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  • 特開-携帯用保温容器の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163667
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】携帯用保温容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/00 20060101AFI20221019BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20221019BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
A47J41/00 302
B29C43/18
B29K101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021092612
(22)【出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(72)【発明者】
【氏名】城戸 大作
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕久
(72)【発明者】
【氏名】栗林 真希
(72)【発明者】
【氏名】湧川 大
(72)【発明者】
【氏名】鍋谷 勇介
(72)【発明者】
【氏名】松永 佑介
(72)【発明者】
【氏名】塩見 英世
【テーマコード(参考)】
4B002
4F204
【Fターム(参考)】
4B002AA02
4B002BA22
4B002CA34
4B002CA43
4F204AA36
4F204AC03
4F204AD06
4F204AD12
4F204AD19
4F204AG03
4F204AG07
4F204AH55
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
4F204FF05
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】携帯用保温容器の外周部に、簡便かつ低廉な方法で所望形状の材木層を形成する。
【解決手段】携帯用保温容器の製造方法であって、木製の薄板材に熱硬化性樹脂を含侵させ第1中間素材を得る第1の工程と、第1中間素材を保温容器本体の表面に巻回積層して、積層部を有する第2中間素材を得る第2の工程と、第2中間素材を成形型4の空洞内へ圧入し、空洞の内面に積層部が密着した第3中間素材7を得る第3の工程と、第3中間素材を空洞内で加熱し熱硬化性樹脂を硬化させて第4中間素材8を得る第4の工程と、成形型を分割して空洞から第4中間素材を取出す第5の工程と、を少なくとも含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の薄板材に熱硬化性樹脂を含侵させ第1中間素材を得る第1の工程と、
前記第1中間素材を保温容器本体の表面に巻回積層して、積層部を有する第2中間素材を得る第2の工程と、
前記第2中間素材を成形型の空洞内へ圧入し、前記空洞の内面に積層部が密着した第3中間素材を得る第3の工程と、
前記第3中間素材を前記空洞内で加熱し熱硬化性樹脂を硬化させて第4中間素材を得る第4の工程と、
前記成形型を分割して前記空洞から前記第4中間素材を取出す第5の工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする携帯用保温容器の製造方法。
【請求項2】
前記第4中間素材において積層部の厚さが2ミリメートル以上となるように第1乃至第4の工程が調整された、
請求項1に記載の携帯用保温容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用保温容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス製魔法瓶やステンレス等の金属製魔法瓶は、携帯用の保温容器として一般に用いられている。これら保温容器は内瓶と外瓶の間を真空にした二重構造が一般的である。そして、装飾性や触感の向上および断熱や衝撃保護などの目的で、外瓶の外側に木材の層を設ける、すなわち木材層で外周を被覆することが求められることがある。
【0003】
そのようなニーズに対し、材木の塊から所望形状を削り出して、くり抜いた穴部に保温容器本体を嵌め込む方法が考えられるが、削り出しに伴う作業工程の煩雑さやコストが嵩むことから、実用的な方法ではなかった。
【0004】
それに対し、特公昭57-5533号において、周方向に細分化され軸方向に延びる材木片(真直帯板)を周方向に隣接配置し、相互に角度を持って突合せ接着することで円筒状のカバーを形成し、カバーの外表面を切削や塗装で仕上げた後に保温容器本体を嵌め込む、という工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭57-5533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、材木片(真直帯板)の形状を正確に形成し、それら同士を隣り合わせて隙間なく接着した後に外表面を仕上げるという工程は、なお煩雑かつ高コストであり合理的ではない。また、構造上、木材の経年の収縮に耐えられず接着面が剥離する懸念や、接着剤の劣化や衝撃により剥離する懸念もあり、耐久性においても問題がある。
【0007】
