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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163723
(43)【公開日】2022-10-26
(54)【発明の名称】初期スリップ防止用鉄筋カプラー
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20221019BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
E04C5/18 102
E04G21/12 105E
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066922
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0048610
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522152201
【氏名又は名称】アールオーシー カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ROC CO., LTD
【住所又は居所原語表記】100-74, Gwahaksandan 2-ro 19beon-gil, Gangseo-gu, Busan 45742, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522152223
【氏名又は名称】ヤン, ヒュン-ミン
【氏名又は名称原語表記】YANG, Hyun-Min
【住所又は居所原語表記】105-703, 11, Yulha 5-ro, Gimhae-si, Gyeongsangnam-do 51023, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】522152234
【氏名又は名称】ヤン, チ-ソン
【氏名又は名称原語表記】YANG, Ji-Seong
【住所又は居所原語表記】678-31, Gujeol-ro, Donghae-myeon, Goseong-gun, Gyeongsangnam-do 52918, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヒュン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チ-ソン
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164BA02
2E164BA27
(57)【要約】
【課題】初期スリップ防止用鉄筋カプラーを提供する。
【解決手段】本発明の鉄筋カプラーは、第1鉄筋の第1節部と結合される第1節結合溝を有し第1鉄筋と結合される第1締付け部材と、第1締付け部材を包んで支持するようにテーパー状の第1締付け部材の外周面と螺合され、第1締付け部材によって第1鉄筋の把持力を提供する第1スリップ防止部材;第2鉄筋の第1節部と結合される第2節結合溝を有し第2鉄筋と結合される第2締付け部材と、第2締付け部材を包んで支持するようにテーパー状の第2締付け部材の外周面と螺合され、第2鉄筋の把持力を提供する第2スリップ防止部材;第1、第2スリップ防止部材の外周面と螺合される第1、第2螺合部を有し、第1、第2スリップ防止部材の長さの和よりも相対的に長いか同じ長さを有し、第1、第2鉄筋の端部が密着されて加圧された状態を保持するカプラー本体:を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合対象の第1鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第1節結合溝が形成されて前記第1鉄筋と結合される第1締付け部材と、前記第1締付け部材を包んで支持するようにテーパー状の前記第1締付け部材の外周面と螺合され、前記第1締付け部材によって前記第1鉄筋の把持力を提供する第1スリップ防止部材と、
前記第1鉄筋と結合される第2鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第2節結合溝が形成されて前記第2鉄筋と結合される第2締付け部材と、前記第2締付け部材を包んで支持するようにテーパー状の前記第2締付け部材の外周面と螺合され、前記第2鉄筋の把持力を提供する第2スリップ防止部材と、
前記第1、第2スリップ防止部材の外周面と螺合される第1、第2螺合部を有し、前記第1、第2スリップ防止部材の長さの和よりも相対的に長いか、同じ長さを有し、前記第1、第2鉄筋の端部が密着されて加圧された状態を保持するカプラー本体と、を備えることを特徴とする初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【請求項2】
前記カプラー本体または前記第1、第2スリップ防止部材に設けられて、前記第1、第2スリップ防止部材とそれぞれ結合される前記第1、第2締付け部材の前記結合に対して、前記第1、第2スリップ防止部材と前記カプラー本体との結合をそれぞれ遅延させる結合遅延部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【請求項3】
前記結合遅延部は、前記カプラー本体と結合される前記第1、第2スリップ防止部材の間の前記カプラー本体の中空部に挿入され、前記第1、第2スリップ防止部材を前記中空部の外側方向に弾性加圧する弾性部材であるバネを備えることを特徴とする請求項2に記載の初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【請求項4】
前記結合遅延部は、前記第1、第2スリップ防止部材の外周面にそれぞれ形成された第1、第2支持溝に結合される第1、第2遅延リングを備え、前記第1、第2遅延リングは、前記第1、第2支持溝に結合されて前記カプラー本体と前記第1、第2スリップ防止部材との結合時に結合摩擦力を増加させて結合を遅延させることを特徴とする請求項2に記載の初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【請求項5】
