(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163688
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】持続的保持アーキテクチャ及びクリーンアップ回路を備えた動的メモリ
(51)【国際特許分類】
G11C 11/4091 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
G11C11/4091 124
G11C11/4091 160
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021786
(22)【出願日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】63/175,033
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/210,466
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508114395
【氏名又は名称】▲ゆ▼創科技股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521531148
【氏名又は名称】インベンション アンド コラボレーション ラボラトリー プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】盧 超群
(72)【発明者】
【氏名】夏 濬
(72)【発明者】
【氏名】戎 博斗
【テーマコード(参考)】
5M024
【Fターム(参考)】
5M024AA96
5M024AA97
5M024BB14
5M024BB36
5M024CC25
5M024CC62
5M024CC82
5M024PP03
5M024PP07
(57)【要約】
【課題】持続的保持アーキテクチャを備えたDRAMを提供する。
【解決手段】DRAMは、DRAMチップで利用される信号ONEに対応する電圧レベルを生成する第1供給電圧源と、アクセストランジスタ及び保持キャパシタを含むDRAMセルとを有する。第1電圧レベルは、信号ONEに対応する電圧レベルよりも高く、第1電圧レベルは、第1維持電圧生成部によって生成される。第1維持電圧生成部は、DRAMセルのアクセストランジスタのターンオフ期間中にDRAMセルの保持キャパシタへ電気的に結合される。クリーンアップ回路は、等化期間中にBL/BLBの電圧と目標基準電圧との間の差を小さくするために設けられる。
【選択図】
図15C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DRAMチップであって、
当該DRAMチップで利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1電圧レベルを生成する第1維持電圧生成部と、
アクセストランジスタ及び保持キャパシタを有するDRAMセルと、
ビットライン及び相補ビットラインへ結合されたセンス増幅器であり、前記ビットラインは、前記アクセストランジスタを通じて前記保持キャパシタへ結合される、前記センス増幅器と、
前記ビットライン及び前記相補ビットラインへ結合された等化回路であり、等化期間中に前記ビットライン及び前記相補ビットラインを前もってセットされた基準電圧に結合する前記等化回路と、
前記センス増幅器又は前記等化回路へ結合されたクリーンアップ回路と
を有し、
前記第1維持電圧生成部は、前記アクセストランジスタのターンオフ期間中に前記ビットラインへ電気的に結合され、前記クリーンアップ回路は、前記等化期間中に前記ビットラインの電圧と目標基準電圧との間の差を小さくするようアクティブにされる、
DRAMチップ。
【請求項2】
前記アクセストランジスタのゲート端子へ結合されたワードラインを更に有し、
前記ワードラインは、第1期間及び該第1期間の後にある第2期間に前記アクセストランジスタをオンするよう選択され、前記第1維持電圧生成部は、前記第2期間中に前記ビットラインへ電気的に結合される、
請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項3】
前記第1維持電圧生成部は、前記第2期間中に前記センス増幅器へ電気的に結合され、前記第1維持電圧生成部は、前記センス増幅器及び前記ビットラインを通じて前記DRAMセルの前記保持キャパシタへ電気的に結合される、
請求項2に記載のDRAMチップ。
【請求項4】
前記第1期間は、アクセス動作期間であり、前記第2期間は、リストアフェーズ期間である、
請求項2に記載のDRAMチップ。
【請求項5】
キッキング電荷源が、前記アクセス動作期間中に前記ビットラインへ電気的に結合される、
請求項4に記載のDRAMチップ。
【請求項6】
前記第1期間は、第1キック期間及び該第1キック期間から分離した第2キック期間を有し、キッキング電荷源が、前記第1キック期間中に前記ビットラインへ結合されるか、又は前記第1キック期間及び前記第2キック期間中に前記ビットラインへ結合される、
請求項2に記載のDRAMチップ。
【請求項7】
前記キッキング電荷源の電圧レベルは、前記第1維持電圧生成部の電圧レベルよりも小さい、
請求項6に記載のDRAMチップ。
【請求項8】
前記ワードラインは、リフレッシュ動作に従って前記第1期間及び前記第2期間に前記アクセストランジスタをオンするよう選択される、
請求項2に記載のDRAMチップ。
【請求項9】
キッキング電荷源は、前記第1期間より前であるキック期間に前記ビットラインへ電気的に結合され、前記第1維持電圧生成部は、前記第2期間の全ての間に前記ビットラインへ電気的に結合される、
請求項8に記載のDRAMチップ。
【請求項10】
前記第2期間は、前記キック期間と、前記第1期間と、前記第2期間との和の少なくとも20%である、
