(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163702
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】導電体アセンブリ、導電体アセンブリを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01R 13/03 20060101AFI20221019BHJP
H01R 43/16 20060101ALI20221019BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20221019BHJP
H01R 4/34 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
H01R13/03 Z
H01R43/16
H01R4/70 Z
H01R4/34
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022057856
(22)【出願日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10 2021 109 369.4
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ファイール
(72)【発明者】
【氏名】クリス ビューヒリング
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル エーハイム
(72)【発明者】
【氏名】フランク ケーニー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン シェアー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン リュック
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ コスマルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ マウルス
【テーマコード(参考)】
5E012
5E063
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E063GA06
5E063GA10
5E063XA01
5E063XA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低い接触抵抗での接触を可能とする導電体アセンブリ、および導電体アセンブリを製造するための方法を提供する。
【解決手段】第1の導電材料から作製された複数の導線を有するライン部分(20)と、導線がコンタクトユニット(31)を形成するように圧縮されているコンタクト部分(30)とを備える導電体アセンブリが示されている。導電体アセンブリは、コンタクトユニット(31)のコンタクト面において第2の導電材料から作製された層(40)を備える。さらに、本文書は、第1の導電材料から作製された複数の導線が、コンタクトユニット(31)を形成するように部分的に圧縮される圧縮工程を含む方法を開示する。本方法は、第2の導電材料から作製された層(40)が、コンタクトユニット(31)のコンタクト面に取り付けられる工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電材料から作製された複数の導線(21)を有するライン部分(20)と、前記導線(21)がコンタクトユニット(31)を形成するように圧縮されているコンタクト部分(30)とを備える導電体アセンブリ(100)であって、
前記導電体アセンブリ(100)は、前記コンタクトユニット(31)のコンタクト面(32)において第2の導電材料から作製された層(40)を備える、
導電体アセンブリ(100)。
【請求項2】
前記層(40)は、前記コンタクトユニット(31)の他の部分に一体に接続されている、請求項1に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項3】
前記コンタクトユニット(31)は、貫通孔(35)を備える、請求項1または2に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項4】
前記導線(21)は、前記貫通孔(35)の周囲に連続的に配置されている、請求項3に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項5】
前記層(40)は、前記コンタクトユニット(31)を少なくとも部分的に包囲する安定化スリーブ(50)の一部である、請求項1から4のいずれか一項に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項6】
