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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163612
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/16 20060101AFI20221019BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20221019BHJP
   H02K 5/08 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H02K1/16 Z
H02K1/18 C
H02K1/18 D
H02K5/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068638
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】床井 博洋
(72)【発明者】
【氏名】中原 瑞紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利文
(72)【発明者】
【氏名】天池 将
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀一
(72)【発明者】
【氏名】米岡 恭永
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亨
【テーマコード(参考)】
5H601
5H605
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601AA26
5H601CC05
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE03
5H601EE18
5H601FF02
5H601FF04
5H601FF15
5H601GA02
5H601GA40
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB34
5H601GC02
5H601GC12
5H601GD02
5H601GD07
5H601GD08
5H601GD12
5H601GD13
5H601GD18
5H601GD22
5H601HH03
5H601HH12
5H601HH23
5H601KK25
5H601KK26
5H605AA07
5H605AA08
5H605BB01
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605FF06
5H605GG18
5H605GG20
(57)【要約】
【課題】バックヨークの複数の凹部と、バックヨークの複数の凹部に嵌合される複数のティースの一端との間にできる隙間による鉄損を減少させることができる回転電機を提供する。
【解決手段】回転子200と、回転子200の外周を取り囲む固定子100と、固定子100のバックヨーク130の内周面に設けられ、固定子100の軸方向に延びる第1凹部133と、第1凹部133に一端が嵌合されたティース120とを備えた回転電機1000であって、第1凹部133と、第1凹部133に嵌合されたティース120の一端との間に形成される隙間が、固定子100の径方向よりも前記固定子の周方向の方が小さい。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と、
前記回転子の外周を取り囲む固定子と、
前記固定子のバックヨークの内周面に設けられ、前記固定子の軸方向に延びる第1凹部と、
前記第1凹部に一端が嵌合されたティースとを備えた回転電機であって、
前記第1凹部と、前記第1凹部に嵌合された前記ティースの一端との間に形成される隙間が、前記固定子の径方向よりも前記固定子の周方向の方が小さいことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記第1凹部の側面と前記ティースの一端との距離は、前記第1凹部の底面と前記ティースの一端との距離よりも小さいことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記第1凹部の側面と前記ティースの一端との最短距離は、前記第1凹部の底面と前記ティースの一端との最短距離よりも小さいことを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記第1凹部の側面と前記ティースの一端とが接触していることを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記ティースは、低損失軟磁性材により形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記第1凹部の前記固定子の周方向における幅は、前記固定子の中心部に向かって減少しており、
前記ティースの前記固定子の周方向における幅は、前記ティースの一端から前記ティースの他端に向かって減少していることを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項5に記載の回転電機であって、