請求項9に記載のDRAMチップ。
【請求項11】
前記第2期間は、前記キック期間と、前記第1期間と、前記第2期間との和の少なくとも50%である、
請求項9に記載のDRAMチップ。
【請求項12】
前記等化期間は、前記アクセストランジスタのターンオフ期間の後であり、前記クリーンアップ回路は、前記ビットラインの電圧が前記等化期間の後に前記前もってセットされた基準電圧に等しくなるように、前記等化期間中にアクティブにされる、
請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項13】
前記クリーンアップ回路は、クリーンアップパルスによってアクティブにされ、前記クリーンアップパルスの幅は、前記等化期間の幅以下である、
請求項12に記載のDRAMチップ。
【請求項14】
前記クリーンアップ回路は、クリーンアップパルスによってアクティブにされ、前記クリーンアップパルスの立ち上がりは、前記等化期間の立ち上がりと実質的に整列される、
請求項12に記載のDRAMチップ。
【請求項15】
前記クリーンアップ回路は、前記センス増幅器及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する、
請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項16】
前記クリーンアップ回路は、前記等化回路及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する、
請求項1に記載のDRAMチップ。
【請求項17】
DRAMチップであって、
アクセストランジスタ及び保持キャパシタを有するDRAMセルと、
ビットライン及び相補ビットラインへ結合されたセンス増幅器であり、前記ビットラインは、前記アクセストランジスタを通じて前記保持キャパシタへ結合される、前記センス増幅器と、
前記ビットライン及び前記相補ビットラインへ結合された等化回路であり、等化期間中に前記ビットライン及び前記相補ビットラインを前もってセットされた基準電圧へ結合する等化回路と、
前記等化期間中に前記ビットライン及び前記相補ビットラインへ電気的に結合されるクリーンアップ回路と
を有し、
前記クリーンアップ回路は、前記等化期間中に前記ビットラインの電圧と前記前もってセットされた基準電圧との間の差を小さくする、
DRAMチップ。
【請求項18】
前記ビットラインの電圧は、前記等化期間の後に前記前もってセットされた基準電圧に等しい、
請求項17に記載のDRAMチップ。
【請求項19】
前記クリーンアップ回路は、前記センス増幅器又は前記等化回路を通じて前記等化期間中に前記ビットライン及び前記相補ビットラインへ電気的に結合される、
請求項17に記載のDRAMチップ。
【請求項20】
前記クリーンアップ回路は、前記センス増幅器及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する、
請求項19に記載のDRAMチップ。
【請求項21】
前記クリーンアップ回路は、前記等化回路及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する、
請求項19に記載のDRAMチップ。
【請求項22】
前記クリーンアップ回路は、前記等化期間中にクリーンアップパルスによってアクティブにされ、前記クリーンアップパルスの立ち上がりは、前記等化期間の立ち上がりと実質的に整列される、
請求項17に記載のDRAMチップ。
【請求項23】
前記等化期間の開始時又は前記等化期間中に前記ビットラインの電圧、前記相補ビットラインの電圧、及び前記前もってセットされた基準電圧を受け、前記ビットラインの電圧と前記相補ビットラインの電圧との和の半分が前記前もってセットされた基準電圧に等しくない場合に制御信号を前記クリーンアップ回路へ送信するコンパレータ回路を更に有する、
請求項17に記載のDRAMチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的メモリに、特に、持続的保持アーキテクチャ及びクリーンアップ回路を備えた動的メモリに関係がある。
【背景技術】
【0002】
最も広く使用されているDRAMセルは、ソースが保持キャパシタへ接続され、ドレインがビットラインへ結合されている1つのアクセストランジスタを有している。ビットラインは、1段目の交差結合されたセンス増幅器(sense amplifier)へ結合され、センス増幅器は、セルアレイから読み出された信号を列スイッチを通じて2段目のセンス増幅器へ転送する。2段目のセンス増幅器は、I/Oライン(データラインとして知られている。)へ接続されている。書き込み動作中、I/Oバッファによって駆動される信号はデータライン上で安定化され、1段目のセンス増幅器上でデータがさらに安定化され、アクセストランジスタを介して保持キャパシタに適切な信号が書き込まれる。アクセストランジスタは、アクティブモード(つまり、アクセストランジスタはオンである。)中には保持キャパシタへの正確のデータの読み出し動作又は書き込み動作に関与するが、アクセストランジスタが非アクティブモード中である(つまり、アクセストランジスタはオフである)間は、保持されている信号の損失も回避する。
【0003】
