IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 竹内 祐樹の特許一覧 ▶ 冨永 晃道の特許一覧 ▶ 村松 俊之の特許一覧

特開2022-163757定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム
<>
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図1
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図2
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図3
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図4
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図5
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図6
  • 特開-定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163757
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221020BHJP
【FI】
G06Q30/02 354
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068787
(22)【出願日】2021-04-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】517355051
【氏名又は名称】竹内 祐樹
(71)【出願人】
【識別番号】521162562
【氏名又は名称】冨永 晃道
(71)【出願人】
【識別番号】593017119
【氏名又は名称】村松 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100210804
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】冨永 晃道
(72)【発明者】
【氏名】村松 俊之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】本発明は、契約者に対してライフラインの契約期間の長期化を促すための技術的な解決手段を提供する。
【解決手段】
コンピュータシステムが実施する定期発生ポイントの循環管理方法であって、ポイント発生ステップ、およびポイント予備化ステップを備える。ポイント発生ステップは、ライフラインに対するユーザの定期的な支払いを情報取得した場合、支払いの額に応じた点数を有効な定期発生ポイントとして、発行日に関する日付情報と合わせて記録する。ポイント予備化ステップは、日付情報に基づいて有効期間を過ぎた定期発生ポイントを失効させる処理を行い、失効した定期発生ポイントに循環率を乗じた点数をユーザの予備ポイントとして累計する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムが実施する定期発生ポイントの循環管理方法であって、
ライフラインに対するユーザの定期的な支払いを情報取得した場合、前記支払いの額に応じた点数を有効な定期発生ポイントとして、発行日に関する日付情報と合わせて記録するポイント発生ステップと、
前記日付情報に基づいて有効期間を過ぎた前記定期発生ポイントを失効させる処理を行い、失効した前記定期発生ポイントの点数に循環率を乗じた点数を前記ユーザの予備ポイントとして累計するポイント予備化ステップと、
を備えることを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記ポイント予備化ステップは、前記予備ポイントの未使用残高が高くなるほど前記循環率を低く変化させることによって、前記未使用残高を予め定められた増加カーブ以下に制限する
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか一項記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記ユーザによる前記ライフラインの解約を情報取得した場合、前記ユーザが解約した前記ライフラインにおいて過去に付与された有効な前記定期発生ポイントの前記有効期間を短縮して失効させる処理と、前記ユーザが解約した前記ライフラインにおいて過去に累計された前記ユーザの前記予備ポイントを資格切れによって失効させる処理とを行う解約処理ステップを備える
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記予備ポイントからユーザ還元用の点数を提携業者に与える還元処理を行い、前記提携業者に対して「商品またはサービスを前記ユーザに還元する還元指示」を出力する処理を行うポイント還元ステップを備える
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項5】
請求項4記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記ポイント還元ステップは、
「前記予備ポイントの未使用残高が、予め定められた基準日に、予め定められた閾値を超える」旨の還元条件を満足するか否かを基準日の前に判定する還元判定ステップと、
前記還元条件を満足した場合、累計された前記予備ポイントからユーザ還元用の前記点数を前記提携業者に与える還元処理を前記基準日の前に行うことによって、前記予備ポイントの未使用残高が前記基準日に所定の限度を超えないようにする基準日前処理ステップとを含む
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項6】
コンピュータシステムに
請求項1~5のいずれか一項に記載の定期発生ポイントの循環管理方法を実行させる
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理プログラム。
【請求項7】
ライフラインに対するユーザの定期的な支払いを情報取得した場合、前記支払いの額に応じた点数を有効な定期発生ポイントとして、発行日に関する日付情報と合わせて記録するポイント発生部と、
