2大径部21bに対して第2小径部22bが上方に向くように折れ曲がり、プラスチックボトル10全体の高さが低くなる(
図9参照)。この場合、第2大径部21bに対して第2小径部22bが上方に向くように折れ曲がるため、プラスチックボトル10を高さ方向に縮めた後、自然に復元しにくい。なお、プラスチックボトル10を高さ方向に積極的に伸ばした場合には、プラスチックボトル10を元の長さに復元することが可能である。
【0042】
第1円錐台面23aの高さH3(Z方向の長さ)は、1.5mm以上6mm以下としても良く、2mm以上4mm以下とすることが好ましい。第2円錐台面23bの高さH4は、0.4mm以上2mm以下としても良く、0.6mm以上1.2mm以下とすることが好ましい。なお、第2円錐台面23bの高さH4は、第1円錐台面23aの高さH3よりも低いことが好ましい。第1湾曲面24aの高さH5は、3.5mm以上15mm以下としても良く、5mm以上10mm以下とすることが好ましい。なお、第1湾曲面24aの高さH5は、第1円錐台面23aの高さH3と第2円錐台面23bの高さH4との合計よりも高いことが好ましい。また、第1湾曲面24aの曲率半径Rは、20mm以上80mm以下としても良く、30mm以上50mm以下とすることが好ましく、一例として40mmとすることができる。第2湾曲面23cの高さH6は、0.8mm以上4mm以下としても良く、1.5mm以上2.5mm以下とすることが好ましい。第3湾曲面24bの高さH7は、0.6mm以上3mm以下としても良く、1mm以上2mm以下とすることが好ましい。
【0043】
図4に示すように、底部30は、底部30の中央に位置する中央部31と、底部30の周縁に位置する周縁部33と、中央部31と周縁部33との間に位置する円環状の平坦な接地部32とを有している。中央部31、接地部32及び周縁部33には、それぞれ半径方向に延びる複数の半径方向リブ38が設けられている。
【0044】
中央部31は、中央凹部34と、中央凹部34の周囲に位置する環状傾斜部35とを有している。
【0045】
中央凹部34は、上方(プラスチックボトル10の内方)に向けて凹んでいる。中央凹部34は、全体として略円錐台形状を有しており、凹部天面36と、凹部天面36の周囲に位置する凹部傾斜面37とを有している。凹部傾斜面37は、中央凹部34を構成する円錐台の側面の形状を有している。この凹部傾斜面37は、水平面Sに対して傾斜している。
【0046】
環状傾斜部35は、中央凹部34の半径方向外側かつ接地部32の半径方向内側に位置している。また環状傾斜部35の上端は凹部傾斜面37の下端に接続され、環状傾斜部35の下端は接地部32の半径方向内端に接続されている。環状傾斜部35は、全体として円錐台の側面の形状を有している。
【0047】
接地部32は、環状傾斜部35の半径方向外側かつ周縁部33の半径方向内側に位置している。また接地部32の半径方向内端は環状傾斜部35に接続され、接地部32の半径方向外端は周縁部33に接続されている。この接地部32は、プラスチックボトル10を正立させた際、水平面Sに接触する部分である(
図5参照)。接地部32は、底面方向から見て、周方向に途切れる部分のない円環形状を有している(
図4参照)。
【0048】
周縁部33は、接地部32の半径方向外側に位置している。周縁部33の半径方向内端は接地部32の半径方向外側に接続され、周縁部33の半径方向外端は胴部20の下端に接続されている。周縁部33は、底面方向から見て、円環形状を有している。周縁部33は、半径方向内側から半径方向外側に向かうにつれて、下方(接地部32側)から上方(胴部20側)に向けて上昇している。また、底部30の垂直断面(中心軸CLを通る断面)において、周縁部33は、半径方向内側から半径方向外側に向かうにつれて、徐々に水平面Sに対する角度が大きくなるように湾曲している(
図5参照)。なお、周縁部33には、半径方向リブ38を除いて溝等が形成されることなく、平らな曲面から構成されている。
【0049】
底部30には、複数の半径方向リブ38が放射状に設けられている。具体的には、8本の半径方向リブ38が周方向に等間隔(45°ずつ等配)に配置されている。各半径方向リブ38は、環状傾斜部35、接地部32及び周縁部33を半径方向に横切るように連続的に形成されている。各半径方向リブ38は、それぞれ溝状に形成されており、幅方向に垂直な断面において略U字形状又は略コの字形状を有している。
