(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163751
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】単管パイプ用配線固定具
(51)【国際特許分類】
F16B 2/22 20060101AFI20221020BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20221020BHJP
F16L 3/23 20060101ALI20221020BHJP
F16L 3/24 20060101ALI20221020BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
F16B2/22 C
F16B7/04 302B
F16L3/23
F16L3/24 C
H02G1/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068767
(22)【出願日】2021-04-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】515160415
【氏名又は名称】株式会社Asazumaコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】朝妻 亮
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
3J039
5G352
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AA04
3H023AD02
3J022DA11
3J022EA32
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED23
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB08
3J022FB12
3J022HB02
3J022HB06
3J039AA04
3J039BB01
3J039FA01
3J039FA05
5G352CH03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源コードや散水ホース等を単管パイプに固定する作業が煩雑であったことに鑑み、単管パイプで組んだ足場等へ容易に設置できるとともに、低コストで作業負担を軽減でき、作業の安全性を高める固定具の技術を提供する。
【解決手段】一部に開口部を有するC字型の略円環形状に形成される単管パイプ用の配線固定具であって、略環状の円環部と、ガイド部からなり、前記円環部には外側に取手が形成され、内側には単管パイプを遊嵌するための遊嵌部を持つと共に、電源コードを挟持するための配線用窪みが少なくとも1以上設けられ、また、前記円環部には、分離した腕部の一方を前記ガイド部の一端側から挿通し、前記ガイド部は、前記単管パイプを前記遊嵌部に挿通し易くするために前記円環部の内側から外側方向に向かうに連れ徐々に広がるように前記開口部の両端部から突出した案内であり、内側は曲面を有して形成されていることを手段とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に開口部を有するC字型の略円環形状に形成される単管パイプ用の配線固定具であって、略環状の円環部(2)と、ガイド部(3)からなり、
前記円環部(2)には外側に取手(6)が形成され、内側には単管パイプ(10)を遊嵌するための遊嵌部(4)を持つと共に、電源コード(D)を挟持するための配線用窪み(20)が少なくとも1以上設けられ、
また、前記円環部(2)には、分離した腕部の一方を前記ガイド部(3)の一端側から挿通し、
前記ガイド部(3)は、前記単管パイプ(10)を前記遊嵌部(4)に挿通し易くするために前記円環部(2)の内側から外側方向に向かうに連れ徐々に広がるように前記開口部の両端部から突出した案内であり、内側は曲面を有して形成されていることを特徴とする単管パイプ用配線固定具(1)。
【請求項2】
前記取手(6)が散水ホース(H)を取り付け可能な略C字型形状であることを特徴とする請求項1に記載の単管パイプ用配線固定具(1)。
【請求項3】
大きさの異なる前記配線用窪み(20)が複数配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単管パイプ用配線固定具(1)。
【請求項4】
前記遊環部(4)が非正円の略楕円形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の単管パイプ用配線固定具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場での足場に、配線等を固定するための固定具に関し、詳しくは、建物構造物の建設工事や土木工事の作業現場などにおいて、コードリール等の電気コードの配線、或いは粉塵等の飛散防止のための散水に用いる水道ホースなどの配置に際し、単管パイプで組んだ足場等へ容易にこれらの可撓性を有する長尺物を自在に設置できるとともに、低コストで作業が容易、更には作業の安全性を高める固定具の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築現場や土木工事の現場においては、建設物の周囲を囲むように足場が組まれ、電動工具や照明を用いるために電源コードが簡易的な方法で固定されている現状がある。