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特開2022-163878遠隔操作装置およびマルチオペレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022163878
(43)【公開日】2022-10-27
(54)【発明の名称】遠隔操作装置およびマルチオペレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20221020BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H04Q9/00 331A
E02F9/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021068984
(22)【出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515217454
【氏名又は名称】ジオマシンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】山本 悟
(72)【発明者】
【氏名】三井 善孝
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅之
(72)【発明者】
【氏名】引間 亮一
(72)【発明者】
【氏名】田口 毅
(72)【発明者】
【氏名】塚田 純一
【テーマコード(参考)】
2D003
5K048
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA04
2D003BB04
2D003CA10
2D003DA04
2D003DC02
2D003FA02
5K048BA25
5K048DC01
5K048EB02
5K048EB12
5K048FB05
5K048FB10
5K048HA23
(57)【要約】
【課題】 異なる種類の建設機械を切り替えて操作することが可能となる装置およびシステムを提供すること。
【解決手段】 遠隔操作装置は、建設機械を遠隔から操作するための装置であり、複数の操作レバーと、複数の操作ペダルと、建設機械の種類を選択するための選択手段と、選択された種類の建設機械と通信する通信手段と、複数の操作レバーおよび複数の操作ペダルの少なくとも1つから入力された操作情報の送信を通信手段に対して指示する制御手段と、通信手段により建設機械から受信した該建設機械の動作情報を出力する出力手段とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械を遠隔から操作するための装置であって、
複数の操作レバーと、
複数の操作ペダルと、
建設機械の種類を選択するための選択手段と、
前記選択手段により選択された種類の建設機械と通信する通信手段と、
前記複数の操作レバーおよび前記複数の操作ペダルの少なくとも1つから入力された操作情報の送信を通信手段に対して指示する制御手段と、
前記通信手段により前記建設機械から受信した該建設機械の動作情報を出力する出力手段と
を含む、遠隔操作装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記選択手段により選択された前記種類の建設機械の操作内容を表示する、請求項1に記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
前記出力手段は、操作した前記操作レバーもしくは前記操作ペダルまたはその両方の操作量を表示する、請求項2に記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
前記選択手段は、選択した前記種類を切り替える場合、該種類の選択を解除した後に、指定された他の種類を選択する、請求項1~3のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記他の種類に切り替えられた場合に、該他の種類の建設機械の操作内容の表示に切り替える、請求項4に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
複数の種類の建設機械が備える複数の装置のうちの同時に使用しない2以上の装置は、同一のグループにグループ化され、各グループに対して1つずつアドレス情報が割り当てられ、
前記通信手段は、前記グループ内の2以上の装置のうちの使用する1の装置とのみ前記アドレス情報を使用して通信を確立する、請求項1~5のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記建設機械の種類に応じた前記複数の操作レバーおよび前記複数の操作ペダルの操作量に関する設定情報を保持し、選択された種類の設定情報に基づき、前記操作情報を調整し、調整した該操作情報の送信を指示する、請求項1~6のいずれか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の遠隔操作装置と、複数の種類の建設機械とを含む、マルチオペレーションシステム。
【請求項9】
前記複数の種類の建設機械が備える複数の装置のうちの同時に使用しない2以上の装置は、同一のアドレス情報が割り当てられ、
前記2以上の装置のうちの使用する1の装置は、前記遠隔操作装置とネットワークを介して通信を確立し、該2以上の装置のうちの使用しない他の装置は、前記ネットワークから遮断される、請求項8に記載のマルチオペレーションシステム。
【請求項10】
前記複数の種類の建設機械のうちの選択された種類の建設機械は、前記遠隔操作装置との通信が所定の期間途切れた場合、所定の処置を実施する、請求項8または9に記載のマルチオペレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械を遠隔から操作するための装置およびマルチオペレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械を遠隔から操縦する装置として、無線操縦装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この無線操縦装置では、複数種類の記憶された操作方式の対応関係の中から1の操作方式を選択し、異なるメーカーであっても、1の装置で操縦することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-85975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の無線操縦装置は、メーカーの操作の違いに対応するためのもので、異なる種類の建設機械を切り替えて操作することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、建設機械を遠隔から操作するための装置であって、
複数の操作レバーと、
複数の操作ペダルと、
建設機械の種類を選択するための選択手段と、
選択手段により選択された種類の建設機械と通信する通信手段と、
複数の操作レバーおよび複数の操作ペダルの少なくとも1つから入力された操作情報の送信を通信手段に対して指示する制御手段と、
通信手段により建設機械から受信した該建設機械の動作情報を出力する出力手段と
