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特開2022-163777スラブ軌道における填充層の補修方法
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  • 特開-スラブ軌道における填充層の補修方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163777
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】スラブ軌道における填充層の補修方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 37/00 20060101AFI20221020BHJP
   E01B 1/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
E01B37/00 C
E01B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068811
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 咲
(72)【発明者】
【氏名】神津 大輔
【テーマコード(参考)】
2D056
2D057
【Fターム(参考)】
2D056AA05
2D057CA04
2D057CA05
(57)【要約】
【課題】既設のスラブ軌道において短時間にCAモルタル層を補修することができるスラブ軌道の補修方法を提供する。
【解決手段】スラブ軌道において路盤コンクリートと軌道スラブの間に設けられている填充層を、スラブ軌道の側方から掘削して補修材を充填するスラブ軌道における填充層の補修方法において、前記填充層をスラブ軌道の側方から所定の奥行深さまで掘削する第1工程と、予め製造された所定形状および所定以上の強度を有するブロックを補修材として前記第1工程により掘削された部位に挿入する第2工程と、前記部位に挿入された前記ブロックが抜け出さないように後処理を行う第3工程と、を含むようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブ軌道において路盤コンクリートと軌道スラブの間に設けられている填充層を、スラブ軌道の側方から掘削して補修材を充填するスラブ軌道における填充層の補修方法であって、
前記填充層をスラブ軌道の側方から所定の奥行深さまで掘削する第1工程と、
予め製造された所定形状および所定以上の強度を有するブロックを補修材として前記第1工程により掘削された部位に挿入する第2工程と、
前記部位に挿入された前記ブロックが抜け出さないように後処理を行う第3工程と、
を含むことを特徴とするスラブ軌道における填充層の補修方法。
【請求項2】
前記第2工程においては、前記ブロックを、所定の長さを有する前記軌道スラブに対して所定個数ずつ、前記填充層が掘削された前記部位に挿入することを特徴とする請求項1に記載のスラブ軌道における填充層の補修方法。
【請求項3】
前記ブロックには、隣接するブロックの係合部と噛み合い可能な係合部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスラブ軌道における填充層の補修方法。
【請求項4】
1つの前記軌道スラブに対応して挿入された複数の前記ブロックのトータルの長さは、1つの前記軌道スラブの長さに軌道スラブ間の隙間分を加算した長さを有し、隣接する軌道スラブと路盤コンクリートとの間に挿入された端部のブロック同士が接触または係合するように配設されることを特徴とする請求項2または3に記載のスラブ軌道における填充層の補修方法。
【請求項5】
前記第3工程における前記後処理は、前記填充層が掘削された前記部位に挿入された前記ブロックの表面と周囲の部材との隙間に硬化型補修剤を注入する処理であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のスラブ軌道における填充層の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブ軌道の補修技術に関し、特に路盤コンクリートと軌道スラブの間に設けられている填充層としてのCAモルタル層(セメントアスファルトモルタル)層を補修する填充層の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スラブ軌道には、路盤コンクリートとその上方に敷設されたコンクリート板からなる軌道スラブとの間に緩衝機能を有するCAモルタル層製の填充層が設けられている。従来、このCAモルタル層には、型枠を設けその内側への充填剤を注入して硬化させる型枠方式で造られたものと、不織布製の袋にモルタルを注入したロングチューブで造られたものとがある。
