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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163684
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】固体電解コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/012 20060101AFI20221019BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01G9/012 301
H01G9/012 303
H01G9/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009237
(22)【出願日】2022-01-25
(62)【分割の表示】P 2021068223の分割
【原出願日】2021-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148840
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100191673
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 久典
(72)【発明者】
【氏名】高田 一志
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 正弥
(72)【発明者】
【氏名】安部 聡
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和明
(57)【要約】
【課題】薄型化を実現可能な構造を有する固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】固体電解コンデンサ100は、コンデンサ素子200と、陽極外部端子300と、陰極外部端子400と、外装樹脂600とを備えている。コンデンサ素子200は、陽極リードワイヤ210と、陽極体230と、陰極層220とを有している。陰極外部端子400は、上側部410と、下側部450と、連結部430とを有している。陰極外部端子400と陽極外部端子300とは、上下方向と直交する所定方向において互いに離れて位置している。連結部430は、上側部410と下側部450とを互いに連結している。上側部410及び下側部450の一方は、上側部410及び下側部450の他方よりも、所定方向において長い。外装樹脂600は、陽極外部端子300と陰極外部端子400とを部分的に露出させた状態でコンデンサ素子200を覆っている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサ素子と、陽極外部端子と、陰極外部端子と、外装樹脂とを備える固体電解コンデンサであって、
前記コンデンサ素子は、陽極リードワイヤと、陽極体と、陰極層とを有しており、
前記コンデンサ素子は、上下方向において上面及び下面を有しており、
前記陽極外部端子は、前記陽極リードワイヤに接続されており、
前記陰極外部端子は、前記陰極層に接続されており、
前記陰極外部端子と前記陽極外部端子とは、前記上下方向と直交する所定方向において互いに離れて位置しており、
前記陰極外部端子は、上側部と、下側部と、連結部とを有しており、
前記上側部は、前記上下方向において前記コンデンサ素子の前記上面の上方に位置しており、
前記下側部は、前記上下方向において前記コンデンサ素子の前記下面の下方に位置しており、
前記連結部は、前記上側部と前記下側部とを互いに連結しており、
前記上側部及び前記下側部の一方は、前記上側部及び前記下側部の他方よりも、前記所定方向において長く、
前記外装樹脂は、前記陽極外部端子と前記陰極外部端子とを部分的に露出させた状態で前記コンデンサ素子を覆っている
固体電解コンデンサ。
【請求項2】
請求項1記載の固体電解コンデンサであって、
前記上側部は、前記上下方向において上面及び下面を有しており、
前記上側部の前記下面は、前記上側部の前記上面よりも大きく、
前記下側部は、前記上下方向において上面及び下面を有しており、
前記下側部の前記上面は、前記下側部の前記下面よりも大きい
固体電解コンデンサ。
【請求項3】
請求項2記載の固体電解コンデンサであって、
前記上側部の前記所定方向におけるエッジは、前記所定方向に対して少なくとも部分的に斜交しており、
前記下側部の前記所定方向におけるエッジは、前記所定方向に対して少なくとも部分的に斜交している
固体電解コンデンサ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記上下方向及び前記所定方向の双方と直交する幅方向において、前記連結部は、前記上側部及び前記下側部のいずれよりも細い
固体電解コンデンサ。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記連結部は、第1連結要素と、連結主部と、第2連結要素とを有しており、
前記第1連結要素は、前記上側部と前記連結主部とを互いに連結しており、
前記連結主部は、前記第1連結要素と前記第2連結要素とを互いに連結しており、
前記第2連結要素は、前記連結主部と前記下側部とを互いに連結しており、
前記上下方向及び前記所定方向の双方と直交する幅方向において、前記第1連結要素は、前記上側部及び前記下側部のいずれよりも細く、
前記幅方向において、前記第2連結要素は、前記上側部及び前記下側部のいずれよりも細い
固体電解コンデンサ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記下側部と前記陰極層とは、導電性接着剤で接続されている
固体電解コンデンサ。
【請求項7】
請求項6記載の固体電解コンデンサであって、
前記下側部は、前記上下方向において上面及び下面を有しており、
前記下側部の前記上面には、凹凸が形成されている
固体電解コンデンサ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、前記陽極外部端子に対してレーザ溶接されている
固体電解コンデンサ。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、前記外装樹脂の表面から離れて位置している
固体電解コンデンサ。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記陽極外部端子は、前記上下方向及び前記所定方向で規定される面内において、L字状の断面を有している
固体電解コンデンサ。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれかに記載の固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、フラットワイヤである
固体電解コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ素子と、陰極外部端子とを備える固体電解コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、この種の固体電解コンデンサ900を開示している。図29及び図30に示されるように、特許文献1の固体電解コンデンサ900は、コンデンサ素子910と、外装樹脂970と、陽極外部端子920と、陰極外部端子950とを備えている。コンデンサ素子910は、陽極リードワイヤ912と、陰極層914とを有している。コンデンサ素子910は、Z方向において上面916及び下面918を有している。外装樹脂970は、コンデンサ素子910を覆っている。陽極外部端子920は、陽極リードワイヤ912に接続されている。陰極外部端子950は、陰極層914に接続されている。陰極外部端子950と陽極外部端子920とは、X方向において離れて位置している。陰極外部端子950は、上側部952と、下側部954と、連結部956とを有している。上側部952は、Z方向において、コンデンサ素子910の上面916の+Z側に位置している。下側部954は、Z方向において、コンデンサ素子910の下面918の-Z側に位置している。連結部956は、下側部954と上側部952とを互いに連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54-76957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の固体電解コンデンサ900においては、陰極外部端子950がコンデンサ素子910を挟みこむように配置されている。
【0005】