前記日付情報に基づいて有効期間を過ぎた前記定期発生ポイントを失効させる処理を行い、失効した前記定期発生ポイントの点数に循環率を乗じた点数を前記ユーザの予備ポイントとして累計するポイント予備化部と、
を備えることを特徴とする定期発生ポイントの循環管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定期発生ポイントの循環管理方法、循環管理プログラム、および循環管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品やサービスの購入額に応じて購入者にポイント(点数)を付与するポイントサービスが知られている。購入者は、集めたポイントを新たな商品やサービスの購入額に充当することが可能になる。
【0003】
一方、電力、ガス、水道などのライフラインの利用料に対しては、ポイントは通常付与されない。従来は、ライフラインの契約者において利用料の支払いにカードを使用することによって、カード会社が付与するカードのポイントを集めることが行われていたのみである。
【0004】
また、特許文献1には、「電力会社によって付与されたポイントを、提携業者に対して使用する」旨のビジネスモデルが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-182607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ライフラインの契約自由化の動きに伴って、ライフラインの会社では、なるべく長期の契約件数を増やすことが喫緊の課題になっている。
【0007】
そこで、ライフラインの契約の長期化を契約者に促す目的で、契約者がライフラインに支払う利用料に対してポイントを付与するビジネスモデルを考える。
【0008】
この場合、次のような課題が新たに生じる。
【0009】
まず、契約者は、ライフラインの利用料を、定期的に(一例として毎月)支払う。その際に付与されるポイントも、定期的に発生する。
【0010】
ここで、ライフラインの定期的な支払いによって定期的に発生するポイント(点数)を、買い物や旅行などによって不定期(突発的)に付与される通常のポイントと区別するため、「定期発生ポイント」という。
【0011】
この定期発生ポイントの付与を開始した当初に限っては、定期発生ポイントの累計点数は月ごとに2倍、3倍と単調に増加する。
しかし、ポイントには有効期間(発行の日から使用できる期間)が定められる。
最初に付与された定期発生ポイントは、その有効期間が過ぎると、有効期間切れによって失効する。それ以降、毎月新たに発生する定期発生ポイントと、毎月失効する過去の定期発生ポイントとがプラスマイナスで拮抗するようになる。
【0012】
そのため、定期発生ポイントの累計点数が単調に増加するのは当初期間だけであって、最初の有効期間が一旦過ぎると、定期発生ポイントの累計点数は、拮抗するポイント点数の僅かな差分で毎月変動するだけになる。
【0013】
この場合、契約者にとっては、ライフラインの契約を長期化しても、定期発生ポイントの累計点数が大きく増加することは望めない。そのため、ライフラインの利用料に対して単純に定期発生ポイントを付与するビジネスモデルでは、契約者に対して契約期間の長期化を促すことができないという根本的な問題点が生じる。
【0014】
さらに、契約者にとっては、定期発生ポイントを毎月使用し続けなければ、失効する過去の定期発生ポイントの分だけ毎月損をする。したがって、ライフラインの利用料に対して単純に定期発生ポイントを付与するビジネスモデルでは、契約者は、ポイントを無駄にしないため、失効する前の定期発生ポイントを毎月忘れずに使用し続けなければならず、面倒で使い勝手が悪いポイントサービスになるという問題点が生じる。
【0015】
このような問題点を解消するため、定期発生ポイントの有効期間それ自体を長期化する方策が考えられる。この方策では、定期発生ポイントの累計点数が長期に渡って単調に増加するため、契約者に対して契約期間の長期化を促すことが可能になる。
しかしながら、有効期間を長期化する方策では、定期発生ポイントが長期に渡って累計されるため、定期発生ポイントの未使用残高が膨大になる。
【0016】
一般に、ポイントサービスの未使用残高の総額が所定の基準日ごとに一定額を超えると、ポイントサービスの終了時に引き当てるために供託金の義務が課せられる。
【0017】
例えば、2021年時点の日本国の「資金決済に関する法律(資金決済法)」および政令などによれば、有効期間が6ヶ月を超える前払支払手段について、所定の基準日(3月末日、9月末日)ごとの未使用残高がサービス全体で基準額1000万円を超えると、未使用残高の半額分を供託金として供託所などに納める供託義務が生じる。
【0018】
このような供託義務があるため、定期発生ポイントの有効期間を長期化して未使用残高が膨大になれば、ポイントサービスの運営に際して供託金の負担が大きくなるという問題点があった。
【0019】
ちなみに、特許文献1には、電力会社によって付与されるポイントを提携業者で使用するまでの言及はあるものの、上述した定期発生ポイントの問題点について開示がなく、それを解決するための技術的な手段について記載も示唆もない。
【0020】
そこで、本発明は、上述した課題の少なくとも一つを解決するために、契約者に対してライフラインの契約期間の長期化を促すための技術的な解決手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題の少なくとも一つを解決するために、本発明の代表的な一例は、コンピュータシステムが実施する定期発生ポイントの循環管理方法であって、ポイント発生ステップ、およびポイント予備化ステップを備える。
前記ポイント発生ステップは、ライフラインに対するユーザの定期的な支払いを情報取得した場合、前記支払いの額に応じた点数を有効な定期発生ポイントとして、発行日に関する日付情報と合わせて記録する。
前記ポイント予備化ステップは、前記日付情報に基づいて有効期間を過ぎた前記定期発生ポイントを失効させる処理を行い、失効した前記定期発生ポイントの点数に循環率を乗じた点数を前記ユーザの予備ポイントとして累計する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の定期発生ポイントの循環管理技術によれば、ライフラインの契約者に対して契約期間の長期化を促すことが可能になる。
【0023】
