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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163807
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】走行玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 17/00 20060101AFI20221020BHJP
   A63H 3/04 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A63H17/00 C
A63H3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068857
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】594177472
【氏名又は名称】有限会社イング二十一
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】叶内 茂
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA02
2C150CA08
2C150DA06
2C150DC03
2C150EB41
(57)【要約】
【課題】従来にはない新規な態様で形態が変化することにより、目新しく面白みのある走行玩具を提供する。
【解決手段】第1の移動部材17が突出部材12に連動して変位したときに、初期形態から第1の変化形態へと形態変化可能であり、第2の移動部材19が突出部材12に連動して変位したときに、初期形態から第2の変化形態へと形態変化可能である。そして、第1の移動部材17と第2の移動部材19のどちらを突出部材12に連動させるかを、切替手段14によって操作可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期形態から第1の変化形態または第2の変化形態の少なくとも2つの別の形態へと形態が変化可能な走行玩具であって、
前記初期形態において前方に突出して設けられ、前記走行玩具が障害物に衝突したときに後方へと変位可能な突出部材と、
形態の変化を切り替えるために操作可能に設けられ、少なくとも第1の位置および第2の位置に切り替え可能な切替手段と、
前記切替手段が前記第1の位置にある状態において前記突出部材が後方へと変位したときに、前記突出部材に連動して変位する第1の移動部材と、
前記切替手段が前記第2の位置にある状態において前記突出部材が後方へと変位したときに、前記突出部材に連動して変位する第2の移動部材と、
を備え、
前記第1の移動部材が前記突出部材に連動して変位したときに、前記初期形態から前記第1の変化形態へと形態変化可能であり、
前記第2の移動部材が前記突出部材に連動して変位したときに、前記初期形態から前記第2の変化形態へと形態変化可能である、
走行玩具。
【請求項2】
前記走行玩具を地面に置いた状態で、前記切替手段の状態が外部から見えない、
請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記切替手段は、ジャンケンのグー・チョキ・パーを選択するように構成されており、
前記突出部材が後方へと変位したときに、前記切替手段の選択結果に応じたグー・チョキ・パーを表示するように構成されている、
請求項1または2のいずれか1項に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記走行玩具を走行可能とする車輪を備え、
前記走行玩具を平面に置いたときに、前記初期形態、前記第1の変化形態、前記第2の変化形態のすべてにおいて、前記車輪が接地するように構成されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の走行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、障害物に衝突したときに形態が変化する走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、障害物に衝突したときに形態が変化する走行玩具として、特許文献1に記載した発明を行った。この特許文献1に記載した発明においては、形態変化玩具が障害物に衝突したときに突出部材が後方へと変位することで形態変化機構が作動し、走行可能な形態から別の形態へと形態が変化するようになっている。そして、走行可能な形態において形態変化玩具の後部底面に配置され、後方側を支点として回動可能な接地部材を備え、この接地部材が、形態変化機構が作動したときに接地方向に回動して形態変化玩具を立ち上げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-187353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の玩具は常に目新しいものが求められている。
