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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163822
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20221020BHJP
   F04B 23/06 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B05C11/10
F04B23/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068884
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 丈夫
【テーマコード(参考)】
3H071
4F042
【Fターム(参考)】
3H071AA11
3H071BB01
3H071CC41
3H071CC47
3H071DD04
3H071DD13
3H071DD61
3H071DD72
3H071DD89
4F042AA07
4F042AB00
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB20
4F042CB25
(57)【要約】
【課題】フィルタが設けられた液体供給路内を循環する液体量を増加させ、液体に含まれる異物の低減量を高める。
【解決手段】液体供給装置10は、液体収容部11に収容された液体を塗布具13に供給する液体供給路12にそれぞれ設けられる第1のポンプ21および第2のポンプ22と、塗布具13に向けて流れる液体を濾過するフィルタ15と、フィルタを通過した液体を液体収容部11に戻す戻し流路27と、を有し、戻し流路27に液体を供給し塗布具13への液体の供給を停止する循環モードにおいては、第1のポンプ21と第2のポンプ22のいずれかが液体を戻し流路27に連続的に供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布物に液体を塗布する塗布具に、液体収容部に収容された液体を供給する液体供給装置であって、
前記液体収容部に収容された液体を前記塗布具に供給する液体供給路にそれぞれ設けられる第1のポンプおよび第2のポンプと、
前記液体供給路に設けられ、前記塗布具に向けて流れる液体を濾過するフィルタと、
前記フィルタを通過した液体を前記液体収容部に戻す戻し流路と、
前記塗布具に液体を供給し前記戻し流路への液体の供給を停止する塗布モードおよび前記戻し流路に液体を供給し前記塗布具への液体の供給を停止する循環モードに、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを制御する制御部と、
を有し、
前記塗布モードにおいて、前記第1のポンプと前記第2のポンプの一方は、被塗布物へ塗布量の液体を吐出し、
前記循環モードにおいて、前記第1のポンプと前記第2のポンプの他方は、前記戻し流路への戻し流量の液体を連続して流す、液体供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体供給装置において、
前記第1のポンプと前記第2のポンプは直列に接続され、下流側のポンプと前記塗布具との間に前記フィルタが配置され、前記塗布具と前記フィルタの間に前記戻し流路と前記液体供給路を接続する接続部が設けられる、液体供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体供給装置において、
前記接続部と前記塗布具の間に設けられる塗布バルブと、
前記戻し流路に設けられる循環バルブと、を有し、
前記循環モードでは、前記塗布バルブを閉じるとともに前記循環バルブを開き、
前記塗布モードでは、前記塗布バルブを開くとともに前記循環バルブを閉じる液体供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の液体供給装置において、
前記接続部に、前記塗布モードと前記循環モードを切り替える切換手段を設ける、液体供給装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の液体供給装置において、前記第2のポンプは、少なくとも2つのポンプ室を有し、循環モードにおいて1つのポンプ室が収縮するとき、他のポンプ室は膨張する、液体供給装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記第2のポンプは、前記第1のポンプの上流に設置され、
前記塗布モードでは、前記第1のポンプのみによって塗布量の液体を前記被塗布物に塗布し、前記循環モードでは、前記第2のポンプのみによって戻し流量の液体を前記戻し流路に流す、液体供給装置。
【請求項7】