なお、上述した以外の課題、構成および効果の詳しい内容については、後述する実施形態において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、定期発生ポイントの循環管理システム100の構成を示すブロック図である。
図2図2は、データベースDのデータ構造の一例を示すブロック図である。
図3図3は、定期発生ポイントの循環管理方法を説明する流れ図(1/2)である。
図4図4は、定期発生ポイントの循環管理方法を説明する流れ図(2/2)である。
図5図5は、予備ポイント(循環率20%)の未使用残高の推移を示した数値表である。
図6図6は、予備ポイント(循環率120%)の未使用残高の推移を示した数値表である。
図7図7は、還元処理によって予備ポイント(循環率120%)の未使用残高を調整した場合の数値表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例0026】
<実施例1の構成>
図1は、定期発生ポイントの循環管理システム100の構成を示すブロック図である。
図1において、循環管理システム100は、ポイント発生部110、ポイント予備化部120、解約処理部130、ポイント還元部140、ポイント消費部150、立替部160、決済処理部170、およびデータベースDを備える。なお、ポイント還元部140は、還元判定部141、基準日前処理部142を含む。
【0027】
ポイント発生部110は、ライフライン(電力、ガス、水道など)の端末Lの群からユーザの定期的な支払いの情報を取得する。ここでのライフラインの端末Lは、例えば、電力、ガス、水道などの会社が使用するライフライン契約用や支払い管理用のコンピュータである。ポイント発生部110は、この定期的な支払いの額に応じた発生点数を有効な定期発生ポイントとして定期的に発生させる。ポイント発生部110は、この定期発生ポイントの発生点数を、発行日に関する日付情報などと共にデータベースDに記録する。
【0028】
ポイント予備化部120は、データベースDに記録された日付情報に基づいて、有効期間を過ぎた定期発生ポイントを失効させる処理をデータベースDに行う。ポイント予備化部120は、失効した定期発生ポイントに所定の循環率を乗じた点数を、ユーザの予備ポイントとして累計する処理をデータベースDに行う。
【0029】
解約処理部130は、ユーザによるライフラインの解約を、ライフラインの端末Lの群から情報取得する。解約処理部130は、この解約の情報取得に応じて、ユーザが解約したライフラインにおいて過去に付与された現在有効な定期発生ポイントの有効期間を短縮して失効させる処理と、ユーザの予備ポイントを資格切れによって失効させる処理とをデータベースDに対して行う。
【0030】
ポイント還元部140は、予備ポイントの累計点数に応じて、ユーザ還元用の点数を提携業者の端末Pに与える処理をデータベースDに行う。ここで、提携業者の端末Pは、例えば、提携業者のポイントシステム用のコンピュータや、POS(販売時点情報管理)システム用のコンピュータやレジ端末などである。ポイント還元部140は、ユーザ還元用の点数を与えた提携業者の端末Pに対して、「商品またはサービスをユーザに還元する還元指示」を出力する。
【0031】
還元判定部141は、「予備ポイントの未使用残高が、予め定められた基準日に、予め定められた閾値を超える」旨の還元条件を満足するか否かを基準日の前に判定する。
【0032】
基準日前処理部142は、還元判定部141において還元条件が満足すると、予備ポイントの累計点数からユーザ還元用の点数を提携業者の端末Pに与える処理を『基準日の前』にデータベースDに行う。この処理によって、基準日前処理部142は、予備ポイントの未使用残高が基準日に所定の限度を超えないよう自動的に調整する。
【0033】
ポイント消費部150は、提携業者の端末Pの群や、ユーザの端末Uの群からユーザのポイント使用を情報取得する。ここで、ユーザの端末Uは、例えば、ユーザが店頭や自宅でポイント充当に使用するカードやスマホや自宅コンピュータなどである。ポイント消費部150は、ユーザのポイント使用を情報取得すると、データベースDに記録された予備ポイントまたは定期発生ポイントをポイント使用に充当する。ポイント消費部150は、消費したポイントに応じた点数を、提携業者に与える処理をデータベースDに行う(または、点数に相当するポイントサービスの協力料を提携業者に支払う処理を行う)。
【0034】
立替部160は、ライフラインの端末Lの群からユーザの支払いの滞納状況を情報取得する。立替部160は、ユーザの滞納状況が一定限度を超えると、未払いの額に応じた点数を予備ポイントまたは定期発生ポイントからライフラインに環流させる環流処理をデータベースDに行う(または、先にライフラインから預かっていたポイントサービスの管理料の一部をライフラインに返還することでユーザに代わって未払い分を立て替える処理を行う)。
【0035】
決済処理部170は、ライフラインから提携業者へ移動するポイントの情報量に基づいて、ポイントサービスの管理料をライフラインの端末Lに請求し、ポイントサービスの協力料を提携業者の端末Pに支払う決済処理を行う。
【0036】
なお、このような定期発生ポイントの循環管理システム100は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータシステムとして構成してもよい。このハードウェアがコンピュータ可読媒体に記憶された「定期発生ポイントの循環管理プログラム」を実行することによって、上述した循環管理システム100の各部機能が実現する。その結果、コンピュータシステムは、後述する「定期発生ポイントの循環管理方法」の個々のステップ動作を実行する。
【0037】
このハードウェアの一部または全部については、専用の装置、機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。
【0038】
また、ハードウェアやプログラムの一部または全部をネットワーク上のサーバに集中または分散してクラウドシステムを構成することによって、ポイントサービスを実施する複数のクライアント端末に対して「定期発生ポイントの循環管理方法」のサービスをポイントサービスごとに提供してもよい。
【0039】
次に、データベースDのデータ構造について説明する。
【0040】
図2は、データベースDのデータ構造の一例を示すブロック図である。
図2において、データベースDは、ユーザテーブルT1、ライフラインテーブルT2、提携業者テーブルT3、定期発生ポイントテーブルT4、予備ポイントテーブルT5、ポイント消費テーブルT6、ポイント還元テーブルT7、およびバックアップ履歴T9を備える。