アクセストランジスタは、トランジスタによる電流漏出を最小限にするために高い閾電圧を有するよう設計される。しかし、欠点として、アクセストランジスタは、オンされるときにその性能を損なうことになる。結果として、ワードラインは、保持キャパシタへの信号の書き込みのためにアクセストランジスタが高いドライバビリティを有することを可能にするようブートストラップされるか又は(通常は、ワードライン電圧源からの)高いVPPへ接続される必要がある。そのような高いVPPは、アクセストランジスタのゲート又はワードラインにロードされるようワードラインドライバを通される。VPPはアクセストランジスタにかかる高い電圧ストレスであるから、トランジスタの誘電材料(例えば、酸化物層又は高K材料)は、DRAMの他のサポート回路又は周辺回路(例えば、コマンドデコーダ、アドレスデコーダ、及び、他のI/O回路、など)で使用されているトランジスタのために使用されているものよりも厚いよう設計される必要がある。従って、アクセストランジスタの設計は、高い性能又は高い信頼性のどちらかを保つという課題に直面し、信頼性と性能との間の難しいトレードオフを提示する。広く使用されているアクセストランジスタ設計は、高い信頼性を達成することにより焦点を当てられているが、アクセストランジスタの性能を犠牲にしなければならない。
【0004】
簡潔に言えば、従来のアクセストランジスタ設計に関して、それは、保持キャパシタで電荷を保持する長い保持時間を助けるよう漏れ電流を低減するための高い閾電圧や、VPPのような高いワードライン電圧を維持するための厚いゲート誘電材料を有し、アクセストランジスタの性能を犠牲にしている。結果として、VCCレベルと通常呼ばれる信号ONEの書き込み(WRITE)又は読み出し(READ)は、より長い時間がかかるか、あるいは、信号ONEを完全にリストアすることができない。つまり、書き込み時間は、保持キャパシタに完全に書き込まれるためにフル信号VCCを満足するよう長くなる。
【0005】
DRAMセルの従来の設計が
図1Aに表されている。DRAMセルは、アクセストランジスタ11及び保持キャパシタ12を含む。アクセストランジスタ11のゲートは、ワードライン(WL)へ結合され、4つの交差接続されたトランジスタを備えた交差結合センス増幅器20が、ビットライン(BL)を通じてアクセストランジスタ11へ結合されている。SAP(センス増幅器のPMOS側)は、センス増幅器20の2つのPMOSトランジスタへ接続されている信号又は電圧であり、SAN(センス増幅器のNMOS側)は、センス増幅器の2つのNMOSトランジスタへ接続されている信号又は電圧である。電圧源VCCSAとSAPとの間のスイッチトランジスタがオンされるとき、SAPの電圧値は、電圧源VCCSA(SAPへ結合されている電圧源)の値、又はDRAMセルに保持されている信号“1”に通常対応するVccにほぼ等しい。同様に、電圧源VSSとSANとの間のスイッチトランジスタがオンされるとき、SANの電圧値は、電圧源VSSの値、又はDRAMセルに保持されている信号“0”に通常対応する接地(Ground)にほぼ等しい。
【0006】
DRAMセルは、書き込みモードではビットライン(BL)からキャパシタに保持され、又は読み出しモードではビットラインへ転送される電荷を制御するために、アクセストランジスタ11をスイッチとして使用する。このとき、複数のDRAMセルがビットラインへ夫々接続される。この例では、ビットライン上のセル信号によって転送された信号を増幅させることによって、読み出しモードで交差結合センス増幅器20によってラッチされた信号ONE(1.2Vと仮定される。信号ONEは、通常、電圧源VCCSAのレベル電圧又は交差結合センス増幅器20から供給されたVccである。)及びZERO(0Vと仮定される。信号ZEROは、通常、電圧源VSSのレベル電圧、又は交差結合センス増幅器20から供給された接地)がある。あるいは、これらの信号ONE及びZEROは、書き込みモードで正しい信号をセルに保持するようセンス増幅器をツイストするよう外部から書き込まれる。
【0007】
図1Bは、ほとんどの現在のDRAMのアクセス(読み出し又は書き込み)動作中の関連信号波形を示す。例を与えるために、25ナノメートルDRAMセルは、アレイ設計に関係がある(囲まれた)次のパラメータを一般的に有している。ビットラインONEは電圧が1.2Vであり、ワードラインONは最大2.7VのVPPを有し、ワードラインOFFは約-0.3Vの電圧を有し、セルの閾電圧は約0.7から0.9Vの範囲であり、アクセストランジスタの誘電体は2.7V未満の電界強度を維持する必要があり(バーンインストレスの下では、この数は、許容可能な信頼性マージンのために、最大3.4Vになる。)、ワードラインドライバデバイスも厚いゲート誘電体を使用する必要があり、それにより、性能が犠牲にされなければならない。
【0008】
図1Bに示されるように、最初に、DRAMの保持キャパシタは、スタンバイ又は非アクティブモードにあり(つまり、アクセストランジスタはオフである。)、アクセストランジスタのゲートへ結合されているワードラインの電圧レベルは、スタンバイ負電圧(-0.3V)である。ビットライン及びビットラインバーは、VCCSA=1.2VでのONEレベルと0VのZEROレベルとの間の半VCCSAの電圧レベルで(後述される電圧等化回路によって)等化される。
【0009】
アクセス動作を開始するよう保持キャパシタがアクティブモードに入る(つまり、アクセストランジスタはオンである)場合に、ワードラインの電圧レベルは、スタンバイ負電圧(-0.3V)から立ち上がり、アクセストランジスタのゲート-ソース間電圧に十分に大きい駆動(例えば、2.7V-1.2V-0.8V=0.7V)を供給するよう、VCCSA(1.2V)にアクセストランジスタの閾電圧Vt(0.7又は0.8Vであり得る。)をプラスした電圧よりもずっと高い高レベルVPP(例えば、2.7V)にプルアップされる。ビットラインは、電荷共有のために保持キャパシタへ結合される。ワードラインは、アクセス動作(例えば、読み出し又は書き込み)のためにそのような高電圧VPPで連続的にONであり、交差結合センス増幅器20は、ビットライン(BL及びBLB)間の電圧差を増幅させる。
【0010】
更に、リストア(RESTORE)フェーズが、アクセス動作に続いて進行する。リストアフェーズ中、交差結合センス増幅器20は、保持キャパシタでの信号ONE又はZEROに基づき保持キャパシタを再充電する。リストアフェーズ後、ワードラインは、VPPからスタンバイモードでのワードラインの電圧(-0.3V)にプルダウンされ、アクセストランジスタは非アクティブモードにある。