請求項6記載の液体供給装置において、前記第1のポンプは、径方向に膨張収縮し内側にポンプ室が形成されたチューブフラムと、当該チューブフラムが組み込まれ当該チューブフラムとの間で液体収容室を形成する収容部材と、前記液体収容室内に充填される液媒体とを備え、液媒体により前記チューブフラムを膨張収縮してポンプ動作を行うチューブフラムポンプである、液体供給装置。
【請求項8】
請求項6記載の液体供給装置において、前記第1のポンプは、軸方向に伸縮するベローズと、当該ベローズが組み込まれ当該ベローズとの間で液体収容室を形成する収容部材と、前記液体収容室に充填される液媒体とを備え、前記ベローズを軸方向に伸縮駆動してポンプ動作を行うベローズポンプである、液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬液などの液体を被塗布物に塗布する液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶基板の製造プロセスにおいては、フォトレジスト液などの薬液が使用されている。例えば、半導体デバイスの製造プロセスにおいては、半導体ウエハの表面にフォトレジスト液を塗布するために、半導体ウエハを水平面内に回転させた状態のもとで、半導体ウエハの表面にフォトレジスト液を滴下するようにしている。レジスト液の塗布のために使用される薬液供給装置に用いられるポンプには、径方向に膨張収縮自在の可撓性チューブであるチューブフラムを備えたチューブフラムポンプと、軸方向に伸縮自在の可撓性のベローズを備えたベローズポンプ等がある。これらのポンプは、吸入工程と吐出工程とを有する容積式のポンプである。
【0003】
チューブフラムポンプは、特許文献1に記載されるように、流入側の継手部材と流出側の継手部材との間に配置されるチューブフラムつまり可撓性のチューブを有している。チューブの内側は膨張収縮するポンプ室を形成し、チューブの外側には非圧縮性の液媒体が充填される駆動室が形成される。チューブは容器の内部に収容されて容器とチューブとの間に駆動室が形成される容器収容タイプと、径の相違した大小2つのベローズが連結されたベローズの内部に収容され、ベローズとチューブとの間に駆動室が形成されるベローズ収容タイプとがある。
【0004】
容器収容タイプにおいては、容器の外部からの液媒体の給排により、駆動室内の液媒体を介してポンプ室が膨張収縮してポンプ動作が行われる。一方、ベローズ収容タイプにおいては、連結部を軸方向に往復動させることにより、大小2つのベローズの内側に形成される駆動室内の液媒体を介してポンプ室が膨張収縮してポンプ動作が行われる。
【0005】
ベローズポンプは、特許文献2に記載されるように、ポンプケースとしてのポンプブロックと、その内部に配置されるベローズとを有し、ベローズとポンプケースとの間にはポンプ室が形成される。ベローズは軸方向に伸縮自在のベローズ部と、ベローズ部の先端に設けられた先端部と、ベローズ部の基端に設けられた環状の基端部とを備えている。ベローズの内部に配置される駆動軸はベローズ部の先端部に連結され、駆動軸によりベローズ部は軸方向に伸縮してポンプ室が膨張収縮してポンプ動作が行われる。特許文献2は2つのベローズにより2つのポンプ室を交互に膨張収縮させて連続的に液体を吐出するベローズポンプが記載されている。
【0006】
ベローズ収容タイプのチューブフラムポンプを備えた薬液供給装置が特許文献3に記載されている。この薬液供給装置は、ボトルに収容されたレジスト液やポリイミド液等の薬液つまり液体を、ウエハ等の被塗布物に塗布するノズルつまり塗布具に供給する液体供給路を有し、ポンプとフィルタが液体供給路に設けられている。ポンプから吐出された液体は、塗布具に供給されるとともに、液体供給路の上流部やボルトに戻すための戻し流路を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-83337号公報
【特許文献2】特開平10-54368号公報
【特許文献3】特開2000-120530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液体供給路に戻し流路が設けられた液体供給装置においては、塗布具から液体が塗布されていないときには、戻し流路を介して液体を上流部に戻すことができる。これにより、液体はフィルタを複数回通過させて濾過するので、液体に含まれている微小粒子つまりパーティクルや気泡等の異物をフィルタにより除去し、被塗布物に塗布される液体に含まれる異物を低減することができる。
【0009】
近年、半導体製造技術等の分野においては製造歩留まりを向上するために、液体に含まれる異物の低減率ないし低減量をより高めることが望まれている。戻し流路によりボトル側に戻される液体の流量を高めることにより、フィルタを通過する液体の循環回数を増加させれば、被塗布物に含まれる異物の低減量を高めることが考えられる。
【0010】
