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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163626
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20221019BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/12 101
F24F6/12 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068663
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅川 れんげ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 吉広
(72)【発明者】
【氏名】安藤 優香
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BB11
3L055DA02
3L055DA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全体を傾斜させることなく、噴霧の向きを調節可能な加湿器を提供する。
【解決手段】液体としての水100を収容し、水100からミスト(霧)を発生させるミスト発生部40を備えたタンク部10と、ミスト発生部40により発生したミストを外部に噴霧する噴霧口231を有する噴霧部23を備え、タンク部10の上部を覆って装着されるリッド部20と、を有し、噴霧部23は、噴霧口231に向かってミストを外部に噴霧させるファン部50を有し、噴霧する角度が調節可能なように、加湿器1を構成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し、前記液体からミストを発生させるミスト発生部を備えたタンク部と、
前記ミスト発生部により発生した前記ミストを外部に噴霧する噴霧口を有する噴霧部を備え、前記タンク部の上部を覆って装着されるリッド部と、を有し、
前記噴霧部は、前記噴霧口に向かって前記ミストを外部に噴霧させるファン部を有し、前記噴霧する角度が調節可能とされている、加湿器。
【請求項2】
前記ファン部は、前記噴霧口に向かって前記ミストを送出するように、前記噴霧口に対向して前記噴霧部の内部に装着されている、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記噴霧部は、前記噴霧口の角度が上下方向(鉛直方向)に調節可能である、請求項1又は2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記噴霧部の下部は半球状であり、前記リッド部において、回転移動が可能である、請求項1から3のいずれか1項に記載の加湿器。
【請求項5】
前記噴霧部は、前記リッド部において回転軸を有し、前記噴霧口の角度調節は、前記噴霧部の前記回転軸の周りの回転移動による、請求項4項に記載の加湿器。
【請求項6】
前記タンク部と前記リッド部の接続部分には、前記タンク部の前記ミスト発生部から前記リッド部に向かって発生する水柱(水とミストの混合物)から、主に前記ミストを前記リッド部に向かって通過させるミスト分離ガイドが設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の加湿器。
【請求項7】
前記噴霧部は、前記噴霧口に対向して内部に照明部を有し、前記照明部は、前記噴霧口に向かって照明光を出射する、請求項1から6のいずれか1項に記載の加湿器。
【請求項8】
前記タンク部は、外形が円筒状である、請求項1から7のいずれか1項に記載の加湿器。
【請求項9】
前記タンク部は、車両に備えられたドリンクホルダに装着される、請求項1から8のいずれか1項に記載の加湿器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の加湿器において、上方へ噴霧する構造を開示したものがある(例えば、特許文献1参照)。この加湿器は、水が収容された水槽内で浮遊し、中心部に中孔が上下に貫通形成される浮遊体と、中孔内に設置され、下部に流入する水を超音波振動によって加湿粒子に霧化するための超音波発生部と、浮遊体の上部に設置され、加湿粒子が内部のガイド孔に沿って上向移動するように案内する加湿粒子ガイド部と、加湿粒子ガイド部の内部に具備され、空気を加圧して、加圧された空気を通じて加湿粒子を上向移動させるための空気加圧部とを含んで構成されている。このような構成によれば、霧化したミストは、上下に貫通形成された中孔から、上方へ噴霧する。
【0003】
