(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163821
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】頭部装着型表示装置および配達システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20221020BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20221020BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221020BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20221020BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20221020BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
G09G5/00 510G
G09G5/00 550C
G09G5/36 520M
G09G5/00 X
G09G5/10 B
G09G5/36 520P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068883
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】竹本 誠二
【テーマコード(参考)】
2H199
5C182
【Fターム(参考)】
2H199CA03
2H199CA05
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA47
2H199CA77
2H199CA91
2H199CA92
2H199CA94
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB08
5C182AB15
5C182AB25
5C182AB34
5C182AB35
5C182AC03
5C182AC39
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA25
5C182BA45
5C182BA47
5C182BB02
5C182BB11
5C182BC22
5C182BC25
5C182CA02
5C182CB44
5C182CB47
5C182CB54
5C182DA41
5C182DA70
(57)【要約】
【課題】画像が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことが可能な頭部装着型表示装置および配達システムを提供する。
【解決手段】この頭部装着型表示装置10は、移動体による移動時に使用者40の頭部に装着され、内表面10aと外表面10bとを含む筐体18と、筐体18の内表面10aに設けられ、使用者40の視野の一部に重なるように配置される非透過型の表示部11と、筐体18の外表面10bに設けられた撮像部12と、撮像部12により撮像された外部の撮像風景画像61に、移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像63を含む情報画像62を重ねた画像60を表示部11に表示するように制御する制御部14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体による移動時に使用者の頭部に装着される頭部装着型表示装置であって、
内表面と外表面とを含む筐体と、
前記筐体の前記内表面に設けられ、前記使用者の視野の一部に重なるように配置される非透過型の表示部と、
前記筐体の前記外表面に設けられた撮像部と、
前記撮像部により撮像された外部の撮像風景画像に、前記移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像を含む情報画像を重ねた画像を前記表示部に表示するように制御する制御部と、を備える、頭部装着型表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記使用者の視野における風景に対して前記表示部に表示された前記撮像風景画像がつながるように、前記撮像風景画像を前記表示部に表示するように構成されている、請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項3】
前記使用者の視野における風景と前記表示部に表示された前記撮像風景画像とがつながるように、前記表示部の光軸と前記撮像部の光軸とが略同一直線上に配置されるように構成されている、請求項2に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記撮像風景画像は、前記表示部に遮られて前記使用者が視認することができない外部の風景が前記撮像部により撮像された画像であり、
前記制御部は、前記視認することができない外部の風景と前記表示部に表示された前記撮像風景画像における風景とが略同一範囲となるように、前記撮像風景画像を前記表示部に表示するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、光学部材をさらに含み、
前記使用者の視野全体に対して部分的に前記画像が表示される際に、前記光学部材により、前記使用者の視野における前記画像の対角が15度以上30度以下となるように前記画像の大きさが設定されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項6】
前記ナビゲーション情報画像は、少なくとも、進行方向を変更する次の分岐点までの距離および前記分岐点での進行方向を示す情報画像を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項7】
充電池をさらに備え、
前記情報画像は、前記充電池の充電量に関する情報画像、および、事故多発地点に関する情報画像のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記撮像風景画像の画素値に基づいて、前記撮像風景画像のコントラスト比を変更するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項9】