前記結合遅延部は、前記第1、第2スリップ防止部材の外周面にそれぞれ結合され、前記カプラー本体と前記第1、第2スリップ防止部材との結合時に結合力によって分離される第1、第2結合遅延リングを備えることを特徴とする請求項2に記載の初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【請求項6】
結合対象の第1鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第1節結合溝が形成されて前記第1鉄筋と結合される第1締付け部材と、前記第1締付け部材を包んで支持するようにテーパー状の前記第1締付け部材の外周面と螺合され、前記第1締付け部材によって前記第1鉄筋の把持力を提供する第1スリップ防止部材と、
前記第1鉄筋と結合される第2鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第2節結合溝が形成されて前記第2鉄筋と結合される第2締付け部材と、
第1鉄筋との結合のための第2鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第2節結合溝が形成されて第2鉄筋と結合される第2締付け部材と、
前記第1スリップ防止部材の外周面と螺合される第1螺合部と、第2締付け部材と螺合される第2螺合部を有し、結合される前記第1、第2鉄筋の端部が密着されて加圧された状態を保持するカプラー本体と、を備えることを特徴とする初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【請求項7】
前記カプラー本体または前記第1スリップ防止部材に設けられて、前記第1スリップ防止部材と前記第1締付け部材との結合に対して前記第1スリップ防止部材と前記カプラー本体との結合を遅延させる結合遅延部をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の初期スリップ防止用鉄筋カプラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋カプラーに係り、さらに詳細には、コンクリート建築物に設けられた鉄筋に作用する引張力によって連結部位におけるスリップの発生を防止することができる初期スリップ防止用鉄筋カプラーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄筋コンクリート構造は、圧縮及び引張強度に優れて多様な形態の構造物を施工可能であり、かつその物理的特性に優れるので、各種建築及び土木工事に広範囲に使用されている。
【0003】
このような建築物の建設及び各種土木工事のためのコンクリート構造物の製造時に配筋作業を行うが、配筋作業時、一定長に規格化された鉄筋は、構造物によって互いに連結して使用する。
【0004】
通常の配筋作業時、鉄筋を連結する連結方法は、重ね継手方法、溶接継手方法、ネジ継手方法、連結装置継手方法などが提示されている。
【0005】
特許文献1には、鉄筋を連結するための鉄筋カプラーが掲示されている。掲示された鉄筋カプラーは、中空円筒状の管であって、一対の鉄筋が両側の外側端部からそれぞれ内部に挿入されるように長手方向の中央を中心に両側が互いに対称になる形状に形成され、ネジ山が形成されたカプラーキャップと、ネジ山に結合される締付けバネが設けられた構成を有する。
【0006】
そして、特許文献2には、高強度鉄筋カプラーが掲示されている。掲示された鉄筋カプラーは、テーパー部を有し、互いに結合される複数個のカプラーハウジングと、カプラーハウジングの内部に設けられて各テーパー部と対応するテーパー部を有する複数個のカプラーロックを備える。
【0007】
このように構成された従来のカプラーは、それぞれのカプラーロックによって鉄筋の把持される部分が支持力を有するようになるので、支持力が分散される。したがって、鉄筋の連結がなされた状態で、鉄筋の移動変位が比較的大きいという問題点がある。また、現場でのカプラーの使用時、締め付ける部分が多く鉄筋の組み立てのために多くの作業工数が必要となり、製造コストが比較的高くなるという問題点がある。
【0008】
特許文献3には、管体一体型鉄筋連結装置が掲示されている。掲示された鉄筋連結装置は、連結対象鉄筋の端部に密着され、外周面に雄ネジが形成された弧状の分割管が設けられ、該分割管は、内周面に雌ネジが形成された連結管によって結合された構造を有する。
【0009】
このような鉄筋連結装置は、連結管と螺合される分割管の外周面に雄ネジ部が完全に形成されていないので、連結管との結合時、鉄筋の把持力が比較液弱い。特に、連結される鉄筋を回転させず、連結管を回転させて鉄筋を結合することができるが、鉄筋と結合される分割管は、結合遊隙を有しているので、鉄筋連結装置によって連結された鉄筋の初期スリップ量の発生を防止することができない。
【0010】
特許文献4には、鉄筋連結装置が掲示されており、特許文献5には、鉄筋継手装置が掲示されている。掲示された鉄筋継手装置は、第1異形鉄筋と第2異形鉄筋にそれぞれ縦方向に沿って対称に結合される一対のノブと、第1異形鉄筋を包む形態に配置される一対のノブと螺合される第1スリーブと、第2異形鉄筋を包む形態に配置される一対のノブと螺合され、外周面に雄ネジ山が形成される第2スリーブと、第1、第2スリーブと螺合されるカプラーを備える。
【0011】
上述したような従来の連結装置や継手装置は、連結管が、結合管の一部と結合されるので、鉄筋の支持力が比較的弱く、大きな引張力の作用時、連結管が変形されてスリップ量を減らすのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国登録特許第1030579号(2011.04.21)
【特許文献2】大韓民国登録特許第1003302号(2010.12.22)
【特許文献3】大韓民国登録特許第1563637号(2015.10.21.)
