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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163624
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】アフターバーナ及びグリル
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/20 20060101AFI20221019BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20221019BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
F24C15/20 E
A47J37/06 366
F24C3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068661
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】吉野 卓己
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB02
4B040AC01
4B040AD04
4B040CA02
4B040GD30
4B040NA06
(57)【要約】
【課題】ガスの取込口が、他のバーナの陰になったり、被さったりしないように配置できるアフターバーナ及びグリルを提供する。
【解決手段】アフターバーナ50は、グリル庫の排気ダクト内に取り付けられ、燃焼排気に含まれる食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させる。アフターバーナ50は、取込口51A、ガス流入部52、本体部53、炎口部57を備える。炎口部57は、本体部53の上面において、左右方向に対して平行に延びる矩形状に形成されると共に、軸心方向Pに対して前方にオフセットした位置に設けられる。これにより、アフターバーナ50をグリル装置に設置したときに、取込口51Aが下バーナの陰になったり被さったりしないようにアフターバーナ50を配置できる。これにより、保守作業者は、アフターバーナ50の取込口51Aを気にすることなく、下バーナのメンテナンス作業を容易にできる
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫の排気ダクト内に取り付けられ、前記排気ダクト内を流れる燃焼排気に含まれる食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナであって、
ガスを取り込む取込口と、
前記取込口から所定方向に延び、前記取込口から取り込まれたガスが流入する筒状のガス流入部と、
前記ガス流入部のガスが流れる方向の下流側一端部に接続され、前記ガス流入部から供給されるガスが流れるガス通路を内部に備える本体部と、
前記本体部に設けられ、前記ガス通路から供給されるガスを燃焼して火炎を形成する複数の炎口を備えた炎口部と
を備え、
前記炎口部は、前記ガス流入部に対して前記所定方向に直交する方向にオフセットした位置に設けられたことを特徴とするアフターバーナ。
【請求項2】
前記ガス通路は、
前記ガス流入部の前記下流側一端部から前記本体部側に傾斜して延びる傾斜部と、
前記傾斜部のガスが流れる方向の下流側一端部と接続し、前記ガス流入部とは反対側に向けて直線状に延びる直線部と、
前記傾斜部に設けられ、前記オフセットする方向に張り出し、前記直線部と接続する張出部と
を備え、
前記炎口部は、前記直線部から前記張出部にかけて対応する位置に直線状に設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載のアフターバーナ。
【請求項3】
前記傾斜部の前記下流側一端部が前記直線部と接続する位置は、前記炎口部の長さ方向の中間部に対応する位置であること
を特徴とする請求項2に記載のアフターバーナ。
【請求項4】
前記ガス通路は、前記ガス流入部とは反対側の先端側であるほど薄く形成されていること
を特徴とする請求項1から3の何れか一に記載のアフターバーナ。
【請求項5】
食材を収容するグリル庫と、
前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、
前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記グリル庫内からの燃焼排気を上方へ導く排気ダクトと、
前記排気ダクト内に設けられ、請求項1から4の何れか一に記載のアフターバーナと