本発明は、薄型化を実現可能な構造を有する固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の固体電解コンデンサとして、
コンデンサ素子と、陽極外部端子と、陰極外部端子と、外装樹脂とを備える固体電解コンデンサであって、
前記コンデンサ素子は、陽極リードワイヤと、陽極体と、陰極層とを有しており、
前記コンデンサ素子は、上下方向において上面及び下面を有しており、
前記陽極外部端子は、前記陽極リードワイヤに接続されており、
前記陰極外部端子は、前記陰極層に接続されており、
前記陰極外部端子と前記陽極外部端子とは、前記上下方向と直交する所定方向において互いに離れて位置しており、
前記陰極外部端子は、上側部と、下側部と、連結部とを有しており、
前記上側部は、前記上下方向において前記コンデンサ素子の前記上面の上方に位置しており、
前記下側部は、前記上下方向において前記コンデンサ素子の前記下面の下方に位置しており、
前記連結部は、前記上側部と前記下側部とを互いに連結しており、
前記上側部及び前記下側部の一方は、前記上側部及び前記下側部の他方よりも、前記所定方向において長く、
前記外装樹脂は、前記陽極外部端子と前記陰極外部端子とを部分的に露出させた状態で前記コンデンサ素子を覆っている
固体電解コンデンサを提供する。
【0007】
また、本発明は、第2の固体電解コンデンサとして、第1の固体電解コンデンサであって、
前記上側部は、前記上下方向において上面及び下面を有しており、
前記上側部の前記下面は、前記上側部の前記上面よりも大きく、
前記下側部は、前記上下方向において上面及び下面を有しており、
前記下側部の前記上面は、前記下側部の前記下面よりも大きい
固体電解コンデンサを提供する。
【0008】
また、本発明は、第3の固体電解コンデンサとして、第2の固体電解コンデンサであって、
前記上側部の前記所定方向におけるエッジは、前記所定方向に対して少なくとも部分的に斜交しており、
前記下側部の前記所定方向におけるエッジは、前記所定方向に対して少なくとも部分的に斜交している
固体電解コンデンサを提供する。
【0009】
また、本発明は、第4の固体電解コンデンサとして、第1から第3までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記上下方向及び前記所定方向の双方と直交する幅方向において、前記連結部は、前記上側部及び前記下側部のいずれよりも細い
固体電解コンデンサを提供する。
【0010】
また、本発明は、第5の固体電解コンデンサとして、第1から第3までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記連結部は、第1連結要素と、連結主部と、第2連結要素とを有しており、
前記第1連結要素は、前記上側部と前記連結主部とを互いに連結しており、
前記連結主部は、前記第1連結要素と前記第2連結要素とを互いに連結しており、
前記第2連結要素は、前記連結主部と前記下側部とを互いに連結しており、
前記上下方向及び前記所定方向の双方と直交する幅方向において、前記第1連結要素は、前記上側部及び前記下側部のいずれよりも細く、
前記幅方向において、前記第2連結要素は、前記上側部及び前記下側部のいずれよりも細い
固体電解コンデンサを提供する。
【0011】
また、本発明は、第6の固体電解コンデンサとして、第1から第5までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記下側部と前記陰極層とは、導電性接着剤で接続されている
固体電解コンデンサを提供する。
【0012】
また、本発明は、第7の固体電解コンデンサとして、第6の固体電解コンデンサであって、
前記下側部は、前記上下方向において上面及び下面を有しており、
前記下側部の前記上面には、凹凸が形成されている
固体電解コンデンサを提供する。
【0013】
また、本発明は、第8の固体電解コンデンサとして、第1から第7までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、前記陽極外部端子に対してレーザ溶接されている
固体電解コンデンサを提供する。
【0014】
また、本発明は、第9の固体電解コンデンサとして、第1から第8までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、前記外装樹脂の表面から離れて位置している
固体電解コンデンサを提供する。
【0015】
また、本発明は、第10の固体電解コンデンサとして、第1から第9までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記陽極外部端子は、前記上下方向及び前記所定方向で規定される面内において、L字状の断面を有している
固体電解コンデンサを提供する。
【0016】
また、本発明は、第11の固体電解コンデンサとして、第1から第10までのいずれかの固体電解コンデンサであって、
前記陽極リードワイヤは、フラットワイヤである
固体電解コンデンサを提供する。
【発明の効果】
【0017】
特許文献1の固体電解コンデンサ900においては、上側部952と下側部954とがX方向において同じ長さとなっているが、このような場合、コンデンサ素子910が薄型化されるに従って、Z方向に近接した上側部952と下側部954との間へのコンデンサ素子910の挿入は困難となる。一方、本発明の固体電解コンデンサにおいては、上側部と下側部の一方は、所定方向において、上側部と下側部の他方より長くなっている。これにより、本発明の固体電解コンデンサにおいては、薄型化されたコンデンサ素子を陰極外部端子に挿入する際に、上側部と下側部のうちの所定方向に長い方に対してコンデンサ素子を接触させた後、コンデンサ素子を陰極外部端子に対して所定方向にスライドさせることにより、コンデンサ素子を上側部と下側部との間に容易に且つ適切に挿入することが可能となっている。即ち、本発明の固体電解コンデンサは、薄型化を実現可能な構造を有している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施の形態による固体電解コンデンサを示す上側斜視図である。
図2図1の固体電解コンデンサを示す下側斜視図である。
図3図1の固体電解コンデンサを示す上面図である。
図4図3の固体電解コンデンサをA-A線に沿って示す断面図である。
図5図1の固体電解コンデンサを示す底面図である。
図6図1の固体電解コンデンサを示す背面図である。
図7図1の固体電解コンデンサのうち外装樹脂を除く構成を示す上側斜視図である。
図8図7の構成を示す下側斜視図である。
図9図7の構成に含まれる陰極外部端子を示す上側斜視図である。
図10図9の陰極外部端子を示す別の上側斜視図である。
図11図9の陰極外部端子を示す下側斜視図である。
図12】本発明の第2の実施の形態による固体電解コンデンサを示す上側斜視図である。
図13図12の固体電解コンデンサを示す下側斜視図である。
図14図12の固体電解コンデンサに含まれる陰極外部端子を示す上側斜視図である。
図15】本発明の第3の実施の形態による固体電解コンデンサを示す上側斜視図である。
図16図15の固体電解コンデンサを示す下側斜視図である。
図17図15の固体電解コンデンサを示す上面図である。
図18図15の固体電解コンデンサを示す底面図である。
図19図15の固体電解コンデンサを示す背面図である。
図20図15の固体電解コンデンサのうち外装樹脂を除く構成を示す上側斜視図である。
図21図20の構成を示す下側斜視図である。
図22図20の構成に含まれる陰極外部端子を示す上側斜視図である。
図23図22の陰極外部端子を示す別の上側斜視図である。
図24図22の陰極外部端子を示す下側斜視図である。
図25】本発明の第4の実施の形態による固体電解コンデンサを示す上側斜視図である。
図26図25の固体電解コンデンサを示す下側斜視図である。
図27図25の固体電解コンデンサに含まれる陰極外部端子を示す上側斜視図である。
図28】比較例の固体電解コンデンサを示す断面図である。
図29】特許文献1の固体電解コンデンサを示す斜視図である。
図30図29の固体電解コンデンサを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
図1及び図2に示されるように、本発明の第1の実施の形態による固体電解コンデンサ100は、上下方向において上面102及び下面104を有している。本実施の形態の上下方向は、Z方向である。ここで、上方は+Z方向であり、下方は-Z方向である。また、固体電解コンデンサ100は、上下方向と直交する前後方向において前面106及び後面108を有している。本実施の形態において、前後方向はX方向である。ここで、前方は+X方向であり、後方は-X方向である。また、前後方向は、所定方向でもある。
