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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163802
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ドレントラップ
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/02 20060101AFI20221020BHJP
   F16T 1/22 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
F16T1/02 Z
F16T1/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068849
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
(57)【要約】
【課題】ドレン同士の衝突に起因する排出能力の低下を抑制する。
【解決手段】ドレントラップ100は、ドレンの流入口21および流出口23が形成されたケーシング10と、ケーシング10内に設けられ、流入口21から流入したドレンが通過する弁孔43、弁孔43を温度に応じて開閉する弁体41を有する2つの副弁機構40a,40bと、2つの副弁機構40a,40bのそれぞれの弁孔43から上下に延びる第1流路251および第2流路252、第1流路251および第2流路252が上下流方向に順に接続され、第1流路251および第2流路252からのドンレが合流する第5流路255を有し、第5流路255の合流ドレンを流出口23に導く副排出路25とを備える。第5流路255は、下流側にいくに従って下方に傾斜している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンの流入口および流出口が形成されたケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、前記流入口から流入したドレンが通過する弁孔、前記弁孔を温度に応じて開閉する弁体を有する複数の弁機構と、
前記複数の弁機構のそれぞれの前記弁孔から上下に延びる複数の縦流路、前記複数の縦流路が上下流方向に順に接続され、前記複数の縦流路からのドンレが合流する横流路を有し、前記横流路の合流ドレンを前記流出口に導く排出路とを備え、
前記横流路は、下流側にいくに従って下方に傾斜している
ことを特徴とするドレントラップ。
【請求項2】
請求項1に記載のドレントラップにおいて、
前記複数の弁機構は、前記弁体の温度が所定温度まで低下すると前記弁体が前記弁孔を開放するように構成され、
前記複数の弁機構では、前記弁孔と前記流入口との距離が最も近い前記弁機構の前記所定温度が最も高い温度に設定されている
ことを特徴とするドレントラップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドレントラップにおいて、
前記ケーシングには、前記流入口から流入したドレンが貯留される貯留室が形成されており、
前記貯留室の下部に設けられ、前記貯留室のドレンが通過する主弁孔、前記貯留室に収容され、前記主弁孔を開閉するフロートを有する主弁機構と、
前記主弁孔に連通し、前記主弁孔を通過したドレンを前記流出口に導く主排出路とをさらに備え、
前記弁機構は、前記弁孔が前記貯留室の上部に設けられ、前記貯留室のドレンが前記弁孔を通過する副弁機構であり、
前記排出路は、副排出路である
ことを特徴とするドレントラップ。
【請求項4】
請求項3に記載のドレントラップにおいて、
前記排出路は、前記横流路の下流端と前記主排出路とに連通する連通路をさらに備えている
ことを特徴とするドレントラップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ドレントラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気システム等に設けられ、蒸気の排出を抑制する一方、ドレンを排出するドレントラップが知られている。例えば特許文献1に開示されているドレントラップは、ドレンの排出通路に連通する複数の弁孔と、それぞれの弁孔を開閉する温度応動弁とを備えている。このドレントラップでは、温度が所定温度まで低下すると、複数の温度応動弁が開弁し、ドレンが複数の弁孔から排出通路に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-86396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したドレントラップでは、排出通路において複数の弁孔から排出されたドレン同士が衝突してしまい、そのため、ドレンの流速が低下し、ドレンの排出能力(排出流量)が低下する虞がある。