を備えたことを特徴とするグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アフターバーナ及びグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を収容するグリル庫と、グリル庫内の食材を加熱するグリルバーナと、食材から発生した油煙や臭気成分をグリル庫奥部の排気用開口からグリル本体の上方へ導く排気ダクトと、排気ダクトに配設され且つ前記油煙や臭気成分を加熱焼失するアフターバーナとを備えたグリルが知られている(例えば、特許文献1参照)。グリルのアフターバーナのガスの取込口は、炎口部に対してほぼ中心位置に配置されている。そして、グリルバーナのガスの取込口は、器具の後方に配置されており、アフターバーナのガスの取込口とは離れている。よって、グリルを上方から見たときに、アフターバーナのガスの取込口が、グリルバーナのガスの取込口を上方から塞いだり、被ったりすることがないため、メンテナンス時の作業性に問題はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5281985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のグリルとは異なり、グリルバーナのガスの取込口が、アフターバーナのガスの取込口に近い位置に配置されたグリルの場合、アフターバーナのガスの取込口が、グリルバーナのガスの取込口に被ってしまうため、メンテナンス時の作業性に影響が出る可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、ガスの取込口が、他のバーナの陰になったり、被さったりしないように配置できるアフターバーナ及びグリルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のアフターバーナは、グリル庫の排気ダクト内に取り付けられ、前記排気ダクト内を流れる燃焼排気に含まれる食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるアフターバーナであって、ガスを取り込む取込口と、前記取込口から所定方向に延び、前記取込口から取り込まれたガスが流入する筒状のガス流入部と、前記ガス流入部のガスが流れる方向の下流側一端部に接続され、前記ガス流入部から供給されるガスが流れるガス通路を内部に備える本体部と、前記本体部に設けられ、前記ガス通路から供給されるガスを燃焼して火炎を形成する複数の炎口を備えた炎口部とを備え、前記炎口部は、前記ガス流入部に対して前記所定方向に直交する方向にオフセットした位置に設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2のアフターバーナの前記ガス通路は、前記ガス流入部の前記下流側一端部から前記本体部側に傾斜して延びる傾斜部と、前記傾斜部のガスが流れる方向の下流側一端部と接続し、前記ガス流入部とは反対側に向けて直線状に延びる直線部と、前記傾斜部に設けられ、前記オフセットする方向に張り出し、前記直線部と接続する張出部とを備え、前記炎口部は、前記直線部から前記張出部にかけて対応する位置に直線状に設けられてもよい。
【0008】
請求項3のアフターバーナの前記傾斜部の前記下流側一端部が前記直線部と接続する位置は、前記炎口部の長さ方向の中間部に対応する位置であってもよい。なお、炎口部の長さ方向の「中間部」とは、長さ方向の厳密な中間位置を指すのではなく、例えば、左右方向に延びる炎口部を、右側部、中間部、左側部の3つの部位に分けた場合に、中間部の範囲を指す概念である。
【0009】
請求項4のアフターバーナの前記ガス通路は、前記ガス流入部とは反対側の先端側であるほど薄く形成されてもよい。
【0010】
請求項5のグリルは、食材を収容するグリル庫と、前記グリル庫内に設けられ、前記食材を加熱するグリルバーナと、前記グリル庫の後部から上方に延設され、前記グリル庫内からの燃焼排気を上方へ導く排気ダクトと、前記排気ダクト内に設けられ、請求項1から4の何れか一に記載のアフターバーナとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のアフターバーナによれば、炎口部に対してガスの取込口が所定方向に直交する方向にオーバーラップしてずれているので、アフターバーナを取込口が他のバーナの陰になったり被さったりしないように配置できる。これにより、保守作業者は、アフターバーナの取込口を気にすることなく、他のバーナを容易にメンテナンスできる。
【0012】
請求項2のアフターバーナによれば、ガス流入部からガス通路に供給されるガスは、傾斜部の延びる方向に沿って直線部の先端側に向かう流れを主流としつつ、張出部にも拡散しながら直線部に流入する。これにより、アフターバーナはガス通路内にガスを速やかに行き渡らせることができるので、炎口部においてガス分布を均一にできる。
【0013】
請求項3のアフターバーナによれば、傾斜部内でガスと空気を良好に混合しつつ直線部内に均一に流すことができる。
【0014】
請求項4のアフターバーナによれば、直線部においてガス分布をより均一にできる。
【0015】
