(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163587
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】歩行玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 11/20 20060101AFI20221019BHJP
A63H 31/08 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
A63H11/20
A63H31/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068603
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】599064214
【氏名又は名称】株式会社セガトイズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 弥代
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA02
2C150DA05
2C150DF04
2C150DG01
2C150EB01
2C150EC03
2C150EC15
2C150ED13
2C150ED42
2C150FA04
(57)【要約】
【課題】ペットが持っている可愛らしい仕草を演出させることが可能であって、本来子供が疑似ペットに望む親しさや癒しの対象としての動作を行わせることのできる歩行玩具を提供する。
【解決手段】頭部110及び胴部120を有する四足歩行玩具において、左右の後脚部151は、左右のリンクバー160における駆動突出部と係合する駆動領域と遊動領域とを備えるカム穴を有し、旋回制御部230により右側のリンク機構における駆動突出部を右側の後脚部151における遊動領域に位置させて右側の後脚部の動作を停止させると右旋回歩行を行い、左側のリンク機構における駆動突出部を左側の後脚部151における遊動領域に位置させて後脚部の動作を停止させると左旋回歩行を行うことを歩行玩具とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部及び胴部を有すると共に、胴部から下方に伸びる左右の前脚部及び左右の後脚部を有し、左右の前記前脚部は交互に前後移動すると共に持ち上げられて前方に移動し、且つ降下して後方に移動するものであり、前記後脚部は夫々左右の前記前脚部が前方移動するとき、リンクバーの前端が前記前脚部に結合されるリンク機構により後方に足先部を移動させるようにして歩行する四足歩行玩具において、
左右の前記後脚部は、左右の前記リンク機構の前記リンクバーにおける駆動突出部と係合するカム穴を有し、該カム穴は駆動領域と遊動領域とを備えて前記駆動領域に前記駆動突出部が位置するときに前記前脚部の動作と連動し、前記リンク機構は前記駆動突出部を前記駆動領域又は前記遊動領域に位置させる駆動リンク部材をも有し、旋回制御部により前記駆動リンク部材を制御して前記駆動突出部を前記駆動領域又は前記遊動領域に位置させるものとし、右側の前記駆動リンク部材を作動させて右側の前記リンク機構における前記駆動突出部を右側の前記後脚部における前記遊動領域に位置させたとき、右側の前記後脚部の動作が停止して右旋回歩行を行い、左側の前記駆動リンク部材を作動させて左側の前記リンク機構における前記駆動突出部を左側の前記後脚部における前記遊動領域に位置させたとき、左側の前記後脚部の動作が停止して左旋回歩行を行うことを特徴とする歩行玩具。
【請求項2】
前記カム穴は、縦長穴形状の前記駆動領域と該駆動領域の上端から前方に伸びる横長穴形状の前記遊動領域とを有することを特徴とする請求項1に記載した歩行玩具。
【請求項3】
前記旋回制御部は、前記駆動リンク部材を作動させる回動アームを両端に備えた回動軸を所定の回転位置に規制する規制弾性体を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した歩行玩具。
【請求項4】
前記旋回制御部は、旋回用モータを有し、該旋回用モータの回転を遠心クラッチを介した減速機構により減速して、前記回動軸を正転方向又は逆転方向に回動させることを特徴とする請求項3に記載した歩行玩具。
【請求項5】
駆動用モータを備える歩行制御部を有し、歩行制御部は前記駆動用モータの回転を減速歯車列により減速して左右の前記前脚部を駆動することにより歩行動作を行わせ、前記旋回制御部は左右の前記リンク機構を制御して旋回歩行を行わせる場合にのみ作動することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載した歩行玩具。
【請求項6】
前記歩行制御部は、前記旋回制御部が作動するときに前記駆動用モータの速度を増速させることを特徴とする請求項5に記載した歩行玩具。
【請求項7】
前記歩行玩具は、少なくとも2個の赤外線受光部を備え、少なくとも1個の赤外線信号を発信する発信体を備えたコントローラと組み合わせることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載した歩行玩具。
【請求項8】
前記コントローラは、複数個の前記発信体を有して当該コントローラの周囲に赤外線信号を発信可能とされる球体形状であることを特徴とする請求項7に記載した歩行玩具。
【請求項9】
前記球体形状とされるコントローラは、球形状のコントローラカバーの内部に直方体形状のコントローラ本体を有することを特徴とする請求項8に記載した歩行玩具。
【請求項10】
前記コントローラは、前記赤外線信号として直進信号、右旋回信号、左旋回信号を発信可能としたことを特徴とする請求項7に記載した歩行玩具。
【請求項11】
前記歩行玩具は、前記コントローラの赤外線信号を受信したときに点灯する受光モニター発光部を備えることを特徴とする請求項7乃至請求項10に記載した歩行玩具。
【請求項12】
前記歩行玩具は、布帛で覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載した歩行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットを模した4足歩行を行う歩行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、四つ足の動物を模して歩行させることのできる歩行玩具が、種々提案され且つ提供されている。
【0003】