【0005】
本願に開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドレン同士の衝突に起因する排出能力(排出流量)の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示の技術は、ケーシングと、複数の弁機構と、排出路とを備えるドレントラップである。前記ケーシングは、ドレンの流入口および流出口が形成されている。前記複数の弁機構は、前記ケーシング内に設けられ、前記流入口から流入したドレンが通過する弁孔、前記弁孔を温度に応じて開閉する弁体を有している。前記排出路は、前記複数の弁機構のそれぞれの前記弁孔から上下に延びる複数の縦流路、前記複数の縦流路が上下流方向に順に接続され、前記複数の縦流路からのドンレが合流する横流路を有し、前記横流路の合流ドレンを前記流出口に導く。そして、前記横流路は、下流側にいくに従って下方に傾斜している。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示の技術によれば、ドレン同士の衝突に起因する排出能力(排出流量)の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ドレントラップの概略構成を示す断面図である。
図2図2は、図1のA-A線における部分断面図である。
図3図3は、図2のB-B線における断面図であり、一部を省略して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0010】
本実施形態のドレントラップ100は、蒸気システム等に設けられ、ドレンが流入してきた場合にはドレンを流出させる一方、蒸気が流入してきた場合には蒸気の流出を阻止する。
【0011】
図1は、ドレントラップ100の概略構成を示す断面図である。ドレントラップ100は、液体を含む流体の流路が形成されたケーシング10と、流路中に設けられ、流路を開閉する2種類の弁機構(主弁機構30、副弁機構40)とを備えている。主弁機構30は、ケーシング10内に流入したドレンを排出する。副弁機構40は、ケーシング10内に流入した空気およびドレンを排出する。
【0012】
ケーシング10は、下部11と上部12とを有している。ケーシング10には、ドレンの流入口21および流出口23と、貯留室22と、2つの排出路(主排出路24、副排出路25)とが形成されている。貯留室22は、流入口21と連通しており、貯留室22には、流入口21から流入したドレンが一時的に貯留される。主排出路24は、貯留室22と流出口23とを連通させ、副排出路25は、貯留室22と主排出路24とを連通させている。
【0013】
ケーシング10では、流入口21、貯留室22、流出口23、主排出路24および副排出路25によって流路が形成される。具体的には、流路は、ドレンを排出するための主流路と、空気およびドレンを排出するための副流路を有している。主流路は、流入口21、貯留室22、主排出路24および流出口23によって形成される。副流路は、流入口21、貯留室22、副排出路25、主排出路24および流出口23によって形成される。
【0014】
流入口21および流出口23は、下部11に設けられている。流入口21と流出口23とは、同軸に設けられている。つまり、流入口21および流出口23は、水平に延びる同一の軸心Y上に形成されている。貯留室22は、下部11に設けられている。主排出路24は、下部11に形成されており、上流端が貯留室22の下部に接続され、下流端が流出口23に接続されている。副排出路25は、下部11と上部12とに跨って形成されており、上流端が貯留室22の上部に接続され、下流端が主排出路24に接続されている。
【0015】
なお、流入口21および流出口23のそれぞれは、蒸気システムの配管と接続される。図1に示すように、ドレントラップ100では、軸心Y方向が上下流方向となっており、高さ方向が上下方向となっている。また、ドレントラップ100では、下流側に向かって右側を右とし左側を左として左右方向を設定する(図2参照)。
【0016】
主弁機構30は、主流路を開閉するものである。具体的に、主弁機構30は、貯留室22から主排出路24にドレンを流出させる一方、貯留室22から主排出路24への蒸気の流出を阻止する弁機構である。主弁機構30は、貯留室22に設けられており、弁体31および弁座32を有している。
【0017】