【0020】
図4に示されるように、固体電解コンデンサ100は、コンデンサ素子200と、陽極外部端子300と、陰極外部端子400と、外装樹脂600とを備えている。
【0021】
図4に示されるように、本実施の形態のコンデンサ素子200は、上下方向において上面202及び下面204を有している。コンデンサ素子200は、上下方向と直交する前後方向において前面206及び後面208を有している。
【0022】
図4に示されるように、コンデンサ素子200は、陽極リードワイヤ210と、陽極体230と、誘電体層250と、陰極層220とを有している。
【0023】
図4を参照して、本実施の形態の陽極リードワイヤ210は、タンタルワイヤであり、部分的に陽極体230に埋設されている。陽極リードワイヤ210は、所定方向に沿って延びている。陽極リードワイヤ210は、フラットワイヤである。より詳しくは、陽極リードワイヤ210は、所定方向と直交する面内において、扁平形状の断面を有している。なお、本発明はこれに限定されず、陽極リードワイヤ210の断面形状は、略扁平形状や、略矩形であってもよく、略矩形の角にR状のフィレットが形成されていてもよい。
【0024】
図4を参照して、陽極リードワイヤ210は、陽極外部端子300に対してレーザ溶接されている。一般的な固体電解コンデンサにおいては、陽極リードワイヤは、陽極外部端子に対して抵抗溶接で接続されている。ここで、陽極リードワイヤと陽極外部端子を抵抗溶接する場合、これらの接続部分は所定方向において一定の長さを確保する必要がある。一方、本実施の形態においては、陽極リードワイヤ210はレーザにより溶融されて陽極外部端子300に接続されているため、陽極リードワイヤ210と陽極外部端子300との接続部分は、所定方向に一定の長さを確保する必要がない。これにより、コンデンサ素子200自体の所定方向におけるサイズを小さくできる。即ち、陽極リードワイヤ210が陽極外部端子300に対してレーザ溶接されていることにより、固体電解コンデンサ100におけるコンデンサ素子200の体積効率を向上させることができる。
【0025】
図4に示されるように、陽極リードワイヤ210は、外装樹脂600の表面から離れて位置している。これにより、固体電解コンデンサ100の外部の空気や水分の陽極リードワイヤ210への接触が避けられており、コンデンサ素子200の気密性が向上している。
【0026】
図4を参照して、本実施の形態の陽極体230は、好ましくは弁作用金属又は弁作用金属の導電性酸化物からなる。焼結されたタンタル粉末はその一例として適している。陽極体230の表面には誘電体層250が形成されている。
【0027】
図4に示されるように、本実施の形態の陰極層220は、誘電体層250上に形成されている。陰極層220は、固体電解質層(図示せず)と導電体層(図示せず)とを備えている。但し、本発明はこれに限定されるわけではない。陰極層220は、固体電解質層を含んでいる限り、他の構造を有していてもよい。
【0028】
図4に示されるように、本実施の形態の陽極外部端子300は、陽極リードワイヤ210に接続されている。陽極外部端子300の一部は、外装樹脂600に埋設されている。陽極外部端子300は、上下方向及び所定方向で規定される面内において、L字状の断面を有している。即ち、陽極外部端子300は、上下方向及び前後方向と直交する幅方向と直交する面内において、L字状の断面を有している。本実施の形態において、幅方向はY方向である。従来の平板形状の陽極外部端子の場合、その形状ゆえに埋設された外装樹脂から脱落しやすくなっている。一方、本実施の形態の陽極外部端子300は、上述のように幅方向と直交する面内においてL字状の断面を有していることから、従来の平板形状の陽極外部端子と比較して、埋設された外装樹脂600から脱落しにくくなっている。
【0029】
図5に示されるように、陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100の下面104上に露出している。即ち、陽極外部端子300の下面304は、外装樹脂600によって覆われていない。図1に示されるように、陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100の前面106上に露出している。即ち、陽極外部端子300の前面306は、外装樹脂600によって覆われていない。なお、陽極外部端子300は、固体電解コンデンサ100の上面102上においては露出していない。
【0030】
図9を参照して、本実施の形態の陰極外部端子400は、金属製である。図4に示されるように、陰極外部端子400は、陰極層220に接続されている。陰極外部端子400と陽極外部端子300とは、上下方向と直交する所定方向において互いに離れて位置している。
【0031】
図7図8に示されるように、コンデンサ素子200の後方の角部の一部は、陰極外部端子400によって覆われている。図4に示されるように、幅方向と直交する面内において、コンデンサ素子200の後面208の上端は、陰極外部端子400の内側に位置している。幅方向と直交する面内において、コンデンサ素子200の後面208の下端は、陰極外部端子400の内側に位置している。
【0032】
一般的に、固体電解コンデンサは、回路基板に実装された後、他の電子部品と一緒に樹脂封止されることがある。一般的な固体電解コンデンサは外装樹脂により保護されているものの、上記のような樹脂封止において樹脂を硬化させた際に発生した外部応力が、コンデンサ素子の特に角部に加わってコンデンサ素子が劣化する可能性がある。しかしながら、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、上述のように、コンデンサ素子200の後方の角部の一部が金属製の陰極外部端子400によって覆われている。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、上記のような樹脂封止のために樹脂を硬化させた際に発生した外部応力からコンデンサ素子200の後方の角部が保護されるようになっている。
【0033】
図10に示されるように、陰極外部端子400は、上側部410と、下側部450と、連結部430とを有している。
【0034】
図4に示されるように、本実施の形態の上側部410は、上下方向と直交する平板形状を有している。上側部410は、上下方向においてコンデンサ素子200の上面202の上方に位置している。上側部410は、コンデンサ素子200の上面202を覆っている。上側部410は、上下方向において上面412及び下面414を有している。上側部410の下面414は、上側部410の上面412よりも大きくなっている。即ち、上側部410は、コンデンサ素子200側の面である下面414の面積が、他方の面である上面412の面積よりも大きくなっている。これにより、上側部410が外装樹脂600内に潜り込むように配置されることとなるため、上側部410が外装樹脂600から剥離しにくくなっている。
【0035】
図4に示されるように、上側部410の所定方向におけるエッジ416は、所定方向に対して少なくとも部分的に斜交している。具体的には、エッジ416の上側部分が、所定方向に対して斜交している。なお、本発明はこれに限定されず、エッジ416の形状は、傾斜形状、階段状などでもよく、特に限定されない。
【0036】
図4に示されるように、コンデンサ素子200の後面208は、上下方向において上側部410の下方に位置している。即ち、コンデンサ素子200の後面208は、上下方向において上側部410の下面414の下方に位置している。
【0037】
図3に示されるように、上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100の上面102上に露出している。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600によって覆われていない。なお、本発明はこれに限定されず、上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100の外部に露出していなくてもよい。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600によって覆われていてもよい。しかしながら、本実施の形態においては、上側部410の上面412の固体電解コンデンサ100の外部からの視認性に優れているため、より好ましい。
【0038】
上述のように、陽極外部端子300は固体電解コンデンサ100の上面102上において露出していない一方、陰極外部端子400の上側部410の上面412が固体電解コンデンサ100の外部に露出している。このように、陽極外部端子300及び陰極外部端子400の外装樹脂600からの露出状況が異なることにより、固体電解コンデンサ100の外部からの陽極外部端子300及び陰極外部端子400の認識が容易となっている。