これらの歩行玩具では、四つ足の各脚部先端に車輪を設けて車輪の回転により走行させるもの、4本の各脚部に膝関節等を形成して脚部の先端を車輪の回転中心から偏心させた位置で車輪に取り付けることにより、車輪走行ではあっても4本の足を模擬的に作動させて歩行に見せるもの、リンク機構により四本の各脚に歩行動作を現実に行わせるもの、等々、種々の機構が用いられている。
【0004】
そして、リンク機構により4足歩行を行わせる玩具として、左右の前足を交互に持ち上げて前方に移動させる回転動作を行わせ、左右の後足は振り子動作を行わせると共に、左前足を前方に移動させるときに左後足を後方へ、右前足を前方に移動させるときに右後足を後方へ移動させるようにして玩具に歩行動作を行わせるものが提案されている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、このリンク機構を用いた歩行玩具では、右旋回歩行を行う際、右前足の上下移動量は直進歩行の時と同じであるも、右前足の前後移動量を小さくし、合わせて右後足の前後移動量も小さくすることにより、左足の一歩の歩幅に対して右足の歩幅を小さくして右旋回歩行を行い、左旋回歩行を行う際には、左前足及び左後足の前後移動量を少なくして左足の歩幅を狭くし、左旋回歩行を行わせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の4足歩行を行わせる玩具は、車輪を用いたものでは見た目に不自然な歩行動作であり、リンク機構を用いて疑似歩行を行わせる玩具においても、旋回動作が不自然な動作になるものが多く、直進歩行や旋回動作をペットの自然な動きに近い動作として見せることができるものは、複雑なリンク機構や複雑な制御が必要となり、高価な玩具となる欠点があった。
【0008】
本発明は、比較的低価格であっても、本物のペットが持っている可愛らしい仕草を演出させることが可能であって、本来子供が疑似ペットに望む親しさや癒しの対象としての動作を行わせることのできる歩行玩具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の歩行玩具は、頭部及び胴部を有すると共に、胴部から下方に伸びる左右の前脚部及び左右の後脚部を有し、左右の前記前脚部は交互に前後移動すると共に持ち上げられて前方に移動し且つ降下して後方に移動するものであり、前記後脚部は、夫々左右の前記前脚部が前方移動するときにリンクバーの前端が前記前脚部に結合されるリンク機構によって後方に足先部を移動させるようにして歩行する四足歩行玩具において、左右の前記後脚部は、左右の前記リンク機構の前記リンクバーにおける駆動突出部と係合するカム穴を有し、該カム穴は駆動領域と遊動領域とを備えて前記駆動領域に前記駆動突出部が位置するときに前記前脚部の動作と連動し、前記リンク機構は前記駆動突出部を前記駆動領域又は前記遊動領域に位置させる駆動リンク部材をも有し、旋回制御部により前記駆動リンク部材を制御して前記駆動突出部を前記駆動領域又は前記遊動領域に位置させるものとし、右側の前記駆動リンク部材を作動させて右側の前記リンク機構における前記駆動突出部を右側の前記後脚部における前記遊動領域に位置させたとき、右側の前記後脚部の連動が停止して右旋回歩行を行い、左側の前記駆動リンク部材を作動させて左側の前記リンク機構における前記駆動突出部を左側の前記後脚部における前記遊動領域に位置させたとき、左側の前記後脚部の連動が停止して左旋回歩行を行うものである。
【0010】
また、前記カム穴は、縦長穴形状の前記駆動領域と該駆動領域の上端から前方に伸びる横長穴形状の前記遊動領域とを有するものである。
【0011】
そして、前記旋回制御部は、前記駆動リンク部材を作動させる回動アームを両端に備えた回動軸を所定の回転位置に規制する規制弾性体を有するものである。
【0012】
更に前記旋回制御部は、旋回用モータを有し、該旋回用モータの回転を遠心クラッチを介した減速機構により減速して、前記回動軸を正転方向又は逆転方向に回動させるものである。
【0013】
また、駆動用モータを備える歩行制御部を有し、歩行制御部は前記駆動用モータの回転を減速歯車列により減速して左右の前記前脚部を駆動することにより歩行動作を行わせ、前記旋回制御部は左右の前記リンク機構を制御して旋回歩行を行わせる場合にのみ作動するものである。
【0014】
そして、前記歩行制御部は、前記旋回制御部が作動するときに前記駆動用モータの速度を増速させることがある。
【0015】
更に前記歩行玩具は、少なくとも2個の赤外線受光部を備え、少なくとも1個の赤外線信号を発信する発信体を備えたコントローラと組み合わせることがある。
【0016】
そして、前記コントローラは、複数個の前記発信体を有して当該コントローラの周囲に赤外線信号を発信可能とされる球体形状とされることがある。
【0017】
また、前記球体形状とされるコントローラは、球形状のコントローラカバーの内部に直方体形状のコントローラ本体を有することもある。
【0018】
そして、前記コントローラは、前記赤外線信号として直進信号、右旋回信号、左旋回信号を発信可能とすることもある。
【0019】
更に前記歩行玩具は、前記コントローラの赤外線信号を受信したときに点灯する受光モニター発光部を備えることがある。
【0020】
そして、前記歩行玩具は、布帛で覆われていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る歩行玩具は、左右の前脚部を交互に前後移動させると共に、前脚部を前方に出すとき後脚部を後方に下げる動作を行い、四つ足のペットの歩行動作と同様の動作を行って自然な歩行動作を見せることができる。
【0022】
そして、右後脚部の動作を停止させて右旋回歩行を、左後脚部の動作を停止させて左旋回歩行を行わせるものであるから、旋回歩行も含めて自然な歩行動作を行わせ、玩具であってもその動作によって愛着を感じさせることができるものである。
【0023】
また、カム穴を縦長穴形状の駆動領域の上端から前方に伸びる横長穴形状の遊動領域とすることにより、カム穴に係合する駆動突出部が駆動領域に位置するとき、リンクバーの前後動に合わせて後脚部を駆動し、駆動突出部を持ち上げて遊動領域に位置させると、後脚部の足先部を前方に残すようにして後脚部の作動を停止させることができ、歩行玩具の動作で愛嬌を感じさせる歩行動作を行わせることができるものである。
【0024】
そして、回動軸を所定の回転位置とする規制弾性体を有する旋回制御部は、規制弾性体によりリンク機構の駆動リンク部材を常に所定の位置に保つことを容易に行うことができるものである。
【0025】
更に、遠心クラッチを有する旋回制御部は、旋回用モータの起動時の負荷を軽減してモータや電池の寿命を延ばし、また、旋回用モータの停止時にはモータを切り離して回動軸の所定回転位置への復帰を容易とすることができるものである。
【0026】