弁体31は、中空球形のフロートであり、貯留室22に自由状態で収容されている。弁座32は、貯留室22における主排出路24の接続部に設けられている。弁座32には、貯留室22のドレンが通過する主弁孔としての弁孔33が形成されている。つまり、弁孔33は、貯留室22の下部に設けられ、貯留室22と主排出路24とを連通させている。弁孔33の上流端は、オリフィスを構成している。主排出路24は、弁孔33に連通し、弁孔33を通過したドレンを流出口23に導く。
【0018】
主弁機構30では、貯留室22におけるドレン水位に応じて弁体31が浮上降下し弁孔33を開閉する。具体的に、貯留室22のドレンが増加すると、弁体31が浮上して弁座32から離座し、弁孔33が開放される。一方、貯留室22のドレンが減少すると、弁体31が下降して弁座32に着座し、弁孔33が閉鎖される。こうして、弁孔33が開閉されることにより、主流路が開閉される。
【0019】
また、貯留室22には、流入口21との連通部にスクリーン27が設けられている。スクリーン27によって、流入口21から貯留室22への異物の流入が防止される。また、貯留室22には、上部寄りに弁カバー28が設けられている。弁カバー28は、弁座32の上方に設けられ、貯留室22を上下に仕切っている。弁カバー28は、弁体31が浮上して弁カバー28に接触することにより、弁体31が所定の高さ以上に浮上することを規制するものである。なお、図示しないが、弁カバー28には流入口21からのドレンが流通する貫通孔が設けられている。
【0020】
副弁機構40は、副流路を開閉するものであり、複数(本実施形態では、4つ)設けられている。具体的に、4つの副弁機構40は、貯留室22から副排出路25に低温の空気やドレンを流出させる一方、貯留室22から副排出路25への蒸気の流出を阻止する弁機構である。4つの副弁機構40のそれぞれは、貯留室22の上部に設けられており、弁体41および弁座42を有している。
【0021】
なお、4つの副弁機構40のそれぞれを区別して説明する場合には、第1副弁機構40a、第2副弁機構40b、第3副弁機構40c、第4副弁機構40dと称する(図1および図3参照)。本実施形態では、第1副弁機構40aおよび第2副弁機構40bが、本願の請求項に係る弁機構に相当する。
【0022】
弁体41は、温度応動部材である。弁体41は、図示しないが、内部に薄板ダイヤフラムと熱膨張収縮液が収容されている。弁座42は、貯留室22における副排出路25の接続部に設けられている。弁座42には、貯留室22のドレン(即ち、流入口21から流入したドレン)が通過する弁孔43が形成されている。つまり、弁孔43は、貯留室22の上部に設けられ、貯留室22と副排出路25とを連通させている。弁孔43の上流端は、オリフィスを構成している。
【0023】
副弁機構40は、弁体41(貯留室22)の温度が所定温度まで低下すると弁体41が弁孔43を開放するように構成されている。つまり、副弁機構40では、温度に応じて弁体41が膨張または収縮し弁孔43を開閉する。具体的に、弁体41(貯留室22)の温度が所定温度まで低くなると、弁体41が収縮して弁座42から離座し、弁孔43が開放される。一方、弁体41(貯留室22)の温度が所定温度よりも高くなると、弁体41が膨張して弁座42に着座し、弁孔43が閉鎖される。こうして、弁孔43が開閉されることにより、副流路が開閉される。
【0024】
第1副弁機構40aおよび第2副弁機構40bは、軸心Y方向において上流側から順に配置されている。第3副弁機構40cおよび第4副弁機構40dは、軸心Yと直交する水平方向に順に配置されている(図3参照)。第3副弁機構40cおよび第4副弁機構40dは、第1副弁機構40aと第2副弁機構40bとの間の略中央を通る軸に沿って配置されている。4つの副弁機構40は、貯留室22において同じ高さに配置されている。このように配置された4つの副弁機構40では、第1副弁機構40aの弁孔43が流入口21と最も近くなる。
【0025】
また、4つの副弁機構40では、弁孔43と流入口21との距離が最も近い第1副弁機構40aの前記所定温度が最も高い温度に設定されている。つまり、4つの副弁機構40では、弁体41(貯留室22)の温度が低下してきた場合、第1副弁機構40aが最も早くに開弁するように構成されている。なお、第1副弁機構40a以外の3つの副弁機構40は、所定温度が同じ温度に設定されている。
【0026】
図2は、図1のA-A線における部分断面図である。図3は、図2のB-B線における断面図であり、一部を省略して示す図である。
【0027】