【特許文献4】大韓民国登録特許第0725527号(2007.05.30.)
【特許文献5】大韓民国登録特許第101856949号(2018.05.04.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、カプラー本体に対して鉄筋と結合された第1、第2締付け部材とそれぞれ結合されて把持及び支持力を向上させた第1、第2スリップ防止部材とカプラー本体との結合面積を大きくし、結合による残存スリップ量を除去することにより、鉄筋に作用する引張力によるスリップ量を最小化させ得る初期スリップ防止用鉄筋カプラーを提供することである。
【0014】
また、本発明が解決しようとする課題は、鉄筋を把持する第1、第2締付け部材と第1、第2スリップ防止部材との結合力、及び第1、第2スリップ防止部材とカプラー本体との結合力を互いに異ならせることにより、順次に結合がなされるようにする初期スリップ防止用鉄筋カプラーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するための本発明の初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、結合のための第1鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第1節結合溝が形成されて第1鉄筋と結合される第1締付け部材と、前記第1締付け部材を包んで支持するように第1締付け部材の外周面と螺合され、第1締付け部材によって第1鉄筋の把持力を提供する第1スリップ防止部材;第1鉄筋との結合のための第2鉄筋の外周面に形成された第2節部と結合される第2節結合溝が形成されて第2鉄筋と結合される第2締付け部材と、前記第2締付け部材を包んで支持するように第2締付け部材の外周面と螺合され、第2鉄筋の把持力を提供する第2スリップ防止部材;及び、前記第1、第2スリップ防止部材の外周面と螺合される第1、第2螺合部を有し、前記第1、第2スリップ防止部材の長さの和よりも相対的に長いか、同じ長さをもって結合される第1、第2鉄筋の端部が密着されて加圧された状態を保持するカプラー本体;を備える。
【0016】
本発明において、前記カプラー本体または第1、第2スリップ防止部材に設けられて前記第1、第2スリップ防止部材とそれぞれ結合される第1、第2締付け部材の結合に対して第1、第2スリップ防止部材とカプラー本体との結合を遅延させる結合遅延部をさらに備える。
【0017】
前記結合遅延部は、前記第1、第2スリップ防止部材の外周面にそれぞれ形成された第1、第2支持溝に結合される第1、第2遅延リングを備え、第1、第2結合されてカプラー本体と第1、第2スリップ防止部材との結合時に結合摩擦力を増加させて結合を遅延させる。
【0018】
代案として前記目的を達成するための初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、結合のための第1鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第1節結合溝が形成されて第1鉄筋と結合される第1締付け部材と、前記第1締付け部材を包んで支持するようになったテーパー状の第1締付け部材の外周面と螺合され、第1締付け部材によって第1鉄筋の把持力を提供する第1スリップ防止部材;第1鉄筋との結合のための第2鉄筋の外周面に形成された第1節部と結合される第2節結合溝が形成されて第2鉄筋と結合される第2締付け部材;及び、前記第1スリップ防止部材の外周面と螺合される第1螺合部と、第2締付け部材と螺合されることに2螺合部とを有し、結合される第1、第2鉄筋の端部が密着されて加圧された状態を保持するカプラー本体;を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、相互結合のための第1、第2鉄筋に作用する引張力によって、カプラー本体、及び第1、第2スリップ防止部材の変形または損傷によるスリップの発生を防止し、結合時に残存する遊隙が初期スリップ量として発生することを防止することができるので、鉄筋に作用する引張力によって第1、第2鉄筋の連結部品に発生するスリップ量、すなわち、移動変位量を減らすことができる。
【0020】