【0050】
ところで、このようなプラスチックボトル10のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。例えばプラスチックボトル10の満注容量は、200ml以上2000ml以下としても良く、300ml以上650ml以下とすることが好ましく、350ml以上550ml以下とすることがさらに好ましい。プラスチックボトル10の全体の高さLa(
図5参照)は、100mm以上400mm以下としても良く、150mm以上250mm以下とすることが好ましく、一例として181mmとすることができる。
【0051】
また底部30の接地部32における肉厚は、これに限定されるものではないが、例えば0.09mm以上0.40mm以下とすることができる。接地部32の肉厚を0.40mm以下としたことにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。一方、接地部32の肉厚を0.09mm以上としたことにより、プラスチックボトル10を自動販売機に収容したときや、プラスチックボトル10が落下したときに、底部30が飛び出して永久変形することを抑止することができる。
【0052】
さらに、プラスチックボトル10の重量についても、これに限定されるものではないが、その容量が2000ml以下のプラスチックボトル10に関しては10g以上38g以下としても良く、14g以上28g以下とすることが好ましく、一例として18gとすることができる。このように、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。
【0053】
また、プラスチックボトル10は、合成樹脂材料を射出成形して作製したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォームすなわちプラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)等を使用することができる。また、プラスチックボトル10は、2層のポリエチレンテレフタレート層によってバリア材料層を挟んだ多層構造としてもよい。例えばPET/MXD6/PETという多層構造としたプリフォームを作製し、これを二軸延伸ブロー成形することにより多層容器であるプラスチックボトル10を作製してもよい。プラスチックボトル10の材料としては、使用済みのプラスチック製品を選別、粉砕、洗浄することによって作製された、リサイクルしたプラスチックを用いても良い。なお、プラスチックボトル10は、二軸延伸ブロー成形のほか、ダイレクトブロー成形等の各種成形法によって作製されても良い。
【0054】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0055】
まず、空のプラスチックボトル10を準備し、このプラスチックボトル10内に飲料等の内容液を充填する。このとき、プラスチックボトル10内の殺菌のために、内容液を例えば60℃以上95℃以下の高温の状態でプラスチックボトル10に充填する。続いて、口部11を図示しないキャップにより閉栓する。その後、プラスチックボトル10を常温(例えば20℃以上30℃以下)又はそれよりも低温(例えば1℃以上10℃以下)に冷却すると、内容液の体積が小さくなる。さらにヘッドスペース(空寸部)中に存在する、内容液が気化した気体が液化することによっても、ヘッドスペースの体積が小さくなる。これによりプラスチックボトル10内が減圧する。
【0056】
本実施の形態によれば、プラスチックボトル10内の減圧に対応して、プラスチックボトル10は高さ方向に縮む(
図9参照)。すなわち、高さ方向に隣接する大径部21a~21h同士の距離と、高さ方向に隣接する小径部22a~22g同士の距離とがそれぞれ短くなり、この結果、蛇腹状の胴部20が高さ方向に縮む。これにより、プラスチックボトル10内が減圧した場合であっても、プラスチックボトル10内の圧力を外気の圧力に近づけることができる。このため、胴部20が高さ方向に縮むこと以外に、プラスチックボトル10が想定外の変形をしないようにすることができる。
【0057】