前記撮像部は、前記制御部により前記表示部に表示される前記撮像風景画像の範囲よりも大きい範囲の画像を撮像するように構成され、
前記制御部は、前記大きい範囲の画像の一部を切り取った前記撮像風景画像を前記表示部に表示するように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項10】
移動体による荷物の配達時に配達者の頭部に装着される頭部装着型表示装置と、
前記頭部装着型表示装置と通信可能であり、前記配達者に携帯される携帯型端末装置と、
前記携帯型端末装置と通信可能であり、前記配達者による前記荷物の配達を管理する管理サーバと、を備える配達システムであって、
前記頭部装着型表示装置は、
内表面と外表面とを含む筐体と、
前記筐体の前記内表面に設けられ、前記配達者の視野の一部に重なるように配置される非透過型の表示部と、
前記筐体の前記外表面に設けられた撮像部と、
前記撮像部により撮像された外部の撮像風景画像に、前記管理サーバから前記携帯型端末装置を介して取得された前記移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像を含む情報画像を重ねた画像を前記表示部に表示するように制御する制御部と、を含む、配達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型表示装置および配達システムに関し、特に、移動体による移動時に使用者の頭部に装着され、筐体と表示部と制御部とを備える頭部装着型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体による移動時に使用者の頭部に装着され、筐体と表示部と制御部とを備える頭部装着型表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載された頭部装着型表示装置は、表示素子と、使用者の眼の前方に配置され、表示素子に表示される画像と使用者の視野の景色とを重ねて使用者の眼に導く光学系とを備える、シースルー型ヘッドマウントディスプレイ装置である。このヘッドマウントディスプレイ装置は、自動二輪車などの運転時に使用される。このヘッドマウントディスプレイ装置の表示素子には、二輪車の走行速度などの情報や、ナビゲーションシステムからの道路の形状、種別、走行車両の現在位置などの情報を示す画像が表示される。このヘッドマウントディスプレイ装置では、表示素子から出射されプリズム内に入射した光束は、ハーフミラーへと導かれ、ハーフミラーで反射されて使用者の眼に達する。また、使用者の前方から入射する外界の光は、ハーフミラー、プリズムを透過し、表示素子からの表示光とともに使用者の眼に達する。
【0004】
また、上記特許文献1には記載されていないが、非透過型であり、かつ、使用者の視界の一部に局所的に表示画面が配置されるヘッドマウントディスプレイ装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示されたヘッドマウントディスプレイ装置におけるハーフミラーの反射率と透過率との関係はトレードオフの関係にあり、反射率と透過率との両方を同時に高くすることはできない。すなわち、ハーフミラーの反射率を高くすると表示画像の視認性は向上するが、透過率が低くなるため視認可能な風景は暗くなる。一方、ハーフミラーの透過率を高くすると風景の視認性は向上するが、反射率が低くなるため表示画像は暗く表示される。そのため、上記特許文献1に開示されたヘッドマウントディスプレイ装置においては、画像の表示領域内の視認可能な風景が暗かったり、画像が暗く表示されたりする可能性がある。その結果、画像が見にくいことに起因して、自動二輪車などの移動体による移動が容易でない場合がある。
【0007】
一方、非透過型であり、かつ、使用者の視界の一部に局所的に表示画面が配置されるヘッドマウントディスプレイ装置では、移動体の運転時に使用する使用者にとって画像の表示画面の範囲が死角となるため、画像の表示画面のサイズを小さくする必要がある。そのため、画像が見にくいことに起因して、移動体による移動が容易でない場合がある。そこで、画像が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことが望まれている。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、画像が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことが可能な頭部装着型表示装置および配達システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置は、移動体による移動時に使用者の頭部に装着される頭部装着型表示装置であって、内表面と外表面とを含む筐体と、筐体の内表面に設けられ、使用者の視野の一部に重なるように配置される非透過型の表示部と、筐体の外表面に設けられた撮像部と、撮像部により撮像された外部の撮像風景画像に、移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像を含む情報画像を重ねた画像を表示部に表示するように制御する制御部と、を備える。
【0010】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置では、上記のように、使用者の視野の一部に重なるように配置される非透過型の表示部と、撮像部と、撮像部により撮像された外部の撮像風景画像に、移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像を含む情報画像を重ねた画像を表示部に表示するように制御する制御部と、を備える。このように構成することにより、非透過型の表示部から、撮像部により撮像された撮像風景画像、および、撮像風景画像に重ねられた情報画像が視認可能である。そのため、ハーフミラーを介することにより暗くなる可能性がある現実の風景(撮像されていない風景)および表示画像を視認するシースルー型ヘッドマウントディスプレイ装置と比べて、視認可能な風景および表示画像が暗くなることを抑制することができるとともに、撮像風景画像の表示により画像の表示画面の範囲が死角となりにくいため、画像の表示画面のサイズの縮小化を抑制することができる。その結果、画像が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことができる。