また、旋回制御部を旋回歩行を行わせる場合にのみ作動するものとすれば、歩行制御部により通常の前進歩行を行わせて歩行動作を容易に行い、且つ、旋回動作の場合のみ旋回制御部をさせるため、電源電池の消耗を少なくすることができるものである。
【0027】
そして旋回歩行を行うとき駆動用モータの回転速度を速くすれば、前脚部の動作を早くして迅速な旋回歩行を行わせると共に、向きを変える動作を可愛らしく見せることができるものである。
【0028】
更に、歩行玩具に少なくとも2個の赤外線受光部を設け、赤外線信号を発信する発信体を備えたコントローラと組み合わせる歩行玩具は、コントローラからの信号を受信したとき、少なくとも2個の赤外線受光部によりコントローラの方向を容易に識別し、コントローラの方向に向かう歩行を容易に行わせることができるものである。
【0029】
そしてコントローラを球体形状とし、周囲に赤外線信号を発信可能とすれば、歩行玩具がコントローラに接近して接触したとき、コントローラが転動して歩行玩具から離れつつ歩行玩具に赤外線信号を送信し続けることができるものである。
【0030】
また、球体形状のコントローラカバーの内部にコントローラ本体を有するコントローラは、コントローラカバーにより球形状として転動を容易としつつ、コントローラ本体をコントローラカバーから取り外し、足首等の身体への装着を容易とし、コントローラ本体を身に付けることにより、人間の後を追いかける動作を歩行玩具に行わせることができる。
【0031】
そして、直進信号、右旋回信号、左旋回信号を発信可能なコントローラとする場合は、一般的なリモートコントロール装置と同様に歩行玩具を遠隔操作して遊ぶことができるものである。
【0032】
更に歩行玩具に受光モニター発光部を設ければ、歩行玩具がコントローラからの信号を受信しているか否かが容易に判別可能となり、また、歩行玩具が作動するときの見栄えを良くすることができると共に、歩行玩具が作動しないとき、原因を理解することも容易となる。
【0033】
そして、布帛で覆った歩行玩具とすることにより、より自然で愛着を持たせることのできる玩具とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における筐体の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例におけるリンク機構を示す筐体半断面斜視図である。
【
図4】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における駆動機構を示す左前方斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における駆動機構を示す右後方斜視図である。
【
図6】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における駆動機構を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における歩行状態を示す左側面図である。
【
図8】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における歩行状態を示す左側面図である。
【
図9】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における歩行状態を示す右側面図である。
【
図10】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における歩行状態を示す右側面図である。
【
図11】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における左旋回歩行状態を示す左側面図である。
【
図12】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における左旋回歩行状態を示す左側面図である。
【
図13】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における左旋回歩行状態を示す右側面図である。
【
図14】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における左旋回歩行状態を示す右側面図である。
【
図15】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における右旋回歩行状態を示す右側面図である。
【
図16】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における右旋回歩行状態を示す右側面図である。
【
図17】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における右旋回歩行状態を示す左側面図である。
【
図18】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における右旋回歩行状態を示す左側面図である。
【
図19】本発明の実施例に係る歩行玩具の一例における旋回制御部の要部を示す斜視図である。
【
図20】本発明の実施例に係る歩行玩具の旋回制御部における回動軸の要部を示す断面側面図であり、(a)は回動軸の基準位置を示し、(b)は回動可能範囲の規制範囲を示す図である。
【
図21】本発明の実施例に係る歩行玩具に用いるコントローラの一例を示す外観斜視図である。
【
図22】本発明の実施例に係る歩行玩具に用いるコントローラの一例における分解斜視図である。
【
図23】本発明の実施例に係る歩行玩具に用いるコントローラのコントローラ本体とコントローラカバーを分離し、コントローラ本体の装着具の一例を示す図である。
【
図24】本発明の実施例に係る歩行玩具に用いるコントローラの他の例を示す図である。
【
図25】本発明の実施例に係る歩行玩具の制御系の一例を示すブロック図である。
【
図26】本発明の実施例に係る歩行玩具の信号受信範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。
本発明に係る歩行玩具は、
図1に示す様に、ペットの頭部110及び胴部120を模した樹脂製の筐体105の内部に
図3に示す様に歩行制御部221や旋回制御部230を内蔵し、
図2に示す様に、筐体105や4本の脚部に布帛を被せて例えば子犬の外見とするものである。
【0036】
この歩行玩具100は、
図1に示した様に、筐体105の胴部120の下方には右前足122、右後足124、左前足126、左後足128が設けられており、
図3に示す様に、歩行制御部221や旋回制御部230を備えるケース本体部210を筐体105は収納しているものである。
