特開 2022-163742 媒体処理装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2022163742

(43)【公開日】2022-10-27

(54)【発明の名称】媒体処理装置

(51)【国際特許分類】

   B07C 1/02 20060101AFI20221020BHJP

   B65H 29/60 20060101ALI20221020BHJP

【ＦＩ】

B07C1/02

B65H29/60 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021068751

(22)【出願日】2021-04-15

(71)【出願人】

【識別番号】000002233

【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100142619

【弁理士】

【氏名又は名称】河合 徹

(74)【代理人】

【識別番号】100125690

【弁理士】

【氏名又は名称】小平 晋

(74)【代理人】

【識別番号】100153316

【弁理士】

【氏名又は名称】河口 伸子

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 大悟

(72)【発明者】

【氏名】田多井 俊男

(72)【発明者】

【氏名】瀬川 武志

【テーマコード（参考）】

3F053

3F079

【Ｆターム（参考）】

3F053EA06

3F053EB07

3F053EC14

3F053LA08

3F053LB04

3F079AA00

3F079BA02

3F079BA07

3F079CA36

3F079CB29

3F079CC05

3F079DA30

3F079DA33

3F079EA09

(57)【要約】

【課題】供給部にセットされた複数枚のシート状媒体から画像および磁気情報を読み取る処理を連続して行うことができる媒体処理装置を提供すること。
【解決手段】媒体処理装置１では、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２のそれぞれを搬送路２４に沿って搬送して画像および磁気情報を取得して受付位置Ａにあるホルダボックス８に収容する受付動作を行う。受付動作が終了すると、媒体処理装置１は、受付位置Ａにあるホルダボックス８を分離位置Ｂに移動させて、受付位置Ａに新たなホルダボックス８を配置する。よって、媒体処理装置１は、新たに供給部６にセットされた複数のシート状媒体２を新たなホルダボックス８に受け入れることができる。また、受付動作と平行して、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８に対して、特定のシート状媒体２を振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に振分ける振分け動作を行うことができる。
【選択図】図５

【特許請求の範囲】

【請求項1】

複数枚のシート状媒体がセットされる供給部、前記供給部にセットされた前記シート状媒体を搬送するための搬送路、前記搬送路に沿って前記シート状媒体を１枚ずつ搬送して第１受渡部に到達させる搬送機構、前記搬送路を通過する各シート状媒体から表面画像を取得する画像読取部、前記搬送路を通過する各シート状媒体から当該シート状媒体に印刷された磁気インク文字の磁気情報を取得する磁気情報読取部、および前記第１受渡部にある前記シート状媒体を前記搬送路を介して前記供給部に排出する排出機構を備えるチェックリーダと、
予め設定された受付位置に配置され、複数枚の前記シート状媒体を厚み方向に配列した状態で収容可能なホルダボックスと、
前記第１受渡部にある前記シート状媒体を前記受付位置に移動させて、移動の順番に従った配列順で前記ホルダボックスに収容する受付位置媒体収容機構と、
前記受付位置に配置された前記ホルダボックスを当該受付位置とは異なる分離位置に移動させる第１ホルダボックス移動機構と、
前記受付位置および前記分離位置とは異なる振分け位置に配置された第２のホルダボックスと、
前記受付位置、前記分離位置、および前記振分け位置とは異なる位置に設定された保管スペースに配置された第３のホルダボックスと、
前記第３のホルダボックスを保管スペースから前記受付位置に移動させる第２ホルダボックス移動機構と、
前記シート状媒体を保持可能な第２受渡部と、
前記分離位置に配置された前記ホルダボックス内で配列された複数枚の前記シート状媒体のうち前記配列順の先頭に位置する前記シート状媒体を前記第２受渡部に移動させる分離位置媒体取出し機構と、
前記第２受渡部にある前記シート状媒体を前記分離位置に移動させ、移動の順番に従った配列順で前記ホルダボックスに収容する分離位置媒体収容機構と、
前記第２受渡部にある前記シート状媒体を前記振分け位置に移動させて、前記第２のホルダボックスに収容する振分け位置媒体収容機構と、
前記画像読取部、前記磁気情報読取部、前記搬送機構、前記受付位置媒体収容機構、および前記第１ホルダボックス移動機構、および前記第２ホルダボックス移動機構を駆動制御する受付制御部と、
前記分離位置媒体取出し機構、前記分離位置媒体収容機構、および前記振分け位置媒体収容機構を駆動制御する振分け制御部と、を有し、
前記受付制御部は、複数枚の前記シート状媒体が前記供給部にセットされると、複数枚の前記シート状媒体のそれぞれを搬送するとともに各シート状媒体から前記表面画像および前記磁気情報を取得して前記受渡部に到達させ、各シート状媒体が前記受渡部に到達する毎に当該シート状媒体を前記ホルダボックスに収容する受付動作を行い、前記受付動作が終了すると前記ホルダボックスを前記分離位置に移動させて前記第３のホルダボックスを前記受付位置に配置し、
前記振分け制御部は、外部の機器と通信可能であり、前記分離位置に配置されている前記ホルダボックス内における前記シート状媒体の前記配列順の先頭からｎ番目に収容されている前記シート状媒体を前記第２のホルダボックスに振分ける旨の振分け指令が前記外部の機器から入力されると、前記分離位置にある前記ホルダボックスから前記第２受渡部に前記シート状媒体を移動させた後に当該シート状媒体を当該第２受渡部から当該ホルダボックスに収容する媒体送り動作をｎ-１回行い、次に、前記ホルダボックスから前記第２受渡部に前記シート状媒体を移動させ、その後に、前記第２受渡部にある前記シート状媒体を前記振分け位置に移動させて前記第２のホルダボックスに収容する振分け動作を行うことを特徴とする媒体処理装置。

【請求項2】

前記第２受渡部に配置された前記シート状媒体に接触可能な第２磁気情報読取部を有し、
前記振分け制御部は、前記振分け動作において前記第２磁気情報読取部を動作させて前記第２受渡部から前記振分け位置に移動する前記シート状媒体から前記磁気情報を取得することを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。

【請求項3】

前記分離位置に配置された前記ホルダボックスを、前記保管スペースに移動させる第３ホルダボックス移動機構と、
前記第３ホルダボックス移動機構を駆動制御するホルダボックス移動制御部と、
を有し、
前記ホルダボックス移動制御部は、前記分離位置に配置された前記ホルダボックス内の全ての前記シート状媒体を対象とした前記振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を前記外部の機器から受けると、前記振分け終了情報の直前の前記振分け指令に対する前記振分け動作が終了した後に前記分離位置に配置された前記ホルダボックスを前記保管スペースに移動させることを特徴とする請求項１または２に記載の媒体処理装置。

【請求項4】

前記第２のホルダボックスを前記振分け位置から前記受付位置に移動させる第４ホルダボックス移動機構と、
前記第３のホルダボックスを前記受付位置から前記保管スペースに移動させる第５ホルダボックス移動機構と、
前記受付位置に配置された前記第２のホルダボックスから当該第２のホルダボックスが空になるまで前記シート状媒体を一枚ずつ前記１受渡部に移動させる受付位置媒体取出し機構と、
前記第４ホルダボックス移動機構、前記第５ホルダボックス移動機構、前記受付位置媒体取出し機構、および前記排出機構を駆動制御する排出制御部と、を有し、
前記排出制御部は、前記分離位置に配置された前記ホルダボックス内の全ての前記シート状媒体を対象とした前記振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を前記外部の機器から受けると、前記振分け終了情報の直前の前記振分け指令に対応する前記振分け動作が終了したときに前記受付動作が行われていない場合には、前記受付位置にある前記第３のホルダボックスを前記保管スペースに移動させた後に前記第２のホルダボックスを前記受付位置に移動させる入替動作を行った後に、前記第２のホルダボックス内にある前記シート状媒体を前記第１受渡部に移動させ、前記シート状媒体が前記第１受渡部に配置される毎に当該シート状媒体を前記供給部に排出する排出動作を行うことを特徴とする請求項１に記載の媒体処理装置。

【請求項5】

前記搬送路は、前記供給部と前記第１受渡部との間を直線状に延びており、
前記搬送路が延設された延設方向において前記供給部の側を第１方向、他方を第２方向とした場合に、
前記受付位置は、前記第１受渡部の前記第２方向で、前記延設方向から見た場合に前記第１受渡部と重なる位置に設定され、
前記第２受渡部は、上下方向および前記延設方向と直交する直交方向で前記チェックリーダの隣に設けられ、
前記分離位置は、前記第２受渡部の前記第２方向で、前記延設方向から見た場合に当該第２受渡部と重なる位置に設定され、
前記直交方向から見た場合に、前記受付位置、前記分離位置、前記振分け位置、および保管スペースは、重なることを特徴とする請求項１から４のうちのいずれか一項に記載の媒体処理装置。