副排出路25は、2つの副弁機構40(第1副弁機構40a、第2副弁機構40b)のそれぞれの弁孔43から上下に延びる第1流路251および第2流路252、第1流路251および第2流路252が上下流方向に順に接続され、第1流路251および第2流路252からのドンレが合流する第5流路255を有し、第5流路255の合流ドレンを流出口23に導く。副排出路25は、本願の請求項に係る排出路に相当する。
【0028】
具体的に、副排出路25は、8つの流路(第1流路251~第8流路258)を有している。
【0029】
第1流路251~第4流路254は、それぞれ、弁孔43から上下に直線状に延びる縦流路である。第1流路251~第4流路254は、4つの副弁機構40のそれぞれの弁孔43に連通している。つまり、第1流路251は第1副弁機構40aの弁孔43に連通し、第2流路252は第2副弁機構40bの弁孔43に連通し、第3流路253は第3副弁機構40cの弁孔43に連通し、第4流路254は第4副弁機構40dの弁孔43に連通している。第1流路251および第2流路252は、本願の請求項に係る縦流路に相当する。
【0030】
第5流路255~第7流路257は、第1流路251~第4流路254に接続される横流路である。より詳しくは、第5流路255は、上方から視た場合、軸心Y方向に延びる直線状の流路である。第5流路255における上流端の近傍には、第1流路251が接続されている。また、第5流路255における略中央部には、第2流路252が接続されている。つまり、第5流路255には、上流側から順に、第1流路251および第2流路252が接続されている。さらに言えば、第5流路255は、第1流路251および第2流路252の共通の横流路である。第5流路255は、本願の請求項に係る横流路に相当する。第6流路256は、第5流路255の右側に位置している。第6流路256は、上方から視た場合、軸心Yに対して傾いた直線状の流路である。第6流路256における上流端の近傍には、第3流路253が接続されている。第7流路257は、第5流路255の左側に位置している。第7流路257は、上方から視た場合、軸心Yに対して傾いた直線状の流路である。
【0031】
第1流路251および第5流路255によって形成される流路と、第3流路253および第6流路256によって形成される流路と、第4流路254および第7流路257によって形成される流路とは、互いの下流側へ向かって鋭角に合流している。即ち、第5流路255、第6流路256および第7流路257は、互いの下流側へ向かって鋭角に合流している。
【0032】
具体的に、第5流路255、第6流路256および第7流路257は、それぞれの下流端で合流している(接続されている)。第5流路255と第6流路256との合流角度θa、即ち、第5流路255の軸心Xaと第6流路256の軸心Xbとの交差角度は、鋭角である。第5流路255と第7流路257との合流角度θb、即ち、第5流路255の軸心Xaと第7流路257の軸心Xcとの交差角度は、鋭角である。さらに、第6流路256と第7流路257との合流角度(合流角度θa+合流角度θb)も、鋭角である。
【0033】
第8流路258は、上下に直線状に延びる流路である。第8流路258の上流端は、第5流路255、第6流路256および第7流路257の下流端(即ち、合流箇所)に接続されている。第8流路258の下流端は、主排出路24に接続されている。つまり、第8流路258は、第5流路255の下流端と主排出路24とに連通する連通路である。第8流路258は、第5流路255、第6流路256および第7流路257の合流ドレンを主排出路24ひいては流出口23に導く。
【0034】
副排出路25は、流出口23よりも上方に配置されている。つまり、第5流路255、第6流路256および第7流路257は、流出口23よりも上方に位置している。そして、第5流路255、第6流路256および第7流路257は、下流側にいくに従って下方に傾斜している。つまり、図1に示すように、第5流路255は、水平方向に対して傾斜角度θrで傾斜している。図示しないが、第6流路256および第7流路257も同様に傾斜している。
【0035】
〈動作〉
蒸気システムの運転時における上述したドレントラップ100の動作について説明する。運転時は、高温高圧のドレンがドレントラップ100に流入してくる。
【0036】
具体的に、高温高圧のドレンは、流入口21から流入して貯留室22に貯留される。主弁機構30では、貯留室22のドレン水位が所定位まで上昇すると、弁体31が浮上して弁座32から離座し、弁孔33が開放される。つまり、主弁機構30は開弁する。そうすると、貯留室22のドレンは、主弁機構30を介して主排出路24に流れて流出口23から流出していく。
【0037】