を含む、遠隔操作装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、異なる種類の建設機械を切り替えて操作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】複数の種類の建設機械と遠隔操作装置とを含むマルチオペレーションシステムを示した図。
図2】操作レバーと操作ペダルと選択手段とを含むマルチコントロールユニットの構成例を示した図。
図3】建設機械としてホイールローダを選択した場合の操作方法について説明する図。
図4】建設機械としてドリルジャンボを選択した場合の操作方法について説明する図。
図5】建設機械としてロードヘッダを選択した場合の操作方法について説明する図。
図6】建設機械としてエレクター一体型吹付機を選択した場合の操作方法について説明する図。
図7】建設機械としてバックホウを選択した場合の操作方法について説明する図。
図8】建設機械としてブレーカを選択した場合の操作方法について説明する図。
図9】建設機械として無人計測機を選択した場合の操作方法について説明する図。
図10】誤操作を防止する第1の方法について説明する図。
図11】誤操作を防止する第2の方法について説明する図。
図12】IPアドレスの設定方法について説明する図。
図13】レバーおよびペダル操作の設定について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
道路工事、ビル建築工事、トンネル工事等の各種の建設工事では、複数の建設機械(重機)が使用される。重機は、地盤が悪い箇所や壁面の崩落の可能性がある箇所等で使用されることが多く、作業員の安全性に問題がある。
【0009】
近年、通信技術の発展に伴い、WiFi(登録商標)、小電力無線、L5G等を使用して、離れた位置にあるセンサからの情報を取得したり、外出先から自宅の家電を操作することができる。
【0010】
この技術を適用して、重機も遠隔から操作することができる。重機は、操作レバーや操作ペダルを有し、これらを操作することにより、走行させ、地盤の掘削等の作業を行うことができる。しかしながら、重機の種類が異なる場合、機能も異なることから、使用する操作レバーや操作ペダルが異なり、その数や配置等が異なる。このため、これまでは1つの装置で、複数の種類の重機を遠隔操作することはできなかった。
【0011】
そこで、本発明では、複数の種類の重機に対応するべく、それらの操作に必要な数の操作レバーや操作ペダルと、重機の種類を選択するための選択手段とを含む構成を採用する。操作レバーや操作ペダルの数が複数の種類の重機に対応していれば操作可能であり、選択手段により種類を切り替えることができれば目的の重機を操作することができるからである。
【0012】
操作レバーや操作ペダルの操作情報および選択手段の選択情報は、操作対象の重機に送信する必要があるため、選択手段により選択された種類の重機と通信する通信手段と、複数の操作レバーおよび複数の操作ペダルの少なくとも1つから入力された操作情報の送信を通信手段に対して指示する制御手段とをさらに採用する。また、どの操作レバー等をどのように操作するか、操作した通りに重機が動作しているか否かを確認するため、通信手段により重機から受信した当該重機の動作情報を出力する出力手段をさらに採用する。
【0013】
図1は、複数の種類の建設機械と遠隔操作装置とを含むマルチオペレーションシステムを示した図である。最初に、遠隔操作装置により遠隔操作可能な重機について説明する。遠隔操作装置により遠隔操作可能な重機としては、ホイールローダ10、ドリルジャンボ11、ロードヘッダ12、エレクター一体型吹付機13、バックホウ14、ブレーカ15、無人計測機16等が挙げられる。なお、これらの重機は一例であり、トンネル坑内の換気設備としてのコントラファン、破砕機械であるクラッシャー、ベルトコンベア、調合を行う機械であるバッチャプラント、濁水処理装置等であってもよい。
【0014】
ホイールローダ10は、前方にバケットを備え、車輪で走行し、主に土砂や砕石等をダンプカーに積み込むために用いられる機械である。ドリルジャンボ11は、発破を行うために、爆薬を仕掛けるための孔を形成する削岩機である。ロードヘッダ12は、自由断面掘削機であり、地山や地下を掘削する掘削機である。エレクター一体型吹付機13は、支保工の建て込みからコンクリートの吹き付けまでの一連の作業を行う機械である。
【0015】
バックホウ14は、バケットを運転席側に向けて取り付けた機械である。ブレーカ15は、掘削断面が設計断面に対してトンネル内側に突出し、掘り足りていない箇所を削り取る作業(アタリ取り)に使用される機械である。無人計測機16は、3Dスキャナ等の計測装置と無線通信機を走行手段に載置し、無人で掘削面の三次元形状等を計測する機械である。
【0016】
これらの重機は、WiFi(登録商標)、小電力無線、L5G等を使用した無線通信可能な通信機と、重機が備える操作レバーおよび操作ペダルを操作する操作手段と、通信機と操作手段とを接続し、操作手段を制御する制御手段とを備える。操作レバーを操作する操作手段としては、油圧、空気圧、電気等を使用し、人間の手作業を代行するマニピュレータと呼ばれる機械を使用することができる。操作ペダルを操作する操作手段としては、制御手段から出力した電気信号を物理的運動に変換するアクチュエータ等を使用することができる。制御手段は、プロセッサおよびメモリを備えるコントローラで、遠隔操作装置からの指示を受けて操作手段を制御する。
【0017】
重機は、各種のセンサや撮像装置を備えることができる。各種のセンサや撮像装置は、制御手段に接続され、各種センサや撮像装置において取得した情報を、通信機17を介して遠隔操作装置20へ送信することができる。各種センサとしては、例えばドリルジャンボ11やエレクター一体型吹付機13におけるブームの稼働部に取り付けられた回転角度センサや傾斜センサ等である。撮像装置は、各重機の前方を撮像する1台のカメラのみであってもよいし、前方以外を撮像するために複数台のカメラから構成されていてもよい。なお、通信機17は、各重機に対して少なくとも1台設置され、各通信機17と遠隔操作装置との間で通信を行うように構成される。通信機17を2台以上設置する場合、すべてが省電力無線やL5G等の異なる通信方式で通信を行う通信機であってもよいし、その中のいくつか、もしくはすべてが同じ通信方式で通信を行う通信機であってもよい。
【0018】
次に、遠隔操作装置20について説明する。遠隔操作装置20は、複数の操作レバーとして、左手で操作するためのスティックコントローラユニット(L)21と、右手で操作するためのスティックコントローラユニット(R)22と、複数の操作ペダルを備えるフットコントローラユニット23と、選択手段として対象機械切替SW24とを備える。フットコントローラユニット23は、例えば4つのペダルを備える。スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23、対象機械切替SW24は、マルチコントロールユニット25を構成する。マルチコントロールユニット25は、対象機械切替SW24による機能切り替えにより、複数の種類の重機の走行・作業動作を行うことができる。
【0019】
マルチコントロールユニット25は、重機の走行を操作するために、スティックコントローラユニット21、22に代えて、あるいはスティックコントローラユニット21、22とともに、ハンドルタイプコントローラ26を接続して使用することができる。また、マルチコントロールユニット25は、他のコントローラを接続して使用することもできる。他のコントローラとしては、ドリルジャンボ11等の機能が多い機械を操作するためのテーブルタイプコントローラ27を使用することができる。