液体の循環回数を増加させるには、限られた時間内での液体の流量を増加させる必要がある。しかしながら、可撓性の樹脂材料からなるチューブフラムやベローズ等をポンプ部材とするポンプは、被塗布物への塗布量ないし塗布動作に最適化された構造となっており、このタイプのポンプの流量を増加させるには限界がある。
【0011】
本発明の目的は、フィルタが設けられた液体供給路内を循環する液体量を増加させ、液体に含まれる異物の低減量を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の液体供給装置は、被塗布物に液体を塗布する塗布具に、液体収容部に収容された液体を供給する液体供給装置であって、前記液体収容部に収容された液体を前記塗布具に供給する液体供給路にそれぞれ設けられる第1のポンプおよび第2のポンプと、前記液体供給路に設けられ、前記塗布具に向けて流れる液体を濾過するフィルタと、前記フィルタを通過した液体を前記液体収容部に戻す戻し流路と、前記塗布具に液体を供給し前記戻し流路への液体の供給を停止する塗布モードおよび前記戻し流路に液体を供給し前記塗布具への液体の供給を停止する循環モードに、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプを制御する制御部と、を有し、前記塗布モードにおいて、前記第1のポンプと前記第2のポンプの一方は、被塗布物へ塗布量の液体を吐出し、前記循環モードにおいて、前記第1のポンプと前記第2のポンプの他方は、前記戻し流路への戻し流量の液体を連続して流す。
【発明の効果】
【0013】
循環モードにおいては戻し流路に液体が連続的に循環し、戻し流路により液体収容部に向けて戻された液体が液体供給路に供給されるので、液体はフィルタを複数回通過し、液体に含まれる異物を低減させることができる。第1と第2のポンプを備えているので、循環モードにおいて液体を常に循環させるとともに、塗布モードにおいて吐出量を高精度に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施の形態である液体供給装置を示す概略図である。
図2】液体供給装置の制御回路を示すブロック図である。
図3】チューブフラムポンプの一例を示す断面図である。
図4】変形例であるチューブフラムポンプを示す断面図である。
図5】ベローズポンプの外観を示す正面図である。
図6図5におけるA-A線断面図である。
図7図5におけるB-B線断面図である。
図8】塗布具からの液体の塗布動作を行うためのポンプ駆動例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1に示す液体供給装置10は、液体収容部11に収容されたフォトレジスト液等の液体Lを、半導体ウエハ等の被塗布物Wに塗布するために使用される。液体供給装置10は、配管やホース等からなる液体供給路12を有し、液体供給路12の先端にはノズル等の塗布具13が設けられており、液体供給路12の基端部には、液体収容部11が設けられている。
【0016】
2台のポンプ21、22が液体供給路12に直列となって設けられており、液体供給路12の下流側に設置されるポンプ21を第1のポンプとし、上流側に設置されるポンプ22を第2のポンプとする。両方のポンプ21、22により液体収容部11内の液体は塗布具13に供給される。液体収容部11は、タンク11aと、バッファタンク11bからなり、タンク11a内の液体残量が所定値以下の空となったときには、新たなタンクに交換される。その交換時においても、塗布具13に液体を供給するために、ポンプ22の上流側に位置させて液体供給路12にはバッファタンク11bが設けられている。バッファタンク11bは、空のタンク11aを液体が充満された新たなタンク11aに交換するための時間的猶予のためであり、タンク11aの交換作業はバッファタンク11b内の液体が空になるまでに行われる。
【0017】
ポンプ21から吐出された液体を濾過するためのフィルタ15がポンプ21よりも下流側に設けられている。フィルタ15内の気体を外部に排出するためにベント流路16がフィルタ15に接続されている。また、バッファタンク11b内の気体を外部に排出するためにベント流路17がバッファタンク11bに接続されている。それぞれのベント流路16、17には開閉バルブ18、19が設けられている。
【0018】
バッファタンク11b内の気体を外部に排出するために、加圧流路23がタンク11aに接続され、加圧流路23により外部から不活性ガスである窒素ガスが供給される。開閉バルブ19によりベント流路17を開放した状態のもとで、加圧流路23に設けられた開閉バルブ24により加圧流路23から不活性ガスをタンク11a内に供給すると、バッファタンク11b内の気体はベント流路17により外部に排出される。開閉バルブ18によりベント流路16を開放させた状態のもとで、タンク11a内に不活性ガスを供給すると、フィルタ15内の気体は外部に排出される。ただし、フィルタ15内の気体は、開閉バルブ18によりベント流路16を開放した状態のもとでポンプ21から液体を吐出させることによっても排出することができる。それぞれのベント流路16、17から気体を排出するときに気体とともに排出された液体等を回収するために、ベント流路16、17の排出端は回収容器25内に配置されている。