前記固定子の周方向において前記ティースの一端と前記第1凹部とが対向する部分の面積が、前記ティースの他端の面積より、大きいことを特徴とする回転電機。
【請求項8】
請求項1に記載の回転電機であって、
前記第1凹部と、前記第1凹部に嵌合された前記ティースの一端との間に形成される隙間には、前記第1凹部の底面と、前記第1凹部の底面に対向する前記ティースの一端の端面とに接する樹脂が、充填されていることを特徴とする回転電機。
【請求項9】
請求項8に記載の回転電機であって、
前記第1凹部の底面には、前記固定子の軸方向に延びる第2凹部が設けられ、
前記樹脂は、前記第2凹部と前記ティースの一端との間に形成される第1隙間と、前記第1凹部の底面から前記第2凹部が設けられた部分を除いた残りの底面と前記ティースの一端との間に形成される第2隙間とに充填されていることを特徴とする回転電機。
【請求項10】
請求項8に記載の回転電機であって、
前記樹脂は、さらに前記ティースの前記固定子の周方向における側壁を覆っていることを特徴とする回転電機。
【請求項11】
請求項9に記載の回転電機であって、
前記ティースの斜面の幅をL、
前記ティースの前記固定子の周方向における2つの側壁の各々が、前記2つの側壁の中央を通る前記バックヨークの周面に対する法線となす角度をθとした場合、
前記固定子に横断面における前記第2凹部の幅Wが、
W>L×sinθ×2
となることを特徴とする回転電機。
【請求項12】
請求項8に記載の回転電機であって、
前記樹脂は、熱硬化性樹脂又は発泡樹脂により形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項13】
請求項9に記載の回転電機であって、
前記第2凹部が、前記第1凹部の底面の両端に設けられていることを特徴とする回転電機。
【請求項14】
請求項5に記載の回転電機であって、
前記ティースが台形柱であることを特徴とする回転電機。
【請求項15】
請求項9に記載の回転電機の製造方法であって、
前記第2凹部より前記固定子の外径側上方又は前記第2凹部の真上に位置する樹脂注入口を有するモールド金型を用いて前記固定子を覆い、前記樹脂注入口に樹脂を注入することで前記固定子を樹脂モールドすることを特徴とする回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄損を低減するため、鉄心に鉄基アモルファス合金(以下、アモルファス金属)やナノ結晶材料等の軟磁性材料を用いた回転電機が開発されている。しかし、軟磁性材料の鋼板は、板厚が非常に薄く、ビッカース硬度が電磁鋼板の5倍以上もあり、製造がとても難しくコストが高くなっている。この課題を解決する回転電機が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の回転電機では、固定子の鉄心(ステータコア)が内周面に複数の凹部を有する円環形状のバックヨークと、一端が前記凹部に嵌合され他端が回転子鉄心に向かって突出する複数のティースとに分割されている。そして、複数のティースはアモルファス金属箔帯を台形形状に切断し積層することによって作製されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-68567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の回転電機は、バックヨークの複数の凹部と、当該複数の凹部に嵌合される複数のティースの一端との間に形成される隙間に起因した鉄損について考慮されておらず、高効率や高出力化の観点で改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、バックヨークの複数の凹部と、当該複数の凹部に嵌合される複数のティースの一端との間に形成される隙間による鉄損を減少できる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、回転子と、前記回転子の外周を取り囲む固定子と、前記固定子のバックヨークの内周面に設けられ、前記固定子の軸方向に延びる第1凹部と、前記第1凹部に一端が嵌合されたティースとを備えた回転電機であって、前記第1凹部と、前記第1凹部に嵌合された前記ティースの一端との間に形成される隙間が、前記固定子の径方向よりも前記固定子の周方向の方が小さい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バックヨークの複数の凹部と、当該複数の凹部に嵌合される複数のティースの一端との間にできる隙間による鉄損を減少させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る回転電機の斜視図である。
図2図1に示した回転電機のA-A矢視断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態による回転電機のステータの横断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る回転電機のティースの斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る回転電機のティースを形成する薄板の平面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る回転電機のバックヨークの部分拡大図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る回転電機のステータにおいて、バックヨークの第1凹部に一端が嵌合されたティースの拡大図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る回転電機のステータのティースとバックヨークの間の隙間の位置による磁束分布と鉄損への影響を解析した結果を示す表である。
