(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163613
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】オーディオ制御装置、プログラム、及び、オーディオ制御方法
(51)【国際特許分類】
H04S 7/00 20060101AFI20221019BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H04S7/00 300
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068639
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】黒田 藍子
【テーマコード(参考)】
5D162
5D220
【Fターム(参考)】
5D162AA19
5D162CA01
5D162CA11
5D162CA21
5D162CB01
5D162CB12
5D162DA22
5D162DA34
5D162DA35
5D162DA45
5D162DA51
5D162EG02
5D220AA14
5D220AA44
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コストを低減する超音波スピーカを制御するオーディオ制御装置、プログラム及びオーディオ制御方法を提供する。
【解決手段】情報処理システム1において、オーディオ制御装置は、記憶装置と、プロセッサと、音声信号処理部13と、通信インタフェースと、を備える。音声信号処理部は、チャネル信号生成部と、スイッチと、変調器と、第1増幅器と、第2増幅器と、第1音声出力インタフェースと、第2音声出力インタフェースと、第3音声出力インタフェースと、を備える。プロセッサは、第1音声出力インタフェースに接続されているスピーカが超音波スピーカ20であるか、第1可聴音スピーカであるか、を判定し、第1音声出力インタフェースに接続されているスピーカが、可聴音スピーカの場合には第1増幅器に第1チャネル出力を入力し、超音波スピーカの場合には第1増幅器に変調器の出力を入力する、ようにスイッチを切り替える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカを制御可能なオーディオ制御装置であって、
音源信号からマルチチャネル信号を生成するチャネル信号生成部を備え、
可聴音スピーカ又は非可聴音スピーカを接続可能な第1音声出力インタフェースを備え、
可聴音スピーカを接続可能な第2音声出力インタフェースを備え、
前記マルチチャネル信号のうち、前記第1音声出力インタフェースから出力すべき第1チャネル出力を変調する変調器を備え、
前記第1チャネル出力又は前記変調器の出力を増幅する第1増幅器を備え、
前記マルチチャネル信号のうち、前記第2音声出力インタフェースから出力すべき第2チャネル出力を増幅する第2増幅器を備え、
前記第1音声出力インタフェースに接続されているスピーカの種類が可聴音スピーカの場合、前記第1増幅器に前記第1チャネル出力を入力し、且つ、前記第1音声出力インタフェースに接続されているスピーカの種類が非可聴音スピーカの場合、前記第1増幅器に前記変調器の出力を入力するように、前記チャネル信号生成部と前記第1増幅器との間の信号経路を切り替えるスイッチを備える、
オーディオ制御装置。
【請求項2】
サブウーファを接続可能な第3音声出力インタフェースを備え、
前記チャネル信号生成部は、前記サブウーファから出力すべき第3チャネル出力を前記第3音声出力インタフェースに出力する、
オーディオ制御装置。
【請求項3】
前記非可聴音スピーカが放射する非可聴音波を反射させる壁の素材に関するユーザ指示を取得する手段を備え、
前記ユーザ指示に応じて、前記非可聴音スピーカを制御する手段を備える、
請求項1又は請求項2に記載のオーディオ制御装置。
【請求項4】
非可聴音スピーカを制御するオーディオ制御装置であって、
前記非可聴音スピーカが放射する非可聴音波を反射させる壁の素材に関するユーザ指示を取得する手段を備え、
前記ユーザ指示に応じて、前記非可聴音スピーカを制御する手段を備える、
オーディオ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ制御装置、プログラム、及び、オーディオ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、超音波スピーカを制御するためには、音声信号を変調する変調器が必要である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、変調器は、専用ハードウェアで実現される。十分な音質を担保する変調器を実現するためには、高価なアナログ回路が必要である。そのため、超音波スピーカを制御するオーディオ制御装置は、可聴音スピーカを制御するオーディオ制御装置と比較して高価になる。このことが、超音波スピーカの普及を妨げている。