主弁機構30からのドレンの流出量に対して流入口21から貯留室22へのドレンの流入量が多い場合には、貯留室22においてドレンは上部まで溜まる。4つの副弁機構40では、弁体41の温度がドレンの温度に近づくものの所定温度より高い温度にはならない。そのため、4つの副弁機構40では、弁体41が弁座42から離座し、弁孔43が開放されている。そのため、ドレンは、4つの副弁機構40を介して副排出路25に流出し、主排出路24を通って流出口23から流出していく。
【0038】
より詳しくは、第1副弁機構40aを通過したドレンは、第1流路251を介して第5流路255に流れる。第2副弁機構40bを通過したドレンは、第2流路252を介して第5流路255に流れ、第1副弁機構40aを通過したドレンと合流する。第3副弁機構40cを通過したドレンは、第3流路253を介して第6流路256に流れる。第4副弁機構40dを通過したドレンは、第4流路254を介して第7流路257に流れる。
【0039】
第5流路255、第6流路256および第7流路257は下流側にいくに従って下方に傾斜しているため、例えば水平に延びる流路に比べて、これら第5流路255等におけるドレンの流速が増加する。そのため、ドレンの排出流量が増大する。
【0040】
こうして第5流路255におけるドレンの流速が増加すると、第5流路255における圧力が低下する。そのため、第2流路252のドレンが第5流路255に吸引される。したがって、第2副弁機構40bにおけるドレンの流出が促進される。その結果、第5流路255におけるドレン同士の衝突(合流)に起因する排出能力(排出流量)の低下が抑制される。
【0041】
第5流路255、第6流路256および第7流路257のそれぞれに流れたドレンは、互いに合流する。このとき、第5流路255、第6流路256および第7流路257のそれぞれの合流角度が鋭角であるため、例えば合流角度が90度または鈍角である場合に比べて、ドレン同士が衝突(合流)することによって生じる流速の低下が抑制される。そのため、ドレン同士の衝突(合流)に起因する排出能力(排出流量)の低下が抑制される。これら第5流路255等の合流したドレンは、第8流路258および主排出路24を通って流出口23から流出していく。
【0042】
一方、流入口21から貯留室22に高温高圧の蒸気が流入した場合、貯留室22のドレンは、主弁機構30から流出して減少していき、やがて弁体31が弁座32に着座する。こうして、主弁機構30が閉弁し、弁孔33からの蒸気の流出が阻止される。また、貯留室22に蒸気が流入した場合、4つの副弁機構40では弁体41の温度が上昇する。そうすると、弁体41は膨張して弁座42に着座する。こうして、副弁機構40が閉弁し、弁孔43からの蒸気の流出が阻止される。
【0043】
このように蒸気の流出が阻止された後、例えば、貯留室22に大量のドレンが急速に流入してきた場合、4つの副弁機構40では、弁体41(貯留室22)の温度が次第に低下していく。この場合、4つの副弁機構40では、第1副弁機構40aの所定温度が最も高い温度に設定されているので、最初に第1副弁機構40aが開弁する。そのため、第1副弁機構40aの弁孔43は流入口21に最も近いので、流入口21から流入してきたドレンをいち早く副排出路25に流出させることができる。
【0044】
このように、ドレントラップ100は、運転時には、流入してきた高温ドレンを下流側へ流出させる一方、流入してきた蒸気の流出を阻止する。
【0045】
蒸気システムの運転開始時(運転立ち上げ時)は、弁体41の温度が所定温度以下となっているため、4つの副弁機構40は開弁している。この運転開始時には、蒸気システムの低温低圧の残留ドレンがドレントラップ100に流入する。貯留室22に流入してきた残留ドレンは、主弁機構30および副弁機構40を介して流出口23から流出していく。このような運転開始時においても、副排出路25ではドレン同士の衝突(合流)に起因する排出能力(排出流量)の低下が抑制される。
【0046】
なお、この運転開始時では、蒸気システムの配管等に存在している空気も、残留ドレンと共にドレントラップ100に流入する。ドレントラップ100に流入した空気は、貯留室22から副弁機構40を介して副排出路25に流出し、主排出路24を通って流出口23から流出していく。
【0047】
以上のように、前記実施形態のドレントラップ100は、ドレンの流入口21および流出口23が形成されたケーシング10と、ケーシング10内に設けられ、流入口21から流入したドレンが通過する弁孔43、弁孔43を温度に応じて開閉する弁体41を有する2つの副弁機構40(弁機構、第1副弁機構40aおよび第2副弁機構40b)と、2つの副弁機構40のそれぞれの弁孔43から上下に延びる第1流路251(縦流路)および第2流路252(縦流路)、第1流路251および第2流路252が上下流方向に順に接続され、第1流路251および第2流路252からのドンレが合流する第5流路255(横流路)を有し、第5流路255の合流ドレンを流出口23に導く副排出路25とを備えている。第5流路255は、下流側にいくに従って下方に傾斜している。