そこで、本発明は、従来にはない新規な態様で形態が変化することにより、目新しく面白みのある走行玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明は、初期形態から第1の変化形態または第2の変化形態の少なくとも2つの別の形態へと形態が変化可能な走行玩具であって、前記初期形態において前方に突出して設けられ、前記走行玩具が障害物に衝突したときに後方へと変位可能な突出部材と、形態の変化を切り替えるために操作可能に設けられ、少なくとも第1の位置および第2の位置に切り替え可能な切替手段と、前記切替手段が前記第1の位置にある状態において前記突出部材が後方へと変位したときに、前記突出部材に連動して変位する第1の移動部材と、前記切替手段が前記第2の位置にある状態において前記突出部材が後方へと変位したときに、前記突出部材に連動して変位する第2の移動部材と、を備え、前記第1の移動部材が前記突出部材に連動して変位したときに、前記初期形態から前記第1の変化形態へと形態変化可能であり、前記第2の移動部材が前記突出部材に連動して変位したときに、前記初期形態から前記第2の変化形態へと形態変化可能とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上記の通りであり、第1の移動部材が突出部材に連動して変位したときに、初期形態から第1の変化形態へと形態変化可能であり、第2の移動部材が突出部材に連動して変位したときに、初期形態から第2の変化形態へと形態変化可能である。そして、第1の移動部材と第2の移動部材のどちらを突出部材に連動させるかは、切替手段によって操作可能となっている。このような構成によれば、切替手段の位置によって、走行玩具が障害物に衝突したときに変化する形態を選択することができる。よって、従来にはない新規な態様で形態が変化することにより、目新しく面白みのある走行玩具を提供することができる。
【0007】
なお、走行玩具を地面に置いた状態で、切替手段の状態が外部から見えないようにしてもよい。このようにすれば、切替手段を操作した人だけが変化する形態を知ることができ、他の人は何に形態が変化するかが分からない。このような構成により、遊び方の幅を広げることができる。
【0008】
例えば、切替手段は、ジャンケンのグー・チョキ・パーを選択するように構成されており、突出部材が後方へと変位したときに、切替手段の選択結果に応じたグー・チョキ・パーを表示するように構成してもよい。このようにすれば、2つの走行玩具をぶつけて形態を変化させ、その表示されたグー・チョキ・パーによってジャンケンを行うといった遊び方ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】初期形態の(a)側面図、(b)斜視図である。
図2】第1の変化形態の(a)側面図、(b)斜視図である。
図3】第2の変化形態の(a)側面図、(b)斜視図である。
図4】パーツを分解した図である。
図5】更パーツを分解した図である。
図6】突出部材が変位する前のシャーシ内部の構造を説明する図であって、(a)平面図、(b)底面図、(c)斜視図である。
図7】切替手段が第1の位置にある状態において突出部材が変位したときのシャーシ内部の構造を説明する図であって、(a)平面図、(b)底面図、(c)斜視図である。
図8】切替手段が第2の位置にある状態において突出部材が変位したときのシャーシ内部の構造を説明する図であって、(a)平面図、(b)底面図、(c)斜視図である。
図9】切替手段が第3の位置にある状態において突出部材が変位したときのシャーシ内部の構造を説明する図であって、(a)平面図、(b)底面図、(c)斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、特に断りがない場合、以下の説明における「前」は初期形態における車の進行方向を意味している。また、上下方向は初期形態における上下方向を意味している。
【0011】
本実施形態に係る走行玩具10は、図1に示す初期形態から、2つの別の形態へと形態が変化可能なものである。具体的には、図2に示す第1の変化形態、または、図3に示す第2の変化形態のいずれかへと形態変化可能である。本実施形態においては、初期形態は図1に示すような車の形態であり、第1の変化形態は図2に示すようなロボットの形態であり、第2の変化形態は図3に示すような恐竜の形態となっている。なお、このような初期形態および変化形態は例示に過ぎず、他の形態(例えば動物の形態や他の乗り物の形態など)を採用してもよいことは言うまでもない。