図9】本発明の第2実施形態に係る回転電機のステータにおいて、バックヨークの底面とティースの第1底面の隙間に充填された樹脂の密度分布の一例を示すグラフである。
図10】本発明の第2実施形態に係る回転電機のステータにおいて、バックヨークの第2凹部とティースの第1底面の隙間に樹脂を充填したステータコアの部分拡大図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る回転電機のステータにおいて、ステータの周方向におけるバックヨークとティースの対向面の幅とティースの他端の幅との関係を示す模式図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る回転電機のモールド樹脂を充填したステータの部分拡大図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る回転電機の製造に用いられるモールド金型と、モールド樹脂を充填するためにモールド金型に設置されたステータの断面図である。
図14】本発明の第4実施形態に係る回転電機の製造に用いられるモールド金型と、モールド金型に設置され、モールド樹脂が充填されたステータの断面図である。
図15】本発明の第4実施形態に係る回転電機の製造に用いられるモールド金型の上型に設けられた樹脂注入口のステータの上方における位置を示す模式図である。
図16】本発明の第5実施形態に係る回転電機のステータの部分拡大図である。
図17】本発明の第6実施形態に係る回転電機のステータにおいて第2凹部に設けた発泡樹脂が発泡する前の部分拡大図である。
図18】本発明の第6実施形態に係る回転電機のステータにおいて第2凹部に設けた発泡樹脂が発泡した後の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明の第1~第6の実施形態による回転電機の構成及び動作について説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。また、各図は、互いに直交するXYZ軸により方向を特定し、+Xを「右」、-Xを「左」、+Yを「上」、-Yを「下」、+Zを「前」、-Zを「後」と規定する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る回転電機1000の斜視図で、図2は、図1に示した回転電機1000のA-A矢視断面図である。回転電機1000は、内転型のラジアルギャップ型回転電機で、ステータ(固定子)100と、ロータ(回転子)200と、シャフト300と、軸受け400と、第1エンドブラケット500と、ハウジング600と、第2エンドブラケット700とを備える。
【0012】
ステータ100は、ロータ200を回転させる磁力を発生させる部分である。ステータ100には、コイル110が巻き回された複数のティース120と、複数のティース120と結合する円環状のバックヨーク130とによりステータコアが形成されている。バックヨーク130は、円筒状のハウジング600の内部に圧入等の手段により固定されている。
【0013】
ロータ200は、ステータ100から発生する磁力により回転する部分である。ロータ200には、複数の積層板から構成されたロータコア(回転子鉄心)210と、ロータコア210に形成された複数の磁石収納孔(磁石収納部)211と、複数の磁石収納孔211に収納された複数の永久磁石220とが設けられている。ロータコア210の中心には貫通孔212が設けられ、貫通孔212にはシャフト300が圧入等により固定されている。
【0014】
シャフト300はロータ200と共に回転する軸で、第1エンドブラケット500に固定された軸受400と、第2エンドブラケット700に固定された軸受400とにより回転自在に支持されている。第1エンドブラケット500と第2エンドブラケット700は、ハウジング600の軸方向における両側に取り付けられ、ハウジング600の軸方向の両端に位置する開口部を塞いでいる。第1エンドブラケット500とハウジング600と第2エンドブラケット700により、ステータ100とロータ200は保護されている。
【0015】
このように構成された回転電機1000は、ステータ100に電力を供給した場合にはシャフト300が回転して電動機となり、シャフト300に回転動力を供給した場合には発電機となる。
【0016】
次に、本実施形態によるステータ100を詳細に説明する。図3はステータ100の横断面図である。ステータ100は、複数のコイル110と、複数のコイル110の各々が巻きついた複数のティース120と、複数のティース120が内周壁に取り付けられたバックヨーク130とを有する。
【0017】
複数のコイル110の各々は、例えば図3に示すように、断面形状が四角形の平角線で、複数のティース120の各々に分布巻き方式で巻くことができる。なお、コイル110は、断面形状が円形の丸線を用いてもよく、複数のティース120に集中巻き方式で巻いてもよい。