請求項5のグリルによれば、請求項1から4の何れか一に記載の上記効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】グリル装置1の斜視図である。
図2】グリル装置1の断面斜視図である。
図3】上壁部を取り外した状態のグリル装置1の平面図である。
図4】アフターバーナ50の斜視図である。
図5】アフターバーナ50の平面図である。
図6】アフターバーナ50の底面図である。
図7】アフターバーナ50の正面図である。
図8】アフターバーナ50の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0018】
図1図4を参照し、グリル装置1の構成を説明する。グリル装置1は、図示しないコンロの筐体内に取り付けられる。図1図2に示すように、グリル装置1は、グリル庫2、グリル扉3、排気ダクト4等を備える。グリル装置1は本発明の「グリル」の一例である。
【0019】
グリル庫2は略直方体の箱状に形成され、上壁部11、右壁部12、左壁部13(図2参照)、底壁部14を備える。グリル庫2の前側には、正面視矩形状のグリル開口部(図示略)が設けられる。上壁部11には上火バーナ21が設けられる。上火バーナ21はグリル庫2内に向けて火炎を形成する。右壁部12内面の略中段には、下バーナ22の右炎口部(図示略)が設けられる。左壁部13内面の略中段には、下バーナ22の左炎口部24が設けられる。右炎口部と左炎口部24は前後方向に延び、同一高さ位置で互いに対向する。右炎口部と左炎口部24は、グリル庫2内に向けて火炎を形成する。なお、上火バーナ21と下バーナ22は本発明のグリルバーナに相当する。
【0020】
グリル扉3はグリル庫2前側に設けられ、グリル開口部(図示略)を開閉する。グリル扉3の背面下部には、支持枠16(図2参照)が固定される。支持枠16は、焼き網(図示略)と受皿17を着脱可能に支持する。支持枠16は、グリル庫2の底壁部14上面の左右両側に設けられたレール機構(図示略)により前後方向に移動可能に支持される。それ故、グリル扉3は支持枠16と一体して手前側に引き出し可能であり、焼き網と受皿17をグリル庫2外に同時に取り出せる。
【0021】
排気ダクト4はグリル庫2の後部から後側で且つ斜め上方に傾斜して延びる。排気ダクト4の内側は、排気ダクト4の前側に位置する後述の排気用開口38(図2図4参照)を介してグリル庫2内と連通する。排気ダクト4の上部には、グリル排気口39が設けられる。グリル排気口39は上方に向けて開口し、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。グリル庫2内からの燃焼排気は排気ダクト4内を上方に流れ、グリル排気口39から外部へ排出される。
【0022】
排気ダクト4の構造を説明する。図2に示すように、排気ダクト4は、ダクト本体30と底部材40を備える。ダクト本体30は、上部と底部が開口する平面視左右方向に長い箱状に形成される。底部材40は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、ダクト本体30の開口する底部に下側から閉塞するように固定されることで、排気ダクト4の底部を形成する(図2図3参照)。
【0023】
排気ダクト4内において、燃焼排気が流れる方向の上流側の下部には、アフターバーナユニット5が設けられる。アフターバーナユニット5の下流側で、且つ排気ダクト4の高さ方向略中段には、フレームトラップ110が取り付けられる。フレームトラップ110は消炎部材である。
【0024】
アフターバーナユニット5は、アフターバーナ50とバーナ支持部60を備える。アフターバーナ50は炎口部57を上面に備える。炎口部57は多数の炎口を備え、上方に向けて火炎を形成する。アフターバーナ50は、炎口部57に形成される多数の火炎により、燃焼排気中に含まれる食材から発生した油煙や臭気成分を焼き切ることで減少させる。
【0025】
バーナ支持部60は、平面視左右両側に延びる略矩形枠状に形成される。バーナ支持部60の中央には、平面視左右方向に長い略矩形状の開口部61が設けられる。バーナ支持部60の上面において、開口部61の右側には電極支持部62が固定され、開口部611の左側にはセンサ支持部63が固定される。電極支持部62はイグナイタ電極81を開口部61に向けて支持する。センサ支持部63は失火センサ82を開口部61に向けて支持する。
【0026】
アフターバーナ50は、バーナ支持部60の下面にネジで固定される。アフターバーナ50の炎口部57は、バーナ支持部60の開口部61に下側から挿入して位置決めされて、上方に向けて露出する。このようにして、アフターバーナユニット5が構成される。そして、バーナ支持部60の左右両端部が底部材40の上面の左右両側にネジで固定されることで、アフターバーナ50が排気ダクト4内の下部に支持される(図2図3参照)。アフターバーナ50の炎口部57は、水平面に対して、前端側よりも後端側が高くなるように傾斜(例えば、水平面に対して15°~25°)して配置される。
【0027】