【0012】
この走行玩具10は、図4に示すように、シャーシ11、前部30、中央部35、フロントガラス部40、後部50、サイドドア部55、後側部60、車輪部70のアセンブリパーツから構成されている。
【0013】
シャーシ11は、初期形態において車の底盤部を構成するアセンブリパーツである。このシャーシ11は、図5に示すように、底部材15、底部カバー16、突出部材12、突出付勢部材13、切替手段14、第1の移動部材17、第1の付勢部材18、第2の移動部材19、第2の付勢部材20などの部品で構成されている。
【0014】
底部材15および底部カバー16は、上下に組み合わさることで板状のフレームを形成する部品である。この底部材15および底部カバー16に挟まれた内部に、他の各種部品が内蔵されている。なお、底部材15の内面(上面)には、後述する突出部材12を前後にスライド可能にガイドするガイド溝15aが設けられている。また、底部カバー16の両側部には、前後に計4つの車輪取付部16aが設けられている。この車輪取付部16aには、後述する車輪部70が回動可能に取り付けられる。また、底部カバー16の両側部には、後側取付部16bが設けられている。この後側取付部16bには、後述する後部50が回動可能に取り付けられる。
【0015】
突出部材12は、初期形態において前方に突出して設けられ、走行玩具10が障害物に衝突したときに後方へと変位可能に設けられている。この突出部材12は、突出付勢部材13によって常時前方へと付勢されている。この突出部材12の前面は、障害物に接触可能なバンパー部12aとなっている。走行玩具10が前方に走行して障害物に衝突すると、バンパー部12aが押されて、突出付勢部材13の付勢力に抗して突出部材12が後方へと変位する。なお、この突出部材12は、バンパー部12aの後方にレール部12bを備えており、このレール部12bが、底部材15のガイド溝15aにスライド可能に係合している。このため、突出部材12は、ガイド溝15aに沿って移動することで、底部材15に対して前後にスライド可能となっている。
【0016】
切替手段14は、形態の変化を切り替えるために操作可能に設けられる部材である。この切替手段14は、突出部材12に取り付けられており、左右にスライド移動可能となっている。具体的には、突出部材12に対して左右にスライドすることで、図7に示す第1の位置(最も右にスライドした位置)、図8に示す第2の位置(最も左にスライドした位置)、図9に示す第3の位置(第1の位置と第2の位置の間の中間位置)に切り替え可能となっている。
【0017】
この切替手段14は、図6(b)に示すように、底面側に操作可能に突出した摘み状の操作部14aを備える。形態の変化を切り替えるときには、この操作部14aに爪などを引っ掛けて、切替手段14を任意の位置に移動させる。
【0018】
また、この切替手段14は、上方に突出する突起14bを備えている。この突起14bは、後述する第1の移動部材17および第2の移動部材19の前端部に臨むように配置されている。
【0019】
第1の移動部材17は、底部材15および底部カバー16に対して前後にスライド可能に取り付けられた部材である。この第1の移動部材17は、前端に第1被押圧部17aを備える。また、この第1の移動部材17は、上方に突出する鉤状の引っ掛け部17bを備える。
【0020】
この第1の移動部材17は、第1の付勢部材18によって常時前方へ付勢されている(図6参照)。そして、図7に示すように、切替手段14が第1の位置にある状態において突出部材12が後方へと変位したときに、この第1の移動部材17は、突出部材12に連動して後方へと変位するようになっている。具体的には、切替手段14が第1の位置にある状態においては、切替手段14の突起14bが第1の移動部材17の第1被押圧部17aに臨むようになっている。この状態で突出部材12が後方へと変位すると、突出部材12に取り付けられた切替手段14も一体的に後方へと移動するため、切替手段14の突起14bが第1の移動部材17の第1被押圧部17aを後方へと押すことになる。これにより、第1の付勢部材18の付勢力に抗して、第1の移動部材17が後方へとスライドする。
【0021】
第2の移動部材19は、底部材15および底部カバー16に対して前後にスライド可能に取り付けられた部材である。この第2の移動部材19は、前端に第2被押圧部19aを備える。また、この第2の移動部材19は、上方に突出する揺動部材係合部19bを備える。また、この第2の移動部材19は、左右両側前後の計4カ所において側方に突出する脚部係合部19c備える。