【0039】
小型且つ薄型の固体電解コンデンサにおいては、そのサイズゆえに、仮に固体電解コンデンサに極性標示をつけたとしても実装作業者が固体電解コンデンサの極性標示を目視で確認しにくいという問題がある。一方、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、上述のように固体電解コンデンサ100の外部からの陽極外部端子300及び陰極外部端子400の識別が容易となっている。これにより、固体電解コンデンサ100を回路基板上に実装する際に、実装作業者が固体電解コンデンサ100の極性を目視で容易に判別できるようになっている。
【0040】
一般的に、固体電解コンデンサの使用の際、リプル電圧が印加されるとリプル電流が流れ、固体電解コンデンサに内蔵されているコンデンサ素子が発熱する。この発熱により内蔵されているコンデンサ素子の特性が劣化し、固体電解コンデンサの信頼性に影響を生じる可能性がある。従って、固体電解コンデンサにおいては、リプル電流に対するコンデンサ素子の発熱による温度上昇を抑制する必要がある。本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、上述のように、上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、陰極外部端子が外装樹脂の外部に殆ど露出してない固体電解コンデンサ(例えば、図28に示す固体電解コンデンサ800)と比較して、放熱効果が大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、リプル電流に対するコンデンサ素子200の発熱による温度上昇が抑制されており、信頼性への影響が小さくなっている。
【0041】
図4に示されるように、本実施の形態の下側部450は、上下方向と直交する平板形状を有している。下側部450は、上下方向においてコンデンサ素子200の下面204の下方に位置している。下側部450は、コンデンサ素子200の下面204を覆っている。下側部450は、上下方向において上面452及び下面454を有している。下側部450の上面452は、下側部450の下面454よりも大きくなっている。即ち、下側部450は、コンデンサ素子200側の面である上面452の面積が、他方の面である下面454の面積よりも大きくなっている。これにより、下側部450が外装樹脂600内に潜り込むように配置されることとなるため、下側部450が外装樹脂600から剥離しにくくなっている。
【0042】
図4に示されるように、下側部450の所定方向におけるエッジ456は、所定方向に対して少なくとも部分的に斜交している。具体的には、エッジ456の下側部分が、所定方向に対して斜交している。なお、本発明はこれに限定されず、エッジ456の形状は、傾斜形状、階段状などでもよく、特に限定されない。
【0043】
図4に示されるように、コンデンサ素子200の後面208は、上下方向において下側部450の上方に位置している。即ち、コンデンサ素子200の後面208は、上下方向において下側部450の上面452の上方に位置している。
【0044】
図5に示されるように、下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100の下面104上に露出している。即ち、下側部450の下面454は、外装樹脂600によって覆われていない。
【0045】
一般的に、固体電解コンデンサの使用の際、リプル電圧が印加されるとリプル電流が流れ、固体電解コンデンサに内蔵されているコンデンサ素子が発熱する。この発熱により内蔵されているコンデンサ素子の特性が劣化し、固体電解コンデンサの信頼性に影響を生じる可能性がある。従って、固体電解コンデンサにおいては、リプル電流に対するコンデンサ素子の発熱による温度上昇を抑制する必要がある。本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、上述のように、下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、陰極外部端子が外装樹脂の外部に殆ど露出してない固体電解コンデンサ(例えば、図28に示す固体電解コンデンサ800)と比較して、放熱効果が大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、リプル電流に対するコンデンサ素子200の発熱による温度上昇が抑制されており、信頼性への影響が小さくなっている。
【0046】
図4に示されるように、本実施の形態の陰極外部端子400において、下側部450は、上側部410よりも、所定方向において長くなっている。なお、本発明はこれに限定されず、上側部410及び下側部450の一方が、上側部410及び下側部450の他方よりも、所定方向において長くなっていればよい。これにより、固体電解コンデンサ100においては、薄型化されたコンデンサ素子200を陰極外部端子400に挿入する際に、上側部410と下側部450のうちの所定方向に長い方に対してコンデンサ素子200を接触させた後、コンデンサ素子200を陰極外部端子400に対して所定方向にスライドさせることにより、コンデンサ素子200を上側部410と下側部450との間に容易に且つ適切に挿入することが可能となっている。即ち、固体電解コンデンサ100は、薄型化を実現可能な構造を有している。
【0047】
図9に示されるように、下側部450の上面452には、凹凸が形成されている。
【0048】
図4に示されるように、下側部450と陰極層220とは、導電性接着剤500で接続されている。上述のように、下側部450の上面452には、凹凸が形成されていることから、導電性接着剤500に対する上面452の接触する面積が大きくなっている。
【0049】
図10に示されるように、本実施の形態の連結部430は、上下方向に延びている。連結部430は、上側部410と下側部450とを互いに連結している。即ち、連結部430は、上下方向において上側部410と下側部450とを互いに連結している。上下方向及び所定方向の双方と直交する幅方向において、連結部430は、上側部410及び下側部450のいずれよりも細くなっている。これにより、連結部430の曲げ加工が容易となっている。
【0050】
図4に示されるように、コンデンサ素子200の後面208は、前後方向において連結部430の前方に位置している。連結部430は、コンデンサ素子200の後面208を覆っている。
【0051】
図6に示されるように、連結部430の後面438の一部は、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。連結部430の後面438の一部は、固体電解コンデンサ100の後面108上に露出している。即ち、連結部430の後面438の一部は、外装樹脂600によって覆われていない。
【0052】
一般的に、固体電解コンデンサの使用の際、リプル電圧が印加されるとリプル電流が流れ、固体電解コンデンサに内蔵されているコンデンサ素子が発熱する。この発熱により内蔵されているコンデンサ素子の特性が劣化し、固体電解コンデンサの信頼性に影響を生じる可能性がある。従って、固体電解コンデンサにおいては、リプル電流に対するコンデンサ素子の発熱による温度上昇を抑制する必要がある。本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、上述のように、連結部430の後面438の一部が固体電解コンデンサ100の外部に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、陰極外部端子が外装樹脂の外部に殆ど露出してない固体電解コンデンサ(例えば、図28に示す固体電解コンデンサ800)と比較して、放熱効果が大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、リプル電流に対するコンデンサ素子200の発熱による温度上昇が抑制されており、信頼性への影響が小さくなっている。
【0053】