【0019】
フィルタ15により濾過された液体を塗布具13から被塗布物Wに塗布するために、塗布バルブ26が液体供給路12に設けられている。フィルタ15を通過した液体を液体収容部11に戻すための戻し流路27が液体供給路12に接続されている。戻し流路27の上流端はフィルタ15と塗布バルブ26との間の接続部29で液体供給路12に接続され、戻し流路27の下流端部は液体収容部11に接続されている。戻し流路27には循環バルブ28が設けられている。戻し流路27の下流端部は、タンク11a、バッファタンク11b、またはバッファタンク11bとポンプ22との間に接続することができる。
【0020】
図2は液体供給装置の制御回路を示すブロック図であり、上述した第1のポンプ21、第2のポンプ22、塗布バルブ26および循環バルブ28は、制御部30により作動が制御される。制御部30は操作盤20に接続されており、操作盤20に設けられた図示しない指令キーにより液体供給装置10の作動が開始される。制御部30は制御信号を演算するマイクロプロセッサや制御プログラムが格納されるメモリ等を有している。
【0021】
制御部30によってポンプ21、22とバルブ26、28の作動が制御され、液体供給装置10は塗布モードと循環モードに設定される。図1に示した他の部材も制御部30から信号により制御されるが、図2においては、塗布モードと循環モードとに設定する部材のみが示されている。
【0022】
図3はチューブフラムポンプ31を示す断面図であり、このチューブフラムポンプ31は容積式であり、図1に示したポンプ21、22として適用することができる。
【0023】
図3に示されるように、チューブフラムポンプ31は、収容部材としての円筒形状の収容容器32と、これの一端部に設けられる流入側の継手部材33と、他端部に設けられる流出側の継手部材34とを有している。流入側の継手部材33には液体供給路12の流入側部12aが接続され、流出側の継手部材34には流出側部12bが接続される。可撓性のチューブつまりチューブフラム35が収容容器32内に設けられており、チューブフラム35は、流入側の継手部材33に固定される流入側の固定端部36と、流出側の継手部材34に固定される流出側の固定端部37と、両方の固定端部36、37の間の弾性変形部38とを有している。継手部材33,34とチューブフラム35は、それぞれフッ素樹脂等の合成樹脂により形成されている。
【0024】
チューブフラム35によりその内側のポンプ室39と、外側の液体収容室41とに仕切られており、液体収容室41はチューブフラム35と収容容器32との間に形成されている。このように、チューブフラム35が収容容器32内に設けられており、このチューブフラムポンプ31は容器収容タイプである。
【0025】
液体収容室41には非圧縮性である液体が液媒体Mとして充填されており、収容容器32に形成された給排ポート42を介して外部から液体収容室41に液媒体Mが供給される。給排ポンプ43が給排ポート42に接続されている。この給排ポンプ43は直線往復動するロッド44に取り付けられたベローズ45を有しており、ロッド44は電動モータや空気圧シリンダ等の駆動部材により軸方向に駆動される。ベローズ45の外側の液体収容室46にも液媒体が充填されており、液媒体Mにより液体収容室46はチューブフラムポンプ31の液体収容室41に連通している。
【0026】
給排ポンプ43を駆動することにより、液体収容室46から液体収容室41に向けて液媒体Mが供給されると、液体収容室41の液媒体によりチューブフラム35の弾性変形部38は径方向に収縮しポンプ室39が収縮する。一方、液体収容室41から液媒体が排出されると、弾性変形部38は径方向に膨張し、ポンプ室39が膨張する。逆止弁47が液体供給路12の流入側部12aに設けられ、逆止弁48が流出側部12bに設けられており、ポンプ室39が膨張すると、流入側部12aから液体Lがポンプ室39に流入する。このときには、流出側部12bからの液体の逆流が阻止される。一方、ポンプ室39が収縮すると、ポンプ室39から流出側部12bに向けて液体Lが流出する。このときには、流入側部12aへの液体の逆流が阻止される。逆止弁47を継手部材33に組み込み、逆止弁48を継手部材34に組み込むこともできる。また、給排ポンプ43にベローズ45を設けることなく、ロッド44によって液媒体Mを、液体収容室41に給排してもよい。
【0027】
図4は変形例であるチューブフラムポンプ51を示す断面図であり、このチューブフラムポンプ51も図1に示したポンプ21,22として適用することができる。
【0028】