また、小型の加湿器において、噴霧向きの調整は、通販物品等に見られるように、本体毎傾斜させる構造が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-526023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術で開示された加湿器の構造では、発生したミストが使用者の方向へ向かわない。加湿器を、例えば、車両のインパネのドリンクホルダへ搭載する場合は、発生したミストが乗員の方向へ向かわない、ウィンドウ結露の要因になる場合がある、等の問題があった。また、使用者の方向へミストを噴霧する場合は、本体を傾斜させるためのスペースを必要とする分、使い勝手に劣る、等の問題もあった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、全体を傾斜させることなく、噴霧向きが調節可能な加湿器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、液体を収容し、前記液体からミストを発生させるミスト発生部を備えたタンク部と、前記ミスト発生部により発生した前記ミストを外部に噴霧する噴霧口を有する噴霧部を備え、前記タンク部の上部を覆って装着されるリッド部と、を有し、前記噴霧部は、前記噴霧口に向かって前記ミストを外部に噴霧させるファン部を有し、前記噴霧する角度が調節可能とされている、加湿器を提供する。
[2]前記ファン部は、前記噴霧口に向かってミストを送出するように、前記噴霧口に対向して前記噴霧部の内部に装着されていてもよい。
[3]また、前記噴霧部は、前記噴霧口の角度が上下方向(鉛直方向)に調節可能であってもよい。
[4]また、前記噴霧部の下部は半球状であり、前記リッド部において、回転移動が可能であってもよい。
[5]また、前記噴霧部は、前記リッド部において回転軸を有し、前記噴霧口の角度調節は、前記噴霧部の前記回転軸の周りの回転移動によるものでもよい。
[6]また、前記タンク部と前記リッド部の接続部分には、前記タンク部の前記ミスト発生部から前記リッド部に向かって発生する水柱(水とミストの混合物)から、主に前記ミストを前記リッド部に向かって通過させるミスト分離ガイドが設けられていてもよい。
[7]また、前記噴霧部は、前記噴霧口に対向して内部に照明部を有し、前記照明部は、前記噴霧口に向かって照明光を出射してもよい。
[8]また、前記タンク部は、外形が円筒状であってもよい。
[9]また、前記タンク部は、車両に備えられたドリンクホルダに装着されていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加湿器によれば、全体を傾斜させることなく、噴霧向きが調節可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、本発明の実施の形態に係る加湿器の全体斜視図であり、図1(b)は、噴霧部を上方向に角度調節して噴霧口からミストを出している使用状態を示す全体斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る加湿器の分解斜視図である。
図3図3は、図1におけるA―A断面図である。
図4図4は、図3において、噴霧部が調節されて、噴霧口が所定の角度だけ上方向に向いている状態を示す断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る加湿器が、車両のドリンクホルダに装着された状態を示す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔本発明の実施の形態〕
図1(a)は、本発明の実施の形態に係る加湿器の全体斜視図であり、図1(b)は、噴霧部を上方向に角度調節して噴霧口からミストを出している使用状態を示す全体斜視図である。図2は、本発明の実施の形態に係る加湿器の分解斜視図である。また、図3は、図1におけるA―A断面図である。
【0011】
(加湿器1の全体構成)
図1-3に示すように、本発明の実施の形態に係る加湿器1は、液体としての水100を収容し、水100からミスト120(霧)を発生させるミスト発生部40を備えたタンク部10と、ミスト発生部40により発生したミスト120を外部に噴霧する噴霧口231を有する噴霧部23を備え、タンク部10の上部を覆って装着されるリッド部20と、を有し、噴霧部23は、噴霧口231に向かってミスト120を外部に噴霧させるファン部50を有し、噴霧する角度が調節可能なように、構成されている。
【0012】