【0018】
図4はティース120の斜視図である。この図に示すようにティース120は複数の薄板121を積層した柱状の鉄心である。ティース120は、上面120aと、底面120bと、第1底面120cと、第2底面120dと、第1斜面122eと、第2斜面122fとを有している。
【0019】
図5は薄板121の平面図である。薄板121は薄い鋼板で、低損失軟磁性材、例えば、アモルファス金属により形成することが好ましい。また、図5に示すように薄板121の平面形状を台形とすることが好ましく、当該台形は、第1底辺121aと、第2底辺121bと、第1脚121cと、第2脚121dとを有している。
【0020】
第1底辺121aは、ティース120の第1底面120cの一部を形成し、その長さをL1とする。第2底辺121bは、ティース120の第2底面120dの一部を形成し、その長さをL2とする。第1底辺121aと第2底辺121bとは図5に示すように平行としてもよい。この場合、第1底辺121aの長さL1は第2底辺121bの長さL2より大きくなる。
【0021】
第1脚121cは、第1底辺121aの+X(右)側の端部と第2底辺121bの+X(右)側の端部を結ぶ斜辺である。また、第1脚121cは、ティース120の第1斜面122eの一部を形成し、その長さをL3とする。第2脚121dは、第1底辺121aの-X(左)側の端部と第2底辺121bの-X(左)側の端部を結ぶ斜辺である。また、第2脚121dは、ティース120の第2斜面122fの一部を形成する。
【0022】
第1脚121cと第2脚121dとは、図5に示すように第1底辺121aと第2底辺121bの中点を通る直線CLに対し線対称としてもよい。この場合には、第1底辺121aと第2底辺121bの長さは、同じ長さL3となる。また、第1底辺121aと第2底辺121bとが直線CLとなす角度は、同じ角度θとなる。
【0023】
図6はバックヨーク130をステータの軸方向に沿って上から見たときの部分拡大図であり、本稿では図6をバックヨーク130の正面図と称することがある。バックヨーク130は、円環状に打抜かれた電磁鋼板131を積層した円筒状の鉄心である。図6に示すように、バックヨーク130の内周壁132には、ステータ100の軸方向に沿って延びる複数の第1凹部133が設けられている。複数の第1凹部133の各々は、底面133aと、底面133aのステータ100の周方向における一端からステータ100の中心方向に向かって立ち上がる第1側壁(第1側面)135bと、底面133aのステータ100の周方向における他端からステータ100の中心方向に向かって立ち上がる第2側壁(第2側面)135cと、底面133aに設けられステータ100の軸方向に沿って延びる第2凹部133dとを有している。
【0024】
バックヨーク130の横断面における底面133aの幅はW1である。
【0025】
なお、本実施形態では底面133aに第2凹部133dを設けたが、第2凹部133dは省略しても良い。この場合の底面133aは、例えば、バックヨーク130の周面134の法線のうち当該底面133aの中央を通る法線(以下、法線NLという。)に対して略垂直に交差する平面としても良い。
【0026】
第1側壁135bと第2側壁135cは、底面133aを挟む2つの側面で、法線NLに対して線対称としてもよい。その場合、第1側壁135bと第2側壁135cの長さは、同じ長さL4となる。また、第1側壁135bと第2側壁135cとが法線NLとなす角度は、同じ角度θとなる。
【0027】
図6に示すように、バックヨーク130(ステータ100)の周方向における第1側壁135bと第2側壁135cとの距離(第1凹部133の幅)が、バックヨーク130の中心(ステータ100の中心)に向かって減少するように第1凹部133を形成することが好ましい。この場合、バックヨーク130の内周壁132に表れる第1凹部133の開口端の幅W2は、第1凹部133の底面133aの幅W1より小さくなる。
【0028】
第2凹部133dは、第1凹部133の底面133aにおけるステータ100の周方向の例えば中央部に形成された略円弧状の断面を有する凹部であり、バックヨーク130の軸方向に沿って延びている。第2凹部133dの幅はW3とする。
【0029】
図7はバックヨーク130の第1凹部133に一端(第1底面120c側の端部)が嵌合されたティース120の拡大図である。
【0030】
この図に示すように、ステータ100の周方向における第1凹部133の幅Waは、ステータ100の中心部に向かって単調に減少させてもよい。また、ティース120のステータ100の周方向における幅Wbは、ティース120の一端(第1底面120c側の端部(第1端部))からティースの他端(第2底面120d側の端部(第2端部))に向かって単調に減少させてもよい。
【0031】
図7から明らかであるが、ティース120の第1底辺121aの長さL1(図5参照)は、第1凹部133の底面133aの幅W1(図6参照)より小さい。
【0032】
また、ティース120の第1底辺121aの長さL1(図5参照)は、第1凹部133の開口の幅W2(図6参照)より大きくなっている。これにより、ティース120の一端(第1底面120c側の端部)は、第1凹部133に嵌合し、第1凹部133からバックヨーク130の内径方向に脱落不能になっている。
【0033】