図4図8を参照し、アフターバーナ50の構造を説明する。図4図5に示すように、アフターバーナ50は、取込部51、ガス流入部52、本体部53、ノズル支持部54を備える。取込部51は左右方向に延びる短軸の略円筒状に形成される。取込部51の右側には、円形状の開口である取込口51Aが設けられる。取込口51Aはノズル(図示略)から噴出されるガスとその周囲の空気を内側に取り込む。ノズルはガス供給管(図示略)の先端部に固定され、後述のノズル支持部54により、取込口51Aに対して右方から対向するように支持される。
【0028】
ガス流入部52は、取込部51から左方に延びる略円筒状に形成され、取込口51Aから取り込まれたガスを内側に流入させ、本体部53側に向けて供給する。ガス流入部52の左端側の上部には、傾斜部521が設けられる。傾斜部521は左方に向かうに従って斜め下方に傾斜する。ガス流入部52は、ガスが流れる方向の下流側において拡径する。
【0029】
本体部53は、板状部55とガス通路70を備える。板状部55は、ガス流入部52の左端部に接続されると共に、左右方向に延びる板状に形成される。板状部55は、前辺部551、第1後辺部552、第2後辺部553、右辺部554、左辺部555を備える。前辺部551は左右方向に直線状に延びる。第1後辺部552は、板状部55の右後方角部から左方に直線状に延びる。第2後辺部553は、第1後辺部552の左端部から左方に向かうに従って前側に傾斜して延びる。右辺部554は、前辺部551の右端部と接続し、第1後辺部552の右端部に向かって延びる。右辺部554と前辺部551の右端部が接続する部分は、略円弧状である。左辺部555は、前辺部551の左端部と、第2後辺部553の左端部とを接続する。左辺部555と前辺部551の左端部が接続する部分、第2後辺部553の左端部が接続する部分は、略円弧状である。ガス流入部52の左端部は、板状部55の右辺部554の後側部分と接続する。板状部55の上面は、バーナ支持部60に固定する為、平面形状を確保する。
【0030】
板状部55の上面の前辺部551側には、凸状部56が設けられる。凸状部56は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、上方に突出する。凸状部56の上面には、炎口部57が設けられる。炎口部57は平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、多数の炎口が集合して構成される。炎口部57は、ガス流入部52の軸心方向P(図4参照)に対し前方にオフセットした位置に設けられる。炎口部57を構成する多数の炎口は、後述のガス通路70と連通する。
【0031】
板状部55の右前方角部には、上下方向に貫通する固定穴557が設けられる。板状部55の左後方角部にも、上下方向に貫通する固定穴558が設けられる。固定穴557,558は、バーナ支持部60のネジで固定する為の固定穴である。
【0032】
図6図8に示すように、ガス通路70は、板状部55の内部であって下方に膨出して設けられる。ガス通路70は、ガス流入部52と連通する内部空間であり、ガス流入部52から供給されるガスを炎口部57に供給する。図4に示すように、ガス通路70は、傾斜部72、直線部73、張出部74等を備える。傾斜部72は、ガス流入部52の左端部から左方に向かうに従って前方に傾斜しながら延びる。
【0033】
直線部73は、左右方向に対して平行に延びる略直線状に形成される。傾斜部72のガスが流れる方向の下流側端部は、直線部73の中間部と接続する。直線部73の中間部とは、炎口部57の長さ方向の中間、より好ましくは中間よりやや左側の位置に対応する位置である。
【0034】
張出部74は、傾斜部72のガス流入部52と接続する部分から前方に張り出すようにして設けられ、直線部73の右端側と接続する。アフターバーナ50の底面視において、張出部74と直線部73が交差する角部76の角度αは鈍角がよいが、好ましくは100°~120°の範囲内がよく、本実施形態の角度αは110°である。
【0035】
また、傾斜部72及び直線部73の夫々の下面は左方に向かうほど斜め上方に傾斜することで、ガス通路70の内部空間の深さを左方に向かうほど絞るように形成される。
【0036】
ノズル支持部54は、板状部55の右辺部554の後側部分から右方に突出する平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。ノズル支持部54は、中央溝部541を備える。中央溝部541は、ノズル支持部54の前後方向の略中央部に沿って形成される。ノズル支持部54は、中央溝部541を中央に挟むようにして、前側壁部54Aと後側壁部54Bを備える。中央溝部541の左半分は、右半分よりもやや大きい矩形状に形成され、その内側にはガス流入部52が配置される。中央溝部541の右半分の内側には、3つの受け部542が左右方向に間隔を空けて設けられる。受け部542は下方に向けて円弧状に湾曲し、前側壁部54Aと後側壁部54Bの間に渡して設けられる。3つの受け部542は、ガス供給管の先端部に固定されたノズル(図示略)を支持する。これにより、ノズルは取込口51Aと対向して配置される。