【0005】
本発明の目的は、超音波スピーカを制御するオーディオ制御装置のコストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
複数のスピーカを制御可能なオーディオ制御装置であって、
音源信号からマルチチャネル信号を生成するチャネル信号生成部を備え、
可聴音スピーカ又は非可聴音スピーカを接続可能な第1音声出力インタフェースを備え、
可聴音スピーカを接続可能な第2音声出力インタフェースを備え、
前記マルチチャネル信号のうち、前記第1音声出力インタフェースから出力すべき第1チャネル出力を変調する変調器を備え、
前記第1チャネル出力又は前記変調器の出力を増幅する第1増幅器を備え、
前記マルチチャネル信号のうち、前記第2音声出力インタフェースから出力すべき第2チャネル出力を増幅する第2増幅器を備え、
前記第1音声出力インタフェースに接続されているスピーカの種類が可聴音スピーカの場合、前記第1増幅器に前記第1チャネル出力を入力し、且つ、前記第1音声出力インタフェースに接続されているスピーカの種類が非可聴音スピーカの場合、前記第1増幅器に前記変調器の出力を入力するように、前記チャネル信号生成部と前記第1増幅器との間の信号経路を切り替えるスイッチを備える、
オーディオ制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、超音波スピーカを制御するオーディオ制御装置のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のオーディオ制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2の音声信号処理部の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態のオーディオ制御処理のフローチャートである。
【
図5】本実施形態の第1音声信号処理のフローチャートである。
【
図6】変形例1のオーディオ制御処理のフローチャートである。
【
図7】
図6の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、オーディオ制御装置10と、超音波スピーカ20と、可聴音スピーカ30と、サブウーファ40と、を備える。
【0012】
オーディオ制御装置10は、音源SSの音を再生する音声出力装置(超音波スピーカ20、可聴音スピーカ30、及び、サブウーファ40)を制御するように構成される。オーディオ制御装置10は、例えば、ハイレゾリューション対応である。
【0013】
超音波スピーカ20は、超音波(「非可聴音波超音波」の一例)を放射するように構成された非可聴音スピーカの一例である。
【0014】
可聴音スピーカ30及びサブウーファ40は、可聴音波を放射するように構成される。
【0015】
(1-1)オーディオ制御装置の構成
オーディオ制御装置10の構成について説明する。
図2は、
図1のオーディオ制御装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、オーディオ制御装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、音声信号処理部13と、通信インタフェース14と、を備える。
【0017】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0018】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、オーディオ制御処理用アプリケーション)のプログラム
【0019】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0020】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、オーディオ制御装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0021】
音声信号処理部13は、音源SSに対する音声信号処理を実行するように構成される。音声信号処理部13は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)である。音声信号処理部13の処理結果は、超音波スピーカ20、可聴音スピーカ30、及び、サブウーファ40に供給される。
【0022】