前記導電体アセンブリ(100)は、取り付け要素(90)のための案内部材(60)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項7】
前記案内部材(60)は、前記安定化スリーブ(50)と一体に形成されている、請求項6に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項8】
前記案内部材(60)は、前記貫通孔(35)に配置されている、請求項3および6または7のいずれか一項に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項9】
前記導電体アセンブリ(100)は、前記コンタクト部分(30)を少なくとも部分的に包囲する、電気絶縁材料から作製されたタッチガード(70)を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項10】
前記タッチガード(70)は、前記安定化スリーブ(50)を少なくとも部分的に包囲する、請求項5から8および9のいずれか一項に記載の導電体アセンブリ(100)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の導電体アセンブリ(100)と、相手側コンタクト要素(210)とを備える電気コンタクトアセンブリ(200)であって、
前記導電体アセンブリ(100)の前記層(40)は、前記相手側コンタクト要素(210)の相手側コンタクト面(212)に当接する、
電気コンタクトアセンブリ(200)。
【請求項12】
前記導電体アセンブリ(100)は、繰り返し脱着可能な取り付け要素(90)によって前記相手側コンタクト要素(210)に取り付けられている、請求項11に記載の電気コンタクトアセンブリ(200)。
【請求項13】
第1の導電材料から作製された複数の導線(21)が、コンタクトユニット(31)を形成するように部分的に圧縮される圧縮工程を含む方法であって、
前記方法は、第2の導電材料から作製された層(40)が、前記コンタクトユニット(31)のコンタクト面(32)に取り付けられる、または前記コンタクト面(32)に塗布される工程を含む、
方法。
【請求項14】
前記圧縮工程の前に、前記複数の導線(21)に隣接して別個の要素が配置され、前記別個の要素は、前記圧縮工程の間に少なくとも部分的に前記層(40)として取り付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記導線(21)の間の貫通孔(35)が、前記圧縮工程において空いた状態に保たれる、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体アセンブリ、および導電体アセンブリを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、第1の導電材料から作製された複数の導線を有するライン部分と、コンタクトユニットを形成するように導線が圧縮されているコンタクト部分とを備える導電体アセンブリが知られている。コンタクトユニットは、他の要素への簡単な接続を可能とし得る。圧縮は、例えば超音波溶接により行うことができる。
【0003】
そのような導体アセンブリの短所は、コンタクトユニットへの接触が、高い接触抵抗のみを伴う場合が多いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、低い接触抵抗での接触を可能とする解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これは、コンタクトユニットのコンタクト面において第2の導電材料から作製された層を導電体アセンブリが有する場合に実現される。
【0006】
方法に関して、これは、第2の導電材料の層がコンタクトユニットのコンタクト面に取り付けられる、またはコンタクト面に塗布される工程を本方法が含む点において実現される。
【0007】
そのような層は、接触抵抗を低減することができる。
【0008】
各々単独で有利であり、互いに無作為に組み合わせることが可能な以下の発展形および構成により、本発明をさらに改善することができる。これらのさらなる発展形および構成は、層を伴う解決策とは独立であり、それ自体の発明を示すものであってもよい。
【0009】
高い可撓性を得るために、導線は、ライン部分において分離していてもよい。特に、それらは、当該部分において互いに形状材料嵌合(ポジティブ材料嵌合、positive-substance fit)によって接続されていなくてもよい。ライン部分における導体は、圧縮されていなくてもよい。
【0010】
圧縮は、特に、個々の導線間における形状材料嵌合による接続の形成を意味するものとして理解されるべきである。導線間の空いた空間が低減される、またはほぼゼロになる。これは、例えば超音波溶接または溶融により行うことができる。導線は、機械的圧力により所望の形状とされてよい。圧縮されたコンタクトユニットは、実質的に導電材料からなり、少数の空隙を有するまたは空隙を有しないものであってよい。