【0041】
ユーザテーブルT1は、ユーザに固有のユーザIDと、そのユーザに関するユーザ情報とを関連付けて保持する。
【0042】
ライフラインテーブルT2は、ライフラインに固有のライフラインIDと、そのライフラインに関するライフライン情報とを関連付けて保持する。
【0043】
提携業者テーブルT3は、提携業者に固有の提携業者IDと、その提携業者に関する提携業者情報とを関連付けて保持する。
【0044】
定期発生ポイントテーブルT4は、定期発生ポイントの発生点数と、発行日などの日付情報と、有効期間と、その定期発生ポイントの発生元を示すライフラインIDと、その定期発生ポイントの付与先を示すユーザIDとを関連付けて保持する。
【0045】
予備ポイントテーブルT5は、予備ポイントの点数と、その予備ポイントの発生元を示すライフラインIDと、その予備ポイントの付与先を示すユーザIDとを関連付けて保持する。
【0046】
ポイント消費テーブルT6は、ユーザのポイント使用によって提携業者に与える点数と、ポイントの使用者を示すユーザIDと、ポイントの使用先を示す提携業者IDとを関連付けて保持する。
【0047】
ポイント還元テーブルT7は、ユーザ還元用に提携業者に与える点数と、その点数を与える先を示す提携業者IDと、還元先を示すユーザIDとを関連付けて保持する。
【0048】
バックアップ履歴T9は、データベースDの変更(履歴情報)をメンテナンス用に保持することで、過去時点のデータベースDを復元可能にする。
【0049】
続いて、循環管理システム100の具体的動作として、定期発生ポイントの循環管理方法を説明する。
【0050】
<実施例1の動作>
図3および図4は、定期発生ポイントの循環管理方法を説明する流れ図である。
以下、図3および図4に示すステップ番号の順に説明する。
【0051】
ステップS01: ポイント発生部110は、ユーザが契約中のライフラインの端末Lから、ユーザの支払い情報を取得する。支払い情報によってユーザがライフラインへ今月分の支払いを行ったことを確認すると、ポイント発生部110はステップS02に動作を移行する。一方、今月分の支払いを確認できないユーザについては、ポイント発生部110はステップS03に動作を移行する。
【0052】
ステップS02: ポイント発生部110は、ユーザによる今月分の支払い額(自動引き落とし額など)に対して、予め定められたポイント発生率(例えば1~20%)を乗算し、必要であれば整数化して定期発生ポイントの発生点数を決定する。ポイント発生部110は、定期発生ポイントを発行した日付を発行日に設定する。さらに、ポイント発生部110は、定期発生ポイントの有効期間を例えば6ヶ月に初期設定する。
ここで初期設定される有効期間は、供託義務の発生しない有効期間の上限ないしはそれ以下に設定することが好ましい。例えば、2021年時点において日本国では、供託義務の発生しない有効期間の上限は6ヶ月である。
ポイント発生部110は、データベースD(定期発生ポイントテーブルT4)に対して、これらの情報を記録する。
【0053】
ステップS03: ポイント予備化部120は、データベースD(定期発生ポイントテーブルT4)を発行日と有効期間で検索し、有効期間の切れた定期発生ポイントを選別する。
【0054】
ステップS04: ポイント予備化部120は、有効期間切れの定期発生ポイントをデータベースD(定期発生ポイントテーブルT4)から抹消することによって失効させる。ポイント予備化部120は、データベースD(予備ポイントテーブルT5)をユーザIDとライフラインIDで検索し、失効した定期発生ポイントと同じユーザIDおよびライフラインIDを有する予備ポイントを選別する。この条件を満足する予備ポイントが存在しなければ、ポイント予備化部120は、条件を満足する予備ポイントをデータベースD(予備ポイントテーブルT5)に新たに作成して、選別された予備ポイントとする。
ポイント予備化部120は、失効させた定期発生ポイントの点数に循環率(例えば1%~300%)を乗算し、必要であれば整数化して、点数を求める。ポイント予備化部120は、求めた点数を先に選別された予備ポイントに累計加算する処理をデータベースD(予備ポイントテーブルT5)に行う。
ここでの予備ポイントは、ユーザがライフラインの契約を継続する限り使用できるポイントであり、ユーザがライフラインの契約を解約すると資格切れによって直ちに失効するポイントである。
ポイント予備化部120は、循環率を適応的に増減変化させることによって、予備ポイントの発生量をコントロールすることもできる。
例えば、ポイント予備化部120は、予備ポイントの全体ベース(または個人ベース)の未使用残高が高くなるほど循環率を段階的や曲線的に低く変化させることが好ましい。このようにして、予備ポイントの未使用残高を予め定められた所望の増加カーブ以下に制限する。(例えば、ポイント予備化部120は、未使用残高が増加カーブを超える危険域に入ると、循環率を所定比率だけ下げる。)
ここでの「増加カーブ」は、循環率の不適切な設定状態によって予備ポイントの未使用残高の上昇度合いが想定を超えないよう、上昇度合いの上限を判定(監視)する尺度として設定される経時変化の曲線である。
【0055】
ステップS05: 解約処理部130は、ユーザが契約中のライフラインの端末Lから、ユーザによるライフラインの契約情報を取得する。契約情報によってユーザがライフラインの契約を解約したことが確認された場合、解約処理部130はステップS06に動作を移行する。一方、ライフラインの契約を継続しているユーザについては、解約処理部130はステップS08に動作を移行する。
【0056】
ステップS06: 解約処理部130は、データベースD(定期発生ポイントテーブルT4)をユーザIDとライフラインIDで検索し、ユーザが解約したライフラインからユーザに過去に付与された有効な定期発生ポイントを選別する。解約処理部130は、選別した定期発生ポイントの有効期間を「本日から1ヶ月」に短縮し、有効期間1ヶ月を経過した日にデータベースD(定期発生ポイントテーブルT4)から抹消して失効させる。
【0057】
ステップS07: 解約処理部130は、データベースD(予備ポイントテーブルT5)をユーザIDとライフラインIDで検索し、ライフラインの契約が解約されたことによって資格切れになる予備ポイントを選別する。解約処理部130は、資格切れの予備ポイントをデータベースD(予備ポイントテーブルT5)から抹消して失効させる。