通信インタフェース14は、オーディオ制御装置10と外部装置(例えば、音楽配信サーバ)との間の通信を制御するように構成される。
【0023】
(1-1-1)音声信号処理部の構成
音声信号処理部13の構成について説明する。
図3は、
図2の音声信号処理部の構成を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、音声信号処理部13は、チャネル信号生成部130と、スイッチ131と、変調器132と、第1増幅器133Aと、第2増幅器133Bと、第1音声出力インタフェース134Aと、第2音声出力インタフェース134Bと、第3音声出力インタフェース134Cと、を備える。
【0025】
チャネル信号生成部130は、音源SSの音声信号(以下「音源信号」という)を複数のチャネル信号を含む音声信号(以下「マルチチャネル音声信号」という)に変換するように構成される。チャネル信号生成部130は、音声信号を復号することによりマルチチャネル音声信号を生成するように構成されたデコーダ、又は、マルチチャネル音声信号(例えば、2.0チャネル音声信号)を含む音声信号から、音声信号に含まれないチャネルを含むマルチチャネル音声信号(例えば、5.1.2チャネル音声信号)を生成するように構成されたアップミキサである。マルチチャネル音声信号は、複数のチャネル音声信号である。チャネル信号生成部130は、例えば、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0026】
スイッチ131は、チャネル信号生成部130と第1増幅器133Aとの間の信号経路を切り替えるように構成される。スイッチ131は、ハードウェア又はソフトウェアによって実現される。スイッチ131は、例えば、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0027】
変調器132は、チャネル信号生成部130の出力(つまり、マルチチャネル音声信号)のうち、第1音声出力インタフェース134Aから出力すべき出力(以下「第1チャネル出力」という)を変調するように構成される。変調器132は、例えば、ハードウェア又はソフトウェアによって実現される。第1チャネル出力は、メインスピーカ(例えば、フロントスピーカ)として機能しない可聴音スピーカに出力すべきチャネル出力(例えば、ハイト用チャネル出力、プレゼンススピーカ用チャネル出力、又は、イネーブルドスピーカ用チャネル出力)である。
【0028】
第1増幅器133Aは、第1チャネル出力、又は、変調器132の出力を増幅するように構成される。
【0029】
第2増幅器133Bは、マルチチャネル信号のうち、第2音声出力インタフェース134Bから出力すべき出力(以下「第2チャネル出力」という)を増幅するように構成される。第2チャネル出力は、例えば、フロント用チャネル出力、又は、リア用チャネル出力である。
【0030】
第1音声出力インタフェース134Aには、第1可聴音スピーカ30A又は超音波スピーカ20を接続可能である。第1音声出力インタフェース134Aは、第1増幅器133Aの出力を第1可聴音スピーカ30A又は超音波スピーカ20に供給するように構成される。第1音声出力インタフェース134Aは、以下の何れかによって実現される。
・第1可聴音スピーカ30A用の端子、及び、超音波スピーカ20用の端子の組合せ
・第1可聴音スピーカ30A及び超音波スピーカ20の共用の端子
【0031】
第2音声出力インタフェース134Bには、第2可聴音スピーカ30Bを接続可能である。第2音声出力インタフェース134Bは、第2増幅器133Bの出力を第2可聴音スピーカ30Bに供給するように構成される。
【0032】
第3音声出力インタフェース134Cには、サブウーファ40を接続可能である。第3音声出力インタフェース134Cは、マルチチャネル信号のうち第3音声出力インタフェース134Cから出力すべき出力(以下「第3チャネル出力」という)を出力するように構成される。第3チャネル出力は、例えば、ウーファ用チャネル出力である。
【0033】
(2)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
図4は、本実施形態のオーディオ制御処理のフローチャートである。
【0034】
図4に示すように、オーディオ制御装置10は、音源信号の入力(S110)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、音源信号を入力する。
【0035】
ステップS110の後、オーディオ制御装置10は、マルチチャネル信号の生成(S111)を実行する。
具体的には、チャネル信号生成部130は、音源信号から、マルチチャネル音声信号(例えば、第1チャネル出力~第3チャネル出力)を生成するように構成される。