このうち、ロングチューブ方式のCAモルタル層を介在させた軌道スラブの築造方法に関する発明としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0003】
近年、積雪寒冷地域のスラブ軌道においては、融雪のために散水した水や雨水がCAモルタル層に浸み込み凍結融解を繰り返すことで、CAモルタル層の劣化が進行している。そこで、CAモルタル層の劣化が少ないスラブ軌道部分では、CAモルタル層が露出している側面部分に樹脂をコーティングすることで、CAモルタル層に水が浸み込むことを防ぐ対策が講じられている。
一方、CAモルタル層の劣化がかなり進んでいるスラブ軌道部分では、掘削機によって、CAモルタル層の側面から比較的奥の方までモルタルを掘削し除去した後、補修材を注入してCAモルタル層を補修する工事が行われている。なお、ロングチューブ方式のCAモルタル層の場合、表面を覆う不織布も除去する必要があるため、それに適したスラブ軌道補修用研削装置も開発されている。
【0004】
また、従来、スラブ軌道における填充層(CAモルタル層)の補修装置や補修方法に関する発明として、特許文献2や3に記載されている発明がある。
このうち、特許文献2の発明は、路盤コンクリートと軌道スラブの間の填充層を側方より掘削してから、軌道スラブの外側に型枠を設けた後に、レール上に載置された走行式の填充層補修装置が備えるミキサのノズルから型枠の内側へ2液混合式の充填剤を注入して硬化させ、その後型枠を撤去するというものである。
【0005】
特許文献3の発明は、劣化したCAモルタル層を軌道スラブの周囲から水平方向の適宜深さまで除去することにより軌道スラブの外周に開口する空隙を形成し、空隙に外側から補修用袋を装填した後、補修用袋に補修用充填剤を注入して補修用袋を膨張させ、空隙の少なくとも上面および下面に密着固定させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-203178号公報
【特許文献2】特開2015-224418号公報
【特許文献3】特開2012-180634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載されている填充層補修方法の場合、路盤コンクリートへの型枠の設置作業と撤去作業が必要であるため、作業工程が多く、かなりの時間と費用がかかるという課題がある。
一方、上記特許文献3の填充層補修方法の場合、型枠の設置と撤去の作業が不要であるという利点があるものの、CAモルタル層を部分的に除去することにより生じた空隙に、複数の補修用袋を挿入し、補修用袋内に充填剤を順次注入するという繰り返し作業を行う必要がある。
【0008】
また、特許文献3の填充層補修方法においては、補修用袋を挿入した空隙の奥部に残存する隙間を埋めるため、予め軌道スラブに上下方向の注入孔を設けておいて、充填剤を注入するようにしているため、依然として多くの時間がかかり費用が充分に低減されない。しかも、充填剤が硬化するのに時間がかかるため、夜間の営業列車が走行しない時間帯にCAモルタル層を広範囲にわたって補修する作業を実施する場合には、スラブ軌道の沈み込みを防止する工事をしておく必要があり大規模補修には向いていないという課題がある。
【0009】
本発明は、上記のような背景のもとになされたもので、夜間の営業列車が走行しない時間帯にスラブ軌道の路盤コンクリートと軌道スラブとの間の填充層としてのCAモルタル層を広範囲にわたって補修する作業を実施することができるスラブ軌道における填充層の補修方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、既設のスラブ軌道において、路盤コンクリートへの大掛かりな型枠の設置を行うことなく、填充層としてのCAモルタル層を短時間に補修することができるスラブ軌道における填充層の補修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、この発明は、
スラブ軌道において路盤コンクリートと軌道スラブの間に設けられている填充層を、スラブ軌道の側方から掘削して補修材を充填するスラブ軌道における填充層の補修方法であって、
前記填充層をスラブ軌道の側方から所定の奥行深さまで掘削する第1工程と、
予め製造された所定形状および所定以上の強度を有するブロックを補修材として前記第1工程により掘削された部位に挿入する第2工程と、