【0011】
層は、特に確実な接触を可能とするために、コンタクトユニットにまたはコンタクトユニットの他の部分に一体に接続されてよい。層は、例えば、コンタクトユニットの他の部分に形状材料嵌合によって接続されてよい。
【0012】
層は、特に密接な接続を得るために、コンタクトユニットにまたはコンタクトユニットの他の部分に溶接されてもよい。
【0013】
層は、圧縮により、コンタクトユニットにまたはコンタクトユニットの他の部分に取り付けられてもよい。特に、層は、コンタクトユニットが形成される圧縮工程の間に、コンタクトユニットの他の部分に取り付けられてよい。これにより、製造の工程数を低減することができる。
【0014】
有利な構成において、コンタクトユニットは、貫通孔を備えてよい。そのような貫通孔は、相手側要素への取り付けを容易にすることができる。この目的で、ねじなどの取り付け要素が貫通孔に挿通されてよい。その後、取り付け要素は、貫通孔の方向に沿った力を及ぼしてよい。例えば、ねじの頭部が、コンタクトユニットに力を及ぼし、それを相手側コンタクト要素に押し付けてよい。
【0015】
ライン部分における導線は、長手方向に沿って延びていてよく、貫通孔は、長手方向に垂直に延びていてよい。この垂直な配置により、取り付けの力で導線が長手方向に沿って変形しないため、取り付けを特に安定させることができる。
【0016】
さらなる有利な構成において、貫通孔は、コンタクト面を貫通していてよい。それにより、取り付け要素により及ぼされる力を、コンタクト面に直接働かせることができる。それにより、電気的接触を特に効果的に改善することができる。
【0017】
ライン部分における導線は、互いに編み組まれてよい。個々の導線は編み組まれてもよく、または、個々の導線がバンドルにまとめられ、次いでそれらが互いに編み組まれてもよい。編み組みにより、第1に一定の安定性をもたらしながらも、第2に所望の可撓性を可能とする構成を得ることができる。
【0018】
代替的な構成において、導線は、ライン部分において互いに平行に延びていてもよい。これにより、可撓性を高めることができる。
【0019】
ライン部分における導線の他の構成も可能である。例えば、導線は、不規則に延びていてもよく、または互いに撚り合わせられていてもよい。
【0020】
コンタクトユニットは、プレート状に構成されてよい。これにより、確実な接触を可能とするとともに、同時に小型の構成とすることができる。プレート状とは、特に、コンタクトユニットが概ね直方体であり、一方向への延在長さがそれに垂直に延びる二方向よりも小さい、例えば三分の一であることを意味し得る。
【0021】
機械的に特に安定であり得る一実施形態において、導線は、貫通孔の周囲に連続的に配置されていてよい。特に、全ての導線が貫通孔の周囲に配置されていてよい。結果として、いずれの導線も、貫通孔によって途切れない。そのような貫通孔は、対応する要素、例えばパンチを用いて、圧縮中において貫通孔を空いた状態に保つことにより得ることができる。圧縮の前に、当該要素が、導線を側方に移動させるように導線の間に挿入されてよい。
【0022】
代替的な構成において、貫通孔は、例えば穴あけにより、または材料を取り除く別の方法により、圧縮工程の後に形成されてもよい。
【0023】
層は、コンタクトユニットを少なくとも部分的に包囲する安定化スリーブの一部であってよい。このとき、そのような層は、コンタクトを容易にするとともに、コンタクトユニットの安定化に寄与するという2つの機能を果たすことができる。安定化スリーブは、少なくとも部分的にコンタクトユニットに形状材料嵌合によって接続されてよい。他の構成において、安定化スリーブは、コンタクトユニットとは別個であり、コンタクトユニットから脱着可能である。
【0024】
安定化スリーブは、少なくとも反対側に配された2つの面において、コンタクトユニットを包囲する、またはその周囲に係合していてよい。これにより、例えば、圧縮、取り付け、または接触の際に生じ得るような機械的荷重を受けた場合に、それらの反対側に配された面においてコンタクトユニットが広がることを防止することができる。
【0025】
有利な構成によれば、導電体アセンブリは、取り付け要素のための案内部材を備えてよい。案内部材は、取り付け要素に関して所望の方向を規定してよい。さらに、案内部材は、取り付け要素の容易な案内を可能とする平滑な壁を有していてよい。これに対し、案内部材なしで取り付け要素を貫通孔に挿入することは困難である場合がある。これは、貫通孔の側壁が、圧縮された導線に起因して凹凸のある構造を有し得るためである。さらに、取り付け要素とコンタクトユニットとの間の間隙は、それら2つの間における力の流れが可能となるように、案内部材によって埋められてよい。
【0026】