【0011】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置において、好ましくは、使用者の視野における風景に対して表示部に表示された撮像風景画像がつながるように、撮像風景画像を表示部に表示するように構成されている。このように構成すれば、使用者の視野における風景に対する表示部に表示された撮像風景画像のずれに起因する、使用者の違和感が低減された良好な画像表示を行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、表示部の光軸と撮像部の光軸とが略同一直線上に配置されるように構成されている。このように構成すれば、表示部に遮られて使用者が視認することができない風景の範囲と撮像部による撮像範囲とを容易に略一致させることができる。そのため、使用者の視野における風景に対する表示部に表示された撮像風景画像のずれが抑制された良好な画像表示を容易に行うことができる。
【0013】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置において、好ましくは、撮像風景画像は、表示部に遮られて使用者が視認することができない外部の風景が撮像部により撮像された画像であり、制御部は、視認することができない外部の風景と表示部に表示された撮像風景画像における風景とが略同一範囲となるように、撮像風景画像を表示部に表示するように構成されている。このように構成すれば、使用者の視野における風景に対する表示部に表示された撮像風景画像のずれが抑制された良好な画像表示をより容易に行うことができる。
【0014】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置において、好ましくは、表示部は、光学部材をさらに含み、使用者の視野全体に対して部分的に画像が表示される際に、光学部材により、使用者の視野における画像の対角が15度以上30度以下となるように画像の大きさが設定されている。このように構成すれば、使用者の視野において使用者に容易に視認可能な画像サイズとすることができる。
【0015】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置において、好ましくは、ナビゲーション情報画像は、少なくとも、進行方向を変更する次の分岐点までの距離および分岐点での進行方向を示す情報画像を含む。このように構成すれば、移動体による移動をより容易に行うことができる。
【0016】
この場合、好ましくは、充電池をさらに備え、情報画像は、充電池の充電量に関する情報画像、および、事故多発地点に関する情報画像のうちの少なくとも1つをさらに含む。充電池の充電量に関する情報画像を含むように構成すれば、使用者は充電池の充電量を容易に把握することができるため、充電切れに起因して表示部に画像を表示できなくなることを抑制することができる。また、事故多発地点に関する情報画像を含むように構成すれば、使用者は事故多発地点に関する情報に基づいてより慎重に移動を行うことができる。そのため、移動体による移動をさらに容易に行うことができる。
【0017】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置において、好ましくは、撮像部により撮像された撮像風景画像の画素値に基づいて、撮像風景画像のコントラスト比を変更するように構成されている。このように構成すれば、使用者の周囲の明暗に基づいて撮像風景画像のコントラスト比を変更することができるため、画像が見にくくなることを抑制することができる。そのため、移動体による移動を容易に行うことができる。
【0018】
この発明の第1の局面による頭部装着型表示装置において、好ましくは、撮像部は、制御部により表示部に表示される撮像風景画像の範囲よりも大きい範囲の画像を撮像するように構成され、制御部は、大きい範囲の画像の一部を切り取った撮像風景画像を表示部に表示するように構成されている。このように構成すれば、使用者の視野における風景に対して表示部に表示される撮像風景画像の範囲の調整を容易に行うことができる。
【0019】
この発明の第2の局面による配達システムは、移動体による荷物の配達時に配達者の頭部に装着される頭部装着型表示装置と、頭部装着型表示装置と通信可能であり、配達者に携帯される携帯型端末装置と、携帯型端末装置と通信可能であり、配達者による荷物の配達を管理する管理サーバと、を備える配達システムであって、頭部装着型表示装置は、内表面と外表面とを含む筐体と、筐体の内表面に設けられ、配達者の視野の一部に重なるように配置される非透過型の表示部と、筐体の外表面に設けられた撮像部と、撮像部により撮像された外部の撮像風景画像に、管理サーバから携帯型端末装置を介して取得された移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像を含む情報画像を重ねた画像を表示部に表示するように制御する制御部と、を含む。
【0020】
この発明の第2の局面による配達システムでは、上記第1の局面と同様に、頭部装着型表示装置は、非透過型の表示部と、撮像部と、撮像部により撮像された外部の撮像風景画像に、管理サーバから携帯型端末装置を介して取得された移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像を含む情報画像を重ねた画像を表示部に表示するように制御する制御部と、を備える。このように構成することにより、非透過型の表示部から、撮像部により撮像された撮像風景画像、および、撮像風景画像に重ねられた情報画像が視認可能である。そのため、ハーフミラーを介することにより暗くなる可能性がある現実の風景(撮像されていない風景)および表示画像を視認するシースルー型ヘッドマウントディスプレイ装置と比べて、視認可能な風景および表示画像が暗くなることを抑制することができるとともに、撮像風景画像の表示により画像の表示画面の範囲が死角となりにくいため、画像の表示画面のサイズの縮小化を抑制することができる。その結果、画像が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、画像が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことが可能な頭部装着型表示装置および配達システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態による頭部装着型表示装置を備える配達システムの概略を示したブロック図である。