特に、第1、第2締付け部材と第1、第2スリップ防止部材との結合力、及び第1、第2スリップ防止部材とカプラー本体との結合力を調整することができるので、鉄筋カプラーの結合不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーの分離斜視図である。
図2図2は、本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーによって鉄筋が結合された状態を示す断面図である。
図3図3は、本発明による鉄筋カプラーの他の実施例を示す分離斜視図である。
図4図4は、図3に図示された鉄筋カプラーによって鉄筋が結合される状態を示す断面図である。
図5図5は、結合遅延部の他の実施例が適用された初期スリップ防止用鉄筋カプラーの分離斜視図である。
図6図6は、図5に図示された初期スリップ防止用鉄筋カプラーによって鉄筋が結合される状態を示す断面図である。
図7図7は、結合遅延部のさらに他の実施例が適用された初期スリップ防止用鉄筋カプラーの分離斜視図である。
図8図8は、図7に図示された初期スリップ防止用鉄筋カプラーによって鉄筋が結合される状態を示す断面図である。
図9図9は、本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーによって鉄筋を連結するとき、結合遅延部が第1スリップ防止部材を支持した状態を示す一部切取り斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、土木工事、建築物などの建築のための鉄筋の配筋時に鉄筋を互いに連結するものであって、その一実施例を、図1及び図2に示す。
【0023】
図面を参照すれば、本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラー10は、結合のための第1、第2鉄筋310、320の端部にそれぞれ設けられる第1、第2鉄筋把持部20、60と、第1、第2鉄筋把持部20、60と螺合され、第1、第2鉄筋310、320の端部が密着された状態で第1、第2鉄筋310、320を連結して、初期スリップの発生を防止するカプラー本体100を備える。
【0024】
連結のための第1、第2鉄筋310、320は、外周面に円周方向に所定間隔離隔される第1節部311、321が形成され、第1、第2鉄筋310、320の長手方向に第1節部311、321を連結する第2節部312、322が形成される。第1節部311、321は、第2節部312、322を境界にして交互に設けられる。
【0025】
第1、第2鉄筋310、320を連結するためのカプラー本体100は、長手方向に中空部110が形成される。中空部110は、カプラー本体100の長手方向の中心を基準に互いに異なる直径を有するように形成される。そして、カプラー本体100の中空部110の内周面には、所定のピッチを有する谷と山からなる第1、第2螺合部102、103が形成される。カプラー本体100の中央部を中心に、互いに異なる直径を有するように形成された場合には、両側の中空部内周面に互いに異なるピッチの第1、第2螺合部が形成され得る。第1、第2螺合部は、二重螺旋または多重螺旋からなってよい。
【0026】
一方、第1鉄筋把持部20は、第1鉄筋310の端部側に設けられ、カプラー本体100の一側に固定されるものであって、第1鉄筋310端部側の外周面に結合される少なくとも2つの部材である、第1締付け部材30と、第1締付け部材30と螺合される第1スリップ防止部材40とを備える。そして、第1スリップ防止部材40の外周面には、カプラー本体100の中空部に形成された第1螺合部102と結合される第2雄ネジ部42が形成されるが、第2雄ネジ部は、第1螺合部と結合されるように二重螺旋または多重螺旋からなってよい。
【0027】
第1締付け部材30は、第1弾性リング34によって支持されるが、内側に半円形の第1鉄筋結合溝31が形成され、外周面には、端部側に第1テーパー部が形成され、第1テーパー部には、第1スリップ防止部材40のテーパー状の中空部内面に形成された第1雌ネジ部41と結合される第1雄ネジ部32が形成される。鉄筋結合溝31の内周面には、第1鉄筋310の第1節部311が挿入される第1節結合部33が形成される。
【0028】