【請求項6】

前記ホルダボックスを、前記受付位置、前記分離位置、前記振分け位置、および保管スペースの間で移動させるホルダボックス移動機構を有し、
前記ホルダボックス移動機構は、前記第１ホルダボックス移動機構、前記第２ホルダボックス移動機構、および前記第３ホルダボックス移動機構を兼ねていることを特徴とする請求項３に記載の媒体処理装置。

【請求項7】

前記シート状媒体は、立たされた状態で前記供給部にセットされるとともに、立たされた状態で前記搬送路に沿って搬送され、立たされた状態で前記ホルダボックス、前記第２のホルダボックス、よび前記第３のホルダボックスに収容されることを特徴とする請求項１から６のうちのいずれか一項に記載の媒体処理装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、小切手や約束手形などのシート状媒体を処理する媒体処理装置に関する。

【背景技術】

【0002】

決済処理のために銀行に持ち込まれるシート状媒体を処理する媒体処理装置は、特許文献１に記載されている。同文献の媒体処理装置は、供給部にセットされたシート状媒体を、イメージスキャナおよび磁気ヘッドを経由するＵ字の搬送路に沿って搬送して、シート状媒体の表面画像および裏面画像と、シート状媒体に印刷された磁気インク文字の磁気情報を取得する。また、媒体処理装置は、表面画像、裏面画像、および磁気情報が正常に取得された決済可能なシート状媒体には、決済済みなどの文字を印刷して、搬送路の下流端に接続された第１ポケットに収納する。さらに、媒体処理装置は、各画像または磁気情報を正常に取得することができず決済が不能なシート状媒体を搬送路の途中から分岐する分岐路に案内し、分岐路の下流端に接続された第２ポケットに収容する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－９１１３６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

媒体処理装置の中には、シート状媒体から取得した各画像および磁気情報を外部の機器に送信して、外部の機器の側で当該シート状媒体の決済が可能か否かを判断するものがある。この場合、媒体処理装置は、シート状媒体の各画像および磁気情報を外部の機器に送信した後に、当該シート状媒体の判断結果が外部の機器から入力されるのを待つ。そして、決済可能である旨の判断結果が入力されると、シート状媒体の搬送を再開して第１ポケットに収容する。また、決済不能である旨の判断結果が入力されると、シート状媒体を搬送路から分岐路に導いて、第２ポケットに振分ける。従って、媒体処理装置は、外部の機器から判断結果が入力されるまでの間、搬送路上にシート状媒体を保持していなければならず、供給部にある複数枚のシート状媒体を連続して受け付けることができない。

【0005】

以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、外部の機器からの指令を待ってシート状媒体を振分ける場合でも、供給部にセットされた複数枚のシート状媒体から画像および磁気情報を読み取る処理を連続して行うことができる媒体処理装置を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決するために、本発明に係る媒体処理装置は、複数枚のシート状媒体がセットされる供給部、前記供給部にセットされた前記シート状媒体を搬送するための搬送路、前記搬送路に沿って前記シート状媒体を１枚ずつ搬送して第１受渡部に到達させる搬送機構、前記搬送路を通過する各シート状媒体から表面画像を取得する画像読取部、前記搬送路を通過する各シート状媒体から当該シート状媒体に印刷された磁気インク文字の磁気情報を取得する磁気情報読取部、および前記第１受渡部にある前記シート状媒体を前記搬送路を介して前記供給部に排出する排出機構を備えるチェックリーダと、予め設定された受付位置に配置され、複数枚の前記シート状媒体を厚み方向に配列した状態で収容可能なホルダボックスと、前記第１受渡部にある前記シート状媒体を前記受付位置に移動させて、移動の順番に従った配列順で前記ホルダボックスに収容する受付位置媒体収容機構と、前記受付位置に配置された前記ホルダボックスを当該受付位置とは異なる分離位置に移動させる第１ホルダボックス移動機構と、前記受付位置および前記分離位置とは異なる振分
け位置に配置された第２のホルダボックスと、前記受付位置、前記分離位置、および前記振分け位置とは異なる位置に設定された保管スペースに配置された第３のホルダボックスと、前記第３のホルダボックスを保管スペースから前記受付位置に移動させる第２ホルダボックス移動機構と、前記シート状媒体を保持可能な第２受渡部と、前記分離位置に配置された前記ホルダボックス内で配列された複数枚の前記シート状媒体のうち前記配列順の先頭に位置する前記シート状媒体を前記第２受渡部に移動させる分離位置媒体取出し機構と、前記第２受渡部にある前記シート状媒体を前記分離位置に移動させ、移動の順番に従った配列順で前記ホルダボックスに収容する分離位置媒体収容機構と、前記第２受渡部にある前記シート状媒体を前記振分け位置に移動させて、前記第２のホルダボックスに収容する振分け位置媒体収容機構と、前記画像読取部、前記磁気情報読取部、前記搬送機構、前記受付位置媒体収容機構、および前記第１ホルダボックス移動機構、および前記第２ホルダボックス移動機構を駆動制御する受付制御部と、前記分離位置媒体取出し機構、前記分離位置媒体収容機構、および前記振分け位置媒体収容機構を駆動制御する振分け制御部と、を有し、前記受付制御部は、複数枚の前記シート状媒体が前記供給部にセットされると、複数枚の前記シート状媒体のそれぞれを搬送するとともに各シート状媒体から前記表面画像および前記磁気情報を取得して前記受渡部に到達させ、各シート状媒体が前記受渡部に到達する毎に当該シート状媒体を前記ホルダボックスに収容する受付動作を行い、前記受付動作が終了すると前記ホルダボックスを前記分離位置に移動させて前記第３のホルダボックスを前記受付位置に配置し、前記振分け制御部は、外部の機器と通信可能であり、前記分離位置に配置されている前記ホルダボックス内における前記シート状媒体の前記配列順の先頭からｎ番目に収容されている前記シート状媒体を前記第２のホルダボックスに振分ける旨の振分け指令が前記外部の機器から入力されると、前記分離位置にある前記ホルダボックスから前記第２受渡部に前記シート状媒体を移動させた後に当該シート状媒体を当該第２受渡部から当該ホルダボックスに収容する媒体送り動作をｎ-１回行い、次に、前記ホルダボックスから前記第２受渡部に前記シート状媒体を移動させ、その後に、前記第２受渡部にある前記シート状媒体を前記振分け位置に移動させて前記第２のホルダボックスに収容する振分け動作を行うことを特徴とする。

【0007】

本発明によれば、供給部にセットされた複数枚のシート状媒体のそれぞれは、チェックリーダの搬送路に沿って搬送されながら表面画像および磁気情報が読み取られて、受付位置にあるホルダボックスに搬送される。また、供給部にセットされた複数枚のシート状媒体の全てが受付位置にあるホルダボックスに収容されると、ホルダボックスは受付位置から分離位置に移動させられる。そして、空いた受付位置には、新たに第３のホルダボックスが配置される。従って、媒体処理装置では、最初に供給部にセットされた複数枚のシート状媒体の全てから表面画像および磁気情報を連続的に読み取ってホルダボックスに収容した後に、新たに供給部にセットされた複数枚のシート状媒体についても、シート状媒体の表面画像および磁気情報を連続的に読み取って、第３のホルダボックスに収容できる。

【0008】

ここで、ホルダボックスに収容された複数枚のシート状媒体の中から特定のシート状媒体を分別する必要がある場合には、外部の機器から媒体処理装置に振分け指令が入力される。振分け指令には、特定のシート状媒体が、ホルダボックス内で、配列方向の何番目に位置するかを指定する情報が含まれている。従って、媒体処理装置は、外部の機器からｎ番目のシート状媒体を振分ける振分け指令が入力されると、受付位置から分離位置に移動させたホルダボックスと第２受渡部との間でシート状媒体を行き来させる媒体送り動作をｎ-１回繰り返し、次に、ホルダボックス内で配列順の先頭に位置するシート状媒体を第２受渡部に移動させ、その後に、第２受渡部にあるシート状媒体を振分け位置にある第２のホルダボックスに収容する振分け動作を行う。これにより、媒体処理装置は、分離位置、振分け位置、および第２受渡部を利用して、振分け対象のシート状媒体を振分け位置にある第２のホルダボックスに振分ける。言い換えれば、媒体処理装置は、チェックリーダの搬送路および第１受渡部、並びに受付位置を利用せずに、振分け対象のシート状媒体を
振分ける。従って、媒体処理装置では、供給部にセットされた全てのシート状媒体を搬送路に沿って搬送して表面画像および磁気情報を取得する受付処理と、シート状媒体を振分ける振分け処理とを並行して行うことができる。よって、媒体処理装置は、外部の機器からの指令を待ってシート状媒体を振分ける場合でも、供給部にセットされた複数枚のシート状媒体から表面画像および磁気情報を読み取る処理を連続的に行うことができる。