前記部位に挿入された前記ブロックが抜け出さないように後処理を行う第3工程と、
を含むようにしたものである。
【0011】
上記のような手順に従った方法によれば、所定以上の強度を有するブロックを、填充層(CAモルタル層)を掘削した部位に挿入するため、ロングチューブ方式のCAモルタル層を構築する際のように、セメントアスファルトが硬化するまで路盤コンクリートと軌道スラブとの間隔を保持する必要がないので、夜間の営業列車が走行しない時間帯にスラブ軌道の填充層を補修する作業を実施することができる。また、路盤コンクリートへの型枠の設置作業と撤去作業が必要であるため、作業時間と費用を低減することができる。
【0012】
ここで、望ましくは、前記第2工程においては、前記ブロックを、所定の長さを有する前記軌道スラブに対して所定個数ずつ、前記填充層が掘削された前記部位に挿入するようにする。
かかる方法によれば、1つ1つのブロックの重量を小さくすることができるため、手作業によるブロックの取り扱いが容易になり、大型の機械や重機を軌道内に持ち込む必要がなく補修作業の準備時間を短縮することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記ブロックには、隣接するブロックの係合部と噛み合い可能な係合部が設けられているようにする。
かかる方法によれば、隣接するブロック同士が連結されるため、列車の走行に伴う振動で生じる横方向への力を複数のブロックに分散することができ、それによって横ずれに対する抵抗力が増加し、掘削部に挿入したブロックが飛び出すのを防止することができる。
【0014】
さらに、望ましくは、1つの前記軌道スラブに対応して挿入された複数の前記ブロックのトータルの長さは、1つの前記軌道スラブの長さに軌道スラブ間の隙間分を加算した長さを有し、隣接する軌道スラブと路盤コンクリートとの間に挿入された端部のブロック同士が接触または係合するように配設されるようにする。
【0015】
スラブ軌道を構成する軌道スラブは数メートル単位で分割されているため、上記のような方法によれば、軌道スラブごとに填充層(CAモルタル層)の補修を進めて行く場合に、隣接する軌道スラブ間で隣接するブロック同士を連結させることができるため、一層ブロックの横ずれを防止することができる。
【0016】
さらに、望ましくは、前記第3工程における前記後処理は、前記填充層が掘削された前記部位に挿入された前記ブロックの表面と周囲の部材との隙間に硬化型補修剤を注入する処理であるようにする。
かかる方法によれば、ブロックの表面と周囲の部材との隙間が硬化型補修剤で埋められるため、填充層内への雨水の侵入を防止することができ、填充層(CAモルタル層)の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るスラブ軌道における填充層の補修方法によれば、夜間の営業列車が走行しない時間帯にスラブ軌道の路盤コンクリートと軌道スラブとの間の填充層としてのCAモルタル層を広範囲にわたって補修する作業を実施することができる。また、既設のスラブ軌道において、路盤コンクリートへの大掛かりな型枠の設置を行うことなく、填充層としてのCAモルタル層を短時間に補修することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る填充層としてのCAモルタル層の補修方法の適用対象であるスラブ軌道の構造を示す斜視図である。
図2】本発明を適用した大規模補修によるスラブ軌道の構造の一例を示す斜視説明図である。
図3】掘削部へのCAブロックの挿入後に行う充填剤の注入工程の様子を示す斜視説明図である。
図4】実施形態のCAモルタル層の補修に使用するCAブロックの他の構成例を示す平面図である。
図5】実施形態のCAモルタル層の補修に使用するCAブロックの他の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に係るスラブ軌道における填充層としてのCAモルタル層の補修方法の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明に係る填充層の補修方法の適用対象であるスラブ軌道の構造が示されている。図1に示されているように、スラブ軌道は、図示しないコンクリート床版の上に軌道延設方向に沿って設けられた所定の厚さの路盤コンクリート11と、この路盤コンクリート11上にCAモルタル層12を介して軌道スラブ13(長さ4.95m, 幅2. 34m, 厚さ16cm)が敷設された構造を有している。なお、CAモルタル層12の幅は軌道スラブ13の幅と同じである。
【0020】