【0022】
この第2の移動部材19は、第2の付勢部材20によって常時前方へ付勢されている(図6参照)。そして、図8に示すように、切替手段14が第2の位置にある状態において突出部材12が後方へと変位したときに、この第2の移動部材19は、突出部材12に連動して後方へと変位するようになっている。具体的には、切替手段14が第2の位置にある状態においては、切替手段14の突起14bが第2の移動部材19の第2被押圧部19aに臨むようになっている。この状態で突出部材12が後方へと変位すると、突出部材12に取り付けられた切替手段14も一体的に後方へと移動するため、切替手段14の突起14bが第2の移動部材19の第2被押圧部19aを後方へと押すことになる。これにより、第2の付勢部材20の付勢力に抗して、第2の移動部材19が後方へとスライドする。
【0023】
なお、図9に示すように、切替手段14が第3の位置にある状態において突出部材12が後方へと変位したときには、上記した第1の移動部材17と第2の移動部材19とは、いずれも後方へと変位しない。すなわち、切替手段14が第3の位置にある状態においては、切替手段14の突起14bが第1被押圧部17aと第2被押圧部19aとの間に位置しているため、この状態で突出部材12が後方へと変位しても、切替手段14の突起14bが第1被押圧部17aと第2被押圧部19aとに干渉しない(第1被押圧部17aと第2被押圧部19aとの隙間に入り込む)ようになっている。
【0024】
このように、突出部材12が後方へと変位したときの動きは、切替手段14の位置によって、「第1の移動部材17のみが移動」「第2の移動部材19のみが移動」「第1の移動部材17も第2の移動部材19も移動しない」のいずれかとなる。
【0025】
前部30は、初期形態において車のフロント部分を構成するアセンブリパーツである。この前部30は、図5に示すように、ボンネット部材31や回動軸32などの部品で構成されている。ボンネット部材31は、回動軸32によって、後述する中央部35に対して回動可能に取り付けられている。このボンネット部材31は、図2に示すように、第1の変化形態となったときに回動し、ロボットの肩の部分を構成するようになっている。
【0026】
中央部35は、初期形態において車の車体の中央を構成するアセンブリパーツである。この中央部35は、後述する後側部60を介してシャーシ11に取り付けられている。この中央部35および後側部60は、シャーシ11に対して立ち上がる方向に常にバネによって付勢されているが、初期形態においては、中央部35および後側部60が折り畳まれた状態でシャーシ11に固定されている。この中央部35は、図5に示すように、胴体部材36、一対のサイド部材37、揺動部材21、揺動軸22、揺動バネ23などの部品で構成されている。
【0027】
胴体部材36は、ロボットの頭部36aや胸部36bを表す形状を備えている。この頭部36aや胸部36bは、初期形態や第2の変化形態では外部に露出しないが、第1の変化形態となったときに前面に露出するようになっている。なお、胸部36bには、図2(b)に示すように、被係合部36cと開口部36dとが形成されている。被係合部36cは、第1の移動部材17の引っ掛け部17bを係合させるための切り欠きである。初期形態においては、この被係合部36cに引っ掛け部17bが係合することで、中央部35をシャーシ11側に折り畳んだ状態が維持される。一方、引っ掛け部17bが被係合部36cから外れると、バネの力によって中央部35が立ち上がるようになっている。また、開口部36dは、後述する揺動部材21の被係合部21bを外部に突出させるための開口である。また、この胴体部材36は、両側に突出する腕部支持軸36eを備える。腕部支持軸36eは、後述するサイドドア部55を回動自在に取り付けるための部位である。
【0028】
サイド部材37は、車のサイドガラス付近を構成する部材であり、左右一対に設けられて胴体部材36の両側に固定される。このサイド部材37は、側方に突出する脚部支持軸37aを備える。脚部支持軸37aは、後述する後側部60を回動可能に取り付けるための部位である。
【0029】
揺動部材21は、胴体部材36に対して回動可能に取り付けられる部材であり、水平方向に貫通する軸穴21aと、軸穴21aの下部に形成された被係合部21bと、軸穴21aの上部に形成されたフック21cと、を備える。この揺動部材21は、軸穴21aに挿入した揺動軸22によって回動可能に支持されている。この揺動部材21は、フック21cを後述する係合軸53に係合させることで、恐竜の首部および尾部が展開しないように保持するためのものである。この揺動部材21は、揺動バネ23によってフック21cが常時後方(係合軸53に係合する方向)へと付勢されている。
