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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163748
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】エフィナコナゾールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
C07D401/06 CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068762
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000246398
【氏名又は名称】有機合成薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】武口 俊太
(72)【発明者】
【氏名】新屋 祥平
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB04
4C063CC41
4C063DD10
4C063EE01
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、4-MLPNのフリー体を使用して、エフィナコナゾール、その塩、及び/又は、それらの水和物を製造する方法において、従来よりも少ない使用量で、EPTAへの開環付加反応を行う方法を提供することである。
【解決手段】
本発明のエフィナコナゾール、その塩、及び/又は、それらの水和物を製造する方法は、(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシランとその1~2.5当量の4-メチレンピペリジンとを、溶媒中、ルイス酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする。
4-メチレンピペリジンは、4-メチレンピペリジン水系溶媒溶液、4-メチレンピペリジンNH保護体又は4-メチレンピペリジン酸付加塩を出発原料として得た、非水系有機溶媒に溶解した4-メチレンピペリジン有機溶媒溶液であって、さらに濃縮をすることなく当該有機溶媒溶液がそのまま用いられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシランとその1~2.5当量の4-メチレンピペリジンとを、溶媒中、ルイス酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール、その塩、及び/又は、それらの水和物の製造方法。
【請求項2】
4-メチレンピペリジンが、4-メチレンピペリジン水系溶媒溶液、4-メチレンピペリジンNH保護体又は4-メチレンピペリジン酸付加塩を出発原料として得た、非水系有機溶媒に溶解した4-メチレンピペリジン有機溶媒溶液であって、さらに濃縮をすることなく当該有機溶媒溶液がそのまま用いられることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
4-メチレンピペリジンNH保護体の保護基が、アミド系保護基であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
4-メチレンピペリジン酸付加塩の酸付加塩が、塩酸塩であることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシランとその1~2.5当量の4-メチレンピペリジンとを、溶媒中、ルイス酸触媒の存在下で反応させる工程、
前記工程において得られた(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オールと酸とを溶媒中で反応させる工程
を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
酸がトシル酸であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール・トシル酸塩1/3水和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2R,3R)-2-(2 , 4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1- イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール(一般名エフィナコナゾール)、その塩、及び/又は、それらの水和物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(2R,3R)-2-(2 , 4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1- イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール(一般名エフィナコナゾール、EFIN)は、以下の式で表される抗真菌活性を有するトリアゾール系化合物であり、外用爪白癬治療剤の有効成分として知られている。
【化1】
【0003】
エフィナコナゾールは、(2R,3S)-2-(2 , 4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシラン(EPTA)への4-メチレンピぺリジン(4-MLPN)又はその酸付加塩の開環付加反応を行うことにより合成される。