本発明の実施の形態に係る加湿器1は、加湿のためにミスト120(霧)を発生させるものであるため、タンク部10に入れる液体は、主に水100であるが、この水100に、香料、着色料、殺菌剤等を添加することが可能である。しかし、以下の説明では、本発明の実施の形態に係る加湿器としての説明であるので、タンク部10に入れる液体は水100であるものとして説明する。
【0013】
図1(a)に示すように、本発明の実施の形態に係る加湿器1は、持ち運び、移動可能なポータブル加湿器である。また、小型形状とされていることから、例えば、車両90の車室内に載置して使用することが可能である。加湿器1を構成する少なくともタンク部10を縦長の円筒形筐体とすることにより、車室内の、例えば、前席あるいは後席のドリンクホルダに載置して使用することが可能である。
【0014】
加湿器1は、タンク部10とリッド部20が組み合わされ、タンク部10に収容された水をミスト発生部40により霧化してミスト120(霧)を発生させる。タンク部10とリッド部20が一体となった内部空間からは、図1(b)に示す噴霧口231からのみミスト120を外部に噴霧できるように構成されている。このため、一体となったタンク部10とリッド部20は、後述する噴霧口231、空気取り入れ口232を除いて、水密性、気密性が確保されている。
【0015】
(タンク部10)
タンク部10は、内部に液体を収容できれば任意の形状でよいが、本実施の形態では、図2図3に示すように、縦長の円筒状とする。タンク部10は、下部カップ11、下部カップカバー12、ミスト発生部40で概略構成されている。下部カップ11は、内部に水100を収容できる有底の円筒状とされている。
【0016】
下部カップ11は、円筒部11a、及び、底部11bで概略構成されている。円筒部11aには、窓部11cが透過窓として形成され、内部の水の残量が確認できるようになっている。また、底部11bに対向する上方向は開口端11dとされて、後述するリッド部20と嵌合するように形成されている。
【0017】
下部カップカバー12も、円筒状の円筒部12a、及び、底部12bで概略構成されている。下部カップカバー12は、円筒部12aの内側に下部カップ11の円筒部11aが組み込まれて、下部カップ11の外側を覆うようにカバーする。円筒部12aには、窓部11cに対応した位置に窓部12cが透過窓として形成され、タンク部10の内部の水の残量が確認できる水量窓13となっている。また、底部12bに対向する上方向は開口端12dとされて、後述するリッド部20と嵌合するように形成されている。
【0018】
なお、図3に示すように、下部カップ11の内部に、カップ内照明部80を設けることができる。カップ内照明部80は、例えば、LED(Light Emitting Diode)が使用できる。LEDは、単色LED、RGB発光素子を備えて種々の色の発光が可能なLED、等が使用できる。これにより、上記したタンク部10の内部の水の残量確認が容易になる。また、図1(a)、(b)に示すように、タンク部10の水量窓13から出る照明光により、意匠的効果も期待できる。なお、カップ内照明部80の代わりに、タンク内の水に含まれる雑菌を殺菌するために、紫外線(特にUVC)を放出するLEDを備えても良いし、照明用LEDと殺菌用LEDの双方を併設することとしても良い。紫外線を放出するLEDを備える場合は、水量窓13を紫外線が透過しない材質にて構成したり、紫外線を放出するLEDの配置を、水量窓13に直接紫外線が向かわない様な位置としても良い。
【0019】
下部カップ11、下部カップカバー12は、例えば、PC(Polycarbonate)、ASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、AES(Acrylonitrile Ethylene Styrene)等の合成樹脂で形成できる。また、耐熱性、耐候性に優れた樹脂や、紫外線による殺菌効果を備える場合には耐UVC性に優れた樹脂を使用することができる。なお、窓部11c、窓部12cは、光を透過する透過窓として形成するので、例えば、下部カップ11を透明樹脂とし、下部カップカバー12は、窓部12cを穴部として開口窓としてもよい。下部カップカバー12は、意匠部材として機能するので、材着樹脂により種々の色を有してもよく、また、塗装等により種々の色を付けてもよい。
【0020】
なお、タンク部10は、下部カップ11、下部カップカバー12を別体として組み合わせることなく、一体に形成することも可能である。
【0021】
図3に示すように、下部カップ11の底部11bには、ミスト発生部40が取り付けられている。ミスト発生部40は、一例として、超音波振動子が使用できる。超音波振動子は、例えば、圧電セラミックスの振動子であり、振動子に高周波の交流電圧を加えると、超音波が発生する。発生した超音波の振動エネルギーは水面に伝わり、ある条件下では水面の一部が隆起して、そこから微細な霧が発生する霧化効果が得られる。