ティース120は、第1凹部133と、その第1凹部133に嵌合されたティース120の一端(第1底面120c側の端部)との間に隙間140が形成されるようにバックヨーク130に固定されている。隙間140としては、径方向隙間141と、2つの周方向隙間142(第1周方向隙間142aと第2周方向隙間142b)とが形成され得る。
【0034】
径方向隙間141は、ティース120の第1底面120cと、第1凹部133の底面133a及び第2凹部133dとの間に形成される隙間である。第1周方向隙間142aは、ティース120の第1斜面122eと、第1凹部133の第1側壁(第1側面)135bとの間に形成される隙間である。第2周方向隙間142bは、ティース120の第2斜面122fと第1凹部133の第2側壁(第2側面)135cとの間に形成される隙間である。
【0035】
2つの周方向隙間142の少なくとも一方は、径方向隙間141よりも小さくなっている。すなわち、第1凹部133の側壁135b,135cとティース120の斜面122e,122fとの距離は、第1凹部133の底面133aとティース120の第1底面120cとの距離よりも小さく(短く又は近く)なっている。当該距離の大小比較は、第1凹部133の側壁135b,135cとティース120の斜面122e,122fとの最短距離と、第1凹部133の底面133aとティース120の第1底面120cとの最短距離とを比較することで行っても良い。例えば、図7のように第1凹部133の底面133aに第2凹部133dが設けられている場合には、第2凹部133dとティース120の第1底面120cとの距離ではなく、底面133aとティース120の第1底面120cとの距離を、側壁135b,135cとティース120の斜面122e,122fとの最短距離との比較対象として採用することとなる。
【0036】
[効果]
このように回転電機1000を構成すると、ティース120の他端側(第2端部)から一端側(第1端部)に向かってティース120内を流れてきた磁束がティース120の斜面122e,122fを介してバックヨーク130の凸部(隣接する2つの第1凹部133の間の凸部)に流れることになる。これによりバックヨーク130における第1凹部133の周辺に磁束が集中することを低減できるので、バックヨーク130で発生する鉄損を低減できる。特に本実施形態ではティース120がアモルファス金属で形成されているため鉄損をさらに低減できる。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、バックヨーク130とティース120との隙間に起因した鉄損を低減できるので、回転電機1000の高効率化や高出力化を図ることができる。
【0038】
なお、さらに鉄損を低減する観点からは、2つの周方向隙間142の少なくとも一方はゼロ、すなわち、ティース120の2つの斜面122e,122fの少なくとも一方とそれに対応する第1凹部133の側壁135b,135cを接触させることが好ましい。このように斜面122(例えば斜面122e,122f)とそれに対向する側壁135(例えば側壁135b,135c)を接触させると,ティース120の斜面122からバックヨーク130の凸部(隣接する2つの第1凹部133の間の凸部)に磁束が流れ易くなる。その結果、回転電機1000の鉄損を低減できる。
【0039】
続いて本実施形態の効果について図8を用いてさらに詳細に説明する。図8は、本実施形態に係る回転電機のティース120とバックヨーク130の間に形成される隙間の位置による磁束分布と鉄損への影響を解析した結果を示す表である。なお、図8のバックヨーク130の第1凹部133は、図7のものと異なり、第2凹部133dが設けられていない。
【0040】
図8の「隙間位置」は、ティース120とバックヨーク130との間に形成される隙間の位置の種類を示し、ここでは<1>~<3>の3つの種類が例示されている。
【0041】
<1>の「隙間なし」は、ティース120とバックヨーク130との間に隙間が無い場合(つまり、径方向隙間141と2つの周方向隙間142が無い場合)であり、ティース120の一端は第1凹部133の底面133aと2つの側壁135b,135cのそれぞれに密着している。ただし、実際に回転電機を製造する場合には、ティース120の一端よりも第1凹部133を大きく形成する必要があるため、<1>のように全く隙間無しにティース120と第1凹部133を嵌合させることは非常に困難である。
【0042】
<2>の「径方向隙間」は、径方向隙間141があるが、2つの周方向隙間142(142a,142b)が無い上記の本実施形態に近い場合である。即ち、ティース120の第1底面120cと第1凹部133の底面133aとは離れており、径方向隙間141が形成されている。しかし、ティース120の第1斜面122eと第1凹部133の第1側壁135b、ティース120の第2斜面122fと第1凹部133の第2側壁135cとは密接している。
【0043】
<3>の「周方向隙間」は、径方向隙間141がないが、2つの周方向隙間142(142a,142b)がある場合である。即ち、ティース120の第1底面120cと第1凹部133の底面133aとは密接している。しかし、ティース120の第1斜面122eと第1凹部133の第1側壁135b、ティース120の第2斜面122fと第1凹部133の第2側壁135cとは離れ、周方向隙間142が形成されている。
【0044】