特に、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、上述のように、上側部410、下側部450及び連結部430が、コンデンサ素子200の上面202、下面204及び後面208を覆っており、且つ、上側部410の上面412、下側部450の下面454及び連結部430の後面438の一部の全てが、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。従来の固体電解コンデンサにおいては、平板形状の陰極外部端子は、コンデンサ素子の下面のみを覆っており、陰極外部端子の下面のみが固体電解コンデンサの外部に露出しているが、このような従来の固体電解コンデンサと比較した場合、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、陰極外部端子400がコンデンサ素子200を覆う面積が大きくなっており、上側部410の上面412及び連結部430の後面438の一部が、固体電解コンデンサ100の外部に更に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、従来の固体電解コンデンサと比較して放熱効果がより大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100は、リプル電流に対するコンデンサ素子200の発熱による温度上昇が更に抑制されており、信頼性への影響が更に小さくなっている。
【0054】
図1図2及び図4に示されるように、本実施の形態の外装樹脂600は、陽極外部端子300と陰極外部端子400とを部分的に露出させた状態でコンデンサ素子200を覆っている。
【0055】
(第2の実施形態)
図12及び図13に示されるように、本発明の第2の実施の形態による固体電解コンデンサ100Aは、上下方向において上面102A及び下面104を有している。固体電解コンデンサ100Aは、上下方向と直交する前後方向において前面106及び後面108Aを有している。図12を参照して、固体電解コンデンサ100Aは、コンデンサ素子(図示せず)と、陽極外部端子300と、陰極外部端子400と、外装樹脂600Aとを備えている。このうち、外装樹脂600A以外の構成については第1の実施の形態と同様である。よって、第1の実施の形態と同様の構成については同様の参照符号を用い、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態における方位及び方向は、第1の実施の形態のものと同じ表現を以下において使用する。
【0056】
図13に示されるように、陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100Aの外部に露出している。陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100Aの下面104上に露出している。即ち、陽極外部端子300の下面304は、外装樹脂600Aによって覆われていない。図12に示されるように、陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100Aの外部に露出している。陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100Aの前面106上に露出している。即ち、陽極外部端子300の前面306は、外装樹脂600Aによって覆われていない。なお、陽極外部端子300は、固体電解コンデンサ100Aの上面102A上においては露出していない。
【0057】
図12及び図14を参照して、陰極外部端子400の上側部410は、コンデンサ素子の上面(図示せず)を覆っている。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Aの外部に露出していない。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Aの上面102A上に露出していない。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600Aによって薄く覆われている。
【0058】
図13に示されるように、陰極外部端子400の下側部450は、コンデンサ素子の下面(図示せず)を覆っている。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Aの外部に露出している。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Aの下面104上に露出している。即ち、下側部450の下面454は、外装樹脂600Aによって覆われていない。
【0059】
図13及び図14を参照して、陰極外部端子400の連結部430は、コンデンサ素子の後面(図示せず)を覆っている。連結部430の後面438は、固体電解コンデンサ100Aの外部に露出していない。連結部430の後面438は、固体電解コンデンサ100Aの後面108A上に露出していない。即ち、連結部430の後面438は、外装樹脂600Aによって薄く覆われている。
【0060】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100Aにおいては、上述のように、上側部410、下側部450及び連結部430が、コンデンサ素子の上面、下面及び後面を覆っており、且つ、下側部450の下面454が固体電解コンデンサ100Aの外部に露出している。従来の固体電解コンデンサにおいては、平板形状の陰極外部端子は、コンデンサ素子の下面のみを覆っており、陰極外部端子の下面のみが固体電解コンデンサの外部に露出しているが、このような従来の固体電解コンデンサと比較した場合、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Aにおいては、陰極外部端子400がコンデンサ素子を覆う面積が大きくなっている。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Aにおいては、従来の固体電解コンデンサと比較して放熱効果がより大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Aは、リプル電流によるコンデンサ素子の発熱による温度上昇が抑制されており、信頼性への影響が小さくなっている。
【0061】
図12及び図13を参照して、本実施の形態の外装樹脂600Aは、陽極外部端子300と陰極外部端子400とを部分的に露出させた状態でコンデンサ素子を覆っている。
【0062】
(第3の実施形態)
図15及び図16に示されるように、本発明の第3の実施の形態による固体電解コンデンサ100Bは、上下方向において上面102及び下面104を有している。固体電解コンデンサ100Bは、上下方向と直交する前後方向において前面106及び後面108Bを有している。図15及び図20に示されるように、固体電解コンデンサ100Bは、コンデンサ素子200と、陽極外部端子300と、陰極外部端子400Bと、外装樹脂600Bとを備えている。このうち、陰極外部端子400B及び外装樹脂600B以外の構成については第1の実施の形態と同様である。よって、第1の実施の形態と同様の構成については同様の参照符号を用い、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態における方位及び方向は、第1の実施の形態のものと同じ表現を以下において使用する。
【0063】
図16に示されるように、陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100Bの下面104上に露出している。即ち、陽極外部端子300の下面304は、外装樹脂600Bによって覆われていない。図15に示されるように、陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100Bの前面106上に露出している。即ち、陽極外部端子300の前面306は、外装樹脂600Bによって覆われていない。なお、陽極外部端子300は、固体電解コンデンサ100Bの上面102上においては露出していない。
【0064】
図22を参照して、本実施の形態の陰極外部端子400Bは、金属製である。陰極外部端子400Bは、陰極層(図示せず)に接続されている。図21に示されるように、陰極外部端子400Bと陽極外部端子300とは、上下方向と直交する所定方向において互いに離れて位置している。
【0065】
図21に示されるように、コンデンサ素子200の後方の角部の一部は、陰極外部端子400Bによって覆われている。幅方向と直交する面内において、コンデンサ素子200の後面208の上端は、陰極外部端子400Bの内側に位置している。幅方向と直交する面内において、コンデンサ素子200の後面208の下端は、陰極外部端子400Bの内側に位置している。
【0066】