【0030】
なお、この揺動部材21の被係合部21bは、胴体部材36の下面から突出しており、図6(c)等に示すように、第2の移動部材19の揺動部材係合部19bに臨むように配置されている。このため、第2の移動部材19が後方へと変位したときに被係合部21bが押されて、揺動部材21が揺動するようになっている。このように揺動バネ23の付勢力に抗して揺動部材21が揺動すると、フック21cが前方へと揺動し、係合軸53との係合が解除されるようになっている。
【0031】
フロントガラス部40は、初期形態において車のフロントガラス中央部付近を構成するアセンブリパーツである。このフロントガラス部40は、図5に示すように、フロント部材41、顔部材42、顎部材43、フロント軸44、フロントバネ45などの部品から構成されている。
【0032】
フロント部材41は、前端付近に配置されたフロント軸44によって、中央部35に対して回動可能に取り付けられている。このフロント部材41は、初期形態においては中央部35に重なった状態であるが、この状態から上前方に回動して展開可能であり、展開する方向にフロントバネ45によって常時付勢されている。このフロント部材41は、展開前(初期形態)においては、表面のみが露出し、展開後(第2の変化形態)においては、裏面を上向きにして両面が露出するようになっている。
【0033】
顔部材42は、第2の変化形態において恐竜の顔を構成する部品である。また、顎部材43は、第2の変化形態において恐竜の顎を構成する部品である。これらの部品は、フロント部材41の裏側に取り付けられており、初期形態および第1の変化形態においては外部に露出しないが、第2の変化形態となったときに露出するようになっている。
【0034】
後部50は、初期形態において車のルーフよりも後方を構成するアセンブリパーツである。この後部50は、図5に示すように、リア部材51、リア軸52、係合軸53などの部品から構成されている。
【0035】
リア部材51は、後端付近に配置されたリア軸52によって、中央部35に対して回動可能に取り付けられている。このリア部材51は、初期形態においては中央部35に重なった状態であるが、この状態から上後方に回動して展開可能である。このリア部材51は、展開前(初期形態)においては、表面のみが露出し、展開後(第2の変化形態)においては、裏面を上向きにして両面が露出するようになっている。
【0036】
係合軸53は、リア部材51の裏側に固定された軸部材である。この係合軸53は、すでに説明した揺動部材21のフック21cに係合可能となっている。具体的には、フロントガラス部40をフロントバネ45の付勢力に抗して後方に折り畳み、更にその上から後部50を前方に折り畳んだときに、係合軸53がフック21cに係合し、フロントガラス部40と後部50とを折り畳んだ状態(図1および図2参照)で維持できるようになっている。そして、係合軸53とフック21cとの係合が解除されると、フロントバネ45の付勢力によって、フロントガラス部40と後部50とが展開され、図3に示すように恐竜の首部と尾部が現れるようになっている。
【0037】
サイドドア部55は、初期形態において車のサイドドア付近を構成するアセンブリパーツであり、左右一対で設けられている。このサイドドア部55は、図5に示すように、ドア部材56、腕部材57、筒部材58、圧縮バネ59などの部品から構成されている。
【0038】
ドア部材56は、初期形態において車の側部を構成するように外部に露出する部材である。このドア部材56の内側には、腕部材57が固定されている。腕部材57は、第1の変化形態においてロボットの腕を構成する部品である。また、ドア部材56は、内方へ突出する筒部56aを備える。この筒部56aには、筒部材58が伸縮可能に挿入されており、圧縮バネ59によって伸長方向に付勢されている。このドア部材56は、筒部材58を介して胴体部材36の腕部支持軸36eに接続されている。
【0039】
このサイドドア部55は、初期形態においては、前部30に係合することで、圧縮バネ59の付勢力に抗して、内側に押さえ込まれている。一方、図2に示すように、前部30が中央部35に対して回動すると、前部30との係合が解除されることで圧縮バネ59の付勢力が作用し、両側へ広がるようになっている。両側へ広がることで、内側の腕部材57が見えるようになる。また、このように解放されることでサイドドア部55が中央部35に対して前後に回動自在となるので、ロボットの腕を振り回す操作が可能となる。
【0040】