また、解体作業等において、誇りが発生しないように散水するための散水ホース等も足場等に配設される場合もある。係る現場では長尺なコードやホース等が足元にあると事故につながり危険である。そこで、係る安全性を確保すべく作業の邪魔にならないように結束バンドや針金、或いはフック等で固定されることが多い。しかし、針金や結束バンドでは設置が煩雑であり、使い捨てによる不経済な面もある。従って、電源コードや水道ホースなどを簡単に単管パイプ等へ固定でき、取り外しも容易で繰り返して利用できる固定具が求められている。また、足場には、資材などが落下、飛散しないようにシートで覆うことが一般によく行われるが、係るシートの設置は、所定の間隔で単管パイプに固定しなければならず、紐などで固定されるため、その作業も極めて煩雑である。
また、フックなどで単管パイプに引っ掛ける固定具もあるが、単に引っ掛けるだけであると、風などでシートが揺れた場合に、簡単にフックが外れることもある。
そのため、シートを単管パイプに容易に固定でき、且つ、シートの揺れなどでは、簡単にシートが外れない構造の固定具であることも同時に満たすものがより好適といえるが、その様な固定具は皆無である。
【0003】
上記のような問題に鑑みて、従来からも種々の技術が提案されている。養生シートと枠組足場に養生シートを張設する際に用いられる締結具(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、現場で生じる養生シートと枠組足場の銅管との距離の不揃いに対処できる構造であり、締結具本体を紐部材で構成し、この締結具本体の両端部にワンタッチで着脱自在の連結具を設けたものである。円形の締結具であるので、シートの揺れなどで、シートが外れることはない構造ではあるが、円の一部を分断し、シートの孔に通し、その後、単管パイプに通した後、円を閉じる作業が必要であることから、締結作業は煩雑であり、前記問題の解決には至っていない。
【0004】
また、高さの異なる緊結ホルダーに取り付けても常に同じ水平線上にフック部を配置させることができる防護シート用支持金具(特許文献2参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、水平方向の高さ位置の異なる第1及び第2の緊結ホルダーからなる緊結ポジションを有する支柱の当該緊結ホルダーに装着する防護シート用支持金具において、第1の緊結ホルダーに同支持金具の金具本体を嵌挿させた場合には下側の第1のフック部に防護シート側の鳩目を挿通させる。一方、第2の緊結ホルダーに金具本体を嵌挿させた場合には回動プレートを上下反転させて上側の第2のフック部を下側に移動させて防護シート側の鳩目を挿通させる構造である。シートを取り付けるフックの位置を常に一定の高さにすることが出来るので、シート固定作業を円滑に行うことができる。しかしながら、フックは、単なる円弧状であり、シートが風などで揺れた際に外れることを防止できない。そのため、前記問題の解決には至っていない。
【0005】
また、楔係止のための係止孔や係止用ポケット部を利用してフック部を有する係止具も、クランプのような締付抱持作業を一切要せず、足場構築のための楔と同様に既存の係止孔やポケット部に上方から挿入係止することでフック部を仮設足場に設けることができることとなる画期的な仮設足場用係止具(特許文献3参照)が提案され、公知技術となっている。より詳しくは、「仮設足場に垂下張設する防護シート若しくは防護ネット又は落下防止シート若しくは落下防止ネットを引っ掛け係止するフック部を設けた基体に、仮設足場の支柱に交差配設する仮設パイプに設けた楔を挿入係止する前記支柱の周囲に設けた係止孔又は係止用ポケット部に挿入係止する係止固定部を設けた仮設足場用係止具」というものである。しかしながら、係る技術は、シート固定具を容易にパイプに固定できる構造であるものの、通常のフック構造であることから、シートが風などで揺れた際に外れることを防止できず、また、電源コード等の保持にも対応していない。そのため、前記問題の解決には至ってはいない。
【0006】
本発明者はそれらの問題を解決しようと、すでに円弧状の「足場シート固定具」を発明し、特許を取得している(特許文献4参照)。係る技術は「シートをパイプに容易に固定でき、且つ、シートの揺れなどでは、簡単にシートが外れない構造の足場シート固定具。」を課題とし、具体的な解決手段として「一部に開口部を有する欠けた円環状である円環部とガイド部からなり、該円環部は内側にパイプを遊嵌する遊嵌部を持ち、該円環部の欠けた両端部に、パイプを該遊嵌部に挿入するためのガイド部を持ち、該ガイド部は、円環部の外側方向に突出し、該ガイド部の互いに対向する面が、該円環部の内側から外側方向に徐々に広がる曲面であり、該円環部は、シートの一部を前記円環部の小円に挿通し保持するシート保持部を持つ構造。」というものである。しかし、係る足場シート固定具は電源コートや散水ホースなどの設置まで適しているとはいえず、課題を残していたといえるものであった。本願発明者は残された係る課題を解決すべく「単管パイプ用配線固定具」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-189883