【0037】
尚、前後左右は、歩行玩具100の頭部110側を前方、逆側を後方とし、前方を見て左側を左、右側を右とする。
【0038】
このケース本体部210は、
図4及び
図5に示す様に、ケース本体部210の前方部分に歩行制御部221が組み込まれるものであって、後方上部に旋回制御部230が設けられると共に、ケース本体部210の左側面前方に左前足126が、左側面後方に左後足128が取り付けられ、右側面前方に右前足122が、右側面後方に右後足124が取り付けられるものである。
【0039】
更に、ケース本体部210の左側面には左前足126と左後足128とを連結して連動させるリンク機構が、ケース本体部210の右側面には右前足122と右後足124とを連結して連動させるリンク機構が形成される。
【0040】
そして、ケース本体部210には、
図6に示す様に、歩行制御部221としての駆動用モータ225及び複数の平歯車で構成された減速歯車列227と脚駆動軸228とが収納され、脚駆動軸228の両端はケース本体部210の側面に突出して駆動偏心部材141が取り付けられるものである。
【0041】
また、ケース本体部210内における歩行制御部221の後方には、電池収納部215を組み込むものであって、電池収納部215には、歩行制御部221や旋回制御部230等を駆動するための電源である電池を収納するものである。
【0042】
更に、ケース本体部210の上に設ける旋回制御部230は、制御部ケース231の内部に遠心クラッチ251や複数の平歯車を組み合わせた減速機構265、減速機構265を介したモータの回転によりクラウンギア269によって回動動作を行う回動軸271が組み込まれ、制御部ケース231の後方に旋回用モータ241を有するものである。
【0043】
この旋回制御部230は、旋回用モータ241の正回転又は逆回転により回動軸271を所定の範囲内で時計方向又は反時計方向に回動させることにより、左前足126及び右前足122の動作によって作動する左後足128又は右後足124の動作を停止させることによって、歩行玩具100に右旋回歩行又は左旋回歩行を行わせるものである。
【0044】
この左前足126は、
図7に示す様に、ペットの前脚を模した形状であって、足先部132を備える前脚部131の上端近傍に偏心回動軸145を有し、左前足126とする前脚部131の上端から上方に伸びる延長部135を有するものである。
【0045】
そして、延長部135の上端を補助リンク部材137の後端に結合させ、補助リンク部材137の前端をケース本体部210の側面に回動可能に固定しているものである。従って、補助リンク部材137の後端は上下に揺動可能とされ、左前足126とする前脚部131はケース本体部210に対して上下動が可能な状態で取り付けられることになる。
【0046】
また、前脚部131の偏心回動軸145は、ケース本体部210の左側面に突出する脚駆動軸228の端部に取り付けられた駆動偏心部材141の回転中心から偏心した位置に設けられている偏心軸穴142に先端が挿入固定されるものであって、脚駆動軸228の回転に合わせて円運動を行うものである。
【0047】
従って、脚駆動軸228の回転によって偏心回動軸145が円運動を行うことにより、左前足126とする前脚部131も円運動を行うように移動して補助リンク部材137の後端を上下に揺動させつつ前脚部131の足先部132にも円運動を行わせることができる。
【0048】
このため、左側面から見て脚駆動軸228及び駆動偏心部材141を反時計方向に回転させると、左前足126の足先部132を持ち上げて前方に移動させ、足先部132を降下させて後方に移動させるように左前足126を作動させることができる。
【0049】
そして、
図7に示した様に、左前足126を前方に位置させた状態から
図8に示す様に後方に移動させたとき、左後足128はリンクバー160により足先部152を後方から前方に移動させるものである。
【0050】
この左後足128とする後脚部151は、ペットの後ろ足を模した形状とされ、下端に足先部152を有し、上端近傍を脚回動軸155によりケース本体部210の側面後方部分に取り付けられるものである。
【0051】
また、この後脚部151は、その上端から上方に伸びる延長係合部材156を有し、延長係合部材156は上下方向に長穴とされる駆動領域158とこの駆動領域158の上端から連続して前方に伸びる前後方向の長穴とされた遊動領域159を形成する逆L字形のカム穴157を有するものである。
【0052】
そして、リンクバー160は、その前端を前脚部131の偏心回動軸145により駆動偏心部材141に取り付けられ、後端に駆動突出部167を有してこの駆動突出部167を後脚部151のカム穴157に挿入係合させるものであり、リンクバー160の棒状本体部の後方部分にリンクバー160の軸方向に沿った長穴165を有するものである。
【0053】
更にこのリンク機構は、リンクバー160の長穴165に挿入係合される作動係合突起173を備える駆動リンク部材170を有し、駆動リンク部材170は長穴165に係合させた作動係合突起173を上下に揺動可能とするように前端近傍の固定部171がケース本体部210の側面に取り付けられるものである。
【0054】
また、駆動リンク部材170は、固定部171の後方且つ上方の位置に作動穴175を備え、この作動穴175に回動アーム291の回動係合突起295が挿入されるものである。そして、駆動リンク部材170を所定位置とする通常の状態では、リンクバー160の駆動突出部167をカム穴157の駆動領域158に位置させているものである。
【0055】
尚、駆動領域158の前後方向幅は、駆動突出部167の直径に近い大きさの幅とされ、縦長穴形状の駆動領域158の上端から前方に伸びる横長穴形状の遊動領域159が連続して形成されているものである。
【0056】
従って、リンクバー160の前端が偏心回動軸145により駆動偏心部材141に取り付けられているために円運動を行うと、長穴165の位置で上下方向の移動が規制されたリンクバー160は後端を僅かに上下動させつつ全体が前後移動することになり、駆動突出部167の前後移動によりカム穴157を有する延長係合部材156が脚回動軸155を中心に前後に揺動することになる。
【0057】
このため、左後足128とする後脚部151も、脚回動軸155を中心にして足先部152を前後に移動させるように揺動することになる。
【0058】
また、右前足122及び右後足124とする前脚部131及び後脚部151も、
図9及び
図10に示す様に、左前足126及び左後足128とした前脚部131及び後脚部151と同様に、前脚部131は延長部135が補助リンク部材137によりケース本体部210の右側面に取り付けられ、後脚部151は脚回動軸155によりケース本体部210の側面に取り付けられるものであってカム穴157を備えた延長係合部材156を有するものである。