後側部60は、初期形態において車の両側部後方を構成するアセンブリパーツであり、左右一対で設けられている。この後側部60は、図5に示すように、サイドリア部材61、内側カバー62、サイドリア軸63、サイドリアバネ64などの部品から構成されている。サイドリア部材61は、初期形態において車の側部後方を構成するように外部に露出する部材である。このサイドリア部材61の内側に、内側カバー62が固定されている。
【0041】
この後側部60は、サイドリア軸63を介して、底部カバー16の後側取付部16bに回動可能に取り付けられている。また、この後側部60は、上方へ立ち上がる方向へサイドリアバネ64によって常時付勢されている。
【0042】
この後側部60は、図1にしめすように、初期形態においては中央部35とともに折り畳まれており、サイドリアバネ64の付勢力に抗して倒れている。一方、第1の変化形態となったときには立ち上がることで、図2に示すように、ロボットの両脚部を構成するようになっている。
【0043】
車輪部70は、初期形態において車の車輪付近を構成するアセンブリパーツであり、前後左右に4つ設けられている。それぞれの車輪部70は、図5に示すように、上脚部材71、下脚部材74、車輪77、車軸78を備えている。上脚部材71は、上脚軸72によって、底部カバー16の車輪取付部16aに対して回動可能に取り付けられている。下脚部材74は、下脚軸75によって、上脚部材71の先端に回動可能に取り付けられている。車輪77は、車軸78によって、下脚部材74の先端に回転自在に取り付けられている。
【0044】
この車輪部70は、図3に示すように、上脚部材71および下脚部材74がシャーシ11の下方に延びるように展開されることで、第2の変化形態において恐竜の四足を構成するようになっている。上脚部材71および下脚部材74は、このように展開される方向にバネによって常に付勢されている。
【0045】
なお、下脚部材74は、第2の移動部材19の脚部係合部19cに係合可能な係止部74aを備えている。脚部係合部19cと係止部74aとが係合することで、図1に示すように、車輪部70の上脚部材71と下脚部材74とが折り畳まれた状態で保持される。一方、第2の移動部材19が後方にスライドして脚部係合部19cと係止部74aとの係合が解除されると、バネの付勢力によって上脚部材71および下脚部材74が展開され、図3に示すようにシャーシ11が上方に持ち上げられるようになっている。
また、車輪77は回転自在となっているため、走行玩具10を平面上で滑らせることで、走行玩具10は前方に走行することができる。
【0046】
このような構成によれば、初期形態において走行玩具10を走行させ、何かに衝突した場合に、バンパー部12aが押されて突出部材12が後方へと変位し、玩具の形態を変化させることができる。
【0047】
具体的には、切替手段14が第1の位置(図7参照)にある状態において突出部材12が後方へと変位すると、突出部材12に連動して第1の移動部材17が後方へと変位する。第1の移動部材17が後方へと変位すると、引っ掛け部17bが後方に移動することで、引っ掛け部17bと被係合部36cとの係合が外れるため、バネ力によって中央部35および後側部60が上方に立ち上がる。同時に、前部30が自重により回動し、ロボットの頭部36aが露出する。また、前部30が回動することで、サイドドア部55を押さえつけていた係合が外れるので、サイドドア部55が両側に開き、腕部材57が露出する。これにより、図1に示す初期形態(車)から、図2に示す第1の変化形態(ロボット)へと形態変化させることができる。
【0048】
また、切替手段14が第2の位置(図8参照)にある状態において突出部材12が後方へと変位すると、突出部材12に連動して第2の移動部材19が後方へと変位する。第2の移動部材19が後方へと変位すると、揺動部材係合部19bが後方に移動することで、揺動部材21が押されて揺動する。揺動部材21が揺動することで、フック21cと係合軸53との係合が外れるため、バネ力によってフロントガラス部40および後部50が前後に展開される。また、第2の移動部材19が後方へと変位すると、脚部係合部19cと係止部74aとの係合が外れるため、バネ力によって4つの車輪部70の上脚部材71および下脚部材74が下方へと展開される。これにより、図1に示す初期形態(車)から、図3に示す第2の変化形態(恐竜)へと形態変化させることができる。
【0049】
なお、切替手段14が第3の位置(図9参照)にある状態において突出部材12が後方へと変位しても、形態は変化せず、図1に示す初期形態(車)のままである。
【0050】