【0058】
ステップS08: 立替部160は、ユーザが契約中のライフラインの端末Lから、ユーザの支払い情報を取得する。支払い情報によってライフラインへのユーザ支払いが滞っていることを確認すると、立替部160はステップS09に動作を移行する。それ以外の場合、立替部160はステップS10に動作を移行する。
【0059】
ステップS09: 立替部160は、データベースD(予備ポイントテーブルT5)をユーザIDで検索することによって、支払いを滞納しているユーザが所有する予備ポイントを選別する。立替部160は、選別された予備ポイントから未払い分に相当する点数をライフラインの端末Lに環流させる環流処理を行う。この場合、延滞料を未払い分に割増加算して予備ポイントからライフラインの端末Lに環流させてもよい。なお、予備ポイントでは立て替えに不足する場合、立替部160は不足分をユーザの定期発生ポイントからライフラインの端末Lに環流させる処理を行ってもよい。それでも定期発生ポイントが立て替えに不足する場合、立替部160は立て替えできない不足分があることを、ライフラインの端末Lに通知することが好ましい。立替部160は、環流に使用したポイント分をデータベースD(定期発生ポイントテーブルT4、予備ポイントテーブルT5)から抹消して失効させる。
【0060】
ステップS10: ポイント消費部150は、提携業者の端末Pの群(またはユーザの端末Uの群)から、ユーザによるポイント使用を情報取得する。ユーザが提携業者にポイント使用したことが確認された場合、ポイント消費部150はステップS11に動作を移行する。それ以外の場合、ポイント消費部150はステップS12に動作を移行する。
【0061】
ステップS11: ポイント消費部150は、ユーザの定期発生ポイント(または予備ポイント)をポイント使用に充当して抹消し、充当した点数を提携業者の端末Pに与える処理をデータベースD(定期発生ポイントテーブルT4、予備ポイントテーブルT5、ポイント消費テーブルT6)に行う。
【0062】
ステップS12: 還元判定部141は、「予備ポイントの未使用残高が基準日(例えば3月末日と9月末日)に閾値を超える」旨の還元条件を満足するか否かを基準日の前に判定(予測)する。
ここでの基準日は、ポイントサービスを管轄する法令や行政などにおいて、供託義務の有無や供託金額を判断する基準日である。例えば、2021年時点の日本国では、3月末日と9月末日が基準日に設定される。
また、ここでの閾値は、ポイントサービスを管轄する法令や行政などにおいて、供託義務の有無や供託金額の決定に係わる閾値である。例えば、2021年時点の日本国では、有効期間6ヶ月を超える前払支払手段の未使用残高の総額が基準日に基準額1000万円を超えると、未使用残高の総額の半額分を供託金として供託所に供託する。そこで、循環管理システム100において供託義務を無くす場合は、前払支払手段における未使用残高の総額が基準額1000万円を超えるか否かを判定できるように、予備ポイントの未使用残高について全体ベース(または個人ベース)で閾値が定められる。また、ポイント運営会社において供託可能な上限金額が定まっている場合は、前払支払手段における未使用残高の総額が上限金額の2倍額を超えるか否かを判定できるように、予備ポイントの未使用残高について全体ベース(または個人ベース)で閾値が定められる。
還元条件を満足する場合、還元判定部141はステップS13に動作を移行する。それ以外の場合、還元判定部141はステップS01に動作を戻す。
【0063】
ステップS13: 基準日前処理部142は、基準日の前に、ユーザの予備ポイントからユーザ還元用の点数を提携業者の端末Pに与えて、ユーザ還元用の点数に相当するユーザの予備ポイントをデータベースD(予備ポイントテーブルT5)から抹消して失効させる還元処理を行う。
なお、ユーザが複数のライフラインと契約し、複数のライフラインに起因する予備ポイントをそれぞれ所有している場合、基準日前処理部142は、ライフライン別の予備ポイントの配分比に応じて、ユーザ還元用の点数をライフライン別に配分した点数をデータベースD(予備ポイントテーブルT5)から抹消して失効させる。
ここでのユーザ還元用の点数は、予備ポイントの未使用残高を基準日に「所定の限度」を超えないようにするために発生させる調整可能な点数である。一方、「所定の限度」は、基準日に残ってよい予備ポイントの未使用残高の総額を個人ベースに配分した点数である。
例えば、ユーザが現時点で所有する予備ポイントの未使用残高から限度を引き算した値をユーザ還元用の点数としてもよい。また、ユーザが現時点で所有する予備ポイントの未使用残高の全てをユーザ還元用の点数としてもよい。
【0064】
ステップS14: ポイント還元部140は、ユーザ還元用の点数を与えた提携業者の端末Pに対し、「商品またはサービスをユーザに還元する還元指示」を出力する処理を行う。
なお、ポイント還元部140は、ユーザの提携業者別のポイント使用頻度を集計して、ポイント使用頻度の比較的高い提携業者に還元指示を出すことが好ましい。
また、ポイント還元部140は、ユーザのアンケート調査やユーザ登録情報などの解析結果に基づいて、ユーザの年齢、趣味、地域性、または行動パターンなどの条件に適合した業種の提携業者に対して還元指示を出すことが好ましい。
さらに、ユーザに還元する商品やサービスとしては、例えば、コンサートのチケット、スポーツのチケット、催し物のチケット、保険サービス、ガソリン供給サービス、有料道路サービス、飛行機チケット、レンタルカーサービス、交通機関チケット、旅行チケット、福袋、季節カード、季節食品、有料放送の視聴サービス、宝くじなどが好ましい。
また、ポイント還元部140は、ユーザの端末Uから「還元される商品やサービスが不要である」旨の不要手続きを受信した場合、不要手続きを行った複数のユーザの間において商品やサービスを交換する交換サービスを提供することも好ましい。
【0065】
循環管理システム100は、上述したステップS01~S14の一連の処理を適時のタイミングで繰り返すことによって、定期発生ポイントの循環管理方法を実行する。
【0066】
<本実施例1の効果>
以下、本実施例1が奏する効果について説明する。
【0067】
(1)先行技術(特許文献1)で説明したように、ライフラインの利用料に対してポイントを単純に付与するだけでは、毎月失効するポイントのためにポイントの累計点数は大きく増加せず、ライフライン契約の長期化をユーザに促すことが難しい。