【0009】

本発明において、前記第２受渡部に配置された前記シート状媒体に接触可能な第２磁気情報読取部を有し、前記振分け制御部は、前記振分け動作において前記第２磁気情報読取部を動作させて前記第２受渡部から前記振分け位置に移動する前記シート状媒体から前記磁気情報を取得するものとすることができる。このようにすれば、第２ホルダボックスに振分けられるシート状媒体の磁気情報を取得できる。従って、磁気情報に基づいて、第２ホルダボックスに収容されたシート状媒体を特定できる。

【0010】

本発明において、前記分離位置に配置された前記ホルダボックスを、前記保管スペースに移動させる第３ホルダボックス移動機構と、前記第３ホルダボックス移動機構を駆動制御するホルダボックス移動制御部と、を有し、前記ホルダボックス移動制御部は、前記分離位置に配置された前記ホルダボックス内の全ての前記シート状媒体を対象とした前記振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を前記外部の機器から受けると、前記振分け終了情報の直前の前記振分け指令に対する前記振分け動作が終了した後に前記分離位置に配置された前記ホルダボックスを前記保管スペースに移動させるものとすることができる。このようにすれば、分離位置を空にすることができるので、新たに供給部にセットされた複数枚のシート状媒体が受付位置にある第３のホルダボックスに収容された後に、第３のホルダボックスを受付位置から分離位置に移動させることができる。

【0011】

本発明において、前記第２のホルダボックスを前記振分け位置から前記受付位置に移動させる第４ホルダボックス移動機構と、前記第３のホルダボックスを前記受付位置から前記保管スペースに移動させる第５ホルダボックス移動機構と、前記受付位置に配置された前記第２のホルダボックスから当該第２のホルダボックスが空になるまで前記シート状媒体を一枚ずつ前記１受渡部に移動させる受付位置媒体取出し機構と、前記第４ホルダボックス移動機構、前記第５ホルダボックス移動機構、前記受付位置媒体取出し機構、および前記排出機構を駆動制御する排出制御部と、を有し、前記排出制御部は、前記分離位置に配置された前記ホルダボックス内の全ての前記シート状媒体を対象とした前記振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を前記外部の機器から受けると、前記振分け終了情報の直前の前記振分け指令に対応する前記振分け動作が終了したときに前記受付動作が行われていない場合には、前記受付位置にある前記第３のホルダボックスを前記保管スペースに移動させた後に前記第２のホルダボックスを前記受付位置に移動させる入替動作を行い、その後に、前記第２のホルダボックス内にある前記シート状媒体を前記第１受渡部に移動させ、前記シート状媒体が前記第１受渡部に配置される毎に当該シート状媒体を前記供給部に排出する排出動作を行うものとすることができる。このようにすれば、振分け位置に配置された第２のホルダボックスに振分けられた複数枚のシート状媒体を、連続して、供給部に排出できる。

【0012】

本発明において、前記搬送路は、前記供給部と前記第１受渡部との間を直線状に延びており、前記搬送路が延設された延設方向において前記供給部の側を第１方向、他方を第２方向とした場合に、前記受付位置は、前記第１受渡部の前記第２方向で、前記延設方向から見た場合に前記第１受渡部と重なる位置に設定され、前記第２受渡部は、上下方向および前記延設方向と直交する直交方向で前記チェックリーダの隣に設けられ、前記分離位置は、前記第２受渡部の前記第２方向で、前記延設方向から見た場合に当該第２受渡部と重なる位置に設定され、前記直交方向から見た場合に、前記受付位置、前記分離位置、前記振分け位置、および保管スペースは、重なるものとすることができる。このようにすれば
、供給部にセットされたシート状媒体は、直線的に搬送されて受付位置に至る。また、分離位置と第２受渡部との間で、シート状媒体は直線的に搬送される。従って、シート状媒体が移動する経路が湾曲している場合などと比較して、シート状媒体にジャミングが発生することを防止或いは抑制しやすい。また、受付位置、分離位置、振分け位置、および保管スペースは、直交方向に並んでいる。従って、これらの間でホルダボックスを移動させる機構を設けることが容易となる。

【0013】

本発明において、前記ホルダボックスを、前記受付位置、前記分離位置、前記振分け位置、および保管スペースの間で移動させるホルダボックス移動機構を有し、前記ホルダボックス移動機構は、前記第１ホルダボックス移動機構、前記第２ホルダボックス移動機構を兼ねているものとすることができる。このようにすれば、第１ホルダボックス移動機構と、第２ホルダボックス移動機構と、を別々に設ける場合と比較して、部品点数を抑制することが容易となる。

【0014】

本発明において、前記シート状媒体は、立たされた状態で前記供給部にセットされるとともに、立たされた状態で前記搬送路に沿って搬送され、立たされた状態で前記ホルダボックス、前記第２のホルダボックス、よび前記第３のホルダボックスに収容されるものとすることができる。

【発明の効果】

【0015】

本発明によれば、外部の機器からの指令を待ってシート状媒体を振分ける場合でも、供給部にセットされた複数枚のシート状媒体から表面画像および磁気情報を読み取る処理を連続的に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【0016】

【図1】媒体処理装置の要部を正面側から見た場合の斜視図である。

【図2】媒体処理装置の要部を背面側から見た場合の斜視図である。

【図3】媒体処理装置の要部を上方から見た場合の平面図である。

【図4】チェックリーダの概略構成図である。

【図5】ホルダボックスの説明図である。

【図6】媒体処理装置の制御系を示す概略ブロック図である。

【図7】シート状媒体を受け付ける動作のフローチャートである。

【図8】特定のシート状媒体を排出する動作のフローチャートである。

【図9】シート状媒体を仕訳する動作の説明図で

【発明を実施するための形態】

【0017】

（全体構成）
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態である媒体処理装置を説明する。図１は、媒体処理装置の要部を正面側から見た場合の斜視図である。図２は、媒体処理装置の要部を背面側から見た場合の斜視図である。図３は、媒体処理装置の要部を上方から見た場合の平面図である。図1から３では、媒体処理装置の筐体を、正面パネルを除いて省略して示す。図４は、チェックリーダの要部の説明図である。

【0018】

媒体処理装置１は、決済処理のために銀行に持ち込まれる小切手や約束手形などのシート状媒体２を処理する。シート状媒体２の表面には、シート状媒体２の整理番号、決済の期日、振出人の情報、金融機関の情報などが記載されている。また、シート状媒体２の表面には、磁気インク文字により金額などが記載されている。シート状媒体２の裏面には、裏書が記載されている場合がある。媒体処理装置１は、持ち込まれたシート状媒体２による決済を行うための上位機器３（外部の機器）と通信可能に接続されている。

【0019】

媒体処理装置１は、正面パネル５から前方に突出する供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２を一枚ずつ搬送して、各シート状媒体２から表面画像、裏面画像、および磁気インク文字の磁気情報を取得する。また、媒体処理装置１は、各シート状媒体２から取得した表面画像、裏面画像、および磁気情報を上位機器３に送信する。上位機器３の側では、受信した各画像および磁気情報などに基づいて、各シート状媒体２による決済が可能か否かを判断する。

【0020】

上位機器３の側で判断が下されると、上位機器３は判断結果を媒体処理装置１に送信する。ここで、媒体処理装置１は、上位機器３から判断結果が入力されると、決済が可能であると判断されたシート状媒体２を媒体処理装置１内に保管する。また、決済が不能であると判断されたシート状媒体２を供給部６に戻す。

【0021】

以下の説明では、互いに直交する方向をＸ方向、Ｙ方向、およびＺ方向とする。また、Ｘ方向を媒体処理装置１の前後方向とし、供給部６が正面パネル５から突出する方向をＸ１方向、その反対側をＸ２方向とする。さらに、Ｙ方向を媒体処理装置１の幅方向（直交方向）とし、幅方向の一方をＹ１方向、他方をＹ２方向とする。また、Ｚ方向を媒体処理装置１の上下方向とし、下方をＺ１方向、上方をＺ２方向とする。