軌道スラブ13は、上面視で矩形状をなす複数のコンクリート板をレール延設方向に並べることで構成されており、軌道スラブ13上にレール20が延設され、レール20はレール締結器21によって軌道スラブ13に締結されている。
より詳細には、路盤コンクリート11の中央に所定の間隔をおいて、円柱状の係止突起14が設けられ、軌道スラブ13を構成する各矩形状のコンクリート板の前端中央と後端中央にはそれぞれ上記係止突起14の径よりも若干大きな径を有する半円筒状の切欠きが形成されており、この切欠きに係止突起14が係合することによって軌道スラブ13を構成するコンクリート板が位置決めされるように構成されている。なお、係止突起14の外周と軌道スラブ13との間には充填剤15が注入、硬化されることで隙間が埋められている。
【0021】
CAモルタル層12には、型枠方式で造られたものと、不織布製の袋にCAモルタルを注入したロングチューブで造られたものとがある。ロングチューブ方式のCAモルタル層12は、路盤コンクリート11と軌道スラブ13との隙間にロングチューブを設置し、チューブの一方に設けた注入口からセメントアスファルト混合物をチューブ全体に充填するように注入し、硬化後に軌道スラブ13から側方へ突出している注入口の端部を切り取ることで構成される。ロングチューブには、例えばポリエステルや、ポリエチレンテレフタレートなどからなる長繊維不織布等で形成されたものが用いられている。
【0022】
ロングチューブに注入されるセメントアスファルト混合物には、例えばセメント/アスファルト/細骨材を所定の比率で含有するものが使用されている。アスファルト成分はアスファルト乳剤として添加され、水分が抜けて固まると弾性体として靭性を呈することとなる。 なお、ロングチューブの耐候性を向上するために、ロングチューブの側面が耐光処理されることがある。
【0023】
ここで、耐光処理としては、不織布を構成する繊維の耐光性を向上させる方法、ロングチューブ側面を含む表面を耐光性樹脂で被覆する方法、ロングチューブ側面をアスファルトで完全に被覆する方法などがある。
このうち、不織布の構成繊維の耐光性を向上させる方法としては、構成繊維に耐光剤を混入して繊維化する方法がある。一方、ロングチューブ側面を含む表面を耐光性樹脂で被覆する方法としては、例えば、セメントアスファルト混合物をロングチューブに注入後に、露出するロングチューブ側面にアクリル系耐光性塗料などを塗布する方法などがある。
【0024】
上記のような構成を有するCAモルタル層12が劣化した場合には、前述したように、劣化の程度に応じて部分補修または大規模補修(大断面はつり補修)が行われる。本発明は、このうち、大規模補修を対象とするものである。実施形態における大規模補修は、幅約2.5mの軌道スラブ13に対して、その下方のCAモルタル層12を、両側からそれぞれおよそ70cm奥まで掘削して、新たに填充層を形成することで行われる。CAモルタル層12の掘削深さは70cm前後に限定されるものではない。
【0025】
以下、大規模補修によるスラブ軌道の構造と方法について詳しく説明する。
図2には、本発明を適用した大規模補修によるスラブ軌道の構造の一例が示されている。図2に示されているように、本実施形態のスラブ軌道の補修は、軌道スラブ13の下方のCAモルタル層12の両側部をそれぞれレール延設方向に沿って掘削して生じた空間に、上面視で矩形状をなす複数のブロック16を互いに接した状態で、一列に並ぶようにして挿入するようにしたものである。
【0026】
なお、図2においては、軌道スラブ13がCAモルタル層12から離間しているように示されているが、実際の工事では軌道スラブ13を持ち上げることはせず、CAモルタル層12の両側部をそれぞれ掘削することでブロック16を挿入するための空間が形成される。また、1つ1つのブロックの長さを短くして軽量化し、1枚の軌道スラブ13の下に複数のブロック16を挿入する方式であるため、ブロック16の人手による搬送が容易となり、軌道内への大型の機械や重機の持ち込みが不要となる。
【0027】
ブロック16には、予め工場等で材料となるセメントアスファルトを所定の型枠に入れて硬化させることで矩形板状に形成したもの(以下、CAブロックと称する)が使用される。このようにすることで、現場での施工時間を短縮するとともに、セメントアスファルトが未硬化のまま長時間軌道上に放置されるのを回避することができるため、施工直後に軌道上を列車が走行しても何ら支障はない。従って、補修工事を営業列車が走行していない夜間の時間帯に実施することが可能になる。
また、特許文献3の補修方法のように、CAモルタル層を掘削した箇所に補修用袋を挿入して充填剤を注入する方式の場合、工事終了後にCAブロックが未硬化の状態で列車が走行すると、軌道スラブ13が沈み込みその状態のまま硬化してしまうというリスクがあるが、本実施形態の補修方法によればそのようなリスクを回避することができる。