このチューブフラムポンプ51は、チューブフラム35が収容部材としてのベローズ容器52の内部に収容されており、ベローズ収容タイプである。ベローズ容器52は、流入側の継手部材33に取り付けられる固定リング53と、流出側の継手部材34に取り付けられる固定リング54とを有している。固定リング53には大型のベローズ55が設けられ、固定リング54には小型のベローズ56が設けられており、両方のベローズ55,56の間には作動リング57が設けられている。大型のベローズ55の平均有効径は小型のベローズ56の平均有効径よりも大径である。ベローズ容器52は、両方の固定リング53,54とこれらの間の部分を含めてフッ素樹脂等の剛性樹脂により一体に成形されている。
【0029】
図3に示したものと同様のチューブフラム35がベローズ容器52の内部に装着されており、チューブフラム35とベローズ容器52の間に液体収容室41が形成されている。両方のベローズ55、56を軸方向に変形させて液体収容室41の液媒体Mを介してポンプ室39を径方向に膨張収縮させるために、ポンプ駆動ユニット61がベローズ容器52に取りつけられている。ポンプ駆動ユニット61は、電動モータ62により動力伝達機構63を介して駆動されるボールねじ64と、ボールねじ64にねじ結合されるボールナット65とを有し、ボールナット65には作動リング57に係合する作動部材66が設けられている。
【0030】
電動モータ62により作動リング57が図4において上方に向けて駆動されると、大型のベローズ55が軸方向に伸張し小型のベローズ56が軸方向に収縮するので、ベローズ全体の平均有効径が大きくなる。これにより、チューブフラム35が径方向に膨張しポンプ室39内に流入側部12aから液体Lが流入する。一方、作動リング57が逆方向に駆動されると、大型のベローズ55が軸方向に収縮し小型のベローズ56が軸方向に伸張するので、ベローズ全体の平均有効径が小さくなる。これにより、チューブフラム35が径方向に収縮してポンプ室39内の液体Lが流出側部12bから流出する。
【0031】
したがって、電動モータ62によりボールナット65を直線往復動することによってチューブフラム35の弾性変形部38が膨張収縮し、図3に示したチューブフラムポンプ31と同様に、液体Lがポンプ室39から流出側部12bに向けて流出され、ポンプ動作が行われる。
【0032】
図3および図4に示したチューブフラムポンプ31、51は、ポンプ室39からの液体の吐出動作と、吸入動作とが交互に行われる間欠吐出ポンプである。間欠吐出ポンプは吐出量を高精度に制御できる。少なくとも2台のチューブフラムポンプを1つにユニット化し、少なくとも2つのポンプ室を有するポンプとして、1つのポンプ室が収縮して吐出動作を行っている時に、他のポンプ室を膨張させて吸入動作するように設定すると、液体を連続的に吐出できる連続吐出ポンプとなる。
【0033】
図5図7は、容積式ポンプの変形例としてのベローズポンプ71を示す。このベローズポンプ71は、ポンプハウジング72と駆動ユニット73とを有し、ポンプハウジング72は、フッ素樹脂等の合成樹脂からなるポンプブロック74を備えている。2つのポンプ室39a、39bがポンプブロック74に形成されており、ポンプ室39aにはベローズ75aが組み込まれ、ポンプ室39bにはベローズ75bが組み込まれている。それぞれのベローズ75a、75bは、ポンプブロック74に固定される環状基部76a、76bと閉塞端部77a、77bとこれらの間の伸縮自在のベローズ部78a、78bと有しており、合成樹脂により形成されている。
【0034】
それぞれのベローズ部78a、78bを軸方向に伸縮駆動するために、ベローズ75a、75bの内部には駆動軸79a、79bが配置され、それぞれの駆動軸79a、79bの先端は閉塞端部77a、77bに取り付けられている。ナット81a、81bが駆動軸79a、79bの大径の基端部に取り付けられ、ボールねじ82a、82bがナット81a、81bにねじ結合されている。ボールねじ82a、82bは駆動ユニット73に設けられた軸受83a、83bにより回転自在に支持されている。ボールねじ82aは電動モータ84aのシャフトに継手85aにより連結され、ボールねじ82bは電動モータ84bのシャフトに継手85bにより連結されている。
【0035】
図7に示されるように、流入側ブロック86がポンプブロック74の下面に取り付けられ、流出側ブロック87が上面に取り付けられている。液体供給路12の流入側部12aに連通する流入流路88a、88bが流入側ブロック86に形成され、流入流路88aはポンプ室39aに連通し、流入流路88bはポンプ室39bに連通している。流出側部12bに連通する流出流路89a、89bが流出側ブロック87に形成され、流出流路89aはポンプ室39aに連通し、流出流路89bはポンプ室39bに連通している。それぞれの流入流路88a、88bには逆止弁47a、47bが設けられ、それぞれの流出流路89a、89bには逆止弁48a、48bが設けられている。