一般的に、固体電解コンデンサは、回路基板に実装された後、他の電子部品と一緒に樹脂封止されることがある。一般的な固体電解コンデンサは外装樹脂により保護されているものの、上記のような樹脂封止において樹脂を硬化させた際に発生した外部応力が、コンデンサ素子の特に角部に加わってコンデンサ素子が劣化する可能性がある。しかしながら、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bは、上述のように、コンデンサ素子200の後方の角部の一部が金属製の陰極外部端子400Bによって覆われている。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、上記のような樹脂封止のために樹脂を硬化させた際に発生した外部応力からコンデンサ素子200の後方の角部が保護されるようになっている。
【0067】
図23に示されるように、陰極外部端子400Bは、上側部410と、下側部450と、連結部430Bとを有している。ここで、連結部430B以外の構成要素については、上述した第1の実施の形態の陰極外部端子400と同様の構造を有している。従って、これらについては詳細な説明を省略する。
【0068】
図15及び図20から理解されるように、陰極外部端子400Bの上側部410は、コンデンサ素子200の上面202を覆っている。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Bの上面102上に露出している。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600Bによって覆われていない。なお、本発明はこれに限定されず、上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出していなくてもよい。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600Bによって覆われていてもよい。しかしながら、本実施の形態においては、上側部410の上面412の固体電解コンデンサ100Bの外部からの視認性に優れているため、より好ましい。
【0069】
上述のように、陽極外部端子300は固体電解コンデンサ100Bの上面102上において露出していない一方、陰極外部端子400Bの上側部410の上面412が固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。このように、陽極外部端子300及び陰極外部端子400Bの外装樹脂600Bからの露出状況が異なることにより、固体電解コンデンサ100Bの外部からの陽極外部端子300及び陰極外部端子400Bの認識が容易となっている。
【0070】
図16及び図21から理解されるように、陰極外部端子400Bの下側部450は、コンデンサ素子200の下面204を覆っている。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Bの下面104上に露出している。即ち、下側部450の下面454は、外装樹脂600Bによって覆われていない。
【0071】
図24に示されるように、本実施の形態の連結部430Bは、上下方向に延びている。連結部430Bは、上側部410と下側部450とを互いに連結している。即ち、連結部430Bは、上下方向において上側部410と下側部450とを互いに連結している。連結部430Bは、第1連結要素432と、連結主部434と、第2連結要素436とを有している。
【0072】
図23に示されるように、本実施の形態の第1連結要素432は、上側部410と連結主部434とを互いに連結している。上下方向及び所定方向の双方と直交する幅方向において、第1連結要素432は、上側部410及び下側部450のいずれよりも細くなっている。これにより、第1連結要素432の曲げ加工が容易となっている。
【0073】
図24に示されるように、本実施の形態の連結主部434は、前後方向と直交する平板形状を有している。連結主部434は、第1連結要素432と第2連結要素436とを互いに連結している。幅方向において、連結主部434は、上側部410と同じサイズを有している。幅方向において、連結主部434は、下側部450と同じサイズを有している。なお、本発明はこれに限定されず、幅方向において、連結主部434は、上側部410及び下側部450と異なるサイズを有していてもよい。
【0074】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、連結部430Bが幅広な連結主部434を有している。これにより、第1の実施の形態の固体電解コンデンサ100と比較して、コンデンサ素子200の後面208が金属製の陰極外部端子400Bの連結主部434によって大きく覆われている。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、上記のような樹脂封止のために樹脂を硬化させた際に発生した外部応力からコンデンサ素子200の後面208及びその周辺がより保護されるようになっている。
【0075】
図24に示されるように、本実施の形態の第2連結要素436は、連結主部434と下側部450とを互いに連結している。上下方向及び所定方向の双方と直交する幅方向において、第2連結要素436は、上側部410及び下側部450のいずれよりも細くなっている。これにより、第2連結要素436の曲げ加工が容易となっている。
【0076】
図21に示されるように、コンデンサ素子200の後面208は、前後方向において連結部430Bの前方に位置している。コンデンサ素子200の後面208は、前後方向において連結主部434の前方に位置している。連結部430Bは、コンデンサ素子200の後面208を覆っている。
【0077】
図19に示されるように、連結部430Bの後面438Bの一部は、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。連結部430Bの後面438Bの一部は、固体電解コンデンサ100Bの後面108B上に露出している。即ち、連結部430Bの後面438Bの一部は、外装樹脂600Bによって覆われていない。
【0078】
一般的に、固体電解コンデンサの使用の際、リプル電圧が印加されるとリプル電流が流れ、固体電解コンデンサに内蔵されているコンデンサ素子が発熱する。この発熱により内蔵されているコンデンサ素子の特性が劣化し、固体電解コンデンサの信頼性に影響を生じる可能性がある。従って、固体電解コンデンサにおいては、リプル電流に対するコンデンサ素子の発熱による温度上昇を抑制する必要がある。本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、上述のように、連結部430Bの後面438Bの一部が固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、陰極外部端子が外装樹脂の外部に殆ど露出してない固体電解コンデンサ(例えば、図28に示す固体電解コンデンサ800)と比較して、放熱効果が大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bは、リプル電流に対するコンデンサ素子200の発熱による温度上昇が抑制されており、信頼性への影響が小さくなっている。
【0079】
特に、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、上述のように、上側部410、下側部450及び連結部430Bが、コンデンサ素子200の上面202、下面204及び後面208を覆っており、且つ、上側部410の上面412、下側部450の下面454及び連結部430Bの後面438Bの一部の全てが、固体電解コンデンサ100Bの外部に露出している。従来の固体電解コンデンサにおいては、平板形状の陰極外部端子は、コンデンサ素子の下面のみを覆っており、陰極外部端子の下面のみが固体電解コンデンサの外部に露出しているが、このような従来の固体電解コンデンサと比較した場合、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、陰極外部端子400Bがコンデンサ素子200を覆う面積が大きくなっており、上側部410の上面412及び連結部430Bの後面438Bの一部が、固体電解コンデンサ100Bの外部に更に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、従来の固体電解コンデンサと比較して放熱効果がより大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Bは、リプル電流に対するコンデンサ素子200の発熱による温度上昇が更に抑制されており、信頼性への影響が更に小さくなっている。
【0080】
図15及び図16に示されるように、本実施の形態の外装樹脂600Bは、陽極外部端子300と陰極外部端子400Bとを部分的に露出させた状態でコンデンサ素子200を覆っている。
【0081】
(第4の実施形態)