【0037】
前側壁部54Aの前面の右側には、凹部545が設けられる(図4参照)。凹部545は後方に向かって平面視略U字状に窪んで形成される。図3に示すように、凹部545は、アフターバーナ50がグリル装置1に設置された状態で、取込部51の下方に配置される下バーナ22の取込部27の取込口27Aに対向配置されるノズル(図示略)に対応する位置に配置される。
【0038】
図3を参照し、グリル装置1における下バーナ22の取込部27と、アフターバーナ50の取込部51との位置関係を説明する。下バーナ22の取込部27は、グリル庫2の右壁部12の後側に配置される。取込部27はガスの取込口27Aを有する。アフターバーナ50は、下バーナ22よりも高い位置に配置される(図2参照)。それ故、アフターバーナ50の取込部51は、下バーナ22の取込部27よりも上側に配置される。ここで、アフターバーナ50の炎口部57は、下バーナ22の取込部27の左方に位置するので、炎口部に対しほぼ中心位置に取込口を備える従来のアフターバーナでは、下バーナ22の取込部27の真上に、アフターバーナの取込口が配置されることになる。
【0039】
そこで、本実施形態のグリル装置1では、上記の通り、アフターバーナ50の炎口部57は、取込部51の取込口51Aの軸心方向P(図4参照)に対して前方にオフセットした位置に設けられるので、取込部51は下バーナ22の取込部27よりも後方に配置される。これにより、アフターバーナ50の取込部51と、下バーナ22の取込部27を上方から見た場合、アフターバーナ50の取込部51は、下バーナ22の取込部27に対して前側にずれた位置に配置される。つまり、アフターバーナ50の取込部51が、下バーナ22の取込部27に上方から被さる位置に配置されないので、保守作業者は、アフターバーナ50を取り外すことなく、下バーナ22の取込部27のメンテナンス作業を上方から容易に行うことができる。
【0040】
また、アフターバーナ50の取込部51の周囲には、ノズル支持部54が配置され、下バーナ22の取込部27の周囲の上方に位置する。ノズル支持部54の前側壁部54Aの前面には凹部545が設けられているので、グリル装置1を上方から見たときに、凹部545の内側に、下バーナ22の取込口27Aに対向配置されるノズル(図示略)が位置する。これにより、保守作業者は、下バーナ22の取込口27Aに対向配置されるノズルに対して、ガス漏れ検査等の保守作業を容易に行うことができる。
【0041】
図6を参照し、アフターバーナ50におけるガスの流れを説明する。ガス供給管のノズルから噴出されたガスは、周囲の空気を巻き込みながら、アフターバーナ50の取込部51の取込口51Aの内側に取り込まれる。取込口51Aに取り込まれたガスは空気と混合しながら、ガス流入部52を左方に流れる(F1参照)。そして、傾斜部521において、ガスは板状部55の下側に潜り込み、ガス通路70に流入する。
【0042】
ガス通路70に流入したガスは、ガス通路70の底面側に向かって流れた後、そのまま底面に沿うようにして下流側に向けて流れ、その途中において一部が上昇したり、張出部74側に流れる等、複雑な挙動を示しながら拡散する。具体的に言うと、ガス通路70に流入した直後のガスは、ガス流入部52を通過したことによるガスの慣性力により、傾斜部72に沿った流れ(図6中F2参照)を主流としつつ、張出部74にも拡散しながら直線部73に流入する。傾斜部72に沿って流れるガスは、直線部73の中間部付近に流入し、直線部73の先端部(左端部)に向けて流れる(図6中F3参照)。一方、F2の流れから張出部74に拡散して流れたガスは、直線部73の中間部から上流側(右側)部分に流入し、F2の流れと合流しながら直線部73の先端部(左端部)に向けて流れる(図6中F3参照)。
【0043】
このように、傾斜部72を流れるガスはF2の流れのみならず、張出部74に拡散しながら直線部73に流入するので、傾斜部72と直線部73が接続する部分においてガスが集中しない。これにより、ガス通路70は、張出部74の無い構成、つまり傾斜部72と直線部73を一箇所で接続した構成と比較して、直線部73及び張出部74全体にガスを速やかに行き渡らせることができる。よって、アフターバーナ50は炎口部57の全域に亘ってガス分布を均一にできるので、炎口部57上を流れる燃焼排気を良好に加熱できる。
【0044】
また、張出部74と直線部73が交差する角部76の角度αを鈍角(本実施形態では110°)とすることで、張出部74の右縁部(直線部73側とは反対側の縁部)を、ガス流入部52側から直線部73側に向けて左斜め前方に傾斜させている。これにより、傾斜部72から張出部74に向かって拡散したガスは、直線部73の右端部にも無理なく回り込むことができるので、直線部73全体にガスを行き渡らせることができる。
【0045】