【0036】
ステップS111の後、オーディオ制御装置10は、チャネル別音声信号処理(S112)を実行する。
具体的には、第1チャネル出力に対しては、オーディオ制御装置10は、第1音声信号処理(後述)を実行する。
【0037】
第2チャネル出力に対しては、オーディオ制御装置10は、第2音声信号処理を実行する。
より具体的には、第2増幅器133Bは、第2チャネル出力を増幅する。
【0038】
第3チャネル出力に対しては、ステップS112は実行されない。
【0039】
ステップS112の後、オーディオ制御装置10は、スピーカ出力(S113)を実行する。
具体的には、音声信号処理部13は、第1音声出力インタフェース134Aを介して、第1音声信号処理の結果を第1可聴音スピーカ30A又は超音波スピーカ20に供給する。第1可聴音スピーカ30A又は超音波スピーカ20は、第1音声信号処理結果に応じた音声を出力する。
音声信号処理部13は、第2音声出力インタフェース134Bを介して、第2音声信号処理の結果(つまり、第2増幅器133Bの出力)を第2可聴音スピーカ30Bに供給する。第2可聴音スピーカ30Bは、第2音声信号処理結果に応じた音声を出力する。
音声信号処理部13は、第3音声出力インタフェース134Cを介して、第3チャネル出力をサブウーファ40に供給する。サブウーファ40は、第3チャネル出力に応じた音声を出力する。
【0040】
(2-1)第1音声信号処理
本実施形態の第1音声信号処理について説明する。
図5は、本実施形態の第1音声信号処理のフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、オーディオ制御装置10は、スピーカの判定(S1120)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、第1音声出力インタフェース134Aに接続されているスピーカの種類(超音波スピーカ20又は第1可聴音スピーカ30A)を判定する。
【0042】
ステップS1120で「超音波スピーカが接続されている」と判定された場合(S1121-YES)、オーディオ制御装置10は、変調(S1122)を実行する。
具体的には、スイッチ131は、チャネル信号生成部130と第1増幅器133Aとの間の信号経路を、第1チャネル出力が変調器132に供給される経路に切り替える。
変調器132は、第1チャネル出力を変調する。
【0043】
ステップS1120で「第1可聴音スピーカが接続されている」と判定された場合(S1121-NO)、又は、ステップS1122の後、オーディオ制御装置10は、増幅(S1123)を実行する。
【0044】
具体的には、ステップS1120で「超音波スピーカが接続されている」と判定された場合(S1121-YES)、第1増幅器133Aは、変調器132の出力を増幅する。
【0045】
ステップS1120で「第1可聴音スピーカが接続されている」と判定された場合(S1121-NO)、スイッチ131は、チャネル信号生成部130と第1増幅器133Aとの間の信号経路を、第1チャネル出力が第1増幅器133Aに供給される経路に切り替える。
第1増幅器133Aは、第1チャネル出力を増幅する。
【0046】
(3)本実施形態の小括
本実施形態によれば、複数の音声出力インタフェースのうち第1音声出力インタフェース134Aに、超音波スピーカ20又は第1可聴音スピーカ30Aが接続可能である。オーディオ制御装置10は、第1音声出力インタフェース134Aに超音波スピーカ20が接続されている場合、第1チャネル出力を変調した後に増幅する。一方、オーディオ制御装置10は、第1音声出力インタフェース134Aに第1可聴音スピーカ30Aが接続されている場合、第1チャネル出力を変調せずに増幅する。これにより、超音波スピーカ20専用のモジュール(例えば、増幅器)を追加することなく、超音波スピーカ20から音を出力することができる。その結果、超音波スピーカ20を制御するオーディオ制御装置10のコストを低減することができる。
【0047】
(4)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0048】
(4-1)変形例1
変形例1について説明する。
【0049】
(4-1-1)情報処理
変形例1の情報処理について説明する。
図6は、変形例1のオーディオ制御処理のフローチャートである。
図7は、
図6の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0050】
図6に示すように、オーディオ制御装置10は、ユーザ指示の取得(S210)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、画面P20(