【0028】
さらに、図2に示されているように、CAモルタル層12の両側部を掘削して生じた空間に、複数のCAブロック16を並べて挿入した後に、図3に示すように、挿入されたCAブロック16の外側面全体を覆うシールタイプの型枠17を設け、型枠17の内側の隙間にセメントアスファルト等の充填剤を注入して硬化させ、CAブロック16同士の隙間さらにはCAブロック16の奥部の掘削したCAモルタル層12の側面との間に生じている隙間を埋めるようにしても良い。このようにすることで、補修工事で生じたCAモルタル層12の隙間に雨水が侵入して劣化が早まるのを防止することができる。なお、充填剤を注入した後に、補修層の端面に耐光性樹脂や塗料を塗布して、コーティング層を形成するようにしても良い。なお、型枠17の内側の隙間に注入する充填剤は、その量が少ないので、比較的短時間に硬化する。
【0029】
ところで、図2に示すCAブロック16は、上面視で矩形状をなしているため、ひとつでも接合力が弱いCAブロック16があると、走行する列車の振動が繰り返し作用することで横ずれを起こして徐々に側方へ飛び出してくるおそれがある。
図4および図5には、そのような飛び出しを抑制する機能を備えたCAブロック16の例が示されている。このうち、図4のCAブロック16は、レール方向の前端または後端の一方の辺に凸部16aを形成するとともに、対向する他の辺に前記凸部16aと係合可能な凹部16bを設けて、隣接するCAブロック16の凸部16aと凹部16bを噛み合わせた状態で並べて配設するようにしたものである。
【0030】
図5のCAブロック16は、前端側と後端側の辺の中央に、同一高さの段差を設けて各辺に辺の長さの半分の長さを有する係合段差部16c,16dを形成して、隣接するCAブロック16の係合段差部16c,16dを係合させた状態で並べて配設するようにしたものである。
CAブロック16を、図4または図5に示すような形状にすることによって、走行する列車の振動が繰り返し作用することで、あるCAブロック16に対して横方向の力が作用したとしても、互いに係合する複数(図では8個)のCAブロック16全体で抵抗して、横ずれを起こすのを防止して軌道スラブの側方への飛び出しを防止することができる。
【0031】
さらに、図4図5に示す実施例においては、前後の軌道スラブ13の境界において、前側の軌道スラブ13の下方のCAブロック16の凸部16a(または係合段差部16c)と、後側の軌道スラブ13の下方のCAブロック16の凹部16b(または係合段差部16d)とが噛み合うようにブロックの長さが設定され配設されている。すなわち、1つの軌道スラブ13に対応するn個(図では8個)のCAブロック16のトータルの長さが、1つの軌道スラブ13の長さよりも軌道スラブ間の隙間分だけ長くなるように設定されている。
これにより、CAブロック16に作用する横方向への力に対する抵抗力をさらに高めて、横ずれをより確実に防止することができるようになる。
【0032】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、CAモルタル層12を掘削した箇所にCAブロック16を挿入するようにしているが、CAブロックと同等もしくはそれ以上の強度を有するものであれば、セメントアスファルト以外の材料により形成されたブロックを挿入するようにしてもよい。
【0033】
また、前記実施形態では、1つの軌道スラブ13に対応してCAモルタル層12に形成された掘削部にn個(例えば8個)のCAブロック16を挿入しているが、軌道スラブ13と同等の長さを有する1つのブロックを掘削部に挿入するようにしても良い。なお、その場合においても、1つのブロックの長さを、1つの軌道スラブ13の長さに隣接する軌道スラブとの隙間分を加算した長さに設定して、隣接する軌道スラブと路盤コンクリートとの間に挿入されたブロックの端部同士が接触または係合するように配設するのが良い。これにより、走行する列車の振動で挿入したブロックに作用する横方向の力に対する抵抗力を高め、CAブロックが横ずれを起こして側方へ飛び出すのを防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
11 路盤コンクリート
12 CAモルタル層(填充層)
13 軌道スラブ
14 係止突起
15 充填剤
16 CAブロック
16a 凸部(係合部)
16b 凹部(係合部)
16c,16d 係合段差部(係合部)
17 型枠
20 レール
21 レール締結器
図1
図2
図3
図4
図5