<1>~<3>の各隙間位置における「磁束分布」と「鉄損」を比較する。
【0045】
<1>の場合には、ティース120の第2底面120d(他端)から入った磁束は、ティース120の第1斜面122eと第1凹部133の第1側壁135bとが接触する部分を通過して隣接するティース120とバックヨーク130に流れる。この場合の鉄損を基準(1.00)にすると、本実施形態に近い<2>の場合には、<1>の場合とほぼ同等な磁束分布を示し、その鉄損は1.03と<1>の場合とほぼ同等となる。
【0046】
一方、<3>の場合は、ティース120の第2底面120dから入った磁束が、ティース120の第1底面120cと第1凹部133の底面133aとが密接する部分を通過し、その大部分がバックヨーク130の外周側に流れる。つまりバックヨーク130の外周側の磁束密度が<1>及び<2>の場合に比して増加するため、鉄損は1.3.となり、実に<1>の鉄損の1.30倍になる。
【0047】
この解析結果からも明らかな通り、第1凹部133の側壁135b,135cとティース120の斜面122e,122fとの距離を、第1凹部133の底面133aとティース120の第1底面120cとの距離よりも小さくすると、磁束密度の増加を低減でき、バックヨーク130の鉄損を低減できる。つまり、バックヨーク130の鉄損を理想的な<1>の場合に近づけることができる。なお、薄板121の平面形状は台形である。そのため、アモルファス金属等の軟磁性材料の鋼板を容易に加工することができる。
【0048】
(第2実施形態)
上記で説明したように、さらに鉄損を低減する観点からは、第1凹部133の側面(第1側壁135bと第2側壁135c)とティース120の一端(第1底面120c側の、第1斜面122eと第2斜面122f)とが接触していることが好ましい。
【0049】
そこで本実施形態では、ティース120の第1底面120cとバックヨーク130の第2凹部133dとの間の隙間(図7参照)に、熱硬化性の樹脂150をトランスファーモールドにより充填している。つまり、第1凹部133と、第1凹部133に嵌合されたティース120の一端(第1底面120c側の端部)との間にできる隙間(径方向隙間141)に、第1凹部133の底面133aと、第1凹部133の底面133aに対向するティースの一端の端面(第1底面120c)とに接する樹脂150が充填される。
【0050】
図9は、バックヨーク130の第1凹部133とティース120の第1底面120cの間の隙間に樹脂150が充填されたステータ100の拡大図とともに当該樹脂150の密度分布の一例をグラフで示した図である。
【0051】
一般にトランスファーモールドで隙間に充填された樹脂150の密度は、成形加工時において樹脂150の各々に掛けられている圧力と正の相関がある。そのため、隙間の幅が広い場所は隙間の幅が狭い場所に比べて、流入する樹脂150が多く、樹脂150の圧力が相対的に大きくなり、樹脂150の密度が相対的に高くなる。その結果、隙間の幅が狭い場所では、樹脂150の密度が相対的に低くなる。
【0052】
本実施形態では、第2凹部133dと第1底面120cの間に形成される第1径方向隙間141aが隙間の幅が広い場所に該当する。また、第1凹部133の底面133aから第2凹部133dが設けられた部分を除いた残りの底面133aとティース120の一端(第1底面120c)との間に形成される第2径方向隙間141bが隙間の幅が狭い場所に該当する。したがって、本実施形態によるステータ100において、バックヨーク130の底面133aとティース120の第1底面120cの間の隙間に充填された樹脂150の密度分布は図9の下部に示すグラフとなる。
【0053】
図9のグラフでは第1凹部133の中央部で密度が最も高くなっているため、ティース120をステータ100の中心部に向かって押圧する大きな力Fを第1凹部133の中央部に発生できる。この押圧力Fはティース120をステータ100の中心部(バックヨーク130の内径方向)に向かって移動させ、最終的には図10に示すようにティース120の斜面122e,122fを第1凹部133の側壁135b,135cに密着させることもできる。
【0054】
図10は、バックヨーク130の第1凹部133とティース120の第1底面120cの間の隙間に樹脂150を充填したことでティース120の斜面122e,122fが第1凹部133の側壁135b,135cと接触した状態を示すステータコアの部分拡大図である。
【0055】
ティース120の第1斜面122eと第2斜面122fとが直線CLとなす角度(図4、5参照)と、第1凹部133の第1側壁135bと第2側壁135cとが法線NLとなす角度(図6参照)は、同じ角度θである。そのため、ティース120の第1斜面122eと第2斜面122fの各々は、バックヨーク130の第1側壁135bと第2側壁135cの各々に密接する。したがって、第1凹部133と、第1凹部133に嵌合されたティース120の一端との間に形成される隙間140が、ステータ100の径方向よりもステータ100の周方向の方が小さくなる。
【0056】
なお、ティース120とバックヨーク130の間の隙間に充填された樹脂150は加熱され、硬化する。これにより、第1凹部133と、第1凹部133に嵌合されたティース120の一端との間に形成される隙間140が、ステータ100の径方向よりもステータ100の周方向の方が小さく状態が維持される。
【0057】