【0011】
詳細な説明のために、前述の従来のDRAM回路の動作、以降、信号“1”を保持する対応するDRAMセルのアクセス読み出し動作が、例として使用され、以下は、Bruce Jacob, et al.,”Memory Systems - Cache Dram and Disk”, Elservier Inc.,2008年,362~365頁(非特許文献1)から引用される。その内容は、本願に参照により援用される。センス増幅器回路(又はセンシング回路)20及び電圧等化回路21を備えたDRAMセルの従来回路を示す
図1Cを参照されたい。電圧等化回路21は、ビットライン対上の電圧が可能な限り厳密に一致することを確かにすべきである。上述されたように、センス増幅器回路20は、4つの交差接続されたトランジスタ(つまり、2つのP型トランジスタ(“PFet”)及び2つのN型トランジスタ(“NFet”))を含む。センス増幅器回路20は、SAN信号及びSAP信号がアクティブにされる(つまり、
図1Aに示されるように、SAN信号及びSAP信号が夫々、VSS及びVCCSAへ接続される)時点でのビットライン上の各々の電圧に応じて、ビットライン対を相補電圧極値に駆動する。SAN信号及びSAP信号又は電圧のアサーション後、ビットラインはフル電圧レベルに駆動される。列選択ライン(Column-Select Line,CSL)は、次いで、出力トランジスタをオンし、完全に駆動された電圧が出力に達して、DRAMデバイスから読み出されることを可能にする。同時に、アクセスされたDRAMセルのアクセストランジスタは開いたままであり、ビットライン上の完全に駆動された電圧は、このとき、保持キャパシタ12を再充電する。
【0012】
従来のDRAMセルへのアクセス読み出し動作に基づき、
図1D~1Gは、プリチャージフェーズ、アクセスフェーズ、センスフェーズ、及びリストアフェーズに関する4つの異なるフェーズを示す。初めに、
図1Dに示されるように、プリチャージフェーズ中、DRAMアレイのビットラインは、基準電圧Vref(通常は、Vcc/2、つまり、電源電圧Vccと接地との間の中間にある電圧である。)に事前充電され、基準電圧として使用される。このプリチャージフェーズで、電圧等化回路21は、ビットライン対に基準電圧Vrefを置くようアクティブにされる。つまり、ビットラインBitline(“BL”)及びビットラインバー
(外1)
(“BLB”又は“相補ビットライン”)はVrefに事前充電される。このプリチャージフェーズで、センス増幅器回路20は非アクティブである。
【0013】
次いで、電圧等化回路が非アクティブであるアクセスフェーズ中、
図1Eに示されるように、電圧(例えば、
図1Bに示されるVcc+Vt又はVPP)が、選択されたDRAMセルに対応するワードラインに印加される。ワードライン上の電圧は、選択されたDRAMセルのアクセストランジスタ11をアクティブに又はオンし、選択されたDRAMセルの保持キャパシタ12は、次いで、その中身を、電荷共有プロセスを通じて各々のビットライン上に放電する。この場合に、保持キャパシタ12の電圧は、
図1Eでは“1”のデジタル値を表すので、電荷共有プロセスは、ビットライン上の電圧をVrefからVref+にわずかに増大させる。次いで、ビットライン上の電圧が変化すると、ビットライン上の電圧は、センス増幅器回路20の動作に影響を及ぼし始める。ビットライン上のわずかにより高い電圧は、センス増幅器回路20の上側NFetよりも下側NFetを導通させるよう駆動し始める。対照的に、微小電圧差はまた、センス増幅器回路20の下側PFetを上側PFetよりも非導通であるよう駆動する。ビットライン電圧は、このようにして、続くセンスフェーズのためにセンス増幅器回路20にバイアスをかける。
【0014】
その後、電圧等化回路21が依然として非アクティブであるセンスフェーズ中、
図1Fに示されるように、上述された微小電圧差は、センス増幅器回路20へのバイアスを駆動し、SAN信号は、下側の
(外2)
の電圧を下げる。SAN信号がオンする(つまり、
図1Aに示されるようにVSS又は接地に接続される)と、より導通した下側NFetは、SAN信号が、下側の
(外3)
の電圧をVefから接地へ下げることを可能にする。同様に、SAP信号(
図1Aに示されるようにVCCSA又はVccに接続される)は、ビットラインを、VCCSA又はVccに対応する“1”のデジタル値を表す完全にリストアされた電圧値に駆動する。SAM信号及びSAP信号は、このようにして、共同で、双安定センス増幅器回路を、各々の最大又は最小電圧レールに駆動させるよう強いる。
【0015】
最後に、リストアフェーズに関して
図1Gに示されるように、ビットライン及びビットラインバー
(外4)
が各々の最大(VCCSA又はVcc)及び最小(VSS又は接地)電圧値に駆動された後、過駆動されたワードラインはアクティブなままであり、完全に駆動されたビットライン電圧は、このとき、アクセストランジスタ11を通じて保持キャパシタ12の電荷をリストアする。リストアフェーズ中、従来のDRAMは、電荷を保持キャパシタ12にリストアするために、
図1Gに示されるように信号“1”に対応する電圧VCCSA又はVccを利用することが知られているので、保持キャパシタ12に保持されている電圧は、
図1Gに示されるように信号“1”に対応する電圧と同じ又は略同じになる。
【0016】
図1Hは、