【0020】
通信手段は、複数の重機のうちの1つと無線通信を行う通信機28である。制御手段は、マルチコントロールユニット25からの操作情報を、操作を指示する電気信号に変換し、通信機28を介して制御対象の重機へ送信する制御ユニット29である。制御ユニット29は、制御対象の重機からの情報を、通信機28を介して取得し、出力手段に対して出力するように指示する。出力手段は、情報を表示して出力する映像情報ユニット30である。
【0021】
制御ユニット29は、マルチコントロールユニット25からの操作情報を、操作を指示する電気信号に変換する操作通信盤31と、重機から取得した重機の走行や操作に関する情報を表示するように指示するデータ処理PC32と、重機において撮影された映像を表示するように指示する映像処理PC33とを含む。
【0022】
映像情報ユニット30は、データ処理PC32からの指示を受けて、走行や操作に関する情報を表示する走行・操作情報モニター34と、映像処理PC33からの指示を受けて、映像を表示する映像モニター35とを含む。ここでは、データ処理PC32と映像処理PC33とに分けているが、1つのPCであってもよい。また、走行・操作情報モニター34と映像モニター35も、1つのモニターとしてもよい。さらに、PCとモニターを一体化させ、タブレット端末のような、タッチパネルを備えたモニターであってもよい。なお、各モニターの表示を制御することができれば、PC以外の装置を使用してもよい。
【0023】
遠隔操作装置20は、その他のユニットを含んでいてもよく、例えば重機から取得した情報を、インターネット36に接続されるサーバ37へ送信して記憶させるための送受信ユニットとしてゲートウェイ(GW)38を備えることができる。サーバ37は、クラウド上にあり、GW38は、各重機との間の通信とは異なるネットワーク間の通信を中継する。データ処理PC32や映像処理PC33は、GW38を介してサーバ37へアクセスし、サーバ37に記憶された情報を取得し、走行・操作情報モニター34や映像モニター35に表示させることができる。
【0024】
制御ユニット29は、通信を行う装置を切り替えるためのスイッチ39を備え、スイッチ39に接続される5つの装置(通信機28、操作通信盤31、データ処理PC32、映像処理PC33、GW38)のうちの2つの装置間の通信を可能にする。スイッチ39は、通信元の装置から送信された情報に含まれる宛先情報を参照し、宛先情報から通信先の装置を特定し、特定した装置へ通信経路を切り替える。
【0025】
遠隔操作装置20は、操作室内に設置することができるが、トンネル工事においては、トンネルを掘削するたびに、重機と通信可能な範囲へ操作室を移動させる必要があることから、トラック等の荷台に操作室を作り、その操作室内に設置することができる。操作室を移動させる必要がない場合は、重機と通信可能な範囲にある、プレハブ事務所等の建物内に遠隔操作装置20を設置することができる。
【0026】
図2を参照して、マルチコントロールユニット25の構成について詳細に説明する。図2(a)に示すように、スティックコントローラユニット(L)21は、前後左右に操作可能なレバー40、2つのボタンスイッチ41、6つのLEDボタンスイッチ42、前後左右に操作可能なレバー43、前後に操作可能なレバー44、9つのLED角スイッチ45を備える。各レバーやスイッチの使用方法については、各重機の操作方法のところで詳しく説明する。
【0027】
スティックコントローラユニット(R)22は、非常停止ボタン50、前後左右に操作可能なレバー51、2つのボタンスイッチ52、3つのLEDボタンスイッチ53、アナログダイヤル54、前後左右に操作可能なレバー55、前後に操作可能なレバー56、9つのLED角スイッチ57、マウステーブル58を備える。
【0028】
フットコントローラユニット23は、フットコントローラ1方向(前)60、フットコントローラ1方向(前)61、フットコントローラ2方向(前後)62を備える。図2(a)に示す例では、映像情報ユニットとしてタッチパネル63が設けられている。
【0029】
タッチパネル63は、選択した重機を表示し、使用可能な方向も表示することができる。また、タッチパネル63は、使用する重機の種類によって使用できるレバー(スティック)の方向やフットコントローラ(ペダル)、ボタンをランプ等により表示することができる。
【0030】
マルチコントロールユニット25の各装置は、図2(b)に示すように、操作室の床に、作業員が足で操作するためのフットコントローラ1方向(前)61等が配置され、操作台の上に、作業員が手で操作するための非常停止ボタン50、レバー51、LEDボタンスイッチ53、レバー55、LED角スイッチ57等が配置され、操作台の前方に、作業員が目で見て確認するためのタッチパネル63が配置される。
【0031】
マルチコントロールユニット25は、複数の種類の重機を操作することが可能であり、重機の種類によって使用しない方向にスティックが入ったり、使用しないペダル方向に入った場合、ブザーで知らせることができる。また、使用しないペダル、ボタンにはロックがかかり、動かなくすることもできる。このため、マルチコントロールユニット25は、音出力手段やロック手段を備えることができる。
【0032】
以下、図3図9を参照して、各重機の操作方法について詳細に説明する。図3は、ホイールローダ10の操作方法について説明する図である。ホイールローダ10は、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0033】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図3に示す例では、向かって左端のスイッチが、ホイールローダ10を選択するスイッチである。LED角スイッチ45によりホイールローダ10が選択された場合に、レバー40等を、以下に説明するレバー等として操作することが可能となる。このことは、他の種類の重機についても同様である。
【0034】
LED角スイッチ45は、1回押下することで、特定の種類の重機が選択され、同じスイッチをもう1回押下することで、選択が解除される。このため、現在、特定の種類の重機が選択されていて、別の種類の重機に切り替えたい場合、当該特定の種類の重機を選択したスイッチを押下して選択を解除した上で、当該別の種類の重機を選択するスイッチを押下する必要がある。選択を解除しないまま切り替えてしまうと、操作方法が異なる2つの重機が同時に動作することなり、危険だからである。
【0035】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40は、前後に操作することで、地盤を掘削して土砂等をすくい取るバケットに連続するアームを昇降(リフトアップ、リフトダウン)させることができる。また、レバー40は、左右に操作することで、バケットを上下方向に回転(バケットアップ、バケットダウン)させることができる。レバー40は、レバー40の頂部にレバーボタンを有し、レバーボタンを押下しながら操作することができる。レバーボタンを押下しながらレバー40を左右へ操作することで、トラックにすくい取った土砂等を積み込む際にバケットを上下方向に回転させるサイドアップもしくはサイドダウンさせることができる。なお、図中、()で示される操作は、ボタンを押しながら操作したときの操作内容を示す。