そこで、本実施例1は、有効期間切れによって失効する定期発生ポイントに代わって、失効点数に所定の「循環率」を乗じた点数を発生させ、ユーザの予備ポイントとして累計する。
これは、定期発生ポイントが毎月失効するポイント(言い換えれば、定期「失効」ポイント)であるという特異な特徴を活用した仕組みである。
すなわち、定期発生ポイントが毎月失効することによって、定期発生ポイントに代わって予備ポイントが毎月発生する。その結果、定期発生ポイントが毎月失効することで累計点数が増加しない代わりに、予備ポイントが毎月発生して2倍3倍と単調に増加する。
このようにすれば、ライフライン契約が長期化するほど、定期発生ポイントおよび予備ポイントの総点数は単調に増加する。そのため、ユーザに対してライフライン契約の長期化を促すことが可能になる。
したがって、本実施例1は、定期発生ポイントの失効に同期して予備ポイントを自動的に発生させるという自動化技術を付加することによって、ユーザにライフラインの契約期間の長期化を促すことが可能になるという点で優れている。
【0068】
(2)もちろん、本実施例1は、定期発生ポイントの有効期間を実質的に長期化する技術とは異なる。
すなわち、本実施例1は、定期発生ポイントの失効点数に「循環率」を乗算して予備ポイントを発生させる。そのため、「循環率」の設定によって予備ポイントの発生量を技術的にコントロールできる。このようなコントロールは、定期発生ポイントの有効期間を単純に長期化するだけでは達成できない、本実施例1の格別な効果である。
【0069】
(3)「循環率」の適応的な設定の一例として、本実施例1において循環率を比較的低めにするケースについて考える。
図5は、予備ポイント(循環率20%)の未使用残高の推移を示した数値表である。
図5に示すように、循環率を20%と比較的低めにすることで、予備ポイントの月単位の発生量が小さく抑えられ、予備ポイントの未使用残高は単調増加を維持しつつも、その増加率は低くなる。この間にユーザが予備ポイントを消費することによって、予備ポイントの未使用残高にかかる供託義務を回避したり、供託額を軽減したりすることが可能になる。
このように、「循環率」を比較的低めにすることで、予備ポイントの単調増加を維持してユーザにライフライン契約の長期化を促す一方で、未使用残高の増加率を抑えて供託金の負担を回避または軽減することができるようになる。
すなわち、本実施例1は、「循環率」の仕組みによって、ライフライン契約の長期化を促す効果と、供託金の負担を回避または軽減する効果とにおいて、両効果のバランスを技術的に図ることが可能になるという点で優れている。
【0070】
(4)また、本実施例1は、「循環率」という調整項目を有することによって、循環率を適時(適応的)に増減変化させることも可能である。
例えば、ユーザによる予備ポイントのポイント利用(消費)が進まない状況であれば循環率を下げることによって予備ポイントの未使用残高の増加率を抑え、供託金の負担を回避または軽減することが可能になる。
また例えば、ポイント予備化部120が、予備ポイントの未使用残高を全体ベース(または個人ベース)で情報取得し、その未使用残高に応じて全体(または個人)の循環率を自動的に増減することによって、予備ポイントの未使用残高が長期に渡って所望の増加カーブ以下に安定するように調整してもよい。この増加カーブを未使用残高の上昇度合いの許容上限としておけば、不適切な循環率の自動設定を防止することが可能になる。
このように、本実施例1は、循環率の適応的な増減調整によって予備ポイントの発生量を月単位などで細かくコントロールし、予備ポイントの未使用残高を長期に渡って所望の増加カーブ以下にコントロールできるという点ですぐれている。
【0071】
(5)ちなみに、ユーザによるポイント使用の量は、個人差、月差、季節差、年齢差、地域差などに応じて所定の傾向がある。
そこで、ポイント予備化部120が、個人差、月差、季節差、年齢差、または地域差などに応じて、ポイント使用の量を統計処理または機械学習器などで推定してもよい。ポイント予備化部120が、このポイント使用量の推定結果に応じて循環率を「先回り」して調整することによって、様々な変動要因を受けながらも予備ポイントの未使用残高の推移が所望の増加カーブを超えないよう未然にコントロールすることが可能になる。
このような例からも分かるように、本実施例1は、ポイント使用の頻度や量に応じて循環率を調整することが可能で、それによって予備ポイントの発生量を適切に制御できるという点で優れている。
【0072】
(6)さらに、予備ポイントの計算元である定期発生ポイントの失効点数は、失効時から有効期間前の定期発生ポイントの発生点数に関係する。この定期発生ポイントの発生点数は、個人差、月差、季節差、年齢差、地域差などに応じて所定の傾向がある。
そこで、ポイント予備化部120が、個人差、月差、季節差、年齢差、または地域差などに応じて、定期発生ポイントの失効点数を統計処理または機械学習器などで推定してもよい。ポイント予備化部120が、この定期発生ポイントの失効点数の推定結果に応じて循環率を「先回り」して調整することによって、様々な変動要因を受けながらも予備ポイントの未使用残高の推移が所望の増加カーブを超えないよう未然にコントロールすることが可能になる。
このような例からも分かるように、本実施例1は、定期発生ポイントの失効点数に応じて循環率を調整することが可能で、それによって予備ポイントの発生量を適切に制御できるという点で優れている。
【0073】
(7)本実施例1は、ユーザがライフラインを解約すると、予備ポイントを資格切れによって失効させる。
この処理によって、予備ポイントは、ユーザがライフラインの契約を継続する限り使用できるポイントであり、かつユーザのライフライン解約によって抹消されるポイントになる。
したがって、本実施例1は、折角蓄積した予備ポイントが資格切れにならないよう、ユーザに対してライフライン契約の長期化を促すことができるという点で優れている。
【0074】
(8)ところで、循環率を比較的高めに設定した場合には、予備ポイントの未使用残高はどうしても高くなってしまう。
図6は、予備ポイント(循環率120%)の未使用残高の推移を示した数値表である。
図6から分かるように、循環率を高めに設定した場合、予備ポイントの未使用残高も高くなりやすく、供託金の負担が大きくなる。
そこで、本実施例1は、予備ポイントからユーザ還元用の点数を提携業者に与える還元処理を行い、提携業者に対しては「商品またはサービスをユーザに還元する還元指示」を出力する処理を行う。