【0022】
本実施の形態では、ミスト発生部40から発生する超音波は、図3に示すZ方向、すなわち、リッド部20に向かう方向に向かうように取り付けられている。
【0023】
ミスト発生部40には、電源、信号等を伝達する配線41が接続されている。この配線41は、カップ内照明部80の配線と、後述するファン部50の配線51、照明部60の配線61と一緒に束ねられて、コード70としてタンク部10の外部に引き出されている。なお、配線41は、下部カップ11、下部カップカバー12に形成された貫通穴11e、12eに防水のために挿入されたグロメット71を介して外部に引き出されている。
【0024】
本実施の形態では、コード70がタンク部10から出て、外部の電源、信号源等と接続される態様とされているが、コード70を介さずに、外部の電源、信号源等と接続される態様としてもよい。例えば、有接点、無接点の接続部をタンク部10に備えることにより、外部の電源、信号源と接続される態様としてもよい。また、加湿器1の電源ボタン、調整ボタン等は図示省略しているが、例えば、タンク部10の任意の位置に設けることができる。あるいは、加湿器1は、外部の電源と接続することにより、自動的に動作するようにしてもよい。また、電源は外部に限らず、交換式の電池を用いたり、内部に充電池を備える充電式の様な、内部電源としても良い。
【0025】
(リッド部20)
リッド部20は、図2図3に示すように、上部カップ21、上部カップカバー22、噴霧部23(ファン部50、照明部60)で概略構成されている。リッド部20は、噴霧部23の内部がタンク部10で発生したミスト120を内部に収容でき、噴霧口231からミスト120を外部に噴霧できる。
【0026】
図2図3に示すように、上部カップ21は、噴霧部23を回転移動可能に支持する支持部21aと、支持部21aの周囲を全周で囲む筒状の筒状部21bで構成されている。支持部21aは、噴霧部23を回転可能に支持するように、円弧状、半球状とされている。噴霧部23の下部である支持部21aが半球状であるとは、半球状の形状を含んで、リッド部20において、噴霧部23が回転移動が可能であればよい。すなわち、半球状、あるいは、半球状の一部を含む形状であって、リッド部20における回転移動のガイドとなり得る形状であればよい。
【0027】
支持部21aの中央部には、タンク部10で発生させたミスト120を噴霧部23の内部空間23cに通過させるための開口部21eが形成されている。また、図2に示すように、筒状部21bの上端の2か所には、噴霧部23の回転軸を回転可能に支持する軸受け穴部21cが形成されている。
【0028】
図2図3に示すように、上部カップ21の下方向は、開口端21dとされて、タンク部10の開口端11dと嵌合するように形成されている。上部カップ21は、下部カップ11と、それぞれの開口端21d、開口端11d同士が嵌合して組み立てられて、接続される。これにより、上部カップ21と下部カップ11との接続箇所における水密性、気密性が確保される。
【0029】
上部カップカバー22は、図2図3に示すように、上部カップ21を上から押さえて固定するためのフランジ部22aと、フランジ部22aの周囲を全周で囲む筒状の筒状部22bで構成されている。
【0030】
図2図3に示すように、上部カップカバー22の下方向は、開口端22dとされて、タンク部10の開口端12dと嵌合するように形成されている。上部カップカバー22は、下部カップカバー12と、それぞれの開口端22d、開口端12d同士が嵌合して組み立てられて、接続される。これにより、上部カップカバー22と下部カップカバー12との接続箇所における水密性、気密性が確保される。
【0031】
したがって、タンク部10とリッド部20と接続部は、二重の水密性、気密性が確保されている。
【0032】
噴霧部23は、図2図3に示すように、上面部23aと、上面部23aの下側に、略半球状とされた半球部23bで構成されている。半球部23bの一部には、ミスト120を外部に噴出するための開口として噴霧口231が形成されている。また、上面部23aの一部には、外部から空気を取り込むための空気取り入れ口232が設けられている。
【0033】
噴霧部23の内部には内部空間23cが形成されており、この内部空間23cがタンク部10に一部連通するための、開口部23dが設けられている。これにより、タンク部10で発生したミスト120は、後述するミスト分離ガイド30、上部カップ21の開口部21e、噴霧部23の開口部23d、内部空間23cを通過して、噴霧口231から外部に噴出することができる。
【0034】