【0048】
前記の構成によれば、第5流路255は下流側にいくに従って下方に傾斜しているため、例えば第5流路が水平に延びている場合に比べて、第5流路255におけるドレンの流速が増加する。そのため、第5流路255における第2流路252が接続されている部分では、ドレンの流速が増加したことにより圧力が低下する。そのため、第2流路252のドレンが第5流路255に吸引される。したがって、第2副弁機構40bにおけるドレンの流出を促進することができ、その結果、ドレン同士の衝突(合流)に起因する排出能力(排出流量)の低下を抑制することができる。
【0049】
また、前記実施形態のドレントラップ100において、2つの副弁機構40は、弁体41の温度が所定温度まで低下すると弁体41が弁孔43を開放するように構成されている。2つの副弁機構40(第1副弁機構40aおよび第2副弁機構40b)では、弁孔43と流入口21との距離が最も近い第1副弁機構40aの所定温度が最も高い温度に設定されている。
【0050】
前記の構成によれば、弁体41(貯留室22)の温度が次第に低下していくような場合、2つの副弁機構40では、第1副弁機構40aの所定温度が最も高い温度に設定されているので、最初に第1副弁機構40aが開弁する。そのため、第1副弁機構40aの弁孔43は流入口21に最も近いので、流入口21から流入してきたドレンをいち早く副排出路25に流出させることができる。したがって、ドレンを効果的に流出させることができる。
【0051】
また、前記実施形態のドレントラップ100において、副排出路25は、第5流路255の下流端と主排出路24とに連通する第8流路258(連通路)をさらに備えている。
【0052】
前記の構成によれば、主排出路24では、比較的多量のドレンが流れるため、ドレンの流速が大きい。そのため、第8流路258のドレンは、主排出路24におけるドレンの流れによって主排出路24に吸引される。それに伴って、第5流路255におけるドレンの流れが促進される。したがって、副排出路25における排出能力(排出流量)の低下を一層抑制することができる。
(その他の実施形態)
本願に開示の技術は、前記実施形態について以下のような構成としてもよい。
【0053】
例えば、前記実施形態のドレントラップ100では、第5流路255は、第1流路251および第2流路252の2つの縦流路を接続するようにしたが、第1流路251~第4流路254の4つのうち3つの縦流路を接続するようにしてもよいし、第1流路251~第4流路254の4つ全ての縦流路を接続するようにしてもよい。つまり、本願に開示の技術は、1つの横流路に接続される縦流路の数量は2つ以上であればよい。
【0054】
また、前記実施形態のドレントラップ100において、第6流路256および第7流路257を省略して、第3流路253および第4流路254が接続される共通の横流路を設けるようにしてもよい。
【0055】
前記実施形態のドレントラップ100において、第2流路252と第5流路255とを、互いの下流側へ向かって鋭角に合流させるようにしてもよい。そうすることにより、第1流路251から流れてきた第5流路255のドレンと、第2流路252のドレンとの衝突(合流)によって生じる流速の低下を抑制することができる。
【0056】
また、前記実施形態のドレントラップ100において、副弁機構40の数量は、4つに限らず、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
【0057】
また、前記実施形態のドレントラップ100において、主弁機構30を省略するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願に開示の技術は、ドレントラップについて有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 ドレントラップ(弁装置)
10 ケーシング
21 流入口
22 貯留室
23 流出口
24 主排出路
25 副排出路(排出路)
30 主弁機構
31 弁体(フロート)
33 弁孔
40 副弁機構(弁機構)
40a 第1副弁機構(副弁機構)
40b 第2副弁機構(副弁機構)
40c 第3副弁機構(副弁機構)
40d 第4副弁機構(副弁機構)
41 弁体
43 弁孔
251 第1流路(縦流路)
252 第2流路(縦流路)
255 第5流路(横流路)
258 第8流路(連通路)
図1
図2
図3