【
図2】本実施形態による頭部装着型表示装置の使用態様および表示態様を示した模式図である。
【
図3】本実施形態による画像表示画面を示した模式図である。
【
図4】本実施形態による撮像風景画像を示す模式図である。
【
図5】本実施形態による情報画像を示す模式図である。
【
図6】本実施形態による頭部装着型表示装置の構造を説明するための縦断面模式図である。
【
図7】本実施形態による頭部装着型表示装置の正面模式図である。
【
図8】本実施形態による頭部装着型表示装置の背面模式図である。
【
図9】撮像部が撮像した撮像風景画像の範囲および第1制御部により切り取り処理された撮像風景画像の範囲を示す模式図である。
【
図10】本実施形態による配達システムによる配達業務処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】本実施形態による配達システムによる経路案内処理を説明するためのフローチャートである。
【0023】
[一実施形態]
(配達システムの構成)
図面を参照して、本発明の実施形態による頭部装着型表示装置10を含む配達システム100の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態による配達システム100は、配達者40(
図2参照)の頭部に装着される頭部装着型表示装置10と、配達者40に携帯される携帯型端末装置20と、配達者40による荷物の配達を管理する管理サーバ30と、を備える。
【0025】
(頭部装着型表示装置)
頭部装着型表示装置10は、筐体18と、第1表示部11と、撮像部12と、第1通信部13と、第1制御部14とを含む。
図2に示すように、頭部装着型表示装置10は、配達者40が装着するヘルメット41に取り付けられて固定されている。ヘルメット41には、シールド42が設けられている。シールド42は、配達者40の眼を保護するものである。シールド42は、頭部装着型表示装置10と、ヘルメット41を装着した配達者40の眼との間に配置されている。頭部装着型表示装置10は、たとえば、ヘッドマウントディスプレイ装置である。本実施形態による頭部装着型表示装置10は、表示画面が透過しない非透過型ディスプレイであり、配達者40の視界の一部に局所的に表示画面が配置されるインサイト型のディスプレイであり、配達者40の視界が覆われておらず表示画面外の領域に風景50が視認可能な開放型のディスプレイであり、表示画面を片目で見る単眼型のディスプレイである。
【0026】
図2に示すように、配達者40が頭部装着型表示装置10を装着した場合、配達者40は、シールド42を介して風景50を視認する。配達者40は、視界において風景50を視認可能であるとともに、風景50の一部に表示された画像60を視認可能である。また、詳細は後述するが、画像60の表示領域において、外部の撮像風景画像61(
図4参照)に情報画像62(
図5参照)を重ねた画像60が表示されている。なお、外部の撮像風景画像61とは、配達者40が視認するシールド42の外部の撮像風景画像61のことである。なお、風景50は配達者40の視界を模したものであり、
図2では風景50を矩形の画像のように図示しているが、実際の見え方(視界)とは異なる。
図2に示す例では、画像60は風景50の右上に表示されている。
【0027】
図6に示すように、筐体18は、一端18aと他端18bとを含む長細形状を有する。筐体18は、ヘルメット41を装着した配達者40と対向する内表面10aと、内表面10aと反対側の外表面10bとを含む。
図1に示すように、筐体18には、第1表示部11、撮像部12、第1通信部13および第1制御部14が収容されている。
【0028】
第1表示部11は、表示器15と、光学部材16と、開口部17とを含む。表示器15は、撮像部12により撮像された外部の撮像風景画像61に、自転車などの移動体(不図示)による配達に伴うナビゲーション情報画像63を含む情報画像62を重ねた画像60を表示するように構成されている。表示器15は、たとえば、液晶パネルや有機ELパネルなどにより構成されている。
図6に示すように、表示器15は、筐体18の内部の中央付近に配置されている。また、配達者40の視野における画像表示領域の大きさについても、後述する。
【0029】
図6に示すように、光学部材16は、ミラー部16aとレンズ部16bとを含む。ミラー部16aは、筐体18の内部の他端18b側に配置されている。レンズ部16bは、ミラー部16aと配達者40の眼40aとの間であって、筐体18の内部の他端18b側に配置されている。レンズ部16bは、配達者40の眼40aの前方に位置して配達者40の視界の一部に重なるように配置されている。
【0030】
図6および
図8に示すように、開口部17は、筐体の内表面10aに設けられている。開口部17は、筐体18に設けられた開口である。開口部17からは、レンズ部16bが視認可能である。レンズ部16bを視認することにより、画像60(
図2参照)を視認することができる。
【0031】
図2に示すように、配達者40の視野における風景50に対して、第1表示部11に表示された撮像風景画像61は枠状部分69を介してつながるように表示されている。
図6に示すように、枠状部分69は、筐体18における開口部17の周囲の部分である。枠状部分69により、配達者40の視界における風景50と第1表示部11による画像表示領域とは区画されている。第1表示部11は、外部の風景50を直接視認することはできない非透過型である。表示器15に表示された画像60は、ミラー部16aおよびレンズ部16bを介して開口部17により配達者40に視認可能となるように構成されている。
【0032】
第1表示部11(
図1参照)は、
図3に示すように、移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像63を含む情報画像62を表示するように構成されている。ナビゲーション情報画像63として、たとえば、進行方向を変更する次の分岐点までの距離63a、および、分岐点での進行方向63bを表示する。また、第1表示部11は、情報画像62として、たとえば、頭部装着型表示装置10の充電池19(