第1鉄筋310の外周面に結合される第1締付け部材30の円周方向の端部間には、第2節部312が位置され、第1スリップ防止部材40と結合された状態で、第1鉄筋310の回転時に第1締付け部材30は、第1鉄筋と共に回転されて第1スリップ防止部材40に結合される。
【0029】
そして、連結しようとする第2鉄筋320の結合部に設けられてカプラー本体100の他側に結合される第2鉄筋把持部60は、実質的に第1鉄筋把持部20と同じ構造を有する。
【0030】
第2鉄筋把持部60は、第2鉄筋320の端部側に設けられてカプラー本体100の他側に螺合されるものであって、第2鉄筋320の端部側の外周面に結合される少なくとも2つの部材である、第2締付け部材70と、第2締付け部材70と螺合される第2スリップ防止部材80とを備える。
【0031】
第2締付け部材70は、第2鉄筋320に密着されるように第2弾性リング74によって支持される。第2締付け部材70は、内側に半円形の第2鉄筋結合溝71が形成され、外周面には、端部側に第2テーパー部が形成され、第2テーパー部には、第2スリップ防止部材80のテーパー状の中空部内面に形成された第2雌ネジ部81と結合される第3雄ネジ部72が形成される。鉄筋結合溝71の内周面には、第2鉄筋320の第2節部321が挿入される第2節結合部73が形成される。そして、第2スリップ防止部材80の外周面には、カプラー本体100の中空部に形成された第2螺合部103と結合される第4雄ネジ部82が形成される。
【0032】
第1、第2締付け部材30、70に形成された第1、3雄ネジ部32、72と、第1、第2スリップ防止部材40、80の中空部に形成された第1、第2雌ネジ部41、81、及び第1、第2スリップ防止部材40、80の外周面に形成された第2、4雄ネジ部42、82は、上述したように二重螺旋または多重螺旋からなってよい。
【0033】
一方、初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、図3及び図4に図示されたように構成された第2締付け部材70の外周面に形成された第3雄ネジ部72と、カプラー本体100に形成された第2螺合部103とが直接結合され得る。その場合、カプラー本体100の下部側に第2螺合部103が形成された中空部の直径は、上部側に第1螺合部102が形成され、第1スリップ防止部材40が結合される側の直径よりも小径であることが望ましい。
【0034】
そして、カプラー本体100または第1、第2スリップ防止部材40、80に設けられ、第1スリップ防止部材40と第1締付け部材30との結合に対して第1スリップ防止部材40とカプラー本体100との結合を遅延させ、第2スリップ防止部材80と第2締付け部材70との結合に対して第2スリップ防止部材80とカプラー本体100との結合を遅延させる結合遅延部90をさらに備える。
【0035】
結合遅延部90は、図1及び図2に図示されたように第1、第2スリップ防止部材40、80の外周面、すなわち、第2雄ネジ部42が形成された外周面と第4雄ネジ部82が形成された外周面に、第1、第2支持溝43、83が形成され、該第1、第2支持溝43、83に第1、第2遅延リング92、93が結合されて構成されてもよい。第1、第2遅延リング92、93は、弾性力を有する金属材、合成樹脂材、または弾性ゴム材からなってよい。
【0036】
第1支持溝43に結合された第1遅延リング92は、第2雄ネジ部42のネジ山の高さよりも突出する直径を有する。第1支持溝43は、図2に図示されたように、第1支持溝43の内側面が外側方向にテーパー状に形成され、カプラー本体100と第1スリップ防止部材40との結合時、第1遅延リング92がカプラー本体100の上面にかかって分離可能にすることが望ましい。その場合、第1遅延リング92の断面直径は、第1支持溝43の深さよりも相対的に大きく形成され、第2雄ネジ部42の外周面よりも突出するようにすることが望ましい。
【0037】
第2支持溝83に結合された第2遅延リング93は、第4雄ネジ部の高さよりも突出してカプラー本体100と第2スリップ防止部材80との結合時、結合による摩擦力を増加させる。
【0038】
一方、第2支持溝83と結合される第2遅延リング93の断面直径は、第1支持溝43の深さよりも小さくして、カプラー本体100と第2スリップ防止部材80との螺合時に結合負荷を増加させつつ、第2スリップ防止部材80のようにカプラー本体100の内部への挿入が制限されて第2スリップ防止部材の回転を防止することができる。