案内部材は、スリーブであってもよく、またはスリーブを備えていてもよい。特に、スリーブは、筒状、特に円筒形に構成されてよい。
【0027】
案内部材は、貫通孔に配置されてよい。
【0028】
構造を簡単に保つために、案内部材は、安定化スリーブと一体に形成されてよい。
【0029】
さらなる有利な構成において、案内部材は、層と一体に形成されてよい。この場合も、構造が簡単である。
【0030】
安全性を高めるために、導体アセンブリは、コンタクト部分を少なくとも部分的に包囲する、電気絶縁材料から作製されたタッチガードを備えてよい。
【0031】
接触を防止するために、ライン部分において、ケーブル被覆が複数の導線の周囲に配置されてよい。ケーブル被覆およびタッチガードは、ともに働き、接触に対する連続的な保護を可能とし得る。コンタクト面は、非組み立て状態において、露出したままであってよい。組み立て状態において、コンタクト面は、対応する相手側コンタクト面に当接してよく、導体アセンブリは、特に全ての面において閉じたタッチガードを全ての面に有していてよい。
【0032】
有利な構成によれば、タッチガードは、安定化スリーブを少なくとも部分的に包囲していてよい。タッチガードは、安定化スリーブに当接してよく、かつ/または安定化スリーブを支持してよい。結果として、導体アセンブリをさらに安定させることができる。特に、タッチガードは、安定化スリーブを備える安定化アセンブリの一部であってよい。
【0033】
本発明は、本発明に係る導電体アセンブリと、相手側コンタクト要素とを備える電気コンタクトアセンブリであって、導電体アセンブリの層は、相手側コンタクト要素の相手側コンタクト面に当接する、電気コンタクトアセンブリをさらに備える。
【0034】
接続状態において、層は、コンタクトユニットの他の部分またはコンタクトユニットと、相手側コンタクト要素との間に配されてよい。
【0035】
電気コンタクトアセンブリは、有利には、繰り返し脱着可能な取り付け要素によって相手側コンタクト要素に取り付けられてよい。取り付け要素は、ねじであってよい。さらに、取り付け要素には、タッチガード要素、例えばタッチガードキャップが設けられてよい。
【0036】
方法の有利な構成において、圧縮工程の前に、複数の導線に隣接して別個の要素が配置されてよく、別個の要素は、圧縮工程の間に少なくとも部分的に層として取り付けられてよい。別個の要素は、薄膜、プレート、金属薄板、または薄膜、プレート、もしくは金属薄板から形成された要素であってよい。
【0037】
以下、図面を参照して、有利な構成に基づき、例として、本発明をより詳細に説明する。そこに示されている有利なさらなる発展形および構成は、各々が互いに独立であり、適用例における必要性に応じて互いに無作為に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】導体アセンブリを有するコンタクトアセンブリの一実施形態の模式的な側断面図である。
【
図2】
図1における導体アセンブリの模式的な斜視図である。
【
図3】
図1および
図2における導体アセンブリの模式的な部分断面斜視図である。
【
図4】
図1~
図3における導体アセンブリの模式的な断面図である。
【
図5】
図1~
図4における導体アセンブリの模式的な部分断面斜視図である。
【
図6】導体アセンブリのさらなる実施形態の模式的な斜視図である。
【
図7A】導体アセンブリのさらなる実施形態の模式的な斜視図である。
【
図7B】導体アセンブリのさらなる実施形態の模式的な斜視図である。
【
図7C】導体アセンブリのさらなる実施形態の模式的な斜視図である。
【
図7D】導体アセンブリのさらなる実施形態の模式的な斜視図である。
【
図8】コンタクトアセンブリのさらなる実施形態の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
導電体アセンブリ100の様々な構成が図面に示されている。導電体アセンブリ100は、第1の導電材料から作製された複数の導線21が存在するそれぞれのライン部分20を備える。導電線21は、例えば、複数の異なるバンドル23を形成するように組み合わされてよく、バンドル23は、互いに編み組まれてよい。これにより、良好な安定性を得ると同時に可撓性を有することが可能となる。例えば、これらは、平坦または管状となるように互いに編み組まれてよい。他の構成において、導電線21は、互いに平行に延びていてもよく、または個々に互いに編み組まれていてもよい。例えば銅、または銅を含有する材料が、第1の導電材料として用いられてよい。
【0040】
導電体アセンブリ100のコンタクト部分30において、導線21は、コンタクトユニット31を形成するように圧縮されている。したがって、導電線21は、当該部分において、例えばプレート39の形態であるコンパクトな部材を形成する。そのようなコンタクトユニット31は、さらなる要素、例えば相手側コンタクト要素210に容易に接続することができる。この目的で、コンタクト面32、例えば相手側コンタクト面212を、相手側コンタクト要素210に接触させることができる。圧縮は、例えば押圧および溶接、特に超音波溶接などの冷間溶接、または溶融といった様々な方法で行われてよい。導線21は、同時的な機械的圧力により所望の形状とされてよい。