【0036】
電動モータ84a、84bの駆動により、ベローズ75a、75bを伸張させるとポンプ室39a、39bが収縮し、逆止弁48a、48bを通過して流出側部12bに液体Lが吐出される。一方、ベローズ75a、75bを収縮させるとポンプ室39a、39bが膨張し、逆止弁47a、47bを通過して流入側部12aから液体が流入する。図6においては、ベローズ75bが伸張し、ベローズ75aが収縮した状態が示されている。
【0037】
ベローズポンプ71は、2つのベローズ75a、75bを備えているので、ベローズ75a、75bの一方を伸張させてポンプ室39a、39bの一方から液体を吐出しているときに、ベローズ75a、75bの他方を収縮させてポンプ室39a、39bの他方に液体を吸入することにより、流出側部12bに連続的に液体Lを吐出することができる連続吐出ポンプである。それぞれの電動モータ84a、84bの回転数と回転方向を検出するために、電動モータ84a、84bにはエンコーダ90a、90bが設けられている。
【0038】
図1に示されるように、2台のポンプ21、22が液体供給路12に設けられている。塗布バルブ26が開放操作され循環バルブ28が閉塞操作されると、第1のポンプ21と第2のポンプ22のどちらか一方は、塗布具13に液体を供給して、被塗布物Wへ塗布量の液体を吐出する。一方、塗布バルブ26が閉塞操作され循環バルブ28が開放操作されると、第1のポンプ21と第2のポンプ22の他方は、戻し流路27には戻し流量の液体を供給する。両方のポンプ21,22から吐出された液体は、全てフィルタ15を通過して、戻し流路27と塗布具13に供給されるので、液体をフィルタ15に複数回通過させることにより、液体の清浄度を高めることができる。
【0039】
図8は、下流に設けられる第1のポンプ21を間欠吐出ポンプとし上流に設けられる第2のポンプを連続吐出ポンプとした場合に、塗布具13からの液体Lの塗布動作を行う塗布モードと循環動作を行う循環モードを示すタイムチャートである。図8の塗布流量は、塗布具13に流れる液体の流量を示し、循環流量は戻し流路27を流れる液体の流量を示している。
【0040】
塗布モードにおいては、塗布バルブ26が開き、循環バルブ28を閉じるので、被塗布物Wに液体が吐出され、戻し流路27への液体の供給が停止される。一方、循環モードにおいては、塗布バルブ26を閉じ、循環バルブ28を開くので、被塗布物Wへの吐出が停止され、戻し流路27への液体が供給される。塗布バルブ26と循環バルブ28に代えて、接続部29に塗布モードと循環モードを切り替える切換手段としての三方弁を設けてもよい。
【0041】
循環モードにおいては連続吐出ポンプである第2のポンプ22のみを駆動するので、常に戻し流路27に液体を循環させることができる。そのため、循環モードにおいては、循環する液体量を増加させて、液体に含まれる異物の低減量を高めることができる。また、塗布モードにおいては、間欠吐出ポンプである第1のポンプ21のみを駆動するので、吐出量を高精度に制御することができる。なお、第1のポンプの吸入動作は、循環モード中に行ってもよいし塗布モード中に行ってもよい。
【0042】
両方のポンプ21、22としてチューブフラムポンプ31、51とベローズポンプ71の一方を使用すると、ピストンタイプのポンプと相違して、摺動部分がないので、摩耗粉等の異物が液体に含まれる可能性を低減することができる。また、両方のポンプ21、22を直列に配置すると、常に液体が両方のポンプ21、22を通過するので、パーティクルの発生を抑制することができ、液体の清浄度を高めることができる。さらに、第1のポンプ21を間欠吐出ポンプとして、第2のポンプ22を連続吐出ポンプとすると、液体の吐出精度をより高めることができる。
【0043】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1のポンプを連続吐出ポンプとし第2のポンプを間欠吐出ポンプとして、塗布モードにおいて第2のポンプ22を駆動して第1のポンプ21を停止し、循環モードにおいて第1のポンプ21を停止して第2のポンプ22を駆動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 液体供給装置
11 液体収容部
12 液体供給路
13 塗布具
15 フィルタ
21 第1のポンプ
22 第2のポンプ
26 塗布バルブ
27 戻し流路
28 循環バルブ
29 接続部
31 チューブフラムポンプ
32 収容容器
35 チューブフラム
38 弾性変形部
39 ポンプ室
41、46 液体収容室
51 チューブフラムポンプ
52 ベローズ容器
55、56 ベローズ
57 作動リング
61 ポンプ駆動ユニット
71 ベローズポンプ
75a、75b ベローズ
79a 駆動軸
84a、84b 電動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8