図7は、この還元処理によって予備ポイント(循環率120%)の未使用残高を調整した場合の数値表である。
図7から分かるように、還元処理を行うことによって、予備ポイントの未使用残高を低く抑えることが可能になる。この程度であれば、循環率の設定を高めにしても、供託金の負担は問題ない。
したがって、本実施例1は、還元処理を行うことによって、予備ポイントの未使用残高を低く抑えて、供託金の負担を軽減または回避することができるという点で優れている。
【0075】
(9)さらに、本実施例1は、この還元処理の自動化も可能にしている。
すなわち、本実施例1は、「予備ポイントの未使用残高が、予め定められた基準日に、予め定められた閾値を超える」旨の還元条件を満足するか否かを基準日の前に自動的に判定する。この還元条件が満足すると、予備ポイントからユーザ還元用の点数を提携業者に与える還元処理が基準日の前に自動的に行われる。
このような還元処理の自動化によって、基準日に予備ポイントの未使用残高が所定の限度を超えないように自動的に制限することが可能になる。
したがって、本実施例1は、還元処理の自動化によって、基準日に予備ポイントの未使用残高が所定の限度を超えないように自動的に処理することが可能になって、供託金の負担を自動的に軽減または回避することができるという点で優れている。
【0076】
(10)定期発生ポイントについては、ユーザは毎月忘れずにポイント使用しなければ、毎月失効して損をするため、ユーザにとって面倒で使い勝手が悪い印象になる。また、定期発生ポイントは、ユーザがライフラインに毎月支払いを行うことで発生する点数であるため、ユーザは自分が毎月稼いだポイントという既得権の意識を持ちやすい。その既得権の意識のため、定期発生ポイントがユーザの知らない所で有効期間切れによって失効することは悪い印象になる。
このような定期発生ポイントの印象に対比して、新しく登場する予備ポイントがユーザにどのような印象を持たれるかは、ポイントサービス(ビジネスモデル)として重要な点である。
予備ポイントについては、定期発生ポイントが失効することで発生する点数であるため、いわば無から生まれたリサイクルポイントであって、ユーザとして得をするという意識はあっても、自分が稼いだものという既得権の意識はさほど持たない。そのため、ユーザの知らない所で循環率が調整されて予備ポイントの毎月の発生点数が上下しても、発生点数が毎月プラスである限り予備ポイントにさほど悪い印象はない。
さらに、予備ポイントはユーザがポイント使用を忘れていても無駄にならず、還元処理によって商品またはサービスという形でユーザに還元される。
そうしてみると、本実施例1は、定期発生ポイントの使い勝手が悪く有効期間切れで損をするというユーザの悪い印象を、前述した予備ポイントの様々な好印象の仕掛けで補うものであるという点で優れている。
【0077】
(11)次に、本実施例1がライフラインにとってどのような利点があるかについて説明する。
ライフラインでは、予備ポイントの付与による他社との差別化によって、新規ユーザの獲得や契約長期化が得られる。これらはライフラインにとって、増収および収入の長期安定化につながる。ライフラインは、これらの利点に見合う分だけ、本実施例1のポイントサービスに対してポイントの管理手数料を拠出することが可能になる。
【0078】
(12)さらに、本実施例1が提携業者にとってどのような利点があるかについて説明する。
本実施例1のポイントサービスは、ライフラインの利点に見合うだけのポイントの管理手数料のみで原則的に運営できる。そのため、提携業者としての金銭的な負担はゼロか、あっても少ない。
その上、ユーザが予備ポイントを使用できる提携業者を選択することによって、提携業者は、新規顧客の開拓や、ユーザの囲い込み(つまりお得意様)が可能になる。
さらに、ユーザが提携業者で予備ポイントを使用すれば、ポイント使用分に見合うだけの収入を、ライフラインが拠出する管理手数料を原資とする協力金として受け取ることができる。
また、本実施例1では、定期的にユーザへの還元処理が行われるため、還元処理に見合う分のある程度まとまった収入を、ライフラインが拠出する管理手数料を原資とする協力金として受け取ることができる。
【0079】
<その他の補足事項>
なお、実施例1では、説明を分かりやすくするため、ライフラインを源流としてユーザにポイントを付与し、そのポイントを提携業者に使用する一方通行のケースを説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。提携業者側でユーザにポイントを付与し、そのポイントを定期発生ポイントや予備ポイントと共に循環させてもよい。
【0080】
また、実施例1では、説明を分かりやすくするため、一旦発生した予備ポイントそれ自体の点数は時間経過と共に失効せず、かつ増減しないものとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。予備ポイントの長期保持に対して定期的に利息率を乗じて増やしてもよい。この場合、解約すると失効する予備ポイントの温存化に利益を与えることになるため、ライフライン契約の長期化をユーザに一層促すことが可能になる。また、予備ポイントの限度を超えた温存化によって、ポイントサービス全体の未使用残高が膨大になることを回避するため、予備ポイントに適度な有効期間をある時期だけ設けたり、定期的に予備ポイントの使用を促すキャンペーンを行ったりしてもよい。
【0081】
さらに、実施例1では、予備ポイントが供託義務の対象になる前払支払手段であることを前提に説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、予備ポイントは、定期発生ポイントの失効を契機として、ユーザのその時点の支払いとは無関係に付与される無料ポイントである。また、ライフライン解約などの資格切れによって直ちに無効になる限定的なポイントでもある。したがって、予備ポイントが、そもそも前払支払手段の該当条件を実質的に満足せず、供託義務から外れる可能性もあり得る。
【0082】
また、実施例1では、定期発生ポイントの有効期間を供託義務の発生しない期間(6ヶ月など)以下にすることによって、定期発生ポイントが供託義務の対象から外れることを前提に説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
仮に、定期発生ポイントと予備ポイントとを合わせて実質的な前払支払手段と見なされる場合でも、本発明の適用は可能である。