図25及び図26に示されるように、本発明の第4の実施の形態による固体電解コンデンサ100Cは、上下方向において上面102及び下面104を有している。固体電解コンデンサ100Cは、上下方向と直交する前後方向において前面106及び後面108Cを有している。固体電解コンデンサ100Cは、コンデンサ素子(図示せず)と、陽極外部端子300と、陰極外部端子400Bと、外装樹脂600Cとを備えている。このうち、外装樹脂600C以外の構成については第3の実施の形態と同様である。よって、第3の実施の形態と同様の構成については同様の参照符号を用い、詳細な説明は省略する。また、本実施の形態における方位及び方向は、第1の実施の形態のものと同じ表現を以下において使用する。
【0082】
図26に示されるように、陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出している。陽極外部端子300の下面304は、固体電解コンデンサ100Cの下面104上に露出している。即ち、陽極外部端子300の下面304は、外装樹脂600Cによって覆われていない。図25に示されるように、陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出している。陽極外部端子300の前面306は、固体電解コンデンサ100Cの前面106上に露出している。即ち、陽極外部端子300の前面306は、外装樹脂600Cによって覆われていない。なお、陽極外部端子300は、固体電解コンデンサ100Cの上面102上においては露出していない。
【0083】
図27を参照して、本実施の形態の陰極外部端子400Bは、金属製である。陰極外部端子400Bは、陰極層(図示せず)に接続されている。図21及び図26を参照して、陰極外部端子400Bと陽極外部端子300とは、上下方向と直交する所定方向において互いに離れて位置している。
【0084】
図21図25及び図26を参照して、コンデンサ素子の後方の角部の一部は、陰極外部端子400Bによって覆われている。幅方向と直交する面内において、コンデンサ素子の後面(図示せず)の上端は、陰極外部端子400Bの内側に位置している。幅方向と直交する面内において、コンデンサ素子の後面の下端は、陰極外部端子400Bの内側に位置している。
【0085】
一般的に、固体電解コンデンサは、回路基板に実装された後、他の電子部品と一緒に樹脂封止されることがある。一般的な固体電解コンデンサは外装樹脂により保護されているものの、上記のような樹脂封止において樹脂を硬化させた際に発生した外部応力が、コンデンサ素子の特に角部に加わってコンデンサ素子が劣化する可能性がある。しかしながら、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cは、上述のように、コンデンサ素子の後方の角部の一部が金属製の陰極外部端子400Bによって覆われている。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cにおいては、上記のような樹脂封止のために樹脂を硬化させた際に発生した外部応力からコンデンサ素子の後方の角部が保護されるようになっている。
【0086】
図27に示されるように、陰極外部端子400Bは、上側部410と、下側部450と、連結部430Bとを有している。ここで、連結部430B以外の構成要素については、上述した第1の実施の形態の陰極外部端子400と同様の構造を有している。従って、これらについては詳細な説明を省略する。
【0087】
図20及び図25を参照して、陰極外部端子400Bの上側部410は、コンデンサ素子の上面(図示せず)を覆っている。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出している。上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Cの上面102上に露出している。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600Cによって覆われていない。なお、本発明はこれに限定されず、上側部410の上面412は、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出していなくてもよい。即ち、上側部410の上面412は、外装樹脂600Cによって覆われていてもよい。しかしながら、本実施の形態においては、上側部410の上面412の固体電解コンデンサ100Cの外部からの視認性に優れているため、より好ましい。
【0088】
上述のように、陽極外部端子300は固体電解コンデンサ100Cの上面102上において露出していない一方、陰極外部端子400Bの上側部410の上面412が固体電解コンデンサ100Cの外部に露出している。このように、陽極外部端子300及び陰極外部端子400Bの外装樹脂600Cからの露出状況が異なることにより、固体電解コンデンサ100Cの外部からの陽極外部端子300及び陰極外部端子400Bの認識が容易となっている。
【0089】
図21及び図26を参照して、陰極外部端子400Bの下側部450は、コンデンサ素子の下面(図示せず)を覆っている。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出している。下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Cの下面104上に露出している。即ち、下側部450の下面454は、外装樹脂600Cによって覆われていない。
【0090】
図27に示されるように、本実施の形態の連結部430Bは、上下方向に延びている。連結部430Bは、上側部410と下側部450とを互いに連結している。即ち、連結部430Bは、上下方向において上側部410と下側部450とを互いに連結している。連結部430Bは、第1連結要素432と、連結主部434と、第2連結要素436とを有している。
【0091】
図27に示されるように、本実施の形態の第1連結要素432は、上側部410と連結主部434とを互いに連結している。上下方向及び所定方向の双方と直交する幅方向において、第1連結要素432は、上側部410及び下側部450のいずれよりも細くなっている。これにより、第1連結要素432の曲げ加工が容易となっている。
【0092】
図27に示されるように、本実施の形態の連結主部434は、前後方向と直交する平板形状を有している。連結主部434は、第1連結要素432と第2連結要素436とを互いに連結している。幅方向において、連結主部434は、上側部410と同じサイズを有している。幅方向において、連結主部434は、下側部450と同じサイズを有している。なお、本発明はこれに限定されず、幅方向において、連結主部434は、上側部410及び下側部450と異なるサイズを有していてもよい。
【0093】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cにおいては、連結部430Bが幅広な連結主部434を有している。これにより、第1の実施の形態の固体電解コンデンサ100と比較して、コンデンサ素子の後面が金属製の陰極外部端子400Bの連結主部434によって大きく覆われている。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cにおいては、上記のような樹脂封止のために樹脂を硬化させた際に発生した外部応力からコンデンサ素子の後面及びその周辺がより保護されるようになっている。
【0094】
図27に示されるように、本実施の形態の第2連結要素436は、連結主部434と下側部450とを互いに連結している。上下方向及び所定方向の双方と直交する幅方向において、第2連結要素436は、上側部410及び下側部450のいずれよりも細くなっている。これにより、第2連結要素436の曲げ加工が容易となっている。
【0095】
図21及び図27を参照して、コンデンサ素子の後面は、前後方向において連結部430Bの前方に位置している。コンデンサ素子の後面は、前後方向において連結主部434の前方に位置している。
【0096】
図21及び図26を参照して、連結部430Bは、コンデンサ素子の後面を覆っている。連結部430Bの後面438Bは、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出していない。連結部430Bの後面438Bは、固体電解コンデンサ100Cの後面108C上に露出していない。即ち、連結部430Bの後面438Bは、外装樹脂600Cによって薄く覆われている。なお、本発明はこれに限定されず、連結部430Bの後面438Bが、固体電解コンデンサ100Cの外部に部分的に露出していてもよい。即ち、連結部430Bの後面438Bが、固体電解コンデンサ100Cの後面108C上に部分的に露出していてもよい。換言すれば、連結部430Bの後面438Bが、外装樹脂600Cによって部分的に覆われていなくてもよい。