【0041】
相手側コンタクト要素210に接触した場合の接触抵抗を可能な限り低く保つために、第2の導電材料から作製された層40がコンタクト面32に設けられる。層40は、コンタクトユニット31の他の部分と一体に形成されてよく、例えば別個の要素として圧縮工程の前に複数の導線21に隣接して配置され、圧縮工程の間に層40として取り付けられてよい。層40は、取り付けられた状態において、コンタクト面32を形成してよい。他の構成において、層40は、コンタクトユニット31とは別個である。
【0042】
層40に用いられ得る材料は、特に、接触抵抗を低減するまたは酸化を防止するものである。特にスズ、亜鉛、銀、金またはこれらの材料混合物であってよい。層40は、銅を含有していてもよい。
【0043】
導体アセンブリ100は、ケーブル80の一部であってよい。ケーブル80の内部導体81が、ライン部分20を部分的に形成してよい。ケーブル80は、内部導体81を覆う絶縁層82と、それを覆って配置される外部導体83と、外部ケーブル被覆85とをさらに備えてよい。外部導体83は、グラウンドまたはシールドとして機能してよい。
【0044】
コンタクトユニット31は、通過方向Dに沿って、コンタクトユニット31を貫通して、特にコンタクト面32を貫通して延びる貫通孔35を有する。通過方向Dは、導線21がライン部分20において延びる長手方向Lに垂直である。さらに、通過方向Dおよび長手方向Lはともに、横方向Qに垂直である。したがって、導線21は、貫通孔35によって途切れることなく、その周囲に延びる。これは、製造中において、圧縮工程の前または圧縮行程中に導線21の間に対応する器具を挿入することにより実現することができる。この器具は、圧縮の後に再び取り除かれる。そのような器具は、例えば、複数の導電線21への挿通を容易にするために、先細り状の先端を有していてよい。
【0045】
器具が圧縮工程において導電線21の間に配される部分において、これは、筒状、例えば円筒形の断面を有していてよい。結果として、筒状の貫通孔35が形成されてよく、これにより、様々な回転方向位置における取り付けが可能となる。また、導電体アセンブリ100を特定の規定された向きに取り付けることを可能とするために、貫通孔35および対応する器具は、異なる断面、例えば矩形、方形、または三角形の断面を有していてもよい。
【0046】
導電体アセンブリ100は、コンタクトユニット31を安定させる安定化スリーブ50を備えてよい。安定化スリーブ50は、コンタクトユニット31を少なくとも部分的に包囲していてよく、それにより、例えば圧縮中、取り付け中、または接触時に外方への変形を低減または防止するカウンターベアリングを形成してよい。安定化スリーブ50は、特に、少なくとも反対側に配された2つの面51、52において、コンタクトユニット31を包囲する、またはその周囲に係合していてよい。
【0047】
図示の例では、2つの面51、52が、横方向Qに関してコンタクトユニット31の異なる端部に配置されている。通過方向Dに測定した場合、安定化スリーブ50は、コンタクトユニット31のほぼ全高に沿って延在する。安定化スリーブ50は、他の面、例えば前面においてコンタクトユニット31包囲していてもよい。前壁58は、面51および面52に配置された側壁56、57を互いに接続する場合、追加的な補強効果を有し得る。
【0048】
安定化スリーブ50は、コンタクト部分31の受け部を形成してよく、例えばチャネル(channel)、トラフ(trough)、またはトレンチ(trench)の形状で構成されてよい。
【0049】
層40は、安定化スリーブ50の一部であることが有利である。これは、コンタクト面32に配置される、またはそれを形成する基部を形成する。
【0050】
安定化スリーブ50は、例えばパンチング加工および曲げ加工により、金属薄板59から作製されてよい。そのような構成要素は、圧縮工程の前に導電線21に取り付けられてもよく、また、圧縮中に既に安定化のために用いられていてもよい。
【0051】
導電体アセンブリ100は、取り付け要素90を案内するために用いられる案内部材60をさらに備えてよい。案内部材60は、容易な挿入を可能とするために、取り付け要素90のための平滑な面を提供してよい。図示の例において、案内部材60は、スリーブ61として構成される。スリーブ61は、貫通孔35に配置される。さらに、スリーブ61は、層40および安定化スリーブ50と一体に形成される。本例において、スリーブ61は、筒の軸が通過方向Dと平行に延びる筒状に構成される。
【0052】
スリーブ61は、安定化スリーブ50ともに、コンタクト部分30のさらなる安定化を提供してもよい。コンタクトユニット31は、特に、スリーブ61と、前壁58と、側壁56、57との間に保持され安定させられていてよい。