【0004】
4-メチレンピぺリジン(4-MLPN)の酸付加塩を使用する方法としては、例えば
特許文献1には、(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシランと4-メチレンピペリジン酸付加塩とを、反応溶媒中、リチウム、ナトリウム、カルシウムおよびストロンチウムからなる群から選択されるアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物またはその水和物の存在下、反応させることにより、(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オールまたはその酸付加塩を製造する方法が記載されている。
【0005】
また、4-メチレンピぺリジン(4-MLPN)のフリー体を使用する方法としては、 4-MLPN酸付加塩を塩基によりフリー化、抽出後、濃縮し EPTAと反応させる方法や、4-MLPNのフリー化、開環付加反応を同時に行う方法などがある。
たとえば、特許文献2には、4-MLPN・HClを50%KOH水溶液でフリー化し、フリー化した4-MLPNをジエチルエーテルで抽出して濃縮した後、EPTA、EtOH、水を加えて開環付加反応を行うことが記載されている。EPTAに対して4-MLPN・HClを10当量使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5852573号公報
【特許文献2】特許3437695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、エポキシドへのアミンの開環付加反応による、アミノアルコールの合成方法は大過剰のアミンが必要であった。EPTAへの4-MLPNの開環付加反応も、上記特許文献2(10当量使用)などに記載されているように、EPTAに対して約3当量以上の4-MLPNが使用されていた。
特許文献1では、大過剰の4-MLPNの使用を回避しているが、当該文献では、4-MLPNのフリー体ではなく塩付加塩を使用する方法であった。
そこで、本発明の課題は、4-MLPNのフリー体を使用して、エフィナコナゾール、その塩、及び/又は、それらの水和物を製造する方法において、従来よりも少ない使用量で、EPTAへの開環付加反応を行う方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題解決のため鋭意検討の結果、4-MLPN塩などの原料から得たフリー体の4-MLPNを含有する有機溶媒溶液を、さらに抽出するなどの濃縮操作をすることなく、そのまま使用することにより、少量の4-MLPNにより開環付加反応を行えることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
【0010】
(1)(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル) メチル] オキシランとその1~2.5当量の4-メチレンピペリジンとを、溶媒中、ルイス酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール、その塩、及び/又は、それらの水和物の製造方法。
(2)4-メチレンピペリジンが、4-メチレンピペリジン水系溶媒溶液、4-メチレンピペリジンNH保護体又は4-メチレンピペリジン酸付加塩を出発原料として得た、非水系有機溶媒に溶解した4-メチレンピペリジン有機溶媒溶液であって、さらに濃縮をすることなく当該有機溶媒溶液がそのまま用いられることを特徴とする、(1)に記載の製造方法。
(3)4-メチレンピペリジンNH保護体の保護基が、アミド系保護基であることを特徴とする、(2)に記載の製造方法。
(4)4-メチレンピペリジン酸付加塩の酸付加塩が、塩酸塩であることを特徴とする、(2)に記載の製造方法。
(5)(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H -1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシランとその1~2.5当量の4-メチレンピペリジンとを、溶媒中、ルイス酸触媒の存在下で反応させる工程、
前記工程において得られた(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オールと酸とを溶媒中で反応させる工程
を有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(6)酸がトシル酸であることを特徴とする、(5)に記載の製造方法。
(7)(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール・トシル酸塩1/3水和物。
【発明の効果】
【0011】
4-MLPNのアシル保護体や酸付加塩等の原料から中和、加水分解するなどして得たフリー体の4-MLPNを含有する有機溶媒溶液を、さらに抽出するなどの濃縮を行うことなく、そのまま使用することで、ルイス酸触媒存在下、EPTAへの4-MLPNの開環付加反応を効率的に進行させることができる。
濃縮を行わず反応効率も高いため、4-MLPNを大過剰使う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例5のエフィナコナゾールトシル酸塩1/3水和物のIRチャートを示す図である。