また本実施の形態によれば、第1円錐台面23aと、水平面Sに平行な面Saとのなす角をαとし、第2円錐台面23bと、水平面Sに平行な面Saとのなす角をβとし、第1湾曲面24aのうち最も小径部側における接平面Stと、水平面Sに平行な面Saとのなす角をγとしたとき、γ≧α>βとの関係が成り立つ。これにより、図示しないキャップを開栓し、内用液をある程度排出した後、プラスチックボトル10を高さ方向に圧縮したとき、第1湾曲面24aの形状は大きく変化することなく、第1円錐台面23aと第2円錐台面23bとが変形し、第2円錐台面23bが第1円錐台面23aよりも上方にくるように折れ曲がる(
図9参照)。この結果、高さ方向に隣接する大径部21a~21h同士の距離と、高さ方向に隣接する小径部22a~22g同士の距離とがそれぞれ短くなり、プラスチックボトル10の全体の高さが低くなる。
図9のようにプラスチックボトル10を高さ方向に最大限圧縮したとき、プラスチックボトル10の全体の高さLbは、圧縮前のプラスチックボトル10の全体の高さLa(
図5参照)の30%以上80%以下となっても良く、30%以上70%以下となることが好ましい。
【0058】
なお、第1円錐台面23aと第2円錐台面23bとが変形して第2湾曲面23cよりも上方に折れ曲がるため、プラスチックボトル10を高さ方向に縮めた後、プラスチックボトル10の形状は自然に元に戻りにくい。一方、プラスチックボトル10を積極的に高さ方向に引き伸ばすことにより、プラスチックボトル10を元の形状に容易に復元することができる。
【0059】
また本実施の形態によれば、水平断面における複数の小径部22a~22gの中心点P2は、それぞれ中心軸CLからずれた位置に存在する。すなわち小径部22a~22gと大径部21a~21hとの間隔が狭い領域A2と、小径部22a~22gと大径部21a~21hとの間隔が広い領域A1とが存在する(
図6(a)-(d)及び
図7(a)-(c)参照)。このため、プラスチックボトル10に高さ方向への圧縮力が加わったとき、間隔が広い領域A1に位置する第1円錐台面23a及び第2円錐台面23bから変形が開始し、その後、間隔が狭い領域A2に位置する第1円錐台面23a及び第2円錐台面23bが変形していく。一方、仮に小径部22a~22gと大径部21a~21hとの間隔を周方向均一にした場合、圧縮力が加わる箇所が周方向に分散してしまう。この場合、圧縮力を大きくしないと第1円錐台面23a及び第2円錐台面23bが変形しない。このため、本実施の形態によれば、小径部22a~22gと大径部21a~21hとの間隔を周方向均一にした場合よりも、小さな力でプラスチックボトル10を圧縮することができる。
【0060】
また本実施の形態によれば、互いに隣接する2つの小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して周方向に互いに異なる方向にずれている。これにより、プラスチックボトル10を圧縮するときに胴部20が特定の方向に傾く(曲がる)ことを抑制することができ、胴部20を周方向均一に圧縮することができる。さらに本実施の形態によれば、複数の小径部22a~22gの中心点P2は、中心軸CLに対して周方向に全て異なる方向にずれているので、胴部20を周方向により均一に圧縮することができる。
【0061】
なお、上記においては、内容液を高温充填した後、プラスチックボトル10に高さ方向に圧縮する力が働く場合を例にとって説明した。しかしながら、プラスチックボトル10に高さ方向に圧縮する場面は上記に限られるものではない。
【0062】
例えば内容液を充填する前に、プラスチックボトル10を予め高さ方向に圧縮しておき、内容液を充填する直前にプラスチックボトル10を高さ方向に引き延ばしても良い。この場合、高さ方向に圧縮した状態でプラスチックボトル10を輸送及び保管することができるので、プラスチックボトル10の輸送及び保管に必要なスペースを削減し、コストを低減することができる。
【0063】
また、例えば予めプラスチックボトル10を圧縮した状態で、濃縮した飲料、めんつゆ等の内容液又は粉体等の内容物を充填して販売しても良い。この場合、使用時に消費者がプラスチックボトル10を高さ方向に引き延ばし、プラスチックボトル10内の所定位置まで水を注入して内容液を希釈、又は粉体等を溶解しても良い。このように、消費者が使用開始するまでプラスチックボトル10を小さく圧縮しておくことで、プラスチックボトル10を輸送及び保管するスペースを削減することができる。また、プラスチックボトル10を用いてそのまま内容液を希釈又は溶解できるため、希釈又は溶解後に内容液を他の容器に移し替える必要も生じない。
【0064】