また、傾斜部72の下流側端部が直線部73の中央部と接続することにより、接続位置を直線部73の左端部に配置した構成、及び直線部73の右端部に配置した構成に比べて、傾斜部72でガスと空気を良好に混合しつつ直線部73に均一に流すことができる。これにより、炎口部57の各炎口において火炎を良好に形成できる。
【0046】
また、本実施形態では、傾斜部72のガス流入部52と接続する部分に張出部74を設け、その張出部74が前方に張り出して直線部73と接続することによって、左右方向に長い炎口部57を、直線部73の位置から張出部74の位置まで直線状に延ばしている。これにより、アフターバーナ50は、左右方向に長い炎口部57に対して、直線部73及び張出部74からガスを均一且つ速やかに供給できるので、各炎口に形成される火炎を均一にできる。
【0047】
さらに、ガス通路70は、傾斜部72及び直線部73の夫々の下面が左方に向かうほど斜め上方に傾斜することで、ガス通路70の内部空間は左方に向かうほど狭くなるように形成される。これにより、アフターバーナ50は、直線部73の先端部までガスをより速く到達させることができるので、直線部73においてガス分布をより均一化できる。これにより、炎口部57の各炎口に形成される火炎を均一にできる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のアフターバーナ50は、グリル庫2の排気ダクト4内に取り付けられ、排気ダクト4内を流れる燃焼排気に含まれる食材から発生した油煙と臭気成分を加熱して減少させるものである。アフターバーナ50は、取込口51A、ガス流入部52、本体部53、炎口部57を備える。取込口51Aはガスを取り込む。ガス流入部52は筒状に形成され、取込口51Aから左方向に延びる。ガス流入部52には、取込口51Aから取り込まれたガスが流入する。本体部53は、ガス流入部52のガスが流れる方向の下流側端部に接続される。本体部53の内部には、ガス通路70が設けられる。ガス通路70には、ガス流入部52から供給されるガスが流れる。炎口部57は、本体部53の上面に設けられる。炎口部57は、ガス通路70から供給されるガスを燃焼して火炎を形成する複数の炎口を備える。
【0049】
このような構成を備えるアフターバーナ50において、炎口部57は、本体部53の上面において、左右方向に対して平行に延びる矩形状に形成されると共に、前方にオフセットした位置に設けられる。炎口部57に対してガスの取込口51Aが後方にオーバーラップしてずれているので、アフターバーナ50をグリル装置1に設置したときに、アフターバーナ50を取込口51Aが下バーナ22の陰になったり被さったりしないように配置できる。これにより、保守作業者は、アフターバーナ50の取込口51Aを気にすることなく、下バーナ22を容易にメンテナンスできる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のグリル装置1は、コンロの筐体内に設置されるものであるが、それ単体のグリル装置であってもよい。グリル装置1は、本発明の「グリルバーナ」としての上火バーナ21と下バーナ22を備えるが、上火バーナ21は省略してもよい。排気ダクト4内において、フレームトラップ110は省略してもよい。
【0051】
上記実施形態のアフターバーナ50では、炎口部57の中心位置に対して、ガスの取込口51Aを後方にずらしているが、前方にずらしてもよい。この場合、板状部55の下面に設けられるガス通路は、上記実施形態のガス通路70と前後対称形状とすればよい。また、アフターバーナ50は右側に取込部51とガス流入部52を備え、左側に本体部53を備えるが、グリル装置1のガス供給管のノズルの位置に応じて左右逆の配置であってもよい。
【0052】
上記実施形態のアフターバーナ50は、バーナ支持部60に取り付けた状態で、排気ダクト4の底部材40に固定するが、これ以外の構成で排気ダクト4内に取り付けてもよく、アフターバーナ50を底部材40に直接固定してもよい。
【0053】
上記実施形態において、傾斜部72の下流側端部が直線部73と接続する位置は、炎口部57の長さ方向の中間部に対応する位置であるが、長さ方向の厳密な中間位置でなくてもよく、例えば、左右方向に延びる炎口部57を、右側部、中間部、左側部の三つに分けた場合に、そのうちの中間部の範囲であればよい。
【0054】
上記実施形態において、ガス通路70の直線部73は、ガス流入部52の軸心方向Pに対して平行に延びているが、必ずしも平行でなくてもよく、軸心方向Pに対して傾斜して延びていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 グリル装置
2 グリル庫
4 排気ダクト
22 下バーナ
50 アフターバーナ
51 取込部
51A 取込口
52 ガス流入部
53 本体部
57 炎口部
70 ガス通路
72 傾斜部
73 直線部
74 張出部
図1
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図8