図6参照)の充電量64、携帯型端末装置20に対する電話着信の通知66、携帯型端末装置20に対する電子メール受信の通知65、交通事故多発地点を示す情報67、および、現在時刻情報68に関する画像を表示するように構成されている。なお、
図2、
図3および
図5において、情報画像62は便宜上黒色表示されているが、情報画像62はカラー表示であっても良く、特に限定されない。また、上記の情報画像62うちナビゲーション情報画像63以外は、配達者40による表示または非表示の設定に基づいて表示可能なように構成されていても良い。
【0033】
図2に示すように、第1表示部11は、第1表示部11に遮られて配達者40が視認することができない外部の風景50が撮像部12により撮像された撮像風景画像61に、情報画像62を重ねた画像60を表示するように構成されている。なお、撮像風景画像61を第1表示部11に表示するための事前設定、および、撮像部12により撮像される撮像風景画像61の範囲については、後述する。
【0034】
図6および
図7に示すように、撮像部12は、筐体18の外表面10bに設けられている。撮像部12は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を含むデジタルカメラである。撮像部12は、外部の風景50を撮像する。撮像部12は、第1表示部11に遮られて配達者40が視認することができない外部の風景50を撮像する。また、撮像部12は、撮像された撮像風景画像61を生成するように構成されている。なお、撮像部12およびレンズ部16bの配置関係については、後述する。
【0035】
図1に示すように、第1通信部13は、携帯型端末装置20と無線通信を行うように構成されている。無線通信はBLE(登録商標)(Bluetooth Low Energy)通信により行われる。なお、無線通信はWi-Fi(登録商標)通信により行われても良い。また、第1通信部13は携帯型端末装置20と無線通信ではなく有線通信を行うように構成されていても良い。
【0036】
第1制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。第1制御部14は、撮像部12により撮像された外部の撮像風景画像61に情報画像62を重ねた画像60を第1表示部11に表示するように制御する。また、第1制御部14は、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示された撮像風景画像61が枠状部分69を介してつながるように、撮像風景画像61を第1表示部11に表示するように構成されている。また、第1制御部14は、視認することができない外部の風景50と第1表示部11に表示された撮像風景画像61における風景とが略同一範囲となるように、撮像風景画像61を第1表示部11に表示するように構成されている。
【0037】
また、第1制御部14は、携帯型端末装置20から、
図2に示す、ナビゲーション情報63、電話着信情報66、電子メール受信情報65、交通事故多発地点を示す情報67および現在時刻情報68などを取得する。
【0038】
(携帯型端末装置)
図1に示すように、携帯型端末装置20は、入力受付部21と、第2表示部22と、位置情報取得部23と、第2通信部24と、第2制御部25とを備える。携帯型端末装置20は、たとえば、配達者40が携帯するスマートフォンである。
【0039】
入力受付部21は、タッチパネルである。入力受付部21は、配達者40による各種の操作を受け付けるように構成されている。
【0040】
第2表示部22は、各種の画像や入力受付部21を表示するように構成されている。第2表示部22は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより構成されている。
【0041】
位置情報取得部23は、GPS(グローバルポジショニングシステム)などの衛星測位システムを利用して位置情報を取得するように構成されている。
【0042】
第2通信部24は、頭部装着型表示装置10と、BLE(登録商標)(Bluetooth Low Energy)通信などにより無線通信を行うように構成されている。また、第2通信部24は、管理サーバ30と、携帯電話回線を利用した、いわゆる4G、5Gなどの移動体無線通信システムなどにより無線通信を行うように構成されている。
【0043】
第2制御部25は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。第2制御部25は、現在時刻を取得する時刻取得部26を含む。第2制御部25は、管理サーバ30から、ナビゲーション情報63および交通事故多発地点を示す情報67などを取得する。
【0044】
(管理サーバ)
管理サーバ30は、配達業務を管理するコンピュータ装置である。管理サーバ30は、図示しない制御部と、通信部と、記憶部とを含むように構成されている。
【0045】
管理サーバ30は、携帯型端末装置20と通信を行い、配達業務に関わる各種情報の送受信を行う。管理サーバ30は、顧客からの配達依頼を取得し、配達エリア内の携帯型端末装置20に対して配達依頼を送信する。管理サーバ30は、配達業務に関わる配達情報を記憶および管理する。管理サーバ30は、携帯型端末装置20から配達依頼の受注および現在位置の情報を受け付ける。管理サーバ30は、携帯型端末装置20の現在位置から配達元へ移動するための経路情報(ナビゲーション情報63)と、配達元から配達先へ移動するための経路情報とを、携帯型端末装置20に送信する。携帯型端末装置20の第2制御部25は、受信した経路情報を、頭部装着型表示装置10に送信する。頭部装着型表示装置10の第1制御部14は、受信した経路情報に基づいて、配達者40の移動中の経路案内(ナビゲーション情報63)を表示する。
【0046】
(頭部装着型表示装置の取り付け位置)
図6に示すように、頭部装着型表示装置10は、筐体18の外表面10bに設けられた撮像部12が配達者40の顔の前方の風景50を撮像可能であって、かつ、筐体18の内表面10aに設けられた開口部17が配達者40の眼40aと対向するように、ヘルメット41(