本実施形態のように隙間140に樹脂150を充填することでティース120の斜面122e,122fと第1凹部133の側壁135b,135cとを密着させると、隙間140に楔などを圧入した場合と比較してティース120と第1凹部133に欠けや割れが発生するおそれが低減される。
【0058】
また、本実施形態において樹脂150を充填する隙間140の幅や第2凹部133dの大きさを変えることにより、樹脂150による押圧力を調整することができる。これにより、密接させる面に過大な圧力が加わることを低減し、ティース120とバックヨーク130の磁気特性低下を低減できる。
【0059】
(第3実施形態)
本実施形態では、第2実施形態における第1凹部133に対するティース120の埋め込み深さL5の好ましい値について図11を用いて説明する。
【0060】
図11は、第1凹部133に対するティース120の埋め込み深さL5と、ステータ100の周方向におけるティース120の他端(第2底面120d)の幅L2との関係を示す模式図である。
【0061】
埋め込み深さL5は、バックヨーク130の横断面において、第1凹部133の側壁135b,135cがティース120の斜面122e,122fと接触している部分の長さを示している。図11中の式で示すように、埋め込み深さL5は、ティース120の第2底面120dの幅L2の半分より大きいことが好ましい。
【0062】
このように埋め込み深さL5を設定すると、バックヨーク130における第1凹部133の周辺に磁束が集中することをさらに低減でき、バックヨーク130の鉄損が低減できる。
【0063】
なお、図11には第1斜面122eと第2側壁135cとが密接する部分を通過する磁束Bのみを示したが、第2斜面122fと第2側壁135cとが密接する部分を通過する磁束が存在することは言うまでも無い。
【0064】
(第4実施形態)
図12は、本実施形態に係る回転電機において、樹脂を充填したステータ100の部分拡大図である。本実施形態に係るステータ100が第1実施形態に係るステータ100と異なる点は、樹脂150が、さらにティース120のステータ(固定子)100の周方向における側壁(第1斜面122e、第2斜面122f)を覆っていることである。具体的には、本実施形態によるステータ100はモールド樹脂151により覆われ、径方向隙間141と、隣合う2つのティース120の間にモールド樹脂151が充填されている。
【0065】
図12に示すように、ティース120の第1斜面122eの幅L3と、第1斜面122eと第2斜面122fが第1斜面122eと第2斜面122fの中央を通るバックヨーク130の周面134に対する法線NLとなす角度をθとしたとき、第2凹部133dの幅W3は、W3>2×L3sinθとなることが好ましい。
【0066】
これは、樹脂150により第1底面120cと第1斜面122eと第2斜面122fにかかる圧力Pを一定と仮定する。この場合、第1底面120cにかかるティース120をバックヨーク130の内径方向に押す力Faは、P×W3×(軸長)となる。一方、第1斜面122eと第2斜面122fの各々にかかるティース120をバックヨーク130の外径方向に押す力Fbは、P×L3×(軸長)×sinθとなる。
【0067】
第1凹部133の側面(第1側壁135bと第2側壁135c)とティース120の一端(第1底面120c側の、第1斜面122eと第2斜面122f)とを密接させるためには、Fa>2Fbとならなければならない。これにより、W3>2×L3sinθとなる。
【0068】
なお、スロット部(隣合う2つのティース120の間)にはコイル110とインシュレータが入る、そのため、樹脂150により第1斜面122eと第2斜面122fに作用する圧力は、樹脂150により第1底面120cに作用する圧力よりも低減する。したがって、「W3>2×L3sinθ」は安全サイドに算出した寸法条件である。
【0069】
このように「W3>2×L3sinθ」を満たす回転電機は、一体モールドよりティース120をバックヨーク130の外径方向に押す力Fbが発生しても、ティース120がバックヨーク130の内径方向に加圧される。そのため、第1凹部133の側面(第1側壁135bと第2側壁135c)とティース120の一端(第1底面120c側の、第1斜面122eと第2斜面122f)とが密接するように力が働く。
【0070】
次に、本実施形態に係るステータ100の製造方法について説明する。図13は、本実施形態に係る回転電機の製造に用いられるモールド金型800と、モールド樹脂151を充填するためにモールド金型800に設置されたステータ100の断面図である。図14は、本実施形態に係る回転電機の製造に用いられるモールド金型800と、モールド金型800に設置され、モールド樹脂151が充填されたステータ100の断面図である。図15は、本実施形態に係る回転電機の製造に用いられるモールド金型800の上型830に設けられた樹脂注入口831のステータの軸方向における位置をステータ100に投影した模式図である。
【0071】
モールド金型800は、ステータの内周に配置された円柱状の芯型810、ステータの底面に配置された下型820、ステータの上面に配置され、樹脂150の注入口となるゲート831を備えた上型830とを有する。ゲート831は、第2凹部133dよりステータ100の外径側上方又は第2凹部133dの真上(図15では真上)に位置し、ステータ100の周方向に均等に複数設けられている。