【0036】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、警笛(ホーン)を鳴らすボタンとなる。6つのLEDボタンスイッチ42は、照明点灯用のスイッチとなる。レバー43、44は、使用しない。
【0037】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、ホイールローダ10を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後の操作は使用せず、左右の操作のみ使用する。レバー51は、ホイールローダ10の前輪の角度を変え、進行方向を変えることができる。レバー51は、レバー51の頂部にレバーボタンを有し、レバーボタンは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、使用しない。
【0038】
3つのLEDボタンスイッチ53は、非常点滅表示灯(ウィンカーハザード)を点灯させるためのスイッチとなる。アナログダイヤル54、レバー55、56は、使用しない。
【0039】
9つのLED角スイッチ57のうちの1つは、バケット解除用のスイッチとなり、別の1つは、駐車ブレーキ用のスイッチとなる。バケット解除用のスイッチは、押下しないとバケットの操作ができないように構成された安全のためのスイッチであり、駐車ブレーキ用のスイッチは、ホイールローダ10の動作や移動を手動で止めるスイッチである。
【0040】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60は、ブレーキペダルとなり、ホイールローダ10の移動を止めることができる。フットコントローラ1方向(前)61は、アクセルペダルとなり、ホイールローダ10を前進もしくは後進させることができる。フットコントローラ2方向(前後)62は、1つのフットコントローラ2方向(前後)62aが、前進ギアと後進ギアを切り替えるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bが、切り替えたギアを上げ(ギアアップ)、もしくは下げる(ギアダウン)ペダルとなる。
【0041】
このため、作業員は、フットコントローラユニット23を使用して、ホイールローダ10を、ギアを変えながら前進もしくは後進させ、レバー51を操作して、その進行方向を変え、また、レバー40を操作して、地盤を掘削し、掘削した土砂等をバケットですくい上げ、トラックの荷台に積み込むことができる。
【0042】
図4は、ドリルジャンボ11の操作方法について説明する図である。ドリルジャンボ11も、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0043】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図4に示す例では、向かって左端から3番目のスイッチが、ドリルジャンボ11を選択するスイッチである。
【0044】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40およびレバー40のレバーボタンは、使用しない。
【0045】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、警笛(ホーン)を鳴らすボタンとなる。6つのLEDボタンスイッチ42は、照明点灯用のスイッチとなる。レバー43、44は、使用しない。
【0046】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、ドリルジャンボ11を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後の操作は使用せず、左右の操作のみ使用する。レバー51は、左右に操作することで、ドリルジャンボ11の前輪の角度を変え、進行方向を変えることができる。レバー51は、レバーボタンを有し、レバーボタンは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、使用しない。3つのLEDボタンスイッチ53、レバー55、56は、使用しない。
【0047】
ドリルジャンボ11は、削岩機、ガイドシェルおよびブームを備え、ブームの角度を変えて先端の削岩機を削孔位置へ移動し、ガイドシェルにより削岩機を前進もしくは後退させ、削岩機を構成する先端にビットを備えたロッドを回転させるために電力を使用する。なお、ブームの角度の変更等は、図1に示したマルチコントロールユニット25に接続されるテーブルタイプコントローラ27を使用して操作される。
【0048】
通常、ドリルジャンボ11は、受電設備からの電力を変電設備において所定の電圧に降下させ、変電設備からケーブルを介して電力が供給される。ドリルジャンボ11は、この電力の供給を受けて油圧を発生させ、ブーム等を動作させる。ドリルジャンボ11に電力を供給するためのケーブルの取り回しや電力設備の整備のため、一時的に電力の供給を受けることができない場合がある。この場合、ドリルジャンボ11のエンジンを使用して油圧を発生させることができるが、所定の油圧を発生させるには、エンジンの回転数を制御する必要がある。エンジンの回転数は、アクセルを使用して制御することができるが、削岩機等を使用する場合はドリルジャンボ11の走行を停止した状態でなければならない。アナログダイヤル54は、アクセルを使用せずにエンジンの回転数を制御するスロットルとなる。
【0049】
9つのLED角スイッチ57のうちの4つは、油圧ジャッキによりドリルジャンボ11全体を浮上させ、車輪を地面から浮かせるためのアウトリガーを張るスイッチとなる。アウトリガーを張ることで、ドリルジャンボ11の走行を防止し、振動を抑制する。残りの4つのLED角スイッチ57のうちの1つは、変電設備からドリルジャンボ11に電力を供給するためのケーブルをケーブルリールにより巻き取るスイッチとなり、別の1つは、ホイールローダ10の場合と同様、駐車ブレーキ用のスイッチとなる。
【0050】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60は、ブレーキペダルとなり、ドリルジャンボ11の移動を止めることができる。フットコントローラ1方向(前)61は、アクセルペダルとなり、ドリルジャンボ11を前進もしくは後進させることができる。フットコントローラ2方向(前後)62は、1つのフットコントローラ2方向(前後)62aが、前進ギアと後進ギアを切り替えるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bは、使用しない。
【0051】
このため、作業員は、フットコントローラユニット23を使用して、ドリルジャンボ11を、前進もしくは後進させ、レバー51を操作して、その進行方向を変えて、所定の位置に停止させ、アウトリガーを張り、テーブルタイプコントローラ27を操作して、ブームの角度を変更し、ガイドシェルを前進させ、削岩機を回転させて、岩盤等の所定の位置に孔を形成することができる。
【0052】
図5は、ロードヘッダ12の操作方法について説明する図である。ロードヘッダ12も、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0053】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図5に示す例では、向かって左端から2番目のスイッチが、ロードヘッダ12を選択するスイッチである。