【0022】

図１に示すように、媒体処理装置１は、供給部６を備えるチェックリーダ７と、チェックリーダ７のＸ２方向に設定された受付位置Ａに配置されたホルダボックス８と、を備える。媒体処理装置１におけるチェックリーダ７のＹ１方向の隣には、媒体受渡部９（第２受渡部）が設けられている。媒体受渡部９には、磁気情報読取部１０（第２磁気情報読取部）、および印刷部１１が設置されている。磁気情報読取部１０は、磁気ヘッドを備える。印刷部１１は、プリンタを備える。媒体受渡部９のＸ２方向には、ホルダボックス８を配置可能な分離位置Ｂが設定されている。Ｘ軸方向から見た場合に媒体受渡部９と分離位置Ｂとは重なる。また、分離位置ＢのＹ１方向の隣には振分け位置Ｃが設定されている。振分け位置Ｃにはホルダボックス８（第２ホルダボックス）が配置されている。振分け位置ＣのＹ１方向には保管スペースＤが設けられている。保管スペースＤには複数のホルダボックス８（第３ホルダボックス）が配置されている。Ｙ方向から見た場合に、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、および保管スペースＤは重なる。

【0023】

さらに、媒体処理装置１は、チェックリーダ７と受付位置Ａとの間に、シート状媒体２をチェックリーダ７から受付位置Ａに移動させて、受付位置Ａにあるホルダボックス８に収容する受付位置媒体収容機構１３と、受付位置Ａにあるホルダボックス８内のシート状媒体２の一枚をチェックリーダ７に戻す受付位置媒体取出し機構１４と、を備える。また、媒体処理装置１は、媒体受渡部９と分離位置Ｂとの間に、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内のシート状媒体２を媒体受渡部９に移動させる分離位置媒体取出し機構１５と、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を分離位置Ｂに移動させて、分離位置Ｂにあるホルダボックス８に収容する分離位置媒体収容機構１６と、を備える。さらに、媒体処理装置１は、媒体受渡部９と振分け位置Ｃとの間に、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に収容する振分け位置媒体収容機構１７を備える。

【0024】

また、媒体処理装置１は、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃおよび保管スペースＤのＹ２方向に保管棚Ｅを備える。保管棚Ｅには、保管スペースＤよりも多くのホルダボックス８が収納可能である。保管棚Ｅに保管されたホルダボックス８は、Ｘ２方向に取り出すことができる。さらに、媒体処理装置１は、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃおよび保管スペースＤと、保管棚Ｅと、の間に、ホルダボックス移動機構２０（第１ホルダボックス移動機構、第２ホルダボックス移動機構、第３ホルダボックス移動機構、第４ホルダボックス移動機構、第５ホルダボックス移動機構）を備える。ホルダボックス移動機構２０は、ホルダボックス８を、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、保管スペー
スＤ、および保管棚Ｅの間で移動させる。

【0025】

図４に示すように、チェックリーダ７は、正面パネル５のＸ２方向に位置するチェックリーダ本体２２を備える。供給部６はチェックリーダ本体２２からＸ１方向に突出する。シート状媒体２は、立たされた状態で供給部６にセットされる。供給部６には、シート状媒体２がセットされたことを検出するためのセンサ２３が設けられている。センサ２３は、例えば、供給部６にシー状媒体が挿入されたときにスイッチが操作される機械的なものである。

【0026】

チェックリーダ本体２２は、供給部６にセットされたシート状媒体２を搬送するための搬送路２４を備える。搬送路２４の後端には受渡部２５（第１受渡部）が接続されている。搬送路２４は、供給部６と受渡部２５との間を直線状に延びる。受渡部２５は、搬送路２４の後端から直線状に延びる。Ｘ方向は、搬送路２４の延設方向である。また、チェックリーダ本体２２は、搬送路２４に沿ってシート状媒体２を１枚ずつ搬送して受渡部２５に到達させる搬送機構２７を備える。搬送機構２７は、モータなどの第１駆動源２７ａと、シート状媒体２に接触可能な複数の搬送ローラ２７ｂと、を備える。シート状媒体２は、立たされた状態で搬送路２４に沿って搬送される。

【0027】

また、チェックリーダ本体２２は、搬送路２４を通過する各シート状媒体２から表面画像および裏面画像を取得する画像読取部２９と、搬送路２４を通過する各シート状媒体２から当該シート状媒体２に印刷された磁気インク文字の磁気情報を取得する磁気情報読取部３０と、を備える。画像読取部２９は、搬送路２４の側に読み取り部を向けて対向配置された一対のイメージスキャナを備える。磁気情報読取部３０は、磁気ヘッドを備える。さらに、チェックリーダ本体２２は、受渡部２５にあるシート状媒体２を、搬送路２４を介して、供給部６に排出する排出機構３１を備える。本例では、搬送機構２７は排出機構３１を兼ねる。すなわち、第１駆動源２７ａの正方向への駆動により搬送ローラ２７ｂが正回転すると、供給部６にあるシート状媒体２は、搬送路２４に沿ってＸ２方向に搬送されて、受渡部２５に到達する。第１駆動源２７ａの逆方向への駆動により搬送ローラ２７ｂが逆回転すると、搬送機構２７は排出機構３１として機能して、受渡部２５にあるシート状媒体２を、搬送路２４に沿ってＸ１方向に搬送して、供給部６に排出する。

【0028】

受付位置Ａは、受渡部２５のＸ２方向に設定されている。Ｘ軸方向から見た場合に、受渡部２５と受付位置Ａとは、重なる。受付位置Ａは、搬送路２４の延長線上に位置する。受付位置Ａには、ホルダボックス８が配置されている。

【0029】

受付位置媒体収容機構１３は、モータなどの第２駆動源１３ａと、受渡部２５にあるシート状媒体２を搬送するための複数の搬送ローラ１３ｂと、を備える。受付位置媒体収容機構１３は、第２駆動源１３ａの駆動により複数の搬送ローラ１３ｂを駆動して、受渡部２５にあるシート状媒体２をＸ２方向に搬送して、受付位置Ａにあるホルダボックス８に送り込む。

【0030】

図５は、ホルダボックス８の説明図である。ホルダボックス８は、前後方向Ｘに一定幅で延びる細長い長方形形状の底板８ａと、底板８ａのＹ１方向の端縁から上方に延びる長方形形状の第１側板８ｂと、底板８ａのＹ２方向の端縁から上方に延びる長方形形状の第２側板８ｃと、を備える。第１側板８ｂと第２側板８ｃとは、Ｙ方向で対向する。また、ホルダボックス８は、上下方向に延びる第１側板８ｂのＸ２方向の端縁と、上下方向に延びる第２側板８ｃのＸ２方向の端縁とを接続する第３側板８ｄと、を備える。第１側板８ｂは、Ｘ１方向の端縁に、Ｘ２方向に延びる切欠き部８ｅを備える。シート状媒体２は、立たされた状態でＸ１方向からホルダボックス８に挿入され、立たされた状態でホルダボックス８に収容される。ホルダボックス８内において、複数枚のシート状媒体２をその厚
み方向に配列される。

【0031】

ここで、受付位置媒体収容機構１３によりホルダボックス８に送り込まれるシート状媒体２は、既にホルダボックス８に複数枚のシート状媒体２が収容されている場合には、ホルダボックス８内における複数枚のシート状媒体２の配列方向の後尾に、挿入される。本例では、新たにホルダボックス８に送り込まれるシート状媒体２は、既にホルダボックス８内で収容されているシート状媒体２のＹ２方向に挿入される。これにより、受付位置媒体収容機構１３は、受渡部２５から受付位置Ａに移動するシート状媒体２を、移動の順番に従った配列順で、ホルダボックス８に収容する。具体的には、ホルダボックス８に収容された複数枚のシート状媒体２は、Ｙ１方向の側からＹ２方向に向かって、ホルダボックス８に挿入された順番に、配列される。

【0032】

図１～図３に示すように、受付位置媒体取出し機構１４は、受付位置Ａに配置されたホルダボックス８から一枚のシート状媒体２をＸ１方向に繰り出す繰り出しローラ１４ａと、繰り出しローラ１４ａによりホルダボックス８から繰り出されたシート状媒体２をＸ１方向に搬送するための複数の搬送ローラ１３ｂと、繰り出しローラ１４ａおよび複数の搬送ローラ１３ｂを駆動する駆動する第２駆動源１３ａと、を備える。受付位置媒体収容機構１３と受付位置媒体取出し機構１４とは、複数の搬送ローラ１３ｂおよび第２駆動源１３ａとが共通である。第２駆動源１３ａが正方向に駆動されると、複数の搬送ローラ１３ｂは正回転して、シート状媒体２は、受渡部２５から受付位置Ａの側に移動する。第２駆動源９ａが逆方向に駆動されると、繰り出しローラ１４ａ、および複数の搬送ローラ９ｂは逆回転して、受付位置Ａにあるホルダボックス８内のシート状媒体２が受渡部２５に移動する。