【0059】
尚、右前足122の偏心回動軸145は、脚駆動軸228の回転中心に対して左前足126の偏心回動軸145の位置と180度ずらした位置とされ、左前足126の足先部132が前方に位置するとき、右前足122の足先部132は後方に位置させるように半回転ずれた回転運動を行わせるものである。
【0060】
従って、右前足122が前方に位置するときに右後足124の足先部152を後方に位置させ、このとき左前足126が後方に、左後足128の足先部152は前方に位置し、右前足122が後方に位置するときに右後足124の足先部152を前方に位置させ、このとき左前足126が前方に、左後足128の足先部152が後方に位置するようにされて、左右の後脚部151は脚回動軸155を揺動中心として足先部152を前後方向に揺動させることになるものである。
【0061】
尚、右前足122と右後足124及び左前足126と左後足128は、同様のリンクバー160で結合されているも、左側の駆動リンク部材170と右側の駆動リンク部材170は、作動穴175の形状を異にするものである。
【0062】
即ち、左側の駆動リンク部材170における作動穴175は、回動アーム291が所定位置のとき、
図7及び
図8に示した様に回動係合突起295よりも前方の作動穴175の形状を回動軸271を円弧中心とする円弧部176とし、回動係合突起295よりも後方の作動穴175の形状は、後方が順次回動軸271から遠ざかる形状の作動部177としている。他方、右側の駆動リンク部材170における作動穴175の形状は、
図9及び
図10に示した様に、所定位置の回動係合突起295よりも後方の作動穴175の形状を回動軸271を円弧中心とする円弧部176とし、回動係合突起295よりも前方の作動穴175の形状は、前方が順次回動軸271から遠ざかる形状としつつ、且つ、後述する回動アーム291の作動範囲よりも僅かに後方となる位置を作動穴175の前端とした作動部177としているものである。
【0063】
この様に右前足122と右後足124とをリンク機構により接続すると共に左前足126と左後足128ともリンク機構により接続した歩行玩具は、駆動用モータ225の回転を減速歯車列227により減速した状態で脚駆動軸228を回転させると、脚駆動軸228の両端に取り付けた駆動偏心部材141が回転し、偏心回動軸145に円運動を行わせることができる。
【0064】
このため、前脚部131は上方へ持ち上げられて前方に移動し、下方に降下して後方に移動するように右前足122及び左前足126を作動させ、右前足122及び左前足126の前後移動を180度ずらした状態で作動させることができる。
【0065】
そして、リンクバー160により前脚部131が前方に移動するとき、後脚部151は脚回動軸155を回動中心として足先部132を後方に揺動させ、前脚部131が後方に移動するとき、後脚部151は脚回動軸155を回動中心として足先部152を前方に揺動させるものである。
【0066】
従って、右前足122を持ち上げて前方へ移動させる動作のとき、右後足124は後方へ揺動し、左前足126は下ろされて後方へ移動し、左後足128を前方へ揺動させるように作動する。また、右前足122を下ろして後方へ移動させるとき、右後足124は前方へ揺動し、左前足126は持ち上げられて前方へ移動し、左後足128は後方へ揺動する。
【0067】
この様に、後脚部151を前脚部131と連動させ、前脚部131は左右交互に持ち上げて前方に移動させるため、右前足122と左後足128の後方移動や左前足126と右後足124の後方移動により、駆動用モータ225を回転駆動させることによって、歩行玩具100に前方への前進移動を行わせることができる。
【0068】
そして、旋回制御部230を作動させ、
図11及び
図12に示す様に、左側面から見て回動軸271を左回転させるとき、回動アーム291は所定の位置から規制された一定回転量だけ反時計方向に回動する。
【0069】
この様に回動アーム291が反時計方向に回動するとき、回動アーム291の先端に設けた回動係合突起295が駆動リンク部材170の作動穴175における作動部177を後方且つ上方へ回動するように移動する。このため、駆動リンク部材170は前端の固定部171を中心として後方が上方に持ち上げられ、リンクバー160の長穴165に挿入した作動係合突起173によりリンクバー160の後端を持ち上げる。
【0070】
従って、リンクバー160の後端近傍に設けた駆動突出部167が上方に移動して、後脚部151の上方に延設した延長係合部材156のカム穴157における駆動領域158から遊動領域159に駆動突出部167が移動することになる。
【0071】
この様にリンクバー160や駆動リンク部材170の後方を持ち上げた状態では、
図11及び
図12に示した様に、左前足126の円運動によりリンクバー160は前後に往復移動するも、駆動突出部167がカム穴157の遊動領域159において前後移動するのみで左後足128には駆動力が伝達されなくなる。
【0072】
このとき、ケース本体部210の右側面においては、
図13及び
図14に示す様に、回動アーム291が時計方向に回転して回動係合突起295が駆動リンク部材170の作動穴175における円弧部176を後方且つ上方へ回動するように移動する。
【0073】
しかし、この円弧部176は回動軸271を中心とする円弧形状とされているため、駆動リンク部材170及び右前足122と右後足124とを連結するリンクバー160は、回動軸271の回転によっては何らの変化も生じない。このため、右側の前脚部131及び後脚部151の連動は途切れることなく、右前足122の円運動に合わせて右後足124を前後に揺動させることができる。
【0074】
従って、右前足122及び左前足126を交互に持ち上げて前方に移動させている状態で、右前足122を前方に移動させるとき、右後足124は左前足126の後方移動と同期して後方へ移動することにより歩行玩具100を前進させるも、右前足122が後方に移動するとき、左前足126は持ち上げられて前方に移動し、左後足128は左前足126との連動が遮断されて作動することなく、右後足124が前方に移動するため、歩行玩具100の前進移動は停止される。
【0075】
このため、右前足122及び左前足126と右後足124を作動させて右前足122を前方に移動させるときは歩行玩具100を前進させ、右前足122を後方に移動させるときは前進を停止させることにより、歩行玩具100を徐々に右方向に向きを変えるように旋回動作を行わせることができる。
【0076】
また、回動軸271を逆方向に回転させるように旋回用モータ241を回転させると、