図1D~1Gに表されているビットライン及び選択された制御信号の電圧波形を示す。アクセス動作の前に、ビットラインは事前充電され、ビットライン上の電圧は基準電圧Vrefにセットされる。フェーズ1又はアクセスフェーズで、ワードライン電圧は、Vccより少なくともVt高くなるまで過駆動され、DRAMセルは、保持キャパシタ12の中身をビットライン上に放電し、電圧をVrefからVref+に上げる。フェーズ2又はセンスフェーズで、センス制御信号SAN及びSAPは、ビットライン上の電圧を、信号“1”を表すフル電圧Vccに駆動する。ビットライン上の信号“1”に対応する電圧Vccは、次いで、フェーズ3又はリストアフェーズでDRAMセルの電荷をリストアする。
【0017】
このようにして、
図1C~1Hに関する上記の説明に基づいて、ビットラインの電圧(
図1Hでは破線によってマークされている。)は、プリチャージフェーズ中に電圧等化回路21によってVref(又はVcc/2)にセットされる。次いで、ワードラインがアクセストランジスタ11をオンした後、電荷共有プロセスは、アクセスフェーズ中にビットラインの電圧をVrefからVref+に上げる。その後に、センスフェーズ中、ビットラインの電圧は、
図1Aに示されるように電圧源VCCSA(又はVcc)に接続されるSAP信号の助けを借りて、Vref+からVCCSA(又はVcc)の近くまで上昇する。最後に、リストアフェーズ中、センス回路20は依然としてアクティブであり、信号“1”に対応する電圧源VCCSA(又はVcc)は、電荷を保持キャパシタ12にリストアするためにセンス回路20を通じてビットラインへ結合される。よって、アクセスフェーズから、センスフェーズ、リストアフェーズまで、SAPを通じてセンス回路20へ結合された高電圧源VCCSA(又はVcc)と、SANを通じてセンス回路20へ結合された低電圧源VSS(又は接地)とがある。従来のDRAM回路ではアクセスフェーズからリストアフェーズまでセンス回路20へ結合される他の電圧源はない。
【0018】
しかし、ワードラインストレスに対するこの高いVPP電圧により、アクセストランジスタは、周辺回路のトランジスタのために使用されるものよりも厚いゲート酸化物又はゲート絶縁物で設計されることになる。これは、悪化した短チャネル効果、トランジスタ電流のオン-オフ比、スイング勾配、などのようなアクセストランジスタ性能を劣化させる。更に、閾電圧は、周辺回路のトランジスタで使用されるものよりも高くなるよう設計されるが、スタンバイモード又は非アクティブモード中にアクセストランジスタを通る漏れ電流は、センシングのための保持電荷の量を低下させるほど依然として高い。12nm又は7nmFinFETプロセスでVCCSAがより低い(例えば、0.6V)場合に、スタンバイモード又は非アクティブモードでの漏れの問題は更に悪化する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Bruce Jacob, et al.,”Memory Systems - Cache Dram and Disk”, Elservier Inc.,2008年,362~365頁
【発明の概要】
【0020】
従って、本発明は、持続的保持アーキテクチャ及びクリーンアップ回路を備えたDRAMを紹介すべきである。本発明の態様に従って、DRAMは、DRAMチップで利用される信号ONEの電圧レベルよりも高い第1電圧レベルを生成する第1維持電圧生成部と、アクセストランジスタ及び保持キャパシタを有するDRAMセルと、センス増幅器、等化回路、及びクリーンアップ回路とを有する。センス増幅器は、ビットライン及び相補ビットラインへ結合されており、ビットラインは、アクセストランジスタを通じて保持キャパシタへ結合される。等化回路も、ビットライン及び相補ビットラインへ結合されており、等化回路は、等化期間中にビットライン及び相補ビットラインを前もってセットされた基準電圧に結合する。クリーンアップ回路は、センス増幅器又は等化回路へ結合される。ここで、第1維持電圧生成部は、DRAMセルのアクセストランジスタのターンオフ期間中にDRAMセルの保持キャパシタへ電気的に結合され、クリーンアップ回路は、等化期間中にビットラインの電圧と目標基準電圧との間の差を小さくするようアクティブにされる。
【0021】
本発明の他の目的に従って、DRAMは、アクセストランジスタのゲート端子へ結合されたワードラインを更に有し、ワードラインは、第1期間及び第1期間の後にある第2期間にアクセストランジスタをオンするよう選択され、第1維持電圧生成部は、第2期間中にビットラインへ電気的に結合される。
【0022】
本発明の一態様に従って、第1維持電圧生成部は、第2期間中にセンス増幅器へ電気的に結合され、第1維持電圧生成部は、センス増幅器及びビットラインを通じてDRAMセルの保持キャパシタへ電気的に結合される。
【0023】
本発明の一態様に従って、第1期間は、アクセス動作期間であり、第2期間は、リストアフェーズ期間である。更に、他の態様では、キッキング電荷源が、アクセス動作期間中にDRAMチップのビットラインへ電気的に結合される。ビットラインの信号は、アクセス動作期間中にキッキング電荷源によってキック電圧レベルに上昇し、キック電圧レベルは、第1電圧レベルよりも低いが、信号ONEに対応する電圧レベルよりも高い。
【0024】
本発明の一態様に従って、第1期間は、第1キック期間及び第1キック期間から分離した第2キック期間を有し、キッキング電荷源が、第1キック期間中にビットラインへ結合されるか、又は第1キック期間及び第2キック期間中にビットラインへ結合される。
【0025】
本発明の一態様に従って、ワードラインは、リフレッシュ動作に従って第1期間及び第2期間にアクセストランジスタをオンするよう選択される。キッキング電荷源は、第1期間より前であるキック期間にビットラインへ電気的に結合され、第1維持電圧生成部は、第2期間の全ての間にビットラインへ電気的に結合される。
【0026】
本発明の一態様に従って、第2期間は、キック期間と、第1期間と、第2期間との和の少なくとも20%である。他の例では、第2期間は、キック期間と、第1期間と、第2期間との和の少なくとも50%である。