【0053】
ユーザが導電部に意図せず触れることを防止するために、導体アセンブリ100は、コンタクト部分30を少なくとも部分的に包囲するタッチガード70を備えてよい。これは、電気絶縁材料、例えばプラスチック材料から作製される。ライン部分20において、電気絶縁部がケーブル被覆85によって設けられ、これは典型的にはタッチガード70に至るまで延び、そしていかなる間隙もなくタッチガード70に接続する。これにより、ユーザが触れることを防止する。
【0054】
タッチガード70は、タッチガードアセンブリ75の一部であってよい。タッチガードアセンブリ75は、タッチガード70に加えて、取り付け要素90として機能するねじ91においてタッチガードキャップ93、97を備える。タッチガードキャップ93、97は、ねじ頭部92に、またはねじ91の一端に取り付けられ、そこでねじ91を包囲する。
【0055】
導電体アセンブリ100が、対応する相手側コンタクト要素210に接続されると、タッチガード装置75は、ユーザが不所望に触れることに対する全面的な保護部を形成する。非接続状態においては、コンタクト面32のみが露出しており、相手側コンタクト要素210との電気的接触を可能とする。
【0056】
ねじ91は、繰り返し脱着可能である。ねじ91の雄ねじ96は、相手側コンタクト要素210の貫通孔215に配置された雌ねじ216と相互に作用する。
【0057】
相手側コンタクト要素210は、バスバー220に導電状態で接続されてもよく、またはバスバー220の一部であってもよい。
【0058】
タッチガード70は、安定化スリーブ50の一部を包囲し、それにより、コンタクトユニット31をさらに安定させる安定化アセンブリ55の一部を形成する。そこにおいて、タッチガード70の側壁76、77は、安定化スリーブ50の側壁56、57に当接し、それらを外側方向に支持する。側壁56、57が下側で接続されている安定化スリーブ50とは異なり、タッチガード70の側壁76、77は、上側で接続されている。結果として、タッチガード70および安定化スリーブ50を備える安定化アセンブリ55は、特に周囲に沿って、全ての面においてコンタクトユニット31を包囲しており、それにより高レベルの安定性を実現する。
【0059】
図6は、圧縮後のコンタクトユニット31を示す。コンタクトユニット31は、直方体プレート39を形成する。その通過方向Dにおける寸法は、長手方向Lおよび横方向Qの寸法よりも著しく小さく、図示の例においては少なくとも10分の1である。勿論、他の形状および係数も可能である。
【0060】
図7A~
図7Dにおいて、特定の要素が存在するまたは存在しない様々な構成が示されている。例えば、
図7Aに係る実施形態では、他の構成には存在しないタッチガード70が存在している。
【0061】
図7A~
図7Cに係る構成は各々、貫通孔35におけるスリーブ61の形態の案内部材60を備えるが、これは
図7Dに係る構成には存在しない。
【0062】
図7Cに係る構成では、取り付け要素90が存在しないが、
図7A、
図7Bおよび
図7Dに係る実施形態では、ねじの形態で存在している。そのような取り付け要素90は、相手側コンタクト要素210に存在していてもよく、または、異なる方式で取り付けが行われてもよい。
【0063】
層40を有しない構成も可能である。例えば安定化スリーブ50、タッチガード70、または案内部材60などの他の態様は、独立した発明を示すものであってよい。
【0064】
図8は、2つの導体アセンブリ100がコンタクトアセンブリ200を形成する構成を示す。各々の導体アセンブリ100は、他方の導体アセンブリ100のための相手側コンタクト要素210とみなすこともできる。少なくとも一方の導体アセンブリ100は、接触抵抗を低減する層40を備える。2つの導体アセンブリ100は、例えばナット94を伴ったねじ91の形態の取り付け要素90を用いて、互いに取り付けられてよい。
【符号の説明】
【0065】
20 ライン部分
21 導線
23 バンドル
30 コンタクト部分
31 コンタクトユニット
32 コンタクト面
35 貫通孔
39 プレート
40 層
50 安定化スリーブ
51 第1の面
52 第2の面
55 安定化アセンブリ
56 側壁
57 側壁
58 前壁
59 金属薄板
60 案内部材
61 スリーブ
70 タッチガード
75 タッチガードアセンブリ
80 ケーブル
81 内部導体
82 絶縁層
83 外部導体
85 ケーブル被覆
90 取り付け要素
91 ねじ
92 ねじ頭部
93 タッチガードキャップ
94 ナット
96 雄ねじ
97 タッチガードキャップ
100 導体アセンブリ
200 コンタクトアセンブリ
210 相手側コンタクト要素
212 相手側コンタクト面
215 貫通孔
216 雌ねじ
220 母線
D 通過方向
L 長手方向
Q 横方向
【外国語明細書】