【0033】

ここで、図５に想像線で示すように、繰り出しローラ１４ａは、ホルダボックス８に形成された切欠き部８ｅを介してＹ１方向からホルダボックス８の内側に突出する。これにより、繰り出しローラ１４ａは、受付位置にあるホルダボックス８内で最もＹ１方向に位置するシート状媒体２に接触する。従って、受付位置媒体取出し機構１４は、ホルダボックス８内で配列された複数枚のシート状媒体２のうち配列順の先頭に位置するシート状媒体２を受渡部２５に移動させる。言い換えれば、受付位置媒体取出し機構１４は、ホルダボックス８内で収容されているシート状媒体２のうち最もＹ１方向に位置するシート状媒体２を受渡部２５に移動させる。

【0034】

次に、分離位置媒体取出し機構１５は、モータなどの第３駆動源１５ａと、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８から一枚のシート状媒体２をＸ１方向に繰り出す繰り出しローラ１５ｂと、繰り出しローラ１５ｂによりホルダボックス８からＸ１方向に繰り出されたシート状媒体２をＸ１方向に搬送するための複数の搬送ローラ１５ｃと、を備える。図５に想像線で示すように、繰り出しローラ１５ｂは、受付位置媒体取出し機構１４の繰り出しローラ１４ａと同様に、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８に形成された切欠き部８ｅを介してＹ１方向からホルダボックス８の内側に突出する。これにより、繰り出しローラ１５ｂは、ホルダボックス８内で最もＹ１方向に位置するシート状媒体２に接触する。従って、分離位置媒体取出し機構１５は、ホルダボックス８内で配列された複数枚のシート状媒体２のうち配列順の先頭に位置するシート状媒体２を媒体受渡部９に移動させる。言い換えれば、分離位置媒体取出し機構１５は、ホルダボックス８内で収容されているシート状媒体２のうち最もＹ１方向に位置するシート状媒体２を媒体受渡部９に移動させる。

【0035】

分離位置媒体収容機構１６は、モータなどの第３駆動源１５ａと、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を分離位置Ｂに搬送するための複数の搬送ローラ１５ｃと、を備える。分離位置媒体収容機構１６と分離位置媒体取出し機構１５とは、複数の搬送ローラ１５ｃお
よび第３駆動源１５ａとが共通である。第３駆動源１５ａが正方向に駆動されると、複数の搬送ローラ１５ｃは正回転して、シート状媒体２は、媒体受渡部９からＸ２方向に搬送されて、分離位置Ｂにあるホルダボックス８に送り込まれる。第３駆動源１５ａが逆方向に駆動されると、繰り出しローラ１５ｂが回転するとともに複数の搬送ローラ１５ｃは逆回転する。これにより、分離位置Ｂにあるホルダボックス８内のシート状媒体２のうち最もＹ１方向に位置するシート状媒体２が媒体受渡部９に移動する。

【0036】

ここで、分離位置媒体収容機構１６により媒体受渡部９から分離位置Ｂにあるホルダボックス８に送り込まれるシート状媒体２は、既にホルダボックス８に複数枚のシート状媒体２が収容されている場合には、ホルダボックス８内における複数枚のシート状媒体２の配列方向の後尾に、挿入される。本例では、新たにホルダボックス８に送り込まれるシート状媒体２は、既にホルダボックス８内で収容されているシート状媒体２のＹ２方向に挿入される。これにより、分離位置媒体収容機構１６は、媒体受渡部９から分離位置Ｂに移動するシート状媒体２を、移動の順番に従った配列順で、ホルダボックス８に収容する。具体的には、ホルダボックス８に収容された複数枚のシート状媒体２は、Ｙ１方向の側からＹ２方向に向かって、ホルダボックス８に挿入された順番に、配列される。

【0037】

従って、分離位置媒体取出し機構１５により分離位置Ｂにあるホルダボックス８から一枚のシート状媒体２を媒体受渡部９に移動させた後に（図３の矢印Ｆ）、当該シート状媒体２を媒体受渡部９から分離位置Ｂにあるホルダボックス８に移動させると（図３の矢印Ｇ）、分離位置Ｂにあるホルダボックス８内において、配列方向の先頭に位置していたシー状媒体は、配列方向の後尾に移動する。すなわち、シート状媒体２は、ホルダボックス８内に配列されたシート状媒体２の束の、Ｙ１方向の端から、Ｙ２方向の端に移動する。

【0038】

振分け位置媒体収容機構１７は、モータなどの第４駆動源１７ａと、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃに搬送するための複数の搬送ローラ１７ｂと、を備える。振分け位置媒体収容機構１７は、第４駆動源１７ａの駆動により複数の搬送ローラ１７ｂを駆動して、媒体受渡部９にあるシート状媒体２をＹ１方向に向かってＸ２方向に湾曲する搬送経路に沿って搬送する。これにより、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃに配置されたホルダボックス８に送り込む。ここで、振分け位置媒体収容機構１７によりホルダボックス８に送り込まれるシート状媒体２は、既にホルダボックス８に複数枚のシート状媒体２が収容されている場合には、ホルダボックス８内における複数枚のシート状媒体２の配列方向の後尾に、挿入される。

【0039】

次に、保管スペースＤには、シート状媒体２の表面画像、裏面画像、および磁気情報の読み取りが終了したシート状媒体２を、決済月毎に仕分けした状態で収容するための複数のホルダボックス８が配置される。また、保管スペースＤには、空のホルダボックス８が、配置される。保管棚Ｅには、決済月毎に仕分けされたシート状媒体２が収容されたホルダボックス８が保管される。

【0040】

ホルダボックス移動機構２０は、ホルダボックス保持部３４と、保持部移動機構３５と、を備える。保持部移動機構３５は、ホルダボックス保持部３４をＹ方向およびＺ方向に案内するガイド部３６と、モータなどの第５駆動源３５ａを備える。保持部移動機構３５は、第５駆動源３５ａの駆動により、ホルダボックス保持部３４をＹ方向およびＺ方向に移動させて、任意の位置で停止させる。また、ホルダボックス移動機構２０は、ホルダボックス保持部３４が受付位置ＡのＸ２方向、分離位置ＢのＸ２方向、振分け位置ＣのＸ２方向、または保管スペースＤの任意の位置のＸ２方向に停止したときに、ホルダボックス保持部３４のＸ１方向に位置するホルダボックをＸ２方向に引き出してホルダボックス保持部３４に保持するホルダボックス受入れ機構３７を備える。ホルダボックス受入れ機構３７は、例えば、Ｘ方向に進退するフックをホルダボックス８に係止させて、ホルダボッ
クス８をホルダボックス保持部２４に受け入れる。さらに、ホルダボックス移動機構２０は、ホルダボックス保持部３４に保持しているホルダボックス８をＸ１方向およびＸ２方向の一方に押し出して、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、保管スペースＤ、または保管棚Ｅに移動させるホルダボックス受け渡し機構３８を備える。これにより、ホルダボックス移動機構２０は、ホルダボックス８を、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、保管スペースＤおよび保管棚Ｅの間で移動させる。

【0041】

（制御系）
図６は、媒体処理装置１の制御系を示す概略ブロック図である。媒体処理装置１の制御系は、ＣＰＵを備える制御部４０を中心に構成される。制御部４０は、上位機器３と通信可能に接続されている。制御部４０の入力側には、センサ２３が接続されている。また、制御部４０には、磁気情報読取部１０、印刷部１１、画像読取部２９、および磁気情報読取部３０が接続されている。さらに、制御部４０の出力側には、チェックリーダ７の搬送機構２７および排出機構３１、受付位置媒体収容機構１３、受付位置媒体取出し機構１４、分離位置媒体取出し機構１５、分離位置媒体収容機構１６、振分け位置媒体収容機構１７、およびホルダボックス移動機構２０が接続されている。より具体的には、制御部４０には、磁気情報読取部１０の磁気ヘッド、印刷部１１のプリンタ、画像読取部２９のイメージスキャナ、磁気情報読取部３０の磁気ヘッドが接続されている。制御部４０の出力側には、第１駆動源２７ａ、第２駆動源１３ａ、第３駆動源１５ａ、第４駆動源１７ａ、第５駆動源３５ａが接続されている。なお、媒体処理装置１の制御部４０は、上位機器３の制御部４０の一部として上位機器３の側に設けられている場合がある。