【0027】
本発明の一態様に従って、等化期間は、アクセストランジスタのターンオフ期間の後であり、クリーンアップ回路は、ビットラインの電圧が等化期間の後に前もってセットされた基準電圧に等しくなるように、等化期間中にアクティブにされる。更に、クリーンアップ回路は、クリーンアップパルスによってアクティブにされ、クリーンアップパルスの幅は、等化期間の幅以下である。
【0028】
本発明の一態様に従って、クリーンアップ回路は、クリーンアップパルスによってアクティブにされ、クリーンアップパルスの立ち上がりは、等化期間の立ち上がりと実質的に整列される。
【0029】
本発明の一態様に従って、クリーンアップ回路は、センス増幅器及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する。他の例では、クリーンアップ回路は、等化回路及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する。
【0030】
本発明の他の目的は、クリーンアップ回路を備えたDRAMチップを提供することである。DRAMチップは、アクセストランジスタ及び保持キャパシタを有するDRAMセルと、センス増幅器、等化回路、及びクリーンアップ回路とを有する。センス増幅器は、ビットライン及び相補ビットラインへ結合されており、ビットラインは、アクセストランジスタを通じて保持キャパシタへ結合される。等化回路も、ビットライン及び相補ビットラインへ結合されており、等化回路は、等化期間中にビットライン及び相補ビットラインを前もってセットされた基準電圧へ結合する。クリーンアップ回路は、センス増幅器又は等化回路へ結合される。ここで、クリーンアップ回路は、等化期間中にビットラインの電圧と前もってセットされた基準電圧との間の差を小さくするようアクティブにされる。
【0031】
本発明の一態様に従って、ビットラインの電圧は、等化期間の後に前もってセットされた基準電圧に等しい。
【0032】
本発明の他の態様に従って、クリーンアップ回路は、センス増幅器又は等化回路を通じて等化期間中にビットライン及び相補ビットラインへ電気的に結合される。
【0033】
本発明の他の態様に従って、クリーンアップ回路は、センス増幅器及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する。他の例では、クリーンアップ回路は、等化回路及び所定の電圧へ結合されたスイッチ回路を有する。
【0034】
本発明の態様に従って、クリーンアップ回路は、等化期間中にクリーンアップパルスによってアクティブにされ、クリーンアップパルスの立ち上がりは、等化期間の立ち上がりと実質的に整列される。
【0035】
本発明の態様に従って、DRAMチップは、等化期間の開始時又は等化期間中にビットラインの電圧、相補ビットラインの電圧、及び前もってセットされた基準電圧を受け、ビットラインの電圧と相補ビットラインの電圧との和の半分が前もってセットされた基準電圧に等しくない場合に制御信号をクリーンアップ回路へ送信するコンパレータ回路を更に有する。
【0036】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後の当業者には間違いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1A】DRAMセルの一般的に使用されている設計を表す。
【
図1B】ほとんどの現在のDRAMのアクセス(読み出し又は書き込み)動作中の関連信号波形を表す。
【
図1C】センス回路及び電圧等化回路を備えた従来のDRAM回路を表す。
【
図1D】従来のDRAMセルへのアクセス読み出し動作に関するプリチャージフェーズ、アクセスフェーズ、センスフェーズ、及びリストアフェーズを含むセンス増幅器の動作に関する4つの異なるフェーズを表す。
【
図1E】従来のDRAMセルへのアクセス読み出し動作に関するプリチャージフェーズ、アクセスフェーズ、センスフェーズ、及びリストアフェーズを含むセンス増幅器の動作に関する4つの異なるフェーズを表す。
【
図1F】従来のDRAMセルへのアクセス読み出し動作に関するプリチャージフェーズ、アクセスフェーズ、センスフェーズ、及びリストアフェーズを含むセンス増幅器の動作に関する4つの異なるフェーズを表す。
【
図1G】従来のDRAMセルへのアクセス読み出し動作に関するプリチャージフェーズ、アクセスフェーズ、センスフェーズ、及びリストアフェーズを含むセンス増幅器の動作に関する4つの異なるフェーズを表す。
【
図1H】
図1D~1Gに示されているビットライン及び選択された信号の電圧波形を表す。
【
図2】本発明の一実施形態に従うDRAMセルのアクセス(読み出し又は書き込み)動作中の関連信号波形を表す。
【
図3A】VCCSAよりも高い第1維持電圧源へ選択的に結合されたセンス増幅器の概略的回路を示す。
【
図3B】VSSよりも低い第2維持電圧源へ選択的に結合されたセンス増幅器の概略的に回路を示す。
【
図4】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの関連信号波形を表す。
【
図5】プリチャージ動作に関する本発明の一実施形態の機能ブロック図を示す。
【
図6】本発明に従うプリチャージ動作のためのセンス増幅器の動作を表す。
【
図7】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図8A】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図8B】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図8C】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図8D】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図9】本発明の一実施形態に従うDRAMセルの動作中のビットラインの信号とキック期間との間の関係を表す。