【0054】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40は、前後に操作することで、異なる径を有する中空の筒状体が入れ子になったブームを伸縮させることができる。レバー40は、左右に操作することで、ブームの先端にあるアームを伸縮させることができる。図5中、「アーム_奥」は、アームを伸ばすことを示し、「アーム_手前」は、アームを縮めることを示す。レバー40は、レバーボタンを有するが、レバーボタンは、使用しない。
【0055】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、ホーンを鳴らすボタンとなる。6つのLEDボタンスイッチ42は、照明点灯用のスイッチとなる。レバー43は、使用しない。レバー44は、前後に操作することで、左側の無限軌道(クローラ)を前進もしくは後進させることができる。
【0056】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、ロードヘッダ12を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後に操作することで、ブームの上下方向の角度を変更し、左右に操作することで、ブームの左右の角度を変更して、ブームを旋回させることができる。レバー51は、レバーボタンを有し、レバーボタンは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、アームの先端に設けられる、ビットを備えるドラムを回転させるためのスイッチとなる。
【0057】
ロードヘッダ12は、ドラムを回転させ、先端のビットにより地山や地下を掘削する掘削機である。ロードヘッダ12による掘削時は、切削による粉塵が発生し、岩盤等との摩擦によりビットが加熱することから、粉塵を抑制し、ビットを冷却するために散水が行われる。3つのLEDボタンスイッチ53は、この散水を行うためのスイッチとなる。アナログダイヤル54は、使用しない。
【0058】
ロードヘッダ12も、ドリルジャンボ11と同様、アームやブームの伸縮、ドラムの回転等のために電力を使用する。このため、変電設備とロードヘッダ12がケーブルにより接続される。ケーブルは、ケーブルハンガーにより吊るされ、先端のアームへ電力を供給する。ケーブルは、ロードヘッダ自身や油圧ショベル等の他の重機と接触する可能性があり、その場合、ケーブルが引っ張られ、伸びて切断する可能性がある。レバー55は、前後左右に操作することで、ケーブルが接触しないように、また、絡まないように、ケーブルハンガーを移動させることができる。レバー55が有するレバーボタンは、左右のケーブルハンガーを切り替えるボタンとなる。レバー56は、前後に操作することで、右側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0059】
9つのLED角スイッチ57のうちの4つは、アウトリガーを張るスイッチとなる。アウトリガーを張ることで、ロードヘッダ12の走行を防止し、振動を抑制する。残りの4つのLED角スイッチ57のうちの1つは、変電設備からロードヘッダ12に電力を供給するためのケーブルをケーブルリールにより巻き取るスイッチとなる。
【0060】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60、61は、使用しない。1つのフットコントローラ2方向(前後)62aは、右側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bは、左側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、左右のクローラを前進もしくは後進させることができる。なお、レバー44、56でも、クローラを前進もしくは後進させることができるが、レバー44、56による操作は、微妙な操作(微動操作)を可能とし、クローラを微動させたい場合に使用することができる。
【0061】
このため、作業員は、フットコントローラユニット23を使用して、ロードヘッダ12を所定の位置に移動させ、レバー40およびレバー51を操作して、アームおよびブームを伸縮させて位置決めし、ボタン52bを押下して、ドラムを回転させ、地山や地下を掘削することができる。
【0062】
図6は、エレクター一体型吹付機13の操作方法について説明する図である。エレクター一体型吹付機13も、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0063】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図6に示す例では、向かって左端から4番目のスイッチが、エレクター一体型吹付機13を選択するスイッチである。
【0064】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40は、前後に操作することで、ブームを伸縮させることができる。レバー40は、左右に操作することで、ブームの先端にあるアームを左右に回転させることができる。レバー40は、レバーボタンを有するが、レバーボタンは、使用しない。
【0065】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、ホーンを鳴らすボタンとなる。
【0066】
エレクター一体型吹付機13は、支保工を建て込むために使用するエレクターブームと、作業員が乗り、高所作業を行うために使用するバスケットブームと、コンクリートを吹き付けるために使用する吹付ブームとを備える。6つのLEDボタンスイッチ42のうちの3つは、エレクター一体型吹付機13が備えるこれら3つのブームのうちの1つを選択するためのスイッチとなる。6つのLEDボタンスイッチ42のうちの残りの3つは、照明点灯用のスイッチとなる。レバー43は、上記のLEDボタンスイッチ42において吹付ブームが選択された場合に、前後左右に操作することで、コンクリートを吹き付けるための吹付ノズルの方向を上下左右に変えることができる。レバー44は、前後に操作することで、左側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0067】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、エレクター一体型吹付機13を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後左右に操作することで、ブームの上下方向および左右方向の角度を変更して、ブームを旋回させることができる。レバー51は、レバーボタン51aを有し、レバーボタン51aは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、コンクリートを吹き付けるために使用する圧縮空気を供給するコンプレッサーを起動させるスイッチとなる。
【0068】
3つのLEDボタンスイッチ53のうちの1つは、コンクリートを供給するコンクリートポンプを起動させるスイッチとなる。急結材を使用する場合、3つのLEDボタンスイッチ53のうちの別の1つは、急結材を供給するポンプを起動させるスイッチとなる。
【0069】