【0042】

制御部４０は、画像読取部２９、磁気情報読取部３０、搬送機構２７および受付位置媒体収容機構１３を駆動制御する受付制御部４１を備える。また、分離位置媒体取出し機構１５、分離位置媒体収容機構１６、および振分け位置媒体収容機構１７、磁気情報読取部３０を駆動制御する振分け制御部４２を備える。さらに、制御部４０は、ホルダボックス移動機構２０を駆動制御するホルダボックス移動制御部４３を備える。また、制御部４０は、ホルダボックス移動機構２０、受付位置媒体取出し機構１４、および排出機構３１を駆動制御する排出制御部４４を備える。さらに、制御部４０は、分離位置媒体取出し機構１５、分離位置媒体収容機構１６、振分け位置媒体収容機構１７、およびホルダボックス移動機構２０を駆動制御する仕訳制御部４５を備える。

【0043】

受付制御部４１は、センサ２３によって複数枚のシート状媒体２が供給部６にセットされたことが検出されると、搬送機構２７および受付位置媒体収容機構１３を駆動して、複数枚のシート状媒体２のそれぞれを搬送路２４に沿って搬送して受渡部２５に到達させるとともに、各シート状媒体２が受渡部２５に到達する毎に当該シート状媒体２を受付位置Ａにあるホルダボックス８に収容する受付動作を行う。また、受付制御部４１は、搬送機構２７の駆動制御と並行して画像読取部２９および磁気情報読取部３０を駆動制御して搬送路２４を搬送されるシート状媒体２から表面画像、裏面画像、および磁気情報を読み取る。これにより、受付制御部４１は、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２の全てから、それぞれの表面画像、裏面画像、および磁気情報を読み取るとともに、各シート状媒体２が搬送路２４を通過した順番と一致する配列順で、全てのシート状媒体２をホルダボックス８に収容する。

【0044】

さらに、受付制御部４１は、受付動作が終了すると、ホルダボックス移動機構２０を駆動制御して、ホルダボックス８を受付位置Ａから分離位置Ｂに移動させる。

【0045】

振分け制御部４２は、上位機器３から振分け指令が入力されると、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から振分け対象のシート状媒体２を振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に振分ける。振分け対象となるシート状媒体２は、表面画像、裏面画像または磁気情報を
正常に取得することができず決済が不能なシート状媒体２である。また、排出対象となるシート状媒体２は、表面画像、裏面画像から判断できる記載の不備によって、決済が不能なシート状媒体２である。

【0046】

ここで、上位機器３は、媒体処理装置１から表面画像、裏面画像、および磁気情報が送信されてくると、表面画像、裏面画像、および磁気情報が取得された順番に従った処理番号と、表面画像、裏面画像、および磁気情報と、を関連付けた形態で記憶する。従って、上位機器３は、特定の処理番号のシート状媒体２が、ホルダボックス８内において、先頭から何番目に位置するかを把握している。また、上位機器３は、受付位置Ａにあるホルダボックス８からのシート状媒体２の取出し、受付位置Ａにあるホルダボックス８へのシート状媒体２の収容、分離位置Ｂにあるホルダボックス８からのシート状媒体２の取出し、分離位置Ｂにあるホルダボックス８へのシート状媒体２の収容、振分け位置Ｃにあるホルダボックス８へのシート状媒体２の収容、受付位置Ａにあるホルダボックス８からのシート状媒体２の排出、および、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、保管スペースＤ、および保管棚Ｅの間におけるホルダボックス８の移動を監視しており、これらの動作が発生する毎に、各ホルダボックス８の位置、および各ホルダボックス８内における各複数のシート状媒体２の配列順を更新している。従って、上位機器３は、特定の処理番号のシート状媒体２が受付位置Ａ、保管スペースＤ、保管棚Ｅのいずれの位置にあるホルダボックス８に収容されているかを把握している。また、特定の処理番号のシート状媒体２が、そのホルダボックス８内の先頭から何番目に位置しているかを把握している。従って、上位機器３からの振分け指令には、振分け対象となるシート状媒体２が収容されたホルダボックス８の位置情報と、当該ホルダボックス８内において振分け対象となるシート状媒体２が配列順の先頭からｎ番目に収容されている旨の情報が含まれる。

【0047】

振分け制御部４２は、分離位置Ｂに配置されているホルダボックス８内におけるシート状媒体２の配列順の先頭からｎ番目に収容されているシート状媒体２を振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に振分ける旨の振分け指令が上位機器３から入力されると、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から媒体受渡部９にシート状媒体２を移動させた後に当該シート状媒体２を当該媒体受渡部９から当該ホルダボックス８に収容する媒体送り動作をｎ-１回行う。また、振分け制御部４２は、ｎ－１回の媒体送り動作が終了すると、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から媒体受渡部９にシート状媒体２を移動させ、その後に、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃに移動させてホルダボックス８に収容する振分け動作を行う。

【0048】

ここで、図３に矢印Ｆおよび矢印Ｇで示すようにシート状媒体２を移動させる媒体送り動作を行うと、分離位置Ｂに配置されているホルダボックス８内で配列順に先頭（Ｙ１方向の端）に位置していたシート状媒体２が配列順の後尾（Ｙ２方向の端）に移動する。従って、媒体送り動作をｎ－１回行うと、振分け指令が入力された時点で配列順のｎ番目に位置していたシート状媒体２が、配列順の先頭（Ｙ１方向の端）に位置する。よって、その次に、振分け動作を行うと、振分け対象のシート状媒体２が、ホルダボックス８から、媒体受渡部９を経由して、振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に収容される。

【0049】

また、振分け制御部４２は、振分け動作において磁気情報読取部１０を駆動する。ここで、磁気情報読取部１０は、媒体受渡部９にあるシート状媒体２に接触可能である。従って、振分け制御部４２は、媒体受渡部９から振分け位置Ｃに移動するシート状媒体２から磁気情報を取得する。さらに、振分け制御部４２は、取得した磁気情報を上位機器３に送信する。ここで、振分け制御部４２は、媒体送り動作を行う際に、印刷部１１を駆動して、媒体受渡部９から分離位置Ｂに配置されているホルダボックス８に移動するシート状媒体２に裏書を印刷する場合がある。

【0050】

ホルダボックス移動制御部４３は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内の全てのシート状媒体２を対象とした振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を上位機器３から受けると、振分け終了情報の直前の振分け指令に対する振分け動作が終了した後に、分離位置Ｂにあるホルダボックス８を保管スペースＤに移動させる。すなわち、ホルダボックス移動制御部４３は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内の全てのシート状媒体２に対する振分け終了すると、ホルダボックス８を保管スペースＤに退避させて、分離位置Ｂを開放する。

【0051】

また、ホルダボックス移動制御部４３は、移動元位置と移動先位置とが含まれるホルダボックス移動指令が上位機器３から入力されると、ホルダボックス８を受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、保管スペースＤ、および保管棚Ｅの間で移動させる。

【0052】

排出制御部４４は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内の全てのシート状媒体２を対象とした振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を上位機器３から受けると、振分け終了情報の直前の振分け指令に対応する振分け動作が終了したときに受付動作が行われていない場合には、受付位置Ａにあるホルダボックス８を保管スペースＤに退避させた後に、振分け位置Ｃにあるホルダボックス８を受付位置Ａに移動させる入替動作を行う。また、入替動作が終了すると、排出制御部４４は、受付位置媒体取出し機構１４、および排出機構３１を駆動して、受付位置Ａに移動したホルダボック内にあるシート状媒体２を一枚ずつ受渡部２５に移動させるとともに、シート状媒体２が受渡部２５に移動する毎に当該シート状媒体２を供給部６に排出する排出動作を行う。これにより、排出制御部４４は、受付位置Ａに移動したホルダボック内にあるシート状媒体２の全てを、供給部６に排出する。

【0053】

なお、振分け終了情報の直前の振分け指令に対応する振分け動作が終了したときに受付動作が行われている場合には、排出制御部４４は、受付動作が終了するのを待つ。そして、排出制御部４４は、受付動作が終了した後に、上位機器３からのホルダボックス移動指令に基づいて受付位置Ａにあるホルダボックス８を分離位置Ｂ、保管スペースＤ、或いは保管棚Ｅに移動させる。しかる後に、排出制御部４４は、振分け位置Ｃにあるホルダボックス８を受付位置Ａに移動させ、受付位置Ａに移動させたホルダボックス８からシート状媒体２を排出する排出動作を行う。

【0054】

次に、仕訳制御部４５は、上位機器３から仕訳指令が入力されると、特定のホルダボックス８内のシート状媒体２を、決済月毎に保管する保管用するホルダボックス８に振分ける。