【0072】
図14に示すように、上型830の上部からあらかじめポットなどに貯めて加熱し流動性を有する樹脂150にプランジャー(図示せず)で圧力をかける。樹脂150は、ゲート831からステータ100とモールド金型800内に押し出されていき、第2凹部133dやコイル110間の隙間を通って下型820に到達する。
【0073】
樹脂150がステータ100内にある程度充填すると、プランジャー(図示せず)からの圧力が、ステータ100内の樹脂150に伝搬し、徐々に樹脂150の圧力が上昇する。これにより、ステータ100内の余分な空気がモールド金型800の隙間から抜け、樹脂150がコイル110間などの狭小な箇所にまで充填されていく。充填完了後、加熱硬化することで樹脂モールドと一体になったステータ100が完成する。なお、樹脂150はトランスファーモールドによりステータ100内へ充填してもよい。
【0074】
本実施形態によるモールド金型は、ゲート831の位置を第2凹部133dの上方に設けているので、第2凹部133dから樹脂150が充填しやすくなり、勘合部(第1斜面122eと第2側壁135cとが対向する部分と、第2斜面122fと第2側壁135cとが対向する部分)に樹脂150が入りにくくなる。樹脂150が勘合部に入り込んでも、最終的にはティース120に働くステータ100の内径方向の荷重により樹脂150が押し出される。しかし、完全に押し出すことは難しいため、第2凹部133dから樹脂150を充填し、勘合部の隙間を早い段階で塞ぐことで、一層勘合部の密接性を高められる。
【0075】
モールド樹脂により樹脂150を一体に成形する場合、第1実施形態のように、第2凹部133dごとに樹脂150を充填する必要がない。そのため、樹脂充填の工数を低減することができる。なお、ゲート831の位置は第2凹部133dより外径側に設けられていれば上記効果は得られる。そのため、第2凹部133dの直上でなくてもよい。
【0076】
(第5実施形態)
図16は、本実施形態に係る回転電機のステータの部分拡大図である。本実施形態に係るステータ100が第1実施形態に係るステータ100と異なる点は、バックヨーク130の第1凹部133の底面133aに設けられた第2凹部133dの数と位置である。即ち、バックヨーク130の横断面における第1凹部133の底面133aの両端には、第2凹部133dが各々設けられている。したがって、第1凹部133の底面133aには、2つの第2凹部133dが設けられている。
【0077】
第2凹部133dを底面133aの両端に設けることで、ティース120をバックヨーク130の第1凹部133に挿入する際に、ティース120の角120gが第1凹部133の底面133aと干渉することを低減することができる。また、干渉した場合でも、ティース120の角120gに発生する摩擦力を低減することができる。これらより、組み立ての作業性を向上させることができる。
【0078】
(第6実施形態)
図17は、本実施形態に係る回転電機のステータ100において第2凹部133dに設けた発泡樹脂152が発泡する前の部分拡大図である。図18は、本実施形態に係るステータ100において第2凹部133dに設けた発泡樹脂152が発泡した後の部分拡大図である。
【0079】
本実施形態に係るステータ100が第1実施形態に係るステータ100と異なる点は、樹脂が発泡樹脂152である点である。発泡樹脂152は、例えば絶縁性のエポキシ発泡樹脂で、ティース120をバックヨーク130の第1凹部133に挿入する前に、予めバックヨーク130の第2凹部133dに塗布されている。そして、ティース120をバックヨーク130の第1凹部133に挿入させた後に、加熱することにより発泡樹脂152は発泡し、その後、硬化する。発泡樹脂152が発泡することにより、ティース120はバックヨーク130の内径方向に押し出される。
【0080】
本実施形態に係る回転電機は、ティース120とバックヨーク130に過大なせん断力をかけることなく、ティース120とバックヨーク130とを周方向に密接させることが可能となるため、振動や騒音が小さく、高効率、高出力な電動機を提供できる。また、発泡前の発泡樹脂152を設けた第2凹部133dには、ティース120が容易に挿入できる。したがって、作業性に優れる。
【0081】
なお、発泡樹脂152の材質や第2凹部133dの形状は、本実施形態に限定されない。シート状の発泡樹脂を第2凹部133dに貼り付けてもよい、その場合、第2凹部133dの形状を矩形状にしてシートの貼り付けを容易にすることもできる。また、発泡樹脂152をティース120の第1底面120cに設けても良い。
【0082】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
100…ステータ(固定子)、110…コイル、120…ティース、120c…第1底面、122e…第1斜面(側壁)、122f…第2斜面(側壁)、130…バックヨーク、133…第1凹部、133a…底面、135b…第1側壁、135c…第2側壁、133d…第2凹部、140…隙間、141a…第1径方向隙間、141b…第2径方向隙間、150…樹脂、151…モールド樹脂、152…発泡樹脂、200…ロータ(回転子)、800…モールド金型、1000…回転電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18