図2】比較例1のエフィナコナゾールトシル酸塩のIRチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(エフィナコナゾール(EFIN)の合成)
本発明において、EFINは以下の反応により作成される。
【化2】
【0014】
本発明は、(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシラン(EPTA)と4-メチレンピペリジン(4-MLPN)とを、溶媒中、ルイス酸触媒の存在下で開環付加反応させて、(2R,3R)-2-(2, 4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1- イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オール(一般名エフィナコナゾール、EFIN)を製造する方法に関する。
【0015】
4-MLPNは、EPTAに対して、1~2.5当量、好ましくは1.3~2.0当量使用する。
本発明において使用する反応溶媒の例としては、例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル等のエーテル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソロブ等のセロソルブ類等が挙げられる。低極性で沸点が80℃以上のもが好ましく、これらの溶媒は、1種または2種以上の混合物でもよい。
本発明において使用するルイス酸としては、特に制約はなく、通常の市販のものを使用することができる。ルイス酸としては、トリフルオロホウ素・エーテル錯体、トリフルオロホウ素・テトラヒドロフラン錯体、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、四塩化チタン、塩化亜鉛、塩化鉄、過塩素酸リチウム等が挙げられる。ルイス酸の量は、特に制限されるものではないが、EPTA1モルに対して、0.1~2モルが好ましい。
【0016】
反応は冷却下、室温または必要な場合は加熱下にて0℃~150℃で行われる。反応時
間は、反応温度、用いる溶媒等によって異なるが、通常、1~24時間である。また反応
はいかなる圧力下でも行いうるが、通常常圧で行われる。
反応で得られた化合物は、再結晶またはクロマトグラフィーなどの常法に従い精製して
も良い。
精製方法としては、たとえば、WO2017/114743に記載された方法を挙げることができる。
具体的には、上記方法により得たエフィナコナゾール(EFIN)を、エタノール、イソプロパノールなどの極性溶媒に溶解した後、トシル酸(p-トルエンスルホン酸)を添加し、加熱還流後、ろ過、洗浄および乾燥して、エフィナコナゾールトシル酸塩を得る。
次いで、エフィナコナゾールトシル酸塩を、エタノール、イソプロパノールなどの極性溶媒と水との混合溶媒に溶解して、不溶物をろ過して除去した後、水酸化ナトリウム溶液を添加してpHを調整後、水を添加し、乾燥する。必要に応じて、上記工程を繰り返した後、精製されたエフィナコナゾール(EFIN)を得ることができる。
【0017】
さらに、得られたエフィナコナゾール(EFIN)は、公知の方法により、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸または臭化水素酸などとの無機酸塩、フマル酸、マレイン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸またはトシル酸(p-トルエンスルホン酸)などとの有機酸塩とすることができる。
また、公知の方法により、エフィナコナゾール(EFIN)又はその塩の水和物とすることもできる。
【0018】
(エフィナコナゾールトシル酸塩1/3水和物)
特に、トシル酸を用いた精製過程で、20~50%含水イソプロパノールを溶媒として用いると、エフィナコナゾールトシル酸1/3水和物が単離できる。エフィナコナゾールトシル酸1/3水和物 は報告例がない結晶形態である。不純物が効率よく除去されている。なお、単にイソプロパノール溶媒から単離できるエフィナコナゾールトシル酸塩は水和物でない。
【0019】
(EPTA)
EPTAは、特開平2-191262号公報に記載の方法などの公知の方法により合成できる。たとえば、以下の反応式に示されるように、DOTAのOH基の一つをメシル化した後、塩基によりエポキシ化することにより得ることができる。
【化3】
【0020】
(4-メチレンピペリジン(4-MLPN)のフリー体)
4-メチレンピペリジン(4-MLPN)のフリー体は、4-メチレンピペリジン水系溶媒溶液、4-メチレンピペリジンNH保護体又は4-メチレンピペリジン酸付加塩を出発原料として得た、非水系有機溶媒に溶解した4-メチレンピペリジン有機溶媒溶液であって、その後、溶媒の減圧留去などにより濃縮をすることなく当該有機溶媒溶液がそのまま用いられる。
従来は、濃縮により、溶媒をできる限り留去させていたが、本発明では、有機溶媒溶液中の4-メチレンピペリジン(4-MLPN)の濃度は、濃縮していない限り特に制限はないが、好ましくは、10~50wt%である。
なお、当該4-MLPN原料からフリー体の製造時に、EPTAを添加しておいても良い。
【0021】
「4-メチレンピペリジンNH保護体」は、4-メチレンピペリジンのNH基を保護基により保護した化合物であり、保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、ピバロイルなどのアミド系保護基;t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、フェニルオキシカルボニルなどのカルバメート系保護基等が挙げられる。