【0039】
一方、図5及び図6に図示されたように結合遅延部90は、図1に図示されたカプラー本体100の中空部に挿入され、第1、第2スリップ防止部材40、80を外側方向に弾性加圧するバネ91からなってよい。
【0040】
図7及び図8には、カプラー本体と第1、第2スリップ防止部材との結合力を遅延させるための結合遅延部の他の実施例を示す。
【0041】
結合遅延部90は、第1、第2スリップ防止部材40、80に結合され、第1、第2鉄筋310、320に結合された第1、第2締付け部材30、70の結合がなされる間、カプラー本体100と第1、第2スリップ防止部材40、80との結合を防止する第1、第2結合遅延ジリング95、96を備える。第1、第2結合遅延リング95、96は、金属、合成樹脂からなり、第1、第2スリップ防止部材40、80の端部と嵌合される。
【0042】
第1スリップ防止部材40と結合された第1結合遅延リング95と、第2スリップ防止部材80と結合された第2結合遅延リング96は、カプラー本体100と第1、第2スリップ防止部材40、80との結合時、カプラー本体100によって第1、第2スリップ防止部材40、80がカプラー本体100の中空部側に引込まれることで分離される。
【0043】
上述したように構成された本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーの作用を説明すれば、次の通りである。
【0044】
まず、本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラー10を用いて第1、第2鉄筋310、320を互いに連結するためには、カプラー本体100の一側の第1、第2螺合部102、103にそれぞれ第1、第2鉄筋把持部20、60の第1、第2スリップ防止部材40、80を結合する。
【0045】
そして、この結合のための第1鉄筋310の端部を第1弾性リング34によって支持された少なくとも2つの第1締付け部材30の間に挿入し、第1鉄筋310の第1節部311を第1締付け部材30の鉄筋結合溝31の内周面に形成された第1節結合部33と結合させる。この際、第1鉄筋310の長手方向に形成された第2節部312は、第1締付け部材30の間、すなわち、長手方向に離隔された部位の間に位置させる。
【0046】
この状態で、図9に図示されたように第1鉄筋またはカプラー本体100を回転させ、第1締付け部材30をカプラー本体100の一部が結合された第1スリップ防止部材40と螺合する。すなわち、第1締付け部材30の外周面に形成された第1雄ネジ部32と第1スリップ防止部材40の第1雌ネジ部41を螺合する。このような過程で、カプラー本体100と結合される第1スリップ防止部材40の外周面には、結合遅延部90が備えられているので、カプラー本体100と第1スリップ防止部材40との結合が遅延され、第1スリップ防止部材40と第1鉄筋310と結合された第1締付け部材30の結合が先になされる。
【0047】
第1スリップ防止部材40と、第1鉄筋310と結合された第1締付け部材30との結合がなされれば、第1鉄筋310をさらに回転させ、第1スリップ防止部材40とカプラー本体100とを結合させ、第1鉄筋310の端部をカプラー本体100の中空部の中央部側に位置させる。この際、第1鉄筋310の第1節部311は、第1締付け部材30の内周面に形成された第1節結合部33の結合時、外側に密着された状態である。そして、第1スリップ防止部材40の端部に結合された第1遅延リング92は、カプラー本体100と第1スリップ防止部材40との結合が完了する時点で、カプラー本体100の端にかかって第1スリップ防止部材100から分離され得る。
【0048】
そして、第2鉄筋320の端部を第2弾性リング74によって支持された少なくとも2つの第2締付け部材70の間に挿入し、第2鉄筋320の第1節部321を第2締付け部材70の第2鉄筋結合溝71の内周面に形成された第2節結合部73と結合させる。この際、第2鉄筋320と同様に、長手方向に形成された第2節部322は、第2締付け部材70の間、すなわち、長手方向に離隔された部位の間に位置させる。