すなわち、還元条件「予備ポイントの未使用残高が基準日に閾値を超える」の閾値を、定期発生ポイントおよび予備ポイントなどの前払支払手段を合算した未使用残高の総額が基準日に基準高を超えないように、予備ポイントの未使用残高の閾値を設定すれば、供託義務を回避することが可能になる。
また、ポイント運営会社において供託可能な上限金額が定まっている場合は、定期発生ポイントおよび予備ポイントなどの前払支払手段を合算した未使用残高の総額が上限金額に応じた額(例えば2倍額)を超えるか否かを判定できるように、予備ポイントの未使用残高の閾値を設定すればよい。
このような閾値の設定によれば、定期発生ポイントと予備ポイントとを合わせて実質的な前払支払手段と見なされる場合でも、供託義務を回避または軽減することが可能になる。
【0083】
さらに、実施例1では、ライフラインとして電力、ガス、水道の会社を例に上げて説明した。しかしながら発明はこれに限定されない。ここでのライフラインは、狭義の意味では、公共料金などの支払いを受ける事業体である。さらに、ここでのライフラインは、広義の意味では、およそあらゆる事業体が生命に係わるため、月払いや日払いや時間払いなどの定期的かつ長期の支払いを受ける事業体であればよい。
【0084】
また、上述した実施例1では、データベースDを一体に構成する形態(図2参照)について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。データベースDを適宜に複数に分けて分散管理を行ってもよい。例えば、データベースD内の複数テーブルを、必要に応じてライフラインの端末Lや、提携業者の端末Pや、ユーザの端末Uなどに分散して配置してもよい。
【0085】
なお、本発明は、上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0086】
例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために全体を詳細に説明したものであり、本発明は必ずしも説明した全ての構成や全てのステップを備えるものに限定されない。
【0087】
また、実施形態の個々の要素を適宜に組み合わせてもよい。さらに、実施形態に対して、他の構成や他のステップを追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0088】
100…循環管理システム、110…ポイント発生部、120…ポイント予備化部、130…解約処理部、140…ポイント還元部、141…還元判定部、142…基準日前処理部、150…ポイント消費部、160…立替部、170…決済処理部、D…データベース、L…ライフラインの端末、T1…ユーザテーブル、T2…ライフラインテーブル、T3…提携業者テーブル、T4…定期発生ポイントテーブル、T5…予備ポイントテーブル、T6…ポイント消費テーブル、T7…ポイント還元テーブル、T9…バックアップ履歴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムが実施する定期発生ポイントの循環管理方法であって、
ライフラインに対するユーザの定期的な支払いを情報取得した場合、前記支払いの額に応じた点数を有効な定期発生ポイントとして、発行日に関する日付情報と合わせて記録するポイント発生ステップと、
前記日付情報に基づいて有効期間を過ぎた前記定期発生ポイントを失効させる処理を行い、失効した前記定期発生ポイントの点数に循環率を乗じた点数を前記ユーザの予備ポイントとして累計するポイント予備化ステップとを備え、
前記ポイント予備化ステップは、前記予備ポイントの未使用残高が高くなるほど前記循環率を低く変化させることによって、前記未使用残高を予め定められた増加カーブ以下に制限する
とを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記ユーザによる前記ライフラインの解約を情報取得した場合、前記ユーザが解約した前記ライフラインにおいて過去に付与された有効な前記定期発生ポイントの前記有効期間を短縮して失効させる処理と、前記ユーザが解約した前記ライフラインにおいて過去に累計された前記ユーザの前記予備ポイントを資格切れによって失効させる処理とを行う解約処理ステップを備える
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項3】
請求項1~のいずれか一項記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記予備ポイントからユーザ還元用の点数を提携業者に与える還元処理を行い、前記提携業者に対して「商品またはサービスを前記ユーザに還元する還元指示」を出力する処理を行うポイント還元ステップを備える
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項4】
請求項記載の定期発生ポイントの循環管理方法であって、
前記ポイント還元ステップは、
「前記予備ポイントの前記未使用残高が、予め定められた基準日に、予め定められた閾値を超える」旨の還元条件を満足するか否かを基準日の前に判定する還元判定ステップと、
前記還元条件を満足した場合、累計された前記予備ポイントからユーザ還元用の前記点数を前記提携業者に与える還元処理を前記基準日の前に行うことによって、前記予備ポイントの前記未使用残高が前記基準日に所定の限度を超えないようにする基準日前処理ステップとを含む
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理方法。
【請求項5】
コンピュータシステムに
請求項1~のいずれか一項に記載の定期発生ポイントの循環管理方法を実行させる
ことを特徴とする定期発生ポイントの循環管理プログラム。
【請求項6】
ライフラインに対するユーザの定期的な支払いを情報取得した場合、前記支払いの額に応じた点数を有効な定期発生ポイントとして、発行日に関する日付情報と合わせて記録するポイント発生部と、
前記日付情報に基づいて有効期間を過ぎた前記定期発生ポイントを失効させる処理を行い、失効した前記定期発生ポイントの点数に循環率を乗じた点数を前記ユーザの予備ポイントとして累計するポイント予備化部とを備え、
前記ポイント予備化部は、前記予備ポイントの未使用残高が高くなるほど前記循環率を低く変化させることによって、前記未使用残高を予め定められた増加カーブ以下に制限する
とを特徴とする定期発生ポイントの循環管理システム。