そこで本発明は、保温容器の外周部に簡便かつ低コストな方法で所望厚さの材木層を形成するとともに耐久性も担保できる、携帯用保温容器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために本発明の携帯用保温容器の製造方法は、木製の薄板材に熱硬化性樹脂を含侵させて第1中間素材を得る第1の工程と、前記第1中間素材を保温容器本体の表面に巻回積層して積層部を有する第2中間素材を得る第2の工程と、該第2中間素材を成形型の空洞内へ圧入し、前記空洞の内面に積層部が密着した第3中間素材を得る第3の工程と、該第3中間素材を前記空洞内で加熱し熱硬化性樹脂を硬化させて第4中間素材を得る第4の工程と、前記成形型を分割して前記空洞から前記第4中間素材を取出す第5の工程と、を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、前記第4中間素材において巻回積層された層の厚さが2ミリメートル以上となるように第1乃至第4の工程を調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯用保温容器の保温容器本体の外周部に、簡便かつ低コストな方法で所望厚さの材木層を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の工程に係る第1中間素材の斜視図である。
図2】本発明の第2の工程に係る斜視図である。
図3】本発明の第3の工程に係る斜視図である。
図4】本発明の第4の工程に係る斜視図である。
図5】本発明の第4中間素材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の望ましい実施形態について図を参照して説明する。本発明の携帯用保温容器の製造方法における最初の工程は、所定の大きさに切断した木製の薄板材に熱硬化性樹脂を含侵させて第1中間素材1を得る第1の工程である。図1に第1中間素材1を示す。薄板材の厚さは0.5~3mmが好適で、杉材や檜材が好ましい。単層や積層した木製薄板材にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを含侵させること及びその方法は周知であり、適宜それら方法を使用すれば良い。
【0013】
次に、図2において第2の工程を説明する。熱硬化性樹脂を含侵した第1中間素材1の始端(先端部)を、保温容器本体2の外面に接着やテーピングで固定し、保温容器本体2を回転駆動して第1中間素材1を巻回積層して行く。第1中間素材1の後端部が巻き付いたら、保温容器本体2の外部に積層部が形成された第2中間素材3が得られる。なお、第1中間素材1の後端部は積層部の表面へ適宜仮止めすると良い。また、保温容器本体2の回転駆動トルクと第1中間素材1を反対へ引っ張るテンションとを適宜バランスさせると、適正な積層部を形成し易い。なお、巻き取り装置およびテンション付与装置は周知であるので、説明と図示を省略する。
【0014】
保温容器本体2は金属製でもガラス製でも樹脂製でも構わないが、内瓶と外瓶の間に真空層が形成されており、単独で保温機能を有している。外瓶の形状は円筒状に限らず、曲面でも凸凹を有していても良い。なお、保温容器本体2には、図示しない蓋部が装着されて保温容器として機能するが、説明の簡略化のため本件では蓋部を図示していない。なお、本件における保温容器本体2は蓋部を含まないが、蓋部までを含めて同一加工を施しても構わない。
【0015】
次に、図3において第3の工程を説明する。熱硬化性樹脂を含侵する積層部を有する第2中間素材3を、成形型4に穿設された空洞6内へ圧入する。成形型4は空洞6を通る分割面5を境界として複数個に分割が可能となっている。空洞6は、金型4を貫通する筒状でも良いし有底筒状でも良い。金型4内の空洞6周囲には図示しないヒータ機構が内装されており、空洞6の壁面を任意温度に加熱維持できる。
【0016】
圧入とは、図の上方から下方へ第2中間素材3を移動させ強制的に空洞6内へ納めることであり、空洞6壁面による積層部の圧縮を伴う。汎用の圧入機やプレス機を用いると好適である。なお、周知事項であるので、プレス機および第2中間素材3後端(上端)を押圧して押し込む駆動装置は図示していない。第3の工程によって、第2中間素材3は空洞6内へ圧入されて納められ、第3中間素材7を得る。
【0017】
次に、図4において第4の工程を説明する。第3中間素材7が空洞6内へ納められた状態で、ヒータ機構を稼働させて空洞6壁面を任意温度に昇温し一定時間維持する。このような加圧圧縮によって、第3中間素材7の積層部に含侵された熱硬化性樹脂が硬化し、積層が相互に接着されるとともに形状固定される。すなわち、空洞6壁面の形状が積層部へ転写された状態で固定され、保温容器本体2の外側に所望厚さ・形状の積層部8が形成された第4中間素材8を得る。
【0018】
次に、成形型4を分割面5において相互に離反させて、図5のように第4中間素材8を空洞6から取り出す。取出した後に第4中間素材8を強制冷却しても良いし、自然冷却(放置)しても良い。第4中間素材8を冷却後に、更に外周表面を研磨や塗装しても良いし、そのまま最終製品としても良い。もちろん、図示しない蓋部の装着が必須である。
【0019】
第4中間素材8(あるいは最終製品)の外周には一定厚さの積層部9が形成されているが、その厚さ(放射方向の積層厚)は、目的に応じて適宜設定すれば良い。例えば、人が手で持った際の木の感触の良さや温かみを求めるのであれば、2mm以上とするのが好適である。その場合、熱硬化および圧入による積層部の収縮分を見込んで、第1乃至第4の工程における積層部厚さや温度管理が調整されると良い。また、耐水性や衝撃吸収性を求めるのであれば、そのような積層部厚さや樹脂含侵量を設定すれば良い。
【0020】
以上、本発明の実施形態を説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し範囲の変更があっても本発明に包含される。第4中間素材8の積層部9は中央部がくびれた(相対的に細径の)形状であるが、これに限らず外へ膨出していたり、凸凹や波状や螺旋状であったり、積層部の厚さの範囲内で表面形状を任意に設定して構わない。
【符号の説明】
【0021】
1 第1中間素材
2 保温容器本体
3 第2中間素材
4 成形型
5 分割面
6 空洞
7 第3中間素材
8 第4中間素材
9 積層部
図1
図2
図3
図4
図5