エレクター一体型吹付機13も、アームの回転、ブームの伸縮や角度の変更、コンクリートポンプの稼働等のために電力により発生させた油圧を使用し、また、吹付エアーの供給のために電力により発生させたエアー等を使用する。このため、変電設備とエレクター一体型吹付機13がケーブルにより接続されるが、変電設備からの電力供給を受けられない場合、エレクター一体型吹付機13のエンジンから油圧の供給を受けることができる。アナログダイヤル54は、エンジンから油圧の供給を受ける場合のエンジンの回転数を制御するスロットルとなる。なお、電力が供給できない場合、吹付エアーは供給できない。
【0070】
レバー55は、使用しない。レバー56は、前後に操作することで、右側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0071】
9つのLED角スイッチ57のうちの4つは、アウトリガーを張るスイッチとなる。アウトリガーを張ることで、エレクター一体型吹付機13の走行を防止し、振動を抑制する。残りの4つのLED角スイッチ57のうちの1つは、変電設備からエレクター一体型吹付機13に電力を供給するためのケーブルをケーブルリールにより巻き取るスイッチとなり、別の1つは、駐車ブレーキ用のスイッチとなる。
【0072】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60、61は、使用しない。1つのフットコントローラ2方向(前後)62aは、右側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bは、左側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、左右のクローラを前進もしくは後進させることができる。なお、レバー44、56による操作は、微動操作を可能とし、左右のクローラを微動させたい場合に使用することができる。
【0073】
このため、作業員は、フットコントローラユニット23を使用して、エレクター一体型吹付機13を所定の位置に移動させ、レバー40およびレバー51を操作して、アームおよびブームを伸縮させ、ボタン52bおよびLEDボタンスイッチ53を押下し、コンプレッサーおよびポンプを起動させ、吹付対象にコンクリートを吹き付けることができる。
【0074】
エレクターブームやバスケットブームの操作については、レバー40、レバー51等を使用して行うこともできるし、テーブルタイプコントローラ27等を使用して行うことができる。
【0075】
図7は、バックホウ14の操作方法について説明する図である。バックホウ14も、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0076】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図7に示す例では、向かって左端から5番目のスイッチが、バックホウ14を選択するスイッチである。
【0077】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40は、前後に操作することで、バックホウ14が備えるアームを、操作室から離れる方向である「アーム_奥」もしくは操作室に近づく方向である「アーム_手前」に移動させることができる。また、レバー40は、左右に操作することで、操作室ごと左右に旋回させることができる。レバー40は、レバーボタンを有するが、レバーボタンは、使用しない。
【0078】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、ホーンを鳴らすボタンとなる。
【0079】
6つのLEDボタンスイッチ42は、照明点灯用のスイッチとなる。レバー44は、前後に操作することで、左側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0080】
バックホウ14は、アームの先にバケットを取り付けた機械で、バケットに代えて他の付属装置を取り付けることが可能である。付属装置としては、ハンマー、クラッシャー等のアタッチメントが挙げられる。レバー43は、アタッチメントの操作に使用され、バケットの操作には使用しない。
【0081】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、バックホウ14を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後に操作することで、ブームの上下方向の角度を変更することができる。レバー51は、左右に操作することで、バケットを操作室側へ、もしくは操作室から離れる方向へ移動させることができる。また、レバー51は、レバーボタンを有し、レバーボタンは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、使用しない。
【0082】
3つのLEDボタンスイッチ53は、バックホウ14の操作室の屋根等に取り付けられた3Dスキャナを動作させるためのスイッチとなる。3Dスキャナは、計測対象の三次元形状を計測する装置である。アナログダイヤル54は、バックホウ14のエンジンによる所定の油圧を維持するためにエンジンの回転数を制御するスロットルとなる。
【0083】
レバー55は、使用しない。レバー56は、前後に操作することで、右側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0084】
9つのLED角スイッチ57のうちの1つは、操作解除用のスイッチとなる。操作解除用のスイッチは、レバーが体に触れても動かないようにするためのスイッチである。
【0085】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60、61は、使用しない。1つのフットコントローラ2方向(前後)62aは、右側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bは、左側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、左右のクローラを前進もしくは後進させることができる。なお、レバー44、56による操作は、微動操作を可能とし、左右のクローラを微動させたい場合に使用することができる。
【0086】
このため、作業員は、フットコントローラユニット23を使用して、バックホウ14を所定の位置に移動させ、レバー40およびレバー51を操作して、旋回させ、ブームとアームとバケットを移動させることで、土砂等をすくい上げることができる。
【0087】
図8は、ブレーカ15の操作方法について説明する図である。ブレーカ15も、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0088】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図8に示す例では、向かって左端から6番目のスイッチが、ブレーカ15を選択するスイッチである。
【0089】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40は、前後に操作することで、ブレーカ15が備えるアームを、操作室から離れる方向である「アーム_奥」もしくは操作室に近づく方向である「アーム_手前」に移動させることができる。また、レバー40は、左右に操作することで、操作室ごと左右に旋回させることができる。レバー40は、レバーボタンを有するが、レバーボタンは、使用しない。