図2参照)に取り付けられて固定されている。本実施形態による頭部装着型表示装置10は、撮像部12と開口部17とが、筐体18の表裏における略同一の位置に設けられている。
【0047】
(撮像部およびレンズ部の配置関係)
図2に示すように、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示された撮像風景画像61がつながるように、撮像風景画像61は第1表示部11に表示されるように構成されている。また、配達者40の視野における風景50と第1表示部11に表示された撮像風景画像61とがつながるように、第1表示部11の光軸L1と撮像部12の光軸L2とが略同一直線上に配置されるように構成されている。すなわち、
図6に示すように、頭部装着型表示装置10のレンズ部16bの光軸L1と、撮像部12の光軸L2とが略同一直線上に配置されるように構成されている。配達者40が頭部装着型表示装置10を装着し、配達者40の視線が頭部装着型表示装置10のレンズ部16bに表示された画像に向いた場合に、配達者40の視線方向と、レンズ部16bの光軸L1および撮像部12の光軸L2が略同一直線上に配置されるように構成されている。
【0048】
(撮像風景画像の表示方法)
図2に示すように、頭部装着型表示装置10は、撮像部12が配達者40の顔の前方を撮像可能なように、配達者40が装着するヘルメット41に取り付けられて固定されている。頭部装着型表示装置10は、工場出荷前に、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示された撮像風景画像61がつながるように撮像試験が実施される。頭部装着型表示装置10は、撮像試験の結果に基づいて、第1表示部11に表示される画像の画角が調整されるとともに、適正に調整された画角が設定される。すなわち、頭部装着型表示装置10の工場出荷前に、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示された撮像風景画像61が、配達者40にとって違和感がなくつながるように画角が予め設定されている。
【0049】
また、
図9に示すように、撮像部12は、第1制御部14により第1表示部11に表示される撮像風景画像61aの範囲よりも大きい範囲の画像61bを撮像するように構成されている。
図9において、撮像部12が撮像した撮像風景画像61bの範囲が実線により示され、第1制御部14により切り取り処理された撮像風景画像61aの範囲が破線により示されている。第1制御部14は、撮像部12が撮像した第1表示部11に表示される撮像風景画像61aの範囲よりも大きい範囲の画像61bを取得する。第1制御部14は、視認することができない外部の風景50と第1表示部11に表示された撮像風景画像61aにおける風景とが略同一範囲となるように、撮像部12が撮像した撮像風景画像61bの一部を切り取る処理を行う。第1制御部14は、撮像部が撮像した撮像風景画像61bの一部を切り取った撮像風景画像61aを第1表示部11に表示する。
【0050】
(配達者の視野における画像の大きさ)
配達者40の視野全体に対して部分的に画像60が表示される際に、光学部材16により、配達者40の視野における画像60の対角D(
図4参照)が15度以上30度以下となるように画像60の大きさが設定されている。ここで、本実施形態による頭部装着型表示装置10を装着した配達者40は、
図2に示すように、シールド42越しに頭部装着型表示装置10の表示画面を視認する。そのため、シールド42に起因して、配達者40の水平方向の視野の角度は60度~70度に絞られていると考えられる。配達者40の水平方向の視野の角度が60度~70度である場合、頭部装着型表示装置10の表示画面のサイズは、配達者40の全視野に対して略4分の1の範囲(全視野における水平方向に略2分の1、垂直方向に略2分の1の範囲)となるように設定されている。
図2は実際の見え方(視界)とは異なるが、頭部装着型表示装置10の表示画面のサイズは、
図2に示すような配達者40の全視野に対して略4分の1の範囲となるように設定されている。また、本実施形態による頭部装着型表示装置10は、配達者40の視野の4m先に水平方向900mm、垂直方向500mmのサイズの表示画面に表示された撮像風景画像61および情報画像62が視認可能なように構成されている。
【0051】
(配達システムによる配達業務処理および経路案内処理)
図10および
図11を参照して、本実施形態による配達システム100による経路案内を伴う配達業務処理および経路案内処理について説明する。
【0052】
(配達業務処理)
図10を参照して、本実施形態の携帯型端末装置20による配達業務処理を説明する。なお、管理サーバ30による経路案内は、以下の配達業務処理におけるステップS14において実行される。
【0053】
ステップS11において、第2通信部24は、管理サーバ30から送信された配達依頼を受信する。第2制御部25は、受信した配達依頼を第2表示部22に表示するなどにより配達者40に通知する。配達者40は、表示された配達依頼を確認し、配達依頼を受託するか否かを決定する。その後、処理はステップS12に進む。
【0054】
ステップS12において、第2制御部25は、配達者40による受託の操作入力を入力受付部21により受け付けたことに基づいて、受信した配達依頼が受託されたか否かを判断する。配達依頼が受託された場合、処理はステップS13に進み、配達依頼が受託されなかった場合、処理はステップS11に進み、新たな配達依頼を受け付ける。
【0055】
ステップS13において、第2制御部25は、位置情報取得部23から現在位置情報を取得する。第2通信部24は、取得した現在位置情報を管理サーバ30に送信する。その後、処理はステップS14に進む。
【0056】
ステップS14において、第2通信部24は、管理サーバ30から送信された、現在位置から目的地である配達元までの経路情報と、配達元から次の目的地である配達先までの経路情報とを受信する。また、第2通信部24は、第1通信部13に受信した経路情報を送信する。その後、処理はステップS15に進む。
【0057】
ステップS15において、配達者40は、頭部装着型表示装置10に表示された経路情報(ナビゲーション情報63)に従って、配達元へ自転車などを運転して移動する。配達者40は、受託した配達依頼の荷物を受け取る。その後、処理はステップS16に進む。