図3に示すように、噴霧部23の上面部23aの内側には、ミスト120を外部に噴霧させるファン部50が取り付けられている。ファン部50は、噴霧口231に向かってミスト120を送出するように、噴霧口231に対向して噴霧部23の内部に装着されている。なお、ファン部50から出力される風は、噴霧部23の内部の形状に沿って送出されて、結果的に噴霧口231に向かって送風できるように取り付けられていればよい。
【0035】
図3に示すように、噴霧部23の上面部23aの内側には、噴霧口231に対向して内部に照明部60が取り付けられている。照明部60は、噴霧口231に向かって照明光Lを出射することができる。
【0036】
照明部60は、例えば、LED(Light Emitting Diode)が使用できる。LEDは、単色LED、RGB発光素子を備えて種々の色の発光が可能なLED、等が使用できる。LEDは、噴霧口231に向かって照明光Lを出射するので、噴霧口231から噴霧されるミスト120が照明される。加湿ミストの自然な揺らぎや、高演色、低色温度による癒し効果が期待でき、これにより、リラックス照明とすることができる。
【0037】
上記したファン部50、照明部60は、噴霧部23内に取り付けられて、後述する噴霧部23の回転運動と連動して動く。したがって、噴霧口231からミスト120を安定して噴出させ、また、噴出するミスト120を安定して照明することができる。
【0038】
噴霧部23は、図2に示すように、回転移動のための回転軸23eが両側に形成されている。この回転軸23eは、上部カップ21の軸受け穴部21cに嵌合し、また、上部カップカバー22のフランジ部22aに押さえられて、回転可能に支持される。これにより、噴霧部23は、図4に示すR方向に、所定の角度だけ回転移動が可能となる。なお、回転軸23eと軸受け穴部21cは、ミスト漏れを抑制するべく、例えば、防水用のフランジを備えていたり、必要であれば、Oリング等のシール部材を装着してもよい。
【0039】
噴霧部23は、図3に示す、半球部23bの端部23f、23gが、それぞれ、上部カップ21の支持部21aの回転規制部21f、21gに当接するまでの範囲で回転移動できる。この回転規制によって、開口部21eが露出して水漏れすることが無い様になっている。この回転移動量は、例えば、0°から50°の範囲である。これにより、噴霧部23は、噴霧口231の角度が上下方向(鉛直方向)に所定の角度範囲で調節可能となる。なお、角度が0°のときは、噴霧口231はリッド部20の内部に収納された状態である。実施例では、連続的に噴霧口231の位置が仮固定される様に角度調整を可能としているが、所定の角度で段階的に仮固定される様に調節可能としても良い。特に、噴霧口231が半開き状態とならない最小角度で仮固定される様にしても良い。
【0040】
(ミスト分離ガイド30)
ミスト分離ガイド30は、図2図3に示すように、タンク部10とリッド部20の内部での接続部分に装着される部材である。ミスト分離ガイド30は、タンク部10のミスト発生部40からリッド部20に向かって発生する水柱(水とミストの混合物)から、主にミストをリッド部20に向かって通過させるものである。ミスト分離ガイド30は、下部カップ11の円筒部11aに嵌まり込む円筒部30aと、円筒部30aから内側に向かって複数延びる接続部30bと、接続部30bに支持されて接続部30bの中央に配置される中央部30cとから構成されている。各接続部30bの間は貫通穴30dとされ、ミスト120が通過できる。また、中央部30cは、上に凸の湾曲形状とされ、これにより、水柱から水のみを下に戻してミスト120を噴霧部23に向かって通過させることができる。
【0041】
従来、超音波振動子駆動時の水柱が水漏れの原因となるためタンク部と霧化室は分離構造となっていた。しかし、本実施の形態では、ミスト分離ガイド30は、タンク部10の上部を覆う、穴の開いた内蓋として機能するので、従来のような分離構造とすることなく、タンク部10内にミスト発生部40を載置することができる。
【0042】
リッド部20を構成する上部カップ21、上部カップカバー22、噴霧部23、および、ミスト分離ガイド30は、例えば、PC(Polycarbonate)、ASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、AES(Acrylonitrile Ethylene Styrene)等の合成樹脂で形成できる。また、上部カップカバー22、噴霧部23は、意匠部材として機能するので、材着樹脂により種々の色を有してもよく、また、塗装等により種々の色を付けてもよい。
【0043】
(ミスト発生の動作)
図4は、図3において、噴霧部23が調節されて、噴霧口231が所定の角度だけ上方向に向いている状態を示す断面図である。ミスト発生部40により超音波を発生させると、超音波45が上方向に向かって発生する。水100の水面100aから、水100とミスト120が混じった水柱110がミスト分離ガイド30に向かって上昇する。