「4-メチレンピペリジン酸付加塩」の酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、塩素酸、炭酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(トシル酸)等の有機酸等が挙げられる。
「水系溶媒」とは、水、又は水と非水系有機溶媒との混合溶媒など水を含有する溶媒である。
「非水系有機溶媒」とは、水と分液可能なすべての溶媒を意味する。
例えば、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソロブ等のセロソルブ類;セロソルブアセテート等のエーテルエステル類等が挙げられる。
【0022】
4-メチレンピペリジンNH保護体又は4-メチレンピペリジン酸付加塩を、水系溶媒中で、アルカリ金属の水酸化物(NaOH,KOH等)等と反応させて、4-メチレンピペリジンNH保護体の場合は加水分解させ、4-メチレンピペリジン酸付加塩の場合は中和して、フリー体の4-メチレンピペリジンを含む水系溶媒溶液を得ることができる。
中和は通常室温下で行うことができ、加水分解は、室温~水の沸点未満で行うことができる。
非水系有機溶媒は、アルカリ金属の水酸化物等と反応させる際に添加されていてもよいし、アルカリ金属の水酸化物等と反応させた後、添加してもよい。
反応後、非水系有機溶媒層を分液して、フリー体の4-メチレンピペリジンを含む有機溶媒溶液を得る。当該有機溶媒溶液は、有機溶媒を減圧留去するなどの濃縮をすることなく、そのままEPTAとの反応に使用する。
【実施例0023】
以下に、本発明の実施例を示す。本発明の技術的範囲は、これらの実施例に限定されない。
【0024】
(実施例1)4-MLPNの製造 (N-アセチル体を原料とする場合)
反応容器にN-アセチル-4-メチレンピぺリジン(ACMLPN)177g(1.27mol)及び15%NaOH水 800gを仕込んだ後、内温90±5℃で6時間撹拌した。
反応終了後、内温25±5℃まで冷却した。トルエン480gを加え、内温25±5℃で分液し、有機層を4-MLPN/トルエン溶液とした。
【0025】
(実施例2)4-MLPNの製造 (塩酸塩を原料とする場合)
反応容器に4-メチレンピぺリジン塩酸塩(4-MLPN・HCl) 170g(1.27mol)、20%NaOH水480g、及びトルエン480gを仕込んだ後、内温25±5℃で30分間攪拌した。反応終了後、内温25±5℃で分液し、有機層を4-MLPN/トルエン溶液とした。
【0026】
(実施例3)EFIN・TsOHの製造
反応容器に、上記実施例1で得た4-MLPN/トルエン溶液全量、(2R,3S)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-メチル-2-[(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]オキシラン(EPTA)160g(0.637mol)、及びLiBr49.8g(0.573mol)を仕込んだ後、内温90±5℃で6時間撹拌した。
反応終了後、内温25±5℃まで冷却し、NHCl水480gを加え1回目の分液を行った。さらに、NHCl水480gを加え2回目の分液を行った。
次いで、有機層を内温70℃以下で減圧濃縮した後、濃縮残にイソプロパノール442gと常水38gを加え、濃縮残/含水イソプロパノール溶液を得た。
トシル酸水和物(TsOH・HO)121g(0.637mol)をイソプロパノール320gに溶解させた溶液に、内温25±5℃で濃縮残/含水イソプロパノール溶液を滴下し、イソプロパノール160gで洗浄した。結晶をろ過し、EFIN・TsOH湿結晶306gを得た。
【0027】
(実施例4)EFINの製造
反応容器に、EFIN・TsOH湿結晶250g、常水125g、NaOH19.2g(0.480mol)、イソプロパノール200g仕込み、溶解を確認した。常水175gを滴下し、結晶の析出を確認した後、さらに常水275gを滴下し、1時間撹拌した。結晶をろ過し、乾燥を行うことで、EFIN139gを得た(収率77% EPTA仕込み基準)。
【0028】
(実施例5) エフィナコナゾールトシル酸塩1/3水和物の製造
反応容器に、上記実施例3と同様の操作で得た濃縮残(EPTA5g仕込み)、イソプロパノール12gと常水3g、及びトシル酸水和物(TsOH・HO)3.79g(19.9mmol)を加えた。析出した結晶をろ過し、乾燥することで、エフィナコナゾールトシル酸塩1/3水和物5.84gを得た(収率56% EPTA仕込み基準、HPLC純度99.6%)。
生成物のカールフィッシャー法による含水率は、1.06%であった。また、IRによる測定結果を図1に示す。
【0029】
(比較例1) エフィナコナゾールトシル酸塩の製造
反応容器に、上記実施例3と同様の操作で得た濃縮残(EPTA5g仕込み)、イソプロパノール30g、及びトシル酸水和物(TsOH・HO)3.79g(19.9mmol)を加えた。析出した結晶をろ過し、乾燥することで、エフィナコナゾールトシル酸塩8.52gを得た(収率82% EPTA仕込み基準、HPLC純度98.1%)。
生成物のカールフィッシャー法による含水率は、0.19%であった。また、IRによる測定結果を図2に示す。

図1
図2