【0097】
本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cにおいては、上述のように、上側部410、下側部450及び連結部430Bが、コンデンサ素子の上面、下面及び後面を覆っており、且つ、上側部410の上面412及び下側部450の下面454が、固体電解コンデンサ100Cの外部に露出している。従来の固体電解コンデンサにおいては、平板形状の陰極外部端子は、コンデンサ素子の下面のみを覆っており、陰極外部端子の下面のみが固体電解コンデンサの外部に露出しているが、このような従来の固体電解コンデンサと比較した場合、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cにおいては、陰極外部端子400Bがコンデンサ素子を覆う面積が大きくなっており、上側部410の上面412が、固体電解コンデンサ100Cの外部に更に露出している。これにより、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cにおいては、従来の固体電解コンデンサと比較して放熱効果がより大きくなっている。よって、本実施の形態の固体電解コンデンサ100Cは、リプル電流に対するコンデンサ素子の発熱による温度上昇が抑制されており、信頼性への影響が小さくなっている。
【0098】
図20図25及び図26を参照して、本実施の形態の外装樹脂600Cは、陽極外部端子300と陰極外部端子400Bとを部分的に露出させた状態でコンデンサ素子を覆っている。
【0099】
以下、実施例及び比較例に基づいて、詳細に説明する。
【0100】
(温度上昇率の測定)
実施例1、実施例2及び比較例の3つのサンプルについて、リプル試験でのコンデンサ素子200の発熱による固体電解コンデンサ100,100A,800の温度上昇の測定を実施した。ここで、実施例1は第1の実施の形態に対応しており、実施例2は第2の実施の形態に対応している。また、比較例の固体電解コンデンサ800は、図28に示されるように、コンデンサ素子200と、陽極外部端子300と、陰極外部端子840と、外装樹脂600とを備えており、このうち、陰極外部端子840以外の構成については第1の実施の形態と同様である。よって、図28において、第1の実施の形態と同様の構成については、第1の実施の形態と同様の参照符号で示している。具体的には、比較例の固体電解コンデンサ800の陰極外部端子840は、上下方向と直交する平板形状を有しており、陰極外部端子840の下面844は、固体電解コンデンサ800の外部に露出している。陰極外部端子840の下面844は、固体電解コンデンサ800の下面804上に露出している。即ち、陰極外部端子840の下面844は、外装樹脂600によって覆われていない。測定結果を表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
表1に示されるように、実施例1の温度上昇は、リプル電流が1000mArmsの場合、比較例の温度上昇に対して0.44となっており、リプル電流が2000mArmsの場合、比較例の温度上昇に対して0.35となっている。また、表1に示されるように、実施例2の温度上昇は、リプル電流が1000mArmsの場合、比較例の温度上昇に対して0.62となっており、リプル電流が2000mArmsの場合、比較例の温度上昇に対して0.59となっている。
【0103】
上述のように、実施例1に対応する第1の実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、上側部410の上面412、下側部450の下面454及び連結部430の後面438の一部の全てが、固体電解コンデンサ100の外部に露出している。また、上述のように、実施例2に対応する第2の実施の形態の固体電解コンデンサ100Aにおいては、上側部410の上面412及び連結部430の後面438は、外装樹脂600Aによって薄く覆われている一方、下側部450の下面454は、固体電解コンデンサ100Aの外部に露出している。上述の測定結果は、実施例1における放熱効果が、実施例2や比較例より大きくなっていることを裏付けている。加えて、上述の測定結果は、実施例2における放熱効果が、実施例1ほどではないものの、比較例よりは大きくなっていることを裏付けている。
【0104】
(漏れ電流変化率Rの算出)
実施例1、実施例3及び比較例の3つのサンプルについて、漏れ電流値Isの測定を実施した。また、対照1、対照3及び比較対照の3つのサンプルについても、併せて漏れ電流値Irの測定を実施した。測定条件は、印加電圧16V、充電時間300秒であった。ここで、実施例1は、上述の第1の実施の形態に対応しており、対照1は、上述の第1の実施の形態の固体電解コンデンサ100において外装樹脂600を形成する前の構成となっている。また、実施例3は、上述の第3の実施の形態に対応しており、対照3は、上述の第3の実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいて外装樹脂600Bを形成する前の構成となっている。更に、比較例は上述のものと同じであり、比較対照は、上述の比較例の固体電解コンデンサ800において外装樹脂600を形成する前の構成となっている。外装樹脂形成後の漏れ電流値Is、外装樹脂形成前の漏れ電流値Irの測定結果から、外装樹脂形成前後の漏れ電流変化率R(%)を次式で算出した。
R=Is/Ir*100
算出された漏れ電流変化率Rを表2に示す。
【0105】
【表2】
【0106】
表2に示されるように、実施例3の対照3に対する漏れ電流変化率Rは、実施例1の対照1に対する漏れ電流変化率R、及び比較例の比較対照に対する漏れ電流変化率Rの、いずれよりも小さい値となることが分かった。上述のように、実施例3に対応する第3の実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、コンデンサ素子200の後方の角部の一部が陰極外部端子400Bによって覆われているとともに、コンデンサ素子200の後面208が幅広の連結主部434によって大きく覆われている。この測定結果は、実施例3に対応する第3の実施の形態の固体電解コンデンサ100Bにおいては、コンデンサ素子200の封止のために外装樹脂600Bを硬化させた際に発生した外部応力の一部が、陰極外部端子400B、特に幅広の連結主部434によって受け止められるため、実施例1や比較例の固体電解コンデンサ100、800と比較して、コンデンサ素子200の後方の角部や後面208及びその周辺がより保護されているということを裏付けている。
【0107】
また、表2に示されるように、実施例1の対照1に対する漏れ電流変化率Rは、実施例3の対照3に対する漏れ電流変化率Rよりは大きいものの、比較例の比較対照に対する漏れ電流変化率Rより小さい値となることが分かった。上述のように、コンデンサ素子200の後方の角部の一部は、陰極外部端子400によって覆われている。この測定結果は、実施例1に対応する第1の実施の形態の固体電解コンデンサ100においては、コンデンサ素子200の封止のために外装樹脂600を硬化させた際に発生した外部応力の一部が、陰極外部端子400によって受け止められるため、比較例の固体電解コンデンサ800と比較して、コンデンサ素子200の後方の角部の一部が保護されているということを裏付けている。
【0108】
以上、本発明について実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
100,100A,100B,100C 固体電解コンデンサ
102,102A 上面
104 下面
106 前面
108,108A,108B,108C 後面
200 コンデンサ素子
202 上面
204 下面
206 前面
208 後面
210 陽極リードワイヤ
220 陰極層
230 陽極体
250 誘電体層
300 陽極外部端子
304 下面
306 前面
400,400B 陰極外部端子
410 上側部
412 上面
414 下面
416 エッジ
430,430B 連結部
432 第1連結要素
434 連結主部
436 第2連結要素
438,438B 後面
450 下側部
452 上面
454 下面
456 エッジ
500 導電性接着剤
600,600A,600B,600C 外装樹脂
800 固体電解コンデンサ
804 下面
840 陰極外部端子
844 下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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