【特許文献2】特開2008-261127
【特許文献3】特開2002-70316
【特許文献4】特開2017-002603
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来、電源コードや散水ホース等を単管パイプに固定する作業が煩雑であったことに鑑み、即ち、建物構造物の解体工事の際などにおいて、コードリール等の電源コードの配置や、粉じん等の飛散防止のための散水に用いるホースなどの配置に際し、単管パイプで組んだ足場等へ容易に設置できるとともに、低コストで作業負担を軽減でき、更には作業の安全性を高める固定具の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る単管パイプ用配線固定具は、一部に開口部を有するC字型の略円環形状に形成される単管パイプ用の配線固定具であって、略環状の円環部と、ガイド部からなり、前記円環部には外側に取手が形成され、内側には単管パイプを遊嵌するための遊嵌部を持つと共に、電源コードを挟持するための配線用窪みが少なくとも1以上設けられ、また、前記円環部には、分離した腕部の一方を前記ガイド部の一端側から挿通し、前記ガイド部は、前記単管パイプを前記遊嵌部に挿通し易くするために前記円環部の内側から外側方向に向かうに連れ徐々に広がるように前記開口部の両端部から突出した案内であり、内側は曲面を有して形成されていることを手段とする。
【0010】
また、本発明は、前記取手が水道用ホースを取り付け可能な略C字型形状である構成を採用することもできる。
【0011】
また、本発明は、大きさの異なる前記配線用窪みが複数配置されている構成を採用することもできる。
【0012】
また、本発明は、前記遊環部が非正円の略楕円形状である構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る単管パイプ用配線固定具によれば、電源コードや散水ホース或いはエアーホース等を単管パイプに容易に固定でき、且つ、作業現場の足下を綺麗に整理できると供にシートの揺れなどでは簡単には外れないことから、建築現場等での安全性を確保しつつ、作業効率を向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【0014】
また、本発明に係る単管パイプ用配線固定具によれば、繰り返して利用でき、また安価に製造できることから、低コスト化が図れるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る単管パイプ用配線固定具の基本構成を説明する基本構成説明図である。
【
図2】本発明に係る単管パイプ用配線固定具の使用状態を説明する使用状態説明図である。
【
図3】本発明に係る単管パイプ用配線固定具の別の実施例の構成を説明する実施例構成説明図である。
【
図4】本発明に係る単管パイプ用配線固定具を実施した実施状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る単管パイプ用配線固定具は、単管パイプへ電源コードや散水ホースなどを固定し配置するための固定具であって、従来の固定具の問題点である取付け作業の煩雑さを解消できることを最大の特徴とする。以下、実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本実施例で示される単管パイプ用配線固定具の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で変更することができるものである。
【0017】
図1は、本発明に係る単管パイプ用配線固定具1の基本構成を示す基本構成説明図であり、
図1(a)は平面図、
図1(b)は斜視図である。また、
図2は、本発明に係る単管パイプ用配線固定具1へ電源コードDを単管パイプ10との関係により嵌め込まれ、更に取手6のホース保持部7へ散水ホースHが取り付けられている状態を説明する状態説明図であり、
図2(a)は平面図、
図2(b)は斜視図である。
【0018】
単管パイプ用配線固定具1は、円環部2とガイド部3とから構成されている。単管パイプ用配線固定具1は、概ね、円環状であり、その一部が欠落しており、アルファベットのCの字に近い形状である。建築現場等の足場構造において単管パイプ10へ電源コードD等やシート12を固定する固定具である。全体が一体成型であり、樹脂で成形されるものであって弾力を持ち、ある程度の変形に対して形状復帰が可能である。材質は、プラスチックなどの均一な材質でもいいし、芯材として、金属を埋め込む構成でもよい。芯材を用いることで、より強度を高めることができる。大きさは、足場用の単管パイプ10を単管パイプ用配線固定具1の内側に遊嵌できる程度の大きさである。足場用の単管パイプ10は径48.6mm程度のものが一般的であるので、それよりも円環部2の内径が若干大きく、円環部2の厚さは7mm程度である。
【0019】
円環部2は、単管パイプ用配線固定具1のほとんどの部分を占めるものであり、円環状であり、その一部が欠落しており、アルファベットのCの字に近い形状である。円環部2の内側である遊嵌部4によって、単管パイプ10を緩やかに嵌める。また、取手6を外側に配置している。取手6は、単管パイプ用配線固定具1を単管パイプ10に嵌める際や、単管パイプ10から外す際に用いることもある。また、シート12の移動を規制する機能も持つ場合もある。円環部2の開口端部の両方には、ガイド部3が配置されている。