【0058】
ステップS16において、配達者40は、頭部装着型表示装置10に表示された経路情報(ナビゲーション情報63)に従って、配達先へ自転車などを運転して移動する。配達者40は、受託した配達依頼の荷物を引き渡す。その後、処理は終了する。
【0059】
(経路案内処理)
図11を参照して、本実施形態の管理サーバ30による経路案内処理を説明する。
【0060】
ステップS21において、管理サーバ30は、顧客からの配達依頼の取得に基づいて、配達エリア内の携帯型端末装置20に対して配達依頼を送信する。その後、処理はステップS22に進む。
【0061】
ステップS22において、管理サーバ30は、携帯型端末装置20から配達依頼の受注を受け付ける。その後、処理はステップS23に進む。
【0062】
ステップS23において、管理サーバ30は、携帯型端末装置20から現在位置情報を受信する。その後、処理はステップS23に進む。
【0063】
ステップS24において、管理サーバ30は、携帯型端末装置20の現在位置から配達元へ移動するための経路情報と、配達元から配達先へ移動するための経路情報とを作成する。その後、処理はステップS25に進む。
【0064】
ステップS25において、管理サーバ30は、携帯型端末装置20の現在位置から配達元へ移動するための経路情報と、配達元から配達先へ移動するための経路情報とを携帯型端末装置20に送信する。その後、処理は終了する。
【0065】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、上記のように、頭部装着型表示装置10は、配達者40の視野の一部に重なるように配置される非透過型の第1表示部11と、撮像部12と、撮像部12により撮像された外部の撮像風景画像61に、移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像63を含む情報画像62を重ねた画像60を第1表示部11に表示するように制御する第1制御部14と、を備える。これにより、非透過型の第1表示部11から、撮像部12により撮像された撮像風景画像61、および、撮像風景画像61に重ねられた情報画像62が視認可能である。そのため、ハーフミラーを介することにより暗くなる可能性がある現実の風景(撮像されていない風景)および表示画像を視認するシースルー型ヘッドマウントディスプレイ装置と比べて、視認可能な風景50および表示画像が暗くなることを抑制することができるとともに、撮像風景画像61の表示により画像の表示画面の範囲が死角となりにくいため、画像の表示画面のサイズの縮小化を抑制することができる。その結果、画像60が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示された撮像風景画像61がつながるように、撮像風景画像61を第1表示部11に表示するように構成されている。これにより、配達者40の視野における風景50に対する第1表示部11に表示された撮像風景画像61のずれに起因する、配達者40の違和感が低減された良好な画像表示を行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、第1表示部11の光軸L1と撮像部12の光軸L2とが略同一直線上に配置されるように構成されている。これにより、第1表示部11に遮られて配達者40が視認することができない風景の範囲と撮像部12による撮像範囲とを容易に略一致させることができる。そのため、配達者40の視野における風景50に対する第1表示部11に表示された撮像風景画像61のずれが抑制された良好な画像表示を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、撮像風景画像61は、第1表示部11に遮られて配達者が視認することができない外部の風景50が撮像部12により撮像された画像であり、第1制御部14は、視認することができない外部の風景50と第1表示部11に表示された撮像風景画像61における風景とが略同一範囲となるように、撮像風景画像61を第1表示部11に表示するように構成されている。これにより、配達者40の視野における風景50に対する第1表示部11に表示された撮像風景画像61のずれが抑制された良好な画像表示をより容易に行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、第1表示部11は、光学部材16をさらに含み、配達者40の視野全体に対して部分的に画像が表示される際に、光学部材16により、配達者40の視野における画像の対角Dが15度以上30度以下となるように画像の大きさが設定されている。これにより、配達者40の視野において配達者40に容易に視認可能な画像サイズとすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、ナビゲーション情報画像63は、少なくとも、進行方向を変更する次の分岐点までの距離63aおよび分岐点での進行方向63bを示す情報画像を含む。このように構成すれば、移動体による移動をより容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、充電池19をさらに備え、情報画像62は、充電池19の充電量に関する情報画像64、および、事故多発地点に関する情報画像67のうちの少なくとも1つをさらに含む。充電池19の充電量に関する情報画像64を含むことにより、配達者40は充電池19の充電量を容易に把握することができるため、充電切れに起因して第1表示部11に画像60を表示できなくなることを抑制することができる。また、事故多発地点に関する情報画像67を含むことにより、配達者40は事故多発地点に関する情報67に基づいてより慎重に移動を行うことができる。そのため、移動体による移動をさらに容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、撮像部12は、第1制御部14により第1表示部11に表示される撮像風景画像61aの範囲よりも大きい範囲の画像61bを撮像するように構成され、第1制御部14は、大きい範囲の画像61bの一部を切り取った撮像風景画像61aを第1表示部11に表示するように構成されている。これにより、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示される撮像風景画像61の範囲の調整を容易に行うことができる。