また、例えば消費者が内容液を使用した量に応じてプラスチックボトル10を縮め、ヘッドスペースを小さくすることで、使用中のプラスチックボトル10を保管するスペースを削減することができる。とりわけ、例えばプラスチックボトル10の内容液として、緑茶等の酸化しやすい飲料を入れた場合、酸化を抑えるためヘッドスペースの体積を少なくすることが望ましい。このため、内容液を使用して排出した分だけプラスチックボトル10を縮め、ヘッドスペースを小さくすることで、内容液の酸化劣化を抑えることができる。
【0065】
また、例えば内容液を消費した後、プラスチックボトル10を廃棄するために、消費者がプラスチックボトル10を圧縮することも考えられる。この場合においても、小さな力でプラスチックボトル10を圧縮できるとともに、胴部20を周方向に均一に圧縮することができ、廃棄するプラスチックボトル10を保管するスペースを削減することができる。
【0066】
なおプラスチックボトル10に内用液を充填する方法としては、内用液を高温で充填する方法の他に、例えば過酸化水素水等の薬剤でプラスチックボトル10内を殺菌し、無菌空間で内用液を充填する無菌充填方法などを採用することもできる。
【0067】
(変形例)
次に、プラスチックボトルの変形例について説明する。
【0068】
図10乃至
図16は、プラスチックボトル10の一変形例を示している。
図10乃至
図16に示す変形例は、主に、水平断面における大径部21a~21hの形状が正多角形とである点が異なるものであり、他の構成は上述した
図1乃至
図9に示す実施の形態と略同一である。
図10乃至
図16において、
図1乃至
図9に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図10乃至
図16に示すように、本変形例によるプラスチックボトル10において、胴部20は全体として略正十二角径の筒形の蛇腹形状を有している。胴部20は、複数の大径部21a~21hと、複数の小径部22a~22gとを含む。本実施の形態において、胴部20には、8つの大径部21a~21hと、7つの小径部22a~22gとが形成されている。
【0070】
本変形例において、水平断面における大径部21a~21hの形状は、それぞれ正多角形であり、より具体的には正十二角形である。大径部21a~21hの水平断面形状は、正n角形としても良く、ここで自然数nは、3以上32以下としても良い。また、水平断面における小径部22a~22gの形状は、
図1乃至
図9に示す形態と同様に、円形となっている。なお、これに限らず、水平断面における小径部22a~22gの形状を正多角形としても良い。
【0071】
また大径部21a~21hを構成する正多角形の各頂点Vtと、小径部22a~22gとの間に、それぞれ稜線24cが形成されている。具体的には、各大径部21a~21hはそれぞれ正十二角形の12個の頂点Vtを有し、各頂点Vtと小径部22a~22gとが稜線24cによってそれぞれ接続されている。各第1湾曲面24a上には12本の稜線24cが形成され、12本の稜線24cは、水平断面において放射状に配置されている。周方向に互いに隣接する稜線24cと稜線24cとの間には、それぞれ湾曲パネル24dが配置される。この場合、12枚の湾曲パネル24dと、12本の稜線24cとによって、それぞれの第1湾曲面24aが構成されている。
【0072】
本変形例によれば、プラスチックボトル10の大径部21a~21hが正多角形であることにより、外力に対する強度を向上することができる。このため、プラスチックボトル10の胴部20を手で把持したときに胴部20がつぶれにくくなる。また、プラスチックボトル10の小径部22a~22gの下側には複数(12本)の稜線24cが形成されている。これにより、プラスチックボトル10を高さ方向に圧縮させる力が働いたとき、第1湾曲面24aの形状の変形より効果的に抑制しつつ、第1円錐台面23aと第2円錐台面23bとを変形させることができる。
【0073】
本開示は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 プラスチックボトル
11 口部
12 首部
13 肩部
14 ねじ部
17 フランジ部
20 胴部
21a~21h 大径部
22a~22g 小径部
23a 第1円錐台面
23b 第2円錐台面
23c 第2湾曲面
24a 第1湾曲面
24b 第3湾曲面
30 底部