【0049】
この状態で、第2鉄筋320を回転させ、第2締付け部材70をカプラー本体100の一部が結合された第2スリップ防止部材80と螺合する。すなわち、第2締付け部材70の外周面に形成された第3雄ネジ部72と第2スリップ防止部材80の第2雌ネジ部40とを螺合する。
【0050】
このような過程で、上述したようにカプラー本体100と結合される第2スリップ防止部材80は、結合遅延部90によって第2スリップ防止部材80と第2締付け部材70との結合より遅延される。すなわち、第2スリップ防止部材80には、図2に図示されたように、第2スリップ防止部材80の外周面にカプラー本体100との結合摩擦力を増加させるための第2遅延リング93が設けられているので、カプラー本体100と第2スリップ防止部材80との結合が完了する時点で、結合抵抗を増加させ、カプラー本体100と第2スリップ防止部材80との結合を遅延させる。この際、第2遅延リングは、カプラー本体100の内周面と第2スリップ防止部材80の外周面との間に介在され、カプラー本体100に対して第2スリップ防止部材80の回転を固定することもできる。
【0051】
上述したように第2スリップ防止部材80と、第2鉄筋320と結合された第2締付け部材70との結合がなされれば、第2鉄筋320をさらに回転させ、第2スリップ防止部材80とカプラー本体100とを結合させ、第2鉄筋310の端部を、図2に図示されたように、カプラー本体100の中空部の中央部側に位置された第1鉄筋310の端部と密着させる。
【0052】
この状態で、第2鉄筋320、第1鉄筋310またはカプラー本体100のうち、1つをさらに回転させれば、図2に図示されたように、第1、第2鉄筋310、320は、外側方向、すなわち、引張力が作用する方向に移動され、第1鉄筋310の外周面に形成された第1節部311は、第1締付け部材30の第1節結合溝33の外側、すなわち、鉄筋の引張方向側の内面に密着され、第2鉄筋320の外周面に形成された第1節部320は、第2締付け部材70の第2節部結合溝33の外側に密着される。したがって、第1、第2鉄筋310、320の引張方向に発生する初期スリップ量に該当する結合時に発生する残存スリップ量が除去される。
【0053】
上述したように結合された状態で、第1、第2鉄筋310、320に外側方向に引張力が作用すれば、第1締付け部材30は、第1スリップ防止部材40によって包まれ、第1スリップ防止部材40は、カプラー本体100によって完全に包まれる。また、第2締付け部材70は、第2スリップ防止部材80によって包まれ、第2スリップ防止部材80は、カプラー本体100によって完全に包まれるので、第1、第2鉄筋に作用する引張力によって第1、第2スリップ防止部材40、80の変形及びカプラー本体部100の変形を防止し、初期スリップ量を防止することができる。すなわち、カプラー本体100の長さは、第1、第2スリップ防止部材40、80を合わせた長さと同一であるか、大きく形成されているので、第1、第2鉄筋310、320に作用する引張力によって第1、第2スリップ防止部材40、80の変形及びカプラー本体100の変形を最小化することができる。
【0054】
前述したように本発明による初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、第1、第2鉄筋の結合時、第1、第2鉄筋310、320と第1、2締付け部材40、70との結合時に発生する遊隙を除し、第1、第2鉄筋310、320に作用する引張力による第1、第2スリップ防止部材とカプラー本体部との変形を防止し、連結された鉄筋に作用する引張力によるスリップを防止することができる。
【0055】
本発明は、図面に図示された実施例に基づいて説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野の通常の知識を有する者であれば、それにより、多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の初期スリップ防止用鉄筋カプラーは、配筋時の鉄筋の連結だけではなく、各種の産業施設に使用されるパイプ、ボルト、形鋼、ロッドなどの連結にも広く適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9