【0073】
(本実施形態による配達システムの効果)
本実施形態の配達システム100では、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
本実施形態の配達システム100では、上記のように、頭部装着型表示装置10は、非透過型の第1表示部11と、撮像部12と、撮像部12により撮像された外部の撮像風景画像61に、管理サーバ30から携帯型端末装置20を介して取得された移動体による移動に伴うナビゲーション情報画像63を含む情報画像62を重ねた画像60を第1表示部11に表示するように制御する第1制御部14と、を備える。これにより、非透過型の第1表示部11から、撮像部12により撮像された撮像風景画像61、および、撮像風景画像61に重ねられた情報画像62が視認可能である。そのため、ハーフミラーを介することにより暗くなる可能性がある現実の風景(撮像されていない風景)および表示画像を視認するシースルー型ヘッドマウントディスプレイ装置と比べて、視認可能な風景50および表示画像が暗くなることを抑制することができるとともに、撮像風景画像61の表示により画像の表示画面の範囲が死角となりにくいため、画像の表示画面のサイズの縮小化を抑制することができる。その結果、画像60が見にくくなることを抑制することにより、移動体による移動を容易に行うことができる。
【0075】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記実施形態では、頭部装着型表示装置10は、自転車などの移動体による荷物の配達時に配達者40の頭部に装着されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、頭部装着型表示装置10は、荷物の配達時に限定されず、移動体による移動時に使用者の頭部に装着されていても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、撮像部12により撮像された外部の撮像風景画像61に情報画像62を重ねた画像を第1表示部11に表示するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。第1制御部14は、撮像部12により撮像された撮像風景画像61の画素値に基づいて、撮像風景画像61のコントラスト比を変更するように構成されていても良い。これにより、配達者40の周囲の明暗に基づいて撮像風景画像61のコントラスト比を変更することができるため、画像60が見にくくなることを抑制することができる。そのため、移動体による移動を容易に行うことができる。
【0078】
たとえば、第1制御部14は、撮像部12により撮像された撮像風景画像61の画素値に基づいて配達者40の周囲の明るさを判定し、判定結果に応じて第1表示部11に表示される撮像風景画像61のコントラスト比を変更するように構成されていても良い。第1制御部14は、撮像部12により撮像された撮像風景画像61の画素値に基づいて配達者40の周囲が暗いと判定した場合には、撮像風景画像61のコントラスト比を高くする制御を行い、撮像部12により撮像された撮像風景画像61の画素値に基づいて配達者40の周囲が明るいと判定した場合には、撮像風景画像61のコントラスト比を低くする制御を行うように構成されていても良い。なお、頭部装着型表示装置10は、外光を検出する光センサ(不図示)をさらに含み、第1制御部14は、光センサが検出した検出値を取得するとともに、取得した検出値に基づいて、撮像風景画像61のコントラスト比を変更するように構成されていても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、第1表示部11に遮られて視認することができない外部の風景50と第1表示部11に表示された撮像風景画像61における風景とが略同一範囲となるように、撮像風景画像61を第1表示部11に表示するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1制御部14は、撮像部12により撮像される画角を拡大するとともに、第1表示部11に表示される撮像風景画像61の範囲を、第1表示部11に遮られて視認することができない外部の風景50と略同一範囲ではなく、上記外部の風景50よりも広範囲とするように構成されていても良い。また、第1表示部11に表示される撮像風景画像61の範囲を外部の風景よりも広範囲とする場合、第1制御部14は、撮像部12により撮像された撮像風景画像61の画素値に基づいて、広範囲の撮像風景画像61のコントラスト比を変更するように構成されていても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、頭部装着型表示装置10は、工場出荷前に、配達者40の視野における風景50に対して第1表示部11に表示された撮像風景画像61が、配達者40にとって違和感がなくつながるように画角が予め設定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、配達者40による携帯型端末装置20に対する操作に基づいて、第1制御部14は、第1表示部11に表示された撮像風景画像61の範囲を微調整することができるように構成されていても良い。たとえば、第1制御部14は、撮像部12により撮像された撮像風景画像61を切り取る範囲を変更するなどして、撮像風景画像61の範囲を微調整することができるように構成されていても良い。なお、第1制御部14ではなく、第2制御部25により、上記の撮像風景画像61の範囲の微調整が実行されるように構成されていても良い。
【符号の説明】
【0081】
10 頭部装着型表示装置
10a 内表面
10b 外表面
11 第1表示部
12 撮像部
14 第1制御部
16 光学部材
18 筐体
30 管理サーバ
60 画像
61 撮像風景画像
61a 切り取り処理された撮像風景画像
61b 大きい範囲の撮像風景画像
62 情報画像
63 ナビゲーション情報画像
63a 進行方向を変更する次の分岐点までの距離を示す情報画像
63b 分岐点での進行方向を示す情報画像
64 充電池の充電量に関する情報画像
67 事故多発地点に関する情報画像
100 配達システム
L1、L2 光軸
D 対角