【
図10A】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図10B】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルの動作中の関連信号波形を表す。
【
図11A】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルのリフレッシュ動作中の関連信号波形を表す。
【
図11B】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルのリフレッシュ動作中の関連信号波形を表し、先行リストアキックがタイミング3で開始する。
【
図11C】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルのリフレッシュ動作中の関連信号波形を表し、先行リストアキックがタイミング2で開始する。
【
図11D】本発明の他の実施形態に従うDRAMセルのリフレッシュ動作中の関連信号波形を表し、先行リストアキックがタイミング1で開始する。
【
図12A】リストアフェーズ中にBLの電圧がVCCSAhまでキックアップされる場合の関連信号波形を表す。
【
図12B】2つのワードラインのアクティブ化の間の他の関連信号波形を表し、BLの電圧がリストアフェーズ中にVCCSAhにキックアップされる。
【
図13】2つのワードラインのアクティブ化の間の他の関連信号波形を表し、BLの電圧がリストアフェーズ中にVCCSAhにキックアップされ、クリーンアップ回路が等化中にアクティブにされる。
【
図14A】センス回路及び電圧等化回路を備えた従来のDRAM回路を表す。
【
図14B】クリーンアップ回路がセンス回路へ結合されている、本発明に従うDRAM回路を表す。
【
図14C】クリーンアップ回路が電圧等化回路へ結合されている、本発明に従うDRAM回路を表。
【
図15A】クリーンアップ回路がセンス回路のSAP点及び接地へ接合されたスイッチ回路を有する、本発明に従うDRAM回路を表す。
【
図15B】クリーンアップ回路が電圧等化回路のVBL点及び接地へ結合されたスイッチ回路を有する、本発明に従うDRAM回路を表す。
【
図15C】コンパレータ回路がクリーンアップ回路へ結合されている、本発明に従うDRAM回路を表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
開示されている装置及び方法の後述される実施形態の詳細な説明は、図を参照して、限定としてではなく、例として本明細書で提示される。特定の実施形態が図示され詳細に説明されるが、様々な変更及び改良が、添付の特許請求の範囲の範囲から外れずに、行われてもよいことが理解されるべきである。本発明の範囲は、構成するコンポーネントの数、それらの材料、それらの形状、それらの相対配置、などに決して限定されず、本発明の実施形態の例として単に開示される。
【0039】
本発明は、持続的保持アーキテクチャを備えたDRAMを開示すべきであり、アクセストランジスタのターンオフ前に維持電圧源がDRAMセルの保持キャパシタへ電気的に結合され、維持電圧源の電圧レベルは通常の信号ONEのそれよりも高いか、あるいは、維持電圧源の電圧レベルは通常の信号ZEROよりも低い。DRAM動作(例えば、自動プリチャージ動作、リストアフェーズ、リフレッシュフェーズ、及びプリチャージフェーズ)は、選択されたDRAMセルに、そのアクセストランジスタをオンさせる。よって、アクセストランジスタのターンオン段階中に上記の維持電圧源をDRAMセルの保持キャパシタへ結合することによって、保持キャパシタは、アクセストランジスタを通る漏れ電流がある場合でさえ、アクセストランジスタのターンオフ後の従来のDRAM構造と比較して、より長い期間維持することができる。
【実施例0040】
図2は、本発明の一実施形態に従うDRAMセルのアクセス(読み出し又は書き込み)動作の関連信号波形を表す。DRAMのスタンバイモードから開始することによって、ワードラインWLは、アクセストランジスタ11を完全にオフするために、-0.3Vでバイアスをかけられる。この実施形態で、VCCSAは1.2Vにセットされ、VSSは0Vにセットされる。この例で、信号ONEのレベルは1.2Vであり、信号ZEROのレベルは0V(接地)である。ビットライン(BL及びBLB)は、VCCSA=1.2Vでの信号ONEレベルとVSS=0Vでの信号ZEROレベルとの間の0.6Vの電圧レベルで等化される。
【0041】
T0で、ワードライン電圧は、信号ONE又はZEROのどちらかをビットラインに転送するよう、-0.3Vから、1.2VのVCCSA及び0.8Vのアクセストランジスタの閾電圧よりもずっと高い2.7Vに上昇する。信号が、
図1Eで述べられたアクセスフェーズ中に特定の大きさに達するまで、センス増幅器20は、ビットライン(BL)及びビットラインバー(BLB)にわたる信号を増幅させるようアクティブにされる。T1後、
図1Fで述べられたセンスフェーズ中、読み出し動作(ビットライン上でセル信号によって転送された信号を増幅させることによる。)又は書き込み動作(これらの信号ONE及びZEROは、正しい信号をDRAMセルに蓄えるためにセンス増幅器20をツイストするよう外部から書き込まれる。)は、実行され得る。当然、読み出し又は書き込みに加えて、他のDRAM動作がT1の後に実行されてもよい。つまり、DRAMセルは、T1からT2の間の期間中にアクセス可能である。
【0042】