【0055】

すなわち、本例では、上位機器３は、媒体処理装置１から送信された表面画像から文字認識などによって決済月を取得しており、処理番号と決済月とを関連付けた形態で記憶している。また、保管スペースＤには、シート状媒体２を決済月毎に保管するためのホルダボックス８が配置されている。さらに、上位機器３は、決済月に対応するホルダボックス８が保管スペースＤのどの位置に配置されているかを把握している。従って、上位機器３は、仕訳指令として、仕訳対象のシート状媒体２が収容されているホルダボックス８の移動元位置と仕訳対象のシート状媒体２の配列順を指定するとともに、対象の決済月のシート状媒体２を収容する仕訳用のホルダボックス８の移動元位置を指定して、仕訳対象のシート状媒体２を仕訳用のホルダボックス８に収容する。ここで、仕訳指令は、シート状媒体２の受付を行うことがない夜間などの時間帯に、上位機器３から媒体処理装置１に入力される。

【0056】

例えば、保管スペースＤの第１位置に配置されたホルダボックス８内の配列順のｎ番目のシート状媒体２の決済月が４月であり、このシート状媒体２を保管スペースＤの第２位
置に配置されたホルダボックス８に移動させる旨の仕訳指令が上位機器３から媒体処理装置１に入力されると、仕訳制御部４５は、保管スペースＤの第１位置に配置されたホルダボックス８を分離位置Ｂに移動させるとともに、保管スペースＤの所定の位置に配置され仕訳対象の決済月のホルダボックス８を振分け位置Ｃに移動させる。そして、仕訳制御部４５は、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から媒体受渡部９にシート状媒体２を移動させた後に当該シート状媒体２を当該媒体受渡部９から当該ホルダボックス８に収容する媒体送り動作をｎ-１回行う。そして、仕訳制御部４５は、ｎ－１回の媒体送り動作が終了すると、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から媒体受渡部９にシート状媒体２を移動させ、その後に、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に収容する。そして、仕訳制御部４５は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８を保管スペースＤの移動元位置に戻す。また、振分け位置Ｃに配置されたホルダボックス８を保管スペースＤの移動元位置に戻す。或いは、振分け位置Ｃに配置されたホルダボックス８が満杯になった場合には、当該ホルダボックス８を振分け位置Ｃから保管棚Ｅに移動させる。

【0057】

（シート状媒体の受付、シート状媒体の振分け、シート状媒体の排出の動作例）
図７は供給部６にセットされたシート状媒体２を受け付ける動作のフローチャートである。図８は決済不能なシート状媒体２を振分ける動作のフローチャートである。

【0058】

図７に示すように、媒体処理装置１は、センサ２３によって複数枚のシート状媒体２が供給部６にセットされたことが検出すると（ステップＳＴ１）、供給部６にセットされたシート状媒体２が無くなるまで（ステップＳＴ２）、シート状媒体２を搬送路１６に沿って一枚ずつ搬送して、受渡部２５に到達させる（ステップＳＴ３）。また、媒体処理装置１は、各シート状媒体２が搬送路１６を搬送される際に、シート状媒体２の表面画像、裏面画像、および磁気情報を取得する（ステップＳＴ４）。さらに、媒体処理装置１は、取得したシート状媒体２の表面画像、裏面画像、および磁気情報を、上位機器３に送信する（ステップＳＴ５）

【0059】

また、媒体処理装置１は、表面画像、裏面画像、および磁気情報が取得されたシート状媒体２が受渡部２５に到達する毎に、当該シート状媒体２を受付位置Ａにあるホルダボックス８に収容する（ステップＳＴ６）。そして、媒体処理装置１は、受付位置Ａにシート状媒体が存在する限り、ステップＳＴ１からステップＳＴ６を繰り返す。これにより、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２は、それらの全ての表面画像、裏面画像、および磁気情報が読み取られた後に、一旦、ホルダボックス８に収容される。

【0060】

さらに、媒体処理装置１は、供給部６にセットされた全てのシート状媒体２が受付位置Ａにあるホルダボックス８に収容されると、受付位置Ａにあるホルダボックス８を分離位置Ｂに移動させる（ステップＳＴ7）。また、媒体処理装置１は、保管スペースＤにある空のホルダボックス８を、受付位置Ａに配置する（ステップＳＴ８）。

【0061】

一方、上位機器３は、媒体処理装置１から表面画像、裏面画像、および磁気情報を取得すると（ステップＳＴ９）、表面画像、裏面画像および磁気情報が取得された順番で付与された処理番号と、表面画像、裏面画像、および磁気情報と、を関連付けた形態で記憶する（ステップＳＴ１０）。これにより、上位機器３は、特定の処理番号のシート状媒体２が、ホルダボックス８内において、配列方向の先頭から何番目に位置するかを把握する。また、上位機器３は、表面画像、裏面画像、および磁気情報に基づいて、各シート状媒体２による決済が可能か否かを判断する（ステップＳＴ１１）

【0062】

ここで、表面画像、裏面画像および磁気情報を受信した上位機器３が、特定のシート状媒体２を他のシート状媒体２から分別する必要があると判断した場合には、図８に示すよ
うに、上位機器３から、分離位置Ｂにあるホルダボックス８の先頭からｎ番目のシート状媒体２を振分ける旨の振分け指令が入力される（ステップＳＴ１１）。媒体処理装置１に振分け指令が入力されると（ステップＳＴ１２）、媒体処理装置１は、分離位置Ｂにあるホルダボックス８と媒体受渡部９との間でシート状媒体２を行き来させる媒体送り動作をｎ-１回繰り返し（ステップＳＴ１３、ステップＳＴ１４、ステップＳＴ１５）、その後に、ホルダボックス８内で配列順の先頭に位置するシート状媒体２を、媒体受渡部９に移動させて（ステップＳＴ１６）、媒体受渡部９から振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に送り込む（ステップＳＴ１７）。また、媒体処理装置１は、媒体受渡部９から振分け位置Ｃにシート状媒体２を移動させる際に、当該シート状媒体２の磁気情報を取得して、上位機器３に送信する。

【0063】

その後、媒体処理装置１は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内の全てのシート状媒体２を対象とした振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を上位機器３から受けると、振分け終了情報の直前の振分け指令に対する振分け動作が終了した後に分離位置Ｂにあるホルダボックス８を保管スペースＤに移動させる。

【0064】

また、媒体処理装置１は、振分け終了情報を上位機器３から受けると、振分け終了情報の直前の振分け指令に対応する振分け動作が終了したときに受付動作が行われていない場合には、受付位置Ａにあるホルダボックス８を保管スペースＤに退避させた後に、振分け位置Ｃにあるホルダボックス８を受付位置Ａに移動させる入替動作を行う（ステップＳＴ１８）。その後、媒体処理装置１は、受付位置Ａに移動したホルダボックス８内にあるシート状媒体２を受付位置Ａに移動させ、シート状媒体２が受渡部２５に配置される毎に当該シート状媒体２を供給部６に排出する排出動作を行う。これにより、媒体処理装置は、受付位置Ａに移動したホルダボックス８内にあるシート状媒体２の全てを、供給部６に排出する（ステップＳＴ１９）。

【0065】

なお、媒体処理装置１は、振分け終了情報の直前の振分け指令に対応する振分け動作が終了したときに受付動作が行われている場合には、受付動作が終了するのを待つ。そして、受付動作が終了した後に、媒体処理装置１は、上位機器３からのホルダボックス移動指令によって受付位置Ａにあるホルダボックス８が分離位置Ｂ、保管スペースＤ、或いは保管棚Ｅに移動させる。その後、媒体処理装置１は、振分け位置Ｃにあるホルダボックス８を受付位置Ａに移動させ、しかる後に、受付位置Ａに移動させたホルダボックス８からシート状媒体２を排出する排出動作を行う。

【0066】

本例によれば、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２は、チェックリーダ７の搬送路２４に沿って搬送されて表面画像、裏面画像、および磁気情報が読み取られ、チェックリーダ７の受渡部２５から受付位置Ａにあるホルダボックス８に搬送される。これにより、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２は、それらの全のシート状媒体２について表面画像および磁気情報が連続的に読み取られる。また、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２の全てが受付位置Ａにあるホルダボックス８に収容されると、ホルダボックス８は受付位置Ａから分離位置Ｂに移動させられ、受付位置Ａには新たに空のホルダボックス８が配置される。従って、最初に供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２のそれぞれから表面画像および磁気情報を連続的に読み取った後に、新たに供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２についても、各シート状媒体２の表面画像および磁気情報を連続的に読み取って次のホルダボックス８に収容できる。