【0044】
水柱110を構成する水100は、主に、ミスト分離ガイド30の中央部30cに当たって下方向に落下する。一方、ミスト120は、ミスト分離ガイド30の貫通穴30dを通過する。これにより、水柱110から水のみを下に戻してミスト120を効率よく噴霧部23に向かって通過させることができる。この通過したミスト120は、さらに、上部カップ21の開口部21e、噴霧部23の開口部23d、内部空間23cを通過して、噴霧口231から外部に噴出することができる。
【0045】
ファン部50は、噴霧口231に向かって空気を送出する。ファン部50が動作すると、噴霧部23の空気取り入れ口232から空気を吸い込み、図4に空気の流れを矢印Bで示すように、内部空間23cを通過して、噴霧口231から外部に向かって送風する。この送風される空気に乗ってミスト120が噴霧口231から外部に噴出される。
【0046】
照明部60は、噴霧口231に向かって照明光Lを出射することができる。これにより、噴霧口231から外部に噴出されるミスト120は、照明光Lにより効果的に照明される。照明部60は、種々の色、強弱、グラデーションを伴って変化する光、等を出力することができる。これにより、加湿ミストの自然な揺らぎや、高演色、低色温度による癒し効果が期待でき、リラックス照明とすることが期待できる。また、照明部60のLEDを太陽光LED等演色性の高いものを利用することで、さらに効果UPも期待できる。
【0047】
(本発明の実施の形態に係る加湿器1の使用方法)
加湿器1を使用しないときは、図1(a)に示すように、リッド部20の噴霧部23を閉じた状態としておくことができる。加湿器1を使用するときは、図1(b)に示すように、噴霧部23を、図4に示すR方向に、所定の角度だけ回転移動させて角度調節を行なう。これにより、噴霧口231が露出し、噴霧口231からミスト120を外部に噴出させることができる。
【0048】
(車両への適用例)
図5は、本発明の実施の形態に係る加湿器1が、車両90のフロアコンソール91に設けられたドリンクホルダ92に装着された状態を示す全体斜視図である。加湿器1は、例えば、車両90の前席あるいは後席のドリンクホルダ92に加湿器1のタンク部10を差し込むことで簡単に装着できる。車両90のドリンクホルダ92は、一般に円筒形状の凹部で形成されている。したがって、タンク部10もドリンクホルダ92の内径に適合可能な円筒形状として形成されているのが好ましい。
【0049】
図1(a)、(b)に示したコード70は、車両90の電源アダプタ93に接続されるようにしてもよい。また、加湿器1がコード70を有さずに外部の電源、信号源等と接続される態様の場合は、例えば、ドリンクホルダ92の下部に有接点、無接点の接続部を備え、車両側の電源、信号源等と接続される態様とされていてもよい。
【0050】
加湿器1は、図5に示すように、円筒形状のタンク部10が円筒形状のドリンクホルダ92に収容されて装着されている。これにより、加湿器1は、車両90の上方向軸Zの周りに、任意の角度θで回転調整することができる。また、前述したように、噴霧口231は、所定の角度範囲で任意の角度調節ができるので、加湿器1は、全方向に対して、ミスト120を出すことが可能である。これにより、例えば、乗員の要求位置に確実にミストを当てることができる。その結果、例えば、フロントガラスの結露がしにくくなる、等の効果が期待できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0052】
1…加湿器、
10タンク部、11…下部カップ、11a…円筒部、11b…底部、11c…窓部、11d…開口端、11e…貫通穴、12…下部カップカバー、12a…円筒部、12b…底部、12c…窓部、12d…開口端、12e…貫通穴、13…水量窓
20…リッド部、21…上部カップ、21a…支持部、21b…筒状部、21c…軸受け穴部、21d…開口端、21e…開口部、21f、21g…回転規制部
22…上部カップカバー、フランジ部22a…、筒状部22b…、開口端22d
23…噴霧部、23a…上面部、23b…半球部、23c…内部空間、23d…開口部、23e…回転軸、23f、23g…端部
231…噴霧口、232…空気取り入れ口
30…ミスト分離ガイド、30a…円筒部、30a…円筒部、30c…中央部、30d…貫通穴
40…ミスト発生部、41…配線、45…超音波
50…送風ファン、51…配線
60…照明部、61…配線
70…コード、71…グロメット
90…車両、91…フロアコンソール、92…ドリンクホルダ、93…電源アダプタ
100…水、100a…水面、110…水柱、120…ミスト(霧)
図1
図2
図3
図4
図5