【0090】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、ホーンを鳴らすボタンとなる。
【0091】
6つのLEDボタンスイッチ42は、照明点灯用のスイッチとなる。レバー43は、アタッチメントの操作に使用され、ブレーカの操作には使用しない。なお、アタッチメントをバケットに代えることで、図7に示したバックホウ14になる。レバー44は、前後に操作することで、左側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0092】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、ブレーカ15を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後に操作することで、ブームの上下方向の角度を変更することができる。レバー51は、左右に操作することで、バケットを操作室側へ、もしくは操作室から離れる方向へ移動させることができる。また、レバー51は、レバーボタンを有し、レバーボタンは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、使用しない。
【0093】
3つのLEDボタンスイッチ53は、バックホウ14の操作室の屋根等に取り付けられた3Dスキャナを動作させるためのスイッチとなる。アナログダイヤル54は、ブレーカ15のエンジンによる所定の油圧を維持するためにエンジンの回転数を制御するスロットルとなる。
【0094】
レバー55は、使用しない。レバー56は、前後に操作することで、右側のクローラを前進もしくは後進させることができる。
【0095】
9つのLED角スイッチ57のうちの1つは、操作解除用のスイッチとなる。操作解除用のスイッチは、レバーが体に触れても動かないようにするためのスイッチである。
【0096】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60は、使用しない。フットコントローラ1方向(前)61は、ブレーカ15のスイッチとして機能し、ペダルを踏むことでブレーカ15のスイッチが入る。1つのフットコントローラ2方向(前後)62aは、右側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bは、左側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、左右のクローラを前進もしくは後進させることができる。なお、レバー44、56による操作は、微動操作を可能とし、左右のクローラを微動させたい場合に使用することができる。
【0097】
このため、作業員は、フットコントローラユニット23を使用して、ブレーカ15を所定の位置に移動させ、レバー40およびレバー51を操作して、旋回させ、ブームとアームを移動させ、ブレーカ15のスイッチを入れ、ピストンにより往復動する先端のチゼルで打撃して、アタリ取り等を行うことができる。
【0098】
図9は、無人計測機16の操作方法について説明する図である。無人計測機16は、バッテリーとモータにより動作し、無人計測機16も、スティックコントローラユニット21、22、フットコントローラユニット23を使用して操作される。
【0099】
9つのLED角スイッチ45は、重機の種類を選択するためのスイッチであり、図9に示す例では、向かって右端のスイッチが、無人計測機16を選択するスイッチである。
【0100】
スティックコントローラユニット(L)21のレバー40は、左右に操作することで、計測装置としての3Dスキャナ等を左右に旋回させることができる。レバー40は、レバーボタンを有するが、レバーボタンは、使用しない。
【0101】
2つのボタンスイッチ41のうちの1つのボタン41aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン41bは、ホーンを鳴らすボタンとなる。
【0102】
6つのLEDボタンスイッチ42のうちの少なくとも1つは、切羽側を撮影するカメラの撮影ボタンとなる。LEDボタンスイッチ42の残りは、照明点灯用のスイッチとなる。レバー44は、使用しない。
【0103】
無人計測機16は、3Dスキャナ等の計測装置を載せる昇降可能な昇降台を有する。このため、レバー43は、前後に操作することで、昇降台を昇降させることができる。
【0104】
スティックコントローラユニット(R)22の非常停止ボタン50は、無人計測機16を非常停止させるためのボタンである。レバー51は、前後に操作することで、無人計測機16を前進もしくは後進させることができる。レバー51は、左右に操作することで、無人計測機16を左よりに移動させ、もしくは右よりに移動させることができる。また、レバー51は、レバーボタンを有し、レバーボタンは、ホーンを鳴らすボタンとなる。2つのボタンスイッチ52のうちの1つのボタン52aは、全操作をキャンセルするボタンとなり、もう1つのボタン52bは、使用しない。
【0105】
3つのLEDボタンスイッチ53は、無人計測機16に搭載した3Dスキャナを動作させるためのスイッチとなる。アナログダイヤル54は、使用しない。
【0106】
無人計測機16は、進行方向等を撮影する撮像装置(カメラ)を備える。カメラを固定し、カメラの向きを左右に傾けることを「パン」といい、上下に傾けることを「チルト」という。レバー55は、前後左右に操作することで、上下方向にカメラの向きを傾け、左右方向に傾けることができる。レバー55は、レバーボタンを有し、レバーボタンを押下しながら前後に操作することで、画像を拡大もしくは縮小することができる。レバー56は、使用しない。
【0107】
9つのLED角スイッチ57のうちの1つは、操作解除用のスイッチとなる。操作解除用のスイッチは、レバーが体に触れても動かないようにするためのスイッチである。
【0108】
フットコントローラユニット23のフットコントローラ1方向(前)60、61は、使用しない。1つのフットコントローラ2方向(前後)62aは、右側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、もう1つのフットコントローラ2方向(前後)62bは、左側のクローラを前進もしくは後進させるペダルとなり、左右のクローラを前進もしくは後進させることができる。ここでは、レバー44、56を使用せず、ペダルのみによって左右のクローラを前進もしくは後進させているが、レバー44、56を使用し、左右のクローラを微動させるように構成してもよい。
【0109】
したがって、無人計測機16は、レバー51によって走行させることもできるし、フットコントローラ2方向(前後)62によっても走行させることもできる。
【0110】
作業員は、レバー51やフットコントローラユニット23を使用して、無人計測機16を所定の位置に移動させ、カメラの向きをレバー55により変え、レバー43およびLEDボタンスイッチ53を操作して、計測対象の三次元形状を計測することができる。
【0111】
マルチオペレーションシステムは、作業員が参照するモニターに、誤操作を防止するための処置として、選択した機械の操作内容を自動で表示することができる。図10は、モニターに表示される画面の一例を示した図である。モニターは、図10(a)に示すように、機械パラメータモニター(主)70、機械パラメータモニター(副)71、操作説明モニター72、映像モニター(主)73、映像モニター(副)74を有し、例えば操作説明モニター72にその操作内容を表示することができる。