【0067】

また、ｎ番目のシート状媒体２を排出する排出指令を受けた媒体処理装置１は、受付位置Ａから分離位置Ｂに移動させられているホルダボックス８と媒体受渡部９との間でシート状媒体２を行き来させる媒体送り動作をｎ-１回繰り返し、次に、ホルダボックス８内で配列順の先頭に位置するシート状媒体２を媒体受渡部９に移動させ、その後に、媒体受
渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃにある第２のホルダボックス８に収容する振分け動作を行う。これにより、媒体処理装置１は、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、および媒体受渡部９を利用して、特定のシート状媒体２を振分け位置Ｃにあるホルダボックス８に振分ける。言い換えれば、媒体処理装置１は、チェックリーダ７の搬送路２４および受渡部２５、並びに受付位置Ａを利用せずに、特定のシート状媒体２を振分ける。従って、媒体処理装置１では、供給部６にセットされた全てのシート状媒体２を搬送路２４に沿って搬送して表面画像および磁気情報を取得する受付処理と、シート状媒体２を分別する分別処理とを並行して行うことができる。よって、媒体処理装置１は、上位機器３からの指令を待ってシート状媒体２を振分ける場合でも、供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２から表面画像、裏面画像および磁気情報を読み取る処理を連続的に行うことができる。

【0068】

さらに、本例では、媒体処理装置１は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内の全てのシート状媒体２を対象とした振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を受けると、振分け終了情報の直前の振分け指令に対する振分け動作が終了した後に分離位置Ｂにあるホルダボックス８を保管スペースＤに移動させる。これにより、分離位置Ｂを空にすることができるので、媒体送り動作および振分け動作を行っている間に新たに供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２が受付位置Ａに配置されたホルダボックス８に収容されている場合には、このホルダボックス８を受付位置Ａから分離位置Ｂに移動させることができる。よって、受付位置Ａに、新たなホルダボックス８を配置して、更に、新たに供給部６にセットされた複数枚のシート状媒体２を受け付けることができる。

【0069】

また、本例では、排出制御部４４は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８内の全てのシート状媒体２を対象とした振分け指令の入力が終了した旨の振分け終了情報を外部の機器から受けると、振分け終了情報の直前の振分け指令に対応する振分け動作が終了したときに受付動作が行われていない場合には、受付位置Ａにあるホルダボックス８を保管スペースＤに移動させた後に振分け位置Ｃにあるホルダボックス８を受付位置Ａに移動させる入替動作を行い、その後に、受付位置Ａにあるホルダボックス８から供給部６にシート状媒体２を排出する排出動作を行う。従って、振分け位置Ｃのホルダボックス８に振分けられた複数枚のシート状媒体２を、連続して、供給部６に排出できる。

【0070】

また、本例では、媒体処理装置１は、媒体受渡部９から振分け位置Ｃに移動するシート状媒体２の磁気情報を取得して、上位機器３に送信する。従って、上位機器３では、磁気情報に基づいて、排出されたシート状媒体２を特定できる。

【0071】

（シート状媒体の仕訳の動作例）
図９は、シート状媒体を仕訳する動作の説明図である。夜間などシート状媒体２の受付が行われていない時間帯になると、上位機器３から媒体処理装置１に、仕訳指令が入力される（ステップＳＴ２１）。仕訳指令は、例えば、保管スペースＤの第１位置に配置されたホルダボックス８内の配列順のｎ番目のシート状媒体２を保管スペースＤの第２位置に配置されたホルダボックス８に移動させるものである。

【0072】

仕訳指令が媒体処理装置１に入力されると（ステップＳＴ２２）、媒体処理装置１は、保管スペースＤの特定の位置に配置されたホルダボックス８を分離位置Ｂに移動させるとともに、保管スペースＤの特定の位置に配置されたホルダボックス８を振分け位置Ｃに移動させる（ステップＳＴ２３）。そして、媒体処理装置１は、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から媒体受渡部９にシート状媒体２を移動させた後に当該シート状媒体２を媒体受渡部９からホルダボックス８に収容する媒体送り動作をｎ-１回行う（ステップＳＴ２４、ステップＳＴ２５、ステップＳＴ２６）。その後に、媒体処理装置１は、分離位置Ｂにあるホルダボックス８から媒体受渡部９にシート状媒体２を移動させ（ステップＳＴ２
７）、しかる後に、媒体受渡部９にあるシート状媒体２を振分け位置Ｃに移動させたホルダボックス８に収容する（ステップＳＴ２８）。

【0073】

その後、媒体処理装置１は、分離位置Ｂに配置されたホルダボックス８を移動元位置に戻す。また、振分け位置Ｃに配置されたホルダボックス８を移動元位置に戻す。或いは、振分け位置Ｃに配置されたホルダボックス８が満杯になった場合には、当該ホルダボックス８を保管棚Ｅに移動させる。

【0074】

本例では、特定のシート状媒体２をホルダボックス８から他のホルダボックス８に仕分ける際に、シート状媒体２を分岐路を備える搬送路に沿ってシート状媒体２を搬送する必要はなく、搬送路を搬送されるシート状媒体２を分岐路に導く必要もない。よって、シート状媒体２が搬送中にジャミング状態に陥ることを防止あるいは抑制できる。また、振分けられたシート状媒体２は、ホルダボックス８ごと、保管スペースＤまたは保管棚Ｅに搬送される。よって、振分けられたシート状媒体２を保管スペースＤまたは保管棚Ｅに保管する際に、シート状媒体２がジャミング状態に陥ることがない。

【0075】

ここで、本例では、搬送路２４は、供給部６と受渡部２５との間を直線状に延びる。また、受付位置Ａは、受渡部２５のＸ２方向に設定されており、Ｘ方向から見た場合に受渡部２５と重なる。従って、シート状媒体２は、供給部６から、受渡部２５を介して、受付位置Ａに至るまで、直線的に搬送される。よって、移動する経路が湾曲している場合などと比較して、シート状媒体２にジャミングが発生することを防止或いは抑制しやすい。また、分離位置Ｂは、媒体受渡部９のＸ２方向に設定されており、Ｘ方向から見た場合に媒体受渡部９と重なる。従って、媒体送り動作が行われる際に、シート状媒体２は直線的に搬送される。よって、媒体送り動作に際して、シート状媒体２にジャミングが発生することを防止或いは抑制しやすい。

【0076】

また、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、および保管スペースＤは、Ｙ方向に並んでおり、Ｙ方から見た場合に重なる。従って、受付位置Ａ、分離位置Ｂ、振分け位置Ｃ、および保管スペースＤの間でホルダボックスを移動させるホルダボックス移動機構２０を設けることが容易となる。

【0077】

（変形例）
本例において、分離位置Ｂ、媒体受渡部９、および振分け位置Ｃ、分離位置媒体取出し機構１５、分離位置媒体収容機構１６、振分け位置媒体収容機構１７からなる振分け機構を、複数、備えてよい。この場合には、複数の振分け機構を用いて、シート状媒体２の振分けおよび分別を並行して行うことができる。また、複数の振分け機構を用いて、シート状媒体２に対する複数の仕訳を並行して行うことができる。

【符号の説明】

【0078】

１…媒体処理装置、２…シート状媒体、３…上位機器(外部の機器）、５…正面パネル、６…供給部、７…チェックリーダ、８…ホルダボックス、８ａ…底板、８ｂ…第１側板、８ｃ…第２側板、８ｄ…第３側板、８ｅ…切欠き部、９…媒体受渡部、９ａ…第２駆動源、９ｂ…搬送ローラ、１０…磁気情報読取部、１１…印刷部、１３…受付位置媒体収容機構、１３ａ…第２駆動源、１３ｂ…複数の搬送ローラ、１４…受付位置媒体取出し機構、１４ａ…繰り出しローラ、１５…分離位置媒体取出し機構、１５ａ…第３駆動源、１５ｂ…繰り出しローラ、１５ｃ…搬送ローラ、１６…分離位置媒体収容機構、１７…振分け位置媒体収容機構、１７ａ…第４駆動源、１７ｂ…搬送ローラ、２０…ホルダボックス移動機構（第１ホルダボックス移動機構、第２ホルダボックス移動機構、第３ホルダボックス移動機構、第４ホルダボックス移動機構、第５ホルダボックス移動機構）、２２…チェックリーダ本体、２３…センサ、２４…搬送路、２５…受渡部、２７…搬送機構、２７ａ…
第１駆動源、２７ｂ…搬送ローラ、２９…画像読取部、３０…磁気情報読取部、３１…排出機構、３４…ホルダボックス保持部、３５…保持部移動機構、３５ａ…第５駆動源、３６…ガイド部、３７…ホルダボックス受入れ機構、３８…ホルダボックス受け渡し機構、４０…制御部、４１…受付制御部、４２…振分け制御部、４３…ホルダボックス移動制御部、４４…排出制御部、４５…仕訳制御部、Ｘ方向…搬送路の延設方向、Ｙ方向…幅方向、Ｚ方向…上下方向

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】