図7)をディスプレイに表示する。
【0051】
画面P20は、操作オブジェクトB200~B202を含む。
操作オブジェクトB200は、壁の素材に関するユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。壁の素材に関するユーザ指示は、例えば、壁の反射率(一例として、周波数に依存しない反射率、又は、周波数に依存する反射率)、及び、壁の表面形状(一例として、凹凸の形状)の少なくとも1つを指定する。
操作オブジェクトB201は、空気に関するユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。空気に関するユーザ指示は、例えば、温度、湿度、及び、気圧の少なくとも1つを指定する。
操作オブジェクトB202は、障害物に関するユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。障害物に関するユーザ指示は、例えば、障害物の有無、及び、障害物の形状の少なくとも1つを指定する。
【0052】
ユーザが操作オブジェクトB200を操作すると、プロセッサ12は、画面P21(
図7)をディスプレイに表示する。
【0053】
画面P21は、操作オブジェクトB210と、フィールドオブジェクトF210~F211と、を含む。
フィールドオブジェクトF210は、壁の素材に関する特性(例えば、壁の硬さ)に関するユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
フィールドオブジェクトF211は、超音波スピーカ20から壁までの距離に関するユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
操作オブジェクトB210は、フィールドオブジェクトF210~F211への入力を確定させるためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0054】
ユーザが、フィールドオブジェクトF210~F211にユーザ指示を入力し、且つ、操作オブジェクトB210を操作すると、プロセッサ12は、フィールドオブジェクトF210~F211に入力されたユーザ指示を記憶装置11に記憶する。
【0055】
ステップS210の後、オーディオ制御装置10は、本実施形態(
図5)と同様に、音声信号の入力(S110)~マルチチャネル信号の生成(S111)を実行する。
【0056】
ステップS111の後、オーディオ制御装置10は、補正パラメータの決定(S211)を実行する。
具体的には、記憶装置11には、超音波補正モデルが記憶されている。超音波補正モデルには、ユーザ指示で指定された内容と、第1チャネル出力の補正パラメータとの相関関係が記述されている。補正パラメータは、例えば、以下の少なくとも1つである。
・高域強調又は低域強調のための補正パラメータ
・トーン調整のための補正パラメータ(一例として、所定の変曲点、又は、ユーザによって指定された変曲点を有するトーンカーブ)
・非線形補正のための補正パラメータ
【0057】
ステップS211の第1例の超音波補正モデルには、壁の素材と補正パラメータとの相関関係が記述されている。
プロセッサ12は、超音波補正モデルを参照して、ステップS210で得られたユーザ指示で指定される壁の素材に対応する補正パラメータを決定する。例えば、壁の素材が柔らかい場合には、吸収による影響をキャンセルするために、高域を強調するような補正パラメータが決定される。
【0058】
ステップS211の第2例の超音波補正モデルには、壁の形状と補正パラメータとの相関関係が記述されている。
プロセッサ12は、超音波補正モデルを参照して、ステップS210で得られたユーザ指示で指定される壁の形状に対応する補正パラメータを決定する。例えば、壁が凹凸を有する場合には、拡散による影響をキャンセルするために、高域を強調するような補正パラメータが決定される。
【0059】
ステップS211の第3例の超音波補正モデルには、超音波スピーカ20と壁との間の距離と補正パラメータとの相関関係が記述されている。
プロセッサ12は、超音波補正モデルを参照して、ステップS210で得られたユーザ指示で指定される距離に対応する補正パラメータを決定する。例えば、当該距離が基準距離(例えば、第2可聴音スピーカ30Bとリスナまでの距離)より長い場合には、以下を実現するための補正パラメータが決定される。
・伝搬中の減衰による影響をキャンセルするために、基準距離の場合よりも出力振幅を大きくし、且つ、超音波スピーカ20とリスナまでの距離(以下「超音波伝搬距離」という)と基準距離との差(以下「距離差」という)に応じたフィルタ(例えば、高域を強調するためのフィルタ又は低域を低減するためのフィルタ)を適用する。