【0020】
ガイド部3は、単管パイプ用配線固定具1を単管パイプ10に嵌める際に、スムーズに作業が完了するための構造である。ガイド部3は、円環部2の開口端部にあり、円環部2の外側方向に突出しており、ガイド部3の互いに対向する面が、円環部2の内側から外側方向に徐々に広がる曲面であるガイド面301を形成している。このガイド面301を持つことによって、単管パイプ用配線固定具1を単管パイプ10に押し付けるのみで、円環部2の端部が開き、容易に単管パイプ10を円環部2の内側へ導き、遊嵌部4によって遊嵌することが出来る。
【0021】
遊嵌部4は、円環部2の内側であって、単管パイプ10に対して隙間を持って挿通される穴部である。一般的な単管パイプは直径が48.6mmであるので、遊嵌部4の直径は、係る単管パイプ10の直径よりも少し大き目となり、例えば直径50mm前後が好ましい。なお、遊嵌部4の形状は、電源コードD等の配線が単管パイプ10により挟持されることを考えると、ガイド部3から円環部2の穴の中心に向かう方向を長軸とし、これに直交する方向を短軸とする楕円形とすることが好適である。
【0022】
シート保持部5は、図面には示していないが、円環部2が分離した腕部の一方のガイド部3の一端側からシートガイド部14を挿通し、作業用のシート12を保持する部分である。
【0023】
取手6は、本発明に係る単管パイプ用配線固定具1を単管パイプ10へ遊嵌させる作業の際、手際よくできるように指先で掴みやすい突起を円環部2の外側に設けたものであり、係る突起の外径形状を略C字型とすることで、散水等のための散水ホースHをクランプできるホース保持部7となる。
【0024】
ホース保持部7は、散水等のためのホースを保持するために取手6に設けられるものであって、使用されるホースがフォーランホース又は内径15mmの普通の太さの場合は略外径が20mmであり、内径18mmの太いホースの場合でも略外径は25mmとなるため、ホース保持部7の内径は22mmとすると好適である。なお、係る寸法に限定されるものではなく、使用したい散水ホースHに応じて適宜決定する。
【0025】
単管パイプ10は、主として直径が48.6mmのパイプ状の鋼管のことであり、1.8mmと2.4mmという厚さの違う種類があるが外径は共通する。建設現場での足場等に用いられ、直行型や自在型、或いは連型といった専用のクランプ金具により組み立てられる。
【0026】
シート12は、図面には示していないが、ポリエチレン製防水ラミネートシートなどの、所謂ブルーシートと呼ばれているもので、防塵対策などに用いられるものである。ポリエチレン系統の合成繊維を合成樹脂製フィルムで挟んだ構造をしており、引っ張りに強く裂け難い。ロール状になったシート12もあるが、汎用の製品では矩形が大半であって各辺が補強されており、更に製品によっては四隅等に金属(アルミニウム)製の補強が入ったシートリング11(鳩目)があけられているものも見られ、係るシートリング11に本発明に係るシートガイド部14を通して結わえ付ける。
【0027】
シートリング11は、図面には示していないが、所謂鳩目であり、シート12を単管パイプ10に備えるために、シートガイド部14を通して保持し、開口穴が破れない様に補強するものである。
【0028】
シートガイド部14は、分岐したガイド部3の一方がシートリング11や開口穴へ挿通しやすいように先細りに成形された部分である。また、シートガイド部14は断面を略円形とし、内側は円弧状のガイド面301が成形される。
【0029】
配線用窪み20は、電源コードD、エアーホースE、散水ホースHなどを単管パイプ10との間で挟持するために円環部2の内側に少なくとも1以上設けられる窪みである。
【0030】
電源コードDは、延長コードや、キャブタイヤケーブルを採用したコードリールなどの電源用のケーブル等である。足場を必要とする土木建築の作業現場において、照明や電動工具などの必要な電源を供給するための電線であり、足元に這わしておくと転倒やショートなどの原因となり危険である。なお、電源コードDには電力を送るものだけではなくLANや電話に用いられる通信ケーブル、光ファイバーなどのケーブルも含むものである。
【0031】
散水ホースHは、内径が7.5mm、9mm、12mm、15mm、18mm等と多様であり、これに対応して外径も多様なものが存在し、浄水場からのポンプ圧によって水道を伝わって送られる水を供給するためのホースである。
図2では内径15mm、外径20mmの一般的な太さの散水ホースHを用いる例を示しホース保持部7の内径を22mmとした実施例である。
【0032】
エアーホースEは、エアーコンプレッサーによって得られた圧縮空気を各種のエアーツールまで送るためのホースである。
【0033】
