(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163648
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20221019BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068728
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】519389362
【氏名又は名称】エイベックス・テクノロジーズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩永 朝陽
(72)【発明者】
【氏名】木野 穣
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 佳樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノンファンジブルトークンを利用することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理システム(抽選システム)において、サーバ装置20は、ノンファンジブルトークンが管理されるブロックチェーンと通信可能に接続され、抽選によりユーザに提供する商品を決定する抽選処理部211と、決定された商品に対応するノンファンジブルトークンをユーザに対して発行するトークン発行部と、商品の取引を行う取引処理部214と、を備える。取引処理部214は、商品の取引が行われたときに、取引対象の商品に対応するノンファンジブルトークンを商品の販売先に移転させるブロックチェーンのトランザクションを発行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノンファンジブルトークンが管理されるブロックチェーンと通信可能に接続され、
抽選によりユーザに提供する商品を決定する抽選処理部と、
決定された前記商品に対応するノンファンジブルトークンを前記ユーザに対して発行するトークン発行部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記商品の取引を行う取引処理部をさらに備え、
前記取引処理部は、前記商品の取引が行われたときに、取引対象の前記商品に対応する前記ノンファンジブルトークンを前記商品の販売先に移転させる前記ブロックチェーンのトランザクションを発行すること、
を特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノンファンジブルトークンを用いて借入又は貸付の管理を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノンファンジブルトークンのさらなる利用が模索されている。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、ノンファンジブルトークンを利用することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、ノンファンジブルトークンが管理されるブロックチェーンと通信可能に接続され、抽選によりユーザに提供する商品を決定する抽選処理部と、決定された前記商品に対応するノンファンジブルトークンを前記ユーザに対して発行するトークン発行部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノンファンジブルトークンを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る抽選システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】サーバ装置20のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】サーバ装置20のソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
ノンファンジブルトークンが管理されるブロックチェーンと通信可能に接続され、
抽選によりユーザに提供する商品を決定する抽選処理部と、
決定された前記商品に対応するノンファンジブルトークンを前記ユーザに対して発行するトークン発行部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記商品の取引を行う取引処理部をさらに備え、
前記取引処理部は、前記商品の取引が行われたときに、取引対象の前記商品に対応する前記ノンファンジブルトークンを前記商品の販売先に移転させる前記ブロックチェーンのトランザクションを発行すること、
を特徴とする情報処理システム。
【0011】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る抽選システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の抽選システムは、サーバ装置20を含んで構成される。サーバ装置20は、ユーザ端末10と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0012】
サーバ装置20は、ブロックチェーンネットワーク30とも通信可能に接続される。ブロックチェーンネットワーク30は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みににより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーンネットワーク30は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0013】
イーサリアムなどのブロックチェーンネットワーク30によって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク30上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワーク30において記録される。ブロックチェーンネットワーク30の分散台帳では、NFTの所有者及び所有者履歴も記録される。
【0014】
本実施形態の抽選システムは、抽選によりユーザに商品を提供することを想定する。商品は、有体物の物品であってもよいし、デジタルデータであってもよい。抽選により提供されるデジタルデータとしては、例えば、ゲームに用いられるアイテムであってもよいし、
【0015】
<管理サーバ>
サーバ装置20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0016】
図2は、サーバ装置20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。サーバ装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0017】
図3は、サーバ装置20のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ装置20は、抽選処理部211、商品提供部212、NFT発行部213、取引処理部214、商品情報記憶部231を備える。
【0018】