・伝搬遅れをキャンセルするために、距離差に応じて、信号の送出タイミングを第2チャネル出力よりも早める。
【0060】
ステップS211の第4例の超音波補正モデルには、空気と補正パラメータとの相関関係が記述されている。
プロセッサ12は、超音波補正モデルを参照して、ステップS210で得られたユーザ指示で指定される空気(例えば、温度)に対応する補正パラメータを決定する。例えば、温度が所定の基準温度(例えば、常温)以上である場合には、以下を実現するための補正パラメータが決定される。
・減衰量の増加をキャンセルするために、基準温度の場合よりも出力振幅を大きくする。
・音速の上昇をキャンセルするために、信号の送出タイミングを基準温度の場合よりも遅らせる。
【0061】
ステップS211の第5例の超音波補正モデルには、障害物と補正パラメータとの総関係が記述されている。
プロセッサ12は、超音波補正モデルを参照して、ステップS210で得られたユーザ指示で指定される障害物(例えば、障害物の形状)に対応する補正パラメータを決定する。例えば、障害物が凹凸を有する場合には、拡散による影響をキャンセルするために、高域を強調するような補正パラメータが決定される。
【0062】
なお、ステップS211の第1例~第5例は組合せ可能である。
図7の例では、ユーザ指示は、壁の素材及び壁までの距離を指定するので、ステップS211の第1例及び第3例の組合せが適用される。
【0063】
ステップS211の後、オーディオ制御装置10は、第1チャネル出力の補正(S212)を実行する。
具体的には、音声信号処理部13は、ステップS211で得られた補正パラメータを第1チャネル出力に適用することにより、第1チャネル出力を補正する。
【0064】
ステップS212の後、オーディオ制御装置10は、本実施形態(
図5)と同様に、チャネル別信号処理(S112)~スピーカ出力(S113)を実行する。
【0065】
(4-1-2)小括
変形例1によれば、超音波スピーカ20から放射された超音波が、リスナの耳に届く迄の間に受ける影響(例えば、反射による影響、又は、伝搬中の影響)を解消するように、第1チャネル出力が補正される。つまり、当該影響をキャンセルするための音声信号処理フィルタが適用される。これにより、超音波スピーカ20の使用環境の影響を受けない音(つまり、安定した音質の音)をリスナに提供することができる。
【0066】
(5)その他の変形例
その他の変形例を説明する。
【0067】
本実施形態のマルチチャネル音声信号のチャネル数は、2以上であれば、チャネル数は問わない。例えば、本実施形態は、5.1チャネル、x.1.2チャネル、x.1.4チャネル、又は、22.2チャネルにも適用可能である。
【0068】
オーディオ制御装置10は、振幅(例えば、振幅の値又は振幅の平方根の値)に比例した電圧を出力する機能、又は、超音波の伝搬中の振幅を常に固定にする機能を備えても良い。これにより、可聴音スピーカによる再生音と超音波スピーカ20による再生音の音量のバランスを一定に保つことができる。
【0069】
オーディオ制御装置10は、超音波の最大振幅に関するユーザ指示を取得する機能を備えても良い。これにより、超音波スピーカ20を構成する振動子の故障を防ぐことができる。
【0070】
オーディオ制御装置10は、変調周波数を選択する機能、変調方法(例えば、USB(Upper Side Band)、LSB(Lower Side Band)、AM(Amplitude Modulation)、FM(Frequency Modulation)、又は、PM(Phase Modulation))を指定する機能、及び、周波数特性を調整する機能の少なくとも1つを備えても良い。これにより、超音波スピーカ20の特性に依存しないオーディオ制御装置10を提供することができる。
【0071】
本実施形態のオーディオ制御装置10は、コンプレッサ(不図示)又はリミッタ(不図示)のオン又はオフを実行しても良い。これにより、音量が大きい場合の歪を抑制することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 :情報処理システム
10 :オーディオ制御装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :音声信号処理部
14 :通信インタフェース
20 :超音波スピーカ
30,30A,30B:可聴音スピーカ
40 :サブウーファ
130 :チャネル信号生成部
131 :スイッチ
132 :変調器
133A :第1増幅器
133B :第2増幅器
134A :第1音声出力インタフェース
134B :第2音声出力インタフェース
134C :第3音声出力インタフェース