【0112】
図10(b)は、ホイールローダ10の操作内容を例示した図である。操作内容は、図3に示した内容と同じ内容で、使用しない操作の内容については、文字の色を変える等して区別可能に表示される。なお、使用しない操作の内容については、その内容自体を非表示にすることもできる。
【0113】
図11は、モニターに表示される画面の別の例を示した図である。画面に表示される内容自体は、図10(b)に示した内容と同じであるが、操作室内の操作内容(レバー、ペダル、ボタン)の状態が確認できるような表示となっている。図11では、レバー40の状態を表示し、「レバー1」と表示されたレバー40をリフトダウンの方向に50%、バケットアップの方向に50%操作していることを示している。
【0114】
誤操作を防止するための処置は、図10(b)および図11に示した画面表示のほか、上記の操作切替の際に現在操作中の機械を必ずOFFにし、他の機械へ切り替える方法や、機械を切り替えた際に、表示映像を対象機械の映像に切り替える方法等を採用することができる。
【0115】
遠隔操作装置20と各重機との通信は、イーサネット(登録商標)等のローカルネットワークを使用する。ローカルネットワークは、例えば256個のIP(Internet Protocol)アドレスしか使用することができず、機械が256以上存在する場合、機械によっては同時通信を行うことができない。機械は、各重機内のセンサやブーム等を動作させるアクチュエータ等の個々の装置である。
【0116】
そこで、図12に示すように、同時に使用しない、機械1と機械2、機械3と機械4、機械5と機械6をそれぞれグループ化し、各グループの入口となる分岐装置に対してそれぞれ1つずつIPアドレスを割り当てる。各分岐装置は、複数の機械が個別にもつIPアドレスに変換して各機械に接続する。IPアドレスの変換は、例えば分岐装置へ送られてきた情報に含まれる通信先の情報を基に行うことができる。このようにして、同じグループ内の2つの機械と、操作室との通信は、破線と実践の2つで示すが、一方の機械とのみ通信を確立し、操作室と一方の機械との間に構築されたネットワークから他方の機械を遮断することができる。これにより、IPアドレスの数を確保し、通信量を抑制することができる。
【0117】
操作室と各重機の各機械との通信は、無線で行われるため、通信状態により通信が切れる場合がある。例えば、重機の走行中に通信が切れた場合、ブレーキをかけることができないため、走行が継続し、安全な状態を保つことができない。
【0118】
そこで、通信が切れた場合、機械が安全な状態に保つべく、例えばホイールローダ10については、ブレーキをONにし、駐車ブレーキをONにする。ドリルジャンボ11については、油圧ポンプを停止させ、駐車ブレーキをONにする。ロードヘッダ12については、油圧ポンプを停止させる。エレクター一体型吹付機13については、油圧ポンプを停止させ、駐車ブレーキをONにする。バックホウ14およびブレーカ15については、油圧ポンプを停止させ、無人計測機16については、サーボOFFにする。
【0119】
ドリルジャンボ11、ロードヘッダ12、エレクター一体型吹付機13、バックホウ14およびブレーカ15は、いずれも油圧を使用し、アーム、ブームを動作させ、ドラムを回転させる。この油圧を供給する油圧ポンプは、通信が切れると制御することができなくなることから、油圧ポンプを停止させることとしている。
【0120】
無人計測機16は、位置、方位、姿勢等を制御量とし、目標値に追従するように自動で作動するサーボ機構を備える。サーボ機構は、通信が切れると制御することができなくなることから、サーボ機構をOFFにすることとしている。
【0121】
各種類の重機における遠隔操作装置20のレバーやペダル操作は、図3図9を参照して説明してきたが、レバーやペダルは、重機の種類によってあそびの幅や強弱の幅等が異なる。作業員が違和感なく操作するためには、これらの操作の設定(感覚)を調整できることが望ましい。
【0122】
図13は、レバーやペダル操作の設定について説明する図である。図13(a)、(b)は、ドリルジャンボ11およびホイールローダ10のブレーキペダル操作の設定を、図13(c)、(d)は、エレクター一体型吹付機13およびバックホウ14のレバー操作の設定を説明する図である。
【0123】
ドリルジャンボ11は、重量があり、簡単に停止できないことから、ブレーキ最強の幅を大きくとるように設定することができる。一方、ホイールローダ10は、ブレーキの強弱の幅を大きくとり、ブレーキ調整ができるように設定することができる。
【0124】
エレクター一体型吹付機13は、誤ってレバーに触れても吹付を開始しないように、あそびの幅を大きくとることができる。一方、バックホウ14は、操作量を細かく調整できるように、レバーの強弱の幅を大きくとることができる。
【0125】
これらの情報は、重機の種類に応じたレバーおよびペダルの操作量に関する設定情報として、制御ユニット29の操作通信盤31が保持することができる。操作通信盤31は、選択された種類の設定情報に基づき、実際に操作されたレバーやペダルの操作量を調整する。そして、操作通信盤31は、調整した操作量を操作情報として送信するように、通信機28に対して指示する。
【0126】
なお、これらの設定情報は一例であり、他の設定情報であってもよく、各重機の種類に応じて適切な設定情報を設定することができる。
【0127】
上記に説明してきたように、本発明の遠隔操作装置およびマルチオペレーションシステムを提供することで、異なる種類の建設機械を切り替えて操作することが可能となる。重機ごとに操作装置を用意する必要がないため、低コストで遠隔操作を行うことが可能となる。
【0128】
これまで本発明の遠隔操作装置およびマルチオペレーションシステムについて図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
10…ホイールローダ
11…ドリルジャンボ
12…ロードヘッダ
13…エレクター一体型吹付機
14…バックホウ
15…ブレーカ
16…無人計測機
17…通信機
20…遠隔操作装置
21…スティックコントローラユニット(L)
22…スティックコントローラユニット(R)
23…フットコントローラユニット
24…対象機械切替SW
25…マルチコントロールユニット
26…ハンドルタイプコントローラ
27…テーブルタイプコントローラ
28…通信機
29…制御ユニット
30…映像情報ユニット
31…操作通信盤
32…データ処理PC
33…映像処理PC
34…走行・操作情報モニター
35…映像モニター
36…インターネット
37…サーバ
38…GW
39…スイッチ
40、43、44、51、55、56…レバー
41、52…ボタンスイッチ
41a、41b、52a、52b…ボタン
42、53…LEDボタンスイッチ
45、57…LED角スイッチ
50…非常停止ボタン
54…アナログダイヤル
58…マウステーブル
60、61…フットコントローラ1方向(前)
62、62a、62b…フットコントローラ2方向(前後)
63…タッチパネル
70…機械パラメータモニター(主)
71…機械パラメータモニター(副)
72…操作説明モニター
73…映像モニター(主)
74…映像モニター(副)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13