商品情報記憶部231は、商品に関する情報(商品情報)を記憶する。商品情報には、例えば、商品を特定する商品ID、商品名、商品の所有者であるユーザ示す情報(所有者ID)、商品の提供方法などを含めることができる。商品がデジタルデータの場合には、商品情報にデジタルデータを含めるようにしてもよい。また、商品が有体物の実商品である場合には、商品が格納されている倉庫を示す情報などを商品情報に含めるようにしてもよい。商品は個別に識別可能であるものとし、1つの商品について1つの商品情報を登録しておくことができる。商品が販売前のものである場合、所有者IDには、値を設定しない(NULL値を設定する)ものとするが、例えば、メーカーを示すIDを設定するようにしてもよい。
【0019】
抽選処理部211は、抽選によりユーザに提供する商品を決定する。抽選処理部211は、例えば、法定通貨や仮想通貨、ポイントなどの支払をユーザから受け付け、支払に応じて抽選を行うことができる。サーバ装置20が、例えば、ゲームを実行するゲーム実行部を備え、ユーザに対してゲームを提供する場合に、抽選処理部211は、ユーザがゲームに用いることのできるキャラクタやアイテムなどのゲーム媒体を取得するべく抽選を行うことができる。抽選処理部211は、商品情報記憶部231に登録されている商品情報のうち所有者IDが設定されていないものの中から、例えば、ランダムに、あるいは所定のアルゴリズムにより、ユーザに提供する商品を決定することができる。
【0020】
商品提供部212は、抽選処理部211が決定した商品をユーザに提供するための処理を行う。商品提供部212は、例えば、商品がデジタルデータである場合には、商品をユーザのユーザ端末10に対して送信するようにしてもよいし、デジタルデータを格納したURLを発行し、URLをユーザ端末10に通知するようにしてもよい。また、サーバ装置20において、ユーザが保持している商品を管理する商品管理部を備えている場合には、当該商品管理部に、例えば、デジタルデータをファイルとして、あるいは、データベースのレコードとして登録することができる。また、商品が有体物である場合には、商品提供部212は、例えば、倉庫から配送先への出荷処理などを行うこともできる。
【0021】
NFT発行部213は、ユーザに提供された商品に対応するNFTを発行する。NFTには、商品を示す商品IDと、商品が提供されたユーザを示すユーザIDとが含まれうる。すなわち、NFTには、商品の所有者が記録される。NFT発行部213は、ブロックチェーンネットワーク30を構成するノードに対してトークンを発行するためのトランザクションを発行することができる。ブロックチェーンネットワーク30の分散台帳に管理されるNFTは、改ざんが困難であることから、NFTは、ユーザに提供された商品が、当該ユーザの所有物であることが証する証明書として機能する。
【0022】
取引処理部214は、商品の取引を行う。取引処理部214は、商品の所有者であるユーザから、商品の譲渡先のユーザの指定を受け付けて、商品の取引を行うことができる。取引処理部214は、商品の譲渡対価を譲渡先のユーザに課金する課金処理部を備えるようにしてもよい。取引処理武214は、商品の譲渡が行われた場合に、取引対象の商品に対応するNFTを、商品の譲渡先のユーザに移転させるトランザクションを発行することができる。商品の移転をサーバ装置20を介して行うことにより、商品の現在の所有者をブロックチェーンネットワーク30のNFTにより証明することが可能となる。
【0023】
<動作>
図4は、抽選処理の流れを説明する図である。
【0024】
抽選処理部211は、ユーザ端末10から商品の取得リクエストを受信すると(S301)、商品情報記憶部231に記憶されている商品情報のうち、所有者IDが設定されていないものの中から所定のアルゴリズムにより、当該ユーザに提供する商品を決定する抽選を行う(S302)。商品提供部212は、抽選処理部211が決定した商品を、ユーザに移転する処理を行う(S303)。商品提供部212は、例えば、商品情報の所有者IDにユーザを示すユーザIDを設定することができる。また、商品提供部212は、例えば、デジタルデータである商品をユーザ端末10に送信し、あるいは、デジタルデータをダウンロードするためのURLを発行してユーザ端末10に送信することができる。商品が有体物である場合、商品提供部212は、例えば、出荷、配送などの依頼を発行することができる。NFT発行部213は、商品情報に対応するNFTをブロックチェーンネットワーク30で発行する(S304)。NFTには、商品情報の商品IDと、当該ユーザを示すユーザIDとが設定されうる。
【0025】
以上のようにして、抽選によりユーザに商品を提供するにあたり、商品に対応するNFTを発行することができる。
【0026】
【0027】
取引処理部214は、商品の取引リクエストをユーザ端末10から受信することができる。取引リクエストには、商品を示す商品ID、商品の譲渡先となるユーザを示すユーザID、譲渡価格が設定されうる(S321)。取引処理部214は、譲渡先に対して譲渡価格の課金を行うことができる(S322)。取引処理部214は、商品IDが示す商品を譲渡先のユーザに移転させるための処理を行う(S322)。取引処理部214は、例えば、商品情報の所有者IDを、譲渡先のユーザIDに更新することができる。取引処理部214は、当該デジタルデータそのものを、あるいは、デジタルデータをダウンロードするためのURLを、譲渡先のユーザのユーザ端末10に送信することができる。取引処理部214は、デジタルデータの商品をサーバ装置20が管理している場合には、譲渡前の所有者であるユーザに対応するデジタルデータをサーバ装置20の記憶装置から削除することもできる。有体物の商品である場合には、取引処理部214は、例えば、商品が譲渡先のユーザに到着したことの入力を譲渡先のユーザから受け付け、当該入力に応じて商品の移転が行われたものとして商品情報を更新するようにしてもよい。取引処理部214はまた、当該商品に対応するNFTの所有者を譲渡先のユーザIDに更新するように、ブロックチェーン30にトランザクションを発行することができる(S324)。
【0028】
以上のようにして、商品の取引に連動してNFTを移転させ、NFTにより所有者の履歴を検証可能とするとともに、現在の所有者を証明することができる。
【0029】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0030】
例えば、本実施形態では、サーバ装置20は、ユーザ端末10からのリクエストに応じて抽選を行うものとしたが、これに限らず、ユーザ端末10がアクセスしている外部サーバからのリクエストに応じて抽選を行うようにしてもよい。サーバ装置20は、例えば、API(Application Programming Interface)を提供し、外部サーバはこのAPIを呼び出すことにより抽選を行うようにすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、サーバ装置20が商品を提供するものとしたが、サーバ装置20とは異なる外部サーバにおいて商品の提供に係る処理(例えば、デジタルデータの場合にはダウンロード用のURL通知処理やデジタルデータの送信処理、有体物の場合には出荷発送処理など)を行うようにしてもよい。
【0032】
抽選をサーバ装置20以外の外部サーバで行うようにすることもできる。例えば、サーバ装置20以外のゲームサーバがゲームを提供しているときに、ゲーム媒体を取得するための抽選処理をゲームサーバで行うようにし、サーバ装置20は、抽選結果としてゲーム媒体を一意に識別するゲーム媒体IDとゲームのプレイヤを識別するユーザIDとの通知をゲームサーバから受けて、ゲーム媒体IDとユーザIDとを設定したNFTを発行するようにすることができる。
【符号の説明】
【0033】
211 抽選処理部
212 商品提供部
213 NFT発行部
214 取引処理部
231 商品情報記憶部