本実施形態は上記の通りであり、第1の移動部材17が突出部材12に連動して変位したときに、初期形態から第1の変化形態へと形態変化可能であり、第2の移動部材19が突出部材12に連動して変位したときに、初期形態から第2の変化形態へと形態変化可能である。そして、第1の移動部材17と第2の移動部材19のどちらを突出部材12に連動させるかは、切替手段14によって操作可能となっている。このような構成によれば、切替手段14の位置によって、走行玩具10が障害物に衝突したときに変化する形態を選択することができる。よって、従来にはない新規な態様で形態が変化することにより、目新しく面白みのある走行玩具10を提供することができる。
【0051】
なお、本実施形態に係る切替手段14は、走行玩具10の底面にある。このため、走行玩具10を地面に置いた状態で、切替手段14の状態が外部から見えないようになっている。このようにすれば、切替手段14を操作した人だけが変化する形態を知ることができ、他の人は何に形態が変化するかが分からない。このような構成により、遊び方の幅を広げることができる。
【0052】
例えば、切替手段14は、ジャンケンのグー・チョキ・パーを選択するように構成されており、突出部材12が後方へと変位したときに、切替手段14の選択結果に応じたグー・チョキ・パーを表示するように構成してもよい。
【0053】
具体的には、図6(b)に示すように、切替手段14の近傍(走行玩具10の底面)にグー・チョキ・パーを表す文字や絵柄を表示する。例えば、Dの位置に「グー」を表示し、Eの位置に「チョキ」を表示し、Fの位置に「パー」を表示する。このように表示すれば、切替手段14の位置によってグー・チョキ・パーを選択できる(切替手段14を第3の位置とすれば「グー」、第1の位置とすれば「チョキ」、第2の位置とすれば「パー」を選択したことになる)。
【0054】
そして、その状態で突出部材12が後方へと変位したときに、選択したグー・チョキ・パーが表示されるようになっている。例えば、図1のAの位置に「グー」を表示し、図2のBの位置に「チョキ」を表示し、図3のCの位置に「パー」を表示する。このように表示すれば、走行玩具10が衝突後に、選択したグー・チョキ・パーを前方から視認できるように表示することができる。
【0055】
すなわち、切替手段14で「グー」(第3の位置)を選択した場合、突出部材12が後方へと変位しても形態は変化せずに初期形態となる。この初期形態で前方から視認できる位置(図1のAの位置)にはグーが表示される。
【0056】
また、切替手段14で「チョキ」(第1の位置)を選択した場合、突出部材12が後方へと変位することで、第1の変化形態に形態が変化する。この第1の変化形態で前方から視認できる位置(図2のBの位置)にはチョキが表示される。
【0057】
また、切替手段14で「パー」(第2の位置)を選択した場合、突出部材12が後方へと変位することで、第2の変化形態に形態が変化する。この第2の変化形態で前方から視認できる位置(図3のCの位置)にはパーが表示される。
このようにすれば、2つの走行玩具10をぶつけて形態を変化させ、その表示されたグー・チョキ・パーによってジャンケンを行うといった遊び方ができる。
【0058】
なお、本実施形態においては、走行玩具10を平面に置いたときに、初期形態、第1の変化形態、第2の変化形態のすべてにおいて、車輪77が接地するように構成されている。このため、どの形態であっても、車輪77を用いて走行させることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 走行玩具
11 シャーシ
12 突出部材
12a バンパー部
12b レール部
13 突出付勢部材
14 切替手段
14a 操作部
14b 突起
15 底部材
15a ガイド溝
16 底部カバー
16a 車輪取付部
16b 後側取付部
17 第1の移動部材
17a 第1被押圧部
17b 引っ掛け部
18 第1の付勢部材
19 第2の移動部材
19a 第2被押圧部
19b 揺動部材係合部
19c 脚部係合部
20 第2の付勢部材
21 揺動部材
21a 軸穴
21b 被係合部
21c フック
22 揺動軸
23 揺動バネ
30 前部
31 ボンネット部材
32 回動軸
35 中央部
36 胴体部材
36a 頭部
36b 胸部
36c 被係合部
36d 開口部
36e 腕部支持軸
37 サイド部材
37a 脚部支持軸
40 フロントガラス部
41 フロント部材
42 顔部材
43 顎部材
44 フロント軸
45 フロントバネ
50 後部
51 リア部材
52 リア軸
53 係合軸
55 サイドドア部
56 ドア部材
56a 筒部
57 腕部材
58 筒部材
59 圧縮バネ
60 後側部
61 サイドリア部材
62 内側カバー
63 サイドリア軸
64 サイドリアバネ
70 車輪部
71 上脚部材
72 上脚軸
74 下脚部材
74a 係止部
75 下脚軸
77 車輪
78 車軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9