図15及び
図16に示す様に、ケース本体部210の右側から見て回動軸271が反時計方向に回動して回動係合突起295を所定の位置から前方且つ下方に移動させる。
【0077】
この歩行玩具100の右側の駆動リンク部材170における作動穴175は、回動係合突起295の所定位置よりも前方を作動部177として前方を回動軸271から離すと共に作動穴175の前端位置を回動係合突起295の作動範囲よりも僅かに後方としているため、駆動リンク部材170の後方を僅かに持ち上げるように固定部171を中心に僅かに回転させる。
【0078】
このため、リンクバー160の長穴165に挿入されている駆動リンク部材170の作動係合突起173が上方に持ち上がり、リンクバー160の後端が上方へ移動し、駆動突出部167が延長係合部材156におけるカム穴157の遊動領域159に持ち上げられることになる。
【0079】
従って、
図15及び
図16に示した様に、右前足122の回転運動に合わせてケース本体部210の右側に配置されたリンクバー160は前後方向に往復運動を行うも、右後足124にこの運動が伝達されることなく、右後足124は右前足122の運動に連動せず、右後足124の動作は停止する。
【0080】
このとき、ケース本体部210の左側では、
図17及び
図18に示す様に、回動軸271が時計方向に回転して回動アーム291の先端近傍に設けた回動係合突起295が前方下方へ移動するも、ケース本体部210の左側の駆動リンク部材170における作動穴175の前方部分は、回動軸271を中心とした円弧形状の円弧部176とされているため、回動軸271や回動アーム291の回動によって駆動リンク部材170に何らの変化も生じさせることがない。
【0081】
このため、リンクバー160も後端近傍の駆動突出部167をカム穴157の駆動領域158に位置させた状態を維持し、左前足126の円運動に合わせて左後足128を前後に揺動させることになる。
【0082】
従って、この場合は右前足122及び左前足126を交互に前方へ移動させるように円運動を行わせ、左前足126を前方へ移動させるときに左後足128を後方へ移動させるように3本の足を動かして歩行動作を行うことになり、歩行玩具100は右に旋回するように歩行を行うことになる。
【0083】
尚、カム穴157の形状は縦長穴形状の駆動領域158の上端から前方に伸びる横長穴形状の遊動領域159が形成されているため、前脚部131が後方に位置するとき、駆動領域158の上端又は遊動領域159の後端に位置する駆動突出部167によって後脚部151は足先部152を前方に位置させることになる。
【0084】
このように後脚部151の足先部152を前方に位置させてリンクバー160の駆動突出部167をカム穴157の駆動領域158から遊動領域159に移動させると、駆動突出部167は遊動領域159内で前方に移動して後脚部151の作動を停止させることとなり、リンクバー160による後脚部151への駆動伝達力が遮断され、後脚部151の脚回動軸155に玩具の重力が加わった状態で足先部152の床との接触点が脚回動軸155よりも前方に位置した状態とすることになる。
【0085】
このため、筐体105が前方移動しても、足先部152が脚回動軸155よりも後方に移動するためには、床と足先部152の接触点との摩擦力による接触点から脚回動軸155方向への分力による脚回動軸155を持ち上げる力が、脚回動軸155に加わっている筐体105の重力よりも大きくなる必要がある。
【0086】
従って、接触点の摩擦力による分力が胴部120による重力よりも小さい場合、リンクバー160が前方に移動しても足先部152を前方に位置させたままの状態とし、又は胴部120の前方移動により後脚部151を僅かに回動させるも足先部152が脚回動軸155よりも後方に移動することなく揺動幅を小さくし、リンクバー160が後方に移動したとき、足先部152を再度前方に移動させて旋回動作を行うことになる。
【0087】
この様に、後脚部151の足先部152を前方に位置させて後脚部151の動作を停止又は小さく前後移動させることにより、作動しない後脚部151の足先部152を後方とすることによって足を引きずっているように見えることをなくし、動作の見栄えを良くすることができる。
【0088】
また、足先部152を前方に位置させて作動しない後脚部151による床面への抵抗を大きくし、旋回動作を素早く行わせることもできる。
【0089】
尚、旋回制御部230を作動させて旋回動作を行わせる際、駆動用モータ225の回転速度を僅かに速くして前脚部131の動作を早め、旋回動作をより迅速に行えるようにすることもある。
【0090】
そしてこの歩行玩具100を右旋回又は左旋回させる旋回歩行を制御する旋回制御部230は、開閉バネ等の規制弾性体281により回動軸271の回転位置を所定位置に規制しており、旋回用モータ241の正回転又は逆回転により回動軸271が規制された所定の位置から数十度程度だけ時計方向や反時計方向に回動させるものである。
【0091】
この回動軸271の回動は、旋回用モータ241の回転を遠心クラッチ251及び複数の平歯車で構成した減速機構265によって正転又は逆転するものであって、遠心クラッチ251は、
図19に示す様に、旋回用モータ241のモータ軸に固定されるドライブ環253、及びドライブ環253から相対する方向に放射状に設けられたドライブシャフト255、このドライブシャフト255の軸方向に摺動可能に設けられる重錘257を有する。
【0092】
そして、円板状の板状部262とこの板状部262の周縁に沿って設けられたリング部263を有するドリブンケース261におけるリング部263の内側にドライブ環253や重錘257を収納するようにして、板状部262の側面中央に減速機構265の第1歯車266を備えるものである。
【0093】
従って、モータ軸が回転するとドライブ環253及びドライブシャフト255が回転し、ドライブシャフト255に取り付けた重錘257が遠心力によりリング部263の内側に押し付けられ、ドリブンケース261に回転力を伝達することができる。
【0094】
そして、ドリブンケース261に設けた第1歯車266から減速機構265により回転数を減少させて減速機構265の最終歯車268から回動軸271に設けたクラウンギア269により、旋回用モータ241や減速機構265の歯車と回転軸方向の異なる回動軸271に回転を伝達することができる。
【0095】
この回動軸271には円板状の回動規制板275が固定されており、回動規制板275は一方の側面に所定幅の突出部277を有し、他方の側面に回動規制突起279を有するものであり、回動軸271における突出部277の位置に規制弾性体281を配置しているものである。
【0096】