図2に、本発明に係る単管パイプ用配線固定具1が単管パイプ10を遊嵌し、電源コードD等を保持した状態の図を示す。単管パイプ用配線固定具1は、単管パイプ10を円環部2の遊嵌部4に遊嵌している。挟持していないので、円環部2の径と単管パイプ10の径は、厳密に合わせる必要は無い。単管パイプ10の径は、φ48.6mm、42mmのものが主流であるので、円環部2の内径は48.6mmよりも大きく、円環部2の欠け部分である開口部の寸法は42mm以下であることが望ましい。円環部2の下部分には、シート12がシートリング11経由で、円環部2の小円部分に挿通されている。シート12には孔があり、そこにハトメがある場合もあるし、この図のようにシートリング11を介して単管パイプ用配線固定具1に支持される場合もある。ハトメ自体を単管パイプ用配線固定具1に挿通してもよい。この構造によって、紐で結ぶことなく、シート12を単管パイプ10に固定することが出来る。
【0034】
次に、ガイド部3について説明する。単管パイプ10に単管パイプ用配線固定具1を押し付けると、ガイド部3のガイド面301が単管パイプ10に当接する。ガイド面301は、円環部2を開く方向に曲面が形成されているので、単管パイプ用配線固定具1のガイド部3により、円環部2の開口部が開き、単管パイプ10は、容易に円環部2の遊嵌部4に嵌ることが出来る。その際、取手6をもって、作業することによって、より容易に単管パイプ10を嵌めることができる。
【0035】
他の実施例について、
図3を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図3は、本発明に係る単管パイプ用配線固定具1の別の実施例の構成を説明する実施例構成説明図であり、
図3(a)は、電源コードD等の異なる太さに対応する配線用窪み20が設けられる構成を説明する平面図であり。
図3(b)は、電源コードD等の異なる太さに対応する配線用窪み20が設けられる構成を説明する斜視図である。
図3に示す実施例では配線用窪み20の大きさがそれぞれ異なり、係る配線用窪み20と単管パイプ10とで挟持される2点鎖線で示した電源コードDについても、電気抵抗が少なく許容電流が大きい太いものから汎用の平形電源ケーブル、更にこの中間的なサイズのエアーホースEの3種類を保持した状態を示している。
【0036】
図4は、本発明に係る単管パイプ用配線固定具1を実施した実施状態説明図である。
図4に示すように立設される単管パイプ10に本発明に係る単管パイプ用配線固定具1により電源コードDがきちんと整理された状態で配線され、またシート12が張設されている作業現場の状態を示している。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る単管パイプ用配線固定具は、足場の単管パイプへ電源コード、水道ホースエアーホースなどを容易に配置でき、安全性の向上にも資することから、特に土木・建設業においてその産業上の利用可能性は大きいと考えられる。
【符号の説明】
【0038】
1 単管パイプ用配線固定具
2 円環部
3 ガイド部
4 遊嵌部
5 シート保持部
6 取手
7 ホース保持部
10 単管パイプ
11 シートリング
12 シート
14 シートガイド部
20 配線用窪み
301 ガイド面
D 電源コード
H 散水ホース
E エアーホース
【手続補正書】
【提出日】2021-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に開口部を有するC字型の略円環形状に形成される単管パイプ用の配線固定具であって、略環状の円環部(2)と、ガイド部(3)からなり、
前記円環部(2)は、外側に取手(6)が形成され、内側には単管パイプ(10)を遊嵌するための遊嵌部(4)を持つと共に、電源コード(D)を挟持するための配線用窪み(20)が少なくとも1以上設けられ、
前記ガイド部(3)は、前記単管パイプ(10)を前記遊嵌部(4)に挿通し易くするために前記円環部(2)の内側から外側方向に向かうに連れ徐々に広がるように前記開口部の両端部から突出した案内であり、内側は曲面を有して形成されていることを特徴とする単管パイプ用配線固定具(1)。
【請求項2】
前記取手(6)が散水ホース(H)を取り付け可能な略C字型形状であることを特徴とする請求項1に記載の単管パイプ用配線固定具(1)。
【請求項3】
大きさの異なる前記配線用窪み(20)が複数配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単管パイプ用配線固定具(1)。
【請求項4】
前記遊嵌部(4)が非正円の略楕円形状であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の単管パイプ用配線固定具(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る単管パイプ用配線固定具は、一部に開口部を有するC字型の略円環形状に形成される単管パイプ用の配線固定具であって、略環状の円環部と、ガイド部からなり、前記円環部には外側に取手が形成され、内側には単管パイプを遊嵌するための遊嵌部を持つと共に、電源コードを挟持するための配線用窪みが少なくとも1以上設けられ、また、前記円環部には、分離した腕部の一方を前記ガイド部の一端側から挿通し、前記ガイド部は、前記単管パイプを前記遊嵌部に挿通し易くするために前記円環部の内側から外側方向に向かうに連れ徐々に広がるように前記開口部の両端部から突出した案内であり、内側は曲面を有して形成されていることを手段とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、本発明は、前記遊嵌部が非正円の略楕円形状である構成を採用することもできる。