T2の後、リストアフェーズ中、アクセストランジスタ11の誘電体は、適度に短いリストア時間にワードライン(WL)からVPPによって依然として負荷をかけられている。第1維持電圧源は、このリストアフェーズ中にDRAMセルのキャパシタへ意図的に結合される。第1維持電圧源の電圧レベルは、1.2V(又は信号ONEの電圧レベル)よりも高い。これは、第1維持電圧源へ選択的に結合されるセンス増幅器20の概略的回路を表す
図3Aに示されるように、第1維持電圧源(VCCSA+M1)をセンス増幅器20へ接続又は結合することによって(例えば、スイッチ13をオンすることによる。)行われる。このリストアフェーズ中に、元のVCCSA電圧源は、センス増幅器20から切り離され(例えば、スイッチ14をオフすることによる。)、第1維持電圧源(VCCSA+M1)が、
図3Aに示されるように、センス増幅器20へ接続されることになる。M1は、第1維持電圧源(VCCSA+M1)がVCCSAよりも高くなるように、正の値であり得る。一例で、M1は、1/3VCCSAから2/3VCCSAの範囲にあり得る(例えば、0.6V)。例えば、信号ONEがそもそも保持キャパシタにある場合に、このリストアフェーズ中、第1維持電圧源からの1.2V+0.6Vの電圧レベルが、次いで、センス増幅器20を通って保持キャパシタ12へ供給される。つまり、
図2において、T3でのアクセストランジスタ11のターンオフ(つまり、ワードラインWLが2.7VのVPPから-0.3Vのスタンバイモードでのワードライン電圧へプルダウンされる)前に、保持キャパシタ12は、通常の信号ONE(VCCSA)のそれよりも高い第1維持電圧源の電圧レベルを供給される。このようにして、アクセストランジスタ11のターンオフ後、保持キャパシタ12は、アクセストランジスタ11を通る漏れ電流があるとしても、従来のDRAM構造と比較して長い期間維持することができる。一実施形態で、アクセストランジスタ11のターンオフ後、又はリストアフェーズ後、第1維持電圧源(VCCSA+M1)はセンス増幅器20から切り離され得る。加えて、ビットライン(BL)は、Vb1の電圧レベルを有するビットライン電圧源へ結合され得る。それにより、ビットライン(BL)の電圧レベルは、
図2に示されるように、Vb1にリセットされることになる。
【0043】
他の実施形態では、T2の後、リストアフェーズ中、第2維持電圧源が、リストアフェーズ中にDRAMセルのキャパシタへ意図的に結合される。第2維持電圧源の電圧レベルは、電圧源VSS(0V又は信ZEROの電圧レベル)よりも低い。これは、
図3Bに示されるように、第2維持電圧源(VSS-M2)をセンス増幅器へ接続することによって(例えば、スイッチ23をオンすることによる。)行われ得る。
図3Bは、VSSよりも低い第2維持電圧源(VSS-M2)へ選択的に結合されたセンス増幅器の概略的回路を表し、M2は正の数であり得る。一例で、M2は、0.4V~0.8Vの範囲にあり得る(例えば、0.6V)。当然、第2維持電圧源がリストアフェーズ中にセンス増幅器20へ結合されるとき、電圧源VSSは、センス増幅器20から切り離される(例えば、スイッチ24をオフすることによる。)。信号ZEROがそもそも保持キャパシタ12にある場合に、このリストアフェーズ中、-0.6Vの電圧レベルが、次いで、保持キャパシタ12へ供給される。つまり、
図2において、T3でのアクセストランジスタ11のターンオフ(つまり、ワードラインWLがVPPからスタンバイモードでのワードライン電圧へプルダウンされる)前に、保持キャパシタ12は、通常の信号ZERO(VSS)のそれよりも低い第2維持電圧源の電圧レベルを供給される。一実施形態で、アクセストランジスタ11のターンオフ後、又はリストアフェーズ後、第2維持電圧源(VSS-M2)はセンス増幅器20から切り離され得る。
【0044】
当然、他の実施形態では、第1維持電圧源及び第2維持電圧源は両方とも、リストアフェーズ中に、DRAMのキャパシタへ意図的に結合されてもよい。従って、ワードラインWLがVPPからスタンバイモードでのワードラインの電圧にプルダウンされる前に、信号ONEがそもそも保持キャパシタにある場合には、1.2V+0.6Vの電圧レベルが保持キャパシタに蓄えられる、あるいは、信号ZEROがそもそも保持キャパシタにある場合には、-0.6Vの電圧レベルが保持キャパシタに蓄えられる。
アクセストランジスタを通って漏出させずに保持電荷を維持するよう漏れ電流を低減するために、通常、設計は、アクセストランジスタに非常に高い閾電圧を持たせるよう行われる。VCCSAが0.6Vに下げられる場合に、7nm又は5nmプロセストライゲート(tri-gate)又はFinFETトランジスタは、DRAM設計において周辺回路のために採用され、それらのトランジスタの閾電圧は、0.3Vに低減されるように、然るべくスケーリングされ得る。この実施形態で、アクセストランジスタの閾電圧は、意図的に最大で0.5から0.6Vに上げられる。故に、保持キャパシタからの漏れ電流は、少なくとも3~4ディケードだけ大幅に減少する(=0.6-0.3~0.3V。S-係数が68mV/ディケードである場合に、漏れは、周辺トライゲートデバイスのそれよりも4ディケード低減可能であり、閾電圧が0.5Vに上げられる場合には、漏れ電流は2~3ディケードであるはずである。)。閾電圧をVCCSA近くまで又は0.6Vの少なくとも80%以上に上げることが提案される。実施形態で、アクセストランジスタ(例えば、FinFET又はトライゲートトランジスタ)のゲート誘電体厚は、その厚さを増大させることなしに周辺トランジスタのそれと同じに依然として保たれ、その場合に、トライゲート構造を使用する高性能メリットは維持され得る。
当然、上述されたように、ワードラインWLがVPPからスタンバイモードでのワードラインの電圧へプルダウンされる前に、信号ZEROがそもそも保持キャパシタにある場合には、第2維持電圧源の電圧レベルが保持キャパシタに蓄えられ得る。このとき、第2維持電圧源の電圧レベルは、信号ZEROよりも低く、例えば、-0.4Vである。