この規制弾性体281は、回動軸271が貫通する弦巻状の本体部283と、本体部283から直線状に突出したバネの端部である第1突出部285と第2突出部286とを有するものであって、
図20(a)に示す様に、第1突出部285と第2突出部286との間に回動規制板275の突出部277の両端を挟持しているものである。
【0097】
また、第1突出部285及び第2突出部286の先端部は、旋回制御部230の制御部ケース231の内部に形成される弾性体規制部233に当接され、第1突出部285は、弾性体規制部233により下方への移動は規制されるも、弾性体規制部233から離れる上方への移動は可能とされ、第2突出部286は、弾性体規制部233により上方への移動は規制されるも、弾性体規制部233から離れる下方への移動は可能とされている。
【0098】
このため、
図20(a)に示した状態から回動軸271が時計方向に回動するとき、突出部277により第2突出部286が下方に押し下げられ、本体部283を弾性変形させながら第1突出部285と第2突出部286との交わる角度を広げるように規制弾性体281は変形することになる。
【0099】
そして、回動軸271に加わる回転力が除去されたとき、規制弾性体281の復元力により
図20(a)に示した初期位置に突出部277を戻すようにして回動軸271の回転位置を所定の位置に戻すことができる。
【0100】
また、回動軸271に反時計方向に回転力が加わるときは、第1突出部285が先端を上方に移動させて本体部283を弾性変形させ、回転力が除去されると初期位置に突出部277を戻すようにして回動軸271の回転位置を所定の位置に戻すことができる。
【0101】
そして、この回動規制板275は、
図20(b)に示す様に回動規制突起279を有し、制御部ケース231の内部には回動規制部235が設けられているため、回動軸271が数十度回転すると回動規制突起279と回動規制部235とが接触して回動軸271の回動を停止させるものであり、この実施例では、回動軸271は所定位置から正方向及び逆方向に40度程度の範囲のみで回動可能としているものである。
【0102】
この様に、この旋回制御部230は、旋回用モータ241の回転を遠心クラッチ251及び減速機構265を介して正方向及び逆方向に数十度程度回転可能とされた回動軸271を回動させるものである。
【0103】
そして、旋回制御部230には遠心クラッチ251を用いているため、旋回用モータ241の回転起動時において旋回用モータ241に掛かる負荷を軽減してモータや電池の寿命を長くすることができる。また、回動軸271が所定の角度だけ回転して回動を停止した後も、遠心クラッチ251のスリップにより旋回用モータ241に過大な負荷が加わることを防止することもできる。
【0104】
この様に、この歩行玩具100は、歩行制御部221の駆動用モータ225を駆動することにより前脚部131を持ち上げ前方へ移動させる前脚部131の動作に合わせて後脚部151も前後に揺動させることにより歩行動作を行い、且つ、旋回制御部230の旋回用モータ241を正逆回転させることにより右旋回歩行又は左旋回歩行を行わせることができる為、現実のペットと略同様の歩行動作を行わせて可愛げのある動作を行い、親しみの持てる歩行玩具100とすることができる。
【0105】
更に、この歩行動作を動作させるに際し、
図21に示すような球形状のコントローラ310と組み合わせるものである。
【0106】
このコントローラ310は、球形状のコントローラカバー315の内部に立方体形状のコントローラ本体320を収納しているものであり、
図22に示す様に、基板321の上部四隅に赤外線発信器である発信体325を4個備えて四方に作動信号を発信するものであり、コントローラ310の作動用スイッチ323をオンにするとパイロットランプ327を点灯させて信号の発信を行うものである。
【0107】
そして、このコントローラ310は、コントローラ本体320をコントローラカバー315から抜き出して
図23に示すようなバンド状のベルトケース330に収納することもできるようにしているものである。
【0108】
このベルトケース330は、コントローラ本体320を収納可能なポケット331を備えると共に、帯状のベルトケース330の両端部に面ファスナー337を備え、両端の面ファスナー337を相互に接着させることにより子供の足首にコントローラ本体320を収納したベルトケース330を巻き付けるようにして装着することができるようにするものである。
【0109】
尚、コントローラ310としては、
図22や
図23に示したような球形状のコントローラカバー315やベルトケース330のポケット331に収納可能であって周囲に信号を発信するコントローラ本体320とする場合に限ることなく、
図24に示す様に、電源スイッチ341の他、直進ボタン343、右旋回ボタン345、左旋回ボタン347を有し、直進ボタン343が押されると直進信号を、右旋回ボタン345が押されると右旋回信号を、左旋回ボタン347が押されると左旋回信号を一方向に出力する遠隔操作用のコントローラ310として、このコントローラ310を歩行玩具100に向けてボタン操作することにより歩行玩具100を作動させるようにすることもある。
【0110】
そして、この歩行玩具100の筐体105内部には、制御用のマイクロコントローラ371を組み込むものであり、このマイクロコントローラ371は、電池収納部215に収納された電池を電源363とし、定電圧回路365により安定した電源電圧により安定した作動を行うものである。
【0111】
そして、頭部110や胴体の腹部又は背部等に設ける作動スイッチ361が操作されるとこのマイクロコントローラ371は作動を開始するものであって、右目111に似せて頭部110に組み込む右赤外線受光部351 、左目112に似せて頭部110に組み込む左赤外線受光部352とした受光部が赤外線信号を受光したとき、駆動用モータドライバー373や旋回用モータドライバー375を介して駆動用モータ225や旋回用モータ241を作動させるものである。
【0112】
尚、右赤外線受光部351 や左赤外線受光部352が赤外線信号を受光したとき、
図2に示した様に、ペットの首輪115等に組み込んだLEDランプ等の受光モニター発光部355を点灯させ、コントローラ310からの制御信号を受信していることを表示するものであり、又、音声IC377を作動させて適宜スピーカ379から鳴き声を発声させるものである。
【0113】
そして、
図26に示す様に、右赤外線受光部351 の信号受信範囲を歩行玩具100の前方僅か左側から右斜め後方の範囲とし、左赤外線受光部352の信号受信範囲を歩行玩具100の前方和すか右側から左斜め後方の範囲としているものである。
【0114】
このため、球形状のコントローラカバー315に収納したコントローラ本体320から信号が発信されるとき、このコントローラ310が歩行玩具100の前方に位置して右赤外線受光部351 と左赤外線受光部352とで信号を受光した時は旋回用モータ241を作動させることなく、駆動用モータ225のみを駆動して歩行玩具100をコントローラ310に向かって前進歩行をさせることができる。
【0115】
また、球形状のコントローラカバー315に収納したコントローラ本体320が歩行玩具100の右前方にあるとき、右目111に模した右赤外線受光部351 のみが信号を受光するため、駆動用モータ225を駆動すると共に旋回用モータ241も例えば正回転駆動することにより、右後足124の動作を停止させて右旋回歩行を行わせることにより、歩行玩具100をコントローラ310の方向に向かわせることができる。
【0116】
更にコントローラ310が歩行玩具100の左前方にあるとき、左目112に模した左赤外線受光部352のみが信号を受光するため、駆動用モータ225を駆動すると共に旋回用モータ241も例えば逆回転駆動することにより、左後足128の動作を停止させて左旋回歩行を行わせることにより、歩行玩具100をコントローラ310の方向に向かわせることができる。
【0117】
このようにして、コントローラ310が前方にあるときは直進歩行を、コントローラ310が右前方にあるときは右旋回歩行を、コントローラ310が左前方にあるときは左旋回歩行を行わせることにより、歩行玩具100を球形状のコントローラカバー315にコントローラ本体320を収納したコントローラ310に向かって進ませることができる。
【0118】
そして歩行玩具100がコントローラ310に到達してコントローラ310と接触した時、コントローラ本体320は球形状のコントローラカバー315に収納されているため、コントローラ310は歩行玩具100に押されて転動し、歩行玩具100から離れることになる。
【0119】
コントローラ310が歩行玩具100から離れると、歩行玩具100はまたコントローラ310に向かって前進、旋回を行ってコントローラ310を追いかけ、追付くと歩行玩具100との接触によりコントローラ310は転動して歩行玩具100から離れ、また、歩行玩具100が追いかけることを繰り返し、子犬等のペットがボールにじゃれてボール遊びをしているような可愛げのある動作をさせることができる。
【0120】
また、コントローラ本体320をベルトケース330のポケット331に収納してベルトケース330を足首に巻き付け、コントローラ本体320を子供の足首に装着させたときは、人間の足首に装着したコントローラ本体320に向かって歩行玩具100を歩行させ、子供の後をペットが追いかけているような動作を行わせ、お散歩遊びをすることができる。
【0121】
更に、
図24に示した様な遠隔操作型のリモートコントローラ310は、直進ボタン343、右旋回ボタン345、左旋回ボタン347等のボタン操作によって歩行玩具100の遠隔操作を行うものに限ることなく、ジョイスティック型等のレバー操作により直進及び旋回制御を行うコントローラ310とすることもある。
【0122】
このボタン式やレバー式のリモートコントローラとするコントローラ310では、歩行玩具100に向けて信号を送信することが多く、赤外線信号を発信する発信体325は1個で足りることが多い。
【0123】
また、ボタン式やレバー式のリモートコントローラとするコントローラ310により歩行玩具100を遠隔制御する場合、右赤外線受光部351 及び左赤外線受光部352のみでなく、更に後方からの受信も可能とするように受光部を増設することもあり、歩行玩具100の全方向からの信号を受信することができるようにすることが好ましい。
【0124】
そして、前述の実施形態では、旋回制御部230には旋回用モータ241を用いているも、モータやクラッチ、減速機構265を用いることなく、電磁石の吸引及び反発力を用いて回動軸271を正逆方向に回動させるようにする場合、更には電磁石をケース本体部210の両側に設けて電磁石の吸引力によって直接に左右の各駆動リンク部材170の後方を持ち上げるようにすることもある。
【0125】
この様に、この歩行玩具100は、モータと減速歯車、リンク機構及び歩行制御部221や旋回制御部230を制御するマイクロコントローラ371により構成するものであるから、歩行玩具100の組立、製造が容易であり、比較的安価な歩行玩具100とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係る歩行玩具100は、自然な歩行動作により可愛げのある4足歩行動物に似せることができ、親しみを持って遊ぶことのできる玩具である。
【符号の説明】
【0127】
100 歩行玩具 105 筐体
110 頭部 111 右目
112 左目 115 首輪
120 胴部 122 右前足
124 右後足 126 左前足
128 左後足
131 前脚部 132 足先部
135 延長部 137 補助リンク部材
141 駆動偏心部材 142 偏心軸穴
145 偏心回動軸
151 後脚部 152 足先部
155 脚回動軸 156 延長係合部材
157 カム穴 158 駆動領域
159 遊動領域
160 リンクバー 165 長穴
167 駆動突出部
170 駆動リンク部材 171 固定部
173 作動係合突起 175 作動穴
176 円弧部 177 作動部
210 ケース本体部
215 電池収納部
221 歩行制御部
225 駆動用モータ 227 減速歯車列
228 脚駆動軸
230 旋回制御部
231 制御部ケース 233 弾性体規制部
235 回動規制部
241 旋回用モータ 251 遠心クラッチ
253 ドライブ環 255 ドライブシャフト
257 重錘 261 ドリブンケース
262 板状部 263 リング部
265 減速機構 266 第1歯車
268 最終歯車 269 クラウンギア
271 回動軸 275 回動規制板
277 突出部 279 回動規制突起
281 規制弾性体 283 本体部
285 第1突出部 286 第2突出部
291 回動アーム 295 回動係合突起
310 コントローラ 315 コントローラカバー
320 コントローラ本体 321 基板
323 作動用スイッチ 325 発信体
327 パイロットランプ
330 ベルトケース 331 ポケット
337 面ファスナー
341 電源スイッチ 343 直進ボタン
345 右旋回ボタン 347 左旋回ボタン
351 右赤外線受光部 352 左赤外線受光部
355 受光モニター発光部 361 作動スイッチ
363 電源 365 定電圧回路
371 マイクロコントローラ 373 駆動用モータドライバー
375 旋回用